その後、無事に到着したイッセーたちと食事をしていたんだが、イッセーがアザゼルにある話題を振った。
「アザゼル先生、一つ思ったんですけど俺の『
「ああ、できる。強力なドラゴンを封じたものでやれば『
実際使うやつなんていないだろ、あんなヤバイもん。
俺ももし使えるって言われても、絶対に使わねぇぞ………。
そこでまたイッセーに疑問が生まれたのか、アザゼルに訊く。
「アザぜル先生、サイラオーグさんのレグルスは
「そうだ。あれは本来『
「いえ、
「イッセー、
アザぜルが返すが、またイッセーは訊く。
「『
「イッセー、あの槍にはな、『聖書に記されし神の遺志』みたいなもんが封じられてるんだ」
それを聞いてイッセーはまた何かを考え込んでいるようだ。
最近脳ミソフル回転だな、イッセー。
「なんで神が神を殺せるものを作り、それを残したのか。それは誰にもわかっていない。どちらにしても聖槍があったから『
「この調子じゃ、そのうち増えるだろうな」
アザぜルに続いて俺の考えも言っておく。
「だろうな。だから
「はいはい」
そのやりとりを終えても話は続いていったんだが、そこにアーシアも参戦し話は広がっていった。
どうやらアザぜルは、そのうちアーシアに魔物を使役させたいようだ。
俺もそれには賛成だし、楽しみだ。他のメンバーの強化プランも固まってきているようだし、俺も負けてられないな。ま、世代交代ってのもありか………。
俺がそう思った瞬間、全身を嫌な感覚が包み込んだ。
一瞬で転移させられたような、アグレアス・ドームで感じたものと似た感覚…………。
「アザぜル、これは………」
「ああ、だろうな」
俺とアザぜルが確認していると、黒歌が変装をときながら呟く。
「本命が来ちゃうなんてね。ヴァーリたちはまかれたようにゃ」
本命?よくわからんが、ゲオルグがいるのは確かだ。そして、ゲオルグについているのは、おそらく…………。
俺が思慮しながら銃剣を取り出すと同時に、俺たちを霧が包み込んでいった。
俺たちはホテルのレストランを飛び出し、周囲を警戒する。
係員を含めて誰もいない。状況が京都やアグレアスと同じ、どう考えても、敵襲だろう。
俺たちは警戒しながらホテル内を進み、ロビーに到着する。
まったく人気がないことに変わりないが、その近くに備えられた黒いソファに堂々と座る二人の男性の姿を確認した!
その瞬間、俺たちの方向に火炎玉が飛んでくる!狙いはアーシアとイリナか!
俺が素早く二人の前に出て迎撃しようと構えた矢先、突然火炎が飛散する。
オーフィスが俺よりも前に出て火炎を打ち消したのだ。
助けてくれた、のか…………?
「た、助かったぜ………」
「あ、ありがとうございます」
「………………」
俺とアーシアは礼を言うが、オーフィスは反応しない。
俺は視線をソファに戻す。
見覚えのある学生服にローブを羽織った青年━━ゲオルグと、学生服の上から漢服を着た青年━━曹操もこちらを見据えている。
曹操は聖槍で肩を叩きながら、俺たちに向けて言う。
「久しいな、赤龍帝、アザゼル総督、ロイ殿。いきなりのあいさつをさせてもらった」
「曹操………!行く先々で出てきやがって!」
俺はそう吐き捨てるなか、あることに気づく。
奴の右目の傷がなくなっているのだ。アグレアスで戦ったときは眼帯をつけていたが、代案ってやつをやったのか?
