オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版)   作:ぐにょり

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記念すべきめでたい百話


100 不穏

オルフェノクというものは、人類に掛けられた不治の呪いである。

例え王を除いたとして、例え王を殺さず拘束しておいたとして、それとは全く無関係にオルフェノクというものは産まれ続ける。

人類が60億を超えて存在する以上は、一時的にせよオルフェノクの全てを根絶するのは不可能に近い。

そういう意味では、テオスの苦悩も分からなくは無いのだ。

それにしても人類を一度滅ぼして作り直そう、というのは暴論に過ぎるとは思うのだが。

 

オルフェノク化のメカニズムは未だに完全に解明できた訳ではない。

オルフェノクが人間を殺して増やす使徒再生はともかくとして、自然死した人間がオリジナルのオルフェノクに目覚める基準が不明なのだ。

心臓を一突き、或いはある種の粘液を顔に被せて窒息など、使徒再生で行われる殺人行為の方法が大体の場合人体を大きく損傷させないものであるから、大きく破損した死体はオルフェノクとして再生できない、という推論はある。

ではどれほど死体が損壊すれば再生しないのか、というのは、まだ誰も検証していないのだ。

 

損壊の少なさで言えば、自殺はどうだろうか。

階段から転落して死んだ後にオリジナルオルフェノクとして覚醒したJKが居る以上、バスタブリストカット、バスタブ感電、この辺りは修復の範囲内か。

練炭、首吊、服毒に関しても破損部は少ないかもしれないが、これらは共通して一度の蘇生では意味がない。

練炭はオルフェノク化して蘇生した直後にまた一酸化炭素中毒でリスキルされるだろう。

首吊にしても、反射的に怪人態になりでもしない限りは窒息、脳への血流阻害などで再死。

人間態でも恐ろしい力を発揮するオルフェノクではあるが、肉体強度で非人間とバレる場面は確認されない。

力に耐える為にある程度の強度はあるはずだし、高所から落ちても死なないものも居る為個体差があるのだろう。

服毒に関してはオルフェノク化の際に毒素が体内から全て排出される謎のメカニズムでも無い限りアウト。

飛び降り、飛び込みなどは死体の破損状況にもよるが、大体はアウトになるだろう。

こうしてみると、自殺というのはオルフェノク化に繋がりにくいのかもしれない。

 

では。

オルフェノクの繁殖行動に関わらない一般的な死に方で、オルフェノク化の条件が整う場面とはいかなるものだろうか。

まず、死因がそれとなく言及されているいにゅいはどうか。

彼は幼少時に火災に巻き込まれてオルフェノク化したと思われる。

死因は焼死……ではなく、一酸化炭素中毒によるものだろう。

死に方として練炭自殺と同じではあるが、密閉された室内で練炭を焚くのと異なり、一般的な住宅火災などであったと考えれば、消防による消火が間に合い、遺体が焼けるより早く、そして一酸化炭素が焼け崩れた家屋から抜けた後に蘇生したと考えれば、オルフェノク化の条件は整う。

が、人が死ぬレベルの火災というのはそれほど頻繁に発生するものではない。

いや、建物火災に関しては年間で万単位起きているのだが、その中でこの条件を満たす死に方をする人間は稀だ。

 

オルフェノクとして覚醒する際に、肉体はオルフェノクの力で再構成される。

それは完全なものではなく、元からあった古傷などが再生される訳でもない。

そして、再構成されてある程度強靭になった肉体であっても死ぬ様な状況ではオルフェノクとして活動はできない。

 

こればかりは実験する訳にも行かないので、どこまでも憶測に過ぎないのだが。

……餓死、というのは、比較的、オリジナルオルフェノクの覚醒の条件として理想に近いのではないだろうか。

 

