オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版)   作:ぐにょり

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155 堪える鬼

季節は夏に入り、発生する魔化魍の種類にも変化が出始める。

近年、というか、俺がUギアや劒冑などの装備を提供し始め、更に吉野から未発見だった(新たに開発された)鬼の鎧が大量に発掘(量産)され、修行途中で鬼に至らない弟子や飛車までもが半ば戦力としてカウントされ始めてから、鬼の労働環境は劇的に改善されたと言って良い。

そんな中でも昔ながらの忙しさを感じられる季節が夏だ。

 

夏の魔化魍はその体組織から分裂する為、一定以上の体細胞が飛散する方法での攻撃は厳禁。

アギトの力をブラッドサーバーに封じているUギアはうまい具合に必殺技を当てれば魔化魍を撃破できるが、魔化魍を一撃で焼き尽くすような火力は出せないし、猛士に提供している劒冑は基本的に物理攻撃しかできない。

実は弦の鬼にせよ管の鬼にせよ、お師さんの様にある程度の陰陽術やら呪術やらの修練を積めば、斬撃や刺突、音石の打ち込みに依らぬ遠隔音撃によって夏の魔化魍を相手取る事ができたりするのだが、音撃棒の習熟すらできていない状態で学ぶ様なものでもないだろう。

太鼓、弦、管、これらをバランス良く学んだ上で呪術関連にも見聞を深めていくのが一番良いのだが、大凡の鬼にとって時間はだいたい有限なのだ。

 

夏以外では戦力化できていた助手や弟子達が元通りに非戦闘員になった為、猛士の鬼たちはてんやわんやと言った様子だが……。

結局それも元の猛士の忙しさに戻っただけ、と言ってしまえばそれまでの話。

なんとなれば、魔化魍ではなく童子と姫であれば問題なく相手にできる以上、やはり以前に比べればいくらもマシになっている。

マシになっているはずなのに忙しさがあるのは、魔化魍側にも様々な変化が起き始めているからだろう。

発生周期の無視、鎧童子、乱れ童子、複数魔化魍を融合させたナナシ。

人類側の進歩に呼応するように魔化魍側も新技術を投入してくるものだから、打ち消し合って忙しさや被害状況はそれほど変わらないという訳だ。

そこに、これまではアンデッドという形に取りまとめられていた雑多な他種族の意識まで混ざり込めば、こういう事態も起きようというもの。

 

「つまり概ね例年通りなんだからしゃんとしよう。ほら、宇治金時の白玉一つあげるから」

 

「いらん……、だ、代返は……?」

 

「受けられなかった講義は全て映像で記録している」

 

暇をしていたFAGの一体に小型の撮影機材を持たせて出席予定の講義に聴講生のフリをして潜り込ませていたから万全だ。

俺の返答に、席につくなりテーブルに突っ伏して熱々おしぼりに顔面をダイブさせていた仲村くんがノロノロと顔を上げた。

 

「なら、良かった……。あお、じゃない、店員さん、カツカレーと、ラッシーを」

 

仲村くんの今の言葉を文章に起こしたら一瞬あおではない店員を指名して注文をしているように聞こえるかもしれないが、うちの店に店員の指名システムは無い。

これは単純に仲村くんがこの店に来る回数よりもそれ以外の場所であおと行動を共にする回数が増えたが故の言い間違いだ。

ここ最近、大学にまともに顔を出せていなかった仲村くんはその分職場で殆どずっとあおと顔を突き合わせて仕事に明け暮れていたのだ。

 

「仕事は順調みたいだね。順調過ぎてそれ以外が疎かなようだけど」

 

「できる男だ、と、そう認められているのだろう。……そう思うようにはしているが、それで誤魔化せん部分もある」

 

最近の魔化魍の異常発生のどさくさで独り立ちさせられてしまった仲村くんだが、同年代の中では屈指の鍛え上げられた肉体と、Uギアや劒冑への慣れによる機動力や継戦能力の高さ、三種の音撃武器への一定以上の習熟度が高いなどの理由で非常に潰しが効き、鬼デビュー直後からベテラン顔負けのシフトを組まれてしまっている。

