リトルアーモリー Lust Bullet   作:早坂 将

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プロットはあるけどちょっと執筆ペース落ちそう(小並感)


Mission:4

夏休みのある日、俺は今ファミレスにいる。

いや、なんかさ、てきとーに家でグダグダしてたら電話かかってきて、誰かと思ったら『夏演習でチームを組む蓮星と申します。私立武学高校の望月嵩弥さんでお間違いありませんか?』って。今まで聞いたこともない透き通った綺麗な声で話されたもんだから、俺の脳ミソ溶けかけたよ。割とマジで。

まぁそんなこんなで1度メンバー集めて顔合わせしましょうって事で、例年通り猛暑日の中駅近くのファミレスに来たわけですよ。来たんだけど…。

 

(き、気まずい!)

 

内回りでチームで男俺1人って知らされて、『やったぜ』って思っていた時期が俺にもありました。まず精神的に来るものがある。これならまだヴォイテク相手にしてる方がマシなレベルで。しかも合流した時と注文する時に少し話をしたけど、品物が届いた後も沈黙が続くってなに!?皆飲み物と軽食くらいしか頼んでないのに、1人でハンバーグパクついてる奴いるし!

誰かこの空気を打開して!と、心の中で叫んでいると…、

 

「よくもまあ、こんだけ優秀な面子が揃ったもんだ……」

 

伽鳥先輩の呟きが流れを変えた。流石っす!

蓮星さんはどうやら今回組むメンバーについて下調べを既にしているらしく、伽鳥先輩は、整備に関してかなり優秀なお人らしい。便乗して整備を依頼しようとした荒くれ巨乳こと芙蓉さんは伽鳥先輩に一睨みされたが、特に怖がる気配もなく受け流した。複数の意味で大モノだわ。

ここで相変わらずハンバーグを食ってる沢城さんがようやく話し出した。

曰く、「演習なのに1年生が1人もいないチームなんて聞いたことがない」と。

ごもっともである。俺も聞いたことない。そんでまた便乗する形で芙蓉さんが同意する。

「そうそう。ボクもそんな感じで、なんかきな臭いなーって思ってた。まあ、何がどうとか聞かれると、勘なんだけど」

 

さらに沢城さんが勘できな臭さを感じ取っているのは、スナイパー故なのか、考えすぎなのか。あと、腕を組んで考え込んだ芙蓉さん、目のやり場に困ります。

同じ事を伽鳥先輩も思ったようだが、ここは気付かないふりだ。

 

「オレとしては、このチームの中核になるであろう椎名六花と、悪名高い武学高校のお前の意見も聞いておきてえんだけどな?」

 

うぇへぇ。ついに俺にも会話のバトンが回ってきてしまった。

周りの視線を受け止め、口を開こうとしたその時。

 

「あれってなんの意味が」

 

俺も噂には聞いたことがある、椎名六花がフワァと手を挙げ、天井でグルグル回ってる例のアレを指差し呟いたお陰で出鼻をくじかれた。え、話聞いてなかったパターン?嘘でしょ?

 

「……は?」

 

呆気に取られる伽鳥先輩。予想外過ぎてついてついてこれなかった人が俺だけじゃなくて良かった。

 

「あ、ええと、すいません。六花さんはスイッチが入ってない時はポンコツ気味で……」

 

すかさず蓮星さんがフォローを入れるが、オンオフの差ありすぎでしょ。

 

「まあ…、いいわ…。んで、お前はどうなんだよ?」

 

気を取り直して改めて俺に意見を求める伽鳥先輩。

 

「自衛隊が絡んでるからミスって事は無いだろうし、何かしら意図があってのことだろうとしか現段階じゃあ分かりませんよねぇ」

 

そう言うと、伽鳥先輩は少し意外そうな顔で、

 

「まあ、確かにオレたちが考えたってしょうがねえ事ではあるんだけどな」

 

と呟いて、話は終わりと思ったが、そんなことはなかった。主に俺に対してだが。

 

「お前、噂に聞いたぞ。K9から足で逃げ切ったって。囲まれても何頭か返り討ちにしたって話も、ホントなのか?」

 

皆の纏う空気が変わるのを間近で感じる。怖いからやめて欲しい…。椎名さんもなんとなくスイッチ入った気がするし。

スウゥゥ…と、言葉を選びながら息を吸い、口を開く。

 