知っての通り、オルフェノクとして覚醒した段階で直接的な死因となる損傷は再構築時に修復される。

転落死を経由したオルフェノクが致命傷となったであろう頭部の傷、出血などを修復した状態でオルフェノク化する事からそれは間違いない。

ある程度の欠損、不足などは、オルフェノク化の際に辻褄を合わせてくれるのだろう。

質量保存の法則などを語るのは無意味だ。

そこが問題になるなら怪人態と人間体で重量と全高が変わる理屈を説明できない。

 

餓死者の死因はざっくり言って栄養不足……エネルギー不足だ。

餓死に至るまでに当然のごとく肉体のエネルギー化が可能な部分は極限まで消費されるだろう。

そういう意味で言えば、大きな欠損とも言えるのだが……。

肉体を再構成するオルフェノクエネルギーが、その不足分を補う事になるのではないだろうか。

少なくとも、生存に必要な器官が物理的に破損した状態に比べれば、不足したエネルギーを補填してやれば徐々に正常な形に戻りえる状態というのは、オルフェノク化に都合の良いものに思える。

 

オルフェノク化という病は、何も現代病という訳ではない。

数十年スマートブレインを牽引してきたゴートオルフェノクですら、ライダーズギアのモデルとなった先代のオルフェノクの王に関しては断片的な記録しか持っていなかった。

過去の時代、今ほど呪いの蓄積が多くなかった時代ですら、オルフェノクは発生しえたのだ。

頻度こそ少なかったかもしれないが。

 

それこそ、古く日本に伝えられる京の街に現れた妖怪変化の類。

これらは大概が魔化魍ではあっただろうが、餓死者が変じたオルフェノクがそこに混じっていなかったとは断言できない。

また、その超常的な力から人を超えた存在として扱われ、常人がオルフェノク化を狙って意図的に儀式的な餓死をしていた可能性だってある。

即身仏、ハンガーストライキ、これらの目的は現代にも伝えられているが、その伝承が歪められた結果である可能性もあれば、表向きの理由でしか無かったという可能性もあるだろう。

助走をつけて殴りかかりもしなければ核ミサイルの発射ボタンの連打もしなかった史実の非暴力主義者も、もしかすればオルフェノク化を狙っていた可能性だってあるのだ。

 

無論、その多くは実を結ぶ事は無かったのかもしれない。

しかし、伝承の中には不思議な程に人から変じた妖物の類、或いは人に化けた妖物が描かれ続けている。

姥捨て山に捨てられた老人と山姥は無関係だったか?

或いは天狗や鬼と言った、人間に近しいフォルムを持ちながらも人里から離れて暮らしていた妖物らしきものたち。

それこそ今よりも人を捨てる事に躊躇いの無かった時代であれば、母数の多さからオルフェノク化した個体が増えてもおかしくない。

 

餓死者の多い場所にはオルフェノクが増えやすい。

しかもそれがオリジナルであるのだから、使徒再生も行われやすいだろう。

オリジナルオルフェノクが増えれば使徒再生オルフェノクも増える。

地獄のような話ではないか。

 

さて、では翻って、現代において餓死者の多い国は、そしてその年齢層は、という話になる。

アジア、インド、アフリカなどは言わずもがな。

年齢層となると、それはもう目も当てられない。

俺のここまでの推論が事実であるとして考えてみよう。

 

ででん。

 

アジア、インド、アフリカなどで一番出現率の高いオルフェノクの人間態の見た目、なーんだ。

正解は、痩せこけた子供でしたー。

では、まともに教育も受けられず、飢えの中で死んだ子供が力を得てすること、みんなはわかるかな?

そうだね、略奪だね。

 

ちなみに痩せこけた子供が多いだろうというのは、肥える程派手に食物の略奪を繰り返したなら流石に現地勢力に討伐されるだろうから、死なない程度に、ばれない程度に奪う子供が自然と生き残るだろうという計算からだよ。

奪う相手も自然と絞られるね。

地元民だと消えた時に問題になりやすいから、居なくなっても不自然で無い、旅行者、旅人を狙うのが賢いやり方だ。

ターゲットが一般的な浮浪者や孤児と同じ形に収束していく。

これも一種の収斂進化というべきだろうか。

 

そんな事態になったら当然ニュースになるだろうって?

