オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版)   作:ぐにょり

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98 共闘、僅かに歩み寄れど

鬱蒼と茂る森を背に、ビル程もある三色のバケガニが大地を削りながら走る。

巨体とそれに伴う重量により、バケガニはただ歩くだけでも周囲の地形を作り変え、歩行に伴い大小様々な礫を撒き散らす。

周囲に生身の人間が居たのなら、バケガニに捕食されるよりも早く礫に押しつぶされて絶命する確率の方が高いだろう。

だが幸いな事に、既にバケガニ出現の報せを受けしばしの時が経ち、猛士に所属する非戦闘員はその殆どが現場を離れ、民間人の殆どを現場から遠ざける事に成功していた。

無論、全ての民間人を完全に遠ざけることなど不可能に近い。

公的な権力などが有るわけでもない為、どうしても限度はある。

だが、今回に限ってはそれが幸いした、と、仕降鬼は考えていた。

 

魔化魍を倒すのは鬼の仕事。

厳しい修行を経て鬼となった仕降鬼にとってそれは間違いのない話ではあるが、それに例外が無いとも考えてはいなかった。

時代は変わりつつ有る。

接触、交流を可能な限り避けるように、という言伝のある警察の特殊部隊。

活動区域の違いからそもそも接触すら殆ど無い素晴らしき青空の会なる組織。

古い所で言えば、昭和の時代、仕降鬼がまだ幼い頃や産まれていなかった頃にすら、鬼と同じ様な戦闘能力を持つ素性の知れない仮面の戦士達が存在した。

 

魔化魍に限らず、人間の生命を脅かす存在が増え、それに対抗する者たちもまた比例するように増え続けている。

吉野から鎧が盗まれたのもそれが一因ではないか、と、個人的には睨んでいるのだが……。

少なくとも、彼にとって顔見知りである()の少年、仲村七王に力を与えた友人とやらは、鬼やそれに纏わる呪術の知識には疎いのだろう。

警察で使われている装甲服や、或いは彼の知人の鬼数名が東京で共闘した素晴らしき青空の会の戦士と似た技術で作られているように見えた。

支部の銀の人に解析を頼んでも、いかなる技術が用いられているかが解析できなかったというのだから、並の技術力ではない筈だが……。

 

考え事をしながら走り抜け、仕降鬼はバケガニの脚に音撃を叩き込もうとした瞬間に弾き飛ばされてしまった音撃震をひっつかみ振り返る。

生身を一切表に晒さない銀色の全身鎧に身を包んだ七王──グレートが、開いた両手に黄色に光る円盤を作り出し、次々にバケガニに投げつけながら走り回っている。

高い跳躍力、速力からバケガニを振り切る事もできる筈だが、仕降鬼が音撃弦を拾いに行くのをサポートする為に、態とバケガニがついてこれる速度で動いているのだ。

()ではなく、あくまでも歩であり、本格的な鬼になるための修行を積んできた訳ではない筈だが、状況を見て判断する力が強い様に見える。

 

また、偶然に巻き込んでしまった一般人らしき二人も見事だった。

バケガニの巨体ながら決して遅くはない挙動に巻き込まれないよう、足元に纏わり付きながら攻撃を仕掛け続けている。

細身の銀と赤の鎧の少年はやはり赤く輝く刀身の剣でバケガニの脚を切りつけ、片手に構えた携帯電話型の銃でバケガニの腹を撃ち、何かのタイミングを伺っている。

大技が何かあるのかもしれない。

 

黒い重厚な鎧の子供もそうだ。

ハサミに捕まるのだけを避けながら、脚の振り降ろしは避けようともせず、カウンターを狙ってオレンジに赤熱する刀身で着実にバケガニの脚を切り落としている。

巨体故に足先を切り落とされてもバランスを取れているが、足先を木こりの様な一撃で切り落とされる度に、バケガニの機動力は下がっていた。

 

当然と言えば当然だが、自分では止めが刺せない事を知っているグレート以外の二人もまた、魔化魍を相手取る上では間違ってこそいないものの正しくもない方法で対処をしている。

