オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版)   作:ぐにょり

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200 次は終点、根切り、根切り

時に、マラークの群れに紛れたマラークイマジンに対し、当時の警察で運用されていたモデルの装甲服を模して相対し。

時に、マッドアークオルフェノクに似たマッドアークオルフェノクイマジンをUギアを用いた変身にてこれを倒し。

時に、燃え盛る街の中で魔化魍溶岩体に似た魔化魍溶岩体イマジンを、イメージの暴走を利用してヤマタノオロチの頭の一つと融合しようとする前に消滅させ。

時に、ワームに……いやもういいか、とにかく諸々殺して回った。

 

大事件と言うか大襲撃と言うか、イマジンの襲撃の規模は巨大ではあるがいかんせん過去の時代の話になる。

可能な限りその時代に影響を残さないように可及的速やかに始末を重ね、元の時代に戻って歴史の変動率を確認。

野上良太郎とデンライナーを連れてくれば修正も容易ではあるが、タイミングによっては電王の守りでは事故死の可能性もあるので難しい。

果たしてデンライナーはヤマタノオロチの首に噛み付かれても耐えうるだけの装甲を備えているのか、試してみたいとは思わない。

ガオウライナー(旧版)と同程度の強度なら話にならない。

 

記憶にある部分との差異を少しづつの歴史介入で修正していく作業は地道だ。

殺すことよりも直すこと癒すことの方が余程難しい、というのは世の習いではあるが。

少なくとも、俺の認識範囲では大規模な歴史改変は許していない、と思う。

 

極まった魔石の戦士に肉体的疲労は事実上存在しないが、必要なこととはいえ、特に得るもののない単調な作業の繰り返しは気持ち的に堪える部分もある。

俺は戦士になったし、戦士であるという自認がある。

が、それは休みなく戦い続ける事ができるという訳では無い。

物理的耐久力、回復能力にかまけて休みを怠ると、人間としての大事な部分が擦り切れてしまう。

戦士にも休息は必要だよ、と、そんな言葉を口にした奴もいる訳で。

まぁ、そういう意味で言った言葉では無いのだろうけど。

 

「正月に東京?」

 

みかんを剥く母さんに頷く。

 

「うん、東京に限らないけど、ちょっと出るかもって話」

 

年末という事で、ひとまずイマジン関係のなんもかんもを置いておいて実家に帰ってきている。

そう、俺は世界の危機が迫ろうとも節目節目で里帰りを欠かさない男だ。

俺は私生活の中で戦いに備えることはしても人生を切り売りして戦いに捧げようとしている訳でもない。

昭和の戦士も平成の戦士も正月には紋付袴で餅をついて初詣をするし悪の組織だって年賀状を書く。

過去も未来もないイマジンどもには関係の無い話かもしれんが。

 

「ちょっと東京と青森と沖縄に顔を出しておかないといけなくて」

 

「まぁ良いけど、夜には帰ってきなさいね、たまの正月なんだから」

 

「大丈夫、最近の電車は速いから」

 

何しろ時を超えるので光よりも速い進化をする男よりも速い。

瞬間移動をしなくとも、レプリガオウライナーで時の砂漠を経由すれば各地の移動は秒で済む。

俺はこう見えて里帰りをしながらでも侵略者の族滅を成し遂げる男なのである。

 

―――――――――――――――――――

 

毎年毎年、飽きもせずに最終決戦の時間はやってくる。

最終決戦は大体の場合その時期の敵対種族との最後の大規模な戦いになるわけだが、それは敵対種族の族滅を意味するものではない。

抹殺だ族滅だと言ってはみたものの、それが成し遂げられる割合は低い。

 

グロンギは彼等を特有の儀式殺人文化を備えた部族として見れば滅びたような気もするが、魔石の戦士という枠で言えば俺含めて無数に市井に潜んでいる。

マラークはそもそもがテオスの付属物のようなもので、テオスはなんというか、神話的な物言いをすれば姿を隠されたというか、ぶっちゃけ萎え落ちしてる程度のものなのでどっかのタイミングで気合を入れて復帰する可能性も無いではない。

元々存在したミラーモンスターは滅びたが、ミラーワールドとミラーモンスター維持に使われていたリソースは丸々俺が引き継いでいるので姿形を変えて生き続けているという言い方もできる。

 

