東方幻憶変 ~Fantasy of Gaia Memory~   作:秋塚翔

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今回、戦闘は無く本編と関係無い異界変に影響されたシリアス風味の話となっております。基本流し読みしてください(苦笑)

急展開・展開の早さ注意です。



第五十三話「私の名はE/間違った正義と三番目になる筈だった男」

 

 

 

…………………………

 

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

 

……?

 

 

 

 

 

霊夢「───ん、んんんっ……?」

 

不意に違和感を感じ目覚める霊夢。重い瞼を開いて視界に入った暗い空間を照らす蝋燭を見た霊夢は寝惚けた頭で状況を把握し……そして途端に異常から目を見開かせた。

 

霊夢「んなっ!?何よコレ!」ギチッ

 

驚愕する霊夢。それは無理も無く現状で彼女は暗い小屋らしき場所で拘束されているのだ。縛られた縄で身動きが取れず良く良く見ると同じ縄で諏訪子が捕らわれている。

 

霊夢「ちょっと諏訪子!コレ一体どうなってんのよ!?どうして私達縛られてこんな所に───」

 

諏訪子「きゅ~っ……」ピヨピヨ

 

霊夢「役に立たないわねアンタ!?」

 

しかし話し掛けた諏訪子は気絶しており頭上にヒヨコを回らせていた。青筋を立て現状全く使えない神にキレた霊夢だったがそんな彼女へ諏訪子に代わり説明の声が掛けられる……暗い小屋らしき空間の奥から。

 

??「教えてやろうか?それは俺達がやった事だからさ」スタスタ

 

霊夢「! ……アンタ、誰?」キッ

 

??「怖い目だ。流石は妖怪退治してる化け物巫女なだけあるぜ」ニヤニヤ

 

暗がりから蝋燭の灯りが当たる距離に歩み寄ってきた声の主に霊夢は警戒心を引き上げ睨み付ける。その目付きに現れた眼鏡の青年はおちょくる様にそう言って霊夢の前に立つ。睨む霊夢が良く見ると青年の背後には他にも柄の悪い数人の青年が控えている。

 

??「俺達は里のしがない人間さ。そうでなきゃ幻想郷で妖怪に恐れられる巫女様を捕まえて手籠めにしようだなんて普通なら愚かしい真似ができる筈無いだろう」

 

霊夢「……何が目的?私に惚れたんならまだしもそうじゃないでしょ」

 

??「そんなのは決まってるだろ。この……『妖怪の楽園で人間は餌として扱われる』幻想郷に革命を起こしてやるのさ♪」

 

霊夢「! 何ですって……?」

 

答えた男の言葉に霊夢は一層険しい表情を浮かばせる。そんな反応を示した霊夢に次ぎ男は言葉を続けた。

 

??「本来、幻想郷ってのは妖怪が存在を保つ為の場所らしいじゃないか。そして人間はそんな妖怪の存在を恐怖心や食糧として存続させる為の家畜……それが幻想郷の正体だ。違うか?」

 

霊夢「アンタ何百年前の話をしてんのよ?確かに幻想郷は妖怪の為の楽園だけど先代博麗巫女の代から人間と妖怪が共存できる決まりになってるわ。そんなもの今時古臭い常識よ」

 

??「だが俺達人間は妖怪に恐れながら暮らしてる。しかも紅い館の吸血鬼には食われる人間が選ばれてまるで餌の様に運ばれてるそうじゃないか。そんな巫戯けた人間と妖怪の共存があるかよ」

 

霊夢「あのねぇ……」

 

??「もう良い。所詮妖怪神社の巫女に俺達の事は解らねぇさ……つまりだ!その結局は妖怪の楽園でしかないこの世界を俺達が変えようって訳だよ。その為にアンタにはココで大人しくしててもらうぜ?」ニィ

 

「「「「「」」」」」チャキッ

 

霊夢「! それは、ガイアメモリ……!?」

 

話を遮って男が立つとそれに合わせた様に控えていた男の仲間は皆一様に何かを取り出す。それはガイアメモリ……同じく男もEと記されたメモリを手に握るとほぼ同時に起動された。

 

カチッ

 

 

 

《ナイトメア》!

 

《エイプ》!

 

《トライセラトップス》!

 

《エレファント》!

 

《アームズ》!

 

《アンモナイト》!

 

《ビーン》!

 

《クインビー》!

 

《《《ビー》》》!

 

 

 

??「俺達は幻想郷を変えられるだけの力を手に入れた……この力で俺達が人間の楽園にしてやる!」カチッ

 

《エンパイア》!

