遊戯王―NEXT GX―   作:ZEROⅡ

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今回の話は正直……無駄に長いです。デュエルパートにいくまでに1万字以上かかっております。

長い上に超グッダグダの内容です。

それでも読んでくださる読者の方々には、心から感謝いたします。


因みに今回のデュエルには原作オリジナルカードが出ます。一応、効果なども表記しましたが、当っているかどうかはわかりません。


デュエルの指摘などがありましたら、遠慮なく仰ってください!!(出来ればオブラートに包んで……)


感想お待ちしております!!!


真夜中デュエル!VSアームド・ドラゴン

 

 

 

 

入学式の日から一夜明けて……レッド寮の朝。

 

 

「ん…ふわぁぁ……朝か……」

 

 

三段ベッドの一番下で眠っていたレイジはカーテンの隙間から差し込む朝日の光を受けて目を覚ます。そして寝惚け眼で部屋の中をボーっと見渡す。

 

 

「あぁそっか……アカデミアに入学して、昨日からレッド寮だったんだっけな」

 

 

今の状況を確認すると、レイジはグッと伸びをして、軽く目を覚ます。

 

 

「さて、顔洗って着替えるか」

 

 

そう言ってレイジがベッドから起き上がると、彼の隣にダルクが半透明の姿で出てきた。

 

 

『起きたか、レイジ』

 

 

「ダルクか。おはよう」

 

 

レイジは現れたダルクにそう挨拶を返す。

 

 

「他のみんなは?」

 

 

『まだカードの中で寝ている。起こすか?』

 

 

「いやいいよ、起きれば勝手に出てくるだろうし」

 

 

そう言ってレイジは部屋に備え付けられた小さな洗面所でバシャバシャと水で顔を洗う。

 

 

「ふう……よしっ、目ぇ覚めたぜ!」

 

 

濡れた顔をタオルで拭うと、先ほどまで寝惚け眼だった顔がスッキリとした顔になっていた。すると……

 

 

「レイジ……もう起きてるの?」

 

 

三段ベッドの一番上から、眠そうな表情をした凛が顔を出した。

 

 

「悪い、起こしちまったか?」

 

 

「ううん、ちょうど起きたところだったから大丈夫」

 

 

そう言って凛はゴムで自分の後ろ髪を結うと、そのままベッドから降りてきた。

 

 

「おはようレイジ」

 

 

「あぁ、おはよう」

 

 

「朝食の時間まであと1時間くらいあるけど、随分早起きなんだね」

 

 

「まぁな。ここに入学する前は自分で朝メシとか作ってたから、いつもの日課で目が覚めちまったんだ」

 

 

「ふーん」

 

 

そんな会話をしながら、凛は先ほどのレイジと同じように洗面所で顔を洗い、タオルで顔を拭く。

 

 

「それはそうと……さっきから気になってたんだけど、その子って精霊?」

 

 

そう言って凛はレイジの隣で浮遊しているダルクを指差しながら言った。

 

 

『っ!?お前、俺が見えるのか!?』

 

 

「って言うか、精霊を知ってるのか!?」

 

 

凛の言葉にレイジとダルクは驚く。

 

 

「うん、まぁね。僕は小さい頃からカードの精霊が見えてたから」

 

 

「へぇ、じゃあお前もカードの精霊に選ばれたデュエリストってわけか」

 

 

『まさか、こんな身近にいたとはな……驚きだ』

 

 

「そうだな。あ、そうそう……コイツが俺の相棒の1人『闇霊使いダルク』だ」

 

 

そう言って、ダルクのカードを見せながら凛に紹介するレイジ。

 

 

『ダルクだ。そう呼んでくれ』

 

 

「よろしくダルク、僕の事も凛でいいよ」

 

 

そう言ってお互いに自己紹介をする凛とダルク。

 

 

「そう言えば今、相棒の1人って言ってたけど、他にも精霊がいるの?」

 

 

「まぁな。今はそいつらはカードの中で眠ってるから、また今度紹介するよ」

 

 

ダルクのカードを仕舞いながらそう言うと、レイジはその場から立ち上がる。

 

 

「悪い、ちょっとトイレに行って来る」

 

 

「行ってらっしゃーい」

 

 

そう言って部屋から出て行くレイジを、ひらひらと手を振りながら見送る凛。

 

 

「………イエロー、いるんでしょ?」

 

 

そしてレイジが離れていったのを見計らって、凛は呟くように言う。

 

 

『凛の坊ちゃん……』

 

 

すると、凛の傍に黄色い体をした奇妙なモンスターが半透明の姿で現れた。

 

 

「精霊のキミから見て、彼の事はどう思う?おジャマ・イエロー」

 

 

凛は自分の相棒の1人である『おジャマ・イエロー』に問い掛ける。

 

 

『オイラはノーマルモンスターだからよくわからないけど、レイジの旦那からは得体の知れない力を感じるわぁん』

 

 

「そう……」

 

 

イエローのその言葉を聞いた凛は楽しそうに薄い笑みを浮かべる。

 

 

 

「僕の予想は正しかった……神谷玲路……ゾクゾクするね♪」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

そし後…朝食の時間が近づいてきたので、食堂へと足を運ぶレイジと凛。そして食堂へと入ると、既に何人かの生徒が席についており、その中には千代とクリスの姿もあった。

 

 

「よっ、おはよう二人共」

 

 

「おはよー」

 

 

「あ…レイジ君、凛君、おはよう」

 

 

「おっはー♪」

 

 

朝の挨拶をしながら二人と一緒の席に座るレイジと凛。

 

 

「今日から授業だな」

 

 

「うぅ~ボク勉強苦手だから憂鬱だよ……そう言えばレイジ君と凛君は勉強どうなの?」

 

 

テーブルの上で項垂れながら二人に問い掛けるクリス。

 

 

「俺は人並み程度かな?良くもなく悪くもなくってとこだ。凛は?」

 

 

「興味ない」

 

 

「は?」

 

 

凛の返事にレイジは目を丸くし、千代とクリスも呆気に取られたような表情をする。

 

 

「言い方が悪かったね。僕の基本的な行動基準は、興味があるか無いか……それだけだよ。興味が湧けばそれなりに一生懸命取り組むけど、逆に興味が湧かなければどうでもいい」

 

 

「……変わった奴だな、お前」

 

 

「そう?」

 

 

レイジの呆れたような視線を、軽く受け流す凛。

 

 

「まぁいいや。千代はどうなんだ?勉強」

 

 

「え?わ、私は別に…そこそこ…かな?」

 

 

「なーに言ってるのさ!千代はね、中学の時は常に成績はトップクラスだったんだよ!」

 

 

「ク…クリスちゃん……///」

 

 

ペラペラと千代の事を語るクリスを、恥ずかしそうに止めようとする千代だが、クリスは止まらない。

 

 

「おまけにこう見えて千代は運動神経もいいからね!成績優秀でスポーツ万能、加えてデュエルも強い才色兼備!まさにうちの中学のアイドル的存在だったんだよね~千代は!ファンクラブまで存在してたからね!」

 

 

「えぇ!?なにそれ!?初耳だよ私!?」

 

 

クリスの『ファンクラブ』と言う単語に驚愕する千代。

 

 

「ファンクラブって……それはまたスゲェな」

 

 

 

「そして何を隠そう!そのファンクラブの創設者にして会員番号1番!クリス・アンデルセンとはボクのことさ!!」

 

 

 

「お前が発端なのかよ!!?」

 

 

「酷いよクリスちゃん!!」

 

 

ドーン!効果音がつきそうな程高らかに宣言したクリスに、レイジのツッコミと千代の涙の叫びが木霊した。

 

 

「いやー冗談半分悪ふざけ半分で作ってみたら、予想以上に会員が集まってさ~」

 

 

「冗談半分悪ふざけ半分って…それほとんど嫌がらせじゃねぇか?」

 

 

「まぁそれだけ千代は人気があったってことだよ~」

 

 

「うぅ…何だか素直に喜べないよ……」

 

 

にししっ…と楽しそうに笑うクリスに、しょんぼりと肩を落とす千代。そんな様子の二人に、レイジと凛は苦笑いを浮かべるしかなかったのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

時間は進み、1時間目の授業……入学式の時にも使用した大きな教室で、レイジを含めた生徒達は席について雑談をしていた。

 

