オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版)   作:ぐにょり

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55 解説!ライダーバトル諸々のルール!

『ホイールベント』

 

スラッシュしたカードに合わせ、何処からともなく飛んできた、或いは地面を削りながら走行してきたグラインドサークルが手の中に収まる。

両手に一本ずつ。

更に、周囲をグルグルと取り囲む様に走り続ける一本。

ロードインパルスのトリックブレードに更に一本。

合計四本。

 

一本だけ暴走している様に見えるかもしれないが、実は脳波コントロールできる。

理屈としては変身者の意思をモンスターに伝える機能の応用だ。

取り込んだ……食らったミラーモンスターの特徴や武装を改竄して新たなカードを生成している訳だが、これはカードが直接生成されている訳ではなく、モンスターを食らう事で成長したロードインパルスからカードが生成されているという方が近い。

言わばこのグラインドサークルも、或いはバトルランスもロードインパルスの肉体の一部を武装として使用している、という形になる。

他のモンスターで言えばマグナギガが似た形式か。

 

ロードインパルスが俺のお手製疑似ミラーモンスターだからこそここまで露骨に取り込んだモンスターの影響を受け入れているが、恐らくだがこうして武装の数や形に反映されるのは限界がある。

というか、限界が無くとも延々増やし続ける意味が無い。

グラインドサークルは後四、五本はあっても良いと思うが、それ以上増やして操るとなると、それこそ遠距離からひたすらシュートベントを撃っていろ、という話になってしまう。

或いは強度や回転数を上げるような強化が起これば良いのだが、この辺はロードインパルスの進化がどうなるか次第なので多少方向性を整える事ができたとしても運任せだ。

餌を厳選する事でどういう変化が起きるかを確認するのも良いかもしれない。

 

少なくとも、ミラーモンスターを食べさせるたびに、或いはオルフェノクを食べさせる度に全体の出力が増しているのは確か。

主機であるパワーユニットに限らず、機械的には明らかに出るはずのない膂力があるのはミラーモンスターとしての成長が関わっていると見て間違いない。

自らを鍛えて成長に納得や安心、そして不安を得る事は多くあったが、育てる楽しみというのを感じるのは新鮮な感覚だ。

俺が万が一力を失った時、或いは、力を隠さねばならなくなった時用の護衛兼相棒でもあるので、鍛えたり信頼を築いていくのは重要な事だ。

 

……気をつけねばならない事として。

オルフェノクはともかく、人間を食べさせるのは控えさせようという事だ。

実際、食べる側にとってオルフェノクと人間に如何ほどの違いがあるかはわからないが、例えば餌の供給が間に合わなかった時などに勝手に餌を食べるにしても人間を食べて騒ぎを起こされても困る。

逆に、人間とオルフェノクの見分けが生命エネルギーの違いで判別できたりするととても便利なのだが。

 

そんな訳で、俺は方針としてロードインパルスに人間を食らわせるつもりはない。

そうすると、問題になってくるのが、ライダーの中身、だ。

例えばベルデ、例えばファム、例えばシザース。

これらはこれまで二回程戦った訳だが……。

戦いをする相手として見たなら、彼らは未熟も良いところだ。

シザースを除いて普段は肉弾での戦いなど関わり合いのない生活をしてきたのだから仕方がないにしても、正直、弱く見える。

いや、ファムなんかは思い切りも良かったし、シザースも紙束みたいなデッキでよくぞ、というくらいに戦闘法は確立していた。

もしかして実はこれまでの二戦で力を運悪く出しきれなかったのかもしれないが……それでも、地力に関して言えば、戦士とは言い難い。

 

……契約モンスターを餌として取り込む為に戦う、というのは別に良い。

良いのだが……その度に彼らを倒す、殺す、というのは、なんとも気が引けるものだ。

まるで弱い者いじめだし、その弱い者いじめから得るものが無いというのは気が引けるとか引けない以前に虚無感がある。

勿論、生かしておくとまたデッキを貰って復帰する可能性がある以上、デッキだけ破壊して中身は生かしておいてやろう、などという日和った真似は絶対にできない。

できないが……。

 