 

シュイイイイイィィィンッ!

 

メモリを起動させ記憶を呼び覚ました男達はそれぞれの生体コネクタに挿し入れる。そうして人間の姿から変貌した男達は暗い小屋で計10体の怪人……『ドーパント』となった。

 

エンパイアドーパント「そう、俺達は選ばれたんだ。この人間を虐げる楽園に正義の鉄槌を降す為にな♪」

 

霊夢「……思い上がりも甚だしいわね。未熟な知識と認識に血気が加わるとそうなるのかしら」ジリッ

 

エンパイアドーパント「因みにお前をこうして捕まえられたのはこのナイトメアドーパントを使ったからだ。眠らせてココに運んできたのさ」

 

親切に現状へ至った経緯を教えてくれた男改めエンパイアドーパント。灯りが少ない場で各々異なる地球の記憶を内包するガイアメモリにて変身したドーパントが群がり縛られた巫女と神を見やる中で男の変じたそのドーパントは嫌に異彩を放っていた。

怪人と言うより仮面ライダーに似ている騎士じみた銀の体躯に胸には多彩……正確には26色のステンドグラスの様な模様がなされ同様に色とりどりな髪が背へ伸びる頭部の目は緑色のアルファベットが順不同にデジタル表示で流れている。そんな『帝国』の記憶に適した姿のエンパイアドーパントは引き続き酔ったかの様に話を続けた。

 

エンパイアドーパント「これを正義と呼ばずして何て言う?人間の平和の為に妖怪共を叩き潰す……それはこの鈴奈庵で借りた本に描かれている『仮面ライダー』そのものと言えないか?そう、つまり俺達は妖怪を根絶やしにして幻想郷の仮面ライダーになるんだ!」

 

霊夢「仮面ライダーは正義の味方としか知らないけど……取り敢えずアンタみたいのがその正義の味方ならこの今気絶してる神様や早苗は好きにならないでしょうよ。大体アンタみたいのはテロリストって言うし」

 

エンパイアドーパント「フッ、確かに今でこそテロリストだろうが俺達はじきに英雄として崇め奉られるだろう。だって人間の為にやってるんだから俺達は正義なんだしな」

 

最早自分のやっている事を疑わないと言わんばかりにドーパントとしての顔を不敵に笑む形で歪ませるエンパイア。そんな怪人に霊夢は呆れを含ませた険しい目付きで説く。

 

霊夢「やめておいた方が身の為よ。人間が一つ二つ力を得た位で並の妖怪に敵っても並以上の奴には敵わない……それにそんな動きを見せたら幻想郷の管理者が黙ってないわよ」

 

エンパイアドーパント「それを解ってない俺達じゃない。確かに幻想郷縁起にある八雲紫やレミリア・スカーレットは一つや二つの力じゃ太刀打ちできないな……そう、一つや二つ程度の力しか使えないならよ」チャキッ

 

霊夢「! 私のメモリ……?」

 

拘束されてる以上は取り上げられてると思っていたが今このタイミングで戦闘用に使っていたサイクロンとメタル、更にはエターナルメモリを見せ付けてきた事に霊夢は訝しむ。ドーパントの顔でニヤけるエンパイアは右手に持つソレらの起動ボタンを押す。

 

《サイクロン》!

 

《メタル》!

 

《エターナル》!

 

エンパイアドーパント「フッ」シュイイイイインッ!

 

霊夢「!?」

 

『疾風』『闘士』『永遠』の記憶が呼び覚まされエンパイアはソレらを胸にある鮮やかな装甲に挿し込む。本来所有者にしか使えない筈のメモリがエンパイアの体内に飲み込まれていくのに霊夢は驚く……しかしメモリが取り込まれた後にまたも驚く事を目の当たりにする。

 

エンパイアドーパント「ハッ!」グッ!

 

ヒュオオオオオッ!

 

霊夢「なっ!?そ、それって……!」

 

エンパイアドーパント「驚いたか?これこそが俺と運命に結ばれたエンパイアの能力。取り込んだメモリの力を我が物にする『帝国』の力さ!」ジャキッ!