他国からの支援でどうにか成り立ってるタイプの国が、自国の子供は怪物化して人を襲い始めたりします、原因は不明です、なんて、間違っても口にするわけないよね?

当然隠蔽される。

多分軍などによる討伐も一定周期で行われているんだろうけれども……。

知恵をつけた連中は組織化した上で逃げおおせるだろうし、それこそ自らを戦力として売り込むやつもいるだろう。

忘れがちだけれど、オリジナルが多いという事は本能で増やされた使徒再生オルフェノクも多いし、それが頭の回る大人でないとは限らない。

それこそ、オルフェノクを軍の兵器とか特殊部隊として運用している可能性も否定できない。

 

まぁ、そんな事は今更説明するまでもない。

当たり前の話に何故こんなにも思いを馳せるのかと言えば。

 

「あの人も大変だ」

 

汎ゆる魔石の戦士の魔石の位置は把握している。

何処の国に居るかも知ろうと思えば知ることができる。

位置だけでなく、どれほど活性化しているか、というのもわかる訳だけれど。

 

笑顔を取り戻すためのセンチメンタルジャーニーなのに、なんで飢餓者が溢れる地域に向かってしまうのだろうか。

俺ほどにモーフィングパワーの扱いに慣れていれば、一つのパンを増やして無限に配り歩く事だってそれは不可能ではないが、この魔石の主は違う。

悲しい話だと思う。

 

根本的に、彼らは根っこでは貧困という不幸の被害者だ。

誰が悪い訳でも無い。

しいて言うなら生まれが悪かった。

本人に否があるように言うのは幾らなんでも公平じゃない。

無論、それで人を襲い始めてモノを奪いそれが常態化したなら知らんが。

そういうものへの対処で、凄まじき戦士として目覚めかけるのはあんまりではないだろうか。

流石に少し、フォローを入れに行こう。

 

―――――――――――――――――――

 

悪夢のような状況、地獄のような光景とはこの事を言うのだろうか。

ざら、と、小さな人型が燃え崩れて灰になる。

成人男性の半分ほどしか背丈のない異形の怪物。

禍々しい、剣とも棍棒ともつかない奇妙な武器を振りかざして襲ってきたそれに、反射的に変身して蹴りを放てば、驚くほど呆気なく、しかし、見た目の小ささから想像できる範疇の軽さで吹き飛んだ。

自分から跳んで威力を殺した、という訳ではない。

しかし、結果的に十全な威力で蹴りを受けずに済んだ怪物が、じりじりと距離を取り、その間に、建物の間を縫うようにして、似たサイズの異形が現れる。

彼らのフォルムには見覚えがあった。

幾度となく遭遇した、灰色の怪人。

 

元になった人間が居るのは間違いない。

サイズから、恐らくは子供だろうという考えにもすぐにたどり着く。

ただ餓えているだけなのだ。

何かを得る手段を、こういうものしか知らないだけなのだ。

説得ができる相手ではない。

彼らはまず奪うことを覚えて、奪う手段を得て、成功してしまった。

そうなってしまったのだから、死にたくないのなら、戦うしかない。

彼らも被害者なのだが、襲われている以上、こちらも被害者だ。

逃げるにも脚がない。

跳んで逃げるには高い建物も無く見晴らしが良く、土地勘があるのは向こう側だ。

 

そう言い聞かせながら、できることは限られる。

殺される訳にもいかない。

そこまでの博愛の精神は無い。

立ちふさがるなら、相手に事情があったとしても、戦い、殺さなければならない。

仕方のない事だ。

 