今、仲村くんが疲労困憊程度で済んでいるのは、偏に赤心寺で積んだ修行の賜物。

体内を廻る気の運用を基礎の中に置く赤心少林拳を学ぶ事で、成り立ての鬼であるにも関わらず仲村くんは疾風鋼の鬼や散っていったその同期の鬼達が使用していた気の充実による肉体の活性化に近い現象を起こしているのだ。

無論、後遺症で戦士としての寿命が縮まったりしてはいけないので、こうして定期的に俺のテリトリーである喫茶寿にてとても身体に良い諸々を配合した特別メニューを摂取して貰っていたりとアフターケアは万全。

 

また、仲村くんの独り立ちに伴い、今まで単なる戦闘力を自前で持ち合わせているだけの善意の協力者でしか無かった源内あおも正式に猛士の外部協力者として猛士に話を通す事となった。

サポーター無しで活動する鬼くらいなら普通に居るが、猛士に話を通していない非正規のサポーターを連れている鬼となると色々と問題が出てくるための処置だ。

実質嫁入りと言っても過言ではない。

仲村くんも恐らく女性から見てかなりの良物件ではあるだろうが、見た目高校生相当の戦闘力良し器量よし気配り上手の公私ともに支えるいろいろなものにおおらかなパートナーが居て手出ししてくる輩もおるまい。

あおにはそのうち嫁入り道具として何か持たせてやらねばなるまい。

猛士に回している数打ちでない、自律タイプの劒冑(ゼクター)とかがあれば仲村くんの役にも立てよう。

 

「ふと思うんだけど、俺は完全に外様だから仲村くん呼びを続けるつもりだけど、あおは仮にもサポーターとしてやってる訳だろ? あいつはなんて呼んでるんだ今」

 

「かわらず、ナオ、と。あやつにとってはナオも嘆鬼も変わらんのだろう」

 

「源氏名みたいなもんだしね」

 

「せめてコードネームと言え」

 

「残念ながら用法としては源氏名の方が近いんだなぁこれが」

 

吉野で見た資料によると、鬼の名は人間としての自分と鬼としての自分を分離して自我を強固に保ち鬼の力に飲まれないように、或いは敵対した陰陽師や呪術師などに名前をフックにした遠隔攻撃を受けない為の防衛術の一種として付けられるものであったという。

今では術を使う人間も減り、鬼の名も形式的なものでしかなく本名も普通に調べれば出てくる程度のものになってしまったが……。

この偽名を呪術に対するファイアーウォールとして使うという発想はどちらかと言えば宮中の女官などに施されていた術が先にあり、名付けの風習はこれを参考に作られたのだ、という。

つまりこの世界における源氏名というのは元を辿れば宮中に伝わっていた簡易な呪詛返しの一種であり、鬼の名付けは源氏名システムと根を同じにした兄弟、という訳だ。

という説明をすると、仲村くんはううむ、と、興味深そうに唸った。

 

「対魔化魍を怠れば都が滅ぶ、という時期でも、術の精度などでは対人のものの方が優れていたのか?」

 

「対呪術、という点で見れば魔化魍相手の鬼よりも宮中で人間相手に二十四時間やりあっている方々の経験値が上だった、らしい」

 

「うすら怖い話だな……今は大丈夫だと良いが」

 

政治がどうなっているかは知らんが少し前の自衛隊とかは結構やりたい放題だったから信用できるかと言われると俺もわからん。

俺がどうこうするまでもなく子供攫ってきて超能力開発実験とか大真面目にやってたしその開発した子供を使い捨てするつもりだった訳だし。

 

「政治の話は知らんしわからん。興味もあまり無い」

 

結局どんな政党のどんな政治家が出てこようと実質ゴルゴムの傀儡だし。

極論になるが権力とて力の一種であり、より強い力が存在した場合それに対しては無力となる。

誰に与え誰から奪うか決められる立場というのは便利そうではあるが、結局それを決める立場にあってもその権力が行使されるまでにいくつもの命令系統を経由してわかりやすい現象として現れるまでにはかなりのタイムラグが存在する。

