オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版)   作:ぐにょり

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47 楽しい楽しいクリスマス!

お出かけである。

日付はクリスマス・イブ。

一昨年は去年の準備でそれどころではなく、去年は今年の初めの準備でそれどころではなかったので、純粋にこの日付で浮かれることができるのは久しぶりだ。

自分でも少し浮かれすぎなのでは? と、思わないでもない。

 

冷静になって考えれば、今からでも来年へ向けてしっかりと準備をするべきだろう。

鏡の世界への出入りは?

鏡の世界に連れて行かれた場合はどうする?

既にデッキを持っている人間が居るはずである。

そのへんからぶんどるのは難しい話じゃあない。

最終周にて大して出番なく舞台裏で消えていた人間の持つデッキであれば何を気にすることもなく奪う事は容易だ。

 

そして現物、可能であれば契約済みのものと未契約のデッキを一つずつ手に入れて、幾らかの資料と照らし合わせれば複製も難しくはない。

鏡があれば変身可能、という利点は、現状では移送にトレーラーが必要なG3系列のシステムと比べて実に運用が容易い。

何処にコネがあるわけでもない一大学教授が複製品を自力で十三も製造できる辺り、製造費用もそう高くは無いと予想できる。理想的な装備だ。

警察に技術提供を行えば治安もとても良くなるのではないだろうか。

良くなりすぎてうっかりディストピア化する可能性があるので提供するかは一先ず考えるとしても。

 

来年に起きる出来事に関して言えば、放っておけば大体解決する話だ。

解決というより、何もかも無かったことになる。

だからこそ、実は既に過去が書き換わりライダーバトル自体が無かったことになった可能性も無いではないのだが……。

少なくとも、今年の夏、清明院大学でのミラーワールドに関わる実験は既に行われており、隠蔽に四苦八苦している大学の経営陣の実に聞き苦しい会話は記憶に新しい。

そう、少なくともこの時点において、ミラーワールド及びミラーモンスターは存在している。

それはかの清明院大学香川ゼミ及び香川教授が所有する研究資料からも明らかである。

この研究資料は防犯、防諜の大切さと彼らの詰めの甘さ、そしてミラーワールドとそこに住む生命の危険さを教えてくれている。

 

しかし。

実の所を言えば、一番危険なのは、ミラーワールドという世界でもミラーモンスターという生物でも、ライダーバトルのGMである神崎士郎でもない。

その一番危険な存在も、最終的にはタイムベントで無かったことになるのだが……。

 

ともかく。

今は休むと決めているし、休みつつも可能な限り地盤を整えていたりはするのだ。

他でもない難波さんからのお誘いでもあるし、しばし戦いの事は頭の隅に追いやり、お出かけに集中するべきだろう。

思えば、難波さんには色々と苦労を掛けている。

常から休みの日や放課後に修行や訓練の時間を取らせてしまっているし、夏休みも半分以上付き合わせてしまった。

そんな彼女が、このまぁまぁ余裕がある時期に遊びに行こう、と言ってくれているのだから、それはもう、彼女が心の底から楽しめるよう、そして、俺も思う存分楽しめるような、良い休日になるよう心がけるべきではないだろうか。

 

いくつかの情報誌を広げ、PCでネットの海を渡り、情報を集める。

これが十年後二十年後であれば、それこそネット検索だけて事足りるのだろうが、残念な事に今年は2001年。

ネット黎明期と言っても過言ではなく、未だネットの上で拾える情報はそういったライトサイドなものに向いていない。

流行りのデートスポットよりも珍スポット探訪録の方が早く検索にひっかかるくらいだ。

 

一番簡単なのはいっそ東京の方にでも行ってぶらぶらと遊び歩く事だろう。

東京でなくとも、適当なレジャー施設や観光地に向かうのもありだ。

……何故か難波さんからの激しい希望により、東京行きだけは無しという事になっているのだが。

まぁ、確かに少し前に都市一つ巻き込む大決戦をした場所に遊びに行くというのもおかしな話である。

東京人は既に壊されていないビルにイルミネーションを飾り始めているのだが、それは東京に住まう人々の感性が変な方向で慣れつつ有るだけで、遊びに行くのに戦場跡に行きたくないという難波さんの感性はとても正常でよろしいと思う。

 

となると、近場、とまでは行かないにしても、近隣の市とかの、栄えている場所に行くのが無難か。

で、なおかつクリスマスなので、クリスマスっぽい場所に行くのが良さそうだ。

映画は……なんと初代ハリポタがやっている。

クリスマスっぽいかと言われると別段クリスマスではないのだが、あの手のファンタジー映画はクリスマスでなくともクリスマスっぽいと思うのは俺だけではない筈だ。

ただ、遊びに行こうと言われて映画で2時間というのも何かな、とは思わないでもない。

というか大人気なので混んでそうで嫌だし、もしかすれば難波さんは既に見に行っている可能性もある。

意表をついて修羅雪姫なんかもいいかな、とは思う。

少なくともイクサの人はうんうん唸っていたし、マル・ダムールでの感想戦も盛り上がった。

ドニーイェン仕込みのアクションは見ごたえがある。

実戦に取り入れるには少しケレン味が強すぎるのが難点か。

 