 

徐に拳を作ったエンパイアのその拳は鋼鉄に変化し同時に閉鎖された小屋で風が発生する。それは正しくエンパイアが取り込んだメモリの有する能力……自慢気に説明しながらエンパイアは更にエターナルエッジを具現し弄んだ。そうしつつ説明は続く。

 

エンパイアドーパント「更にこのエンパイアはメモリを自在に支配ができる!お前が持っていたメモリをドーパントにして操る事も可能……つまり!俺はこの『メモリの王』足り得る力で幻想郷の王になれるんだよ!あらゆる妖怪を叩き潰してな♪」

 

霊夢「っ……!」

 

大袈裟に手振りしエンパイアは顔を歪めて笑む。口振りかさして3本だけに留まらず複数本……もしかしたら現在幻想郷に存在するメモリ全てすら支配できるのだろう『帝国』の記憶を内包したメモリを挿すエンパイアドーパントに霊夢は言葉を詰まらせる。少なくともそんな能力を持つ幻想郷を潰さんとする者が動けば被害が出るだろう……それを危惧して何とかこの状況を脱し制圧しようと思案する霊夢を見てエンパイアは話を切り替えた。

 

エンパイアドーパント「と、言う訳でだ。その第一歩としてまずは巫女様に人里で降伏宣言してもらおうか?そうすれば分からず屋の大人達は天下の博麗巫女が屈して俺達に従ってくれる筈だ」

 

霊夢「そんな事すると思う?生憎だけど痛め付けられても断るわ」

 

エンパイアドーパント「だろうな。妖怪退治してる化け物巫女様は殴られた位で屈しないだろう……巫女としてでは無く『女』として扱わないとなァ♪」

 

霊夢「はぁ?何言って……ッ!?」

 

「「「「「ヘヘヘヘヘッ」」」」」ニタニタ

 

問おうとする霊夢だったがエンパイアの背後に控えるドーパント達の下卑た笑みを浮かべながら歩み寄ってくる様に勘が働き意味を理解する。言葉の通りドーパント達は霊夢を巫女としてで無く『女』として屈服させるつもりらしい───

 

つまり辱しめる気だ。本来の姿は血気の盛んな若い男共である怪人達が縛られる巫女へ迫る……そして魔の手が巫女たる少女の体躯目掛けて伸びた。

 

が、その時!

 

 

 

ファング「ギャーオッ!」シュバアッ!

 

 

 

ガブゥッ!

 

エレファントドーパント「うぐあぁっ!?」

 

霊夢「……!ファング!?」

 

そこへ霊夢の背後から飛び出してきた白い小さな何か。それはファングで迫ってきたエレファントドーパントに噛み付いて一同を混乱させる。主を守ろうとファングはエレファントの鼻っ面に牙を立て痛がる『象』の記憶を持つ怪人はファングを叩き落とした。

 

スタッ

ファング「ギャーオッ♪」タタタッ!

 

霊夢「ファング!貴方、無事だったの?」

 

ファング「ギャーオッ!」ウシロウシロ

 

霊夢「? 私の後ろ?……!ジョーカーメモリ!?」

 

ファング「ギャーオッ!」スパッ!

 

助けに現れたファングは身振りで霊夢の背後を指差す。霊夢が目をやるとそこにはジョーカーメモリがあり続いてファングは尻尾で霊夢と諏訪子を縛る縄を切断し2人を自由に、立ち上がる霊夢はジョーカーメモリを拾うとファングに笑顔を向けた。

 

霊夢「有り難う。助かったわ♪」

 

ファング「ギャウッ!」フリフリ

 

その笑顔に喜ぶ身振りで尻尾を振るうファング。一方でそんなファングにエンパイアは表情を怒りに歪めて一歩前に出た。

 

エンパイアドーパント「チッ、この野郎!正義の第一歩に邪魔を入れるな道具の分際でぇッ!」バッ!

 

霊夢「!? ファング!避け───」

 

怒った様子のエンパイアは手に疾風を纏わせて霊夢もろともファングを吹き飛ばそうと腕を突き出す。それに霊夢はファングを助けようと声を上げる。

 

瞬間、まるで時が止まったかの様に次の音が霊夢の耳へ入った。

 

 

 

ダンッ!と言う頭上から天井の梁を蹴った音───

 

「うおおおらァッ!」と言う上方から降ってくる男の怒声───

 

視界に入るエンパイアと自らの間へ割り込む黒い何者かの着地音───

 

 

 

そして、

 

ドガアアアアアンッ!

 

エンパイアドーパント「うぐあァッ!?」ズドカァッ!