 

「1時間目の授業はデュエル学か……どんな先生だろうな?」

 

 

「僕は面白い先生なら大歓迎だけどね」

 

 

「どんな先生でも……ボクにとって授業は苦痛以外の何者でもないよ~」

 

 

「デュエル学ならそんなに難しくないと思うから、もう少しやる気だそうよクリスちゃん」

 

 

「甘いね千代!ボクは授業そのものが嫌いなんじゃないの!机に座ってジッとしてるのが嫌いなのー!!」

 

 

机をバンバンと叩きながら駄々っ子のように叫ぶクリスに、千代は「あはは……」と苦笑いを返すしかなかった。

 

 

すると、教室の入り口にある自動ドアが開き、そこから教員と思しき金髪の女性が入ってきた。

 

 

「みんな、揃ってるわね?」

 

 

女性教員は教室を見回して、欠席者がいない事を確認すると、笑みを浮かべながら自身の名を生徒達に告げた。

 

 

 

「私がデュエル学の担当教員……『天上院明日香』よ。ブルー女子寮の寮長も兼任してるわ。みんなよろしくね」

 

 

 

女性教員……明日香がそう言うと、生徒達からパチパチと拍手が起こる。

 

 

「へぇ、結構若い先生なんだな……………って千代?どうしたんだ?」

 

 

「ゴメン……今はちょっと…何も聞かないで」

 

 

「ぷっ…く…くく……!!」

 

 

明日香に拍手を送っていたレンジがふと、隣に座る千代の方を見てみると、彼女は何故か恥ずかしそうに両手で顔を覆っていた。

 

そしてその隣に座っているクリスは何故か笑いを堪えるように口元を押さえながら、肩を震わしていた。

 

 

「「???」」

 

 

そんな二人の反応に、レイジと凛は首を傾げるしかなかった。

 

 

 

そんなこんなで授業が始まった。

 

明日香の授業はとてもわかりやすく、勉強嫌いだと宣言していたクリスも「なるほど…」と言って理解出来るほどだ。

 

そして時間が進み、授業は終盤に差し掛かった。

 

 

「それじゃあ、フィールド魔法についての説明を……望月君、お願いできるかしら?」

 

 

「はい」

 

 

明日香の指名を受けて立ち上がったのは、ブルーの制服に身を包み、薄い水色の髪に黒縁メガネを掛けた、優しそうな雰囲気を持つ少年だった。

 

 

「フィールド魔法とは、自分と相手どちらかにしか発動することができないカードで、相手がフィールド魔法を使った状態で自分が発動すると新たに張り替える事が出来ます。主にフィールド魔法は種族や属性に関するカードが多々あり、その他にも『フュージョンゲート』など、特殊な効果を持つカードがありますが、フィールド魔法に共通していることは、条件さえ満たしていれば、お互い効果を使うことが出来るという所です」

 

 

「ありがとう、素晴らしい解答だったわ」

 

 

そう言って明日香が拍手を送ると、それに釣られるように周りの生徒も、望月と呼ばれる生徒に拍手を送る。そんな拍手の中、望月は一礼をしてから席についた。

 

 

「次は……そうね、遊城千代さん」

 

 

「は、はい!」

 

 

突然指名され、千代は慌てて立ち上がる。

 

 

「シンクロ召喚について、説明してくれるかしら?」

 

 

「はい!」

 

 

千代は小さく深呼吸をしたあとで、ゆっくりと説明を始めた。

 

 

「シンクロ召喚とは、近年にインダストリアル・イリュージョン社が新たに考案した、融合召喚・儀式召喚に次ぐ新しい召喚方法です。『チューナー』と呼ばれるモンスターのレベルと、その他のモンスターのレベルを足すことで、その合計のレベルを持つモンスターを召喚することができます。そのモンスターを『シンクロモンスター』と呼びます。融合召喚や儀式召喚とは違い、チューナーとレベルが揃っていれば、特定の魔法カードなどを使用せずに召喚出来るというメリットも持ち合わせています。今はまだ、そのシンクロモンスターのカードが少なくて、あまり活用されていませんが、数年後にはデュエルモンスターズの主役になるとも言われています」

 

 

「はい、ありがとう。そうね、シンクロモンスターのカードは一応世間に出回ってはいるけれど、それを持っている人は少ないわ。先生も、まだ見たことないわね」

 

 

明日香がそう言い終わると同時に、学校のチャイムが鳴り響く。

 

 

「あら?もう時間ね。今日の授業はここまでとします。次の授業は別の教室で行なわれるから、全員遅れないように向かうこと。いいわね?」

 

 

そう言い残して、明日香は教室をあとにして行った。

 

 

「よし凛、さっさと教室移動しようぜ」

 

 

「うん」

 

 

「千代、ボク達も行こう」

 

 

「……ゴメン、クリスちゃん。私ちょっと行くところが……」

 

 

「あー……そっか、了解了解。じゃあボク達は先に行ってるよ」

 

 

千代の言いたいことが何となく察しがついたクリスは手をヒラヒラと振りながら千代に背を向けた。

 

 

「ん?おいクリス、千代は一緒に行かねぇのか?」

 

 

「うん、千代はちょっと用事があるんだって」

 

 

「用事って?」

 

 

「女の子には色々あるんだよ。ほら二人も行った行った!」

 

 

「ちょっ、おい!わかったから押すなって……」

 

 

そう言って、クリスはレイジと凛の背中を押しながら教室を出て行った。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「ったく、クリスの奴……急かすからPADを教室に忘れちまったじゃねぇか」

 

 

と…ブツブツと愚痴りながら教室へと戻ってきたレイジ。

 

 

「確かここらへんに……あったあった」

 

 

自分が座っていた席の近くに置いてあったをPADを見つけるレイジ。すると……

 

 

『…………!!!』

 

 

「ん?」

 

 

レイジが入ってきた入り口とは向かい側にある別の出入り口から、何やら声が聞こえてきた。

 

 

「今の声って……」

 

 

その声に聞き覚えがあったレイジは、そっと声が聞こえてきた出入り口を開ける。そこには……

 

 

「もーー!!お父さんもそうだけど、どうして此処にいるの!!?」

 

 

「(やっぱり千代か。それにあれは……天上院先生?)」

 

 

レイジの予想通り、そこには何故か両手を振り上げて怒っている千代と、そんな千代に怒鳴られている明日香の姿があった。

 

 

「(あの二人、知り合いなのか?)」

 

 

盗み聞きをする事に若干の罪悪感を抱きつつも、好奇心に負けてドアの影から二人の様子を眺めるレイジ。

 

 

「どうしてって言われても……私はあなたがここを受験するって決める前から、ここで教師をすることが決まっていたんだけど……」

 

 

「だったらどうして教えてくれなかったの!?」

 

 

「それは……十代が面白そうだから黙っとけって……」

 

 

「……やっぱりお父さんが元凶なんだね……」

 

 

苦笑いをしながらそう言う明日香に、千代はガックリと項垂れる。

 

 

「ごめんなさいね……十代には、あとで私がしっかり文句を言っておいてあげるから」

 

 

「うん、わかったよ──」

 

 

と、一呼吸置いて……千代は明日香をこう呼んだ。

 

 

 

 

 

「──お母さん」

 

 

 

 

 

「お母さん!!?」

 

 

それを聞いたレイジは隠れていたにも関わらず大声でそう叫んでしまった。

 

 

「あ、ヤベ……」

 

 

「あら?」

 

 

「レ…レイジ君!!?」

 

 

当然レイジは二人に見つかってしまった。

 

 

「わ…わりぃ千代……盗み聞きするつもりはなかったんだが……」

 

 

そう言って申し訳なさそうに謝るレイジ。

 

 

「天上院先生って……千代の母さんだったんだな」

 

 

「あらあら、バレちゃったわね?」

 

 

「うぅ~……///」

 

 

「ふふふ…」と笑いながらそう言う明日香に、恥ずかしそうに顔を赤くする千代。

 

 

「改めて自己紹介するわね。デュエル学の担当教師で、千代の母親の『遊城明日香』よ。天上院は旧姓なの」

 

 

「あ、初めまして。千代の友達の神谷玲路です」

 

 