魔化魍は基本的に山の穢を吸ってある程度の傷を修復してしまい、通常兵器では殺すことができない。

故に持久戦を仕掛ける、じわじわとダメージを蓄積させる戦法は最終的に人間側が不利になるものなのだが……。

音撃斬でまず一匹でも仕留めようとした仕降鬼がその隙に他のバケガニに捕まったのとは異なり、現状あの三人はバケガニから有効打を食らっていない。

時間を稼ぐ、止めの大技を意識して狙いに行かないという消極的な戦法は、結果的に三人の消耗を最小限に留めているのだ。

 

だが……。

森の茂みの中から片腕が蟹の鋏と化した六体の異形、怪童子と妖姫が現れ、バケガニに加勢を始める。

最初に標的になったのは見るからに鈍重なウェアウルフ・スペクター。

敵の攻撃の殆どを装甲に任せて受け切る戦法を取る重装甲に怪童子と妖姫が一体づつ飛びかかりしがみつく。

それを無視してバケガニの脚に斬りかかろうとするも、関節部に鋏をねじ込まれ、動きを阻害されてしまう。

背部に備える砲塔もまた押さえつけられており、苛立ちと共に振り払おうとするも、単純な腕力では勝てない為に引き剥がす事もできず、逆にスラッガーブレードを持つ手を抑え込まれてしまった。

 

こうなれば脚部の無限軌道でバケガニに突撃してあえて諸共に踏まれて振り払おうか。

そう考えた所で、二条の熱線が怪童子と妖姫の頭部に直撃し、二体の意識を僅かに飛ばす。

しめた、と、緩くなった拘束を振り払い二体を引き剥がし、脚部の無限軌道がぎゃりぎゃりと音を立てて左右逆方向に回転。

全身を使った回転運動と共に、野球のバッティングにも似た動きで持ってスラッガーブレードをフルスイング。

体勢を立て直そうとしていた怪童子と妖姫を胴体から真っ二つに叩き切る。

勢いよく吹き飛ぶ上半身と、その場に崩れ落ちる下半身の断面から白い体液が噴水の如く吹き出し、そのままミイラの如く干からび、爆散。

 

二体の体液を返り血の如く浴びたウェアウルフ・スペクターが熱線の出どころを見れば、自分と同じ様に怪人に纏わり付かれそうになりながら、フォトンエッジで切りつけながら距離を取り続けるファイズの姿。

フォンブラスターをウェアウルフ・スペクターへの援護に使ったからか、僅かに押され気味だ。

しかし、ファイズの視線は僅かにウェアウルフ・スペクターへと向けられている。

すかさずウェアウルフ・スペクターは背部キャノンを展開、砲撃を放つ。

すると、ファイズはまるでそれが来るのを知っていたかの様にその場から数歩引き、それを追う怪童子に砲撃が直撃。

吹き飛ばされた怪童子が妖姫を巻き込み、それを見届けながらファイズはファイズフォンからミッションメモリを引き抜き、ファイズエッジに装填。

ファイズフォンのエンターを押し、

 

『EXCEED CHARGE』

 

ベルトに内蔵されたブラッドサーバーから発生したフォトンブラッドがフォトンストリームを経由し、ファイズエッジへ。

 

「はぁぁぁぁ!」

 

未だ吹き飛ぶ怪童子と妖姫へ駆ける。

変身し、人間よりも遥かに疾く、しかし本気の速度よりも遥かに遅い脚力から僅かに感じる苛立ちを込めるようにファイズエッジを振るう。

至近距離から放たれた拘束用のエネルギーが二体をまとめて拘束し、ファイズが一歩踏み出す。

赤い残光を残しながら、横薙ぎに。

返す刀で、斜め下から切り上げる様にもう一閃。

怪童子と姫の姿に重なるように赤く輝くΦの文字が浮かび上がり……。

爆散!

