以前の1話を修正しました。
あとがきにて、今回の主要登場人物紹介を掲載しています。
感想よろしくお願いします!!
―デュエルアカデミア―
多くの決闘者(デュエリスト)を育成し、多くのプロデュエリストを輩出している、デュエリスト専門のスクール。
入学式を間近に控えた夏、毎年恒例の外部からの入学試験が行われる。そして、今年も多数の受験生が現れ、秋からの入学が認められていった。
そして此処にも、入学試験を受験しに来た一人の少女がいた。
「もうすぐ私の番だ……」
観客席で一人の茶髪の少女がそう呟く。
彼女の名前は『遊城千代』
このデュエルアカデミアの卒業生である『遊城十代』を父に持ち、さらには彼のデュエルセンスを受け継いだ少女である。
彼女もこのデュエルアカデミアの入学試験を受験し、ペーパーテストでは中々の結果を残して、この実技試験に参加している。
「ダメ……緊張してきた……」
試験でもっとも重要なのがこの実技試験である。この試験が合否を左右すると言っても過言ではない。それゆえに千代はガチガチに緊張していた。そこへ……
「ち~よ!何してんのっ?」
「ひゃっ!?ク、クリスちゃん!?」
突然千代の後ろから抱き着いてきたのは、エメラルド色の髪を膝あたりまで伸ばした少女。
彼女は『クリス・アンデルセン』
現在は既に引退しているが、プロリーグで活躍したプロデュエリスト『ヨハン・アンデルセン』の娘である。
彼の父親であるヨハンと千代の父親である十代は交流があったため、必然的に千代とクリスも小さい頃のからの親友で、幼馴染みである。
「千代。緊張してるの?」
「う、うん…まぁね……」
「あはは!相変わらずの緊張しいだね千代は!」
「笑わないでよぅ……そう言うクリスちゃんは?」
「ボク?ボクは全然!だって自信あるし~♪」
「うぅ……そうだよね、クリスちゃん強いし……」
「千代だって強いんだから、自信持てばいいのに~」
「そんな事言っても~」
千代とクリスがそんな会話をしていると……
『次っ!受験番号025番の生徒はデュエル準備を!!』
「あ…私だっ!」
「頑張って千代!千代なら絶対大丈夫だから、自信持ってね!」
「う…うん!ありがとうクリスちゃん!行って来るね!!」
「いってらっしゃ~い!」
クリスに送り出され、千代は急いでデュエルスペースへと向かった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
一方その頃……試験会場の入り口では……
「やっべぇ!遅刻したぁ!」
一人の少年がそう叫びながら、必死の顔つきでダッシュで走っていた。
「くそっ!こんな大事な試験を寝坊なんて理由で落ちてたまるかよ!!」
少年が叫びながら曲がり角を曲がろうとすると……
ドンッ!
「きゃっ!」
「うおっと」
少年は誰かとぶつかり、少年は少々よろけただけだが、ぶつかった人は尻餅をついていた。
「す、すまん!大丈夫か!?」
少年はすぐにぶつかってしまった少女……千代に手を差し伸べる。
「あ、はい。大丈夫です」
そう答えながら、千代は少年の手を借りて起き上がる。
「……君、受験生か?」
「はい?そうですけど」
「ちょうど良かった!今どの位まで進んでる!?」
「え?えっと……私今から試験で、番号は025です……」
それを聞くと少年は安心した表情を見せる。
「よかったぁ。俺の番号は028だから、ギリギリセーフだな!」
「え、えっと……」
「あぁゴメン、君今から試験だったな。悪いな、引き止めて」
「いえ、大丈夫です。それでは……」
千代は小さくお辞儀をすると、小走りでデュエルスペースに向かった。
少年がその姿を見送っていると、少年の隣に黒髪の少年が半透明の姿で現れた。
『レイジ……あの少女は……』
「あぁ……感じるぜ、精霊の力を……あの子もただのデュエリストじゃなさそうだ。ははっ…やっぱり面白い学校だな。デュエルアカデミア」