「交路、森を荒らすな」

 

「はい師匠!」

 

「あと、晩飯ができた。来い」

 

「ありがとうございます!」

 

「……そのノリは止めろ。気持ち悪い」

 

気持ち悪くないもん。

体育会系ごっこだもん。

という冗談はおいておいて。

ご飯を食べたら、諸々確認に行かなければなるまい。

 

―――――――――――――――――――

 

「お前が龍騎か」

 

夢か現か、ライダーバトルの首謀者である神崎士郎が、仮面ライダー龍騎こと、記者見習いの城戸真司を見詰めていた。

そして、その神崎士郎の後ろに居るのが、俺の世を忍ぶ仮の姿である疑似ライダーシステム『陽炎』である。

恐らくだが、今の所は神崎士郎にも城戸真司にも気づかれていない。

クリアーベント……が、うまいことカード化されなかったものの、ロードインパルスが保護色で背景に心なしか溶け込む事ができるようになったので、保護色使用中のロードインパルスの稼働状態を解析し、スーツの方に搭載したのだ。

昼夜を問わず戦闘中の高速行動には背景映像の投影が間に合わず、昼間ともなれば歪んだ鏡の様な状態で認識されてしまうだけの凄く自己主張を激しくするだけの機能だが、夜中に暗がりでひっそりと人の背後に佇んでいる分にはなかなかバレない。

 

「言っておく」

 

神崎士郎に限らず、人間には五感の他に磁気を感じ取る器官が存在しており、それが俗にいう気配と呼ばれるものの正体であるなどと言われているが……。

城戸真司とは微妙に距離があり、肝心の神崎士郎はそもそも既に生身の肉体が存在しない。

故に、この日この時、城戸真司こと仮面ライダー龍騎にバトル参加者の義務と大まかなルールを伝えに来たこの時に限れば、城戸真司が見える場所に潜み、神崎士郎が近づいてきたのを確認した上で、呼吸を止めて足音を消して背後にピッタリと張り付く様に歩く事で、この場面に乱入する事が可能なのだ。

 

「最後に」

 

因みに、

 

「存在できるライダーは」

 

この様に一言一言区切りながら色々な場所から城戸真司に語りかけている様に見えるが、その実神崎士郎は一歩も動いていない。

そもそもが不確かなミラーワールド側の実体しか持たない神崎士郎は常にその肉体を維持できているわけでもない為、ミラーワールドの外から観測できる方向やタイミングを意図的に制限できてしまう。

故に、位置的には現実世界側の城戸真司周辺に立っており、現実側で自らの姿が映る鏡面に向けて身体をくるくる回したり顔をあちこちに向けたりして色々な方向から語り掛けている様に見せているのである。

どういう意図があるかは不明だ。

 

「ただ一人」

 

……というか、どの鏡面に映るかが不安定である為、神崎士郎側も現実側から観測される為に工夫した結果、という事なのだろう。

ミラーワールド側の存在になっていると見られる神崎士郎の存在は酷く不確かだ。

一つの目的を果たすための強靭な意思が、彼の存在を現実に繋ぎ止めていると見ていい。

生命エネルギーの量や強さでいえば、一般的なアギトやギルス、或いはマラークなどの方が余程強く、一般人のそれと大差ないか、目覚めかけのまま目覚めきれない超能力者候補程度。

 

「ライダーを、倒すんだ」

 

そういう面で見れば、彼も執念の人だ。

俺は、基本的に自分以外を守る事があったとしても、最終的には自分を守るためという理由がある。

守るとしても、その人が居なくなると自分が傷付くから、寂しいから、知らん相手なら、見殺しにすると風評が悪くなるから。

完全にその人が損なわれないのであれば、俺はその相手を元の形から酷く遠ざけてしまうのも仕方がないと思ってしまう。

が、彼は神崎優衣に、手段はともかくとして、表の世界で普通の人間として生きていけるように計らっている。

それも、自分の命や人生を投げ捨ててまで、だ。

正直、この間のタイムベントに関してはこの野郎お前ほんとにクソが殴るぞと思う事も無いではない。

無いが、それを差し引いても尊敬できる相手の一人だなぁとは思うのだ。

 

