オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版)   作:ぐにょり

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101 戦士に非ずと戦士は言った

仮面ライダーZX。

彼はナチス残党によって結成されたショッカーの流れを組むバダン……バダン帝国により作られた改造人間である。

カミキリムシをモチーフとして製造され、頭脳を除く体の99%を機械化されたパーフェクトサイボーグだ。

姉がバダンによって拷問に掛けられて死亡、その様子を目の当たりにしたショックで記憶喪失になった大学生の青年、村雨良の改造体であり、記憶が戻るまではバダンの下でヒットマンとして活動していた。

が、任務中の事故で記憶を取り戻し、姉を殺害し自らを異形の怪物に作り変えたバダンに復讐するため、一人孤独な戦いへと繰り出すのであった。

 

……というのが、後にアシスタントが親に勤め先を話しても恥ずかしくない漫画家さんによってリメイクされる前の彼の設定だ。

彼がリメイク後の世界のゼクロスである、という可能性も考えてはいたのだが、以前に調べたところ、流石に全世界の軍隊が短時間で壊滅した事件というのは見当たらなかった為、少なくともリメイク後の事件を全て乗り越えた状態ではない、と、想定している。

 

彼の経歴を見て、なにはともあれまず脳改造という基本を改めて胸に刻み直すことができるだろう。

ショックで記憶喪失、心神喪失の状態になっているというのなら、その状態で改めて物理的に脳を改造して記憶を取り戻さないようにする必要があった。

ショッカーを始めとしたサイボーグ式の肉体改造は肉体を改造した後に脳を改造しないといけない何かしらの理由があったのだとしても、彼の状態ならば脳改造までスムーズに移行できた筈だ。

やはり、大組織になればなるほど末端部の仕事は杜撰になってしまうものなのかもしれない。

 

一応、彼が大首領の器として作られたゼクロスでない、という前提で思考を進めているが、それでも彼が厄介な存在である、というのは違いが無い。

100メートルを0.6秒で走り抜ける俊足、V3の必殺キックを受けてもよろめく程度で済み、スーパーハンドを使ったスーパー1と互角の殴り合いをこなすそのスペックはサイボーグ系列としては最高峰と言って良い性能だろう。

また、物質をエネルギーに変換させることで消滅させる時空破断装置からの干渉に耐えきり、動力は愛車のヘルダイバー共々核を使用している。

最悪敵対した場合、下手な壊し方をすれば周辺を汚染する危険性がある上に、物質をエネルギーに変換するというモーフィングパワーにも似た分子干渉能力、下手をすれば機能は限定的ながらも部分的には上位互換とも呼べる装置の干渉を跳ね除けている為、モーフィングパワーによる干渉、汚染物質が漏洩した場合の転移も不可能(転移は超能力でなく分子操作による肉体の遠隔再構成に分類される)と来た。

そもそも、カタログスペック上では1万メガトンの威力を誇る(それだけの出力が出せる、というだけで、周辺被害などを考えて実際の戦闘時は出力を絞っているものと思われる)スーパーハンド使用スーパー1と殴り合えるという時点で頑丈さは折り紙付き、殴り合って勝てるかという根本的な問題が発生する。

通信範囲も地球の裏側まで余裕で範囲内である為、電波を遮断するような場所で無ければ何時でも仲間を呼ばれる危険性と個人情報を垂れ流しにされる危うさもある。

 

更に問題なのは、明らかに俺の知る上記の常軌を逸した性能ですら説明の付かない、俺の超五感と第六感をくぐり抜けるステルス性能だ。

バダンを足抜けした後、ライダーと合流してこれまで戦い抜いてきた以上、メンテナンスとアップデートがなされているのだろう。

昭和ライダーお得意の後輩への特訓が行われると仮定した場合、もともと体術に関しては最低限だったゼクロスは余計な技を覚えている可能性も高い。

黒沼流でない源流の赤心少林拳など覚えていたら最悪だ。

 

前向きに考えた場合。

理屈の上ではパンチ力以上の破壊力を繰り出せる桜花ならゼクロスの装甲を抜けるかもしれないので、返しとして梅花の型を繰り出してくれるかもしれない。

つまり、危険を冒してスーパー1を見つけ出さなくても黒沼流で失われた護りの奥義のデータが回収できる。

魅力的だなぁ。

ここまでのマイナスポイントが全てチャラになるプラスポイントだ。

そもそも今までのマイナスポイントだって、敵対した場合のマイナスでしかない訳で。

何故か旅人である五代さんが襲われているのを見逃して悪堕ちを許した不審者であるという点には目をつむり、なんとか敵対的でない関係を築けるように努力してみよう。

 