少年はそう呟くと、ゆっくりと歩いて行った。
◆◇◆◇◆◇◆◇
その頃、実技試験の試験管専用の観客席では……
「今年はレベルが高いノーネ」
奇妙な喋り方をするこの男性が、生徒の記録が書かれた資料に目を通していた。
この男性は『クロノス・デ・メディチ』
デュエルアカデミアの校長を勤めている男である。本来ならここに来るはずがないのだが、この校長は何故か毎年直々に試験を見に来るのだ。
「さて、次の受験者は……ン~?遊城…千代……まさか!」
そう呟くと、突然クロノスは席を立ち、愛用のデュエルディスクと自分のデッキを手にデュエルスペースに向かおうとする。
「クロノス校長、どちらへ?」
そんなクロノスを、一人の試験官が呼び止める。
「次の受験者は、ワタシが直々に相手をするノーネ!」
「えっ!?遊城千代のですか?そ、それならこちらの試験用のデッキを……」
「必要無いノーネ。ワタシの勘デーハ、彼女にそのデッキは通用しないノーネ」
「は…はぁ……」
呆然とする試験管をその場に置いて、クロノスはデュエルスペースへと向かって行った。
◆◇◆◇◆◇◆◇
そして数分後、デュエルスペースでは千代が最後のデッキ調整を行なっている。
「これで……よしっと」
そう言ってデッキ調整を終える千代。すると……
『クリクリ~』
千代のデッキから、不思議な声が聞こえた。
「ハネクリボー……」
千代はデッキから『ハネクリボー』のカードを取り出して見つめた。すると、カードから半透明のハネクリボーが現れた。
『クリ!クリクリ~!』
ハネクリボーは千代を励ます様に飛び回る。
「ハネクリボー……わかってる、負けないよ!」
千代が笑顔を浮かべてそう言うと、ハネクリボーは安心したようにカードに戻った。
「待たせたノーネ」
それと同時に、クロノスが千代の前に立った。
「えっと、遊城千代です。よろしくお願いします!」
千代はクロノスにペコリとお辞儀をする。
「ワタシはデュエルアカデミ~ア校長『クロノス・デ・メディチ』なノーネ」
「こ、校長先生!!?」
相手が校長だと言う事を聞き、当然千代は驚く。
「ど、どうして校長先生が……」
「君はもしや『遊城十代』の娘さんなノーネ?」
「え?お父さんを知っているんですか?」
クロノスの口から出てきた父の名前に、千代は首を傾げる。
「やっぱりなノーネ、どことなく彼に似ているノーネ」
懐かしそうに目を細め、しみじみと言うクロノス。
「彼はここの卒業生で、ワタシの大事な教え子なノーネ」
「そうだったんですか……」
「これも何かの縁なノーネ。彼の入学試験の時ワタシが相手をした時と同様、君の相手もワタシがするノーネ!」
「は…はい!よろしくお願いします!校長先生!」
そう言って千代はもう一度お辞儀をした後、デュエルディスクを構える。
「礼儀は君の方が正しいノーネ」
そう言ってクロノスもディスクを作動させる。
「「デュエル!!」」
先攻:遊城千代
後攻:クロノス・デ・メディチ
◆◇◆◇◆◇◆◇
「私の先攻…ドロー!私は『E・HEROスパークマン』を召喚します!」
E・HEROスパークマン
ATK:1600
「カードを一枚セットして、ターンエンドです」
千代
LP:4000
スパークマン(ATK:1600)
伏せカード:一枚
手札:四枚
「やは~り、シニョーラもヒーロー使いなノーネ」
「はい、このデッキはお父さんからもらったんです。それを私なりに改良したデッキです」
「なるほ~ど、多少は改良したデッキな~ら、油断は出来ないノーネ。ワタクシのターン、ドロー!いでよ『古代の機械騎士』」
古代の機械騎士
ATK:1800
「古代の機械騎士でスパークマンを攻撃なノーネ!」
古代の機械騎士の槍がスパークマンを貫いた。
千代
LP:4000→3800
