オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版) 作:ぐにょり
111 不死身の代表者達
人が歴史から学べるのは、人は歴史から何も学べないという事実のみである。
という皮肉のような話を耳にすることがある。
まぁ実際は同じような出来事でもよく見れば違うというのが歴史であり、学んでいないのではなく学んでも同じような状況にしなければならない場面というのが確実にあるのが歴史というものだ。
学んだところで、その学びを生かしてより良い選択をする機会が与えられる訳ではない。
だがそもそも、はっきりとこうだと言えるほど正確な歴史というのはどれほど残されているのだろうか。
進化論のすべてが嘘という訳でもないし、実際に繰り返される交配の中で生き物の形はどんどん代わり続けているが、この世界はID説が採用された世界だ。
ナチは第二次大戦できっちり滅んだ訳でもなければ、古代インカには実際に現行人類を越えるテクノロジーが存在していた。
教科書に書かれていない歴史、なんて話ではなく、公の記録が殆ど残っていない事実は多くあるだろう。
表向きには自然災害として扱われているが、実際は秘密結社の行った大規模侵攻であった、なんてのは枚挙にいとまがない。
理屈の上で言えば、俺の幼少期ですらクライシス帝国の侵攻があった筈なのだが、これまた箝口令でも敷かれたのかと思うほどに情報が少ないのが現状だ。
国単位で記憶処理薬でも散布したのだろうか。
そして、その表の人間の知らない歴史もまた入り組みに入り組んでいるのがこの世界。
まず、宇宙開闢、無がビッグバンにより宇宙となり闇のテオスと光のテオスも発生。
これが後に天使エルロード、その配下マラークを、そして自分と天使の似姿である人間と動物を作り出す。
そしてそんな人類と動物が生まれる前の地球では五万年周期で世紀王を戦わせては創世王を作り出すゴルゴムが蔓延り、おそらくは地球の環境を整えていた。
或いは今の人類社会があるのは、古い人類を抹殺して優れた人類だけの社会を作る、という見知った目的を見知らぬ生き物を使って何度か達成した末の世界である可能性もある。
一方その頃、一万年周期であらゆる動物の始祖であるアンデッドがバトルファイトを繰り返し、その勝者の種族には一万年間地球上で支配種族として君臨する権利が与えられていた……。
なんだこの星は……たまげたなぁ。
まぁ、ゴルゴム自体は人類発生前から存在している、と言われている為、テオスが作り出した人類含む生物群とは別の何かが当初は運営していて、後に人類などが組み込まれていった、という事で良いだろう。
だがアンデッドとは何だろうか。
全ての生き物の始祖である、というのなら、それはこの世界においてはマラークなどが該当し、人類の始祖はテオスという事になるのか。
或いは、大量に作り出す前の試作品というか、人間含む一般的な動物を作り出す前の、もっと天使や神寄りの存在の事を言うのか。
どんな手段でも殺せない、というのも不思議な話だ。
テオスやエルロードはともかくとして、マラークなどは割と気軽に死んだりする。
彼らを元に作ったというのに、彼らよりも頑強であるというのはどういう理由なのか。
実際、統制者の方がわかりやすい正体があり、理論上は抹消する事も可能であり、バトルファイトのルールを遵守すれば数百年は封殺しておく事も難しくない。
だがアンデッドとはなんだろうか、というのが難しい。
脅威であるか、という点は、一先ず置いておくとして、だ。
サンプルが一匹くらいは欲しい。
永続で手元に置いておく必要はない。
アンデッドはある程度活動を活発にするとアンデッドサーチャーにひっかかるためだ。
そのため、赤心寺地下に連れ込むのは危険だろう。
元がBOARDで作られたシステムである以上、今回の黒幕の元にもアンデッドの動向は伝わっていると見ていい。
現行の日本の戦力で攻め落とされる様なやわな警備ではないが、赤心寺に不必要な迷惑をかける必要も無い。
BOARD製ライダーと遭遇する可能性を考えれば、俺の仮の戦闘体である陽炎を晒すのもできれば避けたい。