明日香に頭を下げながら自己紹介をするレイジ。そして顔を上げると、明日香の顔をジッと見る。

 

 

「(授業の時にも思ったけど、若そうな人だな……とても高校生の子供がいる人には見えん……)」

 

 

正直、明日香の見た目は女子大生です…と言われても納得してしまうほどだ。

 

 

「それにしても珍しいですね、夫婦揃って同じ学校の教師をするなんて……」

 

 

「さっき千代にも言ったけど、私は元々ここで教師をする予定だったの。急に赴任することになったのは十代の方なのよ。理由を聞いても教えてくれないし……」

 

 

「まったく……」と、溜息混じりにそう言う明日香に、レイジは苦笑いで返す。

 

 

「けどまぁ納得した。通りでさっきの授業で千代の元気がなかったわけだ」

 

 

「だ…だって両親がこの学校の先生をやってるってあまり知られたくないし……」

 

 

「なんで?遊城先生……はややこしいから……十代先生は楽しそうな先生だし、明日香先生は優しそうで良い先生じゃん。さっきの授業も分かり易かったし」

 

 

「確かにそうかもしれないけど……でも私にとっては、何だか毎日授業参観に来られてるみたいで……恥ずかしいし……」

 

 

「そんな贅沢言うんじゃねーよ、俺なんて両親がいねーんだぞ?」

 

 

「「えっ?」」

 

 

レイジが何気なく言った言葉に、千代と明日香が反応する。

 

 

「あ、勘違いすんじゃねーぞ。死んだとかそう言う重い話じゃなくて、ただ単に物心つく前に捨てられたってだけだから」

 

 

「もっと重いよっ!!」

 

 

「そうか?まぁ細かいことは気にすんな」

 

 

レイジの的外れな発現にツッコミをいれる千代。レイジはそんな千代を見てカラカラと笑う。

 

 

「とまぁ、俺の話はひとまず置いといて」

 

 

「そんな重そうな話をさらりと置いとかないでよ……」

 

 

「マイペースな子ね」

 

 

そんなレイジに、千代と明日香はやや呆れたような表情をする。

 

 

「とにかくさ、十代先生も明日香先生も、別に千代を困らせようとしてるわけじゃないんだし、そこまで恥ずかしがることねーだろ?家族なんだしさ、堂々としてりゃいいんだよ。な?」

 

 

「レイジ君……うん、そうだね」

 

 

「ははっ!だろ?」

 

 

「うん……えへへ」

 

 

千代がそう言うと、レイジは満足そうに笑顔を浮かべ、それを見た千代も釣られて笑顔を浮かべた。すると……

 

 

「それはそうとあなた達、そろそろ次の授業が始まる時間わよ?」

 

 

「「え?」」

 

 

明日香にそう言われ、二人はほぼ同時にPADの時計を確認すると、次の授業が始まる1分前だった。

 

 

「やっべ!急ごうぜ千代!」

 

 

「うん!それじゃお母さん──じゃなくて先生!失礼します!!」

 

 

そう言って、二人は大急ぎで廊下を走っていった。それを見送っていた明日香は、小さく微笑んだ。

 

 

「凄いわね、千代の不安をあっという間に取り除いちゃった。神谷玲路……似てるわね、入学したてだった頃の十代と……」

 

 

呟くように小さくそう言うと、明日香は職員室へと戻っていった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「あー…やっと昼休みだぜ」

 

 

「やっぱり高等部ともなると、勉強も一気に難しくなるね」

 

 

「うぅ~……頭の使い過ぎでボクもうお腹ペコペコだよ~」

 

 

「クリスちゃん……ほとんどの授業を寝てたような……」

 

 

午前の授業が終了し、そんな雑談をしながら廊下を歩く四人。

 

 

「昼メシはどうする?レッド寮の食堂に戻って食うか?」

 

 

「でもそれだと、イチイチこっちに戻ってこないといけなくなるから面倒だよ?それだったら購買で何か買って食べた方がいいと思うけど。ここの購買は結構色々あるし」

 

 

「うーん…そうだな、そうするか。千代とクリスはどうする?」

 

 

「ボクはご飯が食べられるなら何でもいいよ~」

 

 

「私もそれで大丈夫ですよ?」

 

 

「んじゃ決定。購買行こうぜ」

 

 

満場一致で決定したため、一同は購買へと歩みを進めていった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「へぇ~本当に色々あるな」

 

 

「うん。ここの購買はパンやお弁当はもちろん、カードパックとかも売ってるから、デッキ強化とかにも持って来いの場所なんだよ」

 

 

「凛君、随分詳しいね?」

 

 

「中等部に居た頃、この学校には何度か見学に来たからね。その時に覚えたんだよ」

 

 

「お前中等部出身だったのか?」

 

 

「まぁね。と言っても、成績が悪くてレッドに配属された落ちこぼれだけどね」

 

 

「そんなことはどーでもいいからさ~、早くご飯食べようよ~」

 

 

「あはは、クリスちゃんは本当にお腹空いてるんだね。それじゃあ、アレなんてどうかな?」

 

 

そう言って凛が指差す方向に視線を向ける三人。そこには、小さな袋がワゴン一杯に盛られていた。

 

 

「なんだこれ?」

 

 

「これはデュエルアカデミア名物『ドローパン』だよ」

 

 

「「「ドローパン?」」」

 

 

聞いた事の無いパンの名称に、三人は首を傾げる。

 

 

「ドローパンはね、コロッケやヤキソバ…さらにはピザやクリームとかが鋏まれたパンがこんな風に外からは見えない袋で隠されていて、買って開封するまで何が入ってるパンなのかわからないパンなんだ」

 

 

ワゴンの中から1袋を掴みあげて説明を始める凛。

 

 

「中にはゴーヤやニンジンなどのハズレの部類に入るパンなどもあれば、ステーキやキャビアなどの高級食材とかが入った当たりパンもあるのさ」

 

 

「わぁ…面白そうだね!」

 

 

「あぁ、何が出るか分からないってのに興味をそそられるな」

 

 

「まさに、ドローパンだね!」

 

 

凛の説明を聞いて、ドローパンに興味を抱く三人。

 

 

「そしてさらに、そのドローパンの中にはたった1個だけ大当たりとされているパンがあるんだ。その名も『黄金のタマゴパン』」

 

 

「「「黄金のタマゴパン!!?」」」

 

 

名前だけでも高級感漂うパンに、三人は興味を引く。

 

 

「このデュエルアカデミアでは黄金のニワトリが飼われていてね、そのニワトリが1日に1個しか産まない卵を具に使ったパンなんだ。当然、中身の黄身の部分も黄金に輝き、その味は高級ステーキすら足元にも及ばないって話だよ。まぁ、僕もまだ食べたことないんだけどね」

 

 

「面白そうだな!じゃあさっそくやってみようぜ!」

 

 

「うん!」

 

 

「よーし!やるぞー!」

 

 

「じゃあ僕も、久しぶりにやろうかな」

 

 

そう言ってさっそくワゴンの中に入っているドローパンの袋を選び始める4人。

 

そして選び終えると、クリスの提案で順番に開けることになった。

 

 

「じゃあボクから開けるね」

 

 

そう言って言いだしっぺのクリスがさっそく袋を開封し、ドローパンを口に含む。

 

 

「あっ、これって唐揚げパンだね。唐揚げ大好きだから、ボク的には当たりだよ~♪」

 

 

そう言いながら嬉しそうに当てた唐揚げパンを完食するクリス。

 

 

「じゃあ次は僕だね」

 

 

クリスの次に開封した凛は、すぐにパンを口の中へと運ぶ。

 

 

「中身はカレーパンだね。別に嫌いじゃないからいいけど、何となく普通感が否めないね」

 

 

少し残念そうにしながら、当てたカレーパンを頬張る凛。

 

 

「えっと…今度は私だね」

 

 

そう言って若干戸惑いながら袋を開封し、ドローパンを口に含む千代。

 

 

「あっ、エビフライだ。私エビフライ大好物なんです♪」

 

 

大好物のパンを引き当てたことで、千代は嬉しそうな笑顔を浮かべながらエビフライパンを頬張る。

 

 

「最後は俺だな」

 

 

何となく最後まで残っていたレイジは、さっそく袋を開封し、中身のドローパンを頬張る。しかし……

 