「……あぁ、今日もいい天気だなぁ」

 

「おい、露骨に話題逸らすんじゃねえよ。どうなんだよ」

 

睨みながら伽鳥先輩の追求が入る。皆もはよ話せ的な目をしている。もう逃げ場がない…。

 

「本当ですけど、別に、これと言って特別な事はしてませんよ?」

 

全員から目をそらして言う。

 

「おいおい、お前の“特別”とアタシらの“特別”を一緒にすんなよ。武学高校ってのは色々ぶっ飛んでるんだろ?」

 

芙蓉さんの追撃で、どうやって逃げたかまで話さないといけない事も悟った俺は、潔く話した方が早いと判断して、説明をする。

 

「人の匂いと火薬の匂いを消すために車の下に潜って、ガソリン被ってコソコソしてただけだよ。隙を見て移動してっていうのを何度も繰り返したのさ。まぁ、結局見つかったけど」

 

あんまり思い出したくないけど、話さないといけない満足しないだろうから、簡単にまとめて話す。

 

「囲まれてどのように生き延びたのか、今後のために教えていただきませんか?」

 

蓮星さんも興味があるようだ。ここのメンツはかなり優秀な人材だから、少しでも知識を蓄えたいのか。

 

「冷静になって気配を感じ取れば、どこから仕掛けてくるかは大体分かるし、あとは難しい事は考えずに本能に任せればいいだけ。あと、経験かな」

 

「経験って、まさか過去にも囲まれた事があるの?」

 

驚きの声を上げたのは沢城さんだけど、言いたいことは皆同じのようだ。

 

「何度かね。詳しくは言えないけど、少数で動かないといけない任務の時に」

 

“少数で動かないといけない任務”というワードに事情を察してか、これ以上の追求は無かったが、皆の俺を見る目が少し変わったように感じられた。

基本的にイクシス相手には少数ではなく、周到な準備と充分な戦力を以て交戦する事が勝利の条件とされている。そんな中で、“少数で動く任務”に従事するということは、並以上の能力が求められる。

さらに言えば、現段階で情報に強い蓮星さんが、最近になるまで俺についてあまり知らなかったということは、情報が漏れてはいけない任務に関わり、誤魔化すために普段は簡単な並以下の任務をこなしていたということまで推測されてしまう。

ある意味俺たちにとって、あの旧市街地での1件は、大きな失態でもあったと言える。

 

「どっちにしろ、囲まれるのは2度とゴメンだけどなー」

 

あの時を思い出して軽く震えが出てしまったが、冷房の効きすぎってことで誤魔化しておいた。実際少し寒いし。

話も一段落ついて、そろそろお開きにしようということになり帰り支度を始めた頃、前から集団か来るのを感じ取り、ふと視線を上げると、

 

「「あ」」

 

美少女に囲まれたシュウと目が合った。

 

「…お前のチーム?」

 

一瞬考え答えにたどり着き、聞いてみる。

 

「あぁ、そうだぞ」

 

「あ、ふーん。そっかー」

 

生返事を返して美少女達に視線を向けるが、なんというか、シュウのチームは初々しく感じるな。

 

「谷岳君、お友達?」

 

シュウの後ろからこちらを見てそう聞いているのは、なんと、指定防衛校の男子学生から圧倒的な人気を集める、西部愛先輩その人だった。

 

「あぁ、こいつは…」

 

シュウが言う前に俺が先手を打つ!

 

「初めまして、私立武学高校2年の望月嵩弥です。シュウとは入学以来からの相棒です」

 

キリッとした声と表情で紹介を済ませる。

すると、西部先輩は「あぁ!」と、合点がいった表情になり、

 

「貴方が谷岳君の相棒の望月君ね。噂は聞いてるわ。初めまして、私立八野辺高校3年の西部愛です。よろしくお願いします」

 

「「あ」」

 

ご存知とは光栄です。と返して話を続けたかったのに、伽鳥先輩と紫ショートが発した声でチャンスを逃してしまった。

 

「そういえば、夏前にこいつらがあんたらに助けられたんだっけな。先輩として礼を言ってなかった。わりぃな」

 

このやり取りを見て世間は狭いなぁと思ったが、内回りなら助けて助けられてって言うのは日常茶飯事なのか?

