遊戯王―NEXT GX―   作:ZEROⅡ

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今回、さっそく投稿していただいたキャラやオリカを出します!


メインではなく、一発キャラの方ですが……


話の流れやキャラ設定的に少々扱いが酷いですが、どうかご容赦ください!


デュエルの指摘などがありましたら、遠慮なく仰ってください!!(出来ればオブラートに包んで……)


感想お待ちしております!!


制裁デュエル!最強のおジャマトリオ?

 

 

夜中の旧・ブルー寮で行なわれたレイジとタイタンによる闇のデュエル。

 

レイジはライフを僅か25にまで減らされながらも、タイタンに勝利を収めた。

 

 

そしてその夜から一夜明けて、当のレイジはと言うと……

 

 

 

 

 

「ゲホッゴホッ……あー気持ちワリー……」

 

 

「37度8分……完璧な風邪だね」

 

 

体温計を手に持ちながら、ベッドで横になっているレイジにそう告げる凛。

 

そう……昨夜気を失ったレイジは凛によって寮にまで運ばれ、そのままベッドで寝かされたのだが、翌日になると何故か思いっきり風邪を引いていた。

 

 

「レイジ君、大丈夫?」

 

 

「あー大丈夫だ……ちょっと頭と喉と体の節々が痛むだけだ」

 

 

「いやそれ絶対大丈夫じゃないよね?」

 

 

レイジの顔を覗き込みながらそう問い掛ける千代を心配させない為にそう言うレイジだが、クリスにツッコまれた。

 

 

「たぶん原因は昨日の闇のデュエルってヤツだろうね。プレイヤーへのダメージがそのまま実体化されるなんて言うとんでもないデュエルを行なったんだ。心身ともに疲れが出たんだろうね」

 

 

「あー…確かにアレはヤバかったな……特にライトニング・ボルテックスが効いた」

 

 

凛の考察に、レイジが声を掠らせながらも同意する。

 

 

「それにしてもレイジ君、シンクロモンスターのカードなんていつの間に手に入れたの?」

 

 

「いや、アレについては俺も知らねぇ……急にデッキホルダーが光ったと思ったら、そのカードが入ってたんだ」

 

 

クリスの質問にレイジは首を横に振りながら答える。

 

 

「うん、僕もその光ったデッキホルダーが気になって、悪いけど勝手に調べさせてもらったんだけど……」

 

 

そう言うと凛はレイジのデッキホルダーからカードを取り出す。

 

 

「入ってたよ、シンクロモンスターのカード………しかも7枚もね」

 

 

「「7枚!!?」」

 

 

「ゲホッ!!?」

 

 

1枚持っているだけでも珍しいシンクロモンスターのカードが7枚も入っていた事に、レイジ達3人は驚く。

 

 

「で…その7枚って言うのがコレなんだけど……」

 

 

そう言って凛は3人に見せるように7枚のカードを扇子のように横に広げる。そしてそれを覗き込む千代とクリス、そしてベッドから遠目に見るレイジだが……

 

 

「え? コレって……」

 

 

「どういうこと?」

 

 

それを見た千代とクリスは首を傾げ、レイジはポツリと呟くように言う。

 

 

 

「絵柄が……ない?」

 

 

 

そう……昨夜に使用した『闇の霊王 ダルク』以外の6枚のカードには絵柄がなく、それどころかカードテキストやレベルすら記されていなかった。

 

 

「うん、僕も確認してみて驚いた。昨日レイジが使ったダルク以外のカードには、何も記されていないんだよ。一応聞くけどレイジ、この白紙のカードに見覚えは?」

 

 

「あるわけねーだろ」

 

 

即答するレイジに「だよね」と言葉を返すと、凛は顎に手を当てる。

 

 

「昨日の闇のデュエルといい、突然現れた謎のシンクロモンスターといい、そしてさらに謎の白紙のシンクロモンスターカード……分からないことだらけだ」

 

 

もはやお手上げ…と言いたげに呟く凛。同様に、千代とクリスも考えるように目を伏せている。

 

すると、そんな3人にレイジが声をかける。

 

 

「あのさ、考えてもわかんねぇんだから、とりあえず今はこの事を忘れねーか? それにもうすぐ授業の時間だし、遅れるとマズイだろ?」

 

 

レイジがそう言うと、林たち3人は顔を見合わせ、そして小さく頷く。

 

 

「わかった、この話は一旦忘れよう」

 

 

「そうですね。授業も始まっちゃいますし……」

 

 

「じゃあボクはレイジ君の看病をしてるからさ、授業は千代と凛君だけで……」

 

 

「ダメだよクリスちゃん♪」

 

 

「ちぇー」

 

 

レイジの看病を口実に授業をサボろうとしたクリスだが、千代に却下され、唇を尖らせる。

 

 

「お父さんには私達の方から説明しておきますから、レイジ君はゆっくり休んでくださいね?」

 

 

「おう、頼むぜ千代。それと凛、悪いけど今日の分のノートをまた取っておいてくれるか?」

 

 

「ドローパン3つ……と言いたいところだけど、今日は特別にタダでいいよ」

 

 

「やりぃ♪」

 

 

「それじゃあレイジ、昼休みになったらまた顔を出すから」

 

 

「ちゃんと安静にしててくださいね?」

 

 

「行って来るねー♪」

 

 

「おう、行ってら~」

 

 

そう言って部屋を出て行く凛達3人を、レイジはベッドの上でヒラヒラと手を振りながら見送った。

 

 

そして足音が遠ざかり、3人が完全に離れたことを確認すると同時に……

 

 

「おいダルク……いるんだろ?」

 

 

レイジがそう呼ぶと、半透明のダルクが、レイジのベッドに腰掛けるように現れる。

 

 

『……なんだ?』

 

 

「なんだじゃねーよ……お前知ってんだろ? あの昨日の闇のデュエルの事や、7枚の白紙のカードの事をよ」

 

 

『………あぁ、知っている』

 

 

レイジの質問に、ダルクは静かにそう答える。

 

 

『だが今は知るべき時ではない。今はゆっくりと休め。いずれ時が来たら話してやる』

 

 

「なんだよそれ? 勿体つけねーで今教えろよ」

 

 

『慌てる必要はない……いずれ時が来れば、お前は否が応でも知る事になる……』

 

 

そこまで言うと、ダルクはレイジの顔を真っ直ぐと見据えて言葉を続ける。

 

 

 

『お前の使命と……運命(さだめ)をな……』

 

 

 

