オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版) 作:ぐにょり
勢いよく走り出すキング──コーカサスビートルアンデッド。
その走る速度は決して速いものではない。
鉄壁の守りをすり抜けられ傷を付けられた怒りからやや冷静さを欠いてはいるが、それでも、生来の必勝の戦法を崩す、という事は無い。
重厚な鎧と盾、いかなるものも切り裂く大剣。
念動力や洗脳能力などはキングにとって余技に過ぎない。
鈍重な足音、一転して、加速というより不意に間合いが伸びる様な踏み込み、振り下ろされる大剣オールオーバー。
上級アンデッドの中でも最上位であるカテゴリーキングの持つ念動力であれば、理屈の上では空を飛ぶ事ができる。
故に、足が遅い、というのはデメリットになりえないように思えるかもしれない。
しかし、使う武器が大剣である関係上、完全に自分の重さを消して空を飛んでしまう、というのも問題がある。
如何に鋭く何者をも両断できる切れ味を誇る刃物でも、踏ん張りが効かなければたやすく受け流されてしまう。
重戦士染みた重い体躯を用い、その怪力で相手に振り下ろすからこその切れ味なのだ。
ぐん、と、直前で伸びた剣閃が甲虫武者を襲う。
対して、武者の大太刀が下段からオールオーバーを切り払う。
ぎゃりん、と、金属同士のこすれる音と共に火花が散り、互いの踏み込みのままにすれ違う。
振り向き、返す刀で大太刀がソリッドシールドへと横薙ぎに振るわれた。
ソリッドシールドにかすり傷一つ付かず、ただ虚しく刃が表面を撫でるのみ。
武者の持つ獲物は大太刀一本。
キングがソリッドシールドを押し込み、大太刀の刃が滑り切るのを抑えこむ。
無防備な武者の首へと、先の二股に別れたオールオーバーが付きこまれる。
キングやギラファに似た全身装甲の僅かな隙間、可動部を狙う一撃。
『アクセルベント』
鳴り響く電子音。
キングの視界から武者が消える。
次いでキングの視界が突如として広がる。
いや、急速に後ろに向けて押し込まれたのだ。
足も僅かに浮いている。
超重量級のキングの肉体が浮き上がるほどの加速突撃。
公園内に設置されていた橋桁へと勢いよく背中から叩きつけられた。
か、と、キングの喉から呼気が漏れる。
盾ごと押し込まれ、押しつぶされる様に肺を圧搾されたのだ。
そして、目の前に居た武者は居らず、盾を構える二の腕に痛みがある。
斬られた。
あの恐ろしい加速にまかせて盾の表面を滑らせ、そのままキングの二の腕を切り裂いたのだ。
実際のところ、キングの体表の鋼殻は特別頑健、というほどでもない。
それ故に鉄壁の盾を備えて対応しているのだが……。
それでも、並大抵の刃で切り裂けるものではないはずだ。
「なら! その武器を奪う!」
傷を負った方に向け、全力の念動力。
武器、というのは、ものにもよるが常に全力で握りしめているわけではない。
適宣、相手に振るうのに最適な形に持ち替える為に緩むタイミングがある。
まして念動力、目に見えない力で獲物を本来ありえない方向に不意に引っ張られれば、保持できずに手放す事もありえる。
キングがこれまでのバトルファイトの中でよく使っていた戦法だった。
自らは鉄壁の盾と大剣を持ちながら、相手の武器を奪い、無手になった相手を切り倒す。
物理的に存在するアンデッドの武器というものは基本的にそう替えの効くものではない。
まして、攻撃手段を武器に頼ったアンデッドがその他に有効な攻撃方法を持っている、というのは、上級アンデッドでもなければありえない。
「おっと」
キングの横で野球の打撃打者の如く構えていた武者の手から大太刀があらぬ方向に向かって飛んでいく。
完全な無手。
オールオーバーを振り下ろす。
防ぎようも無く、避けようも無い距離。
『スチールベント』
ぱりん、と、薄い鏡の割れる音。
大上段から振り下ろしたオールオーバーがキングの手元から消える。
唐竹割りを逃れた武者が、くるりとスピンするようなスウィング。
手元には消えたはずのオールオーバー。
構えていたソリッドシールドの上から叩きつけられ、盾が砕け散った。
そのまま、盾を構えていた腕が切り落とされる。
大太刀であったなら胴を両断されていた。