「うっ…この瞬間リバースカード発動『ヒーロー逆襲』自分の場のE・HEROが戦闘で破壊された時、相手は私の手札からカードを一枚選び、それがE・HEROだった場合、私の場に特殊召喚します!さぁ選んで下さい!」
千代はクロノスに向かって手札を差し出す。
「……右から二番目なノーネ!」
「……やった!『E・HEROエアーマン』を召喚!」
E・HEROエアーマン
LV:4
ATK:1800
「さらに、この効果で召喚に成功した時、相手モンスター一体を破壊します!」
千代がそう言うと、エアーマンの波動を受けて、古代の機械騎士は音を立てて崩れ落ちた。
「そしてエアーマンの効果を発動します!このカードの召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから『HERO』と名の付くモンスター一体を手札に加えます。私は『E・HEROバブルマン』を手札に加えます」
「ムム……なるほ~ど、運も父親譲りなノーネ。カードを一枚セットして、ターンエンドなノーネ」
クロノス
LP:4000
モンスター:無し
伏せカード:一枚
手札:四枚
「私のターン、ドロー!魔法カード『HERO`Sボンド』を発動します!私の場にHEROと名の付くモンスターが存在する時、手札からレベル4以下のE・HERO二体を特殊召喚します!来て『E・HEROフェザーマン』『E・HEROバーストレディ』!!」
E・HEROフェザーマン
LV:3
ATK:1000
E・HEROバーストレディ
LV:3
ATK:1200
「全員で総攻撃です!」
千代のヒーロー達がクロノスに向かっていく。しかし……
「詰めが甘いノーネ!罠カード発動『聖なるバリア―ミラーフォース』!!」
「っ……そんな!?」
クロノスの前に現れた透明なバリアが、ヒーロー達の攻撃が跳ね返し、千代のヒーローを全滅させた。
「うぅ…『E・HEROクレイマン』を守備表示で召喚です」
E・HEROクレイマン
LV:4
DEF:2000
「ターンエンドです」
千代
LP:3800
クレイマン(DEF:2000)
伏せカード:無し
手札:一枚
「ではワタクシのターン、ドロー!魔法カード『磁力の召喚陣LV2』を発動なノーネ。手札からレベル2以下の機械族モンスターを一体特殊召喚するノーネ。『古代の歯車』を召喚なノーネ」
古代の歯車
LV:2
ATK:100
「さらに古代の歯車の効果で手札からもう一体特殊召喚するノーネ!」
古代の歯車
LV:2
ATK:100
「そして、この二体をリリースして『古代の機械巨人』をアドバンス召喚するノーネ!」
古代の機械巨人
LV:8
ATK:3000
「古代の機械巨人でクレイマンを攻撃なノーネ!アルティメットパウンド!!」
古代の機械巨人の拳がクレイマンをたたきつぶした。
「古代の機械巨人は貫通能力を持っているノーネ!」
「キャァァア!」
千代
LP:3800→2800
「ターンエンドなノーネ!」
クロノス
LP:4000
古代の機械巨人(ATK:3000)
伏せカード:無し
手札:一枚
「私のターン、ドロー!魔法カード『おろかな埋葬』を発動します。その効果により、デッキから『E・HEROネクロ・ダークマン』を墓地へと送ります」
千代はデッキからカードを抜き出し、墓地へと置いた。
「そして手札から『E・HEROバブルマン』を守備表示で特殊召喚します!このカードは、このカード以外のカードが自分のフィールドと手札に存在しない場合、特殊召喚できます」
E・HEROバブルマン
LV:4
DEF:1200
「さらにバブルマンの特殊召喚に成功した時、このカード以外のカードが私のフィールドと手札に存在しない時、デッキからカードを二枚ドローします!」
新たにデッキからドローしたカードを見て、千代は「よしっ…」と小さく呟く。