そう言い残して、ダルクはその場から消えていき、部屋にポカンとした表情のレイジだけが取り残された。

 

 

「俺の使命と運命(さだめ)……? っ…ゲホッゴホッ!!」

 

 

ダルクの言葉の意味を考えようとするレイジだが、それと同時に激しく咳き込み、思考を中断する。

 

 

「あーダメだ……この状態じゃ頭回んねぇ……まぁダルクのヤツもあぁ言ってたし……あいつを信じて、気長に待つとするか……」

 

 

そう言うと、レイジは枕元に置いてあった冷却シートを額に張り、そのまま目を閉じてまどろみの中へと意識を委ねたのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方、本日の授業を受けるためにアカデミアへとやって来た凛達は……

 

 

「レイジ君……大丈夫かなぁ?」

 

 

「大丈夫だって! お昼休みになったらボク達も一旦寮に戻る予定だし、その時に保健室で風邪薬でももらって行けばオッケーでしょ!」

 

 

「うん、そうだね。でもお薬を飲む前に、何か食べさせてあげないと……購買で何か買っていこうかな?」

 

 

「それもいいけど、千代って料理得意でしょ? だから千代がお粥でも作ってあげたらレイジ君も喜ぶんじゃない?」

 

 

「えぇっ!? た、確かにお料理は好きだけど……」

 

 

「それじゃ決てーい! もう千代に拒否権なーしー♪」

 

 

「そんなぁ~! クリスちゃ~ん!!」

 

 

廊下を歩きながらキャッキャッと(主にクリスが)ハシャぎながら話している2人。すると、今まで黙っていた凛が声をかける。

 

 

「あのさぁ2人共……一応もう校長室の前なんだから、少しは緊張感持とうよ……」

 

 

呆れたような口調で2人にそう言う凛。

 

そう……彼らはアカデミアについて早々、校内放送で校長室にまで呼ばれたのである。

 

 

「えー…だってさ、ボク達が呼び出された理由は分かり切ってるのに今更緊張感持てって言われてもね~」

 

 

「絶対に昨日の件……だよね?」

 

 

「ま、そうだろうね。手紙で呼び出されたとは言え、消灯時間に立ち入り禁止である廃寮の前まで行っちゃったんだし、たぶん何かしらのペナルティでも課せられるんじゃない?」

 

 

そんな会話をしながら、彼らは校長室を目指して廊下を歩いていった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

そして……校長室。

 

そこには呼び出された凛達3人に加え、デスクに座ったクロノス…そしてその隣に彼らの寮長である十代が立っていた。

 

 

「キミ達が呼び出された理由は……わかっているノーネ?」

 

 

「はい。昨晩の、消灯時間に無断外出及び立ち入り禁止場所への侵入未遂……ですよね?」

 

 

クロノスの問い掛けに、3人を代表して凛が答え、その言葉にクロノスは「そうなノーネ」と言って頷いた。

 

 

「立ち入り禁止場所への侵入は、校則で厳しく禁じられているノーネ。キミ達3人……病欠している神谷玲路君も含め4人はそれを破ったノーネ。廃寮の周囲の森ニーハ、学園の監視カメラが取り付けられてオーリ、その映像にキミ達の姿がバッチリ映っていたノーデ、言い逃れは出来ないノーネ……何か言い訳はあるノーネ?」

 

 

「……確かにレイジを含めたぼく達4人は、昨晩廃寮の前まで行きました。だけどそれは、レイジが手紙で呼び出されたからです」

 

 

「手紙?」

 

 

そう言うと、凛は制服の懐からレイジの手紙を取り出して、デスクの上に置いた。

 

 

「凛君、それ持ってきてたの?」

 

 

「こんな事もあろうかと……ね」

 

 

凛とクリスがそんな会話をしている間に、クロノスは差し出された手紙を読み終える。

 

 

「ナルホード……君たちが廃寮に行った理由はわかったノーネ。それで、そこに〝闇のデュエリスト〟と名乗る者はいたノーネ?」

 

 

「……はい、いました。その男はタイタンと名乗り、レイジに〝闇のデュエル〟と言うモノを挑んできました」

 

 

そこから、凛は昨晩にあった出来事をクロノスに事細かに説明する。

 

 

「……………」

 

 

そして、凛の説明を聞き終えたクロノスは「ふう…」と小さく溜息を漏らしたあと、隣に立つ十代にチラリと目配せをする。

 

それを受け取った十代は小さく頷くと、クロノスは再び凛達に向き直る。

 

 

「よろしい! キミ達が廃寮に行った理由は、正当なものとして受け取るノーネ」

 

 

クロノスのその言葉に、千代とクリスは安堵の息を吐く。

 

 

「しかーし! 校則違反は校則違反!! どんな理由があろうトーモ、校則を破ったからには罰を受けてもらうノーネ!!」

 

 

「「「!」」」

 

 

クロノスの〝罰〟と言う言葉に聞き、凛達は気を引き締めるように背筋を伸ばす。

 

 

「そこで、キミ達には〝制裁デュエル〟を受けてもらうノーネ!」

 

 

「「「制裁デュエル?」」」

 

 

3人が首を傾げていると、クロノスが「そうなノーネ」と言いながら、説明を始める。

 

 

「まずはキミ達4人の中で、代表を1人決めてもらうノーネ。そして、学園側で用意した生徒とデュエルを行なってもラーイ、その勝敗で罰の内容を決めるノーネ」

 

 

「……その罰の内容を聞いてもいいですか?」

 

 

「キミ達の代表が勝った場合は、反省文20枚提出。そして負けた場合は……」

 

 

「「「…………」」」

 

 

「キミ達4人の授業単位を、問答無用で2つ取り下げるノーネ」

 

 

「「えぇぇぇえええ!!?」」

 

 

「……………」

 

 

クロノスが発表した負けた時の罰の内容に、千代とクリスは絶叫し、対照的に凛は落ち着いたように顎に手を当てている。

 

 

「ちょ…ちょっと待ってください!! 確かこの学園って、授業単位を3つまで落としたら……」

 

 

「そう、留年なノーネ」

 

 

クリスの質問にあっさりと即答するクロノス。

 

つまり、制裁デュエルで敗北してしまうと、彼ら4人は一気に留年へ王手をかけてしまうのである。

 

 

「デュエルの日程は後日連絡するノーネ。下がっていいノーネ」

 

 

「はい、失礼します」

 

 

「「……失礼します」」

 

 

クロノスの言葉に、凛は淡々と退出し、千代とクリスもそれに続くように退出して行った。

 

