オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版) 作:ぐにょり
それは2004年のクリスマスイブ。
病院へ向かう道を少年はひた走っている。
いや、少年が走っているわけではない。
少年の意思に反する限界を越えた全力疾走。
つい数分前まで友人と遊び歩いていた少年の意識は混乱の最中にあった。
「走りながらでいいなら、なにが起きてるか教えてやる」
自分の口をついて出た言葉に物理的なリアクションを返せない少年を他所に、少年の口はさらなる言葉を吐き出す。
「今夜、お前の母親は死ぬ」
「遊び歩いていたお前は容態急変の知らせもまともに受け取らず」
「死に目にすら会えない」
「何故そんなことを知ってるか?」
「未来のお前は、その事をずっと引きずってるのだ」
「嫌いという程ではないのだろう?」
「親とか家族とか、そういうものが恥ずかしい時期もあるし、友達と遊んでるのも楽しいだろうが」
「看取るくらいはしてやるんだな」
世界記録もかくや、という速度で走る中、息も切らさず紡がれた言葉に、何を馬鹿な、と思う。
今まで天変地異が起きても化け物が町で暴れても巻き込まれもしなかったのに。
今更、少し体調を崩したくらいであの母が死ぬものか。
「そうか」
少年の呆れるような思考に、少年の肉体は短く一言だけ返すと黙り込み、走ることに専念し始めた。
少年の思考は楽観的だった。
時は2004年、人を殺す化け物には馴染み始めても、人を乗っ取る化け物はまだ知られていない時代。
これは白昼夢か何かではないか?
仲間と飲んだ良くわからないドリンクに怪しいクスリでも混ぜられていたのではないか?
肉体的な疲労や痛みを伴わないそれは幻覚や夢である様に思えていた。
これが紛れもない現実であるとはっきり自覚したのは。
病室で握った母の手から、力が抜けるのを感じた時だった。
病院の廊下の長椅子で、母からの最後のクリスマスプレゼントを手に項垂れる少年。
母親の最期を看取ることができた。
そう言えば聞こえは良いが、少し体調を崩した程度だと思っていた母親が死んでしまった、という事実に変わりはない。
少年、哲男は年相応の親への反抗心こそあれど、親の死に涙を流せる程度には肉親の情を持っていた。
思春期の最中に憎からず思っていた母親を失ったという経験は重いものだろう。
母親の死に目に会えなかった、という未来を回避した結果として、哲男は母親の死という事実を真正面から受け止めることになったのである。
もう少し家に居て、母親と一緒に居れば良かった、とか。
親孝行らしいことなんて、何一つ出来なかった、とか。
そんな後悔にすら辿り着けないほど、頭の中が真っ白になっていた。
これから、哲男は生きていく中で、もう母親が何処にも居ない、という事実をゆっくりと突き付けられていく。
病院から連絡を受けた父親がこれからやってくるだろう。
その後は葬式に、そこにやってくる母親の知り合い。
それが終わって、家に帰っても、もう二度と母親が迎えてくれる事も無い。
外で遊び呆けてる事に説教を垂れる事も無い。
手の中にあるプレゼント、鈴のついたキーホルダーの入った箱に意識が向く。
『メリークリスマス!哲男』
病で弱りきっていた母親は何かを言い残すことすらなく、プレゼントを手渡して、満足そうに微笑みながら死んでいった。
「なんで」
なんで笑いながら死ねるんだよ。
『決まってるだろ』
頭の中に声が響く。
『お前の顔が見れたからだ』
『用意したプレゼントも渡してやれないと思ってたお前が』
『息を切らして病室に駆けつけて、手を握って、自分の最期を看取ってくれるんだ』
息が詰まる。
『元の未来でお前の母親がどんな顔をして死んだかは知らないが』
『その、なんだ……』
頭に響く声は口籠るような間を置く。
『これ以上無い親孝行だろう。自分の子供が元気に生きて、自分の最期に涙を流してくれるなんて』
