オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版)   作:ぐにょり

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195 怪人にあるまじき、侵略者にあるまじき

思い返すに、グロンギのゲゲルを皮切りに始まった、或いはそれ以前から静かに行われていた諸々の対人類への加害行為は、概ね開け広げなものであった。

そう、加害である。

敵対ではない。

それは狩猟であり間引きであり捕食であり、繁殖であり試合であり災害であり、移住に伴う摩擦でもあった。

 

明確な侵略者というものは、実のところイマジンに至るまでは平成の敵対種族には存在しない。

ワームやネイティブは違うのかと言われれば、彼等がどれほどの意図を持って人類の住まう地球に訪れたか、という点を考慮しなければならない。

まず、ワームの標的は元を正せばネイティブである。

その後の人類への入れ替わりというものも、彼等の持つ特性を利用して対ネイティブの戦いを有利にするためのものでしかなく、人類は敵対する存在でなく利用できる環境生物程度の認識だったと考えるのが自然だ。

 

ネイティブに至ってはもっと単純で、自力での繁殖能力をなんらかの理由で著しく損なっていた種族が他種族を利用して繁殖しようとしていただけに過ぎない。

人間をベースに自分たちの種族を増やそうとしている、という点から考えればオルフェノクと大差なく、その主目的は繁殖であると断言して良いだろう。

人類社会に潜み宿主を食い破り繁殖せんとする、まさに寄生獣、いや、種族的には一周回って寄生虫と呼ぶのが正しいか。

 

それを踏まえて考えるに。

イマジンはこれまでにない程に明確に侵略者として存在している。

しかも仕掛けているのは紛れもない絶滅戦争である。

しかし、これまたややこしい事に、それが現代社会に対してどれほど危険であるか、というのは推し量り難い。

イマジンの未来は正史ではなく、発生し得ない自分たちの未来に歴史を接続する為に歴史の分岐点を探している。

その歴史の分岐点をあれこれすることで自分たちの未来に繋げる訳だが……。

接続されたイマジン達の歴史が正常に運行されるものであれば、少なくとも分岐点以前に存在していた人類には何の不都合もない。

 

電王は正史と異聞帯、基底世界と分岐世界の戦いである。

……と、デンライナー組が語り、デンライナー組の視点で進む物語だ。

彼等の言葉の正しさを担保するのは、歴史を正しい形で運行させる役目を持つ、という彼等の主張であり、翻って自分達の世界こそが正しい歴史なのだ、という主張を行わないイマジン側のスタンスにある。

 

無論、それで話としては成立するし、なんらかの不都合があるわけでもない。

電王の主軸、視聴者の視点となる野上良太郎は分岐前の歴史の人間であり、イマジンが齎す被害は直接的に彼の住まう世界、彼の生きる歴史に被害を齎す。

が、時の運行を守る存在であるデンライナー、およびそれに乗車している人々がどうか、というと、まま怪しい部分はある。

 

というのも、時の運行を守るはずのこのデンライナーのサービス提供側は、一部の歴史改変に対して非常に曖昧な態度を取る場合がある。

桜井侑斗が消え、イマジンのデネブの契約先が野上良太郎になった時は何事もなかったかのようにそれを受け入れていた。

桜井侑斗の存在を記憶していたにもかかわらず、だ。

 

桜井侑斗の存在はそのまま野上愛理との間に産まれる分岐点の鍵の出生にも関わる重大案件である。

野上ハナの産まれる歴史が正しい、その歴史にならなければならない、というのであれば、デンライナーはそれを守るべき行動を取って然るべきだろう。

だが、デンライナーのオーナーの取る選択肢はその多くが静観であり、強硬に何かを推し進める、という事をしない。

それは或いは電王である野上良太郎が何かしらの解決の為に奔走する事を理解していたからか、或いは桜井侑斗の行動を予測していたからか……。

どちらにしろ、何かしらの行動を取らなかった、という点を忘れてはならない。

 

デンライナーは正しい時の運行を守る。

では正しい歴史とはなんだ、と言えば。

それは野上ハナの産まれる歴史ではなく、野上良太郎の孫が産まれてくる歴史でもない。

これは歴史、世界線に限った話ではなく、この世の汎ゆる正否判定に言える事で。

つまるところ、『正しさ』というものは、それを主張する何者かが居なければ存在し得ない概念だ、ということだ。

 