 

そして、校長室にはクロノスと十代の2人が残された。

 

 

「シニョール十代……」

 

 

「何ですか? クロノス校長?」

 

 

「彼らが言っていたこの手紙ーは、キミが書いたものなノーネ?」

 

 

そう言って十代に向かって手紙を突きつけるクロノス。それを言われた十代は、バツの悪そうな表情をする。

 

 

「あはは……やっぱバレた?」

 

 

「当たり前なノーネ。昔のワタシーがどれだけキミのヘタクソな字を見てきたと思ってるノーネ」

 

 

「ヘタクソはヒデェな……」

 

 

「……しかーし、キミが考え無しーに生徒を危険に晒すような事をしない人間と言う事も知っているノーネ。問い質したところで無駄な事も分かっているノーデ、この事は聞かないでおいてあげるノーネ」

 

 

「おっ! さすがクロノス先生! 話がわかるぜ!!」

 

 

「ただーし!! 生徒を危険に晒した事には変わりないノーデ、寮長としての〝監督不行届き〟と言う名目ーで、キミの給料を20%カットしておくノーネ!!!」

 

 

「えぇぇえ!!? そりゃないぜクロノス先生ーーー!!!」

 

 

「おダマーリ!! 元祖ドロップアウトボーイ!!! 異論は認めないノーネ!!!」

 

 

「そんなーーー!!!」

 

 

校長室からは、十代の絶叫にも似た声が響いたのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「制裁デュエルねぇ……」

 

 

そして昼休み……レッド寮へと戻ってきた凛とクリスは、レイジに校長室での出来事を説明していた。

 

 

「なんか……悪ぃな、俺のせいでお前らまで巻き込んじまって……」

 

 

その説明を聞いたレイジは、申し訳なさそうな表情で2人に謝罪する。

 

 

「なーに言ってるのさ? 昨日はボク達が勝手にレイジ君について行っただけなんだから、別に気にする必要なんてないよ!」

 

 

「そうそう。それに手紙で呼び出されたレイジだって被害者なんだからさ」

 

 

しかし、当の2人は気にした様子も無くそう言ったのだった。

 

 

「そう言ってもらえると助かるぜ。だけど、やっぱり俺が巻き込んだってのが大きいから、今度の制裁デュエルは俺が──」

 

 

「いや……僕が出るよ」

 

 

レイジは自分が制裁デュエルを受けると言おうとするが、凛の言葉によってそれは遮られてしまった。

 

 

「レイジは〝闇のデュエル〟の影響で、いつ万全の状態に戻るか分からないでしょ? それに、巻き込んだって言うなら、面白半分に手紙の内容を千代ちゃんやクリスちゃんにペラペラと喋った僕にだって非はある。だから今度の制裁デュエルは……僕が受けるよ」

 

 

「凛……」

 

 

真っ直ぐとレイジを見据えながらそう言い放つ凛。そんな凛の目を見たレイジは「ふう…」と諦めたように溜息をつき……

 

 

「わかった、制裁デュエルはお前に任せる」

 

 

と言った。

 

 

「ただし絶対に負けんなよっ!!」

 

 

「凛君にボク達の進級が掛かってるんだからね!!!」

 

 

「りょーかいりょーかい」

 

 

レイジとクリスのプレッシャーとも呼べる言葉を、凛はヒラヒラと手を振りながら受け流す。

 

すると、レイジはある事に気がついた。

 

 

「あれ? そう言えば千代は?」

 

 

先ほどから千代の姿が見えない事に、レイジは首を傾げる。

 

 

「あー…千代ならそろそろ……」

 

 

クリスがそう言い掛けた瞬間、部屋のドアがコンコンっと、控えめにノックされる。

 

 

「おー来た来た♪」

 

 

そしてすぐさまクリスがドアへと向かい、ドアを開けた。

 

 

「やっほー千代! 出来た?」

 

 

「う…うん。一応……」

 

 

そこに立っていたのは千代であり、そのまま千代を部屋の中へと招き入れるクリス。

 

 

「よう千代、何持ってんだ?」

 

 

レイジは部屋に入ってきた千代が持っているお盆に乗った小さな釜に目が行く。

 

 

「えっと…お父さんに食堂の使用許可をもらって……それで、レイジ君に卵粥を作ってきたんです」

 

 

そう言って千代が釜の蓋を開けると、中には見るからに美味しそうな卵粥が入っていた。

 

 

「おっ、マジで!? サンキュー千代! ちょうど腹減ってたんだ!!」

 

 

「ふふっ、食欲があってよかったです。あっ、凛君とクリスちゃんにも、おにぎり作ってきたよ」

 

 

「えっ、ホントに?」

 

 

「さっすが千代! お昼代が浮いた~♪」

 

 

千代は嬉しそうに微笑みながらそう言うと、沢山のおにぎりが詰まったタッパーを凛とクリスに渡し、それを嬉しそうに受け取るクリス。

 

 

「んじゃ早速……いただきます!」

 

 

レイジは両手を合わせてそう言うと、さっそくでスプーンでお粥を救い、2,3回息を吹きかけて軽く冷ました後あと、口の中に含んだ。

 

 

「モグモグ……」

 

 

「ど…どうかな?」

 

 

不安そうな表情でそう尋ねる千代。そんな千代に、レイジはニッと笑いかけ……

 

 

「超美味い!!」

 

 

と、大きな声でそう言った。

 

 

「よかったね千代♪」

 

 

「うん、よかったぁ……」

 

 

レイジの答えを聞いて、千代は嬉しそうに頬を綻ばせたのであった。

 

 

その後も……4人は談笑しながら楽しい昼休みを過ごしたのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

そして数日後……レイジの体調も殆ど治りかけていた頃に、ついに制裁デュエルの日がやって来た。

 

 

場所は学校内にある一番大きなデュエルリング。以前レイジが真夜中に蓮とデュエルした場所である。

 

そこの観客席には、すでに多くの生徒が集まっており、これから始まる制裁デュエルを今か今かと待ち構えていた。

 

そしてその中には、当然レイジ達の姿もあった。

 

 

「勝ってよ~凛君! ボク達の単位の為に!!」

 

 

「そればっかりだなお前……」

 

 

「あはは……」

 

 

両手を合わせて凛の勝利を願うクリスを見て、レイジは呆れ、千代は苦笑いを浮かべていた。すると……

 

 

「ん? 貴様らは……」

 

 

「おや? お久しぶりですね」

 

 