あるいは大太刀ならソリッドシールドが防いでいただろうか。
背後に橋桁を背負っていた為に、ソリッドシールドが砕ける衝撃が逃げずにそのまま腕を両断された。
あるいは大太刀をソリッドシールドで抑え込もうとしなければ橋桁に押し込まれなかっただろうか。
選択を誤らなければ未だ五体満足、剣も盾も失わずに戦えていただろう。
だが現実にキングは片腕を失い、盾は砕け、剣を奪われた。
逆転の目は少ない。
しかし、少ないだけで無い訳ではない。
オールオーバーを振り切り、背中を見せる武者。
それは僅かな隙だが、片腕分軽くなったキングの、或いは尋常の生物であれば火事場の馬鹿力とも呼べるとっさの瞬発力で身をひねり、残った腕で武者の頭部へ手をのばす。
自らのそれに似た巨大な角を掲げるそれを掴み、あとは勢いよく引くのみ。
それで首を折れば生き物は死ぬし、アンデッドでも封印される程度のダメージになる。
普段は優れた武具と超能力の為に目立たないが、キング──コーカサスビートルアンデッドは剛力にも優れる。
生物の首をへし折る程度であれば訳はない。
みし、と、軋むような音。
武者──ムラマサに限らず、パワードスーツにおける可動部の守りには限度がある。
ガチガチに装甲で固めれば可動域が死に、逆に可動域を優先すれば強度は疎かになる。
関節技への対策となれば、可動部のパワーアシストが関節技をかける側の力にどれだけ耐えきれるか程度のものでしかない。
事実、ムラマサの頸部には関節技(柔らかい首関節をへし折ろう、というのだから分類としては関節技だろう)への対策は施されていない。
或いは、母衣と合当理が展開されていればそもそも手が届かない、という防御が可能だったかもしれないが。
カテゴリーキングで一二を争う怪力を誇るコーカサスビートルアンデッドの腕力と、パワードスーツで倍力された人の首の筋力。
拮抗は一瞬の半分も無い。
『スラッシュ』
ぼと、と、切り落とされたキングの指が地面に落ちる。
「な」
何が、という、キングの言葉が紡がれる事は無い。
『ソードベント』
武者の手の中に再び現れた大太刀が、キングの喉を貫く。
『サンダー』
再びの電子音。
大太刀から流れる高圧電流がキングの喉から流れ込み脳に相当する部分を焼き焦がす。
『ライトニングスラッシュ』
最強を謳うカテゴリーキング。
コーカサスビートルアンデッドはやはり、皮肉一つ残すこともなく、その意識と首を断ち切られた。
―――――――――――――――――――
ごろんと地面に落ちたキングの生首。
損壊部位は腕と首だけなので、何かの拍子に復活しかねない。
ので、首を踏みつけて抑え込み、残った首から下にブランクカードを投げる。
突き刺さったカードに体が、次いで足蹴にしていた生首が吸収されていく。
スペードのカテゴリーキング、封印完了だ。
奪っていた筈のオールオーバーも既に手の中に無い。
生首は意識の元として封印に同行させられたとして、武器が消えるのは切り離された肉体ではなく本体が行使する能力扱いだからか。
切れ味に関しては中々のものだった様に思うので、後でリモートしてきっちりデータ取りして再現できるようにしておこう。
「索敵」
各部装甲が展開し、中からニャンニャンアーミー達が転がり出てあちこちに走り出す。
一応、センサーに反応は無いが、念の為だ。
戦闘開始からさほど時間を掛けていないから剣崎さん達が駆けつけるという事は無いだろうが万が一、ということもある。
切り離した腕一本分しかサンプルが採取できていないのだから、まだこのカードを渡す訳には行かないし、後々のことを考えると敵対的な存在であると考えられるのも避けておきたい。
そして、そもそも百害あって一利無しのダブルジョーカーによる無期限延長線ルートへのきっかけであるキングフォームはできればあまり変身させない方が良い。
無論、適合率の怪物である剣崎さんのキングフォームのデータは有用なのでどこかのタイミングで一度は変身して貰う必要があるのだが。
──うわん。
──おあおおぉぉ!
──るるるるるる……。
──こちゅじゃん。
索敵に放ったニャンニャンアーミーの鳴き声が響く。
性格の違いにより鳴き声のテンションはすべて違うが、込められた意味としては警戒、威嚇か?
