グレモリー家の次男 リメイク版   作:EGO

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Extra life07 オーディション終了

なぜか一次審査を突破した、俺━━ロイとイッセー、木場、匙、そしてその他一般参加の子供たちは、二次試験の会場と思われる広い目の部屋に集められていた。

気配を探ってみたが、セラたちがここを覗いていないようだ。まあ、下手に動いて失格にはなりたくないのだろう。

俺たちはパイプ椅子に座り、選考員三人とスタッフ数名が座った長テーブルの席に視線を向けていた。てか、俺が先頭列の中央とか、嫌でも注目される位置なんだが……。

それにしても、合格者二五人の約半数がコスプレ姿だ。選考基準がわからん。

プロデューサーが言う。

 

「えー、合格おめでとうございます。皆さんの合格理由は我々の映画に対するコンセプトとマッチしていたのです。そうですね、東海林(しようじ)先生?」

 

振られた先生はロン毛を手で払いながら、キザっぽく言ってくる。

 

「その通り。僕と監督は今回、今までにないミルキーを作りたいと思っているんだ。そして、そのミルキーを引き立てるスパイスには、この中の誰かの力が必要だと考えた!僕らはキミたちの誰かと新しいミルキーを作り上げたいんだよ。ね、監督?」

 

振られた監督は不機嫌そうに腕を組み、チョビヒゲをの口元を動かした。

 

「いいね~」

 

………え、終わったのか?「いいね~」だけ?いやいや、意味わからん。何がどう良かったんだよ。

俺がそんなことを思っている間に、二次試験の『面接』が開始された。

呼ばれた少年が立ち上がり、質問に答えながら自分をアピールしていく。皆、趣味とか特技とか、そんな感じのことを言っていき、ついに俺たちの番になってしまった。

 

 

 

プロデューサー「では、あなたの特技は?」

 

木場「最近ではケーキ作りですね。特にチーズケーキが得意です。それと剣術程度でしたらそれなりに」

 

監督「いいね~」

 

 

プロデューサー「今回のヒーロー役のオーディションに参加した理由は?」

 

イッセー「えと、ある人の影響で原作が好きでして、やれるんだったらやりたいなと」

 

プロデューサー「ところでその籠手は?」

 

イッセー「はい!これは、俺の相棒です!」

 

監督「いいね~」

 

 

プロデューサー「あなたも籠手をつけているのですね。って、それ籠手なんですか?」

 

匙「籠手と言えば籠手ですけど、先程の彼に比べたら変な感じですけどね」

 

プロデューサー「それはキミの相棒?」

 

匙「もちろんですよ!俺の右腕で、生涯のパートナーです!」

 

監督「いいね~」

 

 

 

プロデューサー「あなたは籠手をつけていないんですね……」

 

ロイ「いや、つけているのが普通みたいに言わないでくれよ………」

 

プロデューサー「これは失礼。では、あなたの特技は?」

 

ロイ「斬ったり、撃ったり………だな」

 

プロデューサー「あの、他には?」

 

ロイ「()しいて言えば、色々なところに潜り込むことも得意だ。面倒は嫌いだがな」

 

監督「いいね~」

 

 

 

 

━━━━と、木場以外明らかにおかしい感じになってしまっていた。周りからの視線が痛いのは今に始まったことじゃないから無視だ!

 

「今日は何とも個性的な少年(?)ばかりですね~」

 

「いいねぇ」

 

プロデューサーと監督は何かの病気だとしか考えられない。いくらなんでもおかしいだろ?今考えてみると俺の返答ってかなりヤバイぞ。

 

「それでは、合格者を発表いたします」

 

そんなこんなで二次試験も終了。

俺、イッセー、木場、匙、を含んだ数名が合格。三次試験へと駒を進めることとなり、女子のグループが終わるまで待機となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

で、俺たちは案内された待機場所から抜け出して女子のグループを覗き見ていた。妹の青春の一ページだ、見ておきたい。

そう意気込んで来たのはいいんだが、問題は女子のグループに参加している彼(?)だ。

 

「ミルたんの魔法力を見せてあげるにょ」

 

そう、ミルたんだ。彼はそう言うと余っていたパイプ椅子を持ち上げた。すると、全身の筋肉が盛り上がり始める!腕が、背中が、いっそう隆起して膨れ上がっていくなかで、ミルたんはパイプ椅子を易々と折り曲げ、ひしゃげ、形を変えていった!