体内時計確認。

ここまで二秒。

相手も変身を解かないので表情は読み取れないが、動きからこちらを不審がる様子は無い。

ヨシ。

 

……ヨシ、と思ったが。

そもそも、この人が何用で声を掛けてきたか、というのがよくわからない。

空き家になった元地元小悪党どものアジトのベッドに五代さんを寝かせ、しばし、見つめ合うでもなく、沈黙。

二十二号変身体もそうだが、ゼクロスの変身体もまた土っぽい建築物の素朴な内装にはまるで似合わない。

これならメトロンの方が余程人類の建築物に馴染んでいるだろう。

そもそも変身をゼクロス側が解かないのは警戒されてのことか、あるいは、当時も言われていた、人間態への可逆変身システムが長期間の運用により不調を来しているのか。

 

「彼は、無事なのか?」

 

諸々の謎を捨て置き、ゼクロスが言葉を発した。

 

「ふむ」

 

しばし、考える。

無事の定義にもよるだろう。

凄まじき戦士というものは、なってしまったからといって破壊衝動に飲まれるとか、優しさの全てを失ってしまうとか、そういう副作用の存在する形態ではない。

あくまでも、ベルトと魔石、霊石に肉体が完全に馴染んだ上でベルトの安全装置を全解除した状態でしかない。

無論、この時にベルトから伸びた強化神経による肉体と脳の作り変えにより、人間の枠からは大きくはみ出した存在になるが……。

 

「今のところは、ギリギリで無事、と、言える段階ではある筈です」

 

「今のところ」

 

オウム返しに疑問点を呟くゼクロスに頷く。

結局、ベルトが作り変えるのはあくまでも肉体というハード面での改造でしかない。

当然ではあるが、神経が完全に到達した脳ですら、結局は肉体の一部に過ぎない。

人間が自我と呼称しているものは、脳の中に蓄積された記憶情報の影に過ぎない。

幾ら、肉体や脳が別物と呼べるレベルで改造されたとしても、中で走るソフト、プログラム自体は、()()()()()()改造前と違いない。

無論、この世界においては魂という要素が現実として実装されているので、詳しく解説しようと思えばもう少し複雑にできるのだが……。

 

「できる、できない。この二つの差はとても大きい。彼が得てしまった力は恐ろしく強大だ。少なくとも、表向き世界に存在しているあらゆる兵器が玩具同然になるほどに」

 

凄まじき戦士、アルティメットフォームになった五代さんは、変じた瞬間から虚空から槍を無数に作り出し、空中に座標を固定し、肉体の力に寄らず投擲しようとして見せた。

最終安全装置が解除された状態の魔石の戦士は、それ以前の状態とは隔絶した力を持つ。

そして、脳もそれを十全に運用できる程度の性能を余裕で有している。

青い体で何ができるか、緑の体で何ができるか、それは説明書を解読して初めて理解できた。

だが、アルティメットフォームは違う。

何ができるか、何ができないか、その程度はやろうとした瞬間に殆ど理解が及んでしまうのだ。

 

完全に加害者で、現代においては余程のイレギュラーで無ければ殺すしか無力化の方法の無いグロンギを殺すだけでも、重篤な精神的後遺症を残す程ストレスを抱えた五代さん。

彼は手に入れてしまったのだ。

やろうと思えば、数万人を一瞬にして跡形もなく消滅させる事が可能な力を。

 

オルフェノクの力を手に入れた人間がそれを振るいたがるようになる、という話を以前にしたが、これもその一種だ。

暴力を忌避し、しかし、それを振るわねばならない場面もある、と理解している人間に、過剰な力は毒にしかならない。

何の安全装置もなく、弾数制限も無い核ミサイル発射スイッチを持たされたなら、暴力的な人間でも心を病むだろう。

五代さん程のお人となればなおさらだ。

まして、今の五代さんは過剰なストレスにより今までついぞ外さなかった安全装置を外し、本来なら守るべき相手であるような子供が変じた怪物と対峙し、それを殺さねばならない様な状況に追い込まれてしまった。