と、色々と何処に行くかは考えてはいるのだが。

難波さんだってどういう場所に行こうか、なんて、考えていると思うのでかっちり決める必要は無い。

待ち合わせの場所は決まっているので、そこから徒歩で、あるいは適当な交通機関で行けそうな遊び場をピックアップしておくのが無難だろう。

……そういえば、駅前は人が戻ってきて気合が入っているのか、なんだか妙にイルミネーションを豪華に作っていたな。

帰りにアレを見てから解散すればクリスマスぽくていいかもしれない。

 

―――――――――――――――――――

 

『最後までやれとは言わない。でもグッと行けよ、グッとな』

『難波ならイケる。応援してる』

 

脳裏に浮かぶ、自分にとって実に複雑な立ち位置に居る友人二人……一人?の言葉を胸に、顔を上げる。

時刻は九時十分。

待ち合わせの時間まであと五十分。

待ち合わせの場所まで、歩いて十何分といった所か。

走れば数分。

全力で走れば更に短く。

でも、急がない。

三十分前に付けば良しとする。

 

焦りは禁物だ。

家を出る前に、何度と無く身だしなみはチェックした。

歯も念入りに磨いたし、化粧もおかしくはない。

なんと、香水まで少し付けている。

少し、の分量が分からないので、友人の中で一番この手の品の扱いに慣れている子にアドバイスも貰った。

 

極めつけに、下着も特別な物を用意した。

正直、似合うかなぁと迷いもした。

しかし、これは彼の下着の好みを知る、先の激励の言葉をくれた友人に見立てて貰ったので、間違いはない、と、思う。

もし、もし、もし、……もしも、見せる機会があれば。

完全に彼を魅了できる、らしい。

彼の好みにピッタリ合致する……ものから、少しだけズレたものをチョイス。

不完全であるが故に心を動かす特別な一品、なのだとか。

 

完全武装だ。

大まかなデートコースも考えてきた。

気合も何時もとは違う。

ちょっと褒められたからってふわふわしていたら、クリスマスといえど直ぐに一日は終わってしまうのだ。

 

脳内の天使が言っている。

今日の私はガブリエル☆ 受胎告知ビーム!

頭を振って追い払う。

脳内の悪魔が囁いている。

夕食を食べる時にソフトドリンクと間違ってお酒を飲んで、フラフラになってうっかり駅裏にあるお城みたいな休憩所へ向かうのだ……!

……………………いや、いやいや、流石にね?!

ちょっと迷って頭を振って追い払う。

 

流石に、流石にそこまで行くのは欲張り過ぎだと思う。

確かに、一年くらい前は小悪魔ムーブをしていたけれど。

私は清純派なのだ。

こう、好きになったからって、ホイホイ身体を重ねるというのは、こう、ほら!

……でも、ジルちゃんやグジルさんとはしてるみたいだし……。

は、激しい上に、めっちゃ愛でて来るって言うし……!

き、気になるけども!

確かに気になるけれども!

まだ告白すらしていないのに、そういうのを狙って動くっていうのも!

ね?!

 

「どうしたの難波さん」

 

「うひゃぁい!」

 

喉から出ているのに何処から出ているのかわからないような声が出た。

漫画なら声と同時に喉から心臓が出ているだろうか。

何故か考え事の相手が、交路くんが目の前に居る。

 

「お、おはよ。奇遇だね!」

 

待ち合わせ場所に行く最中に合流というのは、場所が場所だけに余程の偶然でも無い限り無いと思うのだけど。

……もしかしたら、彼も早めに家を出ていたのだろうか。

それで、早く来すぎて少し待ち合わせの場所の周りをウロウロしていた、みたいな。

そうかもしれない。

彼は待ち合わせとなるとかなり早めに来て寛いでいる事が多い。

それだけ楽しみにして貰っている、と考えると、嬉しいような、恥ずかしい様な。

 

「いや、奇遇っていうか」

 

困惑した様子で、自分の背後を親指で指差す交路くん。

指さした先には、何度か来てちょっとおなじみの、交路くんの自宅だ。

車が無い辺り、お母さんは出掛けているのかもしれない。

不思議だ。

なんで私は交路くんの家の前に居るんだろう。

 

「走ってるかと思うレベルのすっごい速さで難波さんの反応が近づいてきたから何事かと思ったんだけど……」

 

「そ、そっか。…………いやー、待ち合わせの場所がね? 結構クラスメイトも使ってるみたいだったから!」

 

「あー、まぁ、騒がれて時間取られるのもなんだしね」

 

うんうんと頷く交路くん。

違うんです、違うんですよ!

騒がれるなら騒がれるでも良いっていうか!

変に勘違いされるならされるでいいかなっていうか!

……勘違いじゃなくせれば一番いいんだけど。

 

「じゃあ、少し早いけど出発しよう。今日はよろしく」

 

「うん……うん、よろしくお願いします!」

 

そう、そうだ。

ちょっと、考え事のし過ぎで待ち合わせから失敗しちゃったけど。

それは全体からすれば大した問題じゃない。

待ち合わせ自体はいっつもしてるんだし、大事なのは内容!