 

ベキン!バキッ!

 

映画のオーディションでは聞くことがないであろう音が会場に響き渡った!

な、何やってんだ、あいつ!

会場の女子たちと外の俺たちは驚きながらもミルたんから視線を外せないでいた。

そんなことお構い無しにミルたんはパイプ椅子を圧縮し続けていく!しだいに小さく形を変えたパイプ椅子は、ミルたんの両手に収まる程の大きさになっていた。

 

ぎゅぅぅぅぅぅぅ………っ。

 

最後におむすびを力強く握るようにして形を整えた。ミルたんの手の中には圧縮され続けたパイプ椅子だったもの、いびつな鉄の球体が収まっていた。

ミルたんは満面の笑みでそれをスタッフに見せつける。

 

「パイプ椅子を鉄球に変える魔法にょ。魔法力、感じてくれたかにょ?」

 

あれが魔法力なわけあるか!ただの怪力、筋力だ!何なんだよ本当に!

 

「ミルたんの希望は癒し系にょ」

 

何をどう癒すってんだ!?壊すだけだろ!?何もかも真っ黒に焼き尽くすだけだろ!?てか、他の参加者が怖がってるじゃねぇかよ!

 

「いいね!」

 

監督が俺たちの時とは段違いのリアクションを見せた!ダメだ、早くどうにかしないと………。

 

「じゃあ、次はリアス・グレモリーさん」

 

お、キタキタ。我らがリアスの番だな。さて、どんなことをするのかねっと。って、リアスのやつ顔を真っ赤にして体を震えてあるんだが、何かあるのか?

見れば、ソーナも体を震わせていた。何だろう、二次試験まで進むなんて思いもしていなくて、セラと変な約束でもしたのか?

俺が疑問符を浮かべていると、リアスが意を決して立ち上がった。

そして、深呼吸をひとつして、声色までかわいくして叫んだ!

 

「魔法少女リーア!きらめく魔法で極悪怪人をまとめて滅殺しちゃうぞ☆」

 

「ぐはっ!」

 

「「「ロイ先生!?」」」

 

俺は鼻血を吹き出して倒れた!な、なんだ、今の形容しがたい破壊力は!?兄さんと父さんの気持ちがなんとなく理解できぞ…………!

俺がそんなことを考えていると、イッセーが言ってきた。

 

「ロ、ロイ先生!だ、大丈夫ですか!?」

 

「く、くそ…………あんなリアス、初めて見た。小さい頃でもあんなことしているところ、見たことねぇぞ………」

 

「ロイ先生って、やっぱりシス━━━」

 

「匙くん、それ以上はいけないよ………」

 

横では匙と木場がそんなやり取りをしていた。

俺は立ち上がり、テッシュを鼻に詰めて会場に視線を戻す。

すると、ソーナが、

 

「魔法少女ソーナ!まばゆい魔法で凶悪怪人をたくさん消滅させちゃうもん☆」

 

リアス同様にかわいらしい声音で叫んでいた!

それを見た、セラと匙は鼻血を噴き出して悶絶していた。

結局、向こうも俺たちの関係者は全員合格。そして、ミルたんも合格し、俺たち全員で三次試験へと進むことになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

てなわけで、無事に二次試験も合格した俺たちは、バスで三次試験の会場に移動していた。

 

「……死にたいわ」

 

「……ええ、私もです」

 

バスの中で項垂(うなだ)れているリアスとソーナ。その二人をそれぞれの眷属が励ましていた。いやはや、仲が良いことで、お兄ちゃん、嬉しいぜ!

