俺たちがジャンヌを睨みつけていると、ここに近づいてくる気配が一つ。
これは、俺たちが待ち焦がれたあいつの!
俺が一人、笑みを浮かべていると、その気配の主は俺たちとジャンヌの間に割り込むようにして降り立った!
「兵藤一誠!ただいま帰還致しました!」
大声でそう叫びながら到着したのは、死んだはずのイッセーだ!何でかはともなく、生きていたのか!で、オーフィスも一緒なんだな。オーフィスはイッセーに並ぶように横に着地していた。
俺はホッと息を吐いているが、リアスたちは突然のことだったからかキョトンとしていた。
な、なんか反応してやったほうがいいよな………?
俺は苦笑しながらも声をかけようとすると、イッセーが笑みを引きつらせながら口を開く。
「えーと、おっぱい!グレートレッドに乗って帰ってきました!」
何を言ってんだ………、こいつ…………。
俺が口もとを引きつらせていると、
「イッセー!」
「イッセーさん!」
「「「「イッセーくん!」」」」
「イッセー先輩!」
「兵藤くん!」
「兵藤、生きてたのかよ!?」
俺以外の面々が一斉に名前を呼んだ!こいつら、『イッセー=おっぱい』って思っているだろ!?
俺はため息を吐き、イッセーに言う。
「ま、とりあえず無事で━━━」
「ロイ先生!?血まみれじゃないですか!?」
「俺の血じゃねぇ」
またこのやり取りか。まぁ、いきなり会って血まみれじゃ、そう思って当然か………。
それはそれとして。
俺はちらりと木場に視線を送り、小さく頷く。木場が頷き返した瞬間に二人同時に駆け出す!
イッセーの登場に間の抜けた表情になっていたジャンヌは、俺たちの接近に気づくのに無駄な時間を費やしている!
「しまっ━━━!」
「遅いッ!」
「隙だらけだよ!」
再び男の子の首に聖剣を突きつけようとするが、もう遅い!
俺がその聖剣を弾き飛ばし、木場が男の子を回収。そのままジャンヌを袈裟懸けに叩き斬る!
「そ、そんな………」
大量に血を流しながら、仰向けに倒れるジャンヌ。これで、終わりだな。英雄派もだいぶ減ってきた。
俺たちは元の場所に戻り、木場が抱えていた男の子を降ろす。
「イッセー、ナイスタイミングだったぞ。人質を助けられた」
俺はサムズアップをしながらイッセーにそう言った。イッセーはよくわかっていない様子だったが、「人質」の言葉と男の子を見て、ある程度察してくれたようだ。
「………で、説明を頼む」
俺がイッセーに言うと、イッセーは頷いて説明を始めた。
「えーと、まずは━━━━━」
話を要約すると、
「サマエルの毒で体はダメになったが、オーフィスの力を借りて、グレートレッドの体の一部で体を再生させた、と」
俺は冷静に言うが、横のロスヴァイセは間の抜けた表情になっていた。
そのロスヴァイセが言う。
「生きているとは思いましたが、まさか、そんな方法で助かっているとは………予想の範疇を越えていたというか…………」
確かに、なかなかぶっ飛んではいるな。まぁ、一番驚いているのはイッセー自身のような気もしなくもないが………。
俺があごに手をやりながらそんな事を思っていると、イッセーが遠慮がちに言う。
「それはいいんですけど、その、ロイ先生?」
「ん?」
「いつまで血まみれなんですか?」
俺はその一言で改めて体を見る。服と肌も血まみれだ。後でシャワーでも浴びよう。
「ま、後でシャワーでも━━━」
「「今落としてください」」
ソーナとロスヴァイセはそう言うと、俺の頭上に魔方陣を展開、そこから大量の水を流してきた!
バシャン!
「…………………」
頭から水を被った俺。なかなかの水圧で魔力を込められていたからか、あっさりと血は落ちたが………、
「へ………へ………ヘックションッ!」
盛大なくしゃみをした!いきなり水は辛いって!冷たいし、痛いしで風邪ひいちまうだろうが!
俺が腕を組むように体を擦りながら、ソーナとロスヴァイセに抗議の視線を送るが、二人には無視されてしまう。
俺たちがそんな事をやっていると、どこからか第三者の声が発せられた。
「━━━まさか、グレートレッドと共にキミが現れるなんてね」
声の主がいるほうに目を向けてみると、そこには曹操が立っていた。
曹操は槍を手に持ち、倒れるジャンヌとヘラクレスを見て目を細める。
「………わずかな間で超えられたというのか。ジークフリートも、ヘラクレスも、ジャンヌも『
ぶつぶつと何かを言いながら、やられた仲間よりもその理由を心配しているようだ。
曹操の登場に全員の意識が戦闘に戻る。こいつの強さを知っているからな。だが、あいつがいない。どこだ?
