東方幻憶変 ~Fantasy of Gaia Memory~ 作:秋塚翔
後、分身を作る事も加えるべきだ。
大妖精「! ……チルノちゃん?」
攻撃を放とうとした大妖精の眼前に現れたのはチルノだった。
先程気絶から起き上がったであろうチルノは大妖精の前に立ち塞がり、両腕を両腰に当てて大妖精を睨み付けていた。
それに気圧されたのか両手で掲げた空気の大槌を霧散させ、驚いた表情で何も言わず怒りを見せるチルノを見ていた。
魔理沙「ア、アイツ……もしかして私を助ける為に飛び出したのか?」
早苗「だとしたら怒りの発端であるチルノちゃんが止めてくれれば大妖精ちゃんは収まる筈です……!」
霊夢「…………」
大妖精同様に事態に驚く三人とチルノが加勢に来たと思った魔理沙と早苗。しかしチルノは息を大きく吸うと───
チルノ「大ちゃんがそんな目立ったらアタイの見せ場が薄くなるでしょうが大ちゃんのバカーッ!」
「「あらっ!?」」ズルッ
霊夢「来た時点で予想してたけど、その通りの台詞だったわね……」
どうやらチルノは大妖精の目立ちぶりに怒り、現れただけな様だ。
そしてそれを聞いた大妖精は今度は泣きそうな顔をした。
大妖精「だ、だってリグル君達もやられてチルノちゃんが気絶しちゃったから私が出ないと駄目だと思って……!」
チルノ「だからって部下がリーダーより目立っちゃダメなの!リーダーを立ててこその部下なんだから!」
まるで子供みたいに拘った価値観で怒るチルノ。それに大妖精は先程までの恐ろしさが削げ、今にも心が折れそうに涙眼でオロオロした。そして……
チルノ「もう!そんな事する大ちゃんなんて嫌いだかんね!」
大妖精「!?」ガーン!
その言葉がトドメとなった。ショックを受けた大妖精の腕からメモリが抜け、元の姿へと戻る。そして大妖精はボロボロと涙を溢してチルノに抱き着いた。
大妖精「ごめんね!ごめんねチルノちゃん!?謝るから私の事を嫌いにならないで……!」ギュッ
チルノ「おうっ?ど、どしたの大ちゃん?いや、嘘だからね?リーダーとして……いや、ダチとしてアタイは大ちゃんを嫌いになんてならないよっ?」
今度はチルノが困惑した表情で自分の肩で泣く大妖精を宥める。過程が過程で無ければ美しい友情劇のシーンだろう。
魔理沙「おいおい、必死こいて戦った結末がこれかよ?(汗)」
早苗「絵面は良いですが……心境的には何とも言えませんね(苦笑)」
霊夢「まぁ何であれメモリは回収できたし、終わり良ければ何とやらって事で納得しましょう」
そう言う霊夢の手には、先程落ちたケツァルコアトルスメモリが握られていた。霊夢の攻撃の影響か、それともチルノの言葉に精神的ダメージを受けたのが原因で抜けたのかは判らないが、兎に角チルノ達のを含めて計五本のメモリを回収し、霊夢達は今度こそ勝利を収めたのであった。
???「あ、あの~……?」コソッ
と、その時すぐ近くの木陰から声が聞こえた。霊夢達が振り向くと、そこには先程逃亡したリグル達が居た。
霊夢「ああ、漸く戻ってきたわね。もう終わったわよ」
ミスティア「す、すみません……全然お役に立てなくて(汗)」
霊夢「別に良いわ。期待してなかったし、あんなのを前にして逃げるのは当然だしね」
リグル「期待してなかったって……本当に盾に使う気でした?」
ルーミア「ガイなのかー(汗)」
ガードベントに使われる自分達の姿を想像するリグル達。そしてこの鬼巫女ならやりかねないと冷や汗を垂らした。
リグル「そ、それはそうと霊夢さん達はガイアメモリを集めてたんですか?」
早苗「はい。この幻想郷にとっては大き過ぎる力で危険な代物なので回収してるんですよ」
ミスティア「じゃあ回収したのなら早くここから離れた方が良いよ」
魔理沙「あぁ?どうしてだ?」
リグル「見た感じ大ちゃんは今チルノちゃんに集中してるけど、じきに霊夢さんに収まらない怒りの矛先を向けますからね。早めに離れるのが利口ですよ」
チラッと明後日の方を見るリグル。そこにはチルノに抱き着いて泣きじゃくる大妖精が居た。
今でこそチルノに目を向けてるが涙が収まれば、未だ晴らせぬ怒りを霊夢達に向ける筈だ。そうなればメモリ未使用とは言え再び大惨事となるだろう。
霊夢「それもそうね。なら言う通り早々に退散させてもらうわ。後はアンタ達に任せる」
魔理沙「もうあの大妖精は勘弁だからな。触らぬ神ならぬ妖精に祟り無しだぜ(苦笑)」
早苗「それじゃあお邪魔しました!あ、組織の名前は個人的にZECTかEXEが良いかと思いm」
霊夢「変な助言良いから行くわよ。早くしなさい緑の巫女」
早苗「緑のヒゲみたく言わないで!?」
リグル「頑張ってくださいね~」
漫才しながら霊夢達は霧の湖を後にした。一行が目指すは最初の目的地に決めた紅魔館である───
「きぃ~っ!悔しい!もう一押しでアタイの壮大で偉大な計画の幕開けになったってのに!」
「惜しかったねチルノちゃん。相手が霊夢さん一人なら倒せたかもしれなかったよ」
(いや、大ちゃん一人で充分三人を倒せる勢いだったけど?)
「やっぱり私達じゃ最強になるのは無理だよ。楯突く相手が悪いもの」
「そうだね……いつもの通り僕達は湖で」
「何言ってんのさ!諦めたらそこでターンエンドだって偉い社長が言ってたでしょうが!」
「それを言うなら試合終了だし社長じゃなくて先生だよ……」
「細けぇ事ぁ良いのよ!リグル達はアタイのダチだ!ダチ同士のアタイ達に出来ない事は無いんだよ!」
「「……!」」
「それにアタイはリグル達は出来ると信じてる!だからリグル達も自分に自信を持ちなよ!」
「……うふふっ、そこまで言われたら言い返せないよ」
「でもそうだね。僕達なら出来ない事なんて無いに等しいよ!何せチルノちゃんがリーダーだもん!」
「良く判ってんじゃない♪んじゃ!改めて誰にも負けない最強の軍団を作り直すよ!」
「「うんっ!」」
「よーし!一致団結したし、アタイ達の戦いはこれからだーッ!」
「「おーーーっ!!」」
「フフフッ♪……あれ?そう言えばルーミアちゃんは何処?」
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「うーん、やっぱりこっちを使った方が良かったかなー?でも何か怖いし、紫の言う通り紫が来るまで持ってよーっと」
ルーミアの手には漆黒に染まるDのメモリが握られていた……