「魔法カード『ホープ・オブ・フィフス』を発動します!墓地に存在する5体のE・HEROをデッキに戻して、シャッフル。その後、カードを二枚ドローします。フェザーマン、スパークマン、エアーマン、クレイマン、バーストレディの五枚をデッキに戻して、カードを二枚ドロー!」
千代はさらに二枚のカードをデッキからカードをドローする。
「墓地に存在するネクロ・ダークマンの効果を発動します!一度だけE・HEROを召喚する時、リリース無しで召喚出来ます!私は『E・HEROエッジマン』を召喚!」
「カードを一枚セットして、ターンエンドです」
千代
LP:2800
バブルマン(DEF:1200)
エッジマン(ATK:2600)
伏せカード:一枚
手札:一枚
「ワタクシのターン、ドロー!古代の機械巨人でバブルマンを攻撃なノーネ!アルティメットパウンド!!」
古代の機械巨人の拳がバブルマンを叩き潰す。
「うっ…くぅ……!!」
千代
LP:2800→1000
「ワタシはカードをセットして、ターンエンドなノーネ!(さぁ、この状況をどう切り抜けるノーネ)」
クロノス
LP:4000
古代の機械巨人(ATK:3000)
伏せカード:一枚
手札:一枚
「私のターン…ドロー!リバースカード『無謀な欲張り』を発動します。デッキからカードを二枚ドローする代わりに、その後の自分のドローフェイズを2回スキップします。カードドロー!」
千代は新たにデッキからカードをドローする。そしてそのカード見た瞬間、「来たっ…」と小さく呟いた。
「私は魔法カード『融合』を発動します!!」
「やはり……遊城十代の意思を受け継いでいるノーネ……」
千代が発動したカードを見て、クロノスは目を細めてそう呟く。
「手札の『E・HEROオーシャン』と『E・HEROフォレストマン』を融合!!」
千代の場に二体のヒーローが現れ、その二体はそのまま上空に出現した渦の中へと飛び込んでいった。
「来て…私のフェイバリットカード!『E・HEROジ・アース』!!!」
E・HEROジ・アース
LV:8
ATK:2500
「ジ・アースのモンスター効果を発動します!自分のフィールド上に存在する『E・HERO』と名のついたモンスター1体をリリースする事で、ジ・アースの攻撃力はこのターンのエンドフェイズ時まで、リリースしたモンスターの攻撃力分アップします!私はエッジマンをリリース!!」
エッジマンの姿が消えると、ジ・アースの白い身体が真っ赤に染まっていく。
E・HEROジ・アース
ATK:2500→5100
「攻撃力5100なノーネ!!?」
古代の機械巨人を遥かに上回る攻撃力に、クロノスは驚愕する。
「ジ・アースで古代の機械巨人に攻撃します!アース・インパクト!!!」
「しかーし!やはり詰めが甘いノーネ!罠カード『パワー・フレーム』を発動なノーネ!相手モンスター1体の攻撃を無効にし、このカードを攻撃対象モンスターに装備するノーネ!そして装備されたモンスターは、その時の攻撃モンスターとの攻撃力の数値分、攻撃力をアップさせるノーネ!」
古代の機械巨人
ATK:3000→5100
ジ・アースの攻撃は不発に終わり、さらに古代の機械巨人の攻撃力がアップしてしまった。
「残念だったノーネ」
「……いいえ」
クロノスの言葉に、千代は首を横に振る。
「分かっていました!校長先生なら、ここで攻撃を無効にするカードを発動するって!」
「なんですーと!!?」
「攻撃を無効にされた事により、手札からこのカードを発動させます!速攻魔法『ダブル・アップ・チャンス』!!」
「ダブル・アップ・チャンスですーと!!?」
「このカードはモンスターの攻撃が無効になった時、そのモンスター1体を選択して発動できるカードです。このバトルフェイズ中、選択したモンスターはもう1度だけ攻撃する事ができます!ジ・アースで、古代の機械巨人に二回目の攻撃!!アース・インパクト!!!」
「相打ちなノーネ!」