オルフェノクなんかは将来的に全人類がアギトになれば自動的に消滅する病ではあるが、今のところはちょっと珍し目の疾病程度の割合では存在する、というかこれはスマブレを潰しただけなので種族単位では何の対策もしなかった。

アンデッドはどうやら運営判断でサービス終了してしまったようだが、その意思は脈々と人造アンデッドの最新作であるニャンニャンアーミーが受け継いでいる。

魔化魍は自然災害というか自然現象の一種なので滅ぼすも何もない、強いて言うなら一時的に発生率を下げることができたのは良かった。

ワームとかネイティブはかなり絶滅寸前だが、宇宙に原種が居ないとも限らないし、人類に恭順する形で生き残る個体も少なからず居るだろう、忌々しいことだが。

 

なんとも生ぬるい話ではあるが、跡形もなく敵対者を滅ぼすというのはそれだけ現実的な話ではないという事だ。

だからこそ人類は何処かで妥協点を探さなければならないわけだけれども。

翻って、今年の敵、イマジンを滅ぼす事は出来るかと言えば、これもまた難しいだろう。

首魁であるカイとは無関係なはぐれイマジンなんてものの存在を例に出すまでもない。

 

そもそもの話としてイマジンは種族でも組織でもなく状態だ。

物理的肉体を伴う時間移動が不可能な勢力はやはりこれになって過去に干渉してくる。

どうすればゴキブリを絶滅させられますか、というよりは、どうすれば密入国者を根絶できますか、という話に近い。

何しろ未来の可能性は無限大。

無限に歴史が分岐するというのであれば、イマジンに自力でなれる人間がどれだけ希少だったとしても一定数は湧く。

 

因みに俺はゴキブリと密入国者なら密入国者の方が嫌いだ。

ゴキブリは最悪種族ごと改造しても何処からも文句が出ないが密入国者には人権があるので気を使わなければならない。

因みにイマジンは密入国者側の存在だが現代の法の下だとゴキブリと同じく人権が無い為敵ではあるが好きか嫌いかで言えば殺しても文句が出ないので密入国者よりは別に良いかなくらいの立ち位置に置いている。

 

だから、カイを見つけ出して殺す、ないし消滅させるというのが今年のわかりやすい決着になる、という話をずっとしている。

そして、例年の決戦よりもなんというか、かなり小規模なものであるようにおもう。

 

カイの率いるイマジン、総勢3000体。

たかが3000、されど3000。

だが戦士3000体というのは使い潰す前提で考えるとなんとも心許ないものだ。

これが一年の間に東京都周辺でのみ騒ぎを起こすというのなら話は変わってくるのだけれども。

騒ぎを起こさない形での契約履行からの歴史改変に向かった精鋭、過去数年にそれぞれ向かった同大規模襲撃狙い撃ちの有象無象、どさくさ紛れにバックレたはぐれ共。

時間移動者の侵略というのは対応しなければいけない範囲こそ広くなるものの、侵略者側が必要とするリソースも多くなるし、様々な手を打てばそれだけ戦力は目減りしていく。

戦線を無闇に広げてはいけない、という話だ。

 

それでも残りのイマジンもかなりの数だ。

意外に思われるかもしれないが、実はライダーと言えど1000体の怪人が連携を組んで殺しにかかるとちょっと危ない場合がある。

まして、イマジンは元の人間が武術の達人であればいきなり核爆発を起こしたりもするし、そうでなくても高層ビルを粉砕する程度の火力はある。

警察の装甲服部隊とかにかち合うと、殺せてしまうくらいには強い。

 

だから申し訳ないのだけど、今年も真相を知られぬまま歴史の闇に沈んで貰おう。

 

―――――――――――――――――――

 

この時代、街で怪人が群れを成して暴れていれば10分と待たずに全身を装甲に覆った警察が駆け付け、一応の警告の後に情容赦のない制圧戦が始まる。

これは大都市東京に少し住んでいれば幼子でも知る事だ。

市民の財産を守る関係で重火器の(銃火器の間違いではない。拳銃相当の火器は射線に気を付けて運用すれば場面を気にせず発砲可能とされる)使用は場面を限定されるが、例えそれが若いオルフェノクが徒党を組んで悪ふざけをしている程度の話であっても即座に武力鎮圧されるし、それがことさらに問題になることも無い。

 

