今回は主人公の日常と、世界観の簡単な紹介を踏まえての話となるのでプロローグとはまた、異なります。
上手く書けたかドキドキしていますが、まずはやってみる!!
眺月町 夜の玩具屋通り
「はあ、はあ、はあ」
「待ってたよ…さあ、行こう」
制服を着た中学生程の少女が、少し年上だろう耳が隠れる程の髪をした少女に微笑み返され、虚ろな瞳に僅かな生気が宿る。
さあ、おいで…。シアワセな場所に。
翌日 見岬都 蒼月学園生徒会室
「ふう、ここ最近運動部の名うてさんが騒動ばかりで、てんてこ舞いでしたからね、無事に始められそうで良かったです」
「ここんとこ変な事件が続いて遂に此処で被害が出たからな」「て、校内で当たり前の様に缶コーヒー飲まないで下さい!!」
「…生徒会長は?」「女から電話で呼び出しみたいよ」
のほほんとした女子生徒、不良みたいな男子、髪の長い女子、いかにも優等生な眼鏡君、丸っこい頬の女子と順番に発言していく。何処にでもある風景である。とはいっても…。
「あああ、真面に仕事してるの私と会長だけだったのにぃ!!…遂に恐れていたことが」
「ふふ、仕方ないさ。活動が少ないからと言っても演劇部と掛け持ち、事故に巻き込まれて半月は行方くらました間になにあったか知らんが気分転換もいるだろうさ」
「そう思うなら働いてよ!生徒会はいつでも人手不足なの、健全な高校生たるもの怠けた格好を晒したり仕事中に浮ついた話題は厳禁よ」
(((当の生徒会長が一番浮ついているんだけどな)))
「さあ、さっさとここの資料を整理して次の部活動の予算を…」
ポロッ
「あれ、何か紙の間に挟まっていた本が落ちましたよ」
そう言って拾おうとした丸頬の少女は………固まった。本の表紙を見て完全に。
半裸でブラをたくし上げられた少女が後ろから少年に愛撫されている写真。完全無欠にマニアックなエロ本である。しかもタイトルが《寝取れよ若人》という素人層とは思えない代物だ。それに気づいた三人が残された一人の顔を静かに見つめる。
「…《健全な高校生たるもの》?」
既に半涙になり始めている女子高校生であった。
その頃、喫茶店{特乙女}
ゴーグルの様なデザインのグラサンをした、何処か威風漂う制服姿の少年はボーイッシュな短髪の少女が座る席に歩いていく。
「お待たせ~」
「時間通りじゃん。眠れずに先着いただけだから気にしなさんなぁ」
「すいません~。
「はいは~い♪」
「で、今回はドッチ方面かな」
「…眺月町で起きている十代から二十代までの人が次々と蒸発する事件。遂に《異件確定》になったよ」
「最近ニュースになっていたからね。君が被害に合わないかと気になっていたよ」「むぅ、そこは《心配してた》じゃないの?」「君が負ける姿が想像できない」
可愛く頬を膨らませる彼女に少年は顔を緩ませ、本題に入る。
「オフレコ部分は何だったんだ」
「被害者は全員、失踪する前にほぼ同じことを語っている」
蒼月学園 生徒会室
「知らない女の夢?」
「そう、髪の長い…凄く綺麗な女の人。普通に話していただけなのに変な感じになって、顔を近づけられて唇を触れられて、何をして欲しいとか聞かれて…凄く態度が大きくてイラつくのに、ポッ~となって」
「「「気がついたら男関係で悩んでいた過去をぶちまけていたと」」」「がッ~~~~~!?とっくに忘れていた事をなんでぇ~~~~~~!!///」
ただ無気力に黒歴史を暴露してしまい、あろうことか目が覚めてまでイケナイ本を買って悦に入ってしまう等と真面目で通して来たイメージが粉々なのだ。そりゃあ落ち込む。
「ただ、何というかもし実在したら見蕩れずにはいられないだろうなぁとか…そんな風に思っていた姿そのままで出てきて、本当に心を読まれたみたいで///」
「なんか話聞いていると《淫魔》みたいだな」
喫茶店{特乙女}
「淫魔?」
「夢の世界を操るとか、相手の望む姿で現れるとか、まあ人の精神に干渉できるのは間違いないな。自分の子供を作る為とか精を奪わないと生きられないとか推察は色々あるけど、共通するのは《人の心を性的欲求という形で刺激する悪魔》だな。使い魔程度の低級ていうのが有力なんだけど」
