リトルアーモリー Lust Bullet   作:早坂 将

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でかい本屋を2件まわったのに売ってなかったから電子書籍で買いました(半ギレ)
その代わりエアガン本2冊買いました(ご満悦)


Mission:2

夏メンバーの発表の翌日、演習までのペアを組むことになった望月と2人で、その後発表された歩哨担当区域を、早速警らすることになった。

歩哨は当番制で定期的に回ってくるのだが、どうやら俺らが最初のようで、街を歩く市民は男子生徒が街の警備をしていることに初めは疑問を持ったようだが、事情を察してか、それとも深い興味はないのか、特に話しかけられることもなくスムーズに事が進んでいた。

事前に配られた地図を見ながら、行き止まりのところも隅々まで見て回るとあっという間に時間が過ぎて、あと1時間もすれば終わりだ。

 

「地図通りじゃない旧市街地とか外よりは単純でやりやすいけど、なんか物足りねーなー」

 

街の真ん中でなんてことを言うんだこの望月(バカ)は。

 

「おい、声がデケェよ。何も無いにこしたことないだろうが。俺はこんな静かな街に銃声を轟かせたくはないぞ」

 

「分かってっけどさ、なんかこう、いつもと違うから?違和感だらけなんだよ」

 

「それはまぁ、確かにそうだが…」

 

これでも去年1年生の間は、激戦の外回りを経験して、その空気に慣れて当たり前と化していた俺たちにとって、“楽な仕事”はやりづらい仕事になっていた。慣れって恐ろしい。

イヤーマフをしていても聞こえてくる銃声と爆発音。

支援砲撃の全身に響く衝撃波と地響きが轟く機銃陣地。

離れているのに燃えた火薬の匂いよりも強く臭ってくる、肉が焼ける臭いと血の臭い。

銃を撃ってる間は何も考えずにただ引き金を引き続ければいいが、戦闘が終わって、安全確認のためにイクシスの死骸の山に入りこみ、死亡を確認するまでが武学高校では1年生の役目だった。

確認が終わる頃には、死骸の山の側にゲロの池が追加されるのは毎回変わらなかったなぁと思い出していると、こちらに駆け寄ってくる市民が1人。ファンの人かな?サイン求められたりする?それとも握手?

 

「おい!大変だ!何てんだっけアレ!ネットだっけ?とにかくあっちの路地にあんだよ!」

 

お兄さん、もしかしてネストのことですか?

 

「落ち着いてください。我々が対処しますので、避難を急いで下さい」

 

「お、おう!後は頼んだぞ!」

 

おー、逃げ足が早いこって。

 

「仕事だ」

 

「そうだな!」

 

土方風のお兄さんに言われた通りの路地を覗くと、確かにネストがある。

まだ点滅はしていないが、もうすぐ始まると、感覚が告げていた。

 

「ネストシードを発見しました!近隣住民の方は速やかに避難を開始してください!繰り返します!」

 

俺がでかい声で避難を促す傍らで、望月は司令部に通報を入れる。

周波数を同じに設定してあるため、オペレーターの声だけが聞こえてくる。

 

〈DDA武学……、例の2人か。了解。増援を向かわせます。万が一間に合わなかった場合、足止めは頼みます〉

 

「問題ありません。やって見せますよー!」

 

オペレーターの真面目な声に対し、望月は楽しそうな声で応答していた。それにしても、“例の2人”とはいったいどういう意味だろうか?もしかしてこの前の件がもう広まっているのか?

避難誘導と無線でやり取りをしている間に点滅が始まったの見て、銃にマガジンを差し込み装填する。

今日は望月がHK416で、俺が支援を目的にHK417を装備している。

『HK416』はM4をドイツのH&K社が改修した発展型であり、泥に漬けても軽く振るえば撃てるほどの耐久性を持ち、416が5.56mm弾を使用するのに対し、俺が使う『HK417』は7.62mm弾を使うため、高い命中精度を活かし狙撃モデルも存在する。

 

「さーて、何が出てくるか」

 

接敵するまでの時間に流れる緊張感は、どうやら外回りも内回りも大して変わらないようだ。いや、人が少ない分、内回りの方が少し不安があるか?