 

「貴方が谷岳周紀さん?」

 

と、蓮星さんがシュウに声をかけたのを見て、話に意識を移した。

 

「そうですが…、例の噂の件ですか?」

 

ちょっとうんざりした感じの声で先を読んだシュウ。こりゃ西部先輩からもいろいろ聞かれたんだな。

 

「話が早くて助かりますわ。今度お時間がある時に貴方からもぜひお話をお伺いしたいです」

 

チラリとシュウがこちらを見て答える。親指でも立てておくか。

 

「望月が言ったであろうことと大体同じだと思いますけどねぇ…」

 

「情報は多いに越したことはありません。ご本人から直接お伺いしたいのです」

 

ため息をついて言うが、なおも食いついてくる蓮星さん。シュウがちょっと押され気味だ。

 

「まぁ、機会があればいいですよ」

 

諦めたのか、早めに折れたシュウは蓮星さんとその場で連絡先を交換した。この手があったか!

 

「西部先輩、シュウの事で何か聞きたいこたがあればぜひ俺に連絡下さい」

 

気を引き締め改めて西部先輩声をかけると、

 

「へ?あぁ、うん。ありがとう。そうさせてもらうわね」

 

と、困惑気味な対応だったが連絡先の交換に成功した。

 

「なあ、こんな通路の真ん中で立ち話してたら迷惑だし、さっさと行こうぜ。こいつらの邪魔してもわりぃしよ」

 

芙蓉さんが若干不機嫌な声と表情で言い放つと、そのまま会計に行ってしまった。なんやあいつ。

その流れで俺らは会計を済ませて外に出たが、どうも芙蓉さんと西部先輩の学校はライバル意識が強く仲がよろしくないそうだ。うちの学校なんて生徒間でいろいろ派閥が出来て校内で分裂してるのに。

次に、あの紫ショートは『イクシスと仲良くやる方法』を目指しているらしい。その為に強くなるとも。

ゾワりとした。仲良くする?今まで殺し合ってきたヤツらと?シュウは知っているのか?

俺もシュウも、最前線でアイツら殺り合って、沢山殺したし、仲間も何人か殺られてる。

 

(ルーキーにありがちな現実味の無い理想としては、少しばかり離れ過ぎてると思うな)

 

口には出さなかったが、これまでの戦場を思い出し少し殺気立ってしまった。もしかしたら雰囲気でバレたかもしれないが、暑さに苛立ったと誤魔化すしかない。

この時から俺は、シュウのチームは3分の2が1年生というのと、俺らのチームに1年生が誰もいないという事に対する疑念が、少し強まった。

 

 

‡ ‡ ‡

 

 

望月達のチームと入れ違いという形でファミレスに入った俺らは、おしゃべりのお供にドリンクバーと、軽くデザートを注文する流れになったのだが、すんなり決まる俺とは対照的に、女性陣は考える事が多いようである。ここは余計な口出しをしてはイケナイところだ。

先輩が店員を呼んでそれぞれ注文するが、最後に俺がサラっと1人前注文すると、朝戸さんに睨まれた。

 

「男の人は特に気にしなくていいですねぇ……」

 

ジトーっと見てくる朝戸さんだが、

 

「別にいいじゃない、先輩が何を食べても。あなたも好きなように食べればいいのに」

 

「うぅー…、そういう問題じゃないんですよぉ……」

 

豊崎さんの援護射撃で朝戸がダウンした。ナイスキル!

それぞれ飲み物を持ってきたところで、おしゃべりがタイムスタートするのだが、どうもこう、女子校のノリというか女の子同士の会話って入りずらいモノがある。

ていう理由で聞き手に回っていると、白根さんは手榴弾のピンを固定できて、使う時は簡単に千切れるテープを探しているという事だった。

 

「谷岳先輩、何かいいテープ知りませんか?」

 

白根さんが聞いてきた。

 

「いやー、俺テープとか使ってないからなぁ」

 

「「「「「え」」」」」

 

5人の声がキレイにハモって視線が向く。

 

「何かコツがあるんですか!?」

 

朝戸さんが皆の疑問を代弁してくる。

 

「俺が使ってる手榴弾は特製だから……、はっ!」

 

やべぇ!これ言っちゃいけないやつだった!ついうっかりしてた!

