遊戯王―NEXT GX―   作:ZEROⅡ

8 / 12
長くなりそうだったので前後編に分けました。

前半はほとんど日常系を思いつくままに書いたので、今回のデュエルシーンは少しだけです。


デュエルの指摘などがありましたら、遠慮なく仰ってください!!(出来ればオブラートに包んで……)


感想お待ちしております!!


VS闇のデュエリスト・前編!

 

 

 

 

 

レイジと千代…2人のデュエルが行われたその夜。

 

レッド寮のレイジと凛の部屋では……

 

 

「うーん…このカードは抜いておくべきか。いや、だけどこのカードを抜くとこっちのカードが活かせないな。ならいっそ、このコンボを使うのは諦めて、新しいコンボを考えた方が……」

 

 

消灯された部屋の中でライトを照らしながら、机にズラリと並べられたカード手にしながらブツブツと呟いているレイジ。

 

 

「……レイジ、まだ起きてるの?」

 

 

すると、三段ベッドの一番上で眠っていた凛が、目を擦りながらレイジに声をかけた。

 

 

「悪い、起こしたか?」

 

 

「いいよ、元々そんなに寝つけてなかったし。レイジは何やってるの?」

 

 

「あぁ、デッキの改良だよ」

 

 

「デッキの改良って……こんな時間に?」

 

 

現在は午前0時を少し回った時間帯……普通ならすでに眠っている時間だ。

 

 

「なんか……眠れなくてな。千代とのデュエルの感覚が、まだ残ってやがるんだ」

 

 

「デュエルの感覚が?」

 

 

「あぁ……千代とのデュエルは、何だかスッゲェワクワクしたんだ。デュエルが終わっても、そのワクワクが消えねぇ……むしろ、次はどうやって勝とうかと考えると、さらにワクワクしてくるんだ」

 

 

そう語るレイジの瞳は、まるで小さな子供のように輝いていた。

 

 

「だから、何だか目が冴えちまってさ……どうせなら、このワクワクが消えないうちに千代へのリベンジのためのデッキを組んでおこうと思ってさ」

 

 

そう言って再びデッキ構築の作業へと戻るレイジ。そんなレイジを、凛は興味深そうに見ていた。

 

 

「(今まで僕の周りには…デュエルで負けたら腐るヤツ、負けたのはマグレだと自分に言い訳するヤツばっかりだったけど……レイジは違う。やっぱり……面白い)」

 

 

すると、凛はベッドから降りて、レイジの隣の机に腰掛けた。

 

 

「? どうした?」

 

 

「別に……僕もこの間の試験で千代ちゃんに負けっぱなしだったからさ。僕もリベンジの為にデッキを調整しようかと思ってね。それに……」

 

 

「それに?」

 

 

「……今のレイジを見ていたら、僕の中にもちょっとだけ野心が出てきた。千代ちゃんだけじゃなくて、レイジにも勝つ…って野心がね」

 

 

それを聞いたレイジは一瞬目を丸くしたが、すぐに笑みを浮かべた。

 

 

「おもしれぇ……そんときゃ負けねぇぞ、凛」

 

 

「望むところだよ、レイジ」

 

 

そう言って2人はお互いの拳を軽くぶつけたあと、黙々と自分のデッキの調整を行なったのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

そして翌日。

 

 

「よしっ、こんなモンかな? 出来たぜ、凛」

 

 

「そう……よかったね……」

 

 

完成したデッキを手にそう言うレイジと、眠そうに目を擦っている凛。

 

結局レイジのデッキ構築は朝まで続き、それに付き合わされた凛は目の下にクマができるという有様になってしまった。

 

 

「とは言ったものの、結局もとのデッキを少し調整した程度になっちまったな。俺としてはもう少し何とかしたいんだが……」

 

 

「ふわぁ……だったら上級モンスターを入れてみたら? レイジのデッキって上級モンスター入ってないでしょ?」

 

 

「あぁ、俺のデッキはダルク達『霊使い』と『憑依装着』を軸にしたレベル4以下モンスターしか入っていないローレベルデッキだからな。俺も何度か上級モンスターを入れようか悩んだが、このデッキに合う上級モンスターが中々いないんだ」