 

此の間は僅かに一分にも満たない。

爆発した計四体の怪童子と妖姫は木の葉と土塊に還り、それらが降り注ぐ中でファイズとウェアウルフ・スペクターは互いに何を言うでも無く僅かな時間見つめ合い、しかし、続いて起きた轟音に視線を向ける。

 

「なんだありゃ」

 

見上げる様な威容の三体のバケガニ。

それに負けず劣らず巨大なそれは、銀色の樽。

いや、手足と頭の生えた銀色の樽だろうか。

よくよく見ればそれは樽に似たシルエットではあるものの、明らかに金属で構成されたロボットとでも言うべきものだ。

 

ブリキのおもちゃかと思う様なシンプルな造形。

明らかに機動力に欠けそうな短く太い脚。

曲がら無さそうな肩に短い指。

Tの字に見える頭部の両端には眠たげな黄色いカメラアイ。

これを仮にも現代っ子であるファイズ──巧は巨大ロボットと形容したくは無かったが……。

 

バケガニの上空を旋回しながらバルカンで牽制を続けるオートバジン。

そのバルカンを半ばその身に浴びながら気にした様子も無く短い手足で無遠慮にバケガニを殴打し続ける銀色の樽のロボット──セブンガー。

その連携は様になっている様にも見えた。

専門家である仕降鬼抜きに、三人の戦士でようやく抑え込んでいた巨大な魔化魍三体を、このロボット二体は連携でもって押しつぶしつつある。

バケガニの鋏を受けつつ、しかしそれを気にした風も無く腕を鈍器の如く振り回しその甲殻を殴打、切り落とされ不安定になった脚で転げればすかさず歩み寄り短い脚でサッカーボールでも蹴るような気軽さでバケガニの腹を蹴りつける。

眠たげな瞳と玩具の様な見た目からは想像できないような容赦のない攻め。

 

最初からこれをやればよかったのではないか、と、ファイズが考え始めていると、その隣に銀色の全身装甲──グレートが降り立つ。

 

「申し訳ないが手を貸して欲しい」

 

「いや、いらないだろ、あんなのなら」

 

「俺もそう思うのだが……あいつは一分しか動けない、らしい」

 

「らしいって、お前のだろ」

 

「先日貰ったばかりなんだ」

 

「へぇ」

 

奇遇だな、と、そう思うと共にふと浮かんだ顔があった。

だが、流石にそんな偶然はそう無いだろうと否定する。

 

「で、何しろって?」

 

「あの三匹を一箇所にまとめて拘束できれば、どうにか。だから」

 

「いいぜ」

 

「助かる」

 

「そちらの御仁は」

 

と、ウェアウルフ・スペクターへと視線を向けるグレート。

それにウェアウルフ・スペクターは頷きを返す。

 

「捕まえるのは得意だ」

 

「嘘だろそれ」

 

事実として、ファイズは幾度かの交戦を経てもファイズギアを奪われていない。

 

「うるさい。得意になるんだ」

 

ウェアウルフ・スペクターはそれに子供の様に反駁しながら遠ざかっていく。

それに倣うようにファイズが、グレートが離れて行く。

セブンガーとオートバジンの連携で纏まっているバケガニを三方向から取り囲む様な陣形。

それが完成するのを待っていたかのように、セブンガーがその場から霞のように消え去り、残されたオートバジンへと攻撃が集中し始める。

 

「はぁぁぁぁ……」

 

念じる様にしながら、グレートが両腕を上下に開く。

胸部カラータイマー──グレートに内蔵された新型ブラッドコアが赤く点灯し、装甲表面に透かしの様に配置されたフォトンストリームへとフォトンブラッドが供給され、銀の全身装甲の胸、首、肩、腕、下半身の一部が赤く染まる。

腕部フォトンブラッド放出口から、今度こそ高度に圧縮されたフォトンブラッドが迸り、上下の手の間にアーチを作り、その半ばから眩い光弾がバケガニ目掛けて放たれ、

 

「拘束弾をくらえー!」

 

ウェアウルフ・スペクターはバケガニから距離を取り、只管拘束用の特殊硬化剤を封入した砲弾を放ち続け、

 