どうせ彼らの戦闘データだって黒幕には筒抜けなのだから、仮の姿を用意するのが良いだろう。
必要なのは、普段使いのものとは別の変身システム。
そして、不死性の秘密を確認する為の仮拠点だ。
狙うのはどのアンデッドでも良い。
特別な能力を持つ個体が動き出すのはまだまだ先だ。
ではどこでアンデッドと接触するか。
これも簡単、剣崎一真を追跡し、BOARDが表向き壊滅した後に現れるものから適当に選んでしまえばよい。
既に都内のボロアパートに住まう剣崎一真を確認し、ミラーワールド側から現時点でのBOARDの拠点の場所は把握して、データ類以外の物理的な設備に関しても複製が完了している。
地球全土に及ぶ、ダークローチの大量発生。
これは未曾有の危機の様に思えるが、今の日本ならそれほど問題はない。
つい先日の
なんとなれば、アンデッドとライダーの戦いにしても、黒幕が余計な手を加えようとしなければ、或いはもっとBOARDの生き残りのライダー達が表立って他所に協力を要請してくれればスムーズに進むだろう。
アンデッドという存在には謎こそあれ、脅威として見た場合はそれほどでもない。
無論、ここまで毎年の如く意識と知識の外から想定外の事態で殴られ続けてきた以上、楽勝だ、などとは口が裂けても言えないが……。
想定外の出来事は想定することができないから想定外なのであって、現状は想定する中での最善を選んでいくしかない。
まずは、アンデッドというものへの理解を深めていく事から始めていきたい。
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神奈川県横須賀市猿島は、猿島自然公園。
……に、極めて良く似た景観を持つ、本州のとある自然公園。
その一画にて、二体の異形が向かい合う。
一体はサラセニアにも似た意匠の、右腕に禍々しい毒蔦を無数に備える怪物。
毒蔦植物の始祖である
バトルファイトに積極的でなく、生き物……人間を殺すことに固執するような振る舞いを見せるそれは、標的をより強い個体……仮面ライダーブレイドに切り替え、その適合者である剣崎一真を付け狙っていた。
いや、付け狙っていた筈だった。
「頭が悪いのか、それほど獲物に拘りが無かったのか」
プラントアンデッドが待ち構える自然公園の一画に剣崎の姿は無い。
プラントアンデッドの目の前に居るのは、一見して甲虫を模した、生物的なフォルムの全身鎧。
プラントアンデッドはその姿を確認すると、一歩後ずさる。
脳裏に浮かぶのは一万年前のバトルファイト。
上級不死生物、ビートルアンデッド。
敵う相手ではない。
無論、バトルファイトが開催されているというのであれば、何らかの手段を以て打倒するべき相手ではあるが……。
統制者すら居ない、ただ自分達が開放された
逃げるべきだろう。
だが、
「ああ……俺はビートルアンデッドじゃあ無いよ。
つい、と、目の前の甲虫の異形が指を横にスライドさせながら告げる言葉が、プラントアンデッドの耳を経て、するりと脳内に染み込んでいく。
なるほど、
目の前の異形は、かつてバトルファイトで見たビートルアンデッドと比べて一回り以上も体が太い。
特徴的な背中の角も無ければ、全身に施された鋲打ちの様な模様も無い。
プラントアンデッドは知る良しも無いが、そのフォルムはどちらかと言えば日本の鎧武者に近い。
言ってしまえば似ても似つかないのだ。
一目見た瞬間にビートルアンデッドの事が頭を過ぎる理由など、外見上は殆ど無い。
一瞬にして全身を支配していた恐怖心が抜け、闘争心が漲ってくる。
ビートルアンデッドでないなら、目の前の異形がアンデッドである訳がない。
アンデッドでないというのなら、戦う相手ではない。
狩りの獲物だ。
ば、と、伸ばした無手の左掌から毒蔦が伸び、甲虫の戦士──鎧武者の首に巻き付く。
いや、巻き付いたのは鎧武者の左手首だ。
首に絡みつく寸前に一歩下がり、首の代わりに手首を差し込んだ。
一連のその動きがプラントアンデッドの目には映らなかった。
だが、伸ばした蔦はただの拘束具ではない。