消極的な戦意。

それでも、彼がこの場をくぐり抜けるには十分だった。

オルフェノク達は基本的に人間を相手にする略奪でしか力を使わない。

仲間内で格付けの様に戦うことこそあったものの、今生き残っている彼らは協力する仲間を生かしておく程度の知恵はあり、本気での殺し合いの経験は無い。

同格かそれ以上を相手に戦い続けた経験など存在しない。

それだけで、彼を相手に勝てる理由は無かった。

或いは、仲間がある程度殺されれば逃げる程度の事はできただろうか。

集った仲間が、今しがた仕事を終えた直後で、旅行者から奪った、血と被害者の破片がついた荷物を手にしていなければ。

 

ふつ、と、彼の中で何かが切れた。

擦り切れ劣化した細い糸の様な軽い感触。

ばち、と、彼の体が放電し、手の中に、いや、彼の背後にすら、黒い、金の切っ先を備えた槍が生み出された。

十二本。

彼を取り囲む異形の子供達の人数とぴったり同じ。

ざわめく異形の集団を他所に、彼が槍を振りかぶると、背後に浮かぶ槍もまた僅かに後ろに下がり──

 

「落ち着いて」

 

ふぁさ、と、彼の視界が塞がれる。

黒い遮光の布。

何が、と、そんな考えも浮かばない。

はっきりと覚えていた異形の位置目掛けそのまま槍を打ち出そうとし、手応えが無い事に気付く。

ぼ、と、視界を覆っていた布が燃え上がり、視界が戻る。

居ない。

いや、居たと言えば居たのだろう。

異形の居た位置に、焼け焦げた痕が残されている。

灰の山は無い。

これまで、ここに至るまでに幾度となく積み上げてきた、自分が積み上げてきた様な灰の山は。

 

「ええ、ありません。貴方は殺していない。大丈夫、ですよ」

 

聞き覚えのある声。

最早懐かしくすらある、しかし、数えるほどしか聞いたことのないその声に振り向こうとして、ベルトに衝撃が走る。

薄れゆく視界に映ったのは、灰の一粒も被っていない、純白と金で彩られた……。

 

―――――――――――――――――――

 

倒れ伏す、限りなく黒に近い赤い瞳のアルティメットフォームを受け止める。

意識を失ったのか、或いはベルトから肉体に繋がる神経を一時的に切除したのが効いたのか、変身が解除されて、人間の姿が顕になる。

髪はざんばら、無精髭の生え散らかした姿ではあるが、間違いなく彼は五代さんだった。

いやまぁ、ある意味ではあの一年の姿を除けば大体こんな姿だったような気もするが。

少し、やつれただろうか。

魔石の戦士は健康状態に問題はそうそう出ない筈だが、精神的なものまでは古いベルトではどうにもならないのかもしれない。

 

プラズマ化したお陰で五代さんが彼らを殺すのを阻止出来たが、一度解けた安全装置はそうそう掛け直せない。

そもそも古代のリントの安全装置は安全装置とも言えない様な警告でしかないのだけれど。

できれば、周囲に彼のメンタルをケアできる人間が居る状態でこうなるべきだった。

 

少なくとも、彼はこの旅の中で戦いと無縁では居られなかった筈だ。

一年に渡って人から変じたことが分っている怪人、グロンギを殺し続けて、上手く浮かばなくなった笑顔を見せたくない為に出たであろう放浪の旅。

或いは元が旅人である為に、いつもどおりに旅立っただけなのかもしれないが。

だが、それにしても今まで通りの旅とはいかなかっただろう。

彼は綺麗事だけの人ではない。

助けになろうとする事はあれど、自分でどうにかできない時に近づかない分別はついていただろう。

 

だが……彼には無茶ができるだけの力が備わってしまった。

普通なら聞こえない人の悲鳴を聞き分けるだけの聴覚も。

普通なら嗅ぎ分けられない様な微かな血の匂いを嗅ぎつける嗅覚も。

以前までの彼の旅には無かったノイズになってしまっただろう。

負った怪我すら直ぐに治る肉体は、彼から思慮深さを僅かに失わせ、衝動に任せて動く機会を増やした筈だ。

そして、トラブルに巻き込まれ、人を助ける、という行為は必ずしも良い結果を招かない。

 