 

「って言っても、ちょっとこの時間だと行けるとこも限られてるけど」

 

言われ、時計を見る。

九時十五分。

大体のお店はまだまだ開いていない時間だ。

遊ぶにも少し早い。

というか、私の家から交路くんの家まで、五分?

走った覚えは無いから……ビデオの早回しみたいな気持ち悪い速度で歩いてた事になるんだけど……。

み、見られてないならセーフ!

……呼び止められるまで歩いてたから見られてる……!

いや!

ここは、もっと印象深いもので塗りつぶせばセーフ!

 

「じゃ、じゃあ、映画行こ! 駅前のあそこ! 今日カップル割り引きだって!」

 

―――――――――――――――――――

 

カップル割引き。

二人一組で2200円なり。

悪しき風習だとは言わないが、普段からこの値段ならもっとみんな映画を見るのではないか、と思う。

礼儀としてアホみたいに割高なポップコーンとコーラは買うが、空席はコーラもポップコーンも買わないのだ。

が、そんな内心の憤りと映画の面白さは別だ。

 

「ハリポタと迷ったけど、こっち見て正解だったかも!」

 

犬ならぶんぶんしっぽを振ってるんじゃないかと思うほど難波さんを上機嫌にしてくれたスパイキッズには頭が下がる思いだ。

ハリウッド顔負けのアクションムーブができても、やはり映画特有の演出の派手さは見ていて楽しくなれるとわかった。

戦っている相手の中身が変に溢れたり手に感触が残らないのも素晴らしい。

何よりハッピーエンドだしね。

 

「やっぱりシンプルに派手なアクションものはいいね。続編もあるだろうし、次も決まったら見に行こうか」

 

「うん!」

 

と、こうして騒いでも問題が無い程度にはお客さんに寛容な店をチョイス出来たのも嬉しい。

最近良く顔を出すカフェ・マル・ダムールの雰囲気が気に入ったので、地元にも無いか探して見つけた店なのだが、思ったよりも雰囲気が良い。

世の中はクリスマスだというのにこれといってフェアらしいフェアをしていない上、人の入りもそう多くない、はっきり言って流行ってるとは言い難い喫茶店だ。

だが、個人的には二時間サスペンスや刑事ドラマで登場するちょっとした喫茶店の様な店構えと、これといっておすすめなメニューが無い無難なメニューは、なんとなく入って時間を潰したり、お喋りをするには丁度よいので気に入っている。

冬休みの親子連れでアホみたいに混んでるファミレスよりは幾らかマシだろう。

 

―――――――――――――――――――

 

大人なお店だ……。

正直な話、地元の商店街から少し離れた程度の場所にこんなお店があるなんて知らなかった。

店内には落ち着いた……なんだろう、クラシック? ピアノ? そんな感じの曲が流れている。

高校生の身分でこんなお店に入って良いのか、というくらいには場違い感があるのに、入って軽食を頼んで、映画の感想を言い合って。

気がつくとリラックスできている。

落ち着かなそうと思っていたのに、気がついたら落ち着いて寛げている。

 

普段聞かないメロディに耳を傾けながら、注文したケーキセットをフォークで突いて、対面に座る交路くんを盗み見る。

サンドイッチをもぐもぐと咀嚼し、砂糖を三つ四つとコーヒーに落とし、ミルクをとぽとぽと注ぎ込んでいる。

彼は、不思議な人だ。

張り詰めた弦の様な、研ぎ澄ました刃物の様な、でも、それを人に見せない様に柔らかな布でくるんだ様な。

人に気遣いができる癖に、変に鈍感で、眼の前にある事にいつも一生懸命で。

その理由のいくつかを私は、あるいは彼の身内を除けば私だけが知っている。

 

「んふふ」

 

ジルちゃんだってグジルさんだって知っているし、たぶんあのお母さんも知っている。

でも、家族を除けば私だけだ。

これが特別な事なのだという事実が私の心を擽る。

普段、あまり意識する事は無いけれど。

私は交路くんにとって、ただの友達ではない。

異性として意識されているかはわからないけれど。

少なくとも、彼の中では特別な相手だ。

 

「どうしたの?」

 

「んー? 交路くん、甘党なんだなーって」

 

「脳味噌使うからね。……おかしい?」

 

「ううん、可愛い」

 

別に、人に見せない面という訳でもない。

でも、普段あんまり見せないこういう隙……というか。

油断している面を見れるのは、信頼されているように思えて。

 

「そういうものかな」

 

「そういうものなのです」

 

「そっか」

 

何でも無いようなやり取り。

でも、こうして、生きるのに必要でもない、何かを目指している訳でもない時間を共有できるのが、いや。

急いでいない交路くんを見ていられるのが、楽しい。

見れば、交路くんの口元も少し綻んでいる。

……私だけじゃなくて、交路くんも楽しめている、と考えていいのかな。

 

「……この間は、いきなり誘っちゃってごめんね?」

 

思えば、勢いに任せる様に学校でデートに誘うのは不味かったのではないか、と、少しだけ思う。

それこそ帰りは一緒なのだからそこで誘っても良かったし、直接対面じゃなくて電話やメールでも良かった。

そのせいで暫く交路くんもその件で弄られていたし。

クラスメイトのみんなの前で誘ったのは、勢いと、あと、もしかしたら交路くんを狙っているかもしれない他の女子への牽制、というか……。

……それこそ、早く誘わないと、最近知り合った年上のお姉さんとの予定を入れてしまうんじゃないかという焦りもあったと思う。

 