「オラァ!」

 

再びのEXCEEDCHARGE、からの、拘束用エネルギーを距離を取りつつバケガニに放つファイズ。

オートバジンごと硬化剤に巻き込まれて一纏まりになったバケガニを光弾が貫き怯ませ、ファイズエッジの放つ拘束エネルギーによって動きを僅かに阻害する。

すかさず、仕降鬼が拘束されたバケガニの硬化剤に包まれていない脚に音撃弦を突き立てる。

 

「音撃斬、惨罰鋸引!」

 

音撃弦にセットされた音撃震の弦をかき鳴らし、清めの音が鳴り響く。

無論、事情を知らないファイズとウェアウルフ・スペクターには激しいギターの演奏にしか聞こえないのだが、不思議とその激しい音色は心が澄む様にも感じられ──

拘束されたまま清めの音を叩き込まれた三匹のバケガニは、爆発四散!

 

「おぉ……」

 

先までどう倒せばいいかも分からなかった巨大な蟹が枯れ葉になって散る様を見て感嘆の声を上げるファイズ。

いや、それは感嘆ではなく安心からくる溜息だったのか。

或いはバケガニの爆発に巻き込まれて吹き飛んだオートバジンが何処に飛んでいったのか、それを今から探さなければならない事への疲労からか。

或いは、

 

「……」

 

がしょん、と、スラッガーブレードを構え直すウェアウルフ・スペクター。

横やりが入ったからこそ共闘の様な形になったが、もともとは追う側と追われる側、奪おうとする側と守ろうとする側だ。

戦闘の再開へのうんざりとした気分のままにその姿を見つめていると、

 

「いやー、助かった助かった。ありがとうな少年たち」

 

滑るような体色の鬼──仕降鬼が首から上だけを人間態に戻し、駆け寄ってくる。

グレートも戦闘が終わったからか、首から上の装甲だけを展開し、仲村七王としての素顔を晒している。

無論、これは仕降鬼が何も考えずにねぎらいの言葉を掛けに駆け寄ってきた訳ではなく、ファイズとウェアウルフ・スペクターの間に流れる剣呑な空気を読み取り、あえて空気の読めない振る舞いでその緊張を弛緩させようとしているに過ぎないのだが……。

 

「いい、あの場で逃げんのも気が引けたからな」

 

「そうかそうか、君は良いやつだな」

 

言われ、ファイズは黒い全身装甲に包まれて表情の見えないウェアウルフ・スペクターに視線を戻す。

元を正せば先に動いたのはあちらだった。

幾度かの戦いの中でも薄々感じていたことではあるが……。

自分に襲いかかりベルトを奪おうとする事を除けば、あの黒いロボットにはある程度の善性があった。

なるべく人を巻き込まない様に、他に被害が出ない様に。

大剣を主に使うのは、周りへの被害を考えての事だろう。

背中の大砲など、使う場面は今回の様に川辺などでキャンプをしている最中くらいのものだ。

 

ファイズフォンをベルトから抜き、変身を解く。

驚くように僅かに体を動かしたウェアウルフ・スペクターに対し、巧はあえて話を振った。

 

「あいつが動いてなきゃ、もう少し迷ってましたよ」

 

仕降鬼の素顔が壮年の男性である事、人に害を為しそうな化け物に立ち向かっていた事から一応の敬語で返しながら、意識の向く先は違う。

自らを狙う黒いロボットの反応を見ている。

いや、そもそもあれはロボットなのか。

人の良さ、いや、生の人間に似た振る舞い。

あの姿は自分のこのスーツと同じ、変身した姿なのではないか。

そんな疑惑を晴らす目的もある。

この場の四人の内、三人が素顔を晒している。

この状態で、もしかすれば。

 

「私は別に」

 

ばしゅ、と、黒いロボットの装甲が空気を吐き出しながら僅かに開く。

その場の流れで素顔を晒すのではないか、という、巧の冗談のような思いつきが現実のものとなり……。

 