「いいえ!このカードの効果でもう一度攻撃したモンスターはダメージステップの間攻撃力が倍になります!!」
E・HEROジ・アース
ATK:5100→10200
ジ・アースが放った二回目の攻撃は、今度こそ古代の機械巨人を破壊した
「マンマミーアーーー!!!」
クロノス
LP:4000→0
―勝者―
遊城千代
◆◇◆◇◆◇◆◇
「見事なノーネ!君は文句なしの合格なノーネ」
デュエルが終了し、クロノスは拍手をしながら千代に歩み寄る。
「ありがとうございました!」
そんなクロノスに対し、千代は深く頭を下げる。
「楽しいデュエルだったノーネ」
そう言って千代に向かって手を差し出すクロノス。
「……はい!」
そして千代はその手を握り、クロノスと握手をしたのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「はぁぁあ……。良かった、勝てたぁ」
「あはは。お疲れ様」
千代は試験が終わり、クリスと共に観覧席で一息ついていた。クリスの表情を見る限り彼女も勝ったのだろう。
「それにしても、やっぱり千代は凄いね!アカデミアの校長先生に勝っちゃったんだからさ!」
「うん……だけどあの時は『無謀な欲張り』でたまたま『融合』が手札に来ただけだから……それに、校長先生があの時、攻撃を無効化するカードを発動するかどうかは、本当に賭けだったし……」
「それでも!千代はその賭けに勝って、尚且つデュエルにも勝った!それでいーじゃん!ね♪」
「……うん、ありがとうクリスちゃん!」
千代とクリスが観客席でそんな会話をしていると……
『次っ!受験番号025番、神谷玲路!』
会場に試験官の声が響き渡る。
「はいっ!」
それに答えるように少年の声が響く。
「あ、あの人……」
「?千代、知ってる人?」
「うん。ちょっとね」
その少年とは、千代が試験前にぶつかった少年だった。
「よろしくお願いします」
そう言って少年…『神谷玲路』はデュエルディスクを構える。
「ああ。全力でぶつかってきなさい!」
試験官の男もそう言ってディスクを構える。
「「デュエル!!」」
先攻
神谷玲路
LP:4000
後攻
試験官
LP:4000
◆◇◆◇◆◇◆◇
「俺の先攻、ドロー!モンスターをセット、そしてカードを3枚セットして、ターンエンドだ」
レイジ
LP:4000
セットモンスター1体
伏せカード:2枚
手札:3枚
「私のターン、ドロー!私は魔法カード『コストダウン』を発動!手札を1枚捨てることにより、私の手札のモンスターは全てレベルが2つ下がる。そして手札からレベル5の『守護者スフィンクス』を召喚!」
守護者スフィンクス
LV:5
ATK:1700
「守護者スフィンクスでセットモンスターを攻撃!」
試験管が攻撃宣言すると、守護者スフィンクスはセットモンスターを踏み潰した。
「破壊された『キラートマト』の効果発動!このモンスターが戦闘で破壊された時、デッキから攻撃力1500以下の闇属性モンスターを攻撃表示で特殊召喚する!俺が召喚するのは……『闇霊使いダルク』!!」
闇霊使いダルク
LV:3
ATK;500
「ならば私はメインフェイズ2で守護者スフィンクスをリリースし、手札から『守護神エクゾード』を守備表示で特殊召喚する」
フィールドから守護者スフィンクスの姿が消えると、新たなモンスターが現れる。
守護神エクゾード
LV:8
DEF:4000
「1ターン目でレベル8のモンスターを……」
「守護神エクゾードはフィールドの『スフィンクス』名のついたモンスターをリリースする事で特殊召喚できるのだ!私はカードを1枚セットして、ターン終了だ」
試験官
LP:4000
守護神エクゾード(DEF:4000)
伏せカード:1枚
手札:1枚
「なるほど。ガッチガチの守備デッキか。俺のターン、ドロー!」
カードをドローしたレイジは、自分の手札を眺めると、ニッと口元に笑みを浮かべる。