ぱたぱたと逃げてくるアーミー達の後ろからは、ゆっくりと赤い異形が近づいてきている。
黒いドクロの様な頭部、全身に走った太いケーブル、筋肉がむき出しになったようなデザインの装甲。
これは珍しい、広瀬式改造実験体トライアルシリーズのDだ。
──くるるるるる……!
──あおぉぉぉ……。
──わん!
──おあーん。
俺の後ろ辺りまで下がりながら、ニャンニャンアーミー達は各々威嚇を続けている。
許可さえあれば今にも戦闘形態へと移行するだろう。
彼ら彼女らは人間ベースのトライアルシリーズを初めて目撃するのだ。
自分たちと同じ存在と言えば猫、或いは初号機である熊。
そんな彼らにとって人間ベースのトライアルシリーズは奇妙にグロテスクな存在に映るのかもしれない。
あっちと違って俺の自作トライアルシリーズは一般に受け入れられやすいデザインを意識しているからな。
たし、と、トライアルDの目の前に、ニー君が仁王立ちで立ちはだかる。
猫としての体表が波打ち一瞬にして黒と青の装甲に覆われる。
その姿を見て、トライアルDがまるで感情でもあるように戸惑う様な動きを見せ、僅かな逡巡の後、手を差し向けて電撃を放った。
広範囲への放電攻撃。
ニー君どころかこちらまで巻き込む程の……というか、どちらも攻撃対象になったのだろう。
ニー君は自らに向かう電撃を体内に保管していた大剣を投擲する事で誘導し、周囲の地面に落とさせる。
それでも地面越しに多少感電するものだが、基本的に装甲は絶縁しておくものなのでその程度ならば無視できる。
稲妻を避けながらガトリングを腕に装着し羽手裏剣を発射。
それをなんとトライアルDはケーブルを伸ばしてはたき落とす。
着弾すればただでは済まないということを理解しているのだろう。
互いに遠距離において決定打を持たない……、いや、ニー君側は幾らか手札があるが、ユナイト陽炎を始め、戦力的に目立つもの、あまり乱用して世間に姿を知られてはならないものは擬態禁止にしてある。
対するトライアルDは実のところダメージを気にする必要がない、という隠し札がある、つもりで居る。
ダメージを気にしなくて良いのはお互い様な上、回復速度においては数十の再改造を乗り越えて来たニー君の方が格段に上だ。
先の電撃も俺がふと張ってみたバリアを越えられない程度のものでしかなく、知る限りのデータから逸脱した性能ではないように見える。
このまま接近戦になればニー君が勝つ。
……という事がわかっているのに、わざわざトライアル越しにニー君を始めとしたニャンニャンアーミーのデータを渡してやる必要も無い。
念動力でトライアルDの周囲の地面を剥がし、風呂敷の様にDを包む。
この地面をモーフィングパワーでアーメタルに変換、アーメタルに簡易契約を通して俺の力を流し込み強度を確保。
Dを包んだまま金属球と化したこれを念動力で捻じり上げながら、圧縮。
野球ボールサイズ、ピンポン玉サイズ、ビー玉サイズ……。
ある程度小さくしたら、これをプラズマに。
始末完了だ。
死なない程度の再生能力で回避を疎かにするからこうなる。
高火力の攻撃を受けると消滅するならどんな攻撃もまず回避を試みるべきだろう。
羽手裏剣を弾いた時点で油断したのか、或いは地面からの攻撃に対して跳躍で回避するというパターンを搭載していなかったのか。
実戦を体感できない科学者が作るものの限界というものだろうか。
おおかた、コーカサスビートルアンデッドとの戦いを見てスペックを確認し、トライアルDを殺しきれないと踏んでカテゴリーキングのカードを奪いに来たのだろうが。
先のキングとの戦闘は結果的に言えばムラマサ一型の性能試験でしかない。
人間が可能な範囲の動き、可能な範囲の馬力で、ムラマサ一型に搭載された武装とシステムのみでどれだけ戦えるか、という実験のようなものだ。
結果的に、フォトンブラッド制御機構、完全内蔵式アドベントシステム、疑似ラウズシステム、クロックアップ、そしてブレイラウザーの刀身部分を参考にした角の切れ味を上手いこと活かせば、生身の人間でもカテゴリーキングを十分に倒せる性能に達しているという結論に至った。
これはもう……ある種の完成形と言っていいのではないだろうか。