俺がその疑問を感じていると、突然、曹操が拍手をする。
「前回のバアル戦、いい試合だったじゃないか。とある事情で生では見れなかったが、
「テロリストの幹部に褒めてもらえるなんて、光栄なのかしら?複雑なところね。ごきげんよう、曹操」
曹操の言葉に、皮肉げに笑みながら返すリアス。
「ああ、ごきげんよう。京都では一応会ったが、あれは何とも言えないからな。初めまして、と言っておこうかな。あのときは驚いたが。なかなか刺激的だった」
「言わないで!思い出しただけでも恥ずかしいのだから!」
やはり、あれはリアスからしてみれば黒歴史ってやつなんだな。実際に見ていた俺としても、コメントに困るからな。
「それで、またこんなフィールドを作ってまで俺たちを転移させた理由は?ろくでもないことは確かだと思うが……」
俺が訊くと、曹操は視線をオーフィスに向ける。
「やあ、オーフィス。ヴァーリとどこかに出かけたと思ったら、こっちにいるとは。少々虚を突かれたよ」
それを聞いてオーフィスの前に黒歌が立つ。
「にゃはは、それはこっちもにゃ。ヴァーリのほうに向かったと思ったんだけどね」
「あちらには別部隊を送った。今頃、そちらの相手をしているんじゃないかな」
するとルフェイが笑顔で挙手すると、一度咳払いをすると説明をし始める。
それと同時にフェンリルも影から出て来て曹操たちを睨む。
「えーとですね。事の発端は二つありました。一つ目はオーフィス様が赤龍帝さんに大変ご興味をお持ちだったこと。それを知ったヴァーリ様が独自のルートで出会いの場を提供されたのです」
それは前に聞いた。おかげでこんな面倒なことになっている気がするんだがな。
ルフェイは続ける。
「二つ目は、オーフィス様を陰で付け狙っている方がいるという情報があったので、いぶりだすことにしたのです。運が良ければ、オーフィス様を囮役にして私たちのチームの障害となる方々とも対決できる。つまりですね」
ルフェイは曹操たちに指を突きつける。
「そちらの方々がオーフィス様と私たちを狙っているので、一気にお片付けしようとしたのです。オーフィス様に危険がないように、ヴァーリ様のほうに美猴様が変化した偽物のオーフィス様を連れて、本物は赤龍帝さんのお家にお連れしたのです」
やはり、曹操たちはオーフィスを狙っているようだ。それにしても、その曹操が本物の方に来てしまっているが、どうするつもりだ?
俺が考えを巡らせている間に曹操が口を開く。
「ヴァーリのことだ、オーフィスをむやみやたらと連れ回すわけもないと踏んでいた。そこでオーフィスが赤龍帝と白龍皇に興味を抱いていることを知っていたから、もしやと思って二手に別れて俺はこっちに来てみたらこれだ。それで、このような形でご対面を果たしたわけだ」
それを聞いて、横のイッセーはわかってない感じだった。ざっくり言うとヴァーリの予想が外れたってことだな。
オーフィスが口を開く。
「曹操、我を狙う?」
首をかしげて訊くオーフィス。
「ああ、オーフィス。俺たちにはオーフィスが必要だが、今のあなたは必要ではないと判断した」
「わからない。けど、我、曹操には負けない」
「その通りだ。でもちょっとやってみるか」
曹操がそう言うと槍の先端が開き光の刃が現れる。相変わらず、寒気がする神々しさ、俺たち悪魔にとって必殺の光か…………。
俺が頬に冷や汗を流した瞬間、曹操が消える!
それを確認した俺は反射的にオーフィスの元に飛び出し、
ガキィィィィィンッ!
曹操の一撃を銃剣で挟むようにして受け止めた!
激しい金属音と火花が散るなか、曹操が言ってくる。
「やはり、あなたがいるとやりたいことができなくなりますね。オーフィスならこの槍を受けたところで問題はないと思いますよ?」
「確かに、そうだろうな。どんな攻撃も、無限を削りきることはできねぇ」
俺はチラリとオーフィスに目をやり、曹操に面と向かって言う。
「だが、こんな女の子の姿をした奴が目の前で刺されるってのは、見たくないんでな!」
俺は一気に曹操を押し切り、追撃として剣撃を放つが、曹操は後ろに飛び退いて避ける。
俺は銃口を曹操に向け、一気に引き金を引くが、放たれた滅びの弾丸は槍であっさり弾かれた。
一発くらわすには、根本的に速度が足りてねぇか。
俺はそう思いながら息を吐くと、視界の端に魔方陣の輝きが映る。そちらに目を向けてみると、黒歌がにんまり笑いながら言った。
「にゃはは、余興をしてくれている間に繋がったにゃ。━━━いくよ、ルフェイ。そろそろあいつを呼んでやらにゃーダメっしょ♪」
展開された魔方陣の中央にフェンリルが立つと、魔方陣の輝きがいっそう強くなっていき、弾ける!
光が止むと、そこにはフェンリルではなく、ダークカラーが強い銀髪の青年━━ヴァーリが立っていた!