平時に街に現れる能天気なオルフェノクの攻撃でも一般人は即死する。

これは大型銃器或いは強化装甲服装着者の打撃に相当する為、警察比例の原則に照らし合わせても彼等を装甲服部隊の装備で鎮圧することは適法であるとされている。

アギト部隊が装甲服部隊とバディを組まされる場面が多いのは、装甲服を纏った警官とアギトに変身した警官は武器として同等程度であるという印象付けの意味もあり……。

はっきりと言えば、アギト部隊の活動を阻害しない為のものでもあった。

 

そんな警察が居る街でイマジンの群れが暴れればどうなるか、というのは説明するまでもない話。

現に過去に飛び、歴史改変を確定させるために現代で暴れ始めたイマジンはいずれもさしたる時間を必要とせず撃破されている。

しかし、奇妙な事に、イマジンの集団に追い詰められる桜井侑斗を助けに警察官が現れる気配は無い。

これはこの時代に数ヶ月しかいない桜井侑斗にとっても、記録以外は桜井侑斗と同程度の経験しかないデネブにとっても不可解な事であった。

 

デネブからすれば、桜井侑斗が逃げ回ってくれれば、戦わずに居てくれれば是非もない。

本来の契約者である桜井侑斗が託した最後の一枚、これを使うことで過去の桜井侑斗は未来の桜井侑斗から完全に切離されるが、それは辛い断絶を意味する。

対して、桜井侑斗は例え戦う力が無くても戦うと心に決めている。

 

桜井侑斗は気付いていない。

周囲の無数のイマジン達もまた同じ。

ただデネブの視界の隅にだけ映る人影。

イマジンでも電王でもない、鬼でもオルフェノクでも、現代の装甲服でもない。

不確かな未来で見たのと変わらぬ、臨獣殿の総帥の姿。

奥義の一つである臨気凱装にて変じた姿に表情を表すパーツは無い。

だが、素顔を晒していたとて何かの表情を読み取る事はできないだろう。

彼の所有する無数の変身形態からあえて臨獣殿の総帥としての姿を見せているのも、意思表示の一つ。

 

イマジンとして現代に降り立った時点で、元の時代でどのような立場にあろうとも異邦人。

カイを裏切り侵略者でなくなったとて、それが変わることは無い。

一度裏切りを経たデネブが、本当に桜井侑斗との約束を、願いを果たし得るかを見詰めている。

その結果がどうあれ、表情一つ変えること無く、必要な裁定を下してくるだろう。

選択の先延ばしは許されない。

 

「ユウト……」

 

無謀にもイマジンの群れに突撃するユウトを守りながら、元同胞であるイマジンを討ち果たしながら。

名残を惜しむようにデネブが呟く。

改めて、契約者である桜井侑斗との約束を、願いを想う。

共に戦う若きユウトの決意を想う。

 

無数のイマジンを討ち果たし、遠くにはカイとその側近達。

相対する野上良太郎。

全ての決着の時。

気付けば、視界の端の立ち姿は消えていた。

それは実体だったのか、迷いが見せた幻だったのか。

野上良太郎を助ける為に走る若きユウトを立ち止まらせながら、自分と同じく消えつつある懐のカードを握り締めた。

 

―――――――――――――――――――

 

信じてたぞデネブ。

最悪桜井侑斗の戸籍くらいは嶋さんにどうにかして貰えるから心配するな。

 

さて、ここまで来ると、実際消化試合である。

俺はこの約一年程の間で特異点やら時の列車やらその運営やらイマジンやらカイやらについて長々と考えてきた訳だが。

メカニズム云々はともかくとして、このあり得たかもしれない未来からの侵略というのは実のところ時間制限がある。

しかもその残り時間は常に変動している。

 

ドラえもん放映可能限界年問題をご存知だろうか。

ドラえもんの誕生年が固定された状態でTV版ドラえもんの作中時間がリアルのそれと同じ時代として描かれ続けている為に、玄孫であるセワシの誕生までに経るべきのび太の子供、孫、曾孫が合法的に子供を作れる年齢を考えた場合、何処かのタイミングでのび太の子孫が適法でない年齢で子供を作らねばならなくなり、放送倫理に適さなくなる問題である。

まぁドラえもんはフィクションであり、テレビ放映する中でどんどん設定が移り変わっていくので何処かでしれっとドラえもんの制作年が百年くらい後ろに回される可能性もあるので真面目に考える問題ではないのだが……。

カイという、過去の存在しない特異点はそうもいかない。

 