プラントアンデッドの伸ばす蔦は、絡め取った相手の体液を啜り、或いは毒液を流し込む事すらできる。
これに対する最適な行動は、そもそも蔦に捕まらない事。
だが、それは相手がプラントアンデッドにとって対等か、或いは格下である場合に限られる。
鎧武者が手首を勢いよく引く。
対するプラントアンデッドが腰を落とし、重心を低くし、逆に蔦を引き返す。
拮抗は一瞬。
プラントアンデッドの身体が宙に浮く。
それは双方の重量差というのもあるが……覆し難い腕力の差もあるのだろう。
ぶつん、と、蔦は半ばで引きちぎれ、プラントアンデッドの身体は抵抗虚しく勢いよく鎧武者の元へと。
対する鎧武者は一歩前に。
手の中には一振りの剣。
大上段に構える。
それもまた、ビートルアンデッドのそれとは異なる、シンプルな片刃の剣、大太刀。
だが、その刀身に映る自らの姿を見た瞬間、プラントアンデッドの生存本能とも言うべきものが最大限の警鐘を鳴らす。
飛翔するプラントアンデッドの全身から蔦が伸び、四方の木々や手すりなどに絡みつき、その軌道が変わる。
そのままならば大太刀の半ばほどに激突する筈だったプラントアンデッドは、大太刀の切っ先を掠める様に鎧武者の上を通り過ぎていく。
ぴっ、と、大太刀の切っ先に触れたプラントアンデッドの身体が裂ける。
下級アンデッドとはいえ、プラントアンデッドの肉体は特別に脆い訳ではない。
恐るべき切れ味。
そして、膂力にて劣るとなれば、態々近づき、大太刀の間合いに入る必要も無い。
どくどくと緑色の血液が溢れる傷跡を、開いた傷の両方から生やした蔦で引き寄せ合い、塞ぐ。
それで見る見る内に傷が塞がる、という訳でもない。
しかし、流れるがままに体液をこぼし続けるよりはいくらもマシだろう。
ちゃ、と、大太刀の切っ先に付着した体液を振るって落としながら鎧武者が振り返る。
対し、プラントアンデッドは四方の木々に巻きつけた蔦を使い、鎧武者を上から見下ろしている。
磔にされているようにも見えるが、全身から伸ばした蔦を伸縮させる事で、下手に地上を歩くよりも、立体的で捉えにくい形になっていた。
蔦を伸ばし、自らの身体を空中へと掲げるプラントアンデッド。
恐らくは鎧武者の主武装であろう大太刀の間合いから大きく外れ、更に、鎧武者へと向けて無数の毒蔦を伸ばし打ち付ける。
それに対し、鎧武者は一歩、また一歩と近づきながら、振るわれる蔦を切り払っていく。
全身に浴びた毒を意に介する様子はない。
いや、その体表に毒は届いているのだろうか。
滑るような、限りなく黒に近い茶色の装甲は、毒液が付着し流れた痕すら無い。
ずず、と、重い音が響く。
プラントアンデッドの蔦が絡みついた木の一本がゆっくりと引き抜かれていく。
そして、蔦を切り払いながら近づく鎧武者へと投げつけられた。
鎧武者は、振るわれる蔦の全てを問題なく切り払う程の反応速度を持ち、プラントアンデッドと比べて高い腕力と、重い体重を持つ。
完璧な戦士などというものは存在しない。
重く、力強いというのであれば、機動力に優れるという事は無い。
そして、如何に切れ味の良い刀剣を持っていたとしても、迫る大木は切断したとしてその質量を減らす事も無い。
それで押しつぶし、殺す(相手がアンデッドでないなら死ぬだろう)事ができるかはともかく、動きを制限する事はできる筈だ。
対し、鎧武者は迫る大木に対し、大太刀を掲げるどころか構えもしない。
ただ、その全身を覆う装甲が僅かにスライドし、呪術的処置が施された無数の梵字を輝かせ──
「
プラントアンデッドの耳に届くか届かないか、という僅かな呟き。
次の瞬間、四方に伸ばしていた蔦が残らず粉微塵に切り刻まれ、視界が黒く染まる。
鎧武者の足の甲がプラントアンデッドの頭部へと突き刺さる。
めき、とも、ぐし、とも聞こえる破砕音。
この瞬間、プラントアンデッドの意識が完全に途絶えた。
頭部が鎧武者の蹴撃に耐えきれず砕け散ったのである。
が、同時に、プラントアンデッドの頭部を蹴り砕いた鎧武者の脚甲も砕けていた。
無論、頭部を砕かれたプラントアンデッドはそれを好機とする事などできる訳もないのだが。