俺は曹操を警戒しながらも小次郎の気配を探る。だが、近くにはいないようで、気配を感じとることはできない。
曹操は異質なものを見るような視線をイッセーに送る。
「サマエルの毒を塗った矢を受けたと聞いていたが。それを受けたとなれば、キミの助かる可能性はゼロだった。それを自力で帰還するなど…………っ!」
また一人でぶつぶつと言ってやがる。とりあえず、すぐに仕掛けてくるってわけでもなさそうだ。
イッセーは曹操を警戒しながらもリアスに言う。
「リアス、俺をもう一度、あなたの眷属にしてください」
リアスは懐から紅い『
リアスが駒をイッセーに向けると、それに応えるように輝き始めると、静かにイッセーの体の中に入っていった。
そして、二人は優しくキスをすると、抱きしめあう。二度と放さないと言うように、二度と離れないというように………。
俺はそれを横目に確認しながら、嫌な気配を感じ取れた。そう、この気配は…………。
「お二人さん、熱々のところ悪いが、新手だ」
俺は気配のしたほうに目を向けると、黒いもやのようなものが発生し、そこから鎌を持ち、道化師のような仮面をつけたローブの何かが現れた。
最上級
リアスたちもプルートの登場に驚きながらも再び戦闘態勢を取る。
プルートがどこからか不気味な声を発する。
《先日ぶりですね、皆様》
「またおまえか。ハーデスの野郎」
そのうち、滅ぼしてやらねぇと………。
その言葉は飲み込んだ。言ってしまうと、後で何を言われるかわからない。
俺は続ける。
「………で、今回は何をしにきやがった」
《ハーデス様のご命令で、オーフィスが出現したら、何がなんでも奪取してこいと》
プルートの視線がイッセーの隣に立つオーフィスに注がれる。ハーデスの野郎、まだ諦めていなかったのかよ!
俺が直刀を生成しながら前に出ようとすると、
「プルートの相手は俺がしよう」
再び響く誰かの声。まあ、聞き覚えはあるがな。
俺たちと曹操、プルートの間に光の翼と共に舞い降りてきたのは、純白の鎧を纏ったヴァーリだ!
「帰ってきたか、兵藤一誠」
「ヴァーリッ!」
イッセーの復活にあわせて次々と現れるな。ま、プルートをヴァーリがやってくれるのなら、俺は休んで体力温存といこう。次が控えているからな。
ヴァーリがプルートに言う。
「あのホテルの疑似空間の借りをどこかにぶつけたくてな。だが、ハーデスはアザゼルたちに、英雄派はグレモリー眷属とロイ・グレモリーがやってしまったんでな。だから、残った候補はおまえだけなんだよ、プルート」
大胆不敵に告げるヴァーリ。表情はいつもと変わらないようだが、言葉に若干の怒気を感じられる。
ヴァーリ、かなりストレスが溜まりまくっているな。
プルートが鎌をくるくると回してヴァーリに構える。
《ハーデス様の元にフェンリルを送ったそうですね。先ほど、連絡が届きましたものですから。神をも殺せるあの牙は脅威です。━━━忌々しい牽制をいただいたものです》
「そのためのフェンリルだからな」
《神との戦いを念頭に置いた考え方ですね》
「あれぐらいの交渉道具がないと、神仏を正面から相手にはできないからな」
《まあいいでしょう。しかし、真なる魔王ルシファーの血を受け継ぎ、白龍皇であるあなたの倒せば、私の魂は至高の頂きに達することができそうです》
それを受けたヴァーリは、兜をもとの状態に戻すと言う。
「兵藤一誠は天龍の歴代所有者を説き伏せたようだが、俺は違う」
ヴァーリが言うや否や、特大のオーラを纏い始める!あいつ、いきなり手加減なしのフルスロットルかよ!?
「歴代所有者の意識を完全に封じた『
光翼が広がり、大量の魔力を放出させていく。純白の鎧が神々しい光に包まれていく。
そして、ヴァーリは力ある言葉を発していく!
「我、目覚めるは━━━
ヴァーリの鎧の形状が変わっていき、白銀の閃光を放ち始めた。
「「「「「「汝を白銀の幻想と魔道の極致へと従えよう」」」」」」
『
そこに現れたのは、白銀の鎧に包まれた極大のオーラを解き放つ、別次元の存在だった。周囲にあった車や公共物が何もしていないというのに潰れていく。
ヴァーリ、やはり化け物だな…………!
ただ見ているだけで冷や汗を流す俺をよそに、ヴァーリが言う。
「『
プルートは怯んだ様子もなく、残像を残しながら高速で動き回り、赤い刀身の鎌を振るう!
速いッ!だが、俺でも見えるということは、ヴァーリには遅く見えているはずだ。
俺はヴァーリなら避けるだろうとふみ、そのままプルートの動きを目で追っていく。
そして、ヴァーリに鎌の一撃が振るわれた!だが、ヴァーリは回避も防御もするつもりはないように動かない!
プルートの鎌が鎧と激突した瞬間━━━、
バリンッ!
儚い金属音が響き渡る。━━━プルートの鎌が刹那の速度で放たれたヴァーリの拳によって砕かれたのだ!
一発で、最上級死神の鎌を………!
《ッ!》
俺たち同様驚愕しているプルートだったが、その隙に鋭いアッパーが撃ち込まれる!激しい打撃音と共に、プルートが上空に浮かされた!
そのプルートに向けてヴァーリは右手をあげ、開いた手を握る。
「━━━圧縮しろ」
『
『Divid Divid Divid Divid Divid Divid Divid Divid Divid Divid Divid Divid Divid Divid!!!!!!!』
空中に投げ出されたプルートの体が、縦に、次は横に圧縮されていく。
プルートの体が半分に、さらに半分にと体積を減らしていく。
《このようなことが………!このような力が………ッ!》
プルートも信じられないように叫ぶが、ヴァーリは容赦なく言い放った。
「━━━滅べ」
目で見えなくなるほど圧縮されたプルートの叫びは聞こえることがなくなった。そして、最後に空中で震動が生まれたと同時に、プルートは完全に消滅した………。
最上級死神にしては呆気なく、微塵の欠片も残さずに消えていった。
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