「戦え」

 

「そこで質問なんですけども」

 

走ってその場、城戸真司の見える位置からフェードアウトしようとした神崎士郎と目が合う。

この後に鏡の中をランニングくらいはありそうな勢いでコートの裾を翻して走る神崎士郎は本編中でもなかなか見られないベストショットだ。

が、振り向いた瞬間に息も掛かりそうな位置に仮面ライダーが居るという状況は想定していなかったのか、目を見開き思いっきりその場で走り出す姿勢のまま十センチくらい飛び上がって五十センチくらい後方に着地する神崎士郎というのもレアなのではないだろうか。

だが、俺は何も神崎士郎ベストショットアルバムを作りに来た訳ではない。

まぁこの疑似デッキで変身中の視界は後に映像媒体に落とす事も可能なので、神崎優衣と接触した時の事を考えて『お兄ちゃん近況画像』として渡しておく事もやぶさかではないが。

それはそれとして、

 

「あんたは……?」

 

「リングネームは陽炎、貴方と同じバトル参加者ですよ。そして龍騎の人、この話は恐らく貴方にとっても重要な話になります」

 

遠方から戦闘音が聞こえる。

視界の端にはロードインパルスの子機から入った戦闘映像のワイプが浮かんでおり、この場に向かおうとガルド系ミラーモンスターが交戦中だ。

どいつもこいつもなかなかに強力なようで、既に幾つかの子機は撃破されそうだ。

技術を解析するのは大好きだが自分の技術が解析されるのは大嫌いなので、動けなくなりそうな個体は最後に自爆特攻をさせて時間を稼がせる。

 

「何の話だ」

 

「ライダーの脱落の定義を確認したいです」

 

「お、おいアンタ」

 

何やら横槍を入れてこようとした城戸さんに手のひらを向けて制止する。

城戸さんは社会人なのでこの様なジェスチャを受ければ一時的に黙って様子を見てくれる程度にはマナーが出来ているのだ。

口元の肉が透明な何かに掴まれているかの如く凹んでいるなんて事はこの暗い夜道では確認できない。

ルール説明は大人しく聞かなければならない、みんな知っている社会のルール。

当然城戸さんも知っているのでそれに大人しく従っているだけなのだ。

……めっちゃジタバタしてる。

地面に足首をぶつけてくじいてはいけないので少し持ち上げておこう。

 

「十二人のライダーが戦う以上、幾らかはミラーワールドでの戦いの外で死ぬものも現れるでしょう。野良モンスターとの戦いで死ぬ間抜けも居るかもしれない。変身していない時に事故で死ぬ、病で死ぬ、当然あるでしょう」

 

「それらの場合は脱落だ」

 

「残ったデッキは?」

 

「回収し再配布する」

 

「契約モンスターは?」

 

「新たなライダーが元のそれと同じで良いと言うならそのまま使わせる」

 

「逆に、デッキと契約モンスターが破壊されて人間だけ残った場合は?」

 

ここで、神崎士郎がふと考え込む素振りを見せた。

想定していない訳ではないが、詳しくは考えていなかったのだろう。

 

「……脱落として放置するが、再びライダーに復帰するのは難しいだろう」

 

「というと?」

 

「ライダーは元々、ミラーモンスターに狙われやすい体質をしている者が多い。自らを狙うモンスターとそのまま契約する事が多いのもその為だ。だが、契約モンスターが死んだのであれば、他のミラーモンスターが喰らいに来る可能性は高い」

 

「なるほど、つまり、デッキとモンスターを破壊して、中身の人間を戦えない状態にしても」

 

「意味は無い、だろうな。無論、ライダーでなくなった人間でも、ミラーモンスターに食わせれば強化には使える」

 