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「ああ……糞、なんて脆い装甲だ」
試作品にしても、無闇に新素材を採用するべきではないか。
だが、猛士やお師さんから学んだ呪術を組み込んだ事で、取り敢えずはクロックアップも形になった。
戦闘形態に近い人間体での本気キックに耐えきれない程度の装甲に関しては、今度別素材との合金化でどうにかしていけば良い。
呪術複合試作ゼクターの変身を解かず、自然公園を彩る緑の一部と化した下級アンデッド、プラントアンデッドへと近づく。
今作れる中で最硬の素材で作り上げた大太刀を使い、動かなくなった身体を解体していく。
肉体そのものはそれほど頑健である、という訳ではない。
もっとも、これも個体差があるのだろうが、少なくとも、一切歯が立たない程の強度はないらしい。
また、モーフィングパワーによる分子への干渉は、できなかった訳ではないが……どうにも、干渉に対して返ってくる実際の反応が異なる。
物質のようで物質ではないというか。
かといって、エネルギー体なのか、というとそれも違う。
マラークに近いようで、生身に近い。
生身が主体であるようにも見える。
グジルに発現したテレパスを解析して編み出した思考誘導は、少なくとも逃走と闘争の二択を片方に傾ける事ができる程度には効く。
不思議な生き物だ。
切り離した腕を、足を、八つほどに分割した胴体を、別々の箱に入れていく。
毒蔦を初めとした植物の始祖だからだろうか、胴体を裂いても内臓が溢れないのは持ち運びに適していて良い。
また、切り離した首から上、蹴り砕いた頭部は、微塵になって飛び散った破片と合流する形でなく、じわじわと新しい細胞を生み出して復活しようとしているようにも見える。
斬り刻んだ蔦も、頭部だった飛沫も、粗方念動力でまとめ、箱詰めしていく。
回収しきれない体細胞は、燃やす。
燃えるのだろうか、と一瞬疑問が浮かんだが、これは問題なく灰になった。
これが行けるなら、粉微塵にして燃やせば死ぬのだろうか。
気にはなるが、ここでもたもたと片手間に実験などしていようものなら、帰宅途中の剣崎一真と牛乳の人、或いは相川始と出くわしてしまう。
それぞれミラーワールド側から監視しているが、もう程なくこの自然公園へとたどり着く筈だ。
続きは臨時の研究室でやろう。
―――――――――――――――――――
この世界の始まりは、恐らくテオスで間違いない。
であれば、生き物の始祖はすべからく天使という事になるのだろう。
無論、人類発生前から存在したゴルゴムなどはそれとは無関係な生き物たちによって(或いはなんらかの高次存在によって)運営されていたのだろうが、少なくとも人間と大概の生き物はテオス由来となる。
思えばここまでの敵も大体が諸悪の根源にテオスを置いている。
グロンギはテオスに対抗する為の戦士を作るための叩き台だし。
マラークエルロードテオスはそのまんま元凶だし。
ミラーワールドだって元をたどれば人間がテオスの似姿であるが故に生まれた世界だ。
オルフェノクに至ってはテオスどころか恐らくはマラーク連中がひっそりと残した毒のようなものだろう。
だから、恐らくこの不思議な生き物も、テオス由来と見て良い筈だ。
と、思っていたのだが、少し怪しくなってきた。
まず、身体を可能な限り細切れにし、一つ一つ丁寧に燃やしていく。
現行人類が科学の粋を尽くしても出せない高火力だ。
しかし、途中まではキレイに焼き払えたものの、ある一定の体積になった時点で、物理的干渉を受け付けなくなった。
では、これはマラークを殺した際に排出される本体……魂なのかと言えばそうでもない。
というよりも……このアンデッドという生き物は、恐らくそれ単体で成立するものではないのだろう。
感触としては、契約モンスターからアーメタルに流れ込むエネルギーに近いものがある。
では魂というか、生体エネルギーではないか。
生体エネルギーは近いが、少しベクトルが異なる。
本体が別に存在し、このアンデッドという個体はあくまでもその影に過ぎないのか?