「……はっ! 危ない危ない……」

 

完全に装甲が開ききる前に、再び閉じられる。

空気に流されて武装解除しかけてしまったのに気がついたのだ。

装甲を纏い直したウェアウルフ・スペクターは、巧に向かってびし、と人差し指を突きつける。

 

「今日はこのくらいで勘弁してやろう。次こそ、そのベルトを渡してもらう……!」

 

言うなり、脚部の無限軌道を動かし、その場から素速く離れて行く。

事情を知らないが故にそれを見送るしか無い仕降鬼と七王。

しかし、巧は開きかけた装甲の隙間から聞こえた、ボイスチェンジャー越しではない中身の声に、どこか既視感を感じていた。

 

―――――――――――――――――――

 

……という様な事が、実家の方で起きていたらしい。

無論、俺はそれをファイズとウェアウルフ・スペクターの戦闘ログから既に知っているのだが、現場の生の声というのは貴重なものだ。

 

「そりゃあ災難だったなぁ」

 

カラカラとアイスコーヒーを揺らしながら、里帰りから戻ってきた仲村くんに同情する。

まぁそもそも仲村くんは歩としての役割を熟しつつ、『と』への憧れを捨てきれずに居たから知っていると思うが、俺たちの地元は比較的魔化魍の出現率が高い。

だからこそ鬼の人が常駐している訳だが……。

仲村くんはそれを知った上で、あえて里帰りをしてみせたのだ。

力があれば使ってみたくなる、使って何かをしたいと思う。

それは人間として当たり前の事なのだ。

 

「うむ……。だが、ああして一般の戦士の人とも知り合いになれたのは良いことだと思う」

 

「情報を交換したり?」

 

「組織として行動していても、限度というものはあるからな。偏りは出る」

 

「なるほどなぁ。未確認とかも魔化魍ではないし、魔化魍と同じ方法では効率も悪いだろうしね」

 

「そういう事だな」

 

所謂、業界人だからこそ持ちうる偏見というものだ。

素晴らしき青空の会などがわかりやすく、ここは人間ではない異形の存在は大体の場合ファンガイアであり、知る限りではレジェンドルガに関する情報を持ち得ないし、昔のデータではゴルゴムの怪人をファンガイアであると誤認して交戦していた記録もある。

元のソースは母さんに昔のバイトの内容を聞いた時の、

 

『ファンガイアは強くても大体ゴルゴム換算で二体居れば一マンモスだから、楽にボーナスが貰えるチャラい仕事だったわー……』

 

『逆にゴルゴムの怪人を相手にしたのにファンガイア換算でボーナス算出されるのはホント最悪だったわね! ある時期からそういうの多くなったから子育てが忙しくなったからって言って辞めてやったわ!』

 

と、当時を振り返っての言葉。

つまり、素晴らしき青空の会にとって世界の裏側で暗躍する怪人は全部ファンガイアなのだ。

まぁ最終的に全部殺すのだから区別はしなくて良いという意見もあるが、種類ごとの特徴を捉えれば殺しやすくなるので、こういう雑な分類は現場で働く戦士にとってよろしいものではない。

 

「つっても、いにゅいは本格的に戦士してる訳ではないからね、あんまり情報は手に入らないと思うよ。他にやることがあるから旅してる訳だし……」

 

「そうだな。だが逆に、俺が知る魔化魍の情報を伝える事で危機から逃れる事も遠ざける事も可能になるだろう。そういう意味では無駄にはならん」

 

「はー……。相変わらず仲村くんは志が高い」

 

「いや……恥ずかしながらな、お前に貰ったこれがあればこそ言える事だ。そうで無ければ、部外者に情報を助言として漏らす様な事態にもならなかっただろう」

 

これ、と言いながら、自らの胸元を親指で指差す仲村くん。

服の下にブレスレットとして吊るしたULTRAギアを指しているのだろう。

 

「俺としちゃ、あんまり荒事に積極的なのも頂けないんだけどね」

 