後ろの席から声をかけられ、3人は振り返ってみるとそこには……

 

 

「蓮! それに望月!!」

 

 

「氷夜でいいですよ」

 

 

凛の双子の兄である万丈目蓮と、その友人の望月氷夜が座っていた。

 

 

「お前らも見に来てたのか」

 

 

「ふん…1年でいきなり制裁デュエルを喰らったバカ共がどんなヤツか見に来ただけだ。まさかそれが自分の弟と、貴様らだとは思わなかったがな」

 

 

「あはは……まぁ色々あったんだよ」

 

 

蓮の射抜くような視線を、レイジは言葉を濁しながら受け流す。

 

 

「しかし、キミの弟さんの相手は誰なのでしょうね? 相手によっては、もしかしたら負ける可能性も──」

 

 

「それはないな」

 

 

氷夜の言葉を遮り、蓮はハッキリとそう言い放った。

 

 

「貴様ら3人ならありえるだろうが、凛が出るとわかった以上……このデュエルの結果は見えたも同然だ」

 

 

「おぉ~スゴイ自信だね! やっぱり弟だから勝ってほしいの?」

 

 

「そうじゃない。万丈目凛……アイツは──」

 

 

『それデーハこれヨーリ!! 制裁デュエルを始めるノーネ!!!』

 

 

蓮の言葉の続きは、デュエルリングに立ち、マイク越しに高らかに宣言したクロノスの言葉によって掻き消された。

 

 

『まずは制裁を受けるデュエリスト……オシリス・レッド1年、万丈目凛の入場なノーネ!!!』

 

 

クロノスの紹介と共に入場口から姿を現し、そのままデュエルリングへと上がる凛。

 

 

「頑張れよー凛!!」

 

 

「凛君ファイトー!!」

 

 

「頑張ってくださーい!!」

 

 

自分の背後から聞こえるレイジ達の声援に、凛は片手を上げて応える。

 

 

『対する学園から選ばれたデュエリストーは……この子なノーネ!!!』

 

 

クロノスの紹介と共に、凛とは反対側の入場口から姿を現す少年。

 

しかしその少年はアカデミアの制服を身に着けておらず、代わりに黒いスーツを着ていた。首下に青いネクタイを身に着けていることから、ブルーの生徒であることは分かる。

 

 

『オベリスク・ブルー2年! 喜佐従五(きさじゅうご)君なノーネ!!!』

 

 

デュエルリングに上がった少年…喜佐従五は、凛を睨みつけるように見ながら、彼の正面に立つ。

 

 

そんな彼の姿を見て、観客席の氷夜がポツリと言葉を漏らす。

 

 

「喜佐従五……彼が相手ですか。これはちょっと厳しいかもしれませんね」

 

 

「知ってんのか、氷夜?」

 

 

「えぇ、彼はブルーの生徒の中でも指折りの実力者ですからね」

 

 

「って言うか、あの人はなんでスーツを着てるの?」

 

 

「彼は力と立場を持つ者が全て……いわゆる弱肉強食の考えを持っている人なんです。その考えゆえに、周囲との同一意識を嫌っている為、1人スーツ姿なんですよ」

 

 

「ふーん……」

 

 

氷夜からレイジとクリスの問い掛けの答えを聞いたあと、一同は再び視線をデュエルリングへと戻した。

 

 

「貴様か…入学したての1年の分際で問題を起こし、この俺の手を煩わせることになったレッドのクズとは」

 

 

従五は正面に立つ凛を見下すような視線で見ながら、そう言い放つ。

 

 

「まったく、これだからレッドの弱者は嫌いなんだ。弱者は弱者らしく、ブルーの強者の贄となればいいんだ!!」

 

 

続けてレッドの生徒を見下すような発言をする従五。そんな従五に対して凛は……

 

 

「すみませんが先輩……僕は貴方の能書きには興味ないんですよ」

 

 

「……なんだと?」

 

 

凛の言葉に、ピクリと眉を動かす従五。それでも凛は構わず言葉を続ける。

 

 

「さらに言えば、これからする貴方とのデュエル自体にもまったく興味がありませんし……貴方自身にも興味ありません。今の僕が興味あるのは──」

 

 

そこまで言うと、凛は一呼吸置いて……

 

 

 

「今晩のレッド寮の夕食……ですかね?」

 

 

 

そう言うと同時に、従五の額からブチッと言う音が聞こえた。

 

 

「……いいだろう……クズの分際でこの俺を愚弄したこと、その身をもって後悔させてやろう!!!」

 

 

「台詞が三流以下ですよ、先輩」

 

 

「ほざけ!!!」

 

 

 

「「デュエル!!!」」

 

 

 

先攻

万丈目凛

LP:4000

 

後攻

喜佐従五

LP:4000

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕の先攻、ドロー。僕は『X―ヘッド・キャノン』を召喚」

 

 

X―ヘッド・キャノン

LV:4

ATK:1800

 

 

「カードを2枚セットして、ターンエンド」

 

 

LP:4000

X―ヘッド・キャノン(ATK:1800)

伏せカード:1枚

手札:4枚

 

 

「身の程を思い知らせてやる。俺のターン、ドロー! 相手フィールド上にモンスターが存在し、自分のフィールド上にモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる! いでよ『バイス・ドラゴン』!!」

 

 

バイス・ドラゴン

LV:5

ATK:2000

 

 

「ただしこの効果で特殊召喚した場合、このモンスターの攻守は半分となる」

 

 

バイス・ドラゴン

ATK:2000→1000

DEF:2400→1200

 

 

「そしてこのバイス・ドラゴンをリリースし、『ジャッカルの霊騎士』をアドバンス召喚!!!」

 

 

ジャッカルの霊騎士

LV:5

ATK:1700

 

 

「ジャッカルの霊騎士でX―ヘッド・キャノンを攻撃!!」

 

 

「こっちの方が攻撃力は上だよ?」

 

 

「そんな事は百も承知! 手札から速攻魔法『突進』を発動! ジャッカルの霊騎士の攻撃力を700ポイントアップ!!」

 

 

ジャッカルの霊騎士

ATK:1700→2400

 

 

「これで貴様のモンスターの攻撃力は上回った。行けジャッカルの霊騎士!! 狗牙(いぬきば)!!!」

 

 

ジャッカルの霊騎士の剣が、X―ヘッド・キャノンの機体を切り裂く。

 

 

「くっ……」

 

 

LP:4000→3400

 

 