まぁクロックアップがいかにも悪用してくださいと言っているようなものなので、量産するならもう少しデチューンする必要があるかもしれないが。
フォトンブラッド関係のシステムも結局アギトの力の応用品だから、量産はできるが信頼できる場所にだけ卸すのが妥当か。
使っている内に内部のアギトの力が漏れてアギトになっちゃうかもしれないし。
理論上、アギトの力漏れは無い事になっているが、戦闘でのデバイスの破損、経年劣化、内部に搭載したアギトの力の時間経過による肥大化までは今の所計算しきれていない。
デチューンして量産するにしても、譲渡先或いは販売先は選ばなければなるまい。
まず、猛士には新商品としてカタログを渡すとして……。
―――――――――――――――――――
そういう訳で、今年に最優先で確保するべき検体を捕獲できたのであった。
タイムスカラベ。
時間停止能力を備える栄光のカテゴリー10の一枚の訳だが、この時間停止にも幾らかの謎は存在する。
そもそもの問題として時間停止というのは解釈が厄介なもので、突き詰めて行けば周囲の時間を停止する、というのは光も音もなく自らも一切動けなくなるのが純粋な自分以外の時間を停止する時間停止だ。
あらゆる物質は動く……状態を変化させるのに時間を消費する。
故に、時間が止まった物体は不変のものとなり、当然、空気は動かず振動を伝えない為に音は聞こえないし、光だって進んでいないのだから何か見える訳でもない。
だから、止まった時の中を自分だけ行動可能な状態は厳密には時間停止と呼ぶには相応しくない。
止まった時の中で他人を害する、自分以外のものを破壊できる、というのなら、それはどちらかといえば時間無消費行動と呼ぶべきだろう。
俺の持つ時間操作技術も、スカラベの持つ時間停止能力も、どちらも時間停止中に相手を害する事ができないタイプのもの。
それでも大気の時間が止まっている訳ではないので相手に接近することも距離を取ることも難しくなく、これは節操なく戦闘に活用すれば大体の相手を一方的に殺害できてしまう程度には便利な代物だ。
が、ミラーモンスター由来のそれとアンデッド由来のそれでは多少なり差異がある。
タイムスカラベはある程度の決まった範囲を停止しているのだ。
そして時間停止に自分以外の存在を連れ込むことができる。
……なんて事を言うと、周囲一帯の時間を停止して市街地とか人混みのど真ん中でのプレイができるのか、などと考える不埒なものが存在するかもしれない。
しかし、真面目に布切れ一枚で停止した時間の中に自分以外を招待できるというのは強みだ。
タイムベント……というか、厳密にはタイムベントではなく神崎士郎製時間制御技術は発動者に対してしか時間停止の恩恵を齎さない。
時間を止めて集団でタコ殴り、というのは戦法として間違ってはいない。
また、範囲内の物体は時間停止中の存在に破壊も移動もされない、という事は、相手の肉体を部分的に停止する事ができれば、相手が高速移動中であればそれだけで強力な切断能力にも変化し得ると思うのだが……。
まぁ、それは研究が進み次第、という話になってしまうだろう。
──んまいぃ……。
ジャケット裏の猫ホルスターにセットされたニー君が鳴く。
通常のフルフェイスヘルメットに偽装した各種センサー内蔵のメットにも反応がある。
プロテクター付きのライダースーツに偽装した強化スーツの具合は良好だ。
ホルスターから取り出したニーくんを両手でマシンガンの様に構える。
ぱか、と、開いたニー君の口から各種有毒な成分が入り混じった煙幕が溢れ出した。
──おあぁぁぁぁ……。
ニー君のうめき声と共にもくもくと煙幕が通路を満たしていき、その中を突き進む。
人類であれば昏倒不可避の有毒ガス。
しかし、これを吸うのが対毒フィルタを内蔵していない初期型のトライアルシリーズであれば話は少し変わってくる。
金属製の扉が勢いよく開け放たれる音と共に、咳き込む声が通路の奥から聞こえてきた。
すかさず、ニー君の腰を片手でつかみ、釣り竿の様に前に勢いよくスウィング。
ぎゅぅん、と胴体から伸びたニー君の上半身が通路奥へと飛んでいく。
──Hello!