「ん……いいよ。誘って貰わなきゃ、クリスマスに普通に遊びに行こうなんて思わなかっただろうし、それに」

 

「それに?」

 

「難波さんの色んな表情が見れて楽しい」

 

「……わたし、そんなに色々表情に出てた?」

 

「難波さん以上に表情がコロコロ変わる人もそう見ないかなって」

 

むう。

そこまで言うほどかな。

別に、見られて困る、というものでも無いけれど……。

無いけれど……。

いや、困る。

一緒に遊んでいる時に、そこまでじっくりと顔を見られている、なんて意識してしまったら。

流石に私だって恥ずかしい。

 

「あんまりジロジロ見られると、恥ずかしいよ」

 

「見てたらダメ?」

 

「ダメ……じゃない、けど」

 

少しだけ眉をハの字にする交路くんを見ると、あんまり強くも拒めない。

 

「せっかく今日は難波さんを独り占め出来てるから、色んな顔が見たいと思ってたんだけど……」

 

「う……うぅ……」

 

交路くんは、これだ。

変なところで素直だったりするのが困る。

というか、これが気を緩めて素直になった末の言葉なら。

もう、実質告白みたいなものなのでは……?

 

―――――――――――――――――――

 

昼食を軽く済ませた後はレンタルバイクでツーリングを楽しみ、ツーリング先で水族館などを冷やかし、馴染みのない公園をウロウロとぶらつき。

それほど混み合っていない場所を選んだつもりだったが、クリスマスイブということもあり、周囲は家族連れやカップルの姿がチラホラと。

平日昼間でも無い限りは仕方がないにしても、カップルでもない友人同士で来るには些か甘い雰囲気が漂いすぎていた気がする。

難波さんは迷惑に思わなかっただろうか、と考えもしたのだが。

 

「~♪」

 

隣を歩く難波さんは微かに鼻歌を歌うくらいに楽しそうにしているので、特に問題は無かったのだろう。

酒でも入っているのかと思うほどにふわふわとした足取りで、はしゃぎすぎたのか体温も普段よりやや高い。

魔石の戦士といえど、いや、体調に関しては基本的に健康を損なわない程度の範囲で調整が入る魔石の戦士だからこそ、こういう普段に無い挙動がある時は大事を取るべきなのだが……。

 

「あ、見えてきた」

 

レンタルバイクのお店から少し歩き、家に帰る途中。

最後に見ようと思っていた駅前のイルミネーションが目に入る。

冬特有の日の短さで、既に辺りは暗く、飾られたイルミネーションも昼間よりも良いものに見える気がする。

一地方として見れば中々に頑張っていて、クリスマス感は十分と言った所なのだが。

 

……実は数駅離れたここより大きな街の駅前では毎年クリスマスにはこれでもかと言うほどイルミネーションで飾り立てられ、季節もののイベントを貪欲に取り込むお店が多い為、人はそちらに流れていってしまっている。

人でごみごみしているよりは良いじゃないか、と思うかもしれないが、逆に人気が少ない方がいいという連中がぽつぽつと居て、なおかつ人が少ないからとかなり大胆な行為をしているのが遠目でもわかってしまう。

いい雰囲気、というのはわかるし、目的のイルミネーションからは離れた位置で気持ち隠れるようにして()()()いるので、野暮な事はしないが……。

 

まぁ、そんなものよりも、イルミネーションだ。

道路脇の並木をこれでもかと電飾で飾り立て、普段は放置自転車しかおいてない微妙な空白部にはレンタルか奮発して購入したか、鹿やサンタやクリスマスツリー型のワイヤーオブジェが置かれている。

一箇所に注視すればそれほどでもないが、全体の雰囲気としては結構幻想的に仕上がっていると思う。

 

「わぁ……」

 

難波さんも、普段の寂れた姿からは想像も付かない様な光景に目を奪われている。

駅舎近くの少しだけ大きな街路樹が気持ち豪勢なクリスマスツリーにされており、それを見ることができる位置に(普段はバス停に置かれている)ベンチがある。

ここで少し休めば、少しふわふわした難波さんも大事無いだろう。

ついでにイルミネーションもじっくり見る事ができるので一石二鳥だ。

 

「ちょっと休もう」

 

「うん」

 

すとん、と、ベンチに腰を下ろす。

並ぶように、というか、くっつくようにぴったりと、隣に難波さんが腰を下ろす。

寒いのにまたしても手袋を付けてこなかった難波さんは今日の移動中、バイクでの移動時以外は殆ど常に手を繋いでいたのだが、座ると共に身体まで預けてきた。

具合が悪化した、という訳ではなく、瞼は閉じかけているけれど、意識はしっかりしているようだ。

少し脈が強く早くなっているけれど、戦闘時のそれと比べれば正常値の範囲内だろう。

しかし、身体をくっつけた上で片腕を両腕で絡めるように保持されてしまったせいで、この場に難波さんを残して立ち上がる事ができない。

体温が高いようだから、何か飲み物でも、とも思っていたのだけど。

 

「寒くない?」

 

「あったかい……」

 

寒くないならいいのだけど。

……これ、会話噛み合ってる?