「そしてジャッカルの霊騎士がお前のモンスターを破壊し、墓地へ送ったことにより効果発動! 破壊したモンスターを俺のフィールド上に守備表示で特殊召喚できる!」

 

 

「甘いよ。その効果にチェーンして永続罠『正統なる血統』を発動。自分の墓地の通常モンスターを特殊召喚する。当然僕が召喚するのは『X―ヘッド・キャノン』」

 

 

X―ヘッド・キャノン

LV:4

ATK:1800

 

 

「そして対象を失ったことにより、ジャッカルの霊騎士の効果は不発に終わる」

 

 

「チッ、小癪なマネを……カードを1枚セットして、ターンエンドだ」

 

 

従五

LP:4000

ジャッカルの霊騎士(ATK:1700)

伏せカード:1枚

手札:2枚

 

 

「僕のターン、ドロー。速攻魔法『手札断殺』を発動。お互いのプレイヤーは手札を2枚墓地へ送り、その後デッキから2枚ドローする」

 

 

凛と従五はお互いに手札を捨て、その後デッキから新たなカードをドローする。

 

 

「そして手札から『Y―ドラゴン・ヘッド』を召喚」

 

 

Y―ドラゴン・ヘッド

LV:4

ATK:1500

 

 

「さらに手札から『アイアンコール』を発動。僕のフィールド上に機械族モンスターが存在する場合、墓地のレベル4以下の機械族モンスター1体を特殊召喚する。ただし、モンスターの効果は無効化され、エンドフェイズ時に破壊される。僕はさっきの手札断殺で墓地へ送った『Z―メタル・キャラピラー』を特殊召喚」

 

 

Z―メタル・キャタピラー

LV:4

ATK:1500

 

 

「そして僕の場に揃ったX・Y・Zの3体のモンスターをゲームから除外し、合体融合」

 

 

凛がそう言うと同時に、3体のモンスターが上空に舞い上がり、上からX・Y・Zの順番で合体する。

 

 

「合体融合召喚『XYZ―ドラゴン・キャノン』」

 

 

XYZ―ドラゴン・キャノン

LV:8

ATK:2800

 

 

「ドラゴン・キャノンでジャッカルの霊騎士を攻撃。ドラゴニック・バーン」

 

 

ドラゴン・キャノンの両肩に装着された2つの砲台から放たれた砲撃が、ジャッカルの霊騎士を襲う。

 

 

「チッ……」

 

 

従五

LP:4000→2900

 

 

「この瞬間、手札の『トラゴエディア』のモンスター効果発動! 俺が戦闘ダメージを受けた時、手札から特殊召喚する!!」

 

 

トラゴエディア

LV:10

ATK:?

 

 

「トラゴエディアの攻撃力は、俺の手札の枚数×600ポイントアップする。俺の手札は1枚……よって600

ポイントだ」

 

 

トラゴエディア

ATK:600

 

 

「……ターンエンド」

 

 

LP:3400

ドラゴン・キャノン(ATK:2800)

伏せカード:1枚

手札:0枚

 

 

「俺のターン、ドロー! 手札が増えた事により、トラゴエディアの攻撃力が上がる」

 

 

トラゴエディア

ATK:600→1200

 

 

「そしてトラゴエディアのモンスター効果発動! 手札のモンスター1体を墓地へ送り、そのモンスターと同じレベルの相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体のコントロールを得る! 俺が墓地へ送るのは、レベル8の『トライホーン・ドラゴン』。よって貴様のドラゴン・キャノンのコントロールを得る!」

 

 

従五がそう宣言した瞬間、トラゴエディアから糸のようなモノが放たれ、ドラゴン・キャノンを自分のフィールドに引きずり込んだ。

 

 

「ふっ……強力なモンスターと言うものは、自然と強者の下へやってくるものだ」

 

 

「…………」

 

 

得意気にそう言う従五だが、凛は黙ったままフィールドを見据える。

 

 

「さらに魔法カード『天よりの宝札』を発動。お互いに手札が6枚になるようにドローする。そして手札が増えた事により、トラゴエディアの攻撃力は上昇する!」

 

 

トラゴエディア

ATK:600→3600

 

 

「まだだ!! 永続罠発動!『強者の余裕』!! 俺のフィールド上に存在するレベル5以上のモンスターは、攻撃力をレベル数×200ポイントアップする!!」

 

 

 

強者の余裕

永続罠

オリジナル

自分のフィールド上に存在するレベル5以上のモンスターの攻撃力は、レベル×200ポイントアップする。

このカードがフィールドから離れた時、自分のフィールド上のモンスターを全て破壊する。その後、破壊したモンスターのレベル×200ポイントのダメージを受ける。

 

 

 

「レベル10のトラゴエディアの攻撃力は2000ポイント……レベル8のドラゴン・キャノンの攻撃力は1600ポイントアップする!!」

 

 

トラゴエディア

ATK:3000→5600

 

XYZ―ドラゴン・キャノン

ATK:2800→4400

 

 

「ハッハッハッハ!!! 圧倒的な力で弱者を蹂躙する!! これが強者のデュエルだ!! 行け強者のモンスター達よっ!! あのレッドの弱者を葬り去れぇ!!!」

 

 

フィールドがガラ空きの凛に向かって一斉攻撃を仕掛けてくる従五のモンスター達。しかし凛は一切慌てる様子も無く、静かに宣言した。

 

 

「リバースカード『攻撃の無力化』を発動。相手の攻撃を無効にして、バトルフェイズを終了される」

 

 

「チッ……悪あがきを。俺はカードを1枚伏せてターンを終了する」

 

 

トラゴエディア

ATK:5600→5000

 

 

従五

LP:2900

トラゴエディア(ATK:5000)

XYZ―ドラゴン・キャノン(ATK:4400)

強者の余裕(発動中)

伏せカード:1枚

手札:5枚

 

 

「僕のターン、ドロー……ふふっ」

 

 

「何がおかしい?」

 

 

「別に……先輩のデッキのテーマはもう把握しました。先輩のデッキはレベル5以上のモンスターを主軸にしたハイレベルデッキ……トラゴエディアやジャッカルの霊騎士などで相手からモンスターを奪って素材とし、高レベルモンスターを展開していく」

 

 

「ふん、その通りだ。弱者からモンスターを奪い取り、そのモンスターを強者の贄として利用する……弱者は常に強者へと平伏すのだ!!!」

 

 

そう言って高笑いを上げる従五。そんな従五に対し、凛は「ふう…」と小さく溜息をつくと、手札から1枚のカードを抜き取った。

 

 