そんなことを思っているうちに到着したのは港近くの廃工場だ。ここで演技力をチェックするとのこと。

それにしても、試験に本番でも使えそうな撮影現場を使うってのも贅沢なもんだな。

何てことを思っていると、物陰から黒いローブを着込んだ女性が複数人現れた。

彼女たちは俺たち、特にセラに殺気を放ちながら俺たちの眼前に立つ。

タイミングと彼女たちから感じるオーラからして魔法使い。つまり━━━━。

俺がそこまで考えると同時に、彼女たちのリーダー格と思われる女性が告げてきた。

 

「私たちは『禍の団(カオス・ブリゲード)』の一派、『ニルレム』に属する魔法使いだ。我らは魔法使いを侮辱せし魔王レヴィアタンに抗議をしにきた」

 

………だよな。まあ、来るとは思っていたが、ここまで堂々と来るとはな。ここだと一般人も多いってのによ。つっても、テロリストにそんなもん関係ねぇか。

 

「おや?ドッキリ?」

 

プロデューサーは間抜けな顔で的はずれなことを口にしていた。一般人からしてみればそうなるよな。で、その一般人を巻き込みたくねぇから……。

 

「セラ、頼む」

 

「任せて☆」

 

セラはそう言うと指先に魔力を貯めて魔方陣を展開、それを飛ばして一般人に当てていった。当てられた人たちはパタリと倒れ、眠り込んでいく。

 

「巻き込んだらかわいそうだから、眠らせたのよ☆」

 

俺はセラに頷いてリアスたちに指示を出す。

 

「リアス、ソーナ。おまえらで寝てる人たちを守れ。あっちの相手は俺たちがやる」

 

「わかりましたわ」

 

「ついでにお姉様も押さえておきます」

 

リアスとソーナが頷いたことを確認して、俺は男子三人に言う。

 

「よっし、男子チーム!行くぜ!」

 

『はい!』

 

俺たちは同時に飛び出して魔女を狙いにいくと、俺たちの横を何かが通り過ぎていき、数人の魔女を吹き飛ばした!

見ると、それは金属の塊だ。あり得ないぐらい圧縮されてボールみたいになっているが、多分そこら辺に置いてあったドラム缶だったのだろう。そして、この場にそれほどのパワーを持っているのは……。

 

「悪魔さん、お手伝いするにょ」

 

ミルたんだ。彼はセラの睡眠魔力が効かなかったようで、平然と俺たちの横についていた。

 

「それは心強い。改めて、行くぜ!」

 

『は、はい!?』

 

気にせず続けた俺に、三人は驚きながらも返事を返して再び飛び出した!

 

「貴様らには用はない!邪魔をするな!」

 

魔女はそう言いながらこちらに魔法で攻撃してくるが、

 

「ミルキィィィィィィ・スパイラルゥゥゥゥ・ボォォォォムァァッ!」

 

ミルたんがその全てを拳で破壊し、

 

「ミルキィィィィィィ・サンダァァァァ・クラッシャァァァァッ!」

 

アスファルトを抉るほどの蹴りで魔女を数人まとめて弾き飛ばした!

 

「なんだ、こいつは!?」

 

「新手の冥界生物か!?」

 

魔女たちも混乱しているようだ。俺たちはその隙に近づいて……。

 

「オラッ!」

 

俺は魔力を込めたボディーブローを打ち込み、一人を無力化。

 

「はぁッ!」

 

木場自慢のスピードで翻弄し、刃を潰した聖魔剣を上段から振り下ろして一人を斬り伏せた。

 

「あらよっと!」

 

匙はラインで魔女を拘束し、魔法力を奪っていく。

 

「『洋服破壊(ドレス・ブレイク)』!」

 

「きゃぁぁあああああっ!」

 

イッセーは魔女を丸裸にして鼻血を垂らしていた。

 

「イッセー、こういうときぐらい自重しろ!」

 

と、言いながらイッセーに軽くチョップを決める!チラッと全裸の魔女を見てしまったのだが、その瞬間に凄まじい殺気を感じたんたぞ…………。

まぁいい。とりあえず、あと五人!