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

小狭い小屋をつんざく爆発音───打撃音に続いて起きた小さな爆発は暗がりを一瞬照らして同時に霊夢達へ攻撃しようとしたエンパイアは爆風で吹き飛んだ。他のドーパントを巻き込んでエンパイアは小屋の外に追い出され霊夢が唖然としているのを余所に眼前に立つ黒いライダースーツの何者かは悠然と吹き飛ばしたドーパント達へ距離を詰めていく。

 

ザッザッザッ───

 

エンパイアドーパント「グウウウッ……!だ、誰だお前は!?」

 

?「仮面ライダー」ザッ

 

霊夢「っ?仮面、ライダー……?」

 

諏訪子「んあっ?仮面ライダーだって?」ムクリ

 

その端的な名乗りに諏訪子も目覚めて一同がざわつく。太陽の照る森に出て全貌が露になった髑髏の描かれるヘルメットを被った黒いライダースーツの男に問い掛けようとする霊夢だったが別の声が霊夢に掛けられた。

 

??「大丈夫か霊夢!」

 

??「霊夢さん!」

 

霊夢「! 慧音先生……それに、小鈴ちゃん?」

 

声を掛けながらやって来たのは灯籠の様な帽子を頭に乗せる里の教師たる上白沢慧音と鈴のヘアゴムで髪を短くツインテールにする貸本屋『鈴奈庵』の看板娘たる本居小鈴。木々の生い茂るこの場にそぐわないイメージを持つ彼女達が現れて霊夢が驚く一方でライダースーツの男はヘルメットを取りエンパイアに自身の素顔を露にした。

 

?「───よう悪ガキ共。最近妙な動きをしてるから見張ってたら悪党じみた事を企んでやがって……おイタが過ぎるぜ?」

 

エンパイアドーパント「んなっ!?お前は、確か最近幻想入りしてきた……"滝和也"!」

 

滝「覚えててくれてどうも。ついでに覚えときな?平和を乱す悪ガキは懲らしめられるって事をよ」ゴキゴキ

 

滝和也、と呼ばれた男は拳を鳴らして怒りを孕む笑みを浮かばす。そんな彼の隣へ霊夢は並び立つとメモリを構えながら話し掛ける。

 

霊夢「アンタ何者?仮面ライダーなんて名乗ってたけど……」

 

滝「何、里で自警団として働いてるしがない外来人さ。ちょいと仮面ライダーに縁があるな……アンタが博麗の巫女さんか?助太刀させてくれ」

 

霊夢「構わないけど、足を引っ張るなら下がっててもらうわよ?」

 

滝「腕には自信があんぜ♪少なくとも悪ガキ共を小突く位、世界の平和を脅かしてきた組織を相手にしている時と比べたら訳無ぇ」パシッ!

 

霊夢「……なら手伝って。里の平和を乱す奴は懲らしめないとね」カチッ

 

《ジョーカー》!

 

拳で反対の掌を叩き意気込む滝に霊夢は要望に応じて同時にメモリを起動させる。それをコネクタに挿して紅白巫女から黒巫女に変じると霊夢は身構えた。

 

「「「「「ッ……!」」」」」ジリッ

 

そんな束縛から解放された幻想郷最強の一角たる博麗の巫女にドーパント達は警戒し身構えた。こうして慧音と小鈴、諏訪子を背後に置く霊夢と滝……博麗の巫女と仮面ライダー原初の相棒はエンパイアの企みを阻むべく戦いを挑んだ───




仮面ライダー3号になる筈であった滝ライダーこと滝和也登場。
V3の案が採用されなかったら今でこそ幻である3号として歴史に刻まれてた滝さん。スーパーヒーロー大戦GPが放映されるこのタイミングで登場させられて良かった♪
因みにキャラは格好から判る通りのSPIRIT版です。あの人の格好良さは主人公好きである私が不覚にも惚れてしまう程ですね。

エンパイアドーパントは応募したメモリで無くオリジナルの怪人です。メモリを操るドーパントでありガイアメモリと言う『帝国』を支配できる能力なんですが……それで気付いた方は内密に願います。何がって?それは言えませんなぁ(苦笑)

エンパイアとその他ドーパントに変身した里の青年達は所謂『未熟な知識と認識を持った子供』と言った面子です。例えば戦争の醜い部分だけを教えられた子供は戦争が無くなれば世界は平和になる、と考えますよね?でも大人になると戦争には利益があり寧ろ戦争に肯定的な者が出てきます……彼らはそんな未熟な知識と認識で幻想郷の内面を悪と捉えて作り替えようとした人間そのものたる体現なんです。未熟なまま大人になって悪党じみたと言った感じですけどね。

だけどムカついたのならコメントでどうかボコってください。正直自分で書いといて幻想郷を貶してる奴には殺意が湧きます♪(怒)

次回は戦闘あり。何故慧音は兎も角小鈴が居るのかはその時に。
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