「では僕は……そんな弱者嫌いの先輩にピッタリのカードで相手をしてあげるよ」

 

 

そう言うと、凛はさっそくそのカードをディスクにセットした。

 

 

 

「いでよっ……『おジャマ・イエロー』!」

 

 

 

おジャマ・イエロー

LV:2

DEF:1000

 

 

 

「なっ!? おジャマ・イエローだと!!?」

 

 

凛が召喚したのは低レベルで何の効果も持たない通常モンスターのおジャマ・イエロー。そんなモンスターを召喚した事に、従五だけでなく観客席全体が騒然とする。

 

 

「貴様……俺をバカにしているのか!!? そんなザコモンスターで俺に勝てると思っているのか!!?」

 

 

「さあ? どうでしょうね? 僕はカードを1枚セットしてターンエンド」

 

 

LP:3400

おジャマ・イエロー(DEF:1000)

伏せカード:1枚

手札:5枚

 

 

『凛の坊ちゃ~ん! どうしてオイラを出すの!? オイラなんか一瞬でやられちゃうわよんっ!!』

 

 

「いいからいいから、僕を信じて♪」

 

 

何故いきなり自分を出したか抗議するイエローだが、凛は笑みを浮かべながらそれを受け流した。

 

 

「俺のターン、ドロー! 俺は手札から『デビルズ・サンクチュアリ』を発動! 俺のフィールドに『メタルデビル・トークン』1体を特殊召喚する!」

 

 

メタルデビル・トークン

LV:1

ATK:0

 

 

「さらに手札から『コストダウン』を発動! 手札を1枚捨てることで、俺の手札の全てのモンスターカードのレベルをエンドフェイズまで2つ下げる! そしてメタルデビル・トークンをリリースし、レベル7から5となった『ジャッカルの聖戦士』をアドバンス召喚!!!」

 

 

ジャッカルの聖戦士

LV:7→5

ATK:2700

 

 

「当然『強者の余裕』の効果により、レベル数×200ポイント攻撃力が上がる」

 

 

ジャッカルの聖戦士

ATK:2700→3700

 

 

「まだだ! ドラゴン・キャノンの効果を発動! 手札を1枚捨て、相手フィールド上のカードを1枚破壊する!! 消えろ弱者がっ!!!」

 

 

『イヤァァアアン!!!』

 

 

ドラゴン・キャノンから放たれた砲撃が、おジャマ・イエローを吹き飛ばした。

 

 

「手札を消費をしたことにより、トラゴエディアの攻撃力は下がる」

 

 

従五

手札:1枚

 

 

トラゴエディア

ATK:5000→2600

 

 

「多少攻撃力が下がったが、問題はないな。今度こそ消えろ!! 弱者めっ!!」

 

 

「そう簡単には消えないよ。罠発動『ホーリーライフバリアー』。手札を1枚捨てることで、このターンに相手から受ける全てのダメージを0になる」

 

 

「くっ……忌々しい!! ターンエンドだ!!! そしてこの瞬間、ジャッカルの聖戦士のレベルは元に戻り、攻撃力がアップする!!」

 

 

ジャッカルの聖戦士

LV:5→7

ATK:4100

 

 

従五

LP:2900

トラゴエディア(ATK:2600)

XYZ―ドラゴン・キャノン(ATK:4400)

ジャッカルの聖戦士(ATK:4100)

伏せカード:1枚

手札:1枚

 

 

 

 

 

観客席で従五のプレイを見ていたレイジ達は、感嘆の声を上げた。

 

 

「スゲェな……あんなハイレベルなモンスターをあんなにフィールドに並べるなんてよ」

 

 

「彼のデッキはレベル5以上のモンスターを主軸にしたハイレベルデッキですからね。しかし、蓮君の弟さんも奇妙なカードを使いますね」

 

 

「うん、私とデュエルした時は『VWXYZシリーズ』が主軸だったのに……」

 

 

「『VWXYZシリーズ』など、あいつにとってはデッキのほんの一部に過ぎん。凛のデッキの真骨頂は『おジャマシリーズ』にある」

 

 

「「「「えっ!!?」」」」

 

 

蓮の言葉を聞いた全員が、驚愕に顔を染める。

 

 

「し…しかし蓮君、『おジャマシリーズ』はデュエルモンスターズの数あるシリーズの中でも最も最弱な部類に入るシリーズですよ。僕はそんなカードで勝てるとは思いませんが……」

 

 

「……………」

 

 

氷夜の言葉を聞いた蓮は、一瞬だけ目を伏せると、再び口を開いた。

 

 

「凛のヤツは……昔から『詰めデュエル』が得意でな」

 

 

「詰めデュエル?」

 

 

「決められたフィールド・手札・墓地・デッキのカードを駆使して、いかに不利な状況を突破して相手に勝利するかって言うゲームだよ、クリスちゃん」

 

 

「デュエルの知識とタクティクス……両方が問われるゲームだ」

 

 

クリスの問いに千代とレイジが答え、蓮は話を続ける。

 

 

「あいつはその詰めデュエルを、どんな難問だろうとあくびしながら楽々と解いてしまうようなヤツだった。そんなあいつに疑問を持った俺は一度、詰めデュエルに見せかけた超難問IQテストをやらせた事がある」

 

 

「……その結果は?」

 

 

氷夜の問いに、蓮は一呼吸おいてから、静かに答えた。

 

 

 

「全問正解……凛はIQ200以上の頭脳を持った天才だった」

 

 

 

「「「「に…200!!?」」」」

 

 

凛のIQが200と言うことに、驚愕する一同。

 

 

「ちょ、ちょっと待ってよ! ボク凛君のこの間の筆記テストの成績見せてもらったけど、レッドの平均より少し上くらいだったよ!!」

 

 

「ふん…筆記テストなんぞ、凛に掛かれば簡単に点数操作できる」

 

 

クリスの疑問をさも当然のように答える蓮。

 

 

「そしてデュエルモンスターズのシリーズの中でも最弱の部類の『おジャマシリーズ』だが、おジャマカードにはかなりトリッキーなカードが多い。そもそも『おジャマシリーズ』が最弱の烙印を押されているのは、そのトリッキーなカードを使いこなせるヤツが殆どいないからだ。

 

だが凛は、その類稀なる頭脳とタクティクスで、おジャマカードを完璧に使いこなす事が出来る。俺はあいつが『おジャマシリーズ』を使って負けたところは、1度も見た事がない」

 

 

「「「「っ!!!」」」」

 

 