「…なら、今回の件は…」
見岬都 竹本診療所 ロビー
「いつもの相手とは一味違うな」
鋭い目つきをした少年は、額中心の毛だけを伸ばした特徴的な髪型の少年に向き直り、語った。
「攫った人をどうするかは分かりませんが、少なくとも彼らの可能性も低いですね。手口が異質すぎます」
「まあ、引き入れもしていない他人の心を覗くなんてらしくないし、身体をそんな安売りする人が《彼女達》にいるとは想像できないしな」
「診察の付き添いに来てまで女の話ですか?」
小柄で中性的な少女が額髪の少年にジト目で声をかけてきたので、つい二人して目をそらしてしまった。
蒼月学園 下校道
「うう…ひっく、グス(潤)」
「まあ、元気出せよ。な?(つうか周り誰もいないよね!?)」
自身がコワ面(といっても漫画みたいなゴツイ物ではないが)だと理解している男子は、この場面を見られたら人生に傷がつく事間違いナッシングな状況に内心、神への祈りを手放せずにいられなかった。
なんとか落ち着いてもらった後、ゆっくり話していた二人は笑顔で別れる事が出来た。
(何が「君もそんな一つぐらい悩み持ってみなさい」だ、チクショー!!///)
…若干傷が移った様だが。そしてあどけない顔で緑の服を着た幼さが残る少年が声をかける。
「災難でしたね」
「全く…て、うおあ!?いつからいた!!」「《君もそんな一つぐらい悩み持ってみなさい》の辺りで、何の話でしたん?」「お前にはまだ早い」
しかしその回答に彼は意外な反応を返す。
「…本当に、なんでもないんですか?」
「…な、なんだよ、そんな真面目な顔をして(汗)」
「あの人、良くないものに憑かれていますよ」
そう言うと相手の返答を待たずして改まって語りだす。
「ここ最近のニュースでは眺月町の行方不明事件が目立っていますけど、同じぐらいに此処の街、もう誰もいない筈の見峠廃教会で人が出入りしているそうなんです。それも…いなくなった人と丁度、同世代ぐらいの」
「まさか、そんなの…」「噂じゃ警察は公に動けません。真偽を確かめようとした人も、何もなかったと証言していた様ですが…多分」
そうと分かれば次の行動は決まっている。不良は携帯を取り出すと電話帳から《その名前》を選んだ。
夜 見崎廃教会
ピチャ…ピチャ、ピチャ。ひび割れた壁から流れる風に乗って水音が響いている。月明りに照らされた音源を認識すれば、きっと人は目を逸らせずにいられない。
…はあ、はあ、はあ、はあ、はあ
「あ、あン///」
…はあ、はあ、はあ、はあ、はあ
「ああっっ///」
…はあ、はあ、はあ、はあ、はあ
淡紅色という異質な修道服の少女達が同じ色の神父の服を着た少年達と、或いは自身ら同士で組み敷いている姿と嬌声に、欲望を掻き立てられると同時に何処か神秘的な光景を見せる。ただ…彼女、彼等の瞳には狂気の色が宿っている。
ただ、たった一人…不敵にも祭壇へ腰掛ける女性だけは違った。異質な光沢を放つ長い黒髪をした女性はただ恍惚とした表情でその光景を眺める。
「それじゃあ…、新しく来た子と楽しみましょうか」
そうしてフードを被って並べられた人影に視線を向く。一人が体に引きづられるように前に動く。
自分の前に立った彼女の前に少女は舌舐りをして顔を近づけ、
「ちょっと待ったァ!!」
「…………」
叫び声で中断され、顔を不快に歪ませながら入口を向く。立っていたのは学ランを崩した不良の様な顔付きの少年だ。
「たくっ、子供の話は聞いてみるものだな。真面目ちゃん返してもらうぜ!!」
「取り押さえろ」
それを聞いて着崩れを直した修道服の少女たちが襲いかかる。押し寄せる数の前に少年はあっさり捕まった。
「無粋だけど良い度胸ね。顔も悪くないわ。味見してから犬として使ってあげる」
「無理矢理はゴメンだがッうあ!?///」
少女達は有無を言わさず少年の服を脱がし始めた。それを眺めながら今度こそ女子生徒に手をかけようと…。
ブオォォォォォォォォン!!という甲高い音に続いて、誰かが壁を蹴り破り、一直線に長髪の女性間近に迫り、姫サま抱っこで触れられる寸前の相手をかっさらった。