 

「既に救う事も和解する事もできない相手を殺すだけでもストレスを抱えるこの人には、重すぎる力です。……下手をすれば、目覚めた瞬間に自害するかもしれない」

 

殺せてしまう、という事に、彼は耐えきれるだろうか。

いや、頭脳にまで神経が到達した時点で、ある程度の戦闘へのストレスは軽減される。

案外と、直接的なストレスは減るかもしれない。

が、逆に、本来なら、倫理的に考えればストレスを感じなければならない場面でストレスを感じなかったなら、五代さんはどう思うだろう。

 

自分が自分ではない感覚。

人間だった自分が、戦うためだけの生物兵器に生まれ変わってしまったのだ、という理解。

多くを殺してまで生きてきた以上、衝動的に死ぬ事を選ばない、という可能性もあるが。

自分を律しきれないかもと思い、まだ大切だと思えている人たちを巻き込まない為に、死を選ぶ可能性は十分にある。

 

無論、()()()()()()()()()()()()()のだと俺は知っている。

技術の継承の中、極僅かではあるが、バルバからダグバの話を聞いている。

バルバと話した中で聞いたダグバの異常性は、決して魔石由来だけのものではない。

そして、俺はベルトを巻く前と後で倫理観に多少の変化こそあれど、人間的感性を失った訳でもない。

何かを美しいと思う心、美味しいと感じる心、それは失われておらず、なんとなれば、友を失う事は未だ怖いと思えるし、人を好きになる事だってできる。

 

そも、魔石は人間由来の物質、人間の可能性の結晶だ。

凄まじき戦士は神殺しを狙って作られた鉄砲玉の様なものだが、その神が一時的にでも退けられた以上、新しい意味合いを持ってくる。

アルティメットフォームは、人類にとっての新たなステップに過ぎない。

或いはこれから続いていく、新たな神へと続く進化の歴史からすれば、小さな一歩でしかないだろう。

そう大げさに捉えるようなものでもない。

なんとなれば、俺は全人類への魔石ベルト装着計画を一時凍結したが、自然発生的に魔石の戦士と同じ構造の新人類が産まれる可能性だって無い訳ではない。

無論それは、これから更に長い長い時間を掛けて行われる進化の中での話だが。

 

……と、俺はそう思っているのだが、五代さんは事情が違う。

或いは平時の五代さんであれば得てしまった力に冷静に向き合う事ができたかもしれない。

しかし、今の、ストレスから凄まじき戦士に目覚めてしまった五代さんには、後ろ向きな考えばかりが浮かんでしまうだろう。

 

「だが、君が居る」

 

「俺は五代さんの力にもなれないし、規範にもなれない」

 

「それは君が、自分のために戦っているからか」

 

「それをさも悪いことである様に言われるのは業腹グラフィ……業腹ですが。そうですね……」

 

何処から何処までを話すべきか。

魔石の戦士のメカニズムに関しては、五代さんも知っているところだ。

そこから話せば良いだろう。

 

「俺と五代さんはほぼ同じ由来のベルトを使用して変身していますが、俺は、よりベルトに体が馴染むようにしてきました。そして俺は事前に、脳開発をこなしています」

 

「脳改造を?!」

 

がた、と、立ち上がったゼクロスを手で制する。

 

「いえ、脳()()です。洗脳の類ではありません。ちょっと前から流行っていませんでしたか? 右脳を鍛えるとか、記憶術とか、そういうものの発展型です。俺は最初から自分の脳が別物に変化する事を受け入れた上で、このベルトのシステムを理解した上で、装着しています。出発点が違うんです。そして当然、目指すゴールも違う」

 

「君と彼、そして、俺たちのゴールは違う、と。何を目指して戦う?」

 

「平穏」

 

それは、超能力しか無かった頃から、ベルトを付ける前から、付けた直後から、何一つ変わらない。

 

「不条理な喪失の心配が必要のない世界、只人として気兼ねなく生きることができる時間」

 

「その為に戦うのか」

 

「それ以外に何があると? あらゆる戦いは究極的にそれが目的になる。あなた方とて例外ではない筈だ」

 

「それならば……彼もまた、同じ理由で戦えるだろう」

 