少なくとも、この世界においては群れとしての力を超える個の力が存在できてしまう。

ゴルゴムに関しては頑張れば非常に面倒くさい、で済むが、創世王はどうしようもない、つまりはそういうことだ。

 

5万年に一度の創世王の引き継ぎも、世界をどうにかできる創世王という突出した力を劣化していない状態でゴルゴムのトップに据え置いておく為の措置であると考えれば、ゴルゴムあっての創世王ではなく、創世王あってのゴルゴムと見ることもできる。

つまり、現行地球上でどれだけ強い権力を手に入れたとしても創世王が駄目と思ったら裁かれるのだから真面目に考えるのも馬鹿らしい。

逆に、創世王が現行の世界のあり方を続けたい、と思っている間は政治に関しては何一つ触れなくても何も問題ないだろうという信頼はある。

 

「人は自分ひとりで何もかもをする必要はない。餅は餅屋、政治は政治屋、魔化魍退治は鬼と猛士。皆自分の戦場で戦う戦士で、互いを信じればこそ自分の戦場で戦えるのだ」

 

「戦士としての役目か、学徒としての本分も果たしたいところだが」

 

「最悪休学して後に通い直すって手もある」

 

「何年かかるか……、いや、やらねばならんか」

 

むんっ、と、気合を入れ直し、お冷をぐいと呷る仲村くん。

別に猛士は学歴社会ではないのだが、これからは魔化魍退治だけをしていれば良い、という訳でもない。

魔化魍以外の相手との戦いの為に他組織との連携を取ることも増えてくるだろうし、積極的に新技術を取り入れる為に現代の科学技術は学んでおいて損はないし、魔化魍の発生条件を考えれば心理学などを学んでおくのも悪くはない。

古い文献を解読する機会もあるだろう事を考えれば古文書に触れて当時の文字を読み解けるようになるべきで……。

猛士で働く事を考えれば、大学で学べる事で不必要なものは無い。

未来の猛士の幹部候補として、仲村くんにはしっかり学んでもらいたいものだ。

 

「しかし遅いな」

 

鬼の名付けの由来やら、最近はどんな魔化魍が出たやら、ヒビキさんのファンが最近支部の方に出入りしているやらの話でそれなりに時間が経過したが、一向に仲村くんのカレーが来ない。

 

「ああ……、今日はちょっと縮小営業だから」

 

常に寿に常駐しているニャンニャンアーミーが、今日は店内に一匹も居ない。

なので今日は一般客お断り、ウェイトレス兼コックが一人で回している。

厨房からご機嫌な鼻歌が聞こえるのは今日来ている客が俺の友人なのでそれほど気を配らなくて良く気楽なのだろう。

なんなら普段はやらない様なスパイスからの調合なども試している可能性がある。

 

「そういえば猫が居ないな、予防接種でも受けに行っているのか?」

 

「予防接種」

 

「詳しくはないが、猫もそういうものが必要だと聞くが」

 

普通の猫なら必須だが、ニャンニャンアーミーは病気で死んだら肉体を再構成すれば健康体。

何なら一部の行き過ぎたニャンニャンアーミーは飽食の限りを尽くした中世の貴族もかくやという不摂生を娯楽とする場合があるから、健康管理に関しては考えたことも無かった。

今度一斉メンテナンスでも実施してみるか。

 

とはいえ、仲村くんの考えてみれば当たり前の発想とニャンニャンアーミー不在の理由は当然異なる。

さて、奴らは果たして無事に仕事をこなせているのだろうか。

 

―――――――――――――――――――

 

深い森の中、中型のトラック程度にまで成長したバケガニが身を隠すこと無く川を下って行く。

海ではなく川辺を、そしてその上流にある湖を拠点として育ったそのバケガニは、既に童子と姫の助けがなくとも単独で餌となる人間を捕食するだけの力と体躯を持っていた。

生まれてからこれまで、与えられるままに餌を喰らい、育ち、十分すぎるほどに育った彼に、何者かの視線から逃れるような動きは必要がない。

しかしそれはあくまでも相手が無力な餌であった場合に限られる。

鬼と、それも、自らの甲殻を物ともしない、相性の悪い弦の鬼と相対した場合はその限りではない。

 