バイタルは大丈夫と思ったけど、思ったより頭の方には熱が籠もってしまっているのだろうか。

掴まれていない方の手で、難波さんの前髪をかき分け、額を、そして頬を触る。

手の動きに合わせるように、なすがままに顔を上げる難波さんの目は潤んでいた。

 

―――――――――――――――――――

 

これは──キスの流れ!

……じゃないなんてのはもう分かりきっている事で。

交路くんは、ちょっとどうかと思うくらいに異性に対しての意識ができてない。

だから、今日、私が独り占めされてると思ってどう感じたか、だとか。

どうせバイクに乗るなら二人乗りの方が良かったな、とか。

周りがカップルだらけのちょっとロマンチックな場所に、暗くなってから連れてこられて、心臓がどうにかなりそうだとか。

ちぃっとも、わかっちゃいない。

 

だから。

 

(告白、しよう)

 

ここだ。

クリスマスにデートに誘って。

色んな表情が好きだとか言われて。

独り占めできる事が嬉しいだとか言われて。

こんな場所に連れてこられて。

それでも、彼は告白なんてしてこない。

今日に余裕があっても、常にそれを維持できる様な人じゃないから。

 

それは知ってる。

それを知ってるから、私から踏み出すって決めた。

決めたから今日誘ったし、今日、決めようと色々と準備してきた。

覚悟の上なのだ。

一大決心。

クリスマスの大決戦だ。

 

恋愛ごとができるほどに余裕がないなら。

どんな場所でも一緒に居れる私がそばに居るんだ。

私だからできる。

私ならできる。

きっと交路くんだって、私のこと、好き……だと思う。

少なくとも告白されて嫌って事は無い。

 

これは、もう、ずっと前からいつかやろうと思っていた事で。

交路くんが好みの女性と知り合ったから焦ってるとか。

今まさに、交路くんの手のひらが頬にあたってるとか。

真剣な眼差しが近いとか。

もう正直このシチュエーションでこの距離だとかいっぱいいっぱいで倒れそうだとか!

このさいもう勢いで言ってしまおうなんていう、あれじゃないから!

 

「こうじ、くん」

 

「うん」

 

「わたし、わたしね、ずっと前から、あ」

 

────絹を裂くような悲鳴。

次いで、私達とツリーの間を逃げるように横切っていく数組の男女。

何かが燃えるような匂い。

視界の端に、人と獣を混ぜた様な、灰色の化物の姿。

眼の前の交路くんの視線は、既に、私ではなく、その怪物の方を捉えていた。

 

―――――――――――――――――――

 

しまった。

まさか、ここも奴らの繁殖スポットだったか。

或いは野良のオルフェノクがクリスマスの楽しげなムードにあてられて暴れだしてしまったか。

この駅前の監視カメラの位置は全て把握している。

が、この瞬間に全てのカメラを破壊するのも停止させるのも不自然が過ぎる。

 

「逃げよう」

 

何かを言いかけて止められた難波さんを引き起こして立ち上がらせ、オルフェノクの反対側、なおかつ、監視カメラの無い方へ走る。

放置するのも不味いので、追おうと思えば追える程度の速度で走り、市街地から離れ、駅の架線下へ。

先に灰にしたカップルが因縁の相手、というのであれば追ってこないだろうと思ったのだが、俺たちを追ってきている辺り、適当なカップルを殺せれば良し、というタイプのようだ。

 

カメラ無し、人気無し。

後は殺すだけだ。

だが、楽しい休日の最後を邪魔されたのはいただけない。

少し苦しませよう。

手を掲げ、念動力で相手の手足の末端を捉え、

 

「まって」

 

難波さんが前に出た。

少しうつむき気味で顔は見えないが、声が震えている。

恐怖、ではない。

今の彼女にあの程度の存在を恐れる理由はない。

 

「あいつだけは……」

 

この声に込められた、地の底から響くような意思の力。

既に難波さんの腰にはバックルが顕現しており、戦闘への意識の切り替えが済んでいるのがわかるだろう。

そして、常に無い激しい放電現象がベルトを中心に巻き起こっている事も。

 

「……絶対に、許さない!」

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっぱりオルフェノクは許されなかったよ……。

まぁ野良なのかスマブレの飼いオルフェノクなのかはわからないが、あそこまで派手に無差別に人を襲おうとした時点で何処にとっても有害で有罪だ。

少なくとも平穏に生きようとした不幸にもオルフェノクになってしまった一般人では通らない。

クリスマスイブというめでたい……まぁたぶんケーキとかチキンとか食えてプレゼントを交換しあったりカップルが楽しそうにしているから恐らくめでたい日に、ラブラブだったと思われるカップルを殺害せしめた、というのは、確かに怒りを覚えても仕方がない事だとは思う。

……オルフェノクのオリジナルは大体不幸な死に方してる説を考えれば、あのオルフェノクと殺されたカップルにも第一話、第二話、第三話といったこれ殺される側にも多大に問題があるよね系のパターンも無いではないのだが。