「参考になります」

 

鏡の外で城戸さんがむーむー唸りながら何やら目で訴えかけようとしているが……。

もっとハッキリと言葉にしてくれないと伝わらない。

人間はエスパーではないのだ。

俺はエスパーだが。

エスパーなら念じれば通じるという訳でもない。

テレパスはちょっとわかんないですね……。

サイコキネシスとパイロキネシスとプレコグ専門なもので。

ヒーリングはあくまでモーフィングパワーで代用しているだけだし。

ほんとテレパスとかわけかわかんないです。

念じるだけで人の心がわかるとかちょっとキモいまである。

精神防壁とか張る練習しないと。

脳内の思考を暗号化するとかで良いのかな。

認識逆侵攻とかできれば良いのだが。

 

「……話は終わりか」

 

「はい、ご教授ありがとうございました」

 

ガルドシリーズの足止めをしていた子機達を一斉に突撃させ、接触と同時に自爆させる。

これで彼の迎えも時をおかずこの場に現れるだろう。

 

「これくらいなら構わない。お前はライダーバトルに積極的なようだからな」

 

ちら、と、神崎士郎の視線が城戸さんに向かう。

 

「この男は、既にライダーを三人、脱落させている」

 

微妙に言葉を選ぶ辺り、こうなる以前は善良であった可能性もある。

だが今やライダーバトルの主催者なのだから、説明責任ははっきりと果たすべきだろう。

 

「勿論、さっきの質問が不要なレベルで脱落させたので、そこは悪しからず」

 

しばし疑問符を浮かべているような顔をした城戸さんがこちらに視線をよこす。

怒りの感情が込められている。

まぁ、つい先日まで戦いと無縁の生活を送ってきていたのだから、そういう風に怒るのも無理はない。

 

「怒んないでくださいよ。少なくとも、このルールの中でのライダーになった以上、貴方に残された結末は、二つに一つ」

 

人差し指を立てる。

 

「ライダーである事を捨ててミラーモンスターに殺されるか」

 

中指を立てる。

 

「ライダーバトルの中で殺されるか」

 

「無論、勝ち残れば生き抜けるが」

 

話が続いているからか律儀に残ってくれた神崎士郎の注釈に、更に注釈を加える。

 

「その場合は、残りのライダーを直接間接問わず殺す事になります」

 

先の神崎士郎の、ミラーモンスターに狙われやすいという話が嘘だとしても、耐えられるものではないだろう。

デッキというミラーモンスターに対抗する手段が無い状態で、ミラーモンスターという生き物が存在する世界で暮らすというのはどんな気分なのだろうか。

あらゆる鏡面を避けながら生活すれば、というのも現実的ではない。

水がある程度広がってしまえばそれで十分に鏡面として作用するのだ。

肉食獣が放し飼いにされているサファリパークで生活するようなものだ。

運良くミラーモンスターにその後狙われないとしても、生きている間はひたすら怯え続けることだろう。

その事に考えが至っているかどうかはともかく、城戸さんは戸惑う様に静かになってしまった。

心なしか顔が青い。

……空気穴はあるので窒息している訳ではないと思うのだが、大丈夫だろうか。

 

「戦いって言っても色々ありますから、即座に全員が一同に会して殺し合うって事もありません。契約モンスターに餌を与えながら、どうするか考える程度の時間はありますよ」

 

今度こそ説明が必要な部分が終わった為か、神崎士郎は考え込む城戸さんを尻目に静かに足音を殺しつつその場を離れて物陰に入り込んでいく。

あの裏手には神崎士郎がこの間も乗っていたバイクが止めてあるのだ。

盗難の恐れがないので鍵は掛けていないし、恐らく事故で死亡することもないのでヘルメットもつけていない。

そして基本ミラーワールドは無人なので走っていて気持ちが良い。

彼の隠れた趣味なのかもしれない。

そうでないならバイクにする必要ないものね、ライドシューター。

 

話は終わった。

これ以上此処に居ても何のメリットも無い。

カフェ・マル・ダムールも閉まっちゃっている時間だから寄り道もできない!