時の列車運行側に現時点で正しい歴史の住人であるとされたハナは、本来産まれた歴史を消滅させられても生き残り、更に特異点として産まれるタイミングすらズラされても存在し続けられた。

これは歴史の本流に存在する人間には()()()の可能性が多く存在する為に起きる現象だ。

例えば加賀美新が最初からゼクトのエリートでライダーとして戦う世界線があれば、下っ端の見習いとして長らく活動する世界も存在するようなもので。

逆に、隕石が地球に直撃した世界でカブティックゼクターを使って変身していた装着者達はこの世界では影も形もない。

産まれてこれる可能性が極端に低いと、少しの歴史の分岐ですぐに発生しなくなってしまうのである。

 

ハナとカイが表裏一体である、という仮説に基づく話になってしまうのだが、彼女、彼の両親が極端に女の子の子供を授かりやすい体質であった場合、その発生確率は平等ではない。

流石に三毛猫のオスメス程の違いは無いだろうが……。

よほど、諸々の要素が重ならない限り、カイが産まれてくる事はできないのだろう。

 

3000体のイマジンという歴史改変のリソース。

これを使って、上手いこと自分が産まれる歴史に作り変えて行かなければならない。

そしてそのリソースは緩やかに削られていき……。

自棄になり、この歴史を丸々吹き飛ばしてやろう、という選択に至るわけだ。

理屈はわからんではない。

過去も未来も無い不完全な状態で、何もかもを持ったまま楽しげにやってる奴らを見続ければ八つ当たりで消してやろう、という気にもなる。

 

空には凄まじいエネルギーの穴。

もっとも、これによる破壊が仮に起きたとしても、特異点の力で修復が可能だ。

なんとなれば、何時ぞやのガオウライナー破壊の時と同じオチになるのは見えている。

自力歴史改変で産まれてこようというのに、歴史改変に耐性のある強敵を抱えているのは哀れな話だ。

放っておいても構わないと言えば構わない。

やってはならないことをして、呼んではならないものを呼び寄せてしまった。

今年の現生人類敵対種族の首魁の死因は自滅。

哀れだが、それも良いだろう。

だが……。

 

―――――――――――――――――――

 

イマジンをエネルギー体のまま収束させ開いた東京上空の次元の穴。

それは単純な高い熱量を備えているのか、次元を引き裂く空間の断裂なのか、歴史そのものを消し飛ばさんとする空間の歪みなのか。

実のところを言えば、今まさにこれを放とうとするカイですら理解できていない。

 

カイは過去を持たない、歴史を持たない特異点だ。

その知識の出どころを探ることは難しく、或いはカイ自身の記憶であるかすら定かではない。

産まれてくるかすら定かではないからこそ、もしかしたら手に入れられたかもしれない力に手が掠める。

世界には、世界そのものを破壊しかねない力が無数に存在する。

故に、その力をそのまま行使できなくとも、片鱗を振るうだけでも十分な脅威となる。

 

この得体の知れない力を振るうカイは無数のイマジンを実体化させ兵士として扱い、敵対する電王と裏切り者のイマジンであるモモタロスを寄せ付けない。

ビルの上に立ち、デスイマジンに転がされ続ける電王を細めた目で一瞥し、自らの顔を手で擦りながら不快そうに呟く。

 

「しつこいなぁ、そこで見てろよ。今、この時間、潰すから」

 

くん、と、空の穴が広がり、破壊の力が膨らむ。

如何なる作用か、放たれたが最後、この時間そのものが破壊されるか。

そんな可能性を秘めた奇妙なエネルギーが、虚空から現れた何者かに飲み込まれた。

 

「は?」

 

カイの、苛立ちすら含まれない抜けた声。

何故、でも、どうやって、でも、誰、でもない。

目の前で起きた出来事を理解できない、という顔。

 

「あれ、は」

 

デンカメンソードを杖にする様にして立ち上がった電王、野上良太郎はそれを見た。

覚えがある。

時をかける列車の一つ。

デンライナーやゼロライナーの様に線路を走るでもなく、その姿はまるで、クロマキー合成で空中に映されたパペットの如く。

何故ここに、破壊された筈では、何故この時代を守るような真似を。

 

カイと良太郎が異なる理由から呆気にとられる。

その場で特に何の感慨もなく立ち尽くすデスイマジン。

その肩に手が置かれる。

 

「見ぃつけた」

 