そういう見方で言えば、例えば無人の野と化して生き物という生き物、思考できる存在が居ない世界には正しさというものは存在しないだろう。

だが、同時にその無人の惑星が正しくない、間違った歴史かと言えばそうでもない。

正否の判定が行われない以上、そこには正しさも間違いも存在しない。

森に雷が落ち、火事が起きたとして、雷や火事の概念を理解するものがそこに存在しなければ、そこには雷も火事も存在しない、という話に近いか。

 

デンライナーが言う正しい歴史、その最低ラインは何処か。

地球は必要か、日本は必要か、野上良太郎は必要か、イマジン達は必要か、ハナは、分岐点の鍵は必要か。

恐らく、彼等は、デンライナーは究極的にはこのどれをも必要としないのだろう。

 

この、地球があり、そこに生き物が発生し、人間が生まれ、諸々の歴史があり、ハナという分岐点が産まれる世界において。

この世界線のルールとして、分岐点の鍵を消されると負け、別の世界にシフトしてしまう。

……という、現時点で設定されているルールに沿って、彼等はそれらしい振る舞いをしている。

 

少なくとも。

デンライナーの中に特異点が存在しないタイミングがあったなら。

『分岐点の鍵であるカイを消されてはこの世界はイマジンに乗っ取られてしまう』

という、そんな思惑がまかり通っているタイミングが存在しない、とは言い切れないのである。

何せ、特異点は歴史改変の影響を受けないが、分岐点の鍵は一人の人間が産まれるか産まれないか、という違いでしかなく、世界の形に大きな変化を齎すわけでもない。

 

まして、イマジン世界への分岐点はハナが産まれるタイミング、つまり未来にある。

知らぬ間に分岐点が切り替わっていてもおかしくはないし、挙句の果てに重要な点を知るオーナーはいちいちそんな事を口にしない。

そして、ハナとカイの立ち位置が逆転するとすれば、ハナは自分の発生する歴史に修正する為にイマジンを過去に送るだろうし、カイはデンライナーを利用してこの歴史を守ろうとするだろう。

 

画角の外では目まぐるしく互いの歴史の正否が入れ替わっている、という可能性は一考の余地がある。

しかし、実際のところ野上良太郎にとって歴史の正否というのは重要な話ではない。

野上良太郎が戦うのは歴史の正否ではなく、人に請われたからという願いであったり、目の前で起きた凶行に対する義憤、悲劇に対する優しさ、苦しみに対する労りであるからだ。

本編の中ではあり得なかった話ではあるが、仮にある日ハナの立ち位置にカイが居るようなあべこべな状況に置かれても、やはり野上良太郎は戦っただろう。

流石、精神強度一期ナンバーワンの戦士だ。

 

電王という物語、主人公たちが運用する乗り物がデンライナーという特殊な電車、所有権が明確に他者にあり、複数人が同時に乗り込み、乗るタイミングも降りるタイミングもバラバラな乗り物なのは面白い。

デンライナーはパスさえあれば気軽に乗り降りでき、設備もそれなりに充実した良い乗り物だが、乗る側にとってみればあくまでも、他人が動かしている乗り物に乗せてもらい運ばれているに過ぎない。

そこに既にあり、条件を満たせば利用できる設備である、敵でも味方でもないステージギミックの様なものだ。

デンバードを経由して自在に動かすことも可能ではあるが……。

 

この物語の主人公である野上良太郎は仮面ライダーではあるが、バイクに跨り自ら戦いに赴くタイプではない。

デンライナーという電車に乗り、同席した乗客と関わり、暫くするとまた電車から降りて関わりを断つ。

悪の組織と根本的に因縁のある昭和ライダーではない、元からあった争いの中に巻き込まれ、戦いそのものに明確な終わりのある平成ライダーの物語構造をより端的な形で表している。

 

同時に、誰かの願いや想いの為に戦う野上良太郎が戦いの後に仲間と別れて元の日常に戻っていく様は視点を変えた荒野の風来坊的な潔さもある。

様々な時代を移動するデンライナーを起点に起きていた戦いから解き放たれ、デンライナーから降りた野上良太郎の姿は、さながら街を去る風来坊ならぬ去っていく街を見送る風来坊というなんともあべこべな立場になるだろうか。

 