半実体、半霊体とも言うべき曖昧な状態になったプラントアンデッドが浮かぶオメガリアクターを眺める。
フリーエネルギーに沈めたところ、心なしか再生速度が増しているようにも見えるが……。
これは、残された実体部分の細胞分裂が促進されているだけに見える。
「ふむ……纏めて一つのシステムなのか?」
ねじれこんにゃく……モノリスを操る統制者という、バトルファイトの元締めが存在する。
これは地球上の生物の、他種より優れた存在に進化したいという欲望の集合体、であると言われている。
人間のみならぬ地球上あらゆる生物の集合無意識とでも言うべきものが、各種族の始祖、代表であるアンデッドを戦わせ、その結果を地球上に反映しているのだとか。
つまり、あらゆる生き物の潜在的超能力の集合体でもある。
理論上滅ぼせる、というのはつまり、地球上のあらゆる生物を抹殺して自分一人になってしまえば、実質消滅するか、或いは自分ひとりの無意識の側面へと変化させる事ができる、という話なのだが……。
統制者が全ての生き物の無意識の集合体であるのなら、アンデッドもまた、各種族の生存本能の集合体なのではないだろうか。
感覚としては、それが一番近いと思うのだが……自信はない。
そも絶滅生物のアンデッドが存在する時点で説として破綻しているのだが、数百年後の未来において、生物の集合無意識である筈の統制者の手によって、ダークローチの様に特定の目的のためだけに活動するアンデッドもどきが生み出されている。
そも、この世界には魂が存在するのだ。
種族が絶滅したからといって、バトルファイトの参加者から除外される、とも限らない。
或いは、1万年ごとのバトルファイトの際に、毎度同じアンデッドが解放されるのか、という疑問も残る。
アンデッドはあらゆる生物の始祖であり代表であるというが、明らかに括りの幅に個体差がある。
恐竜が覇権を握っていた時代では直前に爬虫類のアンデッドが勝利者だったと言う。
当然、この時代でもトカゲのアンデッドが存在する。
しかし一方で、甲虫とヘラクレスオオカブトの始祖が別々にエントリーし、キツツキと孔雀と鷲の始祖が居る。
そも植物代表で毒蔦植物と蘭の二種が選出されたのは何なのか。
いや、それ以前の話で言えば、バトルファイトの間に生まれた新たな種類の生物だって存在している筈ではないか。
明らかに始祖が存在していてもおかしくないにも関わらず、バトルファイトに始祖がエントリーされていない種族が多すぎる。
孔雀とキツツキと鷲の代表が居るなら、鳩やカラスなどはどうなるのか。
……実は、少しだけこの謎を解き明かす鍵になりそうなアンデッドに心当たりがある。
ジョーカーだ。
ジョーカーはデザインモチーフにカミキリムシが採用されている。
つまり、カミキリムシアンデッドという事になるのだが、ジョーカーが勝利してもカミキリムシを地球の支配者にする事はできず、何故かゴキブリモチーフのダークローチが大量に生み出され、その時点での地球上の生物を滅ぼしてしまう。
これはジョーカーの意思とはまったく関係なく行われる訳なのだが……。
そも、この時代のジョーカー、相川始の意思というものは、ヒューマンアンデッドを封印してそのカードを使用する事で、徐々にヒューマンアンデッドの影響を受けて発生したものでしかない。
元はもっと残忍、いや、無機質な思考しかできない存在だった。
愛を知らない。憎む事すらしない。
勝利以外に関心を持たない。
それは逆説、特定種族への肩入れを行わないということでもある。
そして、それでも勝利を目指し、その果てに地球上の生命体を絶滅させる。
環境を完全にリセットするのだ。
アンデッドの中で唯一、統制者の力抜きでアンデッドを封印できる力を持ち、なおかつ、封印したアンデッドの力を自在に使いこなす。
彼は、というより、ジョーカーという役割が見えてくる。
ジョーカーとは即ち、バトルファイトに参加していない生き物全ての無意識の集合体なのだ。