俺たちを追ってきた時点でどの様な事情があろうと危険なオルフェノクだ。

殺すのは特に問題ない。

問題ない、のだが。

 

「うあああああ、あああああああん!」

 

先まで、凄まじき戦い……恐るべき蹂躙劇を見せてくれた難波さんが、其の場にへたりこんで泣き出してしまったのだ。

しくしくと涙を流すとか、そういうのではなく。

もう、上を向いて大口を開けて滂沱の如く涙を流しのギャン泣きである。

何がそんなに悲しいか。

と聞くのは野暮というものだ。

例え相手が恋人でないにしても。

楽しいクリスマスイブのお出かけの最後にあんな形で一日を台無しにされたのであれば。

こうもなってしまうのかもしれない。

ここまで泣くか? という疑問は、泣いとるやろがい、と返せば解決だ。

現状は何一つ解決しないが。

 

「あ゙あ゙あ゙あ゙ん、わ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙…………」

 

困った。

昔から泣く子とウルトラマンキングには勝てぬという言葉もある。

流石に、ここまで泣きわめく友を置いて、『じゃ、これで今日は解散ね!』などと発言できる程の鬼畜ではないのだ。

せっかくの楽しい日だったのだから、解散も笑顔で楽しく、というのが理想だし。

泣きはらした顔で帰っては、彼女のご家族も心配するというもの。

どうしたものか……。

 

―――――――――――――――――――

 

「うっ、ぐずっ……」

 

「美味しい?」

 

「美味じい……」

 

結局、背負って家に連れてきてしまった。

未だにぐずっているが、丁度ジルが飲んでいた温かい紅茶を分けて貰い、飲んでいる間に多少落ち着いてくれたらしい。

母さんが父さんとイブを過ごす為に出掛けていてよかった。

泣いた女の子を連れてくるなんてしたら、事実確認を行った上での家族会議ものだった。

 

「ご飯食べてく? 男料理になっちゃうけど」

 

「……うん。……………………あのね」

 

「うん?」

 

「きょう、泊まってったら、ダメかな」

 

「む……親御さんは?」

 

「ともだちのとこに泊まるって、でんわする」

 

だから、ね?

と、上目遣いに確認する難波さん。

確かに友達の家に泊まるというのは間違いないのだけど、それは有る種の叙述トリックというものではないだろうか。

夏休みに二週間も外泊に誘った俺がどうこう言える立場には無いのだけれど。

 

「……着替えはジルのがあるし、大丈夫かな」

 

胸元は多少ゆるいし、お腹まわりは少しキツイかもしれないし、丈もやや短いかもしれないが。

パジャマに限って言えばゆったりめの物を使っているから大丈夫だろう。

下着は……、まぁ、これは洗い終わった後に少し水分を飛ばしてしまえば問題はない。

寝床も、来客用の布団を使えば問題はないだろう。

交際している訳でもない異性と同じ屋根の下で眠る事になってしまうが、少なくとも異性の割合は赤心寺での合宿よりはだいぶまともだから大丈夫だろう。

 

それに。

ちら、と、難波さんの顔を見れば、先よりも赤くなっている。

先の戦闘での、激情態とも呼べそうな変身が負担になったか。

或いは元から少し不調があったのが、戦い終わって気が抜けて身体に出てきたのか。

厳密に言えば、魔石の戦士は病に対して無敵という訳では決して無い。

極まれば体内の異物を焼き払うなどできるが、そうでない一般的な戦士であれば、体内の免疫機構その他をフルに使って高速で治癒を行う、というだけで、毒やウイルスの類は作用はするのだ。

だからこそ、五代さんも一時的に仮死状態になったりした訳だし。

つまり、難波さんも今身体が一時的に治療体制に入っているわけで。

無理に家に帰すより、此処で一晩休んでから帰った方が良いだろう。

 

「やった……」

 

「うん?」

 

難波さんがカップを手にしたまま小さくガッツポーズを取ったが、何か良い事があったのだろうか。

……いや、クリスマスにお泊まり会、というのは確かに楽しい催しではあるのだろうが。

グジルから変な影響を受けなければいいが、と、そんな心配をするのは、少し子供扱いし過ぎだろうか。

 

「じゃあ、ちょっと待っててね。ジル、手伝え」

 

ぷえー、と言わんばかりに唇と尖らせたジルが、それでもしぶしぶと立ち上がり付いてくる。

日常生活にはもう殆ど不安は無いが、手先を動かす訓練は継続しているのだ。

ピーラーで野菜の皮を剥くとか、プラスチックの包丁で適当な大きさに切るとか。

 

『あええ?』

 

「ルーがあったらな」

 

スパイスを混ぜて作っても良いが、家では殆ど市販のルーを叩き込んで煮込んで終わりだ。

なければ糸こん足して肉じゃがだな。

どっちにしろ、何かしら身体があたたまる食べ物が良いだろう。

泣くほど悲しい時も、泣き疲れてしまった時も、温かいものを食べれば自然と心が安らぐのだ。

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

「ふう」

 