「それは違う。いや、()()()()()()()()()()。確かに、五代さんは戦う事のできる人だ。理不尽に対しては拳を握り立ち向かう事ができる人だ。でも……」

 

未だ瞼を瞑り意識を戻さない五代さんの、少しやつれた顔を見て、改めて思う。

 

「彼は冒険家だ。戦士じゃない。戦士であるべきじゃない。彼はもう十分過ぎる程に戦い抜いた。2000年、日本の平和を彼は確かに守り抜いた。拳も心も傷付きながら、仮面の下で涙を流しながら、必死に戦い抜いたんだ」

 

彼は、確かに人々の自由と平和を守るためならば、傷付きながらでも戦えるだろう。

彼のような力ある戦士の助けを待つ人間は、この世に今も無数に存在するだろう。

彼が自分を殺して力を振るえば、誰かを助ける為に誰かを殺し続ければ、多くの人が助かるだろう。

彼が助けた人間が、その総てが彼に素直に礼を言える人間ではないだろうが、僅かでも彼と心を通わせ、笑顔を共有できる相手もできるだろう。

荒む一方でなく、救われる面もあるかもしれない。

だが、

 

「力ある全ての人が、力なき人々の為に人生を捧げる必要はない。心に傷を負ったというのなら、戦いの中に救いを見出すのではなく、戦いから離れて心を癒やしても良い。本来ならそうなる筈だったんだ。この世界が、こんな場所で無ければ」

 

例え全身が兵器と化していても、生物兵器になっていたとしても、拳を握り続ける必要はない。

握った拳に乗る柳の綿の様な、僅かな救いだけを糧に戦い続ける義務なんて、誰にも無い。

勿論、それはあくまでも俺の希望でしかない。

そうあって欲しいという俺の願いと、五代さんの人生は勿論別だ。

そして俺がどう願ったとしても、この世界で完全に平穏に過ごせる場所というのは心当たりすら無い。

結局、彼は何らかの形で戦い続ける事になるだろう。

それが助けになるからと、彼のケアをしてみた時すらある。

だが、改めて、能動的に悪と戦い続ける戦士を前にして、思う。

 

「五代雄介は、ただの冒険家だ。戦士クウガである必要も、ましてや……()()()()()()()()()なんてものになる必要だって無い」

 

視線をゼクロスに向ける。

ここまでゼクロスの口にした言葉はこちらの言葉の疑問点を指摘するような内容ばかり。

あいも変わらず目的ははっきりとしないが……。

彼らが、戦士として、海外の脅威と戦い続けているというのなら、五代さんを共に行かせるのは不適切だろう。

五代さんの意思はともかくとして、今の五代さんの状態を客観的に見た場合、必要なのは決して新たな戦いの場でも新たな敵でもない。

戦いの場から離れた静かな土地で、ゆっくりと心の傷を癒やす時間こそが必要になる。

 

「俺は、自分の平穏な一日の為に、365日弛まず戦いに備え続ける心構えもできている。あなた方の様に、日夜人類の自由の為に戦う戦士が居るのも良いだろう。だが……それを人に強要する事だけは、してはいけない。……と、俺はそう思います」

 

少し喧嘩気味に言い過ぎている気もする。

だが仮に、彼らが、五代さんを新たなライダーとして、コミュニティに招こう、というのであれば。

それは、違うと思う。

やむを得ず戦うのと、敵を探して倒して回るのでは、まるで意味合いが違う。

 

じ、と、ゼクロスと視線を交わし合う。

可動部の存在しないゼクロスの頭部からは、いかなる感情も読み取ることができない。

何を考えているのか。

ジェネレーションギャップもあれば、仮面ライダーとして戦い続けるなんて苦行の中で生きるメンタルも理解できない。

これならまだマックで実りのない話を続ける軽めのJK達の方が理解が及ぶレベルだ。

なにせ俺も少し前まではDK(男子高校生)だったからな……。

 

「そうだな」

 

ぽつり、と、ゼクロスが呟く。

同時、ゼクロスの体が煙に包まれ、そのシルエットがサイボーグのそれから、人間のそれへと変化していく。

癖のあるややボリューミーな髪の毛に、少し面長気味の色男。

あと眉毛がすごく濃い。

人間、村雨良の素顔だ。

こうして実際に人間としての顔を見ても、実写版とSPIRITS版の顔が割と似ているので、どちらと判別する事もできないのだが。

しかし、一つわかる事がある。

 