異なるアンデッドの力を使う事ができる、という性質も、カミキリムシではなく、複数のバトルファイト不参加のアンデッドの集合体である、という特性から来ている可能性もある。
地球上の生命のリセットというのは、現行、地球の支配者になりうる可能性を持つ生物もそれ以外も纏めて消滅させることで、バトルファイトの参加者の再抽選を行う為なのだろう。
幾度となく繰り返し行われていたというバトルファイト。
一万年という、地球の歴史から見れば極めて短いスパンで行われていた支配種族シフトシナリオ。
その中で、明らかに生き物が一新されたな、という時期は確かに存在する。
ビッグファイブなどと呼ばれる五度の大量絶滅。
或いはそれ以外のものも、一部は偶発的な絶滅ではなく、バトルファイトでジョーカーが勝利した結果なのではないだろうか。
或いは……。
大前提が間違っている、という可能性がある。
1万年前のバトルファイトにおいて、人間の始祖であるヒューマンアンデッドが勝利した、というのが、俺の知識の上での真実ではあるが。
近年の研究においては、
前回のバトルファイトの勝利者はヒューマンアンデッド。
謎を解き明かそうと思ったなら、ジョーカーアンデッドに確認するべきだろう。
では。
悩みは尽きない。
ちゃうねん
☆甲虫の皮を被ったンの皮を被った主人公の皮を被ったキバヤシ
仮説に仮説を重ねて剣ストーリーの大前提をひっくり返そうとする酷いやつ
ジョーカーにわざと封印される事で人の心とか愛を教えてくれたヒューマンアンデッドさんを疑うとか許されざることではないだろうか
☆呪術複合試作ゼクター『プロトムラマサ』
なんでムラマサ?
後に猛士に流す事を考えて、みんな日本刀とか名刀とか妖刀とか好きやろ?みたいな理由
ゼクターとしての基本構造がベルトサイズに収まらなかったので、大型バイク程もある巨大な甲虫型に変形合体する形で完成した試作ゼクター
キャストオフ機能は未搭載で、大型化することで装甲強度を保ったままクロックアップが可能なものの、常人が扱った場合はかなり動きが鈍重になる
このまま使用するのであれば、装甲をより強固な合金に変えて薄型化し、倍力機構を別に搭載する必要が出てくるだろう
コンセプトとしてはホッパーゼクターに近い
別に鬼に会ったら鬼を切ったり仏に会ったら仏を切ったりもしなければ敵を一人斬る度に味方を一人斬るなんて制限も無い
陰義?
中の人が覚えればええねん
だってかかさまのフィギュアが出るから……
まぁ見た目が始祖村正なだけだから別にええやろ
☆プラントアンデッド
なんでよりによって毒蔦の始祖なんだ……
もっと繁栄しやすそうな植物種族も居るだろうに
前回の参加者シャッフルの時に運良くエントリーされただけでは?
というか、こいつの種族とかを始め、アンデッドの種族をハイブリッドファイルで眺めている間に今回の奇説が生まれたのでこの世界に何かあったらメタ的にはこいつのせい
カードを投げればすぐに封印されるような状態で経過観察中
次回もたぶん出番あります
☆疑惑のヒューマンアンデッドさん
一応、この作品世界でもジョーカーさんにノーガード戦法で封印されてる筈
真っ向から封印されてるくせに何故か不完全封印状態だったりと原作でもちょっと怪しいところがある
猿から進化した人間のアンデッドなのか、テオスが作った人間のアンデッドなのかも不明
フリーハンドで書くからこういう事になるのだ
アンデッドがこの世界でどういう立ち位置になるか、とか、序章で書いた内容から明らかに逸脱しとるやんけ
堅実なSS書きなら後々オリジナル設定が重しになって書き直したりする筈
でもウチのSSはライブ感に任せたゴリ押しが肝なとこもあるし
天使の末裔設定もどこかで合流させればよろしい
よろしいか
ほんとうによろしいのか……?
それは未来のぐにょりだけが知っているので取り敢えずは今の話を書いて未来にバトンを渡すのだ
(目を瞑ってのバトン全力投擲)
そういう訳で、一寸先も原作設定への寄り添い具合も闇なこのSSですが、それでもよろしければ次回も気長にお待ち下さい