喉から熱いものが込み上げ、哲男の視界が歪む。
夜の病院の廊下に、声を抑えた嗚咽が響いた。
そこから。
年末に重なるように行われた母親の葬儀にバタバタとしている内に、気がつけば半月程の時間が経過していた。
その間、頭の中の声は哲男に時折声を掛けるだけで、クリスマスの日のように身体を乗っ取ることはしなかった。
「なあ」
年始の空気も薄れ始めた頃、哲男はすっかりと頭の中の同居人に慣れきっていた。
「結局、あんたは何者なんだ?」
『俺か? ……そうだな、ようやく落ち着いてきた事だし、改めて名乗らせて貰おう』
『俺は──』
―――――――――――――――――――
どれだけ人間が進化しようとも、人死というのは無くならない。
これは別に不思議なことではなく、生きているものは死ぬように出来ているので仕方の無い話でもある。
そして死の原因は、ことこの日本においても人類敵対種族による被害こそ大きいものの、ヤマタノオロチのようなものを除けば死亡数においてはやはり交通事故や病気がその大半を占める。
魔化魍の発生率が下がっても、山道や海辺の消波ブロックの上で足を滑らせて転落死する人が居なくなる訳では無い。
ワームがほぼ絶滅したとしても、それと無関係に行方不明になる人は多い。
スマブレが滅んでオルフェノクは野良ばかりになったが、野良オルフェノクがヤクザに雇われ(警察に隠れて)ブイブイ言わせている、なんて話も聞く。
なんてことの無い日常の延長で人は死ぬし、汎ゆる出来事が悪の秘密結社だの人類敵対種族に繋がる訳では無い。
悪い事を企む人外よりも悪い事を企む人間が多いのは当たり前の話で、誰の企みでもないただの不幸や不運なんて数え切れるものでも無い。
マグロの買い占めを行うのはゴルゴムよりも回転寿司チェーンの方が可能性が高いだろう。
この世界だとゴルゴムならマグロの養殖どころか培養くらい可能だろうからマグロをフックにゴルゴムに繋がることはないだろうけども。
まぁ俺だってマグロくらい純粋科学力だけで培養できるが?(対抗心)
しかもマグロのアニマルソルジャーにすれば無限にマグロの柵を切り出せる。
食べた後は再生しようとして胃から出てくるので消化されず太らないヘルシー食だ。
それはともかく。
なんとなれば。
進化人類が対処できない死因は交通事故や病気だし、死因に繋がらない怪我や不調などもまた、並の人類と変わらず受けてしまう。
パンチ力が何トンあろうが、人間態の時に自宅で就寝中のガス漏れで中毒、火元の不始末で火事、変なもん食って胃腸炎、防ぎようがない。
地震で棚が倒壊、寝てる間に顔面に硬いものが当たって失明、無い話ではない。
飯を食ってる時にうっかり金属スプーンを思いっきり噛んでしまって歯が欠けるアギトくらいは警視庁の中にすらいるだろう。
人間を容易く殺害可能な超人や怪人もこむら返りに苦しんでベッドの上で悶絶したりするし、夏風邪拗らせて動けなくなったりするのだ。
アギトでなくオルフェノクなら交通事故くらいなら防げるかもしれないが、結局それも当たりどころ次第かつ素質次第。
アギトにしろオルフェノクにしろ、虫歯は歯医者の予約を取って治療するし、変な生え方した親知らずで苦しんだりもするし、急性虫垂炎で病院に運ばれたりもする。
将来がどうであれ、今のところ人類は進化したところで人類の延長線上の生き物でしかない。
故に、テレビのニュースでガス漏れによる大量中毒が発生、なんて聞いても即座に敵対種族の跳梁跋扈に繋がらないのは自然な事だと思うのだ。
正直、復興の過程でガス漏れとかは山程起きたのでニュースにすらならない、くらいの話だったのだから、ニュースでガス漏れが報道された、という事実の方にこそ関心は向かっていた。
死人も出ていないような事故をちゃんと報道できるだけの社会的余裕が生まれたことを喜びすらした。