きいきい、きいきい、と、鳥型のディスクアニマルがバケガニの姿を補足し、仲間に知らせるように鳴き声をあげる。

その鳴き声を掻き消すような短い噴出音。

音の正体はUギアに搭載されているフォトンブラッド噴出による短距離跳躍機能だ。

だが、その音を聞けるものはこの森の中には殆ど居ないと言って良い。

その噴出音は森の中までは響いていない。

 

上空約70メートル。

それは高さにして横浜駅西口程近くの横浜STビルにも匹敵する。

驚くべきことに、一人前として扱われる鬼の多くがこの程度の高さならば軽々と、とまでは言わないまでも跳ぶことが可能だ。

これは例えば先の未確認事件にて活躍した青い四号の実に二倍以上。

前提条件として、十分に安定して頑丈な足場、妨害されない、くらいのものは必要になるが、多くの鬼がこの驚異的な跳躍力を備えている。

 

だが、その跳躍力を活かす事は殆ど無い。

せいぜい魔化魍との戦いの中でのステップに用いられる程度。

理由はとても単純で、鬼は高く跳躍する事はできるが飛ぶ事はできないからだ。

高く長く跳んでしまえば、落ちるまではその軌道を変える事はできない。

かなりの数の魔化魍が粘液や溶解液を吐き出す、火を吹く、或いはそのまま飛行能力を備えている為、あまりに高すぎる跳躍は命取りとなる。

 

のしのしと人里を目指すバケガニの上空、大きめのオフィスビルの屋上程度の高さに、銀の装甲を纏った鬼の姿。

人が装着する時とは異なり、鬼の剛力から内部機構を守るために倍力機構は展開されず、幾らかの装甲とフォトンストリームのみ。

鬼の身体を締め付ける拘束衣(ストレイトジャケット)にも、或いは人の形の鋳型(モールド)を鬼の力が引き裂かんとしている様にも見えるだろうか。

 

再び、一秒にも満たない噴出音。

手に下げた音撃弦を槍の様に構え、地面に向けて、バケガニに向けてのダイブ。

フォトンブラッドの噴出による加速が加えられたそれは自然落下のそれと比べ物にならない。

矢の如く、或いは稲妻の如くバケガニの背に突き刺さる音撃弦と、僅かに遅れてギアを纏った鬼が緩やかに着地。

加速に任せたまま突っ込めば、如何に強靭な鬼の身体であろうと、或いはその肉体をギアが補助したとしても無事では済まない。

上空で加速し、その加速を打ち消す程度のフォトンブラッド噴射をギリギリのタイミングで使えなければ奇襲として成功しない。

今のところ、この急降下戦法を使える鬼はベテラン、新人をすべて合わせても両手の指で数えられる程度の人数しか居ないだろう。

 

人里からさして遠くない森の中に清めの音が鳴り響き、バケガニが爆散する。

魔化魍が変わりつつあるのと同じ様に、鬼の戦いも変わりつつある。

或いはこの鬼の変化を受けた改造魔化魍が現れるという可能性も。

硬い装甲を貫くより鋭い刃が。

素早く駆ける敵を射止める苛烈な弾幕が。

人知れぬ戦いの中で繰り広げられていくのか。

 

──んぁ

 

しかし、それは所詮人と魔化魍の戦いでの話。

地を砕き森を焼く様な戦いも、その渦中に無いものにとってみれば天災とそう変わりは無く、その災厄から逃れるだけの力を持つ獣からすれば、空に浮かぶ雲の形が違う、程度の話でしかない。

川沿いを行くバケガニを、そして上空に居た鬼を遠巻きに、微かな足音を消すこともせず、堂々と歩く四足のものがいた。

 

