オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版)   作:ぐにょり

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68 ベターエンド、ビターエンド

全くの余談ではあるのだが。

この時代、例えば去年で言えば、全国の病院で合わせて34万を超える無垢な命が意図的に、法律に触れる事もなく、生まれる前にその生命を奪われている。

だが、そもそも命とは何時から命と呼ばれるに足る存在になるのだろうか。

精子と卵子が出会った瞬間か?

胎児に脳にあたる部分が発生した瞬間か?

人の赤子であると見て取れる程に見た目が整った瞬間か?

産道から放り出されて肌を刺す外気に脆弱な皮膚を晒した瞬間か?

この恐ろしい世界に産まれた恐怖で絶叫と共に泣き始めた瞬間か?

或いは、命とそうでないものの区別など無いのか。

 

生の始まりは化学反応にすぎず。

精神は神経細胞の火花にすぎず。

人間の存在はただの記憶情報の影にすぎないのか。

 

いや、違う。

確かに人間という生き物は無数の原子の塊に過ぎないのかもしれない。

だが、この世界には、恐るべき事に、神が居る。

そして、魂というものが明確な形で存在できている。

 

恐ろしい話だ。

こんな、物によってはカップ一つに収まる程度の肉の塊、現代の医術にかかればものの十数分で胎内から除去されてしまう。

それだけで、この世に生まれ落ちることすら出来ずに終わりにされてしまう。

俺も、母さんから産まれなければ、或いは、望まれる事がなければ、自我を再発生させる間もなく、無明の闇に沈んでいたのだろう。

或いは……この肉片もまた、俺と同じ身の上で、この世界に立つ可能性があったのだろうか。

生まれ落ち、自らを開発し、その中で、未確認生命体やアンノウンといった驚異を発見し、恐れ、或いは立ち向かう為に力を求めたのだろうか。

 

容器の中の、元が何なのかもわからない様な肉片が、巻き戻るようにして未熟な原型を取り戻していく。

意思は感じられない。

何らかの記憶を持つ魂では無いのか、それとも、魂だけがあっても思考を紡ぐには不足なのか。

いや、そもそもこれは形を取り繕っただけの死肉に過ぎない。

赤い煙が胎児達の死体を包み込む。

 

魔石とは。

すなわち、人間の可能性の一端を物質化したものだ。

テオスの似姿である人間が、進化の果てにテオスにたどり着く可能性。

テオスに至るまでの無数の道筋の具現だ。

アギトの力が光のテオスの成れの果ての欠片だとすれば、これなるはあらゆる人間の中に存在するテオスの力の断片と言っていい。

それは鬼であったり。

異形の超能力者であったり。

グロンギであったり。

魔法使いの適正を持つ人間であったり。

人という枠を越えていく可能性。

 

それは例えそこに至らず終わりを迎えた命であっても、決して失う事はない。

例え法の上で命とすら認められずとも、それには確かに無限の未来があったという証なのだ。

誰にも望まれず、産まれる事も、祝福される事も、呪われる事も、この世界の悪意に怯える事すらできなかったとしても。

確かに世界を動かし、未来を変える力を持っているのだ。

 

ぎち、ぎち、と、硬いものが擦れ合う音が響く。

当然の様に、そこには無数の異形がひしめく。

サイズとしては手のひら程も無い、手足すらない未熟な異形の子ら。

魔石の戦士と呼ぶのも憚られる、魔石の子供達。

 

魔石には、それを体内に有する生き物の老化を抑制する効果がある。

だが、これはあくまでも、戦いに適した最高の状態の形を維持する為のものだ。

更に、モーフィングパワーは使用者の意図を汲むが、半ば自立している部分もある。

食べ物を摂取する事すらできず、へその緒すら無い、尋常の生物であれば死を待つばかりの状態だが、こうなった以上、殺されでもしない限りは死ぬ事はそう無い。

大気中から、或いは周辺の塵などを魔石がモーフィングパワーで宿主の体を成熟させるのに必要な要素に組み直し、半自動的に取り込ませていくだろう。

 

或いは。

或いは。

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完全な無垢の魔石の子らだが、魔石を持つが故に学習能力は高い。

成長速度も通常母体の中で育つよりも迅速だろう。

魔石が与える脳への働きを少し弄ってやれば、裏切らず、情報を漏らさない最高の兵士を作り上げる事もできるだろう。

また、恐らくこれまでの歴史の中で存在したあらゆる魔石の戦士たちの中でも最も早い段階で魔石と繋がっている為、耐性も高いものとなる。

ガドル級、下手をすれば、ダグバ級に優るとも劣らない兵隊を量産できてしまうかもしれない。

そして、現状の日本では、年間30万を超えるこれらと同じ境遇の()()が廃棄され続けている。

ばれない程度に掠め取って行っても、軍団と言っていい数を揃えるのには十分な母数だ。

そうとなれば、俺の安全性はかなり高くなる。

高くなるが……。

 