遅れて次々と人が乗り込んで、かんしゃく玉の様な音が鳴り響いた。
「ギリ到着…だな」「せいとかいちょょょょょょょょょょう!!///」
「なんだ、折角のシアワセな時間を邪魔しに来たの?」
「身体の関係は清濁混じった人の心隅々までこそ。一部晒して持って良いものじゃあない」
一人、額髪の中心が目立つ少年が笑いながら前に出る。
「…やかましいな。…なぎ払って」
その声を聞いた少女らの修道服が溶けるように剥がれ、肌にぴったり張り付くような薄い布に変わる。
そして殺意に満ちた目を侵入者に向け、弾くように飛びかかる。
「ち、攫った人間を操って…」「待て!」
男の一人は懐に隠していた武器を撮る暇も与えられず、押さえ込まれる。意識を奪われた一般人にこんな動きは出来ない。
「《コッチ側》を混ぜていたのかよ!?」
「ふ!!」「うあああ!」「…ふん」
一人、接近戦で素早く、華麗に黒の少女達を打ち倒すものがいた。女性的な仮面を付け、闇の様に黒いクロークを棚引かせている。
「はああああ!!」「おっと」
長髪の女性は黒かったそれを淡紅に変え、拳を握る彼女よりも若い…中高生程の少女の姿になる。そして服を見て…男衆がポツリと呟いた。
「おお、格闘系魔法少女だ」「リリカルにいましたね。ああいう感じの服着た子」
そんな感想はまあ後にするとして…。
「そっちが本来の姿か、そっちの方が可愛いのではないか?」
「余計なお世話」
ポツリと呟くと淡紅髪の少女は霧の様に姿を消す。
「《統我》、雑魚の相手を頼む!!」「………さて、どう転ぶか!」
生徒会長…統我の両袖口からジャカッ!!と言う金属音が鳴る。純白の回転式拳銃だ。
…21世紀初頭。人々は生活に欠かせない資源の限りある時間の中、個々による差別の肥大という不安定な台に立ちながらも多くのエンターテイメントに支えられ、夢を追い続けていた。
しかし歪んだ欲は様々な形となって日常に忍び寄り続け、遂には架空の存在と信じて疑われなかった人類最大の驚異《有機生命体兵器》を現代に誕生させてしまう。
《ファミリア》、《ポセッション》と呼称された恐るべき存在に対し、世界各国首脳陣は《有機生命体兵器》最初の案件が発生した日本を中心に、秘密対策部署の配置を決定。再発足された《新日本政府》は密かにある特務部隊を結成する。
当初、その数々の分野に名を連ねるエキスパートも、彼らの超能力を前に苦戦を避けられなかったある日、偶然に偶然が重なり《ファミリア》と接触し、単独で打ち倒す。或いは逆に屈服させてみせた若者達が現れた事で劇的な姿へと変貌する。
プロアマ問わず、ただ異形を圧倒する人間。新世代の侍魂を宿す掟破りの特攻エージェント達。
平凡な少年に名付けられたその名を…。
「
号令と共に時は動き出す。鋭い目つきの少年はサバイバルナイフを構えて前に出る。
「そんな玩具で!」「……甘いおかげで命拾いできましたね」
殴り掛かった淡紅服少女の腕をあっさりと弾いた…様に見えただろう。驚愕した少女だが構わず服の一部を刃の様に変化させて腕を貫ぬこうとする。
投げ飛ばされた。あっさりと。信じられない程の軽い動作で受け流されたのだ。
「ば、馬鹿な!?」「こっちを潰すつもりだったら容赦しなかった」
そう呟かれたのを辛うじて認識し、意識が暗転した。
「訓練生、しっかり狙って撃ちなさいよぉ!!」「もう訓練生とかじゃないですよ!」
機関銃を持つピッチリした服にガスマスクを付けた女性に返しながら、統我は背中合わせで二挺拳銃を乱射する。
「《ティス》!!」「調子に乗らないっと!!」
淡紅髪の少女と向かい合う彼女…ティスは足元から飛び出た淡く光る鎖に縛られる。
「止め!」
そのまま手から伸ばした光の刃を突き刺そうとした所で。
「シャドウレイザー!!」
ティスの指先から伸びた影の様な剣に阻まれ、驚愕する。
馬鹿な、こいつは人間だ。化けていても憑依しても私が気づかない筈がない。ならこの力は何だ。この私が気落とされているだと!?何なんだこの女は!?