 

 

「ふーん……だったらレイジのデッキには、シンクロモンスターとかが合うかもしれないね」

 

 

「シンクロモンスターが?」

 

 

「うん。ほら、シンクロモンスターってモンスター同士のレベルを合わせて召喚するモンスターでしょ? 当然、召喚するならレベルの高い上級モンスターより、レベルの低いモンスターを使った方が召喚しやすいから、レイジのデッキにはピッタリじゃない?」

 

 

「まぁ確かにそうだが、シンクロモンスターはあんまり世間に出回ってねぇカードだぞ。そう簡単に手に入るわけねぇし、それにシンクロ召喚をするには『チューナー』って言うモンスターも必要だ。俺が持ってるチューナーモンスターと言えば『エフェクト・ヴェーラー』くらいだ」

 

 

そこまで言うと、レイジは顎に手を当てて、思案顔になる。

 

 

「だけどシンクロモンスターか……確かにそれが手に入れば、俺のデッキは飛躍的にレベルアップするかもしれないな……探してみる価値はあるか」

 

 

呟くようにそう言うと、レイジの目に『AM 7:00』と表示された時計が移った。

 

 

「って、もうこんな時間かよ。結局一睡もしてねぇや。まいっか、シャワー浴びてくる」

 

 

そう言って部屋を出てレッド寮のシャワールームへと向かっていったレイジ。そんなレイジを見て、凛はポツリと呟いた。

 

 

「何でレイジはそんなに……元気なのさ……?」

 

 

そう呟いた後、睡魔に負けた凛は机に身を預けて眠ってしまった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「よう千代、クリス! おはよう!」

 

 

「おはよ、千代ちゃん、クリスちゃん」

 

 

「あっ! レイジ君、凛君、おはようございます!」

 

 

「おふぁよ~~」

 

 

あの後、シャワーを浴び終わったレイジは眠っていた凛を叩き起こし、朝食を摂る為に食堂へと向かった。そしてその途中で、千代とクリスの2人とバッタリ出くわしたのである。

 

 

「なんだ? クリスは随分眠そうだな?」

 

 

「ん~…まぁ、色々あってね~」

 

 

そう言って「アハハ……」と苦笑いを浮かべながら、横目で千代にチラリと視線を向けるクリス。

 

 

「? まぁいいけど、体調管理はしっかりしろよ。そうだ千代、昨日のデュエルのことなんだけどさ……」

 

 

クリスにそう言うと、レイジは千代と昨日のデュエルの話をしに行った。

 

 

「あー……クリスちゃん、ひょっとしてキミも?」

 

 

「? キミもって?」

 

 

「千代ちゃんにデッキ調整とかを手伝わされた…とか?」

 

 

凛の言葉を聞いたクリスは少々驚いた表情をした。

 

 

「ってことは……凛君も?」

 

 

「うん、まぁね。最初は自分のデッキをちょっと調整するつもりだったんだけど……」

 

 

「いつの間にかレイジ君に意見とかを聞かれて、結局朝まで手伝うことになったんだね」

 

 

そう言うと、2人は同時に「ハァ…」と溜息を零した。

 

 

「レイジは千代ちゃんとのデュエルでのワクワクが消えないって言ってたよ」

 

 

「奇遇だね。千代もまったく同じこと言って、眠れないって言ってたよ」

 

 

「徹夜でデッキ調整をしてたクセに、元気だしね」

 

 

「付き合わされたコッチは激ねむなのにね……」

 

 

「レイジって見た目はクールっぽいけど、実は結構なデュエルバカだよね」

 

 

「それ言うなら千代も、基本的に自己主張が弱い子だけど、デュエルとヒーローの事になると豹変するからね」

 

 

「そうなんだ……とりあえず……」

 

 

「わかったことは1つだけ……」

 

 

 

「「あの2人は似た者同士だ(ね)」」

 

 

 

少し離れたところで元気に昨日のデュエルについて話しているレイジと千代を遠目で見ながら、凛とクリスは同時にそう呟いた。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

時は進み、現在は十代が受け持つ体育の時間。

 

今回の授業内容はテニスであり、学校指定のジャージに着替えた生徒達は十代の監視の下、それぞれシングルスやダブルスなどで試合を行なっていた。

 