コンビニやら牛丼屋とかなら開いているけど寄る理由も無いし。

夜のいかがわしいお店は未成年なので入るのもあれだし。

キラキラ輝いているお城の様なホテルは内部設備が楽しそうなので今度プライベートでジルや難波さんを連れてくるとして。

少し散策したらお家に帰ろう。

城戸さんを投げ捨──地面に降ろし、手をひらひらと振る。

 

「では、俺もこれで。また会いましょう」

 

勿論、その時に城戸さんが生きていれば、の話ではあるのだが。

戦闘のセンスは妙に良いので、そうそう死にはしないだろう。

 

「……なぁ、あんたも、やっぱり、願いがあるのか?」

 

立ち去ろうとする俺に、城戸さんが声を投げてきた。

 

「それは秋山蓮氏の様な、という問いですか?」

 

頷く。

……む、カマかけのつもりが、あっさり頷かれてしまった。

この時点で城戸さんは何故か秋山さんの参戦理由を承知しているらしい。

 

「あるけど、秘密です」

 

「……そっか、そりゃそうだよな」

 

「ああ、いや、そういう深刻なプライベートの話だからとかではなくてですね」

 

言ってしまってもいいのだが……。

まだ主催者である神崎士郎にも話していない願いを参加者に過ぎない城戸さんに話す理由が一個もないし、話したところで何の得にもならないし何かしらの役にも立たないだろうし、だからといって嘘の参加理由を語るメリットもないってだけなのだが。

あえて、あえて理由を挙げるとするならば。

 

「俺が願いを叶えた時、貴方はもう死んでいるので、話してもあんまり意味が無いんです」

 

勿論、抹殺宣言とかそういうあれではなくて。

ただの、何の嘘偽りもないミラーワールドのライダーバトルにおける真理というものだ。

 

―――――――――――――――――――

 

ううむ。

あの真剣そうな、しかし、怒りを向ければいいのか戸惑えばいいのかわからない表情はまさに仮面ライダーと言ったところだろうか。

この年における仮面ライダーという言葉は、バトルロイヤルの参加者という意味でしか使われていないが、戸惑いや矛盾、厳しい宿命を抱えながらそれでも戦い続けるという姿勢は普遍的な仮面ライダー感とも矛盾しない。

システムとしての仮面ライダーは十三人存在するが、概念的な仮面ライダーに該当するのは彼と秋山さんくらいなものだろう。

自らの命を永らえる為にしかし戦いという死地に向かわなければならないという点では北岡秀一なども含まれるかもしれないが。

占い師さんはどうか知らん。

色々と難しい人だとは思う。

 

とはいえ、言質は取った。

デッキとモンスターを破壊しただけでは脱落とは言えない、なんて言われたらどうしようかとも思ったが。

最終的に中身は死ぬのでオッケーという事であれば、ライダーバトル自体は恐ろしく単純に短縮する事ができる。

当然、ミラーワールドでの本格的な活動を始めたばかりの現時点でバトルを省略する理由は無いが、後々道中のライダーバトルが時間を取るだけの作業と化してしまった時に省略が可能となれば面倒が無くて良い。

 

そして、ライダーの中の人問題。

単純に殺害し、消滅させる理由が無いなら生かしておこうとも思ったが。

後々に結局食い殺されるのであれば、これらも有効活用しない手は無い。

とりあえず、次に狙うライダーを使って、色々と実験をしてみよう。

ただ……。

 

「暫くは、休もう」

 

最終的に、全ライダーの契約モンスターを食べさせたり、戦って色々な戦法を学ぶのもプラスではあるのだが。

毎度毎度俺だけが全てのライダーを倒す、というのは、なんというか、不公平に思う。

しばし、同士討ちする可能性を考えて放置しても文句は出まい。

既に三人倒しているのだし。

 