読んでいた文庫本を閉じ、枕元に置き、電気を消す。

今日は楽しい一日だった。

最後の最後で灰色の余計なものが水を差してくれたものだが、総合的に見れば良い休日だったのではないだろうか。

難波さんもご飯を食べてお風呂に入って、お風呂上がりにまたジルに紅茶を淹れてもらってすっかり落ち着いたらしい。

用意しておいた来客用の布団の上で少し雑談をしていたら、直ぐに船を漕ぎ出してしまったので、そのまま横になって休んでもらった。

難波さんにとってはとんだ災難だったかもしれないが、最後以外の部分は、楽しい思い出として覚えておいてもらえたなら良いが。

 

まぁ、一緒に遊びに行く機会はまだある。

来年のあれこれがどれくらい立て込む事になるかはわからないし、進学先が別々になるのであれば残り一年くらいにはなるが。

少なくとも同じ学校に在学してる間にもう一度クリスマスはあるし、それ以外でも、特に理由が無くても遊びに行く時間くらいはある筈だ。

それこそ、初詣にでも誘って……。

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

もぞもぞ、と、ベッドの中で何かが動く感触で、目を覚ます。

普段であれば最初からジルが居る事が殆どなので気にならないのだが、寝ている最中に入ってこられるとなると話は変わってくるのだ。

後から潜り込んでくる時、自分が眠りやすいベストポジションを探る為に小さく動き回るので、少しばかり鬱陶しく、それで少しだけ目が覚めてしまう。

既に警戒対象では無いので完全覚醒して警戒する必要はないのだが、明日が休みと言えど眠りを妨げられるのはあまり良い気分がしない。

だから、普段の位置に来るように抱きかかえてやれば大人しく──

 

「ひあ」

 

声が上がる。

グジルか。

いや声が違う。

顔に息がかかる。

甘い匂い。

目を開く。

難波さんの顔がある。

 

「……。…………?」

 

瞬き。

やはり難波さんの顔がある。

手を動かす。

 

「んっ……」

 

背と、腰の辺りの感触。

ジルの背にある傷跡の感触は無く、滑らかな、しかし、しっとり指に吸い付く様な肌。

探る。

裸だ。

 

「夢」

 

か、と、続けようとした口が塞がれた。

開いた口から舌が入り込み、辿々しく、しかし、強引に、口の中を弄って、離れる。

カーテンの隙間から入り込む月明かりを反射して、舌と舌の間に銀の糸が輝いた。

 

「……じゃ、ないよ」

 

それはわかっている。

感触のある夢は経験した事がない。

目覚めている時と寝ている時の区別が付かないような不便な脳味噌もしていない。

 

「……こういうのは、良くない」

 

だから、鼻だって舌だって効く。

難波さんの呼気の中に、僅かにアルコールが混じっている。

お酒の勢い、というものだろう。

指先に触れた肌は湿り、汗も出始めている。

彼女は正常な判断ができる状態に無い。

 

「……良くなくて、いいよ」

 

ごろ、と、俺を下敷きにするように転がり、難波さんが僅かに身を起こす。

 

「今日は、悪い子で、いいもん」

 

薄暗い部屋の中でもはっきりと見える。

表現に困るけれど、均整の取れた、美しい身体。

それが、惜しげもなく晒されている。

顔が赤いのは、どこかのタイミングで飲んだアルコールのせいだけではないことくらいはわかる。

 

「……時々ね、すっごく、身体が熱くなるの」

 

「それで、襲え、襲え、って」

 

「交路くんと居る時、結構、がまんしてたんだよ?」

 

身体が晒され、布団が捲れ上がれば、嗅ぎ慣れたものとは違う、でも、同じ様な、淫らな匂い。

言葉の通りなのだろう。

此方を見つめる潤んだ瞳には、僅かな羞恥と、それを飲み込む、強い劣情が浮かんでいる。

 

「……後悔しない?」

 

「わかんない。でも、そしたら、後からまた、慰めてくれるでしょ? それに」

 

身体を倒し、痛々しい程に頂きの張り詰めた双丘を擦り付ける様に押し付け、再び唇を落としてきた。

 

「プレゼント交換。……こうじくんに、悪い子の私、ぜんぶあげる」

 

「俺からは?」

 

返事に、間近にある難波さんの顔が、薄っすらと笑う。

 

「悪い私のわがまま、ぜんぶ、きいて?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ズイ₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾ズイ
(˘ω˘)必要な分は見せたということだ
これ以上は見せぬ

☆まぁまぁ流されるにしても色々と理由があるけど理由があるからといって複数の異性と関係を持つのは許されるかと言われるとそれは違うんだろうなぁと思うマン
知識の中にあった、葦原さんにも一時期見られた謎の衝動に関して、何かしらあるかなぁでも今んとこその兆候は無いしなぁと放置していたツケだし
それに憎からず思っている相手から誘われたら後々のフォローを考えつつも流されてしまうものではないですか?
こんなやりとりしつつも素知らぬ顔でベルト狙いで年上の美人さんをゆっくり口説こうってんだからふてぇ野郎だ
でも香川教授の持つミラワの資料は小型ドローンや何やを使ってコピー済み
じゃあなんでまだイクサ欲しがってるんだよと言われると携帯性かなぁ
変身時に鏡になるものを前にポーズを取る必要があるというのは一手間ではないだろうか
最悪イクサならナックル機構をオミットして一体形成にしてしまえば戦闘中のスッポ抜けは防げるし、普段から装着してスイッチ一つ二つで変身できればなお良し
お前そんな事を考えてる暇があったら翌朝難波さんになんて声掛けるか考えとけよ!