 

「……あれ?」

 

 

「どうしたの?」

 

 

「なんも入ってねぇ」

 

 

何故かパンの中には何の具も入っていなかった。

 

 

「スカって事かな?」

 

 

「いや、ドローパンの中には絶対に何かしらの具が入ってるハズだけど……」

 

 

「って事は、学校側のミスってことかな?」

 

 

クリス、凛、千代の順番でそう言うと、レイジがある事に気がついた。

 

 

「ん…待て、何か入ってる」

 

 

かじった部分をよく見ると、パンの奥から何かが見えていた。

 

不思議に思ったレイジはパンをかじるのではなく、ドローパンの真ん中部分を開いて中身を確認してみると……

 

 

「カ…カード!!?」

 

 

なんとその中には、デュエルモンスターズのカードが入っていた。しかも3枚。

 

 

「さ…さすがデュエルアカデミア……この学校にとってはカードもパンの具なんだね」

 

 

「これは僕も初めて見たよ……」

 

 

「何のカードが入っていたんですか?」

 

 

クリスト凛が驚愕している間に、千代が何のカードかを尋ねる。

 

 

「えっとな……」

 

 

そしてドローパンの中に入っていたカードは……

 

 

・エフェクト・ヴェーラー

 

・スキル・サクセサー

 

・守護霊のお守り

 

 

「パンに挟まってた割りに結構強力なカードが多いな。これは俺のデッキ強化にも使えそうだ」

 

 

「ある意味、レイジが一番の当たりかもね」

 

 

「私達デュエリストにとって、カードが何よりも大切ですからね」

 

 

「でも結局、誰も黄金のタマゴパンを当てられなかったね~」

 

 

目的のパンを当てられなかった事に、クリスが残念そうに言う。すると……

 

 

「おっ!お前らもここでメシか?」

 

 

「あ、十代先生」

 

 

「お父さん!」

 

 

購買に十代がやって来た。

 

 

「いやーまいったぜ。ちょっと明日香の奴から説教喰らっちまってよ……昼メシ食い損ねるかと思ったぜ」

 

 

「(さっそく怒られたんだ……)」

 

 

朝の千代と明日香のやり取りを見ていたレイジはすぐに察しがつき、心の中で呟く。

 

 

「お、懐かしいな…ドローパンじゃねぇか。誰か当たりを引いた奴はいるのか?」

 

 

レイジ達が持っているドローパンを見て懐かしそうにそう尋ねる十代。

 

 

「残念なことに、ボク達み~んな外しちゃったんだ~。黄金のタマゴパン、食べたかったなぁ~」

 

 

「ははっ、確かにあのタマゴパンは相当な引きを持ってる奴しか食えないからな」

 

 

そう言いながら十代はワゴンの中のドローパンを1袋掴みあげる。

 

 

「ほらよ」

 

 

「へ?わぁっ…とと……!」

 

 

そしてその袋をそのまま千代に向かって投げ渡し、千代は驚きながらもそれを受け止めた。

 

 

「開けてみな」

 

 

「???」

 

 

十代の行動に首を傾げながらドローパンの袋を開封して、中身を取り出す千代。すると……

 

 

「あっ!金のタマゴだ!」

 

 

「なに!?」

 

 

「うそ?」

 

 

「ホント!?」

 

 

なんとその中身は大当たりの黄金のタマゴパンであった。

 

 

「仲良く分けて食えよ~」

 

 

そう言い残して十代は自分の昼食を調達するべく、購買の奥へと向かっていった。

 

 

「この中にたった1個しか存在しない黄金のタマゴパンを……こんなにあっさり……」

 

 

「ボクもパパから十代先生は引きの強い人だって聞いてはいたけど……」

 

 

「千代……お前の父さんスゲェな……」

 

 

「うん、私も今日始めて知ったよ……」

 

 

そんな十代の背中を、レイジ達は呆然としながら見送っていたのだった。

 

 

因みに4人で分けて食べた黄金のタマゴパンは想像以上に絶品だったらしい。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「いや~思った以上に上手かったな、黄金のタマゴパン」

 

 

「ホント!ボクも食べた瞬間、即大好物に決定したよ!」

 

 

「千代ちゃん、あとで十代先生にお礼言っておいてくれる?」

 

 

「うん、わかった」

 

 

結局…昼食をドローパンだけで終えてしまったレイジ達は、特にやる事も無いため、残った昼休みを使って校内を歩き回っていた。

 

 

「……ん?」

 

 

すると、突然レイジが足を止めた。そんなレイジに千代が声を掛ける。

 

 

「どうしたの?レイジ君?」

 

 

「今……どっかからデュエルの音が聞こえた」

 

 

「デュエルの音?」

 

 

「あぁ……俺のターンとか、ドローとか……」

 

 

「クリスちゃん、聞こえた?」

 

 

「ううん、ボクには全然」

 

 

「気のせいじゃないの?レイジ」

 

 

「いや、間違いない。こっちだ!」

 

 

そう言うと、突然走り出すレイジ。そんなレイジに戸惑いながらも、千代達はレイジの跡を追いかける。

 

 

そして、しばらく走ると……

 

 

「ここだ!」

 

 

レイジは学園内にある巨大なデュエルスペースへとたどり着いた。

 

 

そしてそこでは、二人のブルーの制服を着た生徒がデュエルしており、その様子を同じくブルーの制服を着た1人の生徒が観戦していた。

 

 

「なっ?言っただろ?」

 

 

「ほ…本当にデュエルしてる……」

 

 

「レイジ君って耳がいいの?それともデュエルセンサーでもついてるのかな?」

 

 

そう得意気に言うレイジと、本当にデュエルが行われていたことに驚く千代とクリス。

 

 

「……………」

 

 

そんな中…凛だけが、そのデュエルを複雑そうな表情で見ていた。

 

 

「おや?君たちも見学ですか?」

 

 

すると、デュエルを観戦していたブルー生徒がレイジ達に歩み寄ってくる。

 

 

「あれ?お前確か、1時間目のデュエル学であてられてた……」

 

 

そう…その生徒は、明日香の授業でフィールド魔法について説明していた生徒であった。

 

 

「『望月氷夜』と申します。君たちと同じ1年生ですよ」

 

 

笑顔を浮かべながら紳士的な態度で自己紹介をする氷夜。それに応えて、レイジ達も自己紹介をする。

 

 

「俺は神谷玲路。よろしくな」

 

 

「遊城千代です。よろしくお願いします」

 

 

「ボクはクリス・アンデルセンだよ!よろしく~」

 

 

「………万丈目凛」

 

 

レイジ、千代、クリスの三人はキチンと氷夜に自己紹介する中、凛だけは視線をデュエルから離さず適当な態度で名前を言った。

 

そんな凛の態度に、氷夜は気分を害することはなかったが、代わりに何かを考えるような素振りを見せた。

 

 

「万丈目?あぁ……ひょっとしてキミは──」

 

 

氷夜がそう言いかけたその時……

 

 

「うわぁぁあああ!!!」

 

 

「「「「!!?」」」」

 

 

突然聞こえてきた悲鳴に、凛以外の全員が視線をデュエルをしている二人へと向ける。そこには1体のドラゴンモンスターを従えた黒髪のブルー生と、フィールドがガラ空きの状態で、愕然とした表情で立っているブルー生の姿があった。

 

 

「ふん……貴様ごときのデュエリストが、この俺に敵うものか!『デス・ヴォルストガルフ』でダイレクトアタック!!デス・ブラスト!!!」

 

 

「ぐあぁぁぁぁああああ!!!」

 

 

デス・ヴォルストガルフが放った攻撃は、相手のブルー生を飲み込んでライフを0にした。

 

 

「失せろ……ザコが」

 

 

吐き捨てるようにそう言い残し、デュエルスペースを下りる少年。そんな少年を、氷夜が拍手をしながら迎える。

 

 

「お見事。高等部に上がっても、デュエルの腕は健在ですね」

 

 

「ふん、当然だ…………ん?」

 

 

そう言って少年は得意気な笑みを浮かべると、視線をレイジ達……いや、凛へと移した。

 

 

「貴様……凛っ!!」

 

 

先ほどの笑みからは一転し、憤怒の表情を浮かべながら凛に歩み寄る少年。そんな少年に対し、凛は冷静な態度で口を開いた。

 