「俺も、そう思う」

 

素顔を晒した村雨良の顔には、うっすらとではあるが、確かに笑顔が浮かんでいた。

 

―――――――――――――――――――

 

結局、意識を取り戻す事の無かった五代さんは村雨さんに預けて戻ってきた。

ライダーとして共に戦う事は決して強要しない、と、あちらから提案してくれたからだ。

無論、実質初対面の相手の言葉を鵜呑みにするのは馬鹿のする事だし、実際戦いに巻き込まれた一般人を見てしまえば五代さんは戦ってしまうだろうが……。

色々と言ってしまったが、結局五代さんがこれからどうするかは五代さんが選択するべきことで、俺がごちゃごちゃと口出しをするべき問題ではない。

精神が弱っている所に仮面ライダーとして活動することで支柱を通す、という方針が気に食わなかっただけで、自分から戦士として活動して敵性種族を減らしてくれるならそれはそれで別に良いのだ。

 

「ただいま」

 

幾つかの経由地を経て、発信機の類が無いかを確認した上で一人暮らしのアパートに戻った俺は、ソファに座りながら午後ローを見ていたジルの隣のスペースに飛び込んだ。

非常に疲れる対話だった。

いや肉体的にという話ではなく勿論精神的に、という話なのだが、精神は肉体に強く影響を及ぼすもので体感的にはどっと疲労感がのしかかってくる。

崩れるように凭れ掛かると、ジルの腕がぐいとこちらの身体を引っ張り、膝の上に頭を押し込んできた。

 

膝枕をされている様な、膝の上に置かれたクッションの様な状態。

位置的にはこのままテレビも見れそうな体勢だが、頭部に伸し掛かる二つの巨大なおもちのおかげで何一つ見えない。

顔に押し当たる柔らかくも重い幸福の塊に視界を閉ざされたまま、テレビから聞こえるクソみたいなモンスターパニック映画の音声のみを耳で拾う。

いや、映画の音声に紛れて何かを咀嚼する音が聞こえた。

 

「何食ってんだそれ」

 

尋ねると、口の中にジルの指ごと細長い何かがねじ込まれてきた。

バームロールだ。

買い置きしてたやつだな。

もさもさと咀嚼していると、口元に固い何か、ペットボトルの口が当てられる。

適量お茶が流し込まれた。

 

あー。

 

最高の午後の堕落。

午後一杯はこのまま熱したチーズの如く溶けて過ごしてしまいたくなる。

瞼を閉じればこのまま眠りにもつけるだろう。

ぽんぽんと心臓のリズムに合わせて二の腕の辺りを叩くジルの手の感触も心地よい。

うん。

二時間くらいの区切りで寝てしまおう。

諸々の仕込みはその後で。

でも、その前に。

 

「ジル。もしかすれば、戦いの時が近いかもしれん。行けるか」

 

ジルは貴重な魔石搭載アギトである。

そして、戦いに対する心構えに関して言えば、ふわふわした見た目からは想像できないレベルで意識高く纏まっている。

普段の一般怪人が相手ならばともかく、何が生えてくるかわからない現状では、ジルとグジルは俺の手の届かない範囲に派遣できる重要な戦力になるだろう。

二の腕を叩いていた手が、指先の動きでそのまま文字の形を描く。

 

『らくしょうだ』

 

その物言いは、旧グロンギ的には負けフラグなのだが。

まぁ、戦意が高いのなら、良いことだ。

ジルの返答に満足したので、寝返りをうち、その腹に顔を埋めて、おもちと太腿にサンドイッチされたまま、意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 




ゼクロス出しときながら戦わせない回


☆実際間に合わなかっただけというか、本気で偶然通りがかっただけっぽいパーフェクトサイボーグの人
探知能力が無い訳でもない筈なんだけど、実写版ではそれが発揮される場面も無いし、SPIRITS版だと赤心寺の坊主に化けた怪人を見抜けてなかったぽいので
たぶん四号と二十二号に関しては新聞とかネットとかで軽く情報得てたくらいなんじゃないかな
性格のイメージはSPIRITSのバダンが関わってない時のとっぽいあんちゃんをベースに経過した年齢相応の落ち着きを与えた感じ
復讐を乗り越えてライダーとして戦う、って成った時点でちょっと個性は引っ込んでるものとするというか
まぁ所謂RX終盤に客演した時みたいな感な
書いてて思ったけど、ゼクロスってSPIRITS版で最終的にどうなるかわからん上に、実写版だとあれはあれでライダーとしてどういうスタンスで後輩候補に接するかわかんないんだよね……
まだライダーマンとかの方が頭脳派かつちょいマッドって個性で喋らせやすかったかもしれない
二十二号はやべーやつ、みたいな評判を事前に聞いていたお陰で、四号の正体の人を庇うそぶりを見せた二十二号への評価は相対的に上がった