☆これは悪いお酒!悪いお酒ですよ! しかしそんな悪いものに力を借りなければ前に進めなかった悲しい女……
ルート入ったと思うでしょ
はっきりと告白してないから翌朝の態度次第じゃ、時々えっちな気分になるからその時手伝って、みたいな話にしかならないんすよ
翌朝には酒抜けてるからその時改めて告白するなら完全自力な
酒の勢いで肉体関係持った翌朝にシラフになって裸で好きな相手と抱き合って寝ているところからスタートだけど勇気のペンダント光らせれば余裕余裕
まぁ不幸にもクリスマス撲滅オルフェノクが現れなければ自力で告白はできていたので頑張った頑張った
告白中断の怒りを力に変えてギルスクウガ激情態的な姿でオルフェノクをズタズタに引き裂いて行間に埋葬した
恐らくクラッシャーとか開いて恐ろしい唸り声とかバイヴレーショングロウブ的なアレで敵が粉々になる
粉々にする前にガイバーⅢ的なウネウネブレードでバラバラにするだろうしなんなら素手で手足とか引っこ抜く
まぁくっつこうがくっつくまいが、原作のシナリオ進行してる間はシナリオ進行優先でラブコメとかしてる暇無いだろうし、どっちでも大差ないのよさ
しかし、こいつはいったい何処でお酒なんか飲んだのか……

☆はー、今頃コウジと難波はうまくいってるんかねー(紅茶のポットにブランデーどばぁしつつ)
これがリントの文明のオシャレなお茶の飲み方かぁ
お茶も飲める上に酒も飲めるとか……やっぱリントすげぇな!
(ブランデー紅茶ごくごく)んーっ、美味い! もう一杯! そしてもう一杯! 更にもう一杯!
アルコールが翌日に残らないとかこの身体最高だわ……死んで生き返って良かったー!
ほらほら、どうせコウジも戻ってくるの遅くなるだろうし、お前ものめのめー!
……あっ! コウジ帰ってきた!(パパン秘蔵のブランデーを棚に戻し仮の肉体ファサー)
そして後に残るシラフのジルとブランデー入り紅茶
ブランデーの量はグロンギ基準の適量だゾ!
ジルは主人公により高度な教育を施されているので未成年にお酒を飲ませるのは良くないという知識はあるが
酒はこれ忘憂の名あり、という名言も知ってるので、悲しそうにしている難波を慰める為に100パー善意でこれを飲ます
という事実が明らかになるまでは少々の時間が必要となるだろう

☆ママンは東京に行った
単身赴任先の部屋を掃除して
クリスマスディナーを用意して
お風呂の準備もして
愛するパパンにおかえりなさいを言って
──パパンと過ごす性の六時間!
一晩掛けて妹か弟ガチャを回すのだ!
愛が止まらない

☆今日も頑張るパパン
そろそろ一旦家に帰れそうかな、正月かな
そう思っていたら愛妻が来て嬉しいけど
だからといって仕事で疲れた後に一晩というのはどうなのか
でもこれも愛ってやつだろ?
愛は止まらないけど生身の男の砲身にも弾倉にも限界だってあるのだ

☆魑魅魍魎跋扈するこのクリスマスに何が悲しくて変身してファンガイアではない謎の灰色の怪人とかと殺し合いをせねばならないのか、これが良い歳をした女として正しいクリスマスなのか……
仕事上がりにクタクタで家に帰る
朝からずっとあちこちに現れる謎の怪人の調査と退治
泥のように疲労が溜まった身体を熱いシャワーで洗い流し、ベッドに横になる
眠る前に仕事関連のメールを確認しようとして、朝に着信のメールを発見
確認するとそれは最近知り合った男の子からのもので……
何か大事な話という訳でもなく、何でも無い、他愛のない内容の文面
それを見て、クスリと笑う
まぁ、こういうクリスマスも、そう悪くはない、かな

……みたいな話があったんじゃよ
こうして積み立てた信頼のおかげで目の前で変身するのか
或いは積み立てた信頼を襲われるという形で崩されなければならないのか
それは誰もしらない
俺も知らない
ネクストコナンズヒント!
『性癖』(トゥエートゥエートゥエー♪)


次に初夢やったら龍騎始まるのでもうちょい振り返ってない時期をお付き合い下さい
アギト編は難波さんやらジルグジルやらで時間を取ってしまったので
龍騎編は原作キャラと多めに絡められたらいいなぁと思います
何しろ次回は最終的に万事解決するけど、明確な終了条件も存在するので
つっこんでいくと思います
つっこんで行かないという事は無いのでご安心下さい
なんと、城戸君もれんちょんも出ますよ
にゃんぱすー
あ、出てくるのはニャンパスしない方の秋山蓮です
ただ少し実験的なあれになるかもなので
田舎ではライダーバトルするにも人数足りないので
それでも宜しければ、次回か或いは龍騎編の投稿を、気長にお待ち下さい
令和もよろしくお願いします

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