さて、仮面ライダー電王の世界はそんな野上良太郎の活躍によってハナの存在する、いわゆる正しい歴史、という形で流れていく事になる訳だが。

この世界でどうなるか、というのはわかったものではない。

ここ数年は毎度そんなもんで、知る通りの手しか打ってこなかった相手なんてのはワームとネイティブくらいのものなのだけど、今年は特に酷い。

素直に言って、このままではこの歴史はハナが産まれない世界、或いはカイの産まれる世界に改変されてしまうだろう。

それくらいに、イマジンどもの動きが狡猾だ。

 

まず、電王こと野上良太郎の戦闘経験値。

現時点でほぼまともに戦っていない。

デンライナーを操作した戦闘をしていないとかそういう話ではない。

そもそもの話として、敵対イマジンとまともに遭遇できていないのである。

 

冷静に考えてみれば当たり前の話で、イマジン側は表立って暴れる必要がそれほど無い。

イマジンが過去に飛んで何がしたいかと言えば、分岐点の鍵の発見である。

それを発見、抹殺する事で本編では歴史を切り替えようとしていた。

だが冷静に考えてみれば、その為に怪人の姿で暴れまわるというのは些か短絡的だ。

何しろデンライナーと電王、特異点の存在はイマジン側も知っている訳で、下手な歴史改変は即座に修正されてしまうなどというのは百も承知で無ければならない。

 

大きな被害を出して分岐点の鍵に干渉したいのなら、人間に憑依したままの方がバレにくい。

歴史の修復も特異点の記憶を元に行う以上、何処が変わったのか判別できない様なものは直されにくい。

つまり、怪物として暴れまわるよりも、人間に憑依したまま細々とした改変を繰り返し元から存在した事故事件災害を悪化させるほうが最終的な勝利条件に近付くのである。

 

なるほど、これは強敵だ。

確かにイマジンは怪物の姿を取るが、それは精神体を現代人のイメージで実体化させるという形式ゆえの副作用でしかない。

怪物としてのイマジンは戦力としてそれなり以上に上等だが、そもそもの侵略方法としてはこの憑依操作戦法が本命だった説すらある。

負けないため、妨害されないためには、そもそも敵に発見されないのが一番良い、なんてのは当たり前の話だ。

 

そして、その戦法が有効なのは、先のバットイマジン改め幻獣拳のカマソが証明してしまっている。

奴が戦闘を行う羽目になったのは全ての仕込みを終えて後は死ぬだけ、というタイミング、見つかることを目的に暴れ出した時のみ。

それまでの、人間に憑依して小細工をしている段階では手出しできなかったし、デンライナー組からすれば契約を果たす為に暴れないイマジンを発見する術を殆ど持たない。

かろうじて憑依したイマジンを感知する能力もあるにはあるが、イマジンの活動範囲を東京都内のみに限定して考えたとして、現在進行形で契約を遂行しているイマジン及びイマジン憑依者を感知範囲に入れるのは難しい。

 

さらに、他の連中はカマソの改変を見て侵略手順に修正を加えたのだろう。

奴は最後に現代人にそれとわかる形で殺されたという記録を残させることで改変を定着させることに拘った。

しかし、そもそもの話として改変全てを定着させる必要はない。

要は、分岐点の鍵の発生に関わる改変を一度でも引ければ良い。

ハズレは全て修正されても問題ない。

となれば……。

 

時間いっぱい改変を行なった結果、それでも分岐点を切り替えることの出来なかったイマジンは、自らの改変箇所だけを仲間に伝えればそこでお役御免。

ハズレ改変である場合は改変を固定する必要すらないのだ。

敵に情報を与えぬ様にその場で人知れず自害、というのが理想的だろう。

敵は当然死を恐れない。

何しろ自分達の歴史に接続された時点でイマジンとしての自分は消滅するのだ。

実に理想的な死兵である。

 

これが、イマジンという純粋な侵略型敵対勢力の厄介なところだ。

奴等は目的を果たす為に仮面ライダーの文脈に乗る理由がない。

種族特性として暴力性を持たない故に行動を縛られる事が無い。

怪人としての暴力を使わない、という選択ができる。

例外的に個人的な欲求を持って行動するイマジンも居るが、そういう類は早々に単独行動を始めて戦列から離脱するので考慮にも値しないのだろう。

 

もはや、敵は三千体のイマジンという怪人ではない。

契約者という人質を取り、文字通り道行く人の中に紛れ潜む理性的な、恐ろしく連携の取れた、死をも恐れない精神寄生体が三千体。

これが、此度の侵略者の内訳になる。

 

―――――――――――――――――――

 