さて。

あとは、適当に目撃者も居ない監視カメラも無い様な、公衆便所にでも入って、そこからワープして帰れば終わりだ。

デッキを研究所に置いてくる必要があるが、明日一日は完全にフリーにできる。

最近の休日は結構ライダーバトルの準備に時間を費やしてしまったので、久しぶりに自由に遊びに行ったりもしたい。

……いや、時系列的にはそれほど友達と遊びに行っていない訳でもないのだったか。

その辺の感覚もすり合わせていかないとテンションに変な差が産まれて変な空気になってしまうかもしれない。

なかなか難しいものだ。

タイムベントで記憶を失うのも嫌だが、あまり時間を巻き戻されると周囲との時間間隔のズレで日常生活に支障が出てしまう。

少し気をつければ良い話ではあるのだが……。

 

「む」

 

人の気配、よりも早く、市街地に不釣り合いな金属音。

もうそろそろ春なので暴走族が抗争でもやっているのかと思ったが、明らかにチンピラが揃えられる武器の出すものではない音が混じっている。

しかも路上、というより、転移の使用地点として目をつけていた公園に近い。

カラーギャングとかだろうか。

ニュースでちらほら耳にする時期が近づいてきているし。

野生の人類敵対種族が存在するにもかかわらず夜に刃物一つ二つ、銃器あるかないかという状態で徒党を組んで屯するというのは、なかなかに命知らずな連中だと思う。

いや、生き残るためには徒党を組む方が良いのか、小魚の群れの様な感じで。

 

だが、迷惑な話だ。

別の公園も無いではないが、無駄に転移地点を潰されるのは問題が有る。

かといってロードインパルスに食わせる訳にもいかないし、陽炎の状態は正体バレも考慮しているのでこれで始末する訳にも行かない。

適当なミラーモンスターでも誘導するか……?

試しでマラークの一つでも作っておくべきだったか。

そうすればアンノウン案件で方がついたものを。

 

音のする公園を覗き込む。

が、公園にはそれほど人影は無い。

そこには、暗い中でも奇妙に目立つ薄暗くもカラフルな配色の怪物。

ファンガイアだ。

初めて見た。

知らん型だな。

写メを……撮る必要はないか。

そして俺が始末する必要もない。

相対する戦士が存在している。

イクサの人だ。

彼女の戦闘力は普段の身のこなしから大体理解できている。

あの程度の相手に遅れをとる事もあるまい。

 

……と、思ったのだが。

様子がおかしい。

ムチのような武器で戦ってはいるものの、一向に変身する気配が無い。

実は俺の勘違いでイクサの人はイクサでは無かった、という事も無いだろう。

家にお邪魔した時にわりとチラ見えしたりはしたのだ。

洗濯待ちの下着の山とかの中に放り込まれて隠されていたので手を出せなかったが。

 

整備中か何かだろうか。

完全に無整備無補給で使える装備ではあるまい。

その隙を、狙われたのか偶然に悪いタイミングで遭遇してしまったのか。

 

「………………やむなし」

 

そもそも、この時期での出来事だ。

何かあったとしても、ライダーバトルが終われば無かったことになる。

元々そういう予定でもあったし。

たまには寄り道も良いだろう。

ペットボトルの蓋を開け、もう片方の手にはデッキを構え、公園に脚を踏み入れる。

態とらしく足音を鳴らしながら。

闖入者の存在に気付いたのは、知らんファンガイアが先か、それともイクサの人が先か。

 

「!!」

 

イクサの人の視線がこちらに向かい、顔には驚愕の表情が浮かぶ。

暗がりだから誰かまではわからない可能性があるが……。

 

「交路くん、逃げなさい!」

 

目が良い。

流石だ。

イクサとして活動しているだけはある。

素直に良い戦士だと思える。

 

頭上に僅かに遅れて奇妙な気配。

吸命牙だ。

こちらは遅い。

余裕があると言っていいのか悪いのか。

勿論悪い。

こういうのは、遅い、というよりも、()()と言う。

首元目掛けて落ちてきた半透明の牙。

 