冷や汗をかきながら反応を見る。

 

「特製手榴弾ってどういう事?普通と違うの?」

 

先輩が聞いたことないと言いたげに質問してくる。

 

「えぇとー、うちの学校って、ドイツのH&Kがスポンサーなんですけど、その関係でいろいろと…」

 

しどろもどろになりつつそれっぽい事を言う。この話が他に広まったらマジでヤバイ。

 

「あぁ、なるほどね。大手メーカーがスポンサーって凄いわね」

 

「そうでしょう!あ、でも、この話、広めないで貰えますか?本当は言っちゃいけない事なんで」

 

声を潜めて皆に言うが、なんか手遅れな気もする。

 

「企業の新製品は戦争みたいなものですもんね」

 

ある意味1番純粋な豊崎さんが同意して、その場は収まった。危なかったー…。

 

「まぁ、マスキングテープか普通のビニールテープがいいんじゃないか?」

 

話題を元に戻して、例のアレ(下瀬火薬手榴弾)から遠ざける。アレは知らない方が彼女らのためだ。

次の行き先はホームセンターか文具屋だが、朝戸さんはその近くにあるデザート屋で悩んでいるようだ。相当甘い物好きなんだな。俺もだけど。

 

「ちょっと先輩らしい所見せちゃおうかしら。クレープは私がみんなにご馳走するわ」

 

(んん!先輩マジすか!)

 

真っ先に喜びの声を上げた朝戸さんが豊崎さんに怒られるが、任務で稼いでいるからと言ってのける。

先輩がここまで言ってるのにここで大人しくしてたら男が廃る。言ってやるぜ!

 

「そんなこと言ったら外回りだった俺の方が稼いでますよ?」

 

「あら、じゃあ谷岳君の奢りかしら?」

 

先輩の挑戦するような視線を真正面で受け止めて、大きく頷く。

 

「何だったら今日1日は俺の奢りとしましょうか?」

 

言ってやったぜ。1度は言ってみたいセリフ!

 

「先輩流石にそれは…」

 

朝戸さんを叱りつけた豊崎さんが困り顔で言ってくるが、そんな事は関係ない。

 

「俺はあまりあれこれ装備を買わないから、報酬が貯まる一方でね、こういう機会にパーっと使うくらい、なんて事無いさ」

 

ここまで言ってやると誰も文句は言わず、豊崎さんを除く1年生達は一様にキラキラした目で俺を見てた。いやー、いい気分だ。

女神みたいな微笑みを浮かべた先輩が、この後の行動を決めた途端、朝戸さんが手を挙げながら立ち上がり、ホームセンター近くのパンケーキ屋を押してくるが、またしても豊崎さんに怒鳴られる。

その光景が、なんというか、微笑ましくて自然と笑いがこみ上げてきた。

思えば、こんなふうに戦闘に関係ない事で盛り上がったのは本当に久し振りに思える。同じ笑いでも話題と人が違えばこんなにも気分が晴れやかなものになるとは、今まで気づかなかった。

こんな日が続けばいいなと思う反面、それは無理だと囁く直感が、俺の心を揺さぶっていた。




お待たせしましたぁ!早坂でーす!

原作ストーリーの中にオリジナルを組み込むのって結構大変(´-﹏-`;)
ここに組み込んだらこの会話を変えなきゃとか、ここで会話させて後々伏線回収しなきゃとか、原作とにらめっこしながら書き上げました。
不定期と言いながらペースを維持しておかないと、放置状態になりかねないし、他に娯楽もないのでこんな感じで書いていきます。

土曜日にタクシーでほぼ1時間かけて最寄りのガンショップに行ったのに、丁度前日から社員旅行で1週間休業になってて藤原竜也化しかけました。公式サイトしっかり見てなかったぁ…。゚(゚´Д`゚)゚。
東京みたいに、◯◯駅から徒歩△分じゃなくて、◯◯自動車道から車で△分って感じの立地なので、本当に不便で困ります…。東京ガ恋シ…。そもそも電車が走ってなくてモノレールが最低限の観光地まで続いてるくらいなので、せめてモノレール沿いに店を構えて欲しかったですね。(自己中)

次回は戦闘回になります。お楽しみに!

ではまたーノシ
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