そして当然、レイジ達も例外ではなく……

 

 

「行くよレイジ君!!」

 

 

「来い千代!!!」

 

 

パコォォン!っと気持ちの良い音と共に、千代のラケットから鋭いサーブが放たれる。

 

 

「なんのっ!!」

 

 

そのサーブを、これまた気持ちの良い音と共に打ち返すレイジ。

 

 

「ええいっ!」

 

 

「そらっ!!」

 

 

それを皮切りに、2人の間で激しいラリーが始まった。

 

 

「あの2人って徹夜してハズだよね? なんであんなに元気なの?」

 

 

「さあ……?」

 

 

そして、そんな2人を……凛とクリスはコートの外から苦笑を浮かべながら眺めていたのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「あー…ヤベェ……調子に乗りすぎた……疲れたし、眠てぇ……」

 

 

「だろうね……」

 

 

再び時は進んで、昼休みの教室。

 

昨晩一睡もしていないレイジの元気がいつまでも続くわけがなく、体育の授業が終わったあたりから、レイジは机に身を預けて疲労でグッタリとしていた。

 

 

「あらら…やっぱりレイジ君もそうなっちゃった?」

 

 

「も…ってことは、千代ちゃんも?」

 

 

「うん、この通り」

 

 

「きゅう……」

 

 

クリスが指差す先には、レイジと同じようにグッタリとしている千代の姿があった。

 

 

「まったく……ただでさえ徹夜した上に、体育であんなにハシャぐから」

 

 

「本当だよ。ボクみたいに授業中に眠ればよかったのに!」

 

 

「いやクリス……それ偉そうに言えることじゃねーからな」

 

 

クリスの的外れな発言にグッタリしながらもツッコミを入れるレイジ。

 

 

「あーもう限界だ。悪い凛、俺寮に帰って寝るわ」

 

 

そう言って席を立ち、歩き出すレイジ。

 

 

「授業はどうするの?」

 

 

「サボる。どうせレッド寮は出席日数関係ないから問題ないだろ。つーわけで凛、俺の分のノート取って置いてくれるか?」

 

 

「ドローパン3つね」

 

 

「ちゃっかりしてんなぁ……オーケー、交渉成立」

 

 

「あ、だったら千代も連れてってくんない? この子も部屋で寝かせた方がいいと思うし」

 

 

「ク、クリスちゃん! 私は大丈夫だよ!!」

 

 

クリスの言葉を聞いて、千代は席から立ち上がって抗議の言葉を口にする。

 

 

「大丈夫だからね!!!」

 

 

――クリスではなく、その隣の凛に向かって。

 

 

「うん、寝れ♪」

 

 

そんな千代に向かって、クリスは笑顔でそう言い放ったのであった。

 

 

結局、クリスに諭された千代はレイジと共にレッド寮に帰って、寝ることになったのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

そして……夕方。

 

 

「ん…ふわぁ~……あーよく寝た」

 

 

昼休みからずっと睡眠を取っていたレイジはベッドから降りて、グッと伸びをする。

 

 

「あ、レイジ。起きた?」

 

 

「おう凛、帰ってたのか?」

 

 

「30分くらい前にね」

 

 

3段ベッドの一番上には、授業を終えて戻ってきていた凛が寝そべっていた。

 

 

「ん? なんだこれ?」

 

 

レイジはふと自分の机を見ると、その上には一通の封筒が置かれていた。

 

 

「あぁそれ? レイジ宛の手紙だよ。戻ってきたら部屋のドアに張って合ったんだ」

 

 

「俺に? 誰からだ?」

 

 

疑問を抱きながらも封筒を開封し、手紙を取り出して読み始めるレイジ。

 

 

 

神谷玲路へ

 

今夜の0時に森の奥にある旧・ブルー寮の廃墟前にて貴様を待つ。

 

デッキとディスクを持参し、必ず来られたし。

 

我は闇のデュエリスト

 

 

 

「……なんだこりゃ?」

 

 

手紙の内容を読み、レイジは首を傾げる。

 

 

「どんな手紙だったの? ラブレター?」

 

 