フェンリルとヴァーリの入れ替え転移をやったようだ。この短時間でやるとは、器用なやつらだな。
「ご苦労だった、二人とも。面と向かって会うのは久しぶりだな、曹操」
「ヴァーリか、これはまた驚きだ」
ルフェイが杖で円を描きながら言う。
「フェンリルちゃんと入れ替わりによる転移法でヴァーリ様をこちらに呼びました」
ヴァーリの突然の登場に驚いていたイッセーが、それを聞いて頷く。
それを無視して、ヴァーリがルフェイに続いて口を開く。
「フェンリルには向こうのメンバーと英雄派と戦ってもらっている。念のため保険をつけておいて正解だったな。それにしても、曹操とゲオルグの二人だけか」
それを聞いて曹操は不敵に笑った。
「いや、二人で十分と思っただけだよ」
「強気なものだな。例の『
ヴァーリと俺、アザぜルの意見が一致しているようだ。
だが、曹操は首を横に振る。
「それは違うさ、ヴァーリ。『
ゲオルグがそれを聞いて曹操に訊く。
「曹操、いいのか?」
「ああ、頃合いだ。無限の龍神に二天龍がいる。これ以上ない組み合わせだ」
「了解だ」
すると、口の端を吊り上げたゲオルグがロビー全体に巨大な魔方陣を出現させた。
ズォォォォォ…………。
ホテル全体に激しい揺れが襲う。そしてドス黒く禍々しいオーラが魔方陣から発生していく。
イヤなプレッシャーを感じるな。何が来やがるんだよ!
俺が警戒心を最大にしていると、魔方陣から何かが少しずつ何が出てくる。
頭部、胴体、黒い羽に十字架。いや正確には十字架に磔になっている何か。
体を強烈に締め付けられていそうな拘束具、それにも何か文字が浮かんでいる。目にも拘束具がつけられ、隙間から血涙が流れている。
そして下半身も出てきたが、そこには鱗があった。京都で会った
上半身は堕天使、下半身はドラゴン。全身には異常に太い釘が無数に打ち込まれていた。
拘束具をつけられた磔の堕天使ドラゴン。とかイッセーは思っているのだろうが、
『オオオオォォォォォォォォォォ………』
磔の堕天使ドラゴンの口から不気味な声が発せられ、ロビーに響き渡る。様々な負の感情を感じる声音だ。聞いているだけでも嫌な気分になる。
すると曹操が詩を詠むように口を開く。
「曰く『神の毒』。曰く『神の悪意』。エデンにいた者に知恵の実を食わせた禁忌の存在。今は亡き聖書の神の呪いがいまだ渦巻く原初の罪。『サマエル』。蛇とドラゴンを嫌った神の呪いを一身に受けた天使であり、ドラゴンだ。存在を抹消されたドラゴン」
『!?』
サマエル………だと!?なんでこいつが!?
俺と同じ事を思ったのか、イッセー以外の全員が驚愕の表情になった。
「アザぜル、サマエルってことはこいつが………」
「ああ、ロイ。その通りだ」
「なんなんですか、あれ………」
俺とアザぜルが確認していると、イッセーが訊いてきた。
それにアザゼルが答える。
「アダムとイブは知っているな?その二人に知恵の実を食わせたのがあれだ。そのせいで聖書の神は極度のドラゴン嫌いになった。その神の悪意、毒、呪いをすべて受けた存在。神の負の感情は本来あり得ないことだ。ゆえにそれだけでも猛毒。ドラゴン以外にも影響が出る上にドラゴンが絶滅してもおかしくないことから、コキュートスのさらに深くに封じられたはずのもの。あいつにかけられた神の呪いは究極の龍殺し。それだけにこいつの存在自体が凶悪な
「ハーデスはなにを考えてやがる!まさか………!」
アザゼルと俺は同時に一番最悪の結果を想像した。
冥府の神がテロリストに手を貸す。あの骸骨神のことだ。やりかねねぇ!
俺とアザぜルを見て、曹操が笑った。
「そう、ハーデス殿と交渉した結果、何重もの制限を設けた上で召喚を許可してもらったのさ」
「……野郎!ふざけやがって………ッ!」
「ゼウスが協力態勢に入ったのが、そんなに気にくわなかったかよ!」
俺たちが吐き捨てる中、曹操が再び口を開く。
「というわけで、彼はドラゴンを確実に殺せる。
「それを使ってどうするつもりだ!?まさかオーフィスを………?」
アザぜルの問いに曹操は口の端を吊り上げ指を鳴らす。
「喰らえ……」
曹操の声を合図に、俺たちの横を何かが通りすぎた。
サマエルが舌を延ばしたのだ。狙いは俺たちは後方にいたオーフィス。
確認しようと振り返った瞬間、俺たちは絶句した。
サマエルの舌が、オーフィスを完全に包み込んでいたのだ………。
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