「この私が、負けるワケない…私はずっと気持ちいい気分で、お前達を見下ろし続けるんだからァ!!」
「なら特定の男でも見つけるんだったな!!」
「何を!」
少女たちに服の様に纏わりついていた物の様に形を崩す。このまま闇に紛れて…。
「統我、ステンドから2時の方向上方です」「オーライ《宗二》」「!?」
撃ち抜かれる寸前に躱した。バレた…何故だ?あの妙に綺麗な敬語を話す目付きの悪い男は…!?
事は一瞬で動いた。ティスの背中に向けて何かが真っ直ぐ飛んできたのを辛うじて認識出来ただけだった。その瞬間に左脚の先に黒い靄が纏わりつく。淡紅髪の少女は驚愕する間もなく…。
「ヴォル…ブラストォ!!」「甘い!」
力の性質が似ているなら容易く吸収できる。この程度の蹴り…私の障壁なら。そう思っていた矢先、突然あの女は後ろを振り向いた。
「二連撃ならどうだ?シャドウステーク……スピニング!!」「ぐうぅぅッ!!」
振り向き同時の拳で障壁ごと破られた。接近戦では勝ち目がない…だか、惜しい。あと少しで。
「もう諦めろ。女がソレ以上髪を痛めたらいかんだろう」
その言葉に一瞬思考が追いつかず、ハッとして自身の後頭部に手を伸ばす。
…ない!?腰まで伸ばしていた私の髪の毛が、僅か耳元まで切り揃えられている。
「貴様、シャドウレイザーで拘束を脱した時にもう!?」
「正確には切れ目だけ入れておいた。激しく動けば自然に落ちるくらいにはな」
「…名前、ティスとか呼ばれていたな///」
「望月…逢恵《あいえ》ともいう、出逢いに恵まれると書いてな」
「私も忘れられずに済みそうだ…私は《アウィス》。お前の身、いつか犯してやる!!」
そう叫ぶと髪から全身にかけて淡紅の光を放った。その場にいた全員が目を覆い、次の瞬間には…。
「いない、逃げられたか?」「なんかコレ、凄い甘い匂いです…ね、眠くな(バタ)」
「攫われた人達は無事だけど…追うの無理ですねたいちょ」「スヤスヤZZZZ」「たいちょょう!!(呆叫)」
統我は欠伸をしながらも横たわっている生徒会の仲間である二人に近づき、頭を撫でる。
「よく頑張ったな。あと少し時間がなければ間に合わなかった」
教会庭
教会の外に出たティスは仮面を外し、空を見上げて笑みを浮かべる。そこにいたのは喫茶店の少女だ。ただ瞳が鮮やかな青に変わっている。
「悪いがお前の思い通りにはならないさ、《私たちは》」
(もう、あげるって決めた相手がいるんだもんね♪)
「…うるさい///」
統我はそんな彼女に向かいゆっくり歩いていく。
この事件の後については、またの機会にしよう。まず、なぜ彼らが今の日常を生きていくようになったか、その経緯を語っていかなければならない。
簡潔に述べれば何でもアリ!!(予定)の世界。主人公は場面ごとに切り替わります。
率直に言うと作者はギャグ方面が苦手です。なのでまずはちょっと色描写を入れ、戦闘を頭を捻って作ってみました。
追憶なので次回予告はありません。