ネストから70mほど距離を取り、横目で望月をチラ見すると、いつものマジキチスマイルで銃を構えているのが見えて、不安とか、違和感とかが全部吹き飛んだ。ホントこいつはブレないな。

 

「来るぜ!この前散々追いかけ回してくれた恨み、ここで果たしてやるぜ!」

 

「その通りだ!」

 

気合を入れ直して前を向くと、点滅していたゴルフボール大のシードがフワッと空間に広がり、中から聞き慣れた犬系の唸り声が聞こえてくる。

 

「犬っころ、数は…」

 

「5以上!」

 

はい望月君、元気があって大変よろしい。だけど…。

 

「……アレを用意しよう」

 

「くー!燃えてきた!」

 

「そうだな。大炎上の予感だな」

 

これからドンパチおっぱじめると思えない会話が続いているが、これが外回り、ひいては武学高校の平常運転なのだ。

イクシスを吐き出したネストはそのまま消え去り、ゆっくりヒタヒタとK9とヴォイテクが姿を表すが、まだ撃たない。

キョロキョロと辺りを見渡し、やがて人間の匂いを嗅ぎつけたのか、それとも火薬の匂いを嗅ぎ分けたのか、現れたK9の群れ、数にして10頭と1頭のヴォイテクが一斉にこちらを向く。

吠えながら走り寄って来るのは愛玩動物だけにして欲しいところだが、相手はイクシス。容赦はしない。

K9との距離が約50mを切った時、俺は用意していた物を飛ばした。

轟音が街に轟き、民家の窓が割れる音があちこちで聞こえる。

 

「流石武学高校理科部謹製、“下瀬火薬”グレネード。桁違いの燃焼力だなぁ」

 

日露戦争の日本海海戦で砲弾の火薬として使われた下瀬火薬。TNTより燃焼力と爆発エネルギーが高いそれを再現し、現代の化学と融合させ安定性を向上させた物をグレネードとして活用したうちの学校の理科部は、表に出たら輪っぱ掛けられて仲良くへいないぐらし!確定だろう。

 

「やっぱり町中で使うもんじゃなかったかー…」

 

「大丈夫大丈夫!イクシス保険入ってるだろうしさ!」

 

俺は予想以上の威力にドン引きするが、望月はいろいろぶっ壊れているため、特に何も思わないようだ。

だってさ、出てきたK9、半分以上消し炭すら残ってないよ。ヴォイテクはまだ生きてるけど、俺思わず、うわぁ…って言っちゃったよ。火薬の量は最小限のはずなんだけどなぁ。

 

「見ろ!イクシスがゴミのようだ!」

 

「無駄口叩いてないでトドメ刺すぞ」

 

アドレナリンがドバドバでハイテンションの望月を抑えつつ、生き残ってるK9の掃討をする。

後方にいて無事だったが耳をやられたK9が匂いと目を頼りに走ってくるが、セミオートで確実に仕留めていく。

残すはヴォイテクのみであるが、こいつ、あの爆発の後なのに、まだ立ち上がる体力があるのか。やっぱり恐ろしくタフなヤツだ。

 

「肩のグレランは壊れてるな。畳み掛けるぞ」

 

「おうともさ!」

 

2人揃って動きが鈍くなったヴォイテクの急所に照準をつけて、同時に引き金を引いた。

至近距離で放たれたFMJ弾はヴォイテクの目と口を貫き、脳を破壊し延髄をぶっちぎり後ろに抜ける。

事切れたヴォイテクはその場に崩れ落ちて、2度と起き上がることはなかった。起き上がってきても困るだけだが。

 

「残敵はいないな?」

 

「そうだな!いやー!スカッとした!」

 

「…報告は俺がやっておくから、周囲の警戒を頼む」

 

「あいよー」

 

ストレスを発散してご満悦の望月を他所に、俺は無線のスイッチを押す。

 

「DDA武学、普2-C谷岳。エリアカラーイエロー、死傷者無し。民家への火災発生」

 

〈エリアカラーイエロー了解。消防を向かわせますので、現地に残り誘導をお願いします。……火災が発生した原因を聞いてもいいですか?〉

 

おっと。それを聞いちゃいますか。

 

「出現したヴォイテクの対処に手間取りまして、やたらめったらグレランを撃つものですから、肩のグレランを破壊した時には既に…」

 

〈…了解しました。そういう事にしておきましょう〉

 