 

「久しぶりだね……蓮兄さん」

 

 

「「「兄さん!!?」」」

 

 

蓮と呼ばれた少年が、凛の兄だと言う事に驚愕するレイジたち。

 

 

「ってことは、こいつが凛の言っていた双子の兄か?」

 

 

「そうだよ。この人が僕の双子の兄さん……『万丈目蓮』だ」

 

 

そう言って蓮を紹介する凛だが、当の連は凛を睨んだままだった。

 

 

「答えろ凛!!貴様……何故オシリス・レッドなどに堕ちた!!?貴様の成績と実力なら、俺と同じ制服を着ることだって出来たハズだ!!」

 

 

「「「えっ!!?」」」

 

 

それはつまり……凛は元々オベリスク・ブルーに行ける実力と成績があるのにも関わらず、オシリス・レッドに在籍しているということだ。

 

その事実に、三人が驚愕していると、凛が微笑を浮かべながら口を開いた。

 

 

「そんなの簡単だよ…………興味がないからさ」

 

 

「なんだと……?」

 

 

凛の言葉を聞いて、さらに彼を睨む蓮。しかし凛は意にも介さず言葉を続ける。

 

 

「蓮兄さんは僕の基本的な行動基準を知ってるよね?興味があるか無いか……ただそれだけだよ」

 

 

「……ブルーにはお前の興味を引く奴がいないとでも言うのか?」

 

 

「そうだね。蓮兄さんも含めて、今のブルー生の中には僕の興味をそそる人はいない」

 

 

「ブルーに在籍する、アカデミアの〝三大王〟の称号を持つ奴らでもか……!?」

 

 

「確かにあの3人は強いし、僕も一時期は興味をそそられそうになったけど、でもダメだったよ。彼らのデュエルは完璧過ぎて、逆につまらないからね」

 

 

「っ……ふざけるなっ!!そんなバカげた理由で、わざわざ落ちこぼれのレッドに行ったというのか!!?」

 

 

凛の言葉を聞いて激昂した蓮は彼の胸倉を掴んで怒鳴るが、凛は表情を一切変えずに蓮の手を解いて、口を開く。

 

 

「少なくとも……レッドに所属する彼らの方がよっぽど興味があるよ」

 

 

凛はレイジ達三人に目配せをしながらそう言い放った。

 

 

「それじゃあ僕は行くね。また校内のどこかで会ったら話そうね~」

 

 

「ちょっ、おい凛!待てよ!」

 

 

「凛君!」

 

 

「あっ、置いていかないで!」

 

 

そう言い残して立ち去って行く凛を追って、レイジ達もその場を後にしていった。

 

 

そしてそんな凛の背中を憎々しげに睨みつけている蓮に、先ほどまで一切口を挟まなかった氷夜が声を掛ける。

 

 

「彼が蓮君の弟さんですか。少々変わった性格の子ですね」

 

 

「……あれは昔からだ。凛は自分が興味を持った物事に対してはかなり積極的になるが、その反面で興味がなければ無関心を貫き通す……そういう奴だ。だが……」

 

 

「だが?」

 

 

「あいつが物事に対して興味を示したことは多々あるが……人間に対して興味を持ったのは初めてだ」

 

 

氷夜の問い掛けににそう答えると、蓮は視線を凛からレイジと千代に移す。

 

 

「(あの二人は確か……入学試験の時の……)」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

そして放課後。レッド寮に戻ってきたレイジ達は食堂に集まっていた。

 

 

「凛君ってさ、お兄さんと仲悪いの?」

 

 

「別に悪いってわけじゃないよ。まぁ性格の相性が合わなくてよく反発はするけどね、さっきみたいに」

 

 

「まぁ、お前ら兄弟の関係をとやかく言う気はないからそれはいいんだが……俺が気になるのは、ブルーに入れる実力があるのに、どうしてわざわざレッド寮に入ったんだ?」

 

 

「凛君、成績が悪くてレッドに配属されたって言ってたのに……」

 

 

「それはウソじゃないよ。今年の春以降、僕の成績はガタ落ちして、結果このレッド寮に配属されたんだ」

 

 

「つまり……わざと成績を落としたってこと?」

 

 

「まぁ簡単に言うとそうだね」

 

 

レイジ達の問い掛けに淡々と答えていく凛。

 

 

「本当はブルーに行ってもよかったんだけど、今年の入学試験を見てから気が変わったんだ」

 

 

「入学試験を?」

 

 

「うん。特に……レイジと千代ちゃんのデュエルを見てね」

 

 

「私と…レイジ君のデュエルを?」

 

 

「そっ……君たち二人のデュエルを見て、ブルーに行こうと思っていた僕の気が変わったんだ。どうせだったら同じ寮がいいと思ってね、それで成績を下げてレッドに来たんだ」

 

 

「ちょっと待て、どうして俺達がレッド寮に配属されるってわかったんだ?」

 

 

「ボク達だって入学式の日に、船に乗る直前に言い渡されたのに……」

 

 

「あぁ、簡単だよ。学校のパソコンを使ってここのメインコンピューターにハッキ──じゃなくて、色々と調べたんだよ」

 

 

「「「………………」」」

 

 

なにやら凛の口から聞いてはいけない物騒な単語が聞こえそうになったが、三人はあえて聞かなかったことにした。

 

 

「いやまぁ……お前が別に後悔してないならそれでいいが……」

 

 

「そう?じゃあこの話はもう終わりね」

 

 

凛がそう締めくくると同時に、妙な空気が食堂を支配する。そんな空気を変えるように、クリスが口を開いた。

 

 

「そ、そういえばさ!昼間に蓮君が言ってた、アカデミアの〝三大王〟って何のこと?」

 

 

クリスのとっさの問い掛けに、凛が答える。

 

 

「アカデミアの〝三大王〟って言うのは、文字通りこのデュエルアカデミアの頂点に君臨する『王』の称号を持つ三人のことだよ」

 

 

「『王』の称号?」

 

 

「うん。その三人はそれぞれ『帝王』『冥王』『覇王』と呼ばれているんだ。ゆえに〝三大王〟なのさ」

 

 

「名前からして、強そうだね」

 

 

「強いよ。少なくとも僕達よりはね」

 

 

「へぇ~そんな奴らがいるのか!いつかデュエルしてみてーなぁ!」

 

 

凛から〝三大王〟の話を聞いて、目を輝かせるレイジ。すると……

 

 

PiPiPi!!

 

 

「っと……メール?」

 

 

突然レイジのPADにメールが届き、電子音が鳴り響く。

 

 

「知らねぇアドレスだな……誰だ?」

 

 

いきなり届いたメールに首を傾げながらメールを開くレイジ。すると同時に、動画が流れる。

 

 

「こいつは……万丈目蓮!?」

 

 

「え?蓮兄さんから?」

 

 

動画に写った蓮の姿にレイジは驚き、それを聞いて凛も反応する。

 

 

『神谷玲路……このオベリスク・ブルー1年の万丈目蓮が、貴様にデュエルを申し込む。今夜0時に昼間のデュエルスペースで待っているぞ』

 

 

そう言い終わると同時に、画面から蓮の顔が消える。

 

 

「デュエルの申し込みか……おもしれぇ、こいつは行くしかねーな」

 

 

「ちょ、ちょっと待ってレイジ君!」

 

 

蓮の誘いに乗る気満々のレイジを、千代が慌てて止める。

 

 

「時間外に学校の施設を勝手に使ってバレたら、校則違反で停学……最悪退学になっちゃうよっ!!」

 

 

「それは知ってるよ、生徒手帳に書いてあったしな。でもそれは万丈目にも言える事だ……あいつもその覚悟を持って、俺にメールを送ってきたんだろ?だったらその覚悟に応えてやらねーと、デュエリストじゃねーぜ」

 

 

「うぅ……!」

 

 

レイジの決意の篭ったその言葉に、千代は言いよどむ。

 

 

「だったらレイジ、僕もついていくよ。たぶん僕が原因だと思うしね」

 

 

「あっ!じゃあボクも行くー!なんか面白そうだし!!」

 

 

「えぇ!?クリスちゃんまで……」

 

 

凛だけでなく、クリスまで行くと言い出したことに千代は驚く。

 