基本的に、グレートスーツは色々な機能をテストとして搭載してはいるが、防御に特化した護身用具だ。

フォトンブラッドは通常時は最低限の倍力作用をもたらす程度にしか流動させておらず、倍力機構は殆どミラーワールドのライダーシステムの流用。

通常時に放つフォトンブラッドを利用した光弾は大型の魔化魍には牽制程度にしかならないだろう。

通常のファイズの必殺技に匹敵する威力の光弾を放つとなれば、立ち止まり、全身への倍力に回している分をカットし、改めてブラッドコアの安全装置を解除し、ファイズで言うブラスターフォームに近い状態にまで持ってこなければならない。

基本的にこのブラスター発射形態も、どうしても逃げ切れない、殺すことでしか安全を確保できない相手と戦わなければならない時に使うものとして想定している。

日常的に立ち止まってブラスターを本格発射する様な運用は、想定していない訳ではないが、非推奨である。

 

それでもどうしても日常的に戦場に出るというのなら、大型相手にはまずセブンガーを投げ、押さえつけている間にブラスターを只管撃つ。というのが理想だろう。

セブンガーはロードインパルスと同じく人造モンスターだが、アギトの力を多く与えていない代わりに単純に肉体を巨大にし、複数のインフィニティパワーユニットを搭載する事で、只管頑丈な肉体で力強い殴り合いをさせるのに特化させてある。

玩具のような外観はリスペクトの意味合いもあるが、複雑な構造を廃する事で強度を只管上げているのだ。

ちなみに、手先にある曲がらない短い指のような部分は実は指ではなく、メリケンサックについた棘の様なもの。

掌で殴っているのではなく、掌の様な形の鈍器で殴る契約モンスターという訳だ。

 

「まぁ、お前の気持ちもわかる。わかるが……できる、となれば、したくなるのが人間というものだ」

 

「死なないでよ? 十年後くらいに同窓会して、半分くらいは無事に再会できたらいいなって思ってるんだから」

 

「お前の中で同窓会までに何が起きているんだ、真面目に」

 

「今は語るべき時ではない……。というのは、世の追加戦士の悪い癖だ。俺はもちろん違う」

 

さ、と、タブレットを渡す。

 

「これは?」

 

「俺の知る限り、喫緊で覚えておくべき、敵だ。表に出せないので、この場で覚えていってくれ。で、誰から漏れるか知れないから、これからも戦うっていうなら、できれば偉くなって、詳しく説明しなくても対策をさせられるようになって♡」

 

タブレットに入れてあるのは、仲村くんと猛士の人々でギリギリ対抗できるか、という種類の敵と、対抗できなくても抵抗して貰わなければならない敵。

特定の素養が無ければどうにもならないイマジンの様な敵に関しては除外してある。

が、それでも何故現状人類が生き残っていられるか首をひねるには十分過ぎるだけのデータだ。

最初は宇治抹茶を啜りながらタブレットを操作していた仲村くんの表情がみるみる内に悪くなっていく。

どうだ、怖いかぁ(煽り)。俺も怖い。

怖いので、一緒ではなくとも、別々の場所でどうにか対処を積み重ねようね♡

しかし青ざめながらも真剣に敵のデータを見つめる姿、誉れ高い。

力は足りないけどその志は頼もしいね♡

お前も猛士も道連れだ。

 

「……このスーツで対抗できるのか?」

 

「対抗するの?」

 

「するしか無いだろう」

 

「じゃあ順次アップグレードしてくよ。研究中のシステムもいくつか有るんだ。体が頑丈だとなお良いので、鬼にもなれるならなっておいてくれると助かる」

 

差し迫った危機としてはアンデッドが近いだろうが、広く被害を出しているのは恐らくワームだろう。

だが俺も伊達にゼクターの研究資料を手に入れてはいない。

今は頑丈な魔石の戦士がアクセルベントを連打するという形でしか対抗できないが、もう数年もしない内に、加速した世界は人間にもその恩恵を齎す事になるだろう。

無論、肉体を改造した上でそういう対策を積むのが一番安全なのだけれど。

 