嬉しげな声。

デスイマジンが何かリアクションを取るよりも早く、その身体が横っ飛びに吹っ飛ぶ。

その身体は未だ空を見上げるカイに激突し、続く衝撃で地面に向けて落ちていく。

デスイマジンの視界には、自らを蹴り落とした下手人の姿。

瞬間、デスイマジンは鎌の柄でカイを殴りつけ距離を空けた。

 

存在しない筈の記憶、あり得ざる時間が囁いた、追撃の予想。

致命の一撃が来る。

避けなければデスイマジンはカイと共に両断される。

鈍いうめき声と共に離れていくカイ、反作用で離れていくデスイマジン。

運が良ければこの狭間に攻撃が抜けていってくれる。

運が悪ければ双方次の瞬間に死んでいる。

 

身構える為に念動力で空中で制動しようとし、失敗。

ただ蹴り落とされた訳では無い。

デスイマジンのそれを更に上回る出力の念動力で下向きに加速させられている。

見えない巨大な手に掴まれ、地面に叩きつけられようとしているようなものだ。

逆らわずに落下すれば、形が残らぬまで押し潰される。

 

激突の寸前、全身に念動力を張り巡らせ、自らの形を保つ。

身体の形を完全に固定化するために身動きが取れず、戦闘中には使えない形での超能力運用。

生存だけに特化した動きを取ることで、辛うじて圧死を免れた。

無論、念動力がかけられ続けていれば話は変わったが……。

デスイマジンは、それが不要である、無意味である事を理解していた。

下手人が、普段より手足の伸びたカイの首を掴み、無理矢理開けさせた口の中に丁寧に布を詰め込んでいる。

 

「捕まえた」

 

―――――――――――――――――――

 

さて。

さて、だ。

こうして、カイによる歴史改変の為の旅は終わりに向かいつつある。

手の中にはカイの首。

これは生首、という意味では無く、文字通りのカイの首元という事だ。

これを花の如く手折れば済む話ではあるのだが、ここで問題になるのが特異点というものの生き死にである。

 

特異点が物理的な方法で殺せるか、というのがまずもって疑わしい、という話は前にもしたか。

歴史改変による消滅を免れる特異点は、厳密には他殺や自殺が不可能なのではないか、という話だ。

歴史改変、というと概念的に消滅する様な受け取り方をされるけど、それって巡り巡って物理的に産まれてくる道筋を立てられないからで、それは物理的な殺害にあたるのでは?というものだった。

もう一つの懸念は、現在は未来から見た過去なので、未来の中に生存や復活のルートがあった場合、この行為は歴史改変とみなされるのではないか、というものだ。

 

そうなると、ここで首を手折って殺した場合、例えば次の瞬間に特異点が生きている、という歴史が存在した場合、無かったことになってしまう。

せっかく捕獲したのに別ルートでの生存に分岐した結果として座標ズレで逃げられてしまう可能性も見逃せない。

無論、次の瞬間の歴史で特異点が死んでいるのならこの殺害は通るのだろうが……。

特異点は死ぬべき時にならなければ死の運命に辿り着けない、と考えた場合、どうやって特異点を処理しなければならないのだろうか。

 

それは可能性の収束である。

分岐を減らし、特異点の未来を一本道に整えてしまえば良い。

次の瞬間を特異点の死ぬべき運命地点にすれば、特異点を物理的に殺すことができるのである。

恐らく、特異点は物理的な被害で死ぬ、という言説はこれの事を言っているのだと思う。

 

では、カイの未来を収束させるにはどうするか、というのは、決まりきっている。

カイの手足であるイマジンを根こそぎ刈り取ってしまえば良い。

つまりテレビ最終回のカイ消滅のリプレイだ。

この辺、やり方が回り回ってしまってもどかしくもある。

時間を司るアギトが未来予知を強化して未来決定能力とか備えたらこんな手間は増やさずに済むのだけど。

 

ただ、単純なリプレイにもできない。

なんでかと言うと、カイを始末する事で解決するイマジンによる侵攻は今回に限るからだ。

例えばの話、ハナのIf存在であるカイが存在すると仮定した場合、野上幸太郎のIf存在である雌の侵略者であるフーコ(不幸)なんてのが生えてきてもおかしくは無い。

そうでなくてもこの時代は千客万来、薄汚い歴史改変者の来訪は後を絶たない。

そしてそういう輩は何かしらの媒体を用いて過去の記録を調べてから改変にかかる。

 