 

「千代は行かないの?」

 

 

「え?う~ん……」

 

 

クリスの問い掛けに、千代は考え込む。

 

 

「わ…私も行く……心配だから……」

 

 

そう言って、千代の参加も決定した。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

そしてその夜……レッド寮をこっそりと抜け出したレイジ達は、指定場所である校内のデュエルスペースへとやって来た。

 

 

「よく来たな……神谷玲路」

 

 

そこには既に来ていた蓮が立っていた。

 

 

「挑まれたデュエルは全部受ける主義なんでな」

 

 

「ふん…中々良い度胸だ。見せてもらうぞ、凛が目をつけた貴様の実力を」

 

 

そんな会話をしながらレイジと蓮は互いに向き合い、デュエルディスクを作動させる。

 

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

 

先攻

万丈目蓮

LP:4000

 

後攻

神谷玲路

LP:4000

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「俺の先攻!ドロー!俺は『仮面竜』を攻撃表示で召喚!」

 

 

仮面竜(マスクド・ドラゴン)

LV:3

ATK:1400

 

 

「カードを1枚セットして、ターンエンドだ」

 

 

LP:4000

仮面竜(ATK:1400)

伏せカード:1枚

手札:4枚

 

 

「俺のターン、ドロー!よし……来いっ『憑依装着―ダルク』!!」

 

 

憑依装着―ダルク

LV:4

ATK:1850

 

 

「今日も頼むぜ、ダルク」

 

 

『あぁ……任せろ』

 

 

レイジの言葉を聞いて、力強く頷くダルク。

 

 

 

 

 

「っ……千代、今の声……」

 

 

「うん!私にも聞こえた……」

 

 

レイジとダルクの会話を聞いて、千代とクリスは驚愕の表情を浮かべる。

 

 

「二人にも、精霊の声が聞こえたの?」

 

 

「も…って事は、凛君にも?」

 

 

「やっぱりアレは、カードの精霊なんだ……」

 

 

 

 

 

「行くぞ!ダルクで仮面竜に攻撃!!」

 

 

『ダークネス・ロンド!!』

 

 

ダルクが持っている杖から放った闇の魔法が、仮面竜を破壊する。

 

 

LP:4000→3550

 

 

「チッ……だがこの瞬間、仮面竜のモンスター効果発動!このカードが戦闘によって破壊され、墓地に送られた時、デッキから攻撃力1500以下のドラゴン族モンスターを1体を特殊召喚する!現れろ!『アームド・ドラゴンLV3』!!!」

 

 

アームド・ドラゴン

LV:3

ATK:1200

 

 

「(レベルモンスターか…厄介だな……破壊したいが、今の俺の手札にはモンスター除去のカードはない……仕方ないか……)俺はカードを1枚セットして、ターンエンドだ」

 

 

レイジ

LP:4000

憑依装着―ダルク(ATK:1850)

伏せカード:1枚

手札:4枚

 

 

 

 

 

「マズイね……早くも蓮兄さんのエースモンスターが出てきた」

 

 

「あれってレベルモンスターだよね?伝説って言われるほどの物凄いレアカードなのに……」

 

 

「レイジ君……」

 

 

 

 

 

「俺のターン、ドロー!このスタンバイフェイズ時に、アームド・ドラゴンはレベルアップする!いでよ『アームド・ドラゴンLV5』!!!」

 

 

アームド・ドラゴン

LV:5

ATK:2400

 

 

「そしてアームド・ドラゴンの効果発動!手札のモンスターカード1枚を墓地へ送ることで、そのモンスターの攻撃力以下の相手モンスター1体を破壊する!俺は手札から『デス・ヴォルストガルフ』を墓地へ!」

 

 

「デス・ヴォルストガルフの攻撃力は2200……ってことは……」

 

 

「そうだ!この効果により、ダルクを破壊する!!デストロイド・パイル!!!」

 

 

蓮がそう宣言すると同時に、アームド・ドラゴンはダルクに向けて体中のトゲをミサイルのように発射した。

 

 

『ぐあぁぁあああ!!』

 

 

そしてそれを喰らったダルクは破壊されてしまった。

 

 

「くっ……ダルク……」

 

 

「まだだ!アームド・ドラゴンには通常攻撃が残っている!アームド・ドラゴンでダイレクトアタック!!アームド・パニッシャー!!!」

 

 

「うあぁぁあああああ!!!」

 

 

アームド・ドラゴンの巨大な拳が、レイジを殴り飛ばした。

 

 

レイジ

LP:4000→1600

 

 

「ぐっ……この瞬間、リバースカードオープン!『ダメージ・コンデンサー』!このカードは自分が戦闘ダメージを受けたとき、手札を1枚捨てることで、そのダメージの数値以下の攻撃力を持つモンスター1体を自分のデッキからフィールド上に特殊召喚する!『憑依装着―ヒータ』を守備表示で召喚!!」

 

 

憑依装着―ヒータ

DEF:1500

 

 

「ふん……ターンエンドだ」

 

 

LP:3550

アームド・ドラゴン(ATK:2400)

伏せカード:1枚

手札:4枚

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 

デッキからドローしたカードを手札に加え、自分の手札を眺める。

 

 

「(……よしっ、今日の主役はお前だ!)俺はモンスターをセットして、カードを1枚セットして、ターンエンドだ」

 

 

レイジ

LP:1600

憑依装着―ヒータ(DEF1500)

セットモンスター1体

伏せカード:1枚

手札:2枚

 

 

「俺のターン、ドロー!アームド・ドラゴンのモンスター効果を発動!手札から攻撃力2400の『タイガードラゴン』を墓地へ送り、ヒータを破壊する!デストロイド・パイル!!」

 

 

『うあぁぁあああ!!』

 

 

アームド・ドラゴンから放たれたトゲのミサイルが、ヒータを破壊した。

 

 

「くっ…すまないヒータ……」

 

 

「バトル!アームド・ドラゴンでセットモンスターを攻撃!アームド・パニッシャー!!」

 

 

「永続罠発動!『デプス・アミュレット』!相手モンスターの攻撃宣言時、手札を1枚墓地に捨てることで、その攻撃を無効にする」

 

 

「チィ、小賢しいマネを……ターンエンドだ!」

 

 

LP:3550

アームド・ドラゴン(ATK:2400)

伏せカード:1枚

手札:4枚

 

 

「俺のターン、ドロー!俺はセットされたモンスターを反転召喚する!そのカードは『風霊使いウィン』だ!!」

 

 

風霊使いウィン

LV:3

ATK:500

 

 

『んー?あ、レイジおはよ~』

 

 

「おはようって……もう夜だぞ。それより、今回のデュエルはお前が主役だ!頼んだぜ、ウィン!」

 

 

『うん~!頑張るー!』

 

 

妙にのんびりとした言葉でそう返事をするウィン。

 

 

「風霊使いウィンのリバース効果発動!このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、相手フィールド上の風属性モンスター1体のコントロールを得る。よって俺は、風属性のアームド・ドラゴンのコントロールを得るぜ!!」

 

 

「な…なんだとぉ!?」

 

 

「風の導き!」

 

 

ウィンが持っている杖から風魔法が放たれると、アームド・ドラゴンはその風に誘われるようにレイジのフィールドへと移ろうとする。

 

 

「チィ!裏切り者のドラゴンなどに用はない!その効果にチェーンして罠発動『ジェネレーション・チェンジ』!自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を破壊し、自分のデッキから破壊したカードと同名カード1枚を手札に加える。消えろ!裏切り者!!」

 

 

蓮がそう言い放つと同時に、アームド・ドラゴンは爆散していった。

 

 

「だったら俺は手札から『プチリュウ』を通常召喚!」

 

 

プチリュウ

LV:2

ATK:600

 

 

「そしてこのプチリュウとウィンを墓地へ送ることで『憑依装着―ウィン』を特殊召喚!!」

 

 

憑依装着―ウィン

LV:4

ATK:1850

 

 

「ウィンでダイレクトアタック!」

 

 

『エアリアル・ショット~』

 

 

「ぐぅぅうう!!!」

 

 

ウィンが杖から放った風魔法が蓮のライフを削る。

 

 

LP:3550→1700

 

 