「いや、果たし状みたいなモンだ」

 

 

そう言ってピッと、手紙を凛に投げ渡すレイジ。凛はそれを指で挟んで受け止め、手紙を読み始める。

 

 

「ホントだ、ご丁寧に手紙の裏には地図まで書いてある。にしても『闇のデュエリスト』って?」

 

 

「さぁな。よほど頭のイタイ奴かなんかじゃねーの?」

 

 

「かもね……で、行くの?」

 

 

「当然。胡散臭かろうが何だろうが、挑まれたデュエルは受ける主義だからな」

 

 

「でも、旧・ブルー寮って立ち入り禁止じゃなかった?」

 

 

「寮の中はな。この手紙に書いてある場所は寮の前だ、校則には何の問題もない」

 

 

「なるほど……確かに理屈は通ってるね」

 

 

そう言いながら手紙をレイジへと投げ返す凛。

 

レイジはそれを受け止め、再び手紙へと視線を移す。

 

 

 

「(闇のデュエリスト……か)」

 

 

 

その顔は先ほどとは違って、どこか真剣な表情であった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「っと、言うわけで! 闇のデュエリストが待つ旧・ブルー寮へレッツゴー!!」

 

 

「おー!」

 

 

「お…おー……」

 

 

「ちょっと待てやコラ」

 

 

その夜…レッド寮前。旧・ブルー寮へ向かおうとしていたレイジだが、凛だけなく何故か千代とクリスも着いてきていた。

 

 

「一緒にいた凛は分かるが、何で千代とクリスがこの事を知ってんだよ?」

 

 

「凛君から聞いた」

 

 

「凛!」

 

 

「いいじゃん、こう言うのは応援がいた方が盛り上がるでしょ?」

 

 

「ったく……」

 

 

凛の言い分に多少呆れながらも了承するレイジ。

 

 

「んじゃ、さっさと行こうぜ」

 

 

そう言ってレイジは先頭を歩いて地図を頼りに森の中へと足を踏み入れ、千代達もそのあとへと続いた。

 

 

レイジ達が森の中を進むうちに、夜と言うことも相俟って、4人の周囲は木々以外ほとんど何も見えないほどの暗闇が広がっていた。

 

 

「やっぱり夜の森って、何だか雰囲気があるね♪」

 

 

「そうだね、今にも出そうだよね。何がとは言わないけど」

 

 

「……………」

 

 

そんな状況をモノともせず、楽しそうに会話する凛とクリスだが、千代の方は顔面蒼白でオドオドしながら周囲を見回していた。

 

 

「おい千代? どうした?」

 

 

「えっ!? ううん! 何でもないよっ!!」

 

 

レイジの問い掛けに、慌てたように首を振る千代。そんな千代にレイジは……

 

 

「お前……もしかして怖いのか?」

 

 

「こ…怖くないよっ!! 私だってもう高校生だよっ!! こんな暗闇なんかで――」

 

 

と…レイジの問い掛けに強気で答える千代だが……

 

 

 

ガサッ!!

 

 

 

「にゃーーー!!!」

 

 

「うおぉっ!!?」

 

 

彼女の背後の木々が揺れた瞬間、千代は悲鳴を上げながらレイジに抱きついた。

 

 

「ごめんなさい怖いですごめんなさい!!! 出来もしない見栄を張って怖くない何て言ってごめんなさいーー!!!」

 

 

「落ち着け千代!! 何で自分を卑下しながら謝る!!? 誰に対しての謝罪だ!!?」

 

 

自分を自虐しながら怖がると言う千代に戸惑いながらも、レイジは何とか彼女を落ち着かせようとする。

 

 

「とりあえず落ち着け。今のは風で木の幹が揺らいだだけだから」

 

 

「うぅ……ホント?」

 

 

「あぁ本当だ。だから安心しろ」

 

 

「うん……」

 

 

レイジが千代の背中をポンポンと叩きながら諭すと、何とか落ち着きを取り戻した千代。

 

 

「で、落ち着きついでに離れてもらっていいか? このままじゃ歩けん」

 

 

「ふえ?」

 

 

レイジにそう言われ、ようやく千代は自分がレイジに抱きついていると言う事を認識した。

 