切っ掛けは、完全受肉を果たしたイマジンだった。
遡ること、半日ほど前の話。
街で毒ガスを撒き散らしながら徘徊していたそのイマジンは、警察の特殊部隊による狙撃を何の抵抗も見せずに受け入れ、跡形もなく爆発した。
俺はその情報をイマジン撃破後に得ることとなった。
これ自体はここ最近では珍しくはあるが無い話でもない。
無論、イマジン以外の敵対種族が逮捕に応じず撃破される事例がある、という程度の話だが。
特定個人が出張らなくても怪人が撃破されてくれる世界、理想的な形で完成しつつあり、これそのものは喜ばしい事だ。
だが、後から鏡越しの映像を観た限りでは、あのバットイマジン風のイマジンは、狙撃が来ることを知っていたし、避ける余裕もあったように見えた。
飛行能力を十分に発揮可能なフォルムに見えたし、瞳孔が無い故に読みにくい視線は確かに狙撃手の方に向けられていた。
そして、奴等イマジンが基本的には平行世界の未来人であるということを踏まえれば、この時代の警察組織が実体化を果たしたイマジン程度なら普通に殺傷可能な武装を運用している事も理解していた筈だ。
なぜあのイマジンは堂々と姿を現し、警察に抵抗もせず殺害されたのか。
答えはとても簡単。
それがこの時代では自然なイベントの一つであり、歴史修正が必要無い程に些細な変化の範囲だからだ。
「これも、これもか」
不自然に無抵抗なイマジンの死、その理由の調査を始めてわかった。
あのイマジンはここ数年、契約者の少年の肉体の中、宿主の少年の
その上で、宿主の少年に気付かれない範囲で肉体の主導権を奪い、各地のガス管などに細工をして回っていた。
この時代で暴れ始めたバットイマジンもどきの出現地点に居た少年の映像記録が無いかを虱潰しにヘキサギアの中から探してみれば、夢遊病の様に夜中に歩き回り、怪しい挙動をする姿が発見された。
恐らくは宿主の少年が眠りに就いた後に、疲れが残らない範囲で肉体を操っていたか。
イマジンに憑依された人間はイマジンの能力を一部扱えるようになる。
本来それはイマジン主体で活動する場合に限るが、ハンドルを憑依対象に預ける事も難しいことでは無い。
肉体に寄生する代価として怪人の力を使えるというのは、ちょいワルに憧れる思春期の少年には悪くないものに思えたのだろう。
力を貸し与えて懐柔するという手口は古くからありふれたものだ。
過去に戻って大暴れするのではなく、過去に戻って現代までの時間をフルに使い、目立たない小規模な破壊活動を繰り返し行ってきたのだろう。
特にこの数年の出来事を思えば、未来知識を有する者にとっては小事を大事に置き換えるのはそれ程手間のかかる話ではない。
ほんの少しのガスの不始末が、怪人の大規模襲撃と重なることで致命的な破壊と殺戮に繋がる。
ドアの鍵の開閉一つ、乗り物の整備状況一つが生死を分ける。
長期計画的無差別大量殺人とでも言うべきか、大規模襲撃の中で怪人に襲われること無く、しかし、それと無関係に二次災害で死んでいく人間を増やす。
そしてそれは、特異点が行う歴史修正のやり方では直しようが無い。
あれは特異点の記憶と人生を元に歴史を直している。
修正後と修正前を見比べて、違いがわからないもの、誰の記憶にも残らないものを直せる類のものではないのだ。
面倒な、嫌な敵だ。
超常の力を持ちながらそれを誇示するでなく、人間としての知恵を巡らせ、人間の犯罪者やテロリストと同じ様な動きをする。
しかも、電王による歴史修正を前提として。
一番対処に困る。
落下死が確認できなかったのも道理。
イマジンの身体能力や特殊能力など、人の願いを叶えるのには必要無い。
例えば失せ物探しは根気が必要になるが……。
イマジンが行きたいのは過去で、そこにいつ何時飛ぶかは関係ない。
根気よく探しても良いし、最悪、ちょっとした小物ならば元のデザインを教えてもらえば作ることも作らせることも難しい話でも無い。