「ふん」

 

一歩下がり、腕で払い除け、砕く。

()()

()()()()()

こんなもので、必要かと言えばそうでもない、本能的な行動で人の命を喰らおうなど。

悍ましい。

生かしておく理由が一切ない上に。

殺す理由だけは山程ある。

 

ペットボトルの水を地面にぶちまけ、出来た水たまりにデッキをかざす。

鏡面からVバックルが現れ、装着。

装填。

 

「変身」

 

驚愕の表情を浮かべるイクサの人。

ファンガイアの方はなんとも言えない曖昧な反応だ。

元が人間である以上、自分の敵ではないと思っているのだろう。

所詮は餌だ、とでも。

 

改めて思うに。

ライダーバトルの最中ではあるが。

こいつらは見つけ次第、早々に始末してしまおう。

 

太腿から短剣──ビーストマスターソードを振るい、鞭状にして、地面に叩きつける。

 

「ロードインパルス」

 

ごぉ、と、俺の意思を酌むように、闘志に溢れた咆哮を響かせる。

良い子だ。

ちょうどいい。

()()()()()()()()()()()()()()

そうなったなら。

 

「少し早いが、夜食の時間だ」

 

 

 

 

 

 

 





ランチパック!(オルフェノク味)
ランチパック!(魔化魍味)
ランチパック!(ミラーモンスター味)
ランチパック!(ファンガイア味)←NEW!

こんな引きしてるけど次回は恐らく何事もなく龍騎編の続き
だってこの話は龍騎編だもの……
オリキャラ全面に出しすぎると色々言われるしね
え、ヒロイン?
ヒロインは良いんですよヒロインは
あとオリファンガイアも殺される役で度々出るかもしれません
母数が少ないからそんなには出ないけど

☆普段は師匠相手でも普通に接してるけど、兄弟子達の振る舞いを見てちょっと体育会系ぶってみたかったりするマン
キラキラ笑顔は仮面で見えなかったが普段を知ってる師匠からすると不気味なので怒られた、悲しい
兄弟子達もなんやかや大事に思っている
先輩だしね
そのうち兄弟子達に都会は危険なところですとか言いながら擬似デッキを配布し始めたりするかもしれない
一応神崎士郎の詳しい場所はわからないまでも近くに居るか居ないかくらいはわかるのでまだライダーバトル陣営には正体バレしていない
正体バレると連鎖的に残虐な本性もイクサの人にバレちゃうけどそこんとこをどう考えてるかはわかんない
俺がわからなかったら誰がわかると言うのだろうか……?
答えは明日以降の俺が知っているのだ

☆良妻賢母ロードインパルスくん
良妻とか賢母とか言いながら君付けなのはなんでなのか
メカなのでオスメス関係ない筈だが

おれは知らない
あしたの俺が知ってる
したいは食べない
すききらいは無い

つまり龍騎編心のオアシスになる存在なのだ
実は魔化魍はそれほど好きじゃないけど食えないでもないので齧ってる感じ
ガムみたいなもの
噛んだ感触は好き
尻尾の先にフープが付いて可愛さアップの秘訣なのだ
食った相手によって武装が増えたりする
ガイのミラモン食べようガイのミラモン、とっつき欲しい
蟹を二回食ってるのでアビスクローラーのハサミは使える筈
ファンガイアはぱりぱりして美味しかったそうな
ミラワ以外で戦えないと思いきや、基礎設計で擬似デッキが組み込まれている疑似ライダーでもあるお蔭で、時間制限付きながら普通の世界でも戦える
因みにデッキは複数搭載なので活動時間はけっこうあるぞ!
段階的にデッキを使って変身を繰り返しているので実は制限時間はそれほど気にしなくても良い
戦いは数だよ

☆子機
戦いは数を体現した様な連中
ここに空飛ぶドラゴンみたいなのとか顎がチェーンソーなどでかい恐竜みたいのも加わっていく予定
やはり戦いは数
目指せトンボ型事前撲滅
新しいヘキサギアが増える度にバリエーションが増えます