「そして俺はメインフェイズ2で魔法カード『マジック・プランター』を発動。このカードは自分フィールド上に表側表示で存在する永続罠1枚を墓地へ送り、自分のデッキからカードを2枚ドローする。俺はデプス・アミュレットを墓地へ送り、カードを2枚ドロー!」

 

 

レイジのフィールドからデプス・アミュレットが消え、レイジはデッキからカードをドローする。

 

 

「(っ……このカードは……)」

 

 

レイジはドローしたカードを見て、一瞬だけ目の色を変えた。

 

 

「カードを2枚セットして、ターンエンドだ」

 

 

レイジ

LP:1600

憑依装着―ウィン(ATK:1850)

伏せカード:2枚

手札:0枚

 

 

 

 

 

「ライフが並んだ!今の所は互角だね……」

 

 

「それはどうかな?」

 

 

「どういうこと?凛君?」

 

 

「蓮兄さんのアームド・ドラゴンの恐ろしさはここからだよ。もしあのカードが蓮兄さんの手札にあったら……レイジは負ける」

 

 

「「!!?」」

 

 

 

 

 

「俺のターン、ドロー!少しは出来るようだが、その程度では俺に勝つことは出来ん!俺は魔法カード『レベル調整』を発動!相手がカードを2枚ドローする代わりに、墓地に存在する『LV』を持つモンスター1体を、召喚条件を無視して特殊召喚する。戻って来い!アームド・ドラゴン!!」

 

 

アームド・ドラゴン

LV:5

ATK:2400

 

 

「ただしこの効果で特殊召喚したモンスターは、このターン攻撃できず効果を発動する事もできない。だが俺は更なる魔法カード『レベルアップ!』を発動!フィールド上に表側表示で存在する『LV』を持つモンスター1体を墓地へ送り、そのカードに記されているモンスターを召喚条件を無視して特殊召喚する!現れろっ!!『アームド・ドラゴンLV7』!!!」

 

 

アームド・ドラゴン

LV:7

ATK:2800

 

 

「アームド・ドラゴン……LV7……!!」

 

 

「ククク……アームド・ドラゴンLV7の効果発動!手札のモンスターカード1枚を墓地に送る事で、そのモンスターの攻撃力以下の相手フィールド上表側表示モンスターを全て破壊する!!」

 

 

「なに!?その効果もレベルアップしているのか!!?」

 

 

「俺はジェネレーション・チェンジの効果で手札に加えた『アームド・ドラゴンLV5』を墓地へ送り、その攻撃力2400以下の貴様のモンスターを全て破壊する!!ジェノサイド・カッター!!!」

 

 

アームド・ドラゴンは身体中に身に着けた刃を飛ばし、レイジの場のウィンを破壊しようとする。

 

 

「その効果にチェーンして、罠カード発動!『守護霊のお守り』!ターン終了時まで、俺のフィールド上に存在するモンスター1体は自分の墓地に存在するモンスター1体につき攻撃力が100ポイントアップする!!対象は当然ウィンだ!!」

 

 

「ふん、残念だがお前の墓地に存在するモンスターは4体……よってウィンの攻撃力は2250止まり」

 

 

「それはどうかな?俺の墓地に存在するモンスターは……このカードだ!」

 

 

そう言ってレイジは墓地のカードを抜き出して蓮に見せる。そのカードとは……

 

 

『憑依装着―ダルク』

『憑依装着―ヒータ』

『風霊使いウィン』

『D・ナポレオン』

『プチリュウ』

『きつね火』

 

 

の6枚であった。

 

 

「なに!?バカな!貴様の墓地のモンスターは4体だったハズ!」

 

 

「よく思い出せよ……俺がこのデュエルに使ったカードをよ」

 

 

「……そうか、ダメージ・コンデンサーとデプス・アミュレットの効果で墓地に送っていたのか」

 

 

「その通り!ウィンの攻撃力は600ポイントアップ!!」

 

 

憑依装着―ウィン

ATK:1850→2450

 

 

「これでお前が墓地へ送ったアームド・ドラゴンの攻撃力は上回った!よってウィンはその効果の対象外となる!」

 

 

 

 

 

「くっ…おのれ……だが!アームド・ドラゴンの通常攻撃が残っているのを忘れるな!!行けアームド・ドラゴン!!アームド・パニッシャー!!!」

 

 

「当然、それも忘れてないぜ!リバースカードオープン!『スキル・サクセサー』!このターンのエンドフェイズまで俺のフィールド上のモンスター1体の攻撃力は400ポイントアップする!!」

 

 

「なっ!?」

 

 

憑依装着―ウィン

ATK:2450→2850

 

 

「ドローパンで手に入れたカードが、役に立ったぜ!」

 

 

そう、レイジが使用した『守護霊のお守り』と『スキル・サクセサー』は昼間のドローパンの中に入っていたカードの1枚なのである。

 

 

「これでウィンの攻撃力はアームド・ドラゴンを上回った!行けウィン!反撃だ!!」

 

 

『うん!エアリアル・ショット~!』

 

 

ウィンの風魔法の反撃が、アームド・ドラゴンに迫る。

 

 

「くっ……くそぉ!俺は手札から速攻魔法『レベルダウン!?』を発動!アームド・ドラゴンLV7をデッキに戻し、墓地のアームド・ドラゴンLV5を特殊召喚!!!」

 

 

アームド・ドラゴン

LV:5

ATK:2400

 

 

「ちぇ、かわされたか……」

 

 

「(なんて奴だ神谷玲路……俺のアームド・ドラゴン相手に、あんな低級モンスターで張り合ってきやがる。決して攻撃力が高いわけではないのに………ん?攻撃力が高くない……まさか!!)」

 

 

すると、ある一つの事に思い立った蓮は拳を強く握る。

 

 

「(だとしたらコイツ……舐めやがって!!)」

 

 

「ん?」

 

 

何故か怒りの視線をぶつけて来る蓮に、レイジは首を傾げるが、蓮は構わずデュエルを続行した。

 

 

「俺はカードを2枚セットして、ターンエンド!!そしてこの瞬間、貴様のウィンの攻撃力は元に戻る!」

 

 

憑依装着―ウィン

ATK:2850→1850

 

 

LP:1700

アームド・ドラゴン(ATK:2400)

伏せカード:2枚

手札:0枚

 

 

「俺のターン、ドロー!俺は手札から魔法カード『死者蘇生』を発動!蘇れ『憑依装着―ダルク』!!!」

 

 

憑依装着―ダルク

ATK:1850

 

 

「そして墓地から『スキル・サクセサー』の効果を再び発動!墓地のこのカードをゲームから除外することで、モンスター1体の攻撃力を800ポイントアップさせる!俺は対象をウィンにして、この効果を発動!」

 

 

憑依装着―ウィン

ATK:1850→2650

 

 

「ウィンでアームド・ドラゴンを攻撃!!」

 

 

『エアリアル・ショット~!』

 

 

「アームド・ドラゴンは破壊させん!罠カード発動『ドゥラビリティ(竜の耐久力)』を発動!俺のフィールドのドラゴン族が攻撃対象になった時 攻撃力を半分にすることで、このターン戦闘では破壊されず、プレイヤーへのダメージも0になる!」

 

 

 

ドゥラビリティ(竜の耐久力)

罠カード

漫画オリジナル

自分フィールド上のドラゴン族が攻撃対象になった時 攻撃力を半分にすることで、このターン戦闘では破壊されず、プレイヤーへのダメージも0にとなる。

 

 

 

アームド・ドラゴン

ATK:2400→1200

 

 

「なら俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ。そしてウィンの攻撃力は元に戻る」

 

 

憑依装着―ウィン

ATK:2650→1850

 

 

レイジ

LP:1600

憑依装着―ウィン

憑依装着―ダルク

伏せカード1枚

手札:1枚

 

 

「俺のターン、ドロー!俺は手札から『天よりの宝札』を発動!お互いのプレイヤーは手札が6枚になるようにカードをドローする。」

 

 

その効果により蓮は6枚、レイジは5枚のカードをそれぞれドローした。

 

 

 

天よりの宝札

魔法カード

アニメ効果仕様

お互いのプレイヤーは手札が6枚になるようにデッキからカードをドローする。

 

 

 