そうして願いを叶えるのには時間がかかるが、契約が果たされるまでイマジンは事実上不死身だし、何日かかろうが飛ぶ先の時代と時間が変化することは無い。
いや、そもそもの話として、契約者の中に過去に飛んだイマジンが居続けるのだとすれば、過去に飛ぶ前の自分に願いの叶え方を教える事もできる。
タイムパラドックスが起きないよう、行動と言動をしっかりと選ぶ必要はあるが……。
警察にあっさり殺されて見せた理由も幾つも浮かぶ。
市街地で突如として暴れ出し、多数の被害者を出したイマジン、その撃破に関する記録は警察に記録として残される、その他の不幸にも始末するしか無かった怪人達と同じ様に。
現代でイマジンが殺されることで、それまでのイマジンの行動全てでは無いにしろ、過去にイマジンが飛ぶ、そして現代で殺されるという因果だけは間違いなく確定させられてしまった。
そうすることで、この時代で願いを叶えるまでに何らかのトラブルで過去に飛べなくなる、という可能性はほぼ消滅する。
新幹線理論の始点と終点を打ち込まれてしまったのだ。
更に、こいつの活動範囲で破壊工作を行っても歴史が切り替わらない、つまりその範囲に分岐点の鍵は居ない、という目印にもなる。
自らの死をもって、分岐点の鍵、その捜索範囲を狭めてみせたのだ。
敵ながらあっぱれと言うしかない。
だが当然あっぱれなどと言ってもいられない。
イマジン側が全てこれと同じ水準の覚悟と計画性を持った戦士であるとは限らない(甘い想定だが、はっきりとした過去を持たない使命感だけの戦士に一定水準の教育を施すのは難しい筈だ)が、何しろイマジンは弾数が多い。
かなりの範囲をローラーされてしまう。
そして、分岐点の鍵を生み出す存在は行動範囲もそう広く無い。
イマジンの活動範囲が東京に集中している時点で大まかな目星は付けられていると考えるのが妥当。
桜井侑斗が自分を囮にしている関係上、どうしても範囲は絞られてしまうのだろう。
そう考えると危うい賭けだ。
勿論、それ以外に桜井侑斗が取れる手段があったのか?と言われれば難しいところではあるのだが。
さて。
ことここに至って、やれることは殆どない。
少なくとも今回のイマジンに関しては見事に理想的な働きを完遂した。
電王はイマジンの契約者を見つければ過去に飛んだイマジンを追うことが出来るが、別段イマジンの契約者を見分ける方法があるわけでもない。
身体から出る砂、という特徴もあるし、その砂自体も特殊なものなので感知することは不可能ではないと思われるかもしれない。
しかし、例えばイマジンに憑依された野上良太郎はおおよその場合身体から砂を出していないので、この砂の出る出ないも匙加減次第なところがある。
砂が出る、とわかっているなら服装に気をつければ砂が出ている事を誤魔化す事も難しい話ではない。
最悪、この時代なら会話ができて知性が確認できて攻撃的でない異形は無下にはされないので、契約者と別行動してしまってもいい。
職質を受けたら、変身したら人の姿に戻れなくなってしまったと言えば良いし、身分証明も海外からの旅行者だったが先日の災害でパスポートも焼けて故郷にも戻れなくなってしまったと言えば同情すら買えるだろう。
短時間であればきぐるみでも着て風船なりチラシなりそれらしいものを持っていれば絡まれる心配も少ない。
電王にもデンライナーにも、戦闘に纏わる装備はあっても探索に使えるようなガジェットは存在しない。
デンライナーは警察署でも無ければ探偵事務所でもないのだから当然と言える。
結局のところ、デンライナーの住人が本気で隠れ潜もうとしているイマジンとその契約者を見つけ出すには、大前提として発見しやすくなるレベルでイマジンが大暴れしてくれない事にはどうにもならないのである。
この世界に侵攻してくるイマジンの首領がカイだとして、この世界のカイはかなり頭が切れて、慎重なタイプなのだろう。