イマジンの中でも賢い連中のやり口は公式記録に残ってしまったが……。

野上愛理と桜井侑斗が分岐点の鍵を隠した方法だの、真の分岐点が誰かだの、そんな秘密をカイとのレスバの為にわざわざ口にされたくはない。

そして、どのようにしてカイに自然消滅して貰うか、なんてのを俺が口にすることも無い。

次なる歴史改変者が何らかの方法でこのカイのヤケクソ最終決戦を覗き見たとしても、得られる情報は一つもない。

そういう形で幕を下ろさせて貰う。

 

片手には、ビルの上からの念動力加速付き急速落下からの急制動、更に急制動と同時に行った全身の上下への引き伸ばしにより脱臼と骨折と靭帯断裂とその他諸々の、しかしギリギリしばらく放置しても死なないくらい、つまり身動き出来ない程度の負傷を抱えたカイ。

死なれて歴史改変攻撃扱いされて別ルートに分岐されても困るので同時に延命も行なっている。

内臓が縦に引き裂けていなかったり、脳味噌が落下の衝撃でクラッシュゼリーになっていないのは俺の純粋な手加減技術によるものだ。

 

周囲にはカイの契約イマジン達。

今のカイは物理的に逃げられない筈だが、手を離してその辺に転がしておいて変な死に方をされても困る。

半端に追い詰めて何時ぞやの拳士のように存在しない記憶を参照して未来から変身アイテムとか召喚してきかねないし。

そして申し訳無い話ではあるが、これだけの数のイマジンを相手に片手でのハンディキャップマッチをしてやる理由もない。

 

「臨技、招来獣」

 

有象無象の精神体と、哀れなだけの特異点のまま、消えてくれ。

 

「リンガオウライナー」

 

 

 

 

 

 

 




投稿が遅れた言い訳の一つとして引っ越しをしていたというのがあるんですが
引っ越しそのものは1月中に終わってたんすよね


☆そもそもイマジンの調理が難しい問題がある
人間の時の記憶を取り戻して技も思い出す展開は雑兵でやっちゃったし
まだ存在してない未来から何かをカイが引っ張り出してきて変身するみたいのも考えたけど
あんまりそれを多用するとそのライダーの年になった時のネタ潰しになりかねないし
かといって未来から来たとか精神体とかそういうネタを抜きにした場合火力高いだけの怪人扱いになってしまう
まぁ最終戦のカイヤケクソ全契約イマジンはもう倒すだけで倒せる人員整理状態なんだけど

☆デネブが最後のカード出し渋る問題
デネブもこのカードを使い切る事が桜井侑斗の望みというか狙いである事はわかってるんだけど
それをしないで済むならそれでもいいんじゃないか?という甘えを抱いてしまうくらいには電王本編時点でのデネブは甘い想定で動く場面があるので
釘を刺さないといけなかったんですね

☆デスイマジンへの塩対応
盛れなかった
全部満遍なく強い怪人ではあるんだけど
まぁそもそも物語としての電王って敵の強さがどうこうとか関係無いところにあるので
実質的なラスボスでありながら原作でも敵のボスの忠実な部下とかいう人格的個性も無い障害物だった
盛れなかったとは言うけどこいつ盛って派手なバトルをしたとて

☆カイの処理
原作通り、殺すのではなく発生できるルートを潰すしかない
死にたくないとか消えたくないで必死に足掻いた結果として存在しない未来から変身アイテムの一つくらい飛んできてくれても良さそうなもんだけど
原作でもこいつ苛立ちとか激昂とかはしても必死ではなかったぽいのでまぁ……
ラスボスというよりは首謀者、首魁?
生身戦闘シーン?逆転の変身?
無いです


引っ越しで生活環境変わったから、みたいな言い訳もできるんだけど
電王二次創作ムズいすわ……
というのが更新遅れた理由の9割だと思う
というか電王のラストバトルがムズい
でもムズいからと書かずにいても進まないので
未来技術をふんだんに取り込んだ強化イマジン軍団とかでなくて申し訳無い
でもイマジンて未来からの侵略者ではあるけど元から未来人であるメリットとか持ってなかったからこうなるのもある意味既定路線というか
粛々と滅ぶイマジンたちなのでした

次回、仮面ライダー電王編エピローグ
「終点、回送、折り返し」
お楽しみに
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