「(この手札なら……いける!)」
そう考えたレイジはさっそくカードをディスクにセットする。
「俺は魔法カード『闇の誘惑』を発動!デッキからカードを2枚ドローし、その後手札から闇属性モンスター1体をゲームから除外する」
レイジはデッキからカードを2枚ドローすると、手札からカードを1枚抜き取り、ポケットに仕舞った。
「リバースカードオープン!永続罠『闇次元の解放』!ゲームから除外されている闇属性モンスターを特殊召喚する!俺はさっきゲームから除外した『D(ダーク)・ナポレオン』を召喚!」
D・ナポレオン
LV:2
ATK:800
「攻撃力800の通常モンスターを特殊召喚?何をする気だ?」
レイジの行動の真意がわからず、首を傾げる試験管。
「こうするのさ!フィールドの闇霊使いダルクとD・ナポレオンを墓地へ送り、デッキから『憑依装着―ダルク』を特殊召喚!!」
憑依装着―ダルク
LV:4
ATK:1850
「そしてダルクの効果発動!この効果で特殊召喚に成功した時、デッキからレベル3またはレベル4の光属性魔法使い族を手札に加える事ができる。俺はこの効果で『光霊使いライナ』を手札に加える。ま、今回コイツは使わないんだけどな」
そう言いながら、レイジはデッキからカードを1枚抜き取って手札に加える。
「俺はさらに手札から『憑依装着―ヒータ』を通常召喚!」
憑依装着―ヒータ
LV:4
ATK:1850
「今回はお前らが主役だ!頼んだぜダルク、ヒータ!」
『あぁ……』
『おうよっ!』
レイジの言葉にダルクは静かに頷き、ヒータはやる気満々な様子で答える。
「俺はさらに装備魔法『団結の力』をダルクに装備!俺のフィールドに存在するモンスター1体につき、ダルクの攻守を800ポイントアップさせる!俺の場にはダルク自身とヒータで2体……よって1600ポイントアップする!」
憑依装着―ダルク
ATK:1850→3450
「だがそれでも、守備力4000のエクゾードには届かない!」
「慌てんなよ先生……俺はリバースカード『ライジングエナジー』発動!手札を1枚捨て、このターンのエンドフェイズ時まで、フィールド上に存在するモンスター1体の攻撃力は1500ポイントアップする。俺はこの効果で、ダルクの攻撃力をさらにアップさせる!」
憑依装着―ダルク
ATK:3450→4950
「攻撃力4950!!?」
「まだだ!この効果で墓地へ送った『ダンディライオン』の効果発動!このカードが墓地へ送られた時、俺のフィールド上に『綿毛トークン』2体を守備表示で特殊召喚する!」
綿毛トークン×2
LV:1
DEF:0
「そして俺のフィールドにモンスターが増えた事により、団結の力の効果で、ダルクの攻撃力は更に1600ポイントアップ」
憑依装着―ダルク
ATK:4950→6550
「こ…攻撃力…6550……!」
「行くぜ!ダルクで守護神エクゾードを攻撃!」
「リバースカード発動『炸裂装甲』!攻撃モンスターを破壊する!」
「野暮なマネは無しだぜ、先生!カウンター罠発動!『トラップ・ジャマー』!バトルフェイズ中に発動された罠カードの発動を無効にし、破壊する!」
「なに!?」
「よって攻撃は有効!!ダルクの攻撃……」
『ダークネス・ロンド!!!』
ダルクが持っている杖から放った強大な闇の魔法が、エクゾードを粉々に粉砕した。
「そうそう…言い忘れてたけど、自身の効果で特殊召喚されたダルクが守備モンスターを攻撃した時、その守備力を超えていればその数値分、相手に貫通ダメージを与える」
「な、なにっ!?うわぁぁああ!!!」
粉々になったエクゾードの瓦礫が試験管に襲い掛かる。
試験管
LP:4000→1450
「トドメだ!ヒータでダイレクトアタック!!」
『プロミネンス・フレア!!!』
「ぐあぁぁぁあああああ!!!!」
ヒータの炎の魔法が、試験管を襲った。
試験管
LP:1450→0