蓮の言葉に驚愕しながら、レイジ達は視線をデュエルリングへと戻した。

 

 

「僕のターン、ドロー……魔法カード『おジャマンダラ』を発動。ライフを1000ポイント支払うことで、墓地に存在する『おジャマ・イエロー』『おジャマ・グリーン』『おジャマ・ブラック』を1体ずつ特殊召喚する。おいで…おジャマ三兄弟」

 

 

『『『どーもー!!!』』』

 

 

LP:3400→2400

 

 

おジャマ・イエロー

LV:2

ATK:0

 

おジャマ・グリーン

LV:2

ATK:0

 

おジャマ・ブラック

LV:2

ATK:0

 

 

おジャマンダラ

魔法カード

アニメオリジナル

1000ライフポイント払って発動する。

自分の墓地に存在する「おジャマ・グリーン」「おジャマ・イエロー」「おジャマ・ブラック」をそれぞれ1体ずつ自分フィールド上に特殊召喚する。

 

 

 

「待て! さっき葬ったイエローはともかく、他のザコ2体はいつの間に墓地へ送った!?」

 

 

「手札断殺の効果と、ホーリーライフバリアーのコストですよ」

 

 

「ふん! だがそんな攻撃力0のザコモンスターを並べて何になる!!? 弱者は常に、強者に蹂躙される運命にあるのだ!!」

 

 

「どうかな?『三人寄れば文殊の智慧』と言うことわざがあるように、このおジャマ三兄弟が揃った時、どんな強者をも凌駕する力を得る」

 

 

『その通りよーん!!』

 

 

『おれ達兄弟が3人揃えば!!』

 

 

『怖いもの無し!! やってやろうぜ、凛の坊ちゃん!!』

 

 

「もちろん……僕はさらに手札から魔法カード『おジャマ・デルタハリケーン!!』を発動。 行けっ、おジャマ三兄弟!!!」

 

 

『『『了かーい!!!』』』

 

 

凛が魔法カードを発動させると同時に、おジャマ三兄弟は空中へと飛び上がる。

 

 

『必殺!!』

 

『おジャマ!!』

 

『デルタ!!』

 

 

『『『ハリケーーン!!!』』』

 

 

そして三兄弟は空中で互いのお尻を合わせると、そのままグルグルと回転を始める。すると、強力な竜巻が発生し始める。

 

 

「な、なんだ!? 何が起きている!!?」

 

 

「おジャマ・デルタハリケーン……おジャマ・イエロー、グリーン、ブラックの3体が存在する時……相手フィールド上のカードを全て破壊する」

 

 

「なんだとっ!!?」

 

 

凛の言葉を聞いて驚愕している間に、従五のフィールドはおジャマ三兄弟が巻き起こした竜巻によって一掃された。

 

因みに従五が伏せていたカードは『聖なるバリア―ミラーフォース』であった。

 

 

「バ…バカな……俺のフィールドが……全滅!!?」

 

 

「どうですか? これがおジャマ三兄弟の力……」

 

 

『オイラ達!』

 

 

『兄弟の!』

 

 

『力だー!』

 

 

「くっ……だがっ! 俺のフィールドをガラ空きにしようと、お前の場には攻撃力0のザコモンスターのみ! 次の俺のターンに一掃してやる!!!」

 

 

「残念だけど、次のターンはないよ」

 

 

「なにっ!?」

 

 

「僕はフィールド魔法『おジャマ・カントリー』を発動」

 

 

そう言って凛が1枚のカードをディスクにセットすると、周囲の景色が変わり、どこかの村のような風景となった。

 

 

『オイラ達の故郷よ~ん!』

 

 

『懐かしいぜ~』

 

 

『そういやしばらく帰ってねーなぁ』

 

 

変わった風景を見てそんな会話をするおジャマ三兄弟。

 

 

「おジャマ・カントリーは、僕のフィールドに『おジャマ』と名のついたモンスターが表側表示で存在する限り、フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターの元々の攻撃力・守備力を入れ替える。つまり……」

 

 

『なんだか力が漲ってきたわよ~ん!』

 

 

おジャマ・イエロー

ATK:0→1000

DEF:1000→0

 

おジャマ・グリーン

ATK:0→1000

DEF:1000→0

 

おジャマ・ブラック

ATK:0→1000

DEF:1000→0

 

 

「バカな……こんなバカな……!!!」

 

 

毛嫌いしていたハズの弱者とも呼べる低レベルモンスターにあっさりと逆転されてしまったことに、従五は顔を青くする。

 

 

「おジャマ三兄弟で……総攻撃」

 

 

『『『必殺!! おジャマ・アターーック!!!』』』

 

 

「う…うわぁぁぁああああああああ!!!!」

 

 

従五

LP:2900→1900→900→0

 

 

 

 

 

―勝者―

万丈目凛

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

『ウィナー! 万丈目凛なノーネ!!』

 

 

デュエルが終了すると同時に、クロノスの勝者宣言が高らかに響き渡る。

 

 

「うそだ……!! この俺が…あんな弱小モンスターにやられるなんて……!!」

 

 

敗北した事が信じられず、従五は地面に手と膝をつきながらそう呟く。そんな従五に、凛が歩み寄る。

 

 

「どんなにレベルが低くて弱いモンスターでも、使い方次第では強力なモンスターを倒す事もできる。僕のような落ちこぼれのレッドが、あなたのようなブルーのエリートに勝つことがあるようにね」

 

 

「ぐっ……!! 覚えていろ…万丈目凛!! 俺はいつか真の強者となって、今度こそ貴様の弱小モンスターを蹂躙してやる!!!」

 

 

そう言い残して、従五はリングを降りて立ち去って行った。そんな従五の背中を見ながら、凛はポツリと呟く。

 

 

「負けないよ……この『おジャマシリーズ』こそ、最強のカードだって信じてるからね」

 

 

『凛の坊ちゃーん!!!』

 

 

『さすが坊ちゃん!! 万丈目のアニキとは違うぜー!!』

 

 

『おれ達兄弟、坊ちゃんに一生着いて行くぜーー!!!』

 

 

その言葉を聞いて、おジャマ三兄弟は感極まった声を上げるのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方、観客席では……

 

 

「よっしゃあ! 凛が勝ったぜー!!」

 

 

「やったねクリスちゃん!!」

 

 

「うん! ボク達の単位が守られたよー!」

 

 

凛が勝利したと言うことに、レイジ達3人はハイタッチをしたりして大喜びしていた。

 

 