 

「あっ!! ご、ごめんなさい!! 私……!!」

 

 

「いや、気にすんな」

 

 

レイジに謝罪しながら千代は慌てて離れ、レイジに気にしないように言うのだが……

 

 

「「……………」」

 

 

2人の間には、何やら気まずい空気が流れていた。すると……

 

 

「おーい! そこのラブコメってる2人ー!!」

 

 

「イチャついてると置いてくよー!!」

 

 

いつの間にか2人より先のほうに進んでいたクリスと凛が、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべながら2人にそう言った。

 

 

「あいつら……誰がイチャついてるだ。急ぐぞ、千代!」

 

 

「あっ…うん!」

 

 

そう言ってレイジは歩き出し、千代もそれに続いて歩き始めたのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「ここか……」

 

 

ちょっとしたハプニングがあったが、一同はようやく目的地であった旧・ブルー寮の廃墟へと到着した。

 

 

「うわー……ボク達のレッド寮よりもボロボロだね」

 

 

「この寮は数十年以上前に廃棄された寮だからね。年季は相当なものだよ」

 

 

「それより、指定の時間に指定の場所に来たのに、誰もいねぇぞ」

 

 

レイジはPADで時間を確認しながらそう言う。すでに時刻は0時を迎えているが、その場にはレイジ達以外誰もいなかった。

 

 

「悪戯だったんでしょうか?」

 

 

「かもな。しょうがねぇ、来て早々なんだが、今日はもう帰――」

 

 

そう言ってレイジが踵を翻したその瞬間……

 

 

 

ゾクッッ!!!!!

 

 

 

「っ!!??」

 

 

彼の背中に尋常ではないほどの悪寒が走り、慌てて振り返った。それと同時に、彼の隣にダルクが半透明の状態で現れる。

 

 

『レイジ!!』

 

 

「っ……ダルク」

 

 

『気をつけろ……嫌な感じがする』

 

 

「あぁ……俺も感じてるぜ」

 

 

ダルクがそう言うと、レイジはそう答えながら周囲に気を配る。

 

 

『クリクリー』

 

 

「ハネクリボー?」

 

 

『凛の坊ちゃ~ん』

 

 

「おジャマ・イエロー?」

 

 

『ラズ~』

 

 

「ラズリー?」

 

 

そんなダルクに続くように、千代のハネクリボー…凛のおジャマ・イエロー…そしてクリスの精霊『ジェムナイト・ラズリー』も姿を現す。

 

 

『凛の坊ちゃん、何だか嫌な感じがするのよ~ん……』

 

 

『クリ~』

 

 

『ラズ~』

 

 

おジャマ・イエローは怯えたようにそう言い、ハネクリボーとラズリーもお互いに身を寄せ合う。

 

 

『……来るぞ!』

 

 

「っ!!」

 

 

ダルクの言葉に、レイジは気を引き締める。すると、何処からか出現した黒い霧のようなモノが一箇所に集まり、段々と人の形を成していく。

 

 

『フフフ……』

 

 

「「「「っ……!!」」」」

 

 

突然聞こえてきた笑い声に、全員が顔を強張らせ、目の前に出現した黒い塊を凝視した。

 

 

『まさか、こんなに早く獲物に出会えるとは……復活早々運がいい』

 

 

そしてその黒い塊は……黒服に黒帽子を被り、顔の目の部分には仮面を着けた巨漢の男へと姿を変えた。

 

 

「お前は……何者だ?」

 

 

レイジがそう問い掛けると、男は口元に不気味な笑みを浮かべながら、高らかに答えた。

 

 

 

「我はタイタン! 闇のデュエリストだぁ!!」

 

 

 

「こいつが……闇のデュエリスト……」

 

 

『気をつけろレイジ……こいつからは、嫌な力を感じる』

 

 

「わかってる……」

 

 

ダルクの言葉に頷きながら、レイジは闇のデュエリスト……タイタンに問い掛ける。

 

 

「おい、お前か!? 俺をこの手紙でここに呼びつけたのは!!?」

 

 

レイジは手紙を見せながらタイタンに問い掛ける。しかし……

 

 

「手紙? なぁんのことだぁ?」

 