ドップラー効果で低くなるニー君の声を送り出す。
困惑と共に激しい放電音。
捕縛対象の抵抗だろう。
研究職として扱われているだけあって、万が一襲われた時は自らの意思に関わらずトライアルとしての力を行使する防衛行動が組み込まれているのだ。
彼はあれで天王寺の研究の要だからな。
だが、既にギラファ以外のすべてのカテゴリーキングの要素を組み込んだニー君に初期型トライアルの攻撃などは通用しない。
僅かに抵抗する音が響くも、すぐにそれも収まった。
腰を掴む手にしっぽがべしべしと叩きつけられる。
カプリコーンアンデッドの要素も持つので当然多少距離が空いた状態でも聞こえる程度には大音声で鳴く事ができるニー君が鳴かないという事は……。
くん、と、手首だけでニー君を引くと、掃除機のコンセントの様に勢いよく伸びていた胴体が巻き戻り……。
―――――――――――――――――――
「見てください橘さん!」
「これは……! ……これは?」
素晴らしき青空の会が提供する研究所に戻り、捕縛した対象を橘さんに見せる。
まぁ見せると言ってもまだ対象は伸びたニー君の胴体でぐるぐる巻きにされ、その上で強靭なニー君の口で噛み付かれたままなので見えているのは靴と頭頂部くらいのものなのだが。
「こちら、ニー君らニャンニャンアーミーを製造する上で参考にさせてもらった改造実験体……一種の人造生命のようなもので、かの広瀬義人研究員の忘れ形見です」
「そんなものが存在したのか……」
「人間の細胞とアンデッドの細胞を組み合わせて製造された非人道兵器ではありますが、どうも襲撃した研究所から根こそぎお借りしたデータによりますと、この個体は本来広瀬氏の娘さんを守護する為に用意されていたのだそうです」
「なら、なぜこんな事に」
「どうも天王寺なる邪悪な黒幕の計らいでアンデッドと人間の融合に関するデータ採取、研究へと使命を書き換えられていたのだとか」
「なんて事だ……。いや、ライダーもある種アンデッドと人間を一時的に融合させているようなものではあるが、そんな非人道的な真似を? 本当なのか?」
こちらがその証拠です、と、一連のデータが収められていたPCをでん、と机の上に置く。
──ぅぅぅぅ。
拘束した改造実験体のズボンの裾に噛み付いたニー君が口からよだれを垂らしている。
ぐりんとこちらに向く眼球はどこか恨みがましいように見える。
「証拠は後で見てもらえば良いのですが、まずは実験室に行きましょう。この改造実験体もニー君と同じく監視カメラ的能力を持ちます。今はニー君が電波を妨害してくれていますが、このままではニー君がご飯を食べられない」
武器運用の対価としてお高めのマグロを提供する事になっているのだが、このままでは報酬未払いになってしまう。
俺の言葉に、ニー君の延長された胴体を撫でながらすまないなと一言謝罪したのち、こちらに向き直る橘さん。
「危険は無いのか?」
「恐らく、そういう精神状態に無い筈です。できればギャレンバックルかウォーメイジメットを装備した方が良いとは思いますが」
「わかった、行こう」
実験室(危険な実験体などを入れて行う頑強な部屋、電波を遮断もする)に共に入り、橘さんは僅かに迷ってメットを装着してウォーメイジ・ヘッツァーへと変身。
アンデッドを封印するでも無いし、そもそも黒幕が天王寺、という時点で使うのをためらってしまうのだろう。
実際、アンデッドを封印する、というので無ければ、融合係数の影響を受けないウォーメイジユニットは不安定な橘さんには有効な装備と言える。
俺も一応、顔を隠すという意味で臨気凱装を行う。
ムラマサゼクターは閉所で呼ぶとサイズ感で大惨事になるのだ。
「良いですか? 開けますよ?」
「ああ、頼む」
橘さんが『頼む』の『た』を言った辺りでニー君が口を開き、スルスルと胴体を縮めて行く。
ぐるぐる巻きに改造実験体の体を覆っていた胴体が元の長さに戻り、ニー君が俺の足に向けて猫パンチ(威力は2トンくらいのじゃれる程度のもの)で殴りかかってくる。
時間を止めて荷物に入れていたマグロの切り身を手渡している俺たちに目もくれず、橘さんが開放された実験体の姿を見て目を見開く。
「広瀬さん……?!」
改造実験体トライアルB……広瀬義人の人格コピーは、ニー君の抜け毛だらけになりながら、どこか幸せそうな表情で横たわっていた。