☆クウガの戦いの続きは見たいが五代雄介にはもう戦ってほしくないという気持ち
そもそもの話として、戦いを終えて心が砕けそうなくらい傷付いた五代さんを終わりのない戦いに身を投じているライダーが導くってのは割と解釈違いっていう面があるので
いや本人はなんやかや巻き込まれたり誰かを守るために戦ったりはするんだろうけども
最初から人間が改造された結果の改造人間が運用されてる組織を潰しに回るというのは違うんですよ
わかります?
そうかなるほど、わかってくれますか!
流石はライダーファン……
まぁだとしても日本に戻しても状況は変わらないのでムラサメに同行する形に
そもそも日本に戻ると一条さんがまだ戦ってるって知っちゃうって言うけど、日本の警察がモンスターを倒す為にパワードスーツを配備した、って話があったら流石に海外にもニュースとして流れそうなもんだと思うんだよね……
実際海外でどれくらい日本のニュースとか調べられるもんかは知らないけども
魔石の戦士である事はバレなくても自分のクウガとしての姿を象ったスーツを着て一条さんが戦ってるとかニュースで知ったらやっぱり曇るんではないだろうか
未確認に関しては報道管制とか敷いてなかったぽいし

☆四号というか五代さんというかクウガへの恩義で庇ってたら人物評価が上がったラッキーマン
素の状態で出会って問答になってた場合は別の側面がクローズアップされたから、危険分子というか、過激な思想持ちとして扱われたんじゃないかなぁ
ライダー史上で言うとどういう立ち位置になるのだろうか
戦隊モノとかメタルヒーローなら似た立ち位置のも居たのだろうけども
何度も言うけど表沙汰になってる二十二号としての所業に関しては割と説明つく部分があるので、行動履歴だけで判断する場合はそれほど問題にはならない
知識の出どころに関しては疑われるだろうけどね
まぁライダーリンチして根性叩き直さなきゃって思われても、おっぱいに埋もれて昼寝する姿を見せたら毒気は抜かれるだろうとおもう

☆しれっと一人で主人公を出迎える初代ヒロイン
グジルは男気ジャンケンの結果、妹分であるジルの代わりに買い物に行ってあげてるぞ!
新ヒロインのお姉さんとか居るけど一緒に居た時間では一番な上にたぶん包容力とかもあるし膝枕すると対象を闇に閉じ込める事が可能な程のおもちを持つ
実質ゼロから主人公の背中を見ながら、なおかつ旧グロンギのムセギジャジャの囁きの中で育った為、かなり生粋の戦士気質
ほぼ生まれた時からグジルが一緒に居た為、誰かと相手を共有する事に抵抗が無い
ヒロインレースに関してはお姉さんがトップだが、どれだけ結果が拗れても最終的にこいつとグジルだけは残る


こういう回を書いていて思う
何も次回への引きが無い時は好き勝手に始められるが
こうして次回への引きがあるとそれを受けたスタートをしないといけないので、何も思いつかない時は本当に前に進めなくなる
次回に引く時はせめて引きを受けて何を書いて始めるかくらいはきめておくのがいいんだなと思いました
デスガロンの時も引きだったけど、あの引きならもう次回は戦闘回じゃないですか、ああいうのが理想
次回はたぶん餓鬼オルフェノク大量発生の原因の推測とかから始まると思う
けどそれが思いつかなくて主人公がヒロインのおもちに埋もれた状態からスタートしても許しておくれ……
その時は全力でヒロインのおもち描写を頑張るから……
でもそろそろ555編〆たいし〆るならいにゅい側も描写したいから多分シリアスな話になると思う
なるといいな
そういう期待を込めつつ次回も気長にお待ち下さい
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