倫理的にね。

流石に問題がある。

昭和の仮面の戦士達が大集合して巨大なシルエットと化した俺に向けて一斉にライダーキックを放つ絵図が見えるようだ。

まだ年号が変わるには早いのに大きめの板には何と文字が刻まれるのか。

勝訴とでも刻まれればいいが、敗訴となれば目も当てられん。

 

そもそもの話として、ベルトから脳へのリンクを弄って……などと言うが。

天然自然の天才科学者を山程揃え、効率重視で非人道的な実験を繰り返し、脳改造を技術として確立している大規模組織ですら、仮面ライダーなどという特大級のエラーを吐き出して自滅しているのだ。

個人でやって上手くいくとは思えないとは言わないが、何処かで確実に失敗する。

 

大体にして、自らの欲望を持たず誰かに機械的に忠誠を誓う魔石の戦士なぞ、実際目の前に並べられてもさしたる驚異にはならないだろう。

俺の命を脅かす敵が現れたのならそれは自動的に俺よりも強いということになる。

俺ですら脅威に感じられない雑兵の群れが何の役に立つだろうか。

魔石の戦士の強さは高い学習能力、生命力、封印エネルギーなど多岐に渡るが、その根源にあるのが何かと言われれば間違いなく自らに秘められた可能性を引き出す為の我の強さというものが重要になるだろう。

事実、後の世で現れたダグバと瓜二つの存在達は、俺の知るダグバの面影が一切無いレベルの不甲斐ない戦いしか出来ていない。

他のダミーボスみたいな連中と一緒にわらわらと駆け寄って何の工夫もなく大振りに拳を振りかざすダグバなど失笑ものでしかない。

 

誰かに操られる程度に脳活動レベルの低い我の弱い魔石の戦士など、どれほど魔石の力を引き出していたとしても戦士としてゴオマ未満と言っていい。

所謂、再生怪人弱すぎ問題というものだ。

 

なので、この世界にDCDが来たとして、大ショッカーでダグバのまがい物がグロンギ代表みたいな面で参加していたのであれば、不本意ながらその情けないまがい物には退場して頂き、俺がネオグロンギトッププレイヤーとして穴埋めをさせてもらうことになるだろう。

それが、旧トッププレイヤーを廃して上り詰め、知識と技術を受け継いだ者としての義理というものだ。

安心して欲しい、今は手動でしか増やせないヘキサギアだが、時間制御技術を手に入れる過程でついでにミラーワールドを占拠した暁にはミラーワールドでも稼働できる製造工場を建設し、必ずやミラーワールド側の世界を端から端まで機械の獣が跳梁跋扈する強くてかっこいい世界にして尖兵として引き連れていく事ができるようにする。

できれば建設物も機械製の超巨大樹木(トーチカや各種ヘキサギアの修復装置など機能も持たせたい)に変えたいのだが、そこはおいおい詰めていくことになるだろう。

 

そうすると主力は機械獣(ヘキサギア)となるわけだが、名前はネオグロンギで通していいものなのだろうか。

機械化帝国と名乗るには俺自身が機械化されていないし。

超獣王国……ンはキングでなくチャンプに近い立場だし。

財団Xや財団Bに対抗する為に財団KOTOBUKI……相変わらず俺自身に縁もゆかりも無いし。

いっそ来歴や内容は無視して、未来への情報撹乱として超古代縄文人とかBADANとか名乗ったりした方がいいのか。

 

少し話が逸れたか。

 

実際、赤子ですらない無垢の魂であれば、多少の欠損は成長の過程で、それこそ、本来生まれ落ちる程度のサイズにまで成長するまでに治る可能性もある。

だから、50人分の無垢の魂から少しづつ削り取って、小川恵里の魂の補修に当てれば、とも思わないでもない。

なんなら赤子程度にまで成長したらこちらからの干渉で変身を解除させて各地の孤児院なりに転移で預けて……とも思ったのだが。

魔石の位置情報である程度把握できるとはいえ、適合率の高い魔石の戦士を完全に手の届かないところで成長させるのは不安が残る。

戦士達に察知された時点で出処を発見される危険性がある以上、各地への放流はできない。

 

まぁ、どうせ間違いなくこのループで終わりとはならないので、ループした時点で全てが無かった事になる。

俺の目的達成の為の実験体として使う代償として、本来なら見れなかったであろう産まれてきたなら見れただろう未来を多少なり見せてやろうとも思ったのだが……。

危険を犯してまで立てるような義理でもないか。

 

実験台の上に置かれ、ギチギチと音を立てながら動けるように体を再構成していく実験体達。

それらに手を向け、念じる。

ぽこん、ぽこん、と、常人の耳には届かない音を立てながら、常人の目には映らないエネルギーが抜け出していく。

肉体を経て情報を吸収していない為か、野生動物に魔石を組み込んで作った変異体よりも魂を抜き出す感触が軽い。

エネルギーを抜き出された肉体は変異を止め、動かなくなる。

それでも死んでいないのは紛れもなく魔石