 

タイタンから帰ってきた答えは、予想していたものとは違っていた。

 

 

「コイツじゃ……ないのか? じゃあ一体誰が?」

 

 

「貴様らの事情は知らないがぁ……ここで私と出会ってしまったのが運の尽き。さぁ始めようか……闇をデュエルを!!!」

 

 

タイタンがそう叫ぶと同時に、彼の身体から先ほどの黒い霧のようなモノが噴出し、再びレイジ達の周囲を支配する。

 

 

「な…なんだこれは!!?」

 

 

「黒い…霧?」

 

 

「何だか…寒気がします」

 

 

「うん……これは凄くヤバイって、ボクも感じてるよ」

 

 

タイタンから出現した黒い霧に、レイジ達は身を寄せあって警戒する。

 

 

「フフフフ……闇のゲームは始まった……もう逃げることは出来んぞぉ!!」

 

 

そう言うとタイタンは、クロノスのデュエルコートに類似したデュエルディスクを構える。

 

 

「さぁ、最初に餌食になるのはどいつだぁ?」

 

 

「……俺だ!!」

 

 

タイタンの問い掛けに、レイジは一歩前に出てそう宣言した。

 

 

「「レイジ君!」」

 

 

「レイジ!!」

 

 

「気にすんな。奴の言った通りなら、誰かがデュエルしなきゃここから逃げることはできねぇ。それに元々ここでデュエルするのは俺の予定だったんだからな。ちょっと相手が違うだけだ!!」

 

 

そう言ってレイジはデッキをセットして、デュエルディスクを機動させて構える。

 

 

「行くぞ!! タイタン!!」

 

 

「よかろう……深き闇より復活した、この私の新たな力を見せてやろう!!」

 

 

 

「「デュエル!!!」」

 

 

 

 

 

先攻

タイタン

LP:4000

 

後攻

神谷玲路

LP:4000

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「行くぞ、私のターン! ドロー!!」

 

 

デッキからドローしたカードを見て、タイタンはニヤリと笑みを浮かべる。

 

 

「見せてやろう、私の新たな闘技場を……フィールド魔法『アンデットワールド』を発動!!!」

 

 

タイタンがディスクにカードをセットした瞬間、デュエルフィールドが何やら不気味な空間へと変わった。

 

 

「これは……!!」

 

 

「アンデットワールドは、このカードがフィールド上に存在する限り、フィールド上及び墓地に存在する全てのモンスターをアンデット族として扱う。さらにアンデット族以外のモンスターのアドバンス召喚をする事はできない」

 

 

「(……前者の効果はともかく、俺のデッキには上級モンスターはいないから後者の効果は問題ないな)」

 

 

「そして私は『馬頭鬼』を攻撃表示で召喚!!」

 

 

馬頭鬼

LV:4

ATK:1700

 

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンドだ」

 

 

タイタン

LP:4000

馬頭鬼(ATK:1700)

アンデットワールド(発動中)

伏せカード:1枚

手札:3枚

 

 

「俺のターン、ドロー!! 俺は『憑依装着―ヒータ』を召喚!!」

 

 

『おっしゃあ!!』

 

 

憑依装着―ヒータ

LV:4

ATK:1850

 

 

「アンデットワールドの効果により、ヒータはアンデット族へと変わる」

 

 

タイタンがそう言った瞬間、フィールドから発生した怨霊のようなモノが、ヒータの身体に纏わり着く。

 

 

『うえぇ…気持ちワリー!』

 

 

「大丈夫かヒータ!?」

 

 

『おう! 問題はねぇ!』

 

 

憑依装着―ヒータ

魔法使い族→アンデット族

 

 

「(にしてもこの効果……地味に効くな。魔法使い族じゃなくなったから、手札の『ワンショット・ワンド』や『マジシャンズ・クロス』が使えん。除去カードもないし……ならこのカードで手札を入れ替えるか……)

 

俺は手札から速攻魔法『手札断殺』を発動! お互いのプレイヤーは手札を2枚墓地へ送り、デッキからカードを2枚ドローする!」

 

 

「ふっ……」

 

 