小さくあくびすらしてみせたそれは、悠々と森の中を歩く。

体重5キロにも満たない小さな体躯で、しかし、この森こそ我が庭であると言わんばかりの堂々たる振る舞い。

捕食者を警戒する素振りすら無い。

そして、その獣を知覚した森の動物達は息をひそめて身を隠す。

威圧するでもなく、しかし、自らの生命力を隠そうともしないその獣の存在感に、本能的に屈服してしまっているのだ。

 

あちこちの森を渡り歩いてはや数日。

その獣はいい加減に飽き飽きし始めていた。

届け先すらわからない荷物の配達。

時間を、元の自分からは考えられないほどに長い時間を与えられたからこそ出来るような仕事は、報酬に見合ったものだろうか。

 

潰されても焼かれても斬られても死なない無敵の身体。

知る限り地上で最も大きい生き物と戦っても蹂躙できる程のあふれるパワー。

目にも留まらない、目にも映らないほどの、狩られた側すら気づけ無い超スピード。

そこらに溢れる二本足の連中と較べても優秀と言い切れるだけの優れた頭脳。

 

それを与えられるだけの仕事を自分は熟しているのだろうか。

そう考える頭すら与えられたものでしかない。

元々、自分達は恩を返すような生き方をするものでは無かったが……。

力と知恵を与えられ、気ままに欲しい物を得ながら生きていく中で、嫌でも二本足達の言う倫理観なるものは覚えてしまった。

 

貰うだけ貰って、好きに振る舞う。

自分達は奴らにとってそういう生き方を許された生き物であるらしい。

その場に居て、好きに振る舞い、偶に触れ合う。

それこそが自分達が二本足に与える事ができる最大の見返りだと。

自分の後に作られた連中の中にはそういうものも居る。

というか、大体はそのように生きていて、何かを頼まれても真面目にこなそうとするのは少数派だ。

それが自然である証なのだろう。

 

なので。

これは、彼の元々のパーソナリティと、知恵をつけて行く中で生まれた特異な価値観なのかもしれない。

貰ったまま、与えられるまま、それに何かを返さないのは……。

そう、人間の古い言葉で言うのなら。

シャバい。

 

使命感に満ち溢れている訳ではない。

しかし、道の真ん中を、尻尾をなびかせて堂々と歩くのなら、それに相応しい振る舞いが必要だ。

シャバ僧で居る訳にはいかない。

一つの獣として。

一匹の猫として。

堂々と胸を張れる生き方がしたい!

 

森の奥の奥の奥。

或いは、森の向こうの何処か。

無力さならぬ多力さに不安と焦燥を覚えていた猫の前に、突如として古びた洋館が現れた。

全国の龍脈上に存在する森に放たれた猫──ニャンニャンアーミー。

人避けの結界を乗り越えることのできるおおよそ不真面目な人ならざるエージェント達の中で、そこに辿り着いたのは、やはりその最古参にして最初期型。

二本足に新たな生命を吹き込まれ、その足元で禄を食む誇り高い野良猫、ならぬ、飼われ猫のニーくん。

 

にぃ、と、口角が上がり、肉食獣の牙が顕になる。

すっくと二本の後ろ足で立ち上がり、前足を腹部の毛並みの隙間に滑り込ませ、一振りの刃物を取り出した。

彼が普段使う特殊合金製の爪と同じ程度、いざという時の為に持たされた大剣と比べれば如何にも短い、しかし、強い力を感じる妖刀。

その先端を、物をつかむのには明らかに適していないはずの指先で掴み、前足がブレる。

投擲された妖刀がくるくると回転しながら飛翔し、綺麗にその刀身の半ばまでが洋館のドアへと突き刺さった。

 

館の中からぱたぱたと足音が響き、ドアが開け放たれた。

童子と姫……と、同じ顔をした洋館に住まう和装の男女。

尋ね人が来るはずも無い館に異変となれば小走りの一つもする程度の人間性らしきものは存在するらしい。

異変の主、ドアに突き刺さった禍々しい妖刀を引き抜き、洋館の男女が何がしかを話しあっているが、ニーくんの姿は既に無い。

 