時間移動先が契約者によってほぼ固定であるというデメリットをメリットとして扱っている。
なんとなれば、ワームやネイティブよりも余程静かな侵略行為。
当たり前の話ではある。
この世界の人類はこれまで現れた敵対種族の全てに勝利してきたのだ。
つまり、現行人類はグロンギよりもマラークよりもミラーモンスターよりもオルフェノクよりもアンデッドよりも魔化魍よりもワームよりもネイティブよりも強く賢いのだ。
なんだこの怪物(愕然)
その亜種、或いは派生フォームである近似世界人類のイマジンが弱いわけがなく、愚かなわけが無い。
そう考えると、物理的肉体を持っているのがカイだけなのはせめてもの救いか。
ハナにしろコハナにしろ、少なくとも現時点で産まれておらず、カイがハナと表裏一体とすれば、下手をすれば……。
「いや……まてよ?」
「どしたん?」
「拾ったパス出せ」
ん?と首を傾げながらグジルがライダーパスを渡してくる。
「ちょっと調べ物に行ってくる」
「新しいゲゲルか、今出発する? 私も同行する」
「ふぇーどいん」
「調べ物だっつってんだろ」
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そんな訳で、我々はミルクディッパーにやってきたのだ。
ミルクディッパーは都内中野区某所にあるライブラリーカフェーであり、星に関する書籍や小さめのプラネタリウム投影機、桜井侑斗から店主へのプレゼントである天体望遠鏡などが置かれており、店の設備だけはいい雰囲気で纏まっている。
「店員と客が居なけりゃゆっくり過ごせそうで良いね」
「ちかすぎちゃってどうしよう」
二人の言葉からわかるように、未亡人臭を漂わせる美人な店主とそのファンボーイ達の集まりみたいな店なので、内装に相応しい雰囲気をしているか?と言われると首を傾げる。
目を閉じても客から店主に向けられた欲望の視線が闇の中で白々と光って見える程だ。
因みに客同士が牽制の意識を交わしまくっているので、ちょいと空気読みができる人ならこの中でゆっくり寛いで……とはならないだろう。
因みに良く似た外観の大正時代から続く洋食のお店が埼玉県にあり、そちらはお店も広く変に緊迫感ある空気も生まれないのでゆっくり昼食を摂りたいならそちらに行くのをおすすめする。
ここの近場で別の店を探すのも難しくない、賢明な人は悪い事は言わないからマルダムールかポレポレに行くか、うちの店に来て欲しい。
ポレポレはかの有名な赤と青の蓋で分けられた醤油とソースが置いてあり、マルダムールには物静かな老犬(肉体年齢は若くしてある)が居て、うちの店は店員と猫が可愛い。
しばし、店主だけが察知できないヌメついた緊迫感のある空気を感じながら時間を潰していると、入り口から一人の青年と女性が現れた。
彼らの背後には普通に店の外の光景が広がっており、時空の変動も感じられない。
当たり前の話ではあるが、いかに特異点であろうとも、デンライナーからの乗り降りにはライダーパスが必要になる。
となると、青年の方はともかく女性の方は昨日から今日までの一日をデンライナー以外で過ごさなければならなかったのだと思うのだけど、風呂とか入れたのだろうか。
くさそう。
ライダーパスがあれば一時間に一回は飯と寝床のあるデンライナーに戻れるのはそうなんだろうけど、活動する時代のお金も少しは持ってたほうが良いよなぁ。
あの服財布入れるとこ無さそうに見えるけど。
「良太郎君、ハナちゃん、こっちこっち」
拾ったライダーパスをこれ見よがしにひらひらと掲げながら、初対面の彼等にさも知り合いであるかのように声をかけた。
イマジンは強敵
☆ストラテジーに長けた侵略者イマジン
無駄に暴れない、自分達の本当の長所に自覚的、慎重
というだけの人類の延長線上に存在する絶滅戦争しかありえない敵
イマジンの歴史は正しい歴史ではない、イマジンの歴史は分岐を確定させないと存在できない