☆心臓バクバクでも表情はそんなに変わらない神崎士郎
ボロボロになったガルド系モンスターたちをみて、あいつもしかしてヤバイ奴なのでは……?
そう思いつつも現状しっかりライダーバトルを進めている唯一のライダーなのでヨシとしている
殺せるか殺せないかの確認
ヨシッ!
心がしんどい時は無人のミラーワールドをライドシューターとか普通バイクとかでアスファルトタイヤで切りつけながら走り抜けてる感じ
待ってろよ優衣……とか呟きながら優衣の明るい未来を想像しながら走るハイウェイは最高なのだ
偶に人知れず事故る

☆突如として現れた新たなライダーに戦々恐々する新人記者キッドさん
終始敬語だし
主催者にもなんか気安いし
あっけらかんと人を殺した話をするし
挙句の果てに別れ際に遠回しにお前も殺す宣言されるし
和解とかできるのか……?
という疑問が浮かび上がる
頑張れ♡頑張れ♡
今年は頑張っても死ぬし頑張らなければ死ぬぞ

☆イクサの整備中に夜の散歩をしていたら運悪くファンガイアの捕食シーンに遭遇してしまい思わずファンガイアバスター一丁で立ち向かってしまう正義感溢れる綺麗なお姉さん
当然の如くピンチになったが、突如として現れた最近知り合った先輩の息子さんが謎アイテムで謎変身をして代わりに戦ってくれるぞ!
どういう心境になるんだろうか
戦闘シーンから溢れ出る歴戦感とか残虐超人感にどう思うかも不明
部屋に連れ込んだのは前の周が初めてではないが、毎度イクサのベルトは下着の山とかタンスの中に隠しているのでセーフ
当然の話だが龍騎編とは関係ない人なので次回の冒頭でこの人からの事情聴取から話が始まったりはしない
次に会う時に少しだけぎこちなくなるけどそれくらいじゃない?
主人公が介入しない場合この時期にベルトだけを残して失踪する
つまり確定イベントなので毎度介入する事になるかもしれない
描写するかは未定
全て無かったことになるのはライダーバトル関連だけなので、最終週とかにもこの人を助けてたらループ開けでも変身できることとか助けられた事は覚えてるんやで
見捨てるとイクサの所在がわからんくなるし、ママンの知り合いっぽいし、知らん仲でもないので多分助ける
でも来年は555やからね、出番が増えたりはしない
人の命は地球の未来!
つまりイクサの人の命を一つ救う事で無限の未来が救われるのは確定的に明らか
完全に人類の科学力のみで戦うところは共通点あったりする




なんかここに書こうと思ったけど
ほぼただの説明回なので書く事が無いです
だから関係ない事書きます
dアニメストアで学園戦記ムリョウ見れるからみんなも見よう
正直な話色んなアニメの中で1,2を争うくらい好き
非戦闘系主人公の完成形みたいな子がヨシ
最強系主人公の鏡みたいな子もヨシ
おでこツインテ朴ロ美ヒロインもヨシ
兎にも角にも作中の空気感が優しくてヨシ
主題歌EDBGMと全て最高
守り人というか天網流の極意はそのうちさり気なくこのSSにも出してあげたい
うちの主人公にはくっそ似合わないが
悪い解釈をすれば言葉の一つとしては使える
夏休みとかに良く似合うアニメだと思います
もう社会人だから夏休み無いけどな
うん……………………うん……
夏休みがある社会人は滅べ
嘘、滅ばないで♡
平日がランダムに休みなシフト制なのは実は気に入ってるのだ
かっぱ寿司の食べホーとか気軽に行けるし
そういえばリニューアルした近所のはま寿司が回転寿司ではなくなっていた
なんだろうあれ……ベルト寿司?
割りと画期的な作りだったなぁあれ
説明しにくい構造だった
なんなんだろう、便利だけども……

そんな訳で、次回もなんかあれこれあるかもだけど気長にお待ち下さい

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