はぁ、と、仲村くんが溜息と共にタブレットを押し返してくる。

振り返り、レジでこっくりこっくりと船を漕いでいる店員に声をかけた。

 

「店員さん! コーヒーパン一つ追加で!」

 

「……あ、はーい、コーヒーパン一つー!」

 

再び振り向き、メガネを外し、目元を揉む。

しばしの沈黙。

メガネを掛け直し、口を開いた。

 

「……初めて会った時から、何かに追われる様に生きている様に見えたが」

 

「その印象初めて聞いたわ」

 

「尋ねられても困る事もあろう」

 

「気遣いの紳士ぃ。ここは俺が奢っちゃおう」

 

「茶化すな」

 

「いや、何、俺の方も色々と必死にやってたからさ。最近は余裕もできたし、リソースも増えた。それに……」

 

「それに?」

 

「三年掛けて、信頼できる相手も見つけられた。仲村くん、君が戦いの道を選んでくれるというのなら……力を貸して欲しい」

 

組織として、一番裏が無いのは知る限り、そして、()()()()()()()()の中では猛士が一番だろう。

そこの関係者であり、人間的に信頼でき、俺も知らない仲ではない相手というのは、非常に、ありがたい話だ。

護身用具だけ持って戦いから遠ざかってくれるならそれはそれで友として嬉しい話ではあるが……。

 

「懊悩を乗り越えた友の頼みを断る程、俺は薄情になれん。この仲村七王、できる範囲での協力を約束しよう」

 

 

 

 

 

 

 

 





いにゅいを除いてオリキャラ祭り
一方で、最近はあんまり怪人とか出ないなーとか思いつつ大学生活をエンジョイ&エキサイティングしているセックス中毒の魔石の女戦士も居るらしい

☆「ところでそのいにゅいというのは」
やはり貴様の知り合いではないか!
という幾重にも重なる驚愕と納得に色々と心揺さぶられるまるで新主人公の様な立場の友人ではあるが
当然現状持ってるネタを使い切ったので暫く出番は無いと思われる
原作十個も重ねてるんだからオリキャラ増やしてどうすんのという話ではあるけれど
実は同年代が少ないのだ響鬼
威吹鬼さんは実は原作時間になると年下だったりするぞ!
原作時間になるまで原作キャラ出さない縛りとかは無いんだけど、せっかく出したキャラを使い捨てにするのは悲しいのだ
響鬼の年になったら原作キャラとの交流を担当したりするかもしれない

☆新たな謎が増えて迷ういにゅい
あの声どこかで聞いた覚えがある……
というだけで、まだ謎の装甲服の中身にははっきりとは気付け無い
スーツの中身誰じゃいとかあのオルフェノクよく見るけどなんじゃいとか
そういうのはファイズのお楽しみ要素でもあったきがする
でもたぶん中身女の子だよね、殴れる?
ここのいにゅいは一度目の前で大切な女の子を亡くした経験をつませているので敵なら躊躇いなく殴れるぞ!
そんでトドメという場面でぴたってエモノが止まって殺しそこねたりするのだ
謎の敵との共闘の経験
全国で妖怪みたいなのを退治してる組織とのつながり
同年代の新しい知り合い(友人ではないが共闘の経験で微妙に信頼感があるし裏のない人格者)
頼もしそうなおっさんとの面識
をゲット
地味に死ににくい人間の知り合いが増えたのは間違いなくプラス

☆空気に流されて素顔を危うく晒しそうになる謎の少女
大首領が言っていた
素顔を知っていると殺しにくくなる……
あいつ、すがおを晒したのはそういうことか
ひきょうなやつめ!
絶対にベルトを取り戻してやる!
でも、いっしょに戦ってくれたし、助けてくれたし……
このきもち、どうすればいいんだ……
大ン「取り敢えず倒してベルト奪っても殺さなければ答えを後回しにできるぞ!」
なるほど
大首領は頭がいい
IQ二万個くらいある
がんばるぞ!