「さらに魔法カード『魔法石の採掘』!手札を2枚捨てることで、自分の墓地の魔法カード1枚を選択し、そのカードを手札に加える。俺が加えるのは『レベルアップ!』のカード!」

 

 

「レベルアップ……ってことは……」

 

 

「そうだ!俺は手札に加えた『レベルアップ!』をそのまま発動!再び舞い戻れ!!アームド・ドラゴンLV7!!!」

 

 

アームド・ドラゴン

LV:7

ATK:2800

 

 

「さらに俺は手札から『神竜ラグナロク』を通常召喚!」

 

 

神竜ラグナロク

LV:4

ATK:1500

 

 

「そしてこのモンスターをコストにして、罠カード『ナイトメア・デーモンズ』を発動!このカードは自分フィールド上のモンスター1体をリリースすることで発動できる。相手フィールド上に『ナイトメア・デーモン・トークン』3体を攻撃表示で特殊召喚する!」

 

 

「なにっ!?」

 

 

ナイトメア・デーモン・トークン×3

ATK:2000

 

 

「さらにナイトメア・デーモン・トークンは破壊された時、そのトークンのコントローラーは1体につき、800ポイントのダメージを受ける!」

 

 

 

 

 

「って事は、アームド・ドラゴンの効果でレイジ君の場のトークンが全滅したら……」

 

 

「合計2400ポイントのダメージを受けて……レイジは負ける」

 

 

「レイジ君……」

 

 

 

 

 

 

「終わりだ!!アームド・ドラゴンの効果発動!!」

 

 

「チッ……俺は手札から──」

 

 

 

「そこまでだっ!!!」

 

 

 

「「っ!!?」」

 

 

突然響いてきた声に、レイジと蓮はそちらの方に視線を向け、同時にソリッドヴィジョンも消えていった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「「「十代先生!!?」」」

 

 

「お父さん!!?」

 

 

全員が声が響いてきた方向を見ると、そこには十代が立っていた。

 

 

「ガードマンがもう近くまで来てる!退学になりたくなかったら、全員今すぐこの場から逃げろ!」

 

 

「「「は…はい!!」」」

 

 

十代の言葉に千代、クリス、凛の三人は返事をする。そしてレイジは蓮に向き直る。

 

 

「万丈目!」

 

 

「ふん……蓮でいい。今回のデュエルは貴様に預ける」

 

 

「あぁ、このデュエルの決着はまだ着きそうになかったからな」

 

 

そう言うとレイジは自分の手札のカードと、伏せカードをディスクから抜き取って蓮に見せた。

 

 

「っ……チッ…いずれ決着をつけてやる」

 

 

それを見た蓮は、そう言い残して別の出口からデュエル・スペースを出て行った。それを見送ったあとで、レイジも急いでその場を後にした。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

ガードマンに見つからないようにデュエル・スペースから脱出し、無事に校舎の外へと出てこれた蓮。すると、物陰から1人の人物が現れた。

 

 

「お疲れ様です、蓮君」

 

 

「……氷夜か。見ていたのか?」

 

 

その人物とは、相変わらずの笑みを浮かべた氷夜であった。

 

 

「えぇ、彼…レイジ君のデュエルには僕も興味がありましたからね。いやはや、キミのアームド・ドラゴンと互角に渡り合えるとは大したものです」

 

 

「あぁ、凛が興味を持った奴だけのことはある」

 

 

「まぁ……アレが彼の本気だとすれば、ですけど」

 

 

「お前も気づいたか?」

 

 

「えぇ……彼はあのデュエル中、1度も上級モンスターを召喚しておりませんからね」

 

 

「元々デッキに入っていないのか、それとも入っているのにも関わらず使わなかっただけなのか……いずれにしても舐めた話だ。次は必ず……完膚なきまでに叩きのめしてやる!」

 

 

この場にいないレイジに対して若干怒りの篭った声でそう言う蓮であった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

そしてレッド寮へと戻ってきたレイジ達は、寮長である十代の部屋へと連れて来られていた。

 

 

「ったくお前ら……見つけたのが俺だったから良かったものの、下手したら全員退学になってたかもしれねぇぞ」

 

 

「「「「ごめんなさい……」」」」

 

 

十代の言葉に素直に謝罪する4人。

 

 

「反省してるならいい。今日はもうみんなさっさと寝ろよ。今回の件は学園側には黙っといてやるから」

 

 

「え?いいんですか?」

 

 

十代の言葉に目を丸くする4人。

 

 

「あぁ、俺のここの生徒だった頃に入学初日に似たようなことやったしな。けど、次はねぇからな」

 

 

「「「「はい!」」」」

 

 

そう言って、十代は4人を解放してそれぞれの自室へと帰したのだった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「そう言えばレイジ君」

 

 

「ん?」

 

 

十代の部屋を後にして、部屋に戻る途中でクリスがレイジに声をかける。

 

 

「あの時にレイジ君の手札と伏せカードを見た途端、蓮君の表情が変わったんだけど、一体何のカードを見せたの?」

 

 

クリスの言うあの時とは、レイジと蓮が別れる際に行なわれていたやり取りの事だろう。

 

 

「あぁ……これだよ」

 

 

そう言ってレイジは2枚のカードを見せる。そのカードとは……

 

 

エフェクト・ヴェーラー

属性:光

種族:魔法使い族

LV:1

ATK:0

このカードを手札から墓地へ送り、相手フィールド上に表側表示で存在する効果モンスター1体を選択して発動する。

選択した相手モンスターの効果をエンドフェイズ時まで無効にする。

この効果は相手のメインフェイズ時のみ発動する事ができる。

 

 

パワー・フレーム

罠カード

自分フィールド上に表側表示で存在するモンスターが、その攻撃力よりも高い攻撃力を持つモンスターの攻撃対象に選択された時に発動する事ができる。

その攻撃を無効にし、このカードを攻撃対象モンスター1体に装備する。

装備モンスターの攻撃力は、その時の攻撃モンスターと攻撃対象モンスターの攻撃力の差の数値分アップする。

 

 

の2枚であった。

 

 

「あ、このエフェクト・ヴェーラーって……」

 

 

「そっ、これもドローパンで手に入れたカードだ」

 

 

「そのエフェクト・ヴェーラーの効果でアームド・ドラゴンの効果は無効化して、その後攻撃をしかけられてもパワー・フレームの効果で攻撃を無効、尚且つモンスターのパワーアップ……ってところかな?」

 

 

「まっ、コイツをドローパンでゲットしてなかったら負けてたかもな」

 

 

「そんなカードをあの土壇場でドローするレイジ君も、十分すごいと思うよ」

 

 

「そうか?」

 

 

千代がそう賞賛の言葉を口にすると、照れた様に後頭部をかくレイジ。

 

 

「それでどうだったレイジ?蓮兄さんと戦った感想は?」

 

 

「楽しかったぜ!いつか蓮とは決着をつけてやるさ!!」

 

 

凛の問い掛けに、満面の笑顔でそう答えるレイジ。

 

 

「(……やっぱりレイジは面白い……今までに会った事のないタイプのデュエリストだ……ゾクゾクするね♪)」

 

 

その答えを聞いた凛は、心の中でそう考えていた。

 

 

「んじゃ、俺と凛は上の部屋だから。また明日な!」

 

 

「お休み、二人共」

 

 

「うん!お休みー」

 

 

「お休みなさい」

 

 

そう言って、レイジと凛は2階にある自分の部屋へと戻って行った。

 

 

「いやーレイジ君って面白いね。凛君じゃないけど、ボクも少し興味が出てきたよ♪精霊とも会話できるみたいだし、ねぇ千代?」

 

 

「そうだね、クリスちゃん!」

 

 

クリスの言葉にそう答えながら、レイジ達の部屋の方角を見つめる千代。

 

 

「(神谷玲路君……本当に面白くて……不思議な人だなぁ……)」

 

 

心の中でそう呟きながら、小さく微笑みを浮かべる千代。

 

 

「クリスちゃん、お風呂に入ったら、寝る前にデュエルしない?」

 

 

「別にいいけど……珍しいね、千代から誘ってくるなんて」

 

 

「うん……なんだか今は、物凄くデュエルをしたい気分なの♪」

 

 

そんな会話をしながら、千代とクリスも自分達の部屋へと戻って言ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

つづく

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