その効果により、レイジは手札の『ワンショット・ワンド』と『マジシャンズ・クロス』を墓地へ送り、デッキから新たに2枚ドローした。

 

そしてタイタンも微笑を浮かべながら手札のカード2枚を墓地へ送り、カードをドローした。

 

 

「よしっ……ヒータで馬頭鬼に攻撃!!」

 

 

『火葬してやる!! プロミネンス・フレア!!!』

 

 

ヒータの炎魔法が馬頭鬼へと向かう。

 

 

「罠発動『攻撃の無力化』。相手の攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了させる」

 

 

しかしその攻撃は、タイタンのフィールドに出現した渦に飲み込まれ、消滅した。

 

 

「くっ……俺はカードを2枚セットして、ターンエンドだ」

 

 

レイジ

LP:4000

憑依装着―ヒータ(ATK:1850)

伏せカード:2枚

手札:2枚

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

 

デッキからカードをドローしたタイタンは、そのカードを見てニヤリと笑う。

 

 

「ふっ……先ほどのターンで手札断殺を発動したのは間違いだったな」

 

 

「なんだと?」

 

 

「私は手札から『ゾンビ・マスター』を召喚」

 

 

ゾンビ・マスター

LV:4

ATK:1800

 

 

「ゾンビ・マスターのモンスター効果! 手札をモンスターカード1枚を墓地へ送り、自分または相手の墓地に存在するレベル4以下のアンデット族モンスター1体を選択して特殊召喚する。私は手札の『ゴブリンゾンビ』を墓地へ送り……貴様の手札断殺で墓地へ送ったモンスターを特殊召喚する。いでよっ!! チューナーモンスター『ゾンビキャリア』!!!」

 

 

ゾンビキャリア

LV:2

ATK:400

 

 

「チューナーモンスターだと!? まさか……!!」

 

 

「そのまさかだ……ゆくぞっ!! レベル4の馬頭鬼にレベル2のゾンビキャリアをチューニング!!!」

 

 

ゾンビ・キャリアは2つの光の輪となって馬頭鬼を包み込み、フィールドは眩い光に満たされる。

 

 

「亡者の魂が交わりし時…地獄より冥界の魔王が蘇る……シンクロ召喚!!!」

 

 

そして光が止むと、そこには新たなモンスターが姿を現した。

 

 

 

「支配せよっ!!『蘇りし魔王 ハ・デス』!!!」

 

 

 

蘇りし魔王 ハ・デス

LV:6

ATK:2450

 

 

「こ…これがシンクロ召喚……そしてコイツが…シンクロモンスターか!!?」

 

 

初めて見るシンクロモンスターに、レイジは目を見開いて驚愕する。

 

 

「まぁだだぁ! 私は墓地へ送られた馬頭鬼のモンスター効果を発動! 墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、自分の墓地からアンデット族モンスター1体を選択して特殊召喚できる。当然私が召喚するのは……『ゾンビキャリア』!!!」

 

 

「なにっ!!?」

 

 

ゾンビ・キャリア

LV:2

ATK:400

 

 

「レベル4のゾンビ・マスターにレベル2のゾンビキャリアをチューニング!!」

 

 

再びゾンビ・キャリアは2つの光の輪になってゾンビ・マスターを包み込み、フィールドはまたもや眩い光に満たされる。

 

 

「亡者の魂よ…今ここに集いて、腐敗せし地獄の竜を呼び起こせ……シンクロ召喚!!!」

 

 

そして光が止むと、タイタンの場には、また新たなモンスターが姿を現した。

 

 

 

「吼えよ!!『デスカイザー・ドラゴン』!!!」

 

 

 

デスカイザー・ドラゴン

LV:6

ATK:2400

 

 

 

「シンクロモンスターが…2体だと……!!?」

 

 

数少ないシンクロモンスターが2体並ぶと言う光景に言葉を失うレイジ。

 

 

 

「さぁ…このシンクロモンスターの前に平伏し、闇に飲み込まれるがいい!! ふふふ…ふはははははっ!!!」

 

 

 

レイジの前に立ちはだかる2体のシンクロモンスター……そして謎の男・タイタンの言う『闇のデュエル』とは……果たして……!!?

 

 

 

 

 

つづく

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。