剣編まとめに向けて各方面を整理中
☆
剛力キャラっぽい見た目に相応の能力を持った上で洗脳能力と念動力を備えた優秀なユニット
ではあるけど人間のくじけない意思とかそういうのを理解しきれていないので動揺して判断ミスしたり、例によって例のごとく人間臭さが凄い
まぁ上級アンデッドなんて強さマウント取ってるけど前回ヒューマンアンデッドの負けて封印された敗北者の集まりなので仕方ないっちゃ仕方ない
単純にスペックが高くて強い、というタイプなので純粋に力量が上の相手にはどうしようもない
今回は純粋にスペックで上回られたっていうより念動力で武器を奪って強い武器で殺す戦法が通じない相手だったから、という敗因
あと甲虫キャラのくせに角に攻撃判定が無いので相手もそうだと勘違いしてしまったのも痛い
お前同胞たる甲虫達は普通に角で戦ってるんだからなんか応用しろよ角を
ギラファと比べて多分防御よりの性能をしていた疑いがあるが、この時期ひたすら潜伏を選んでいたギラファに比べると油断は強い
というか、こいつがスカラベ洗脳してたから強気だった説は普通にあると思う
☆改造実験体トライアルD
出落ち
そも性能を知ってるし技術的にも既に手元で発展させたものがあるので戦闘データすら不要だった
結構な割合で不死身、封印不可ではあるが、高威力の攻撃で消滅するので他のライダーが居る世界観だと対した相手ではない
たぶん警察アギトが三体くらい集まってトリプルキックとかすると消滅する
☆もうそろそろキングでフォーカードできる生体武器ニー君
猫なので伸びる
猫は柔軟
時折鋭い刃物にもなる
つまり猫はライドルなのだ
最終的にすべてのアンデッドの能力を備えた伸縮自在でそうそう破壊できない強度を持つ生き物になるので
初期に書いたモーフィングパワーが一番変化させやすいのは生き物説を採用した結果、現状主人公が所持する中では最強の武器となる
基本的にモーフィングパワー由来で自家製生する武器が多い中では替えがあまり効かない重要アイテム
全ラウズカードの能力を行使できるライドルと言えばどれほどの便利アイテムかはわかるだろう
高級な猫エサと甘やかしだけでこれを維持できると考えればかなりお得
ユナイト中は主人公と同性能になるロードインパルスくらいしか上位性能のユニットは存在しない
と、本猫は思っている
知っての通りキャラ的には
調子に乗る→謀反を起こす→速攻鎮圧されて媚びて命乞いをする
がテンプレ
でも猫だから許されている
虎姐さんは猫科だけど虎だからたぶん許されない
この世界ではムッキーがライダーしてないからおにぎり食う機会も無いからね
こいつは偶に冷蔵庫から冷や飯と鰹節と醤油勝手に取り出してねこまんま自作して食うから人間友好度がとても高い
☆ムラマサゼクター
科学、呪術混合の自作ゼクター
サイズ感は小型車くらいあるが、持ち運ぶのでなく内部に練り込まれた改造魂魄が持ち主を判別して飛んでくるので特に問題は無い
亜空間を移動する能力はあるが閉所で呼ぶと周囲を破壊してしまう
強度的に生半可な建築物なら豆腐の様に破壊できるので、周辺被害を考えなければ何時でもどこでも変身可能
角部分はブレイラウザーの刃を参考にしている為、一般怪人なら大質量の突貫と合わせて召喚時に角の突撃だけで串刺しにできる
フォトンブラッド技術、完全内蔵型疑似デッキ、カメレオンアンデッドの擬態能力を応用して作った疑似ラウズシステム、クロックアップシステムを搭載
主人公がこれまで取得してきた各種技術を搭載しており、そもそもミラモンその他を捕食しながら強化され続けるロードインパルスを除けば恐らく現状での最強装備
実際に量産される際はフォトンブラッドに関しては出力調整を受けクロックアップシステムも良い時期が来るまでオミットされる
変身者を自らの意思で特定し、また、変身というよりは装着型になるので別途ベルトなりブレスレットなりを用意する必要がないので、手ぶらで出かけた先に怪人が現れても安心
姉妹機として女王蟻型、蜘蛛型を製造中
☆どこか幸せそうな顔で気絶している広瀬さん
めっちゃ煙幕吸って意識混濁してたけど直後にめっちゃ肌触りの良い毛皮に包まれて幸せな気分のままにギチギチに絞め落とされた
今回の救済枠
理由?