イマジン世界に分岐するとカイの歴史が戻るのか、カイの歴史に世界が分岐するとその時点で歴史が消滅するのかは割と議論の余地が分かれるところではないだろうか
どっちにしろ現地民からすると滅ぼさない限り滅ぼされるタイプの敵なのでこれまでの殺人ゲームしてたやつとアギト候補しか殺さないやつとかただの人類亜種とか自然災害とかそのへんと比べると確実に和解の余地が無い
相手もそれは分かってるのでこういう気合入った尖兵を送り込んでくる
過去に飛んだ謎のイマジンくんはこれから三年間くらい契約者である哲男くんと共に過ごすので必然一緒にヤマタノオロチ災害も乗り越えるしワーム殲滅の現場とかも目撃するしその過程でイマジン側からも愛着なり親愛の情も湧くけどそれはそれとして破壊工作はするし最期は絶対に警察に狙撃されて死ぬ
なんなら契約した直後くらいに過去からやってきた未来の自分が死ぬところを確認しているので任務に向けて抱いている覚悟が違う
なおイマジンは肉体とともに自分の人生、歴史を持っていない状態なので誰かが自分のために泣いたりしてくれる、という状態を見ると双方に憧れを抱いたりする
基本的に誰も彼もそんなに強い感情を抱ける相手なんて文字通り影も形もないかんね
そんな奴が三年間肉体があってちゃんと自分を認識してコミュニケーションとってくる相手の中に隠れ潜み共同生活をするし度々信頼は密かに裏切らないといけないしどっちにしろ最期は死ぬ
肉体も無く歴史も無い生きるも死ぬもないただの歴史の残骸に過ぎない精神体がこの三年間で死ぬところまで行くんやなぁ
そんな重い感情持ったやつを一年分描くなんてできるわきゃないのでレアケースかさもなきゃカイが出した最高の試金石だったということにしよう
破壊の八極道最弱の男みたいな
☆まぁ未来人ならこれくらいやるか……
してやられたというか、ここまで強化しても対処しきれない時もあるという学び
未来アイテム持ち込みが無いのが唯一の救いではあるが
未来アイテムの持ち込みはできないし明確な記憶もない(重要)
というところでじかーいじかい
そこんところを解き明かすためにバトルを描かなければならないっ!
☆一晩あちこちを走り回りながらライダーパスを探し回ったハナさん
くさい(歓喜)
因みにライダーパスが無いとデンライナーに乗れないわけではない(良太郎にライダーパスの返還を求める際に普通にデンライナーに乗っているのでオーナーが適当に融通を利かせてくれるものと思われる)
ので、良太郎ともどもバットイマジンに襲われていないという一点を除いて問題なく原作は進行している
ただ、ライダーパスが無いとデンライナー側からの接触待ちになるので任意移動ができないという問題もある
だからやっぱり風呂は入ってないのでは?
くさそう(歓喜)
☆仮にハナさんが臭くても下手なことを言わないくらいの良識がある良太郎
そんな事を気にすることができるだけの余裕が人生に無いとも言える
そのうち子供を作れるだけの余裕も産まれるくらいには精神的に成長するので今はまだ弱くて良い
冷静に見ると後半は普通に物理的にも強い
ほんとにバトルしないといけないの?
たぶん……
バトルが必要か、相手がバトルに乗ってくれるかはともかくとして話し合いの余地はこれまでの会話が成立するタイプの敵の中で一二を争うほど無い
実はカブト編よりもパワーバランスはマトモだったりする
現代人が強いんだから未来人が強いのは当たり前なのだ
なんせ現代人は街中では手に入る装備で普通に怪人を倒せるくらいには強いから
なんでこんなに強いのか現代人
なんでやろなぁ
また巡り巡って自分の首を絞めている
しかし未来科学も肉体も失ったイマジンはどれくらい戦えるのか
結構戦えるんだなぁこれが
何故戦えるのか
戦わなければならないから戦えるのだ
そんなわけで次回
『意義ある戦い』
気長にお待ち下さい