深く追求されずに済んだ俺らは、程なくして到着した消防に何系の火薬による火災なのかを報告し、真実の中に嘘を混ぜるやり方でやり過ごした。

様子を見に来た増援の女子生徒は、オペレーターの報告でK9の群れとヴォイテクを2人で倒したと聞いて信じていないようであったが、現場を見て納得せざる負えなかったようだ。さらに、死体の側で携行食をパクついてる俺らを、この人たち頭おかしいんじゃないの?的な目で見ていたが、この非常識こそが俺らの常識となってしまっており、これもやはり慣れなのだ。

こうして俺らの記念すべき第1回目の市街地警らは、まるで今後の道のりを示すかのように、血の匂いが満ちていた。

 

 

‡ ‡ ‡

 

 

「いや、ホントだって!」

 

少し離れたクラスメイトが、大きな声で叫んだ。

 

「私も最初は信じなかったけど、オペレーターの人が言ってたんだもん!」

 

大きな声と言っても、喧騒に包まれた教室では大して気にならない程度だったが、次に放たれた言葉で周りが一気に静まり返った。

 

「ホントに2人で10頭以上のK9の群れと、ヴォイテクを無傷で倒してたんだって!」

 

静寂に包まれた教室で、話すのに夢中で自分の周りに気づいていない彼女は声のトーンを変えずに話し続ける。

 

「私達が駆けつけた時にはもう終わってたけど、辺り一面血の海って言うか、グチャグチャになったK9の死骸だらけでさ!離れたところに頭が半分無くなったヴォイテクも倒れてるし!あんな光景見たことなかったよ!」

 

朝から血生臭い事を話しているせいで何人かの生徒が顔を顰める。

 

「落ち着いて、声でかいよ?まぁ、ゆっちが見た光景がホントだとして、流石に2人でって言うのはモリすぎじゃない?」

 

教室の現状に気づいた1人が窘める。

 

「そーそー、流石に女の子2人でそれだけの規模を返り討ちにするのはねー」

 

ゆっちと呼ばれた生徒の後ろにいた生徒が同調する。確かにさっき言っていた敵戦力だと、相当優秀な学生でなければ無傷で切り抜けるのは難しいだろう。

 

「あ、いや、女の子じゃなくて、男だったよ」

 

さらに爆弾が放り込まれた。“内回り”に“男”?

 

「え?なんで街の歩哨に男がいるの?」

 

そういえばチラッと先生が話していたことを思い出す。

今年の夏演習は、戦力強化のために男子生徒が何人か内回りに組み込まれると。

同じ事を思い出した1人が説明すると、みんな思い出したようで、どんな人が来るのか、強い人が来るのか、イケメンなのかなど、噂と憶測が教室中に広がり、喧騒が元に戻った。

もし噂が本当なら、その2人の男子生徒は余程の実力者だという事が分かる。

 

「ちなみにその男2人って、どこの生徒なの?」

 

再び静寂に包まれた教室で、みんなが答えを待つ。

 

「えーと確か…」

 

ゆっちが視線を上にあげ、考える素振りを見せる。

私も目線は本に向けたまま、意識を次の言葉に集中させる。

 

「私立武学高校の、谷岳って人と、望月って人だった気がする」

 

悪名高い、私立武学高校。

これまでとは違うタイプの静寂に包まれた教室で、私、西部愛は、今年の夏演習は楽しい事になりそうだと1人、笑を零した。




お待たせしました。早坂です。

ようやく外出が許されたのですが、初回は引率外出と言って、どこに何があるかを先輩に案内してもらうのですが、近場かと思ったらまさか市をまたぐ事になり、アニメイトで仕入れるという事前に立ててた計画を変更。複合商業施設の本屋とイオンの本屋を探したのにどこにもありませんでした…。悲しみの果てにサブ目標にしてたエアガン本2冊を買って、ダメだったら電子書籍で買おうという決心に従い電子書籍版を買いました。
ただし、電子書籍は余計なものまで買ってしまうので気をつけましょう(戒め)

この調子で1週間に1話以上は必ず投稿したいですが、原作に追いついてしまったらストップしてしまうため、どっかで小話を挟むか、新しいSSを始めるか検討中…。原作早く続き出して!そうすればみんな救われるから!

読者の皆様、毎回読んでくださりありがとうございます。これを励みにして、続きも盛り上げていこうと思います!

ではまたーノシ
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