本来の使命に書き換え直せば娘を守る為に序に周囲も守ってくれる人類側の戦士になりえるから以上の理由は無い(無慈悲)
☆シナリオボス特権の雑魚戦闘強制カット術を覚えたかつて主人公だったマン
かつて先代ンとの戦いを経て主は消えてンになった
というかそう考えると主人公やれてたのはクウガ編まででそれ以降はかなりグロンギの意思をついでいるというか
本当はアルカンフェルみたいに手元に螺旋状のキラキラが出て相手もそれと同じ様にねじ切られるやつやろうとしたけど、トライアルシリーズはドローンでもあるから殺す瞬間と手段を見せない為のこういう方法になった
普段やらないのはこういうのに頼ると戦いのカンが鈍っていくからだと思われる
体を動かすのが楽しいというのもきっとあるよね
初期に比べると本当に前向きになった
☆ナイスネイチャ(ウマ娘)
くっそかわいいしシナリオも良いので☆3にした
クリスマスカラーかわいいねぇ!
クリスマスエピソード心あったまるねぇ!
専用服にすると露出が減るけどめっちゃ気に入ってる風なの可愛すぎない?
あとシナリオでもそうだけどホーム置いとくとめっちゃ精神距離近くてぐわー勘違いしちゃうーってなる
プロデューサーとかトレーナーはアイドルやウマ娘とストイックな関係であるべきではないだろうか
ときめくな俺の心、揺れるな俺の心、恋はバステを付けさせる
シナリオ上ではめっちゃライバルに勝とうとしてるウマ娘がクソ乱数引いて連続で怠け癖ついて保健室行ってもしばらく回復しなかったりしてもさくら肉『本日絞め』400キログラムとか思っちゃいけない
その点なんかネイチャは怠け癖引きにくかった気がする
シナリオ熱いくせにプレイではクソ乱数で怠けまくられると一瞬そのウマ娘に苛立っちゃうのは仕方ないよね……(トップガン)
頭痛とかならそうはならんのだけど
ネイチャは最近ようやくうまぴょいさせる事に成功したのでここで自慢する
でもランクはBどまり
ここから成長させるにはサポカのレベル上げとか他の因子持ちを増やしていくしかないだろう……
というかリリースから日付経って結構各ウマ娘の育成論が確立しつつあるからやりやすくはなりつつある
でもサポートポイントも金ももうちょい稼ぎやすくしてほしい
最初はダスカの専用衣装見たさ(デカイ)で始めたけど名作過ぎる
ぐにょりの様に競走馬を挙げろと言われてストライクイーグル、アルデバラン、トゥーカッター、カスケードとか言い始める様な競馬にわかでも恐ろしいほど楽しめる
逆に技術革新を考えたら三年待ったのは正解だったのではないだろうか
ただ、ガチャは渋い
☆仮面ライダークウガ
最終回がつべでたぶんそろそろ見れなくなる
見納めしておくと良いですよ
48、49はもう……本当に何度でも見れる
決戦前の五代さんのあっちこっちお別れしてく様子がね……
っぱ原作なんだよなぁ
統合世界に引きずり込んでブラックアイ化寸前まで曇らせるような輩は反省して!
うん!
反省はするけど改善はしないよ!
まぁ言うてそろそろこの世界でも耐性ついてきてるんじゃないすかね
あとは基本的に純粋に人類の敵しか居ないし
オルフェノクに関しては流石に慣れるやろ
絶対アニメを越えられないだろうなとか思ってたウマ娘アプリが今までにない名作で困惑と喜びが同時に来たけどそれはそれとしてゆっくりと終焉に向かう剣シナリオ
ぶっちゃけこの世界だと頭の悪い蛇とかはともかくギラファは原作もかくやという勢いで戦闘を避けまくるのでまずはケルベロスの完成を待たないといけない
虎姐さんはどうしようか……
ムッキー居ないとどう動くかわからないので、最悪幕間でケルベロスの運用試験で封印された扱いになるかもしれない
出てきてもこのSSだとバトルファイトに誇りとか持ち出すネキでしか無いからね
そういうSSだけどそれでもよろしければ次回も気長にお待ち下さい