☆一方その頃
大学生活をエンジョイしていた難波さん!
意気揚々と入ってみた天文学サークルは大学一のヤリサーだった!
新入生歓迎会!
振る舞われる酒!
お持ち帰りされそうになる女子新入生達!
覆いかぶさるあんまり親しくない男子の先輩!
「やだー!」
唸る鉄拳!
撓る豪脚!
魔石の戦士の学習能力で学びきった赤心少林拳が、犯罪者の温床にて嵐のごとく吹き荒れる!
酒が入っているから怪我をさせないみたいな気遣いは機能しないぞ!
次回
『加害者全員複雑骨折内臓破裂四肢断裂!ヤリサー壊滅! 凄いですお姉さま!』
という流れで助けられた一緒のサークルに入った同級生の女の子をあてがって適当なゆるいユリ展開をですね……
やらないので、きっと大学にいる間は主人公にひっつくようにして生活するようになるんじゃないですかね
そも生身パンチで四肢断裂させるバケモンになつく女の子も居ないか……
居合わせて意識あった被害者らは記憶を少しイジイジされたに留まる
なお破壊された加害者である先輩男子学生達は難波さんの連絡で駆けつけた主人公がインポにする形で全身を修復して記憶を消す実験につきあわされた挙げ句めちゃくちゃ体内でアルコールを精製されて急性アル中でアッパラパーになったというていで社会的に抹殺された上で一命をとりとめたぞ!
エキサイティング要素(暴力系エンタメシーン)
新入生歓迎会で馬鹿ヤッて死ぬアル中は結構居るからヘーキヘーキ
例年の死亡者といっしょいっしょ

☆結局出番無かった仕降鬼さん
年上お姉さんヒロインの需要は満たされてしまったのでおっさんに
おっさんとお兄さんの間くらいの年?
きっと斬鬼さんとか響鬼さんと同世代
まだ二十代じゃねーか!
でもアラサーだし……
という事にしておけば原作とのつながりを作りやすいかなという浅ましい考えが透けて見えるんだよ、正体見たりって感じだね
弦メインだが打もまぁまぁ使える、笛は少し苦手
一人で魔化魍の出現率が高い地域を担当している少し偏り気味なオールラウンダー
名称未定な音撃弦は振動しないけど鋸刃で、多少刃こぼれしても威力が減衰しない昔ながらの作り
必殺技は音撃斬・惨罰鋸引だ!

☆書いてて気付いたけど
だいたい十六くらいで主人公生んだのがママンなんだから
主人公が18の今は三十四
現在ファイズ編2003年
響鬼編2005年
……ママンは裁鬼さんと殆ど同い年!
いやだからどうだって話なんですが
原作キャラと同い年とかなるとなんか嬉しいですよね
イクサがあればマンモス怪人くらいなら余裕ではあるが、それはそれとしてファンガイアと比べると面倒な相手だから出るボーナスが同じなのは許せない若ママンなのでした



みんな!
原作を早期に片付けて、敵を一掃してしまうと、次の原作が始まるまでほぼオリ展開で勧めないといけなくなるぞ!
みんなはご都合主義とかご都合悪い主義で原作の敵を早期に始末できないみたいな展開はしたくない、と思っても
この労力とそれによって離れて行く読者の数を頭に思い浮かべて、その上でちゃんと選択しようね!
まぁでも……読んでる側がどうかは知らないけど書いてみると結構楽しかったりするとだけ記録を残しておこうと思います
みんなも気軽にオリ展開、やろう!

そういう訳で次回
次回……?
まあ?とかつけつつどういう展開にするかは決まってはいるのでご安心下さい
それでファイズ編の一つの山場としつついにゅい豪雷周りの話にも決着が付く筈ですので
そしたらまたきっと原作ルートに戻れますよ……(剣の)
ファイズの原作ルートは死んでるからあきらめよう
龍騎編では東京襲撃できなかったのでどうにか東京を破壊したい
そういう気持ちを抱きつつ、次回も気長に、感想など気軽に書いていきつつ、お待ち下さい
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