―勝者―
神谷玲路
◆◇◆◇◆◇◆◇
試験官が相手にも関わらず、圧倒的な力を見せ付けたレイジは、すぐさま観客達の注目の的となった。
「うわぁ~試験官相手にあんなあっさり勝っちゃうなんて……凄いねぇあの人。ねぇ千代?……千代?」
「…………」
千代は答えず、ずっとデュエルスペースのレイジを見ていた。
「千代ってば!」
「は、はいっ!?な、何クリスちゃん?」
「いや、ずっとボーっとしてたから大丈夫かなって」
「だ、大丈夫だよ!ちょっと驚いちゃっただけだから……」
「?」
しどろもどろに答える千代にクリスは首を傾げるだけだった。
さらに別の席では……
「ふ~ん…校長先生に勝った遊城千代に…神谷玲路か……面白いなぁ。ねぇ、蓮兄さん?」
「ふん…興味ない」
黒髪の少年の言葉に蓮と呼ばれた少年はどうでも良さそうに鼻を鳴らしながら答えた。
そしてもう一方の席でも……
「ふふっ…今年は中々活きのいい新入生がいるな、兜魔」
「ふ…ふふふふ……」
銀髪の少年の言葉に、兜魔と呼ばれた少年はレイジを見て不気味に笑っていた。
「これはまた、悪い癖が出たかもな」
それを見た銀髪の少年は呆れたように言った。
場所は戻ってデュエルスペース……デュエルが終わった後も、レイジはその場に残って会場を見回していた。
「見れば見るほど、面白そうなヤツらがたくさん居るな……ダルク、ヒータ」
レイジがそう言うと、彼の両隣にダルクとヒータが半透明の姿で現れる。
『そうだな』
『あぁ…たぶん全員精霊に選ばれた奴等だろうな』
「これからそんなヤツらと過ごすのか……楽しみだな!」
『『ああ(おう!)』』
こうして、入学試験は終わった。
そして彼……神谷玲路を中心とした物語が…今始まったのである。
◆◇◆◇◆◇◆◇
入学試験から一ヵ月後……デュエルアカデミア・校長室。
「本当に彼と彼女をレッドに配属するノーネ?シニョール十代?」
「ああ、頼むぜ。クロノス先生」
アカデミア校長であるクロノスに気軽に話しかけているのは、元クロノスの教え子でデュエルアカデミアの卒業生であり、そして千代の父親である『遊城十代』であった。
「シニョール十代がそう言うからには、何か理由があるノーネ?」
「それは……今は言えません」
十代は俯き、そう答えると、クロノスはやっぱりと言う顔をした。
「まぁ、仕方ないノーネ。その代わり、キッチリ働いてもらうノーネ……遊城十代『先生』」
「ありがとうございます!クロノス校長!」
十代はクロノスに礼を言うと、校長室から出て行った。
「神谷玲路……カードの精霊たちから『精霊王』と呼ばれている男。俺はコイツが本当の王になれるか見届けなければならない」
十代の呟きは誰の耳に聞こえることなく、虚しく響いていった。
つづく
―登場人物紹介―
名前
【神谷玲路】
性別
【男】
年齢
【16才】
所属
【オシリスレッド】
エースモンスター
【???】
物語の主人公。
デュエルアカデミア一年生。
物心がついた時から精霊の姿が見え、さらにはカードの精霊を実体化させると言う不思議な力を持つ少年。
前向きで明るく、デュエルが大好き。
使用するデッキは『霊使い』や『憑依装着』などを中心とした精霊デッキ。
デッキに存在する精霊とは家族のように接しており、特にダルクとは本当の兄弟のような間柄である。
名前
【遊城千代】
性別
【女】
年齢
【16才】
所属
【オシリスレッド】
エースモンスター
【E・HEROジ・アース】
遊城十代の娘。
十代と違って成績優秀だが、何故かオシリスレッドに所属している。
引っ込み思案で気弱な性格だが、デュエルになると驚異的な強さを見せる。ドローの引きの強さも十代譲り。
十代の影響でヒーロー等が大好きで、デッキも十代から受け継いだヒーローデッキ(ネオスペーシアン以外)をベースに作り上げた。
見た目的には『地霊使いアウス』がメガネを外した感じ。