俺がそれを確認したと同時にセラの声が聞こえた。

 

「ロイ!皆、下がって!」

 

『ッ!』

 

俺たちはセラからの指示に従い、一気に後方に下がった。すると、リアスとソーナが全身をプルプルと震わせながら前に出る。

リアスが目元に涙を溜めながらやけくそ気味に叫んだ。

 

「グレモリースティィィィック!」

 

胸の飾りからかわいらしいエフェクトを放ちながら、魔法のスティックが出現した!

 

「シトリースティィィィック!」

 

ソーナも同じように羞恥心と戦いながら魔法のスティックを出現させた!

セラも同様にスティックを取り出して、リアスとソーナ、そしてその眷属女子たちに掛け声をかけた。

 

「さあ、行くわよ、皆!レヴィアビィィィィムッ!」

 

「リーア・シャイニング・ラブ・ファイヤァァァァッ!」

 

「ソーナ・ライトニング・アクア・ジャスティィィィスッ!」

 

セラを中心とした強烈な攻撃、そして眷属たちからの追撃で、撮影現場で大爆発が起こった!

しれっとリアスとソーナが攻撃する瞬間に、かわいらしい星マークとかハートマークが撒き散らされていたんだが!?

 

「きゃぁぁぁあああああっ!」

 

魔女たちは回避も防御を出来ずに直撃、倒れていった。よし、戦闘終了っと……。

俺が帰り支度に入ろうとすると、

 

「キァアアアアアアッ!」

 

後ろから女子チームの悲鳴が聞こえてきた。何か起こったのかを確認しようと振り向こうとすると……。

 

「ん?なにご━━━」

 

「お兄様!振り返らないでください!後で大変なことになります!」

 

「うん?ああ、わかった」

 

リアスに制止され、俺は再び前を見るようにする。すると、

 

「「ぎぁああああっ!」」

 

激しい爆発と共に、イッセーと匙の断末魔が撮影現場に響き渡った。

多分だが、女子チームの大半が何かの影響で裸になり、それを見た二人が制裁にあったのだろう。

すると、俺の肩に手が置かれる。

 

「………ロイ。さっき、見たわよね?」

 

壊れたロボットのように『ギギギギ』と音を立てながら振り向くと、そこには笑顔のセラがいた。が、目が笑っていない。

 

「イヤー、ナンノコトカナー」

 

俺が棒読みで返すと、セラが肩に置いた手を首に回し、俺を引きずり始める。

 

「ふふふ、またお話が必要みたいね…………」

 

「か、勘弁してくれ!リアス、ソーナ!助けてくれ!」

 

「今日はもう帰らせていただきます………」

 

「お姉様をよろしくお願いします…………」

 

物陰から、二人の疲れきった声音の返事が帰って来た。

あはは………だよな………。

俺は諦めるように息を吐き、いつも通りに抵抗せず、されるがままにすることにした。

こうして、波乱のミルキーオーディションは幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

 

 

余談だが、オーディションは破算となり、あの場にいたスタッフ含めた一般人たちからは記憶を消させてもらった。

 

「もう少しで、もう少しで、ミルキーに………」

 

「ま、次に期待しようぜ?」

 

「「お断りですっ!」」

 

落ち込むセラを励ましていたら、リアスとソーナから手厳しいことを言われてしまった。結構楽しかったけどな。

それにしても……。

 

「ミルたん、いったい何者だ?」

 

ミルたんはあの後、音もなくいなくなっていた。実力は申し分ないと思うが、素性が一切わからん。不思議な奴だったな。

俺と同じ事を思ったのか、セラが言う。

 

「ミルたんだったわね。あのヒト、私と同じかそれ以上のミルキーパワーを有した魔女っ子なのよ。ロイ、どうかしら?私、まだ駒が余っているのよね」

 

何て言ってきたので。

 

「セラの好きにすればいいだろ?ま、あいつが未来の同業者ってのも面白そうだ」

 

と、返しておいたのだが、内心ではミルたんの底知れない何かに恐怖している俺なのだった。

 

 

 

 

 




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