「まさか本当にあのカードで勝ってしまうとは……さすがは蓮君の弟さんですね」

 

 

「ふん……ヤツならあれ位当然だ」

 

 

そう言って席から立ち上がり、そのまま立ち去って行く蓮と、その後ろをついていく氷夜。

 

 

「あっ、おい蓮!」

 

 

そんな蓮のあとを、レイジは慌てて追いかけていった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「おい蓮! 待てって!!」

 

 

「……ったく、何のようだ?」

 

 

しつこく自分の後ろを追いかけてくるレイジに呆れながら振り返る蓮。

 

 

「いやさ、この間のデュエルの決着どうするかなぁっと思ってよ。なんだったら、この後でやるか?」

 

 

そう言ってデュエルディスクを見せるレイジだが、蓮はそれを鼻で笑いながら答える。

 

 

「フン……そう慌てる必要はない。貴様との決着は、それにふさわしい舞台を考えてある」

 

 

「ふさわしい舞台?」

 

 

「あぁ……貴様との決着は再来月……文化祭の日だ」

 

 

「文化祭?」

 

 

蓮の言わんとしている事がイマイチ理解できず、首を傾げるレイジ。すると、その隣で話を聞いていた氷夜が説明を始める。

 

 

「えっとですね……この学園の文化祭は3日間行なわれ、その3日間の間に2つのイベントが行なわれるのです。

 

1つは各寮によって行なわれる催し物。これに関しては、来月辺りにそちらの寮の寮長から説明があるでしょう。

 

そして2つ目……これが蓮君が言っていたキミとの決着の場……学園全体を上げてのデュエル大会です」

 

 

「デュエル大会!!?」

 

 

デュエル大会が行なわれると聞いて目を輝かせるレイジ。

 

 

「えぇ。文化祭1日目に寮の催し物が行なわれ、2日目に大会予選、そして3日目に本選という形で行なわれます」

 

 

「どうせ決着をつけるのならば、以前のように夜中にコソコソやるより、全校生徒の目の前で貴様を叩き潰してやろうと思ってな」

 

 

「……へへ、その言葉…そっくりそのまま返してやるぜ、蓮」

 

 

そう言ってお互いに睨みあうレイジと蓮。

 

 

「でも気をつけてくださいね。その大会の参加者は全校生徒……当然、アカデミアの〝三大王〟と呼ばれる3人も参加するのですから」

 

 

そんな2人に警告するようにそう告げる氷夜だが……

 

 

「フン! 願ってもない!!」

 

 

「あぁ! その〝三大王〟ってヤツ等ともデュエルしたいと思ってたんだよ!!」

 

 

「……やれやれ」

 

 

逆に2人のやる気を仰ぐ結果になってしまい、氷夜は肩を竦めた。

 

 

「いいかレイジ……予選を勝ち抜き、本選に出場できるのはたった10名。絶対に勝ち上がって来い!!!」

 

 

「もちろんだぜ! 再来月の文化祭で、お前との決着をつける!! お前こそ予選で落ちるなよ!!!」

 

 

そう言って再び睨みあうレイジと蓮。

 

 

そんな2人の、近くの物陰では……

 

 

「文化祭のデュエル大会かぁ……面白い話を聞いちゃったね、千代!」

 

 

「うん……」

 

 

物陰に隠れて先ほどの会話を聞いていた千代とクリスの2人。

 

クリスは心底楽しそうな表情をしているが、逆に千代の表情は少々沈んでいた。

 

 

「(参加者は全校生徒……と言う事は〝あの人〟も参加してくる……もし戦うことになったら…私は……!!)」

 

 

千代の脳裏に、彼女自身のトラウマである『兜魔』の姿が浮かび、千代は不安を露にする。

 

すると……

 

 

「ちーよ!」

 

 

「え? ふみゅっ!?」

 

 

突然クリスが千代の両頬を強く引っ張った。

 

 

「いひゃいいひゃい!! いきなりにゃにふるの!!?」

 

 

「千代……さっき兜魔さんのこと考えてたでしょ?」

 

 

「っ!!?」

 

 

突然つねられたことに抗議する千代だが、クリスのその一言によって千代は押し黙った。

 

 

「隠したってわかるよ……ボクは千代の親友だし、兜魔さんの怖さも十分知ってるからね。

 

だから千代、1人で抱え込まないで?

 

千代がもし兜魔さんとデュエルする事になったらボクが傍にいて応援してあげるし、もし恐怖で戦えなくなったらボクが代わりにデュエルする!

 

だからさ、一緒に戦おう……千代」

 

 

「クリスちゃん……!!」

 

 

クリスの言葉を聞いて瞬間、千代の心から恐怖と不安は消え、千代は笑顔を浮かべる。

 

 

「ありがとう……クリスちゃん!!!」

 

 

千代の感謝の言葉に、クリスは「にししっ♪」っと…相変わらずの人懐っこい笑みを浮かべたのであった。

 

 

 

 

 

レイジと蓮の決着……

 

 

千代とクリスの決意……

 

 

 

 

 

再来月も先の文化祭・デュエル大会に対し……早くも2つの想いが迸っていたのであった。

 

 

 

 

 

つづく




今回登場した『喜佐従五』は《たけんちゅ様》からの投稿です。


プロフィールはこちらです↓


【名前】
喜佐従五(きさじゅうご)

【性別】


【所属】
オベリスク・ブルー

【性格】
力と立場を持つものが世界を動かすと考え、弱者は強者の贄でしかないと思っている。
自分より立場が弱い物は酷く見下す。

【外見】
同一意識を嫌い、制服ではなくスーツ姿。だだ一応は青いネクタイを締めている。

【デッキテーマ】
レベル5以上のモンスターと補助カード(トークン発生系)を主軸にしたハイレベルデッキ。
『ジャッカルの霊騎士』とトークン系のカードで素材を増やして、高レベルのモンスターを生産する。



たけんちゅ様、投稿ありがとうございました! 今回はあのような扱いになってしまいましたが、自分なりにキャラを分析した結果ですので、どうかご容赦ください。


あとオリカですが、よりOCG風に近づけるため、少しだけテキストを加えました。そちらもご了承ください。


【オリカ】
強者の余裕
永続罠
たけんちゅ様からの投稿
自分のフィールド上に存在するレベル5以上のモンスターの攻撃力は、レベル×200ポイントアップする。
このカードがフィールドから離れた時、自分のフィールド上のモンスターを全て破壊する。その後、破壊したモンスターのレベル×200ポイントのダメージを受ける。




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