……と、奴らイマジンを侵略者の集団として見た場合厄介極まりなく映るだろう。

現実に、今現在契約者との契約を果たそうとしているイマジン達の多くを電王は捕捉できていない。

例外的に、野上良太郎憑依モモタロスが偶然つるむ事になった借金漬けの男が契約者であったとか、野上良太郎憑依ウラタロスがワンナイトした女が偶然契約者であったとか。

 

元のお話でもそうだったが、野上良太郎が不運にも契約する事となったイマジンの起こす騒動で契約者と関わりになる、というフックは強力だ。

運命力とでも言うのだろうか、イマジンが如何に隠密行動を取ろうにも、野上良太郎は不運にも事件に巻き込まれ、結果としてイマジンに遭遇する。

俺は業子力学の専門家ではないが、誤用の方の悪運に近い運命力を持っている様に見える。

 

逆に、野上良太郎は関わっても不幸にならない運命には関われない、巻き込まれる事が出来ない、という状況はあるように思う。

無論、そこに引っかかるところがあれば突っ込んでいくタイプの人格ではあるのだが。

例えば、頭の中に住み着いたお友達と現代サッカーや科学的トレーニングの勉強をしている少年だとか、モデルとして活躍する娘に応援としてかすみ草を人づてに渡して陰ながら応援しようとする父親の足取りがふと重くなり娘に目撃されたりだとか、そういうのにはとことん弱い。

 

さて。

大前提の話として、俺は歴史改変を許すつもりは無い。

カマソは同門の好と、奴の改変で俺に不都合が起きなかったので仮にも弔ったが、俺に不都合を齎す危険性のある時間犯罪者は可能な限り抹殺という方針に一切の変化は無い。

飛んだ先が過去であれば過去であるほどその改変がどれだけ小さな物でも現代に大きな被害を及ぼしかねない。

 

特に十年単位で過去に遡る奴は最悪である。

街に監視が少なく、即応できる戦力がほぼ無いとなれば、どさくさに紛れて契約者から抜け出し一暴れ、なんて暴挙すら可能になる。

忘れがちだが、別に特殊な拳法を習わなくともイマジンは飛び道具一つぶん投げるだけで高層ビルくらいなら粉々にできる程度の火力はあるのだ。昭和気取りかぁ?

そんな大規模破壊であっても一年に一度くらいなら見つけるのは至難の業、更に2000年からは他の人類敵対勢力の仕業に見せかけて増やす事も可能だろう。

 

しかも基本的に大体のイマジンは契約者からの憑依を解かないまま活動する。

カマソもあれだけの力を秘めながらその姿は今年になるまで一切目撃例がなかった辺り、そこら辺は徹底されているのだろう。

イマジンは頭の中に指令が届く。

活動数回しか無い電王の名や姿が知れ渡っているのも、このイマジン独自の情報伝達構造があればこそ。

 

何が言いたいか、と言えば。

お前らがその気ならこちらも手段を選ぶつもりはない。

というメッセージを伝えてやるのは容易い。

 

電王とデンライナーは時間を守る守護者。

俺が是が非でも守りたいものの一部を彼等は守ってくれるという。

ありがたい話だ。

ありがたい話なので。

俺はいつも通り、敵を倒す戦士としての振る舞いをしよう。

守護するものにはできない戦いを。

 

―――――――――――――――――――

 

1997年2月20日。

一人の男が自宅の寝室で倒れ込んでいた。

名を戸山秀二、公園の管理スタッフを務める何の変哲もない男である。

自分の年齢をわきまえてそれなりに健康な生活を心掛けている。

だが人間というものは脆いもので、何事もなく健康に過ごしていたとしても、ある日突然心臓が止まる、という事もままある。

それが老人ともなればなおさらの話で、子供たちも巣立ち、妻にも先立たれた男が一人自宅で命を落とす、というのは不自然な話ではない。

 

幸か不幸か、男は勤め人であるため、明日以降の無断欠勤で連絡が付かない事を理由に早期に発見されるだろう。

遺体はそう劣化しない内に発見される。

遠くに住む子供たちも孫たちも、ほんの少しの早すぎる別れに涙する事になるだろうが、不審に思う事もない。

彼の死に疑問を抱ける人間はこの時代には存在しないのだ。

 

「ばっ、馬鹿な!何故死んでいる!」

 