これは良い結果を招くのだろうか。

或いは、あの二本足にとっての望んだ結果にたどり着くのだろうか。

表情を変えず、しかし、動きから慌てている事が見て取れる男女の姿に尻を向け、光学迷彩を起動したニーくんが音を立てずに笑った。

どちらにせよ、与えられた仕事は果たした。

これで、今日もまた心置きなく、美味しく餌を食べられる。

 

 

 

 

 

 

 




でかい上に倒し方がわかっている魔化魍はただの的になってしまう時代
なお乱れ童子やナナシ及び都市とか市街に平気で現れる人型魔化魍

☆仲村七王あらため、『嘆鬼(ナゲキ)
夏の魔化魍対策で独り立ちさせられた新進気鋭の鬼
轟鬼くんとかに比べると弦の出来はやや負けるが、弦と同じレベルで管と太鼓を使いこなせるマルチプレイヤー
鬼としてデビューできるレベルの新人の中では唯一Uギアと劒冑を使い熟していた為に機動力も高く、特別遊撃隊になった響鬼の穴を埋めるような形でシフトを組まれている
赤心寺仕込みの六尺棒型音撃棒を始め、近年では珍しい横笛型(篠笛型)の音撃管なども使う変わり種で開発部の覚えも良い
猛士での評判の良さに反比例するように講義の出席率は悪くなり続けており、FAGを利用した代返と講義内容の記録が無ければ留年は確実だった
主人公とは定期的に情報交換など行う為食事を行うが、これは肉体の定期メンテナンスという一面もあり、鬼としての実力が安定するか魔化魍大量発生が落ち着くまでは終わることは無い

☆Uギアを使うモブ鬼
轟鬼くんかな、とも思ったけどセリフが無いからモブ鬼でいいかな
恐らく轟鬼くんとか仲村くんと同期になるであろう新人の一人
助手時代からUギアは使っていたが、鬼の肉体で使う事である程度の落下耐性が付いた為自力跳躍などと合わせて空中機動力が格段に上がった
が、ギルスボディと魔石ブーストされたどこかのッと異なり、地面に向けて加速してそのまま減速せず着地できる程の強度はない
鬼は普通に大怪我負うと後遺症で戦えなくなったりするから慎重な立ち回りが要求されるのだ
作中描写を見る限り神経とか関節とかの修復は苦手なのではないかなと思われる
なお鬼自体は原作では合わせて119人居るとの事だが、この世界においては諸々の騒動で減ったり増えたりしているのでその限りではないし、外付け装備で下駄を履かせることもできる為独り立ちの敷居自体は低くなりつつある
でもそれって本来まだ教える事がある鬼を独り立ちさせてるって事になると思うんだけどどうなんだろう
原作の轟鬼くんですら何故か夏の魔化魍には太鼓で挑むしかないって事を知らされていなかったんだから元の世界ですら独り立ちのタイミングは年々早められていたのかもしれない

☆つっぱることが猫のたったひとつの勲章だってその胸に信じて生きてきた
実質なめねこ
人間社会の中に猫の新たな居場所とあり方が育まれる中で色々と成長しつつある
餌と宿どころか強い肉体と命と頭を貰っておいて何も返さないなんて猫が廃る、みたいなキャラ
クロよりのミーくんというかミックスというか
与えられるままに堕落する事はできないらしい
今はまだその時ではない(定期イベ)

☆謎の洋館に突き刺さった謎の妖刀
古くから伝わる猛士の刀と現代式アームドセイバーを合わせたような奇妙な妖刀
いったいだれがこんなものを?
出力的には苦心して鬼が使っても死なない程度に抑えてある
最終調整は外部委託
自分にできない事はできるやつに任せるのは基本だからね
ここで何日か寝かせると良いアームドセイバーが採れるんじゃ

原作に掠ったと思ったらまた外れていく
でもいいんです、それが二次創作というものなのです
それでも良いという方は感想とかそういうものを書いてみたりしつつ次回も気長にお待ち下さい
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