都市伝説にある。

全身に血を浴びた様に赤い戦士。

時折現れては暴れ、近隣の集落が消えていた、などという、下らない噂話だ。

真実だろう。

恐らく集落側が元は加害者なのかもしれない。

或いは戦わずに逃げ延びた者が流した悪意ある噂なのかもしれない。

 

視線が集まる。

こういう時、賢明な市民は視線を寄越さず、知らぬ存ぜぬを決め込む。

視線を寄越すのは……。

獲物や外敵を観察する狩猟者だ。

あのガキども、随分と連携を取るのが上手かった様に見える。

それを教え込んだ連中が居たのか。

或いは、ガキどもが力を盾に同盟という名目で庇護下に入れてもらい、後ろ盾にしていたのか。

どの程度の規模の組織なのか。

それは人間の組織なのか。

技術力は如何ほどか。

 

暴れまわるのはリスクが高い。

時間を掛けるのもナンセンス。

危険な位置に居るのは下っ端だろう。

 

纏めて燃やす。

 

纏めて燃えた。

 

人だったらしい。

だが油断は禁物。

大組織の怪人が現地民を取りまとめている可能性もある。

下っ端らしき連中は人間ではあったが、武装がそれなりに整っていた。

流石に最新鋭の兵器、という訳ではないが。

或いは幹部級は戦闘員である可能性もある。

まぁまぁ安全な位置で指示を出していた連中。

 

燃やす。

燃えた。

 

なるほど、これも人間。

だが、何名か残してある。

ボスが居る所を抜く為だ。

拷問に掛けるまでもない。

心に訴えかける技術は無数にある。

 

―――――――――――――――――――

 

ボスまで含めて人間だった。

危険な海外での活動を敢行してまで得られた情報は、最近は変な力を持って変な姿に変身するガキが多い、というだけの情報のみ。

良い武器が揃っているのは、彼らがそれなりに規模の大きいテロ屋だったからだという。

分ってしまえば下らない話だ。

海外の組織化したオルフェノク、或いは、オルフェノクを現地徴用の戦闘員に据えた何らかの秘密組織、という危険性を考えて、俺を目撃した可能性のある連中は残らず根切にしていったのだが。

 

しかし。

最近増え始めた、という言葉が気になる。

どうも、そういうガキが増え始めたのはここ数年とかいうレベルではなく、本当にここ数ヶ月くらいの話でしか無いらしい。

何年も前から小規模な目撃情報はあったらしいが、組織化する前に軍が出動して捕獲を試みたりした結果、駆除されていたらしい。

或いは既に軍の方ではある程度の数確保しているかもしれない、というのはお亡くなりになった現地組織のボスの言葉だが……。

 

数ヶ月。

あやふやな期間だ。

それこそ九ヶ月だろうと数ヶ月だし、三ヶ月だろうと数ヶ月になる。

原因に思い当たるものが無い訳ではないが、確証が持てない。

対策をしようとすれば、また別の問題も出てくる。

同じ現象は日本国内でも発生しているのだろうか。

それを確認しないことにはどうにもならない。

 

それに、まずは手元の五代さんだ。

起こさない様にボスの人の尋問も静かに行なってはいたが、それにしても一向に目覚める気配が無いのは問題がある。

ベルトと強化神経の接続は既に直してある。

肉体的不調は存在しない様に見えるのだが……。

 

……いっそ日本に持ち帰って普通にカウンセラーにかけてしまうか。

実際心の傷を癒やすのに旅というのは有効だが、旅先で心を傷付けていては元も子もない。

親しい人間が居る環境でゆっくりと心を癒やすのは決して間違いではない筈だ。

脳波はちゃんとしてるから、何発か引っ叩いたら起きるかもだし。

だけど、彼は一応ちゃんとパスポートを持っていて普通に出入国の記録が存在する。

いきなりどこも経由せずに日本に戻してしまうのは問題があるだろう。

そもそも日本に戻してもオルフェノクは居るし人間に近い見た目のファンガイアとかも居る訳だし、なんなら眼の前で親しい人間が虫の宇宙人に変貌し乗っ取られていたことを知るみたいな目に合う可能性だってあるか。

人と遭遇する土地に行くのは避けたほうがいいのかもしれない。

 

そもそも、布で荷物ごとくるんで念動力で持ち上げて運ぶ、というのは些か目立つ。

ヘキサギアに運ばせようにも、二十二号と陽炎にラインを繋げない為にもあそこらへんのユニットはなるべく二十二号の時には使わない様にしているのだ。

……もう普通の見た目のエルロードもどきも作ってしまおうか。

 

土と石を積み上げて作った家々は固く門戸を閉ざしている。

そもそもこの周辺に旅人向けの宿などあるのだろうか。

単純に、屋根壁のある場所というのなら、今しがた一人残らず壊滅した木っ端組織の使っていた建物でも良いのだが。

騒ぎを聞きつけて何者かがやってくることを考えれば、俺もできる限り早めに退散したいところではある。

が……、目覚めた後の五代さんの精神状態も可能な限り確認しておきたい。

オルフェノクの発生率が上昇している可能性も色々と考える必要があるが、それを置いても野良の、安全装置が完全に外れきった魔石の戦士をそのまま放置という訳にはいかない。

これで彼の変身後の姿がちゃんと赤目だったなら問題無かったのだが、今のままではただの凄まじき戦士になってしまう。

 

安全を考えれば。

……できれば考えたくも無いのだが。

この場で意識を失っている間に、魔石を引き抜いてしまうのが一番ではあるだろう。

既に、ただの魔石の戦士であれば、魔石を引き抜いた後に生かしておく方法も存在する。

殺す気で引き抜いてそのまま放置したグジルとも、復活の目を潰すために念入りに殺したその他グロンギとも状況は異なり、当時には使えなかった多くの技術が俺の手の中にはある。

なんとなれば、戦力としてカウントしたいなら、アギトにしてしまうのも良いだろう。

だが。

 

「悩ましいものだ」

 

周囲の民家から視線は向いていない、というより、向けさせない。

この程度の距離であれば人間が何処に居るか程度は把握できるし、眼球運動や筋肉の動きを念動力で誘導する程度は造作もない。

脅威に対して身を潜め目をつぶりやり過ごそうとするだけのタイプの人たちを目撃者として始末する趣味はない。

まず、この五代さんを適当に空き家になった悪党どものねぐらに寝かせて……。

 

「悩ましいというのなら」

 

突然の声。

俺の知覚範囲にありながら、発言があるまでそこに居ると気づけなかった。

振り返る。

 

「手を貸すのが遅れた詫びに」

 

赤いメットと銀のマスク、緑の目。

差し色で赤の入った銀のボディにグローブとブーツ、赤い手足。

肘には十字手裏剣。

膝には十字手裏剣と似たフォルムの衝撃集中爆弾。

 

「付き添うくらいはさせてもらいたい。……どうだ?」

 

仮面ライダー十号。

BADAN製改造人間、仮面ライダーゼクロスが、そこに立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 





実際は少し前に総合話数では百話突破してはいたのですが
話数のカウント的には百話
百話記念と555編の大規模イベント前哨戦として
大好評五代さん曇らせキャンペーン第二弾
こういう場所がこの世界には結構な割合であるぞ

☆サイボーグの……ニンジャ!
設定上体術などはあまり使えない、みたいな説明がネット上で見られるが、例えこの世界でスピリッツの様な出来事が無かったとしても、このゼクロスが1984年から現2003年まで戦闘経験を積んだ上で恐らくは結城丈二の手によって定期的に手を加えられているパーフェクトサイボーグであることを忘れてはいけない
首領のコピーボディ設定なんてあっても無くても強いに決まってるんだよなぁ
ドローン飛ばしまくって索敵に専念すれば見つかるかもしれないが、単純に強化されただけの状態の主人公の五感くらいならくぐり抜けられる
なんで現地に居たかって?
たぶんこの地域の巨悪とかと戦ってたんでしょ
残党狩りの最中だったとか……?

☆聖なる泉枯れそう……あれ、枯れた?枯れてない?もう泉っていうか固まりかけた沼っていうか
バレンタインで持ち直してたでしょ?
あれ、モンゴルっぽい草原ぽいとこでそんなに人と触れ合ってない時期だから回復が間に合ったってだけなんすよ……
人が多い場所に行けば行くほど曇る事件に遭遇するぞ!
この世界は餓死系の死人が多い土地程オルフェノクも多いし、餓死者は子供率高いから更に曇るぞ!
考えれば考えるほど五代さんを放置するのが危険な世界だ……
力がない一般冒険者だったころは危なそうな雰囲気のとこを避ける機微があったんですがね……
できるとなるとやってしまう、結果がどうなるかは
グロンギみたいに決定的に殺すしか無いとかじゃないけど、じゃあ説得できるかっていうとできる訳もないっていうか
なんかこうして見ると百話の記念にアルティメットフォームになったみたいに見えるよね
おめでとう!
なんか目ちょっと黒っぽいけどまだ赤みさしてるから大丈夫だよ
曇らない方法?
魔石えぐり取ってただの人間に作り直した上で荒事につっこまない様にある程度の期間(ゲゲル周りの一年とそれ以降の戦い諸々)の記憶を失う事かな
たぶんこの世界まともな神経持ってる人間は戦う力と幸せな人生両立出来ねぇ

☆幸せになるためにまともな神経をプロローグでまず捨てに行った男
実際以前に黒っぽくなりかけてたのを確認してからちょいちょい五代さんの魔石の具合を確認したり、海外サイトの四号目撃写真みたいなのをさがしてたりしてた
今回は流石にライン越えっぽい反応だったので久しぶりの二十二号フォームで出撃
実は二十二号としての変身時のボディ素材にも新素材が採用されているので、デッキ無しでも防御面では見劣りしない
海外において、オリジナルオルフェノクの子供の発生率が上昇しつつあるという情報を確認
五代さんに戦ってほしくないというかつてのファンとしての意識はあるが、正直戦士として続行できそうなら続行して欲しいという本音がある限界までタオルは投げ込まない派
昭和ライダーと初遭遇

☆年齢一桁とか普通に混じってるガキオルフェノクども
ガキのオルフェノクという意味だが、それこそ餓鬼モチーフのオルフェノクで統一していいかもしれない
子供だから物事に対する複雑なイメージを持っていない為にモチーフが死にかけの自分とか自分に年齢が近い死体とかになってるとかで
たぶん現地の巨悪と戦っていたゼクロスに関してはガキらにも情報知れてて、姿が見える時には行動を控えていたんじゃないかなって
餓死者の中からオリジナルとして起き上がる確率上昇中
また、子供らの使徒再生ヒット率も実は上昇中
大人のオルフェノクの発生率は?
それは次回やるかなぁ?
わがんにゃい!

☆一方その頃日本
スマブレは王を探す為に孤児院とかも経営していた訳だけれども
あれ管理今どうなってるんだろうなって疑問に思う
親会社というか経営担当してたスマブレは滅んだ訳だし
頼れる身よりも無いというのに
子供達が心配だわ
俺、そういう顔、してるだろ?



今年もやっぱり見てみたい
東京が火の海に沈むとこ
ぐにょりです


嘘です
見てみたい訳ではなく
物事の必然として東京は火の海に沈むし
ゴジラは東京に上陸するし
なんなら東京が死んで何か産まれるまである
ボルテック(ス界に)シューター!
まぁもう二回も火の海になってるんだからそのうち風物詩になるよ
再建能力もアップするんじゃないですかね
バトルファイトも近づいてきてるから予行演習みたいなもんさ
という事で今回はここまで
次回も良ければ感想とか書きつつ気長にお待ち下さい
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