この時代、この老人の死に慌てふためくのは彼に憑依していたオウルイマジンを置いて他にない。

イマジンは人間に憑依することはできるが、死体に乗り移り操る術を持たない。

そして、契約を果たし過去に飛んだイマジンに共通する最大の弱点。

それは自らの実体化と過去への時間移動の起点として存在する契約者そのものだ。

 

契約者が未来で死ぬ分には何の影響も無いが、イマジンが過去に飛ぶ為に利用した契約者から見て過去の契約者が死んでしまった場合はどうなるか。

残念ながら、その答えを少なくともオウルイマジンは知り得なかった。

契約者は少なくとも2007年時点では生存が確定している。

イマジンが憑依して操るにしても、契約者の意識で活動している時に干渉しなければその大筋は変わらない。

なんならイマジンが憑依した状態は契約者にとってみれば強力な守護霊がついているようなもので、未来でイマジンが憑依するまでその命は保証されていると言っても良い。

 

老人の身体から飛び出したオウルイマジンは急ぎ、しかし慎重にその身体を仰向けに横たえた。

呼吸と心音の確認、救命措置を、と、考え膝をつくオウルイマジン。

イマジンにとって過去の契約者は文字通りの生命線、その命が危険にさらされたなら助けなければならない。

そういうイマジンとしての使命の他に、少なからぬ愛着、親しみの様なものが芽生えていない、と言えば嘘になった。

 

『動物達が安全に過ごせる公園にしたい』

 

その契約を果たす為に、しかし自らは表立って暗躍できないという制約の中で、オウルイマジンに出来たことは老人との話し合い、意見出しだった。

動物達が安全に過ごせる公園、それは良い。

だが、公園でわきまえた音量で音楽を鳴らしながらダンスをする、というのはマナーとして問題のある行動ではない。

そもそもの話をするのであれば、公園の動物に餌付けをする行為は世間一般の目線で言えば褒められた行為なのだろうか、と。

 

もちろん老人を責めた訳では無い。

オウルイマジンは根気強く説いた。

結局のところゾーン分けなのだ。

ベンチでご飯を食べている脇でタバコを吸い始めたらどう思うか、それと大差ない。

動物を可愛いと思う利用者も居るが、動物が餌目当てで集まった結果として増える糞尿被害を嫌がる利用者もまた居る。

ゲリラ的に個人で餌を与えるのではなく、公園管理の一部として特定の区域に限定して餌やりを行い、それを分かりやすくマップで示せば良い。

禁煙の食堂でまともな人間はタバコを吸わないのと同じ様に。

動物ふれあいコーナーに分け入り音楽を鳴らしてダンスを踊る者は居ないのだと。

 

簡単な事ではなかった。

人は良いが頑固なところのある戸山老人の説得には骨が折れた。

それが終われば戸山老人を経由しての公園管理者、他スタッフへの説得。

仕事を増やすことのメリット・デメリットの提示、公園の管理の一環になることで近隣住民から公園そのものに来る獣害クレーム対応。

それらを乗り越え、遂に過去に飛べる段階になる頃には、2007年の戸山老人と別れる事に一抹の寂しさを感じる程度には連帯感の様な物も感じていた。

 

そんなオウルイマジンが戸山老人の突然の心停止に抱いた危機感、焦り。

それは使命を果たせないというだけのものではない。

 

「しっかりしろ!戸山!死ぬな!」

 

だから。

部屋の隅、微かに不自然に揺れる景色に気付けなかったのは。

オウルイマジンが肉の器を失ってなお、人の心を失っていなかった証拠なのだ。

 

「とや、」

 

ま、と、続ける声が途切れる。

強い衝撃。

背中を斬りつけられた、と気付くのは僅かに遅れての事だ。

イマジンの身体は実体化しても血を流さない。

振り返るよりも早く身体が拘束される。

まるで巨人の手に握り潰される様な感覚。

もはや拘束では無く圧殺。

実体化した肉体が嫌な音をたてながら崩れ、泡のように膨れ始める。

イメージの暴走だ。

オウルイマジンが最期に思い浮かべたのは、未来を得る使命ではなく、倒れ伏す戸山老人の安否であった。

 

オウルイマジンが消え、暴走体が現れる直前に寝室の戸が開けられその中に押し込められる。

戸の向こうは時の砂漠。

そこで何が起きても、この時代の人間は感知できない。

時間の間に飛び立った暴走体、それを追う様に部屋の隅に居た景色の揺らめきも戸の向こうに歩き出す。

去り際、念動力で止められていた戸山の心臓は鼓動を取り戻した。

 

