リトルアーモリー Lust Bullet   作:早坂 将

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なんか書きたい事がうまく書けんなぁ。
描写を細かくしすぎるのも読んでて疲れるだけだろうし。ぐぬぬ…。


Mission:1

酷い匂いのためか、しかめっ面をしながら近づいてきたセーラー服にマルチカムのプレートキャリアー、M4とM9にヘッドセット装備の女子生徒に担当教官(女性幹部陸上自衛官)の元へ連れられ、状況の説明を強いられる俺ら。

望月も同じようにガソリンやらなんやらを全身に浴びて、潜んでいた所を発見された助け出されたようである。

道中、死体あさりとか、男のくせに前線に出てないとか散々陰口が聞こえてくるが、正常心を保って乗り越えた。

 

「で、たった2人でK9の群れを相手にしていた理由は?」

 

愛想笑いすら浮かべず、不機嫌そうな声から始まる事情聴取は心底居心地が悪い。

 

「えーっとですね……」

 

望月をチラ見しつつ、俺が口を開く。

 

「旧市街地北Eエリアにて別れて偵察及び落し物捜中、既に点滅が始まっているネストを発見し、その場での迎撃が困難と判断し撤収した所、はぐれの群れと遭遇しまして…」

 

望月の説明を俺が引き継ぐ。

 

「足止めしつつ合流を試みましたが、いかんせん数が多くて、放棄されたトラックからガソリンを拝借して臭いを消したのですが、それも、なんというか、運悪く逃げているところを見つかってしまい……」

 

「追い詰められてもうダメかと思ったところに、皆さんの救援に助けられた次第です…。はい…。」

 

俺の説明を望月が締めくくり、会話のバトンを教官に渡す。

 

「あなた達2年生よね?任務中は2人以上で行動するようにって、教わらなかったのかしら?」

 

うぐっ…。

声にならない呻きを2人してもらす。

 

「確かに、教わりました…」

 

「すいません…。我々の慢心です…」

 

こういう時はヘタに楯突かずに、相手に従っておくのが1番だ。

 

「武学高校の噂はいろいろ聞いてるけど、ここまで酷い学校だったとはね」

 

呆れを通り越した冷たい目を向けられ、さらに萎縮する俺ら。

周りの女子生徒達も同じような態度と視線を送ってくるあたり、自覚しているが、事の大きさを知る事ができる。

 

「本当にすいませんでした。以後このようなことがないように、気をつけます…」

 

「すいませんした…」

 

「はぁ、もういいわ。行きなさい」

 

短い溜息をつき、帰れという教官。

俺らはまだ、1つだけ用がある。

 

「あの、ネストを発見する前に発見した、遺骨と遺品の収容したいのですが…」

 

「そう、見つけたのね。なら、それらを収容後、予定通り撤収しなさい。バラバラの所にあるのかしら?」

 

仕事はしてたんだな的なニュアンスと表情で聞いてくる。サボってたわけじゃないんですよ?

 

「はい、別行動でしたので…」

 

俺が肯定すると、

 

「なら2人づつ人を貸すから、素早く行いなさい」

 

「「了解しました」」

 

事情聴取から解放され、無線で指示されたであろう女子生徒と合流し、地図を見ながら別れて向かう。

朝霞の生徒と、最初に案内をした生徒。2人とも態度が嫌々なのは、俺らの酷い臭いのせいか、それとも騒ぎの元凶である俺らについて行きたくないのか。恐らく両方だろう。臭いとか、ツイてないとか話してるの聞こえてくるし。あー、モチベーション下がる。

 

「ここだ」

 

極力余計な事を考えないようにして、遺骨を覆っている瓦礫を退かしていく。

露になった遺骨を見て、後ろの女子生徒に妙な緊張感が走るのを感じた。

 

「最前線は、こんなもんじゃないぞ」

 

気付けばそんな事を口走ってた。反省してないと思われたらどうすんだよ俺。

雰囲気でこちらの話に耳を傾けた事を察した俺は、そのままの勢いで言い続ける。

 

「骨だけだから、臭いもしないしまだ見てられるけど、襲撃直後の街は、この世の地獄だった」

 

忘れはしない。あれは入学して1か月後の学校行事の事だ。

ヒーローに憧れて、銃を撃ちたくて、家族の敵を討ちたくて、様々な理由を抱えて入学した俺たちは、1か月間座学で戦闘や武器について教務を受けた後、“現地実習”という形で、前線視察を行った。

いち早く戦いの空気に慣れされるための行事だが、本当は、新人たちの反応を見て、本当に戦闘に向いているかを確かめることが目的だという事を、俺は先輩からこっそり聞かされていた。

血とは少し違うが、血よりも不快な悪臭を放ち、辺り一面に広がる、イクシスだったモノ。

その中に紛れる、人間だったモノ。

戦いや戦争という物を映画や本でしか知らなかった俺たちは、現実に直面し恐怖した。

目を背ける者、嘔吐する者、泣きだす者。

いろんな奴がいたけど、俺は、これは始まりに過ぎないんだろうなと、視覚的にも嗅覚的にも不快な空間で考えていたのを覚えてる。

 

「正直な話、今日みたいに追いかけ回されたのは、初めてじゃない」

 

思考を現実に戻し、話を続ける。

 

「今日はK9だけだったから、そう考えれば、運が良かった。ヴォイテクとか、人型が居なかっただけマシだ」

 

考えられる最悪の事態を想像し、軽く震えそうになるが、ここは我慢だ。

 

「今日の俺らの行いを正当化する気なんてないし、真似して欲しくもないけど、去年最前線に出てて、失敗から学ぶって言うのも必要な事だと思ったよ。同じミスをして、次も生き残れる保証はないし、俺は死ななくても、他の奴が死ぬかもしれない」

 

すげぇ余計な事言った感ハンパない。

こりゃあ、やっちまったなぁ…。

 

「まぁ、何もかも当たり前のことだけどな。悪いな、1人語りしちまって。聞かなかったことにして、忘れてくれ」

 

最後に早口で捲し立てると、意外な事に返答があった。

 

「私は今年入学したばかりで、まだ紙と木の的しか撃った事がありません」

 

思わず作業の手を止めて振り向くと、陸自配下の朝霞の制服を着た生徒が真剣な目でこちらを見ていた。

隣の生徒も思うところがあるのか、何も喋らないが、目線で訴え掛けてくる。

 

「今日、急にこの任務に呼ばれて、漠然とついてきましたが、遺骨を見て、先輩の話を聞いて、なんとなくですが、ついてきて良かったって、思えました」

 

驚く俺を他所にその生徒は頭を下げた。

 

「ありがとうございました」

 

「あぁ、いや、まぁ、なんだ、入ったばかりで不安な事とか、分からない事とか沢山あるだろうけど、それは皆経験してるし、当たり前のことだから、抱え込まずに身近な先輩とか教官とか友達に話せば多少は身軽になるだろうから、その時は遠慮なんかする必要は無い。どんどん話な」

 

予想外すぎてしどろもどろになりつつ、再び作業を続けながらこれまた当たり前のことを返す。

言ってから、もっとうまい言葉があったんじゃないかと思ったが、今更訂正なんて出来ない。

 

「もうすぐ夏の演習で他校の生徒と合同で動く事になるだろうけど、任務を遂行する上でそういう繋がりも今後重要になってくるから、積極的にコミュニケーションを取ることを進めるよ。情報を共有しあっておかないと、1つの勘違いが甚大な被害に繋がる事なんて、珍しくないし」

 

遺骨を丁寧に専用の袋に移し終え、腰を鳴らしながらストレッチをする。

 

「まぁ、まだスタートしたばかりなんだから、深く考えすぎずに、気楽にやれ。ガチガチになりすぎても、動かなきゃいけない時に動けないからな」

 

微笑を浮かべて締めくくった俺は、今の自分の状態を思い出して、恥ずかしさがこみ上げてきた。

ガソリンとK9の体液と内臓(さっきの狙撃で脳漿も掛かった)塗れで、何を偉そうなことを言っているのか。

「「はい」!」

 

思わず顔を背けてしまったが、片方は元気に、片方は平坦な声の返事を聞いて、また俺は笑を浮かべたのだった。

 

 

 

‡ ‡ ‡

 

 

翌日、土曜日。夏休みが近いというのに我が母校である武学高校は敵に対し素肌を晒すことを良しとしないので、任務に出る際は季節問わず長袖長ズボンが推奨されている。

それに則りいわゆる冬服で任務に出た結果、制服を廃棄することになった。あんなの洗うより捨てた方が早いだろうしね。

こういった事態を想定してか、幾つか書類を書かないといけないが、制服と最低限の装備は無償で支給されるのがこの学校のいい所でもある。

故に俺と望月は休日登校し、報告書と始末書を提出しなければならなかった。

昨日1晩で書き上げたけど、それなりの物を仕上げたつもりである。

 

「おう、早速提出に来たか。はよ渡せ」

 

担任の長峰先生に提出し、チェック欄にハンコを貰う。

 

「よし。次は砂東教官のところだな」

 

担任、担当教官、理事長の順番に、ハンコを貰えば、晴れて休む事ができる。

 

「「ありがとうございます」」

 

「にしてもお前ら、よく群れに追いかけ回されて生き延びられたな。普通ならすぐに追いつかれて食われるだろうに」

 

「俺らの足と頭が良かったんですよ」

 

ニヤつきながら感想を述べる長峰先生に、同じようにニヤつきながら望月が答える。

 

「そんな事が言えるなら、またお前らを生徒会に推薦しておくけどいいよな?」

 

「「冗談はよしてくれ」」

 

思わず真顔でタメ口をきいてしまうほどシャレにならない冗談を言われた。

 

武学高校の生徒会と言えば、多数の派閥とゴロツキ共を束ねるヤバイ奴らの集まりで、“学徒連合”と呼ばれる選抜メンバーで構成された直轄の学生部隊がある。

そいつ等は並の学生では相手にならず、自衛隊との合同演習では、陸自の1個小隊を壊滅させ、参加した指揮官たちを軒並み辞職に追い込んだ輝かしい実績がある。

何故そんなことを知っているのかというと、俺と望月は、期間限定ながらその直轄部隊に所属していた事があるのだ。

 

「K9の群れを乗り物を使わずに数10分逃げられる奴らなんてお前らくらいだろうな。まぁ、無駄話はこれくらいにしておこう。行ってこい」

 

ひと安心しつつ紙を受け取り、持回りを再開する。

ハンコを貰う先々で色々話し込んだりしたおかげで、終わる頃には昼食の時間になっていた。

食堂で適当に注文し、さっさと済ませて各々帰路につく。

帰宅後は私有の装備品を整備して、受け取った新しい制服を準備する。

武学高校の制服はごく普通の黒い学ランだが、左肩に校章である、白い6角形の枠に黒い2重の六芳星、その中心に同じく黒で『武』の文字が入ったワッペンが縫い付けられている。生徒会と風紀委員は白枠がそれぞれ水色、山吹色になっている。装備にもどこかにワッペンを付けることが校則で決まっているため、任務へ行く時は、どこへ行こうにも武学高校の生徒であるという事を隠せないのだ。ワッペンを見て露骨に距離をとる他校生徒もいる。

俺の基本装備は、ODのチェストリグにこれまたODのポーチ類を付けただけの簡素なものだ。

望月には、『もっとオリジナリティをだなぁ!?』と叫ばれるが、あまりゴテゴテしてるのは性にあわない。

HK416や417を使う事が多いため、必要以上に重くしたくないというのが本音だ。

イクシス相手に重武装して動きが鈍るより、俊敏に動ける方が戦い安いって常識でもあるし。

もちろん中には軽機関銃をアサルトライフル感覚で扱うようなヤツが、力を見せつけるために敢えて重装備で参戦するが、消費する体力と水分が見た目以上に多いため、そういう奴は敬遠される。

昨日あれだけ走り回ったせいか、持回りと装備品の整備が終わった途端睡魔に襲われた俺は、欲に身を任せベットに倒れ伏した。

 

 

‡ ‡ ‡

 

 

月曜日、何事も無く登校し新しい1週間を始めようと思った矢先、それは起こった。

 

「今年の夏演習について、幾つか連絡事項があるからしっかり聞くように」

 

いつものようにチャイムから少し遅れてやってきた長峰先生は、あまり感情が感じられないいつも通りの声で示達を始めた。

“夏演習”とは、毎年夏に行われる防衛指定校が参加する大規模な合同演習で、任務内容の違いから通常男女で別れていて、全く違う場所で実施される。

 

「本来なら男女で違う演習だけど、今年は内回りの戦力強化の為に男子生徒を何人か回すことになったから。メンバーについては既にこちらで選抜済みだし、変更は利かないからそのつもりでいてくれ」

 

ザワつくクラスの生徒達を他所に、一人一人呼び出して、夏演習のメンバー表が配られる。

 

「谷岳ー、来ーい」

 

「はーい」

 

呼ばれて教卓前まで向かうと、先生が小声でボソリと呟いた。

 

「ある意味お前の実力が評価されてのことだ。頑張れよー」

 

「はぁ…?」

 

どういうこっちゃと思いつつ、渡された紙を見る。

 

『夏期共同演習において、貴殿は以下のチーム編成とする。

 

私立古流高校1年、朝戸未世《シューター》

私立古流高校1年、白根凛《ポイントマン》

私立八野辺高校3年、西部愛《ガナー》

国立朝霞高校1年、豊崎恵那《テールガン》

都立零葉高校1年、照安鞠亜《マークスマン》

私立武学高校2年、谷岳周紀《コマンド》

以上6名』

 

 

「……え…?」

 

(選抜された何人かって、俺のことかよ!?)

 

紙に書かれた名前6人中、5人の名前がどう見ても女性名であることを認識し、どうやら俺の他にクラスで3人同じく選抜されたようで同時に溜息をついたが、3人のうちの1人である望月は、鼻息が少々荒かった。




次回は休日外出した時に原作を買い直してからその要素を付け加えようと思うので、少し先になります。
ヒャッハーもう我慢出来ねぇ!と先走って投稿するかもしれませんが、その時は暖かい目で読んでて頂ければ幸いです。

ではまたーノシ

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