こうして。

戸山老人が後日体調不良の為に病院に行く、という、小さな歴史改変を残し。

オウルイマジンの過去改変は静かに幕を下ろした。

 

 

 

 

 

 




もう少し早く書きたい気持ちはある

☆信用ならんデンライナー
信用ならんというか、時の運行を守るのと特定の歴史を守るは≠だという話
デンライナー、直接的に接続されてない複数ライダー世界渡ってるので、逆に電王世界にだけ肩入れしててもそれはそれで不気味というか

☆具体性に欠くハナの過去(未来)話
今本編見直してるけど、具体的なエピソードが滅ぼされた部分しか無くて両親の顔も名前も覚えてないんすよねこいつ
更に人間離れした膂力、生身での戦闘力、特異点
なーんか似たような境遇で似たような記憶で似たような人間離れしてる奴がいませんでしたかねぇ……?
メタな事を言うとハナ視点の話が原作にある時点で考慮にも値しない話ではあるんだけど、原作からして最初はハナの立ち位置が良太郎の姪じゃなかった、という事
別媒体では愛理さんと桜井さんが結ばれない結末も存在する事を考えると、ハナが愛理と桜井さんの子供である、というルートにテレビ電王世界は落ち着いただけ、とも考えられるので

☆隠密行動を徹底したイマジンの弱点
長期的な目線で契約者にアドバイスなどを親身に行うこと、或いは超常の力を貸し与えることで信頼を得ながら確実に穏便に騒ぎを起こさず静かに過去に飛ぶぞ!
その過程で明確な過去を持たないイマジンに明確に共に過ごした時間を与えた契約者の存在の重さ
5巻くらいで終わる丁度いい長さの異種族バディものの最終回後くらいの感情を土産にこの歴史を改変する……!
見なよ……オレの契約者を……
契約者、けい、けいやくしゃ?
ウワーッ死んでる!(隙)
ギャー死んだンゴ(圧搾)
この世界のイマジンはねぇ、契約者が死ぬとすげぇ狼狽えるんですねぇ、不思議だと思いませんかあなた

☆割と無法な回復手段を持っている為に一時的な殺人に躊躇のない謎の揺らめく背景
エレクトロキネシスで生体電流を操り一時的に心臓を止めた
停止中は血液の循環から酸素の供給まで念力まかせ
動物実験しかやってなかったけど、まぁほんとに死んでも魔石の戦士化させてから魔石くり抜いて人間と同じ肉体に作り替えれば良いし
仮に蘇生に失敗したとして?
しゃーない時間巻き戻して蘇生成功するまでやり直すか!
蘇生術が複数あると命が軽くなるのは今更言うまでもない

☆イベントスキップしてタロス達は仲間になるの?
モモ=内定済み
ウラ=獅子身中の虫
キン=原作通りの不器用な男なので原作通り空手の道場破りの末にスモウレスラーになり、相手側のイマジンは「お前の言うチャンピオンの証明ってのはライバルとの決着がつけられずに抱いてるモヤモヤだ。ここは相手と腹を割って話し合ってみないか?相手は病で引退した、と聞くが、怪我や病から復帰した武道家というのは過去に多くいる。待ってやればいいじゃあないか。それが大会の決勝で無かったとして、そこに武道家が二人居れば試合はできる。過去の未練があったとしても、お前たちには未来だってあるんだから」みたいな説得の末に話をしに行き契約成立、爽やかに別れて過去に飛んだところを追いかけてなんやかんやあって歴史改変にこだわりのないキンが仲間になったんですか?
リュウ=加入必須要素が愛理さんなので問題なく加入

☆春アニメ
良作が多い印象だしガンダムも当然気になるけどアポカリプスホテルがダークホースだと思う
オリジナルアニメだから誰もネタバレできないのも良い
キン肉マン始祖編とかまともに追おうとするとサムネでネタバレする馬鹿野郎が居てユーチューブ出禁になるからね……アニメ化前に作られた動画なら良いけど……


そういう話になる
今回の事件を経てイマジンはどう対応するか、という話を書いていくのかもしれない
まともな速度で更新したいけど職場の人間がことごとく辞めてっちゃうから疲労があり、モンハンやジージェネなどもありまともに執筆ができないというのもありました
なのでやはり次回も遅くなるかもしれませんが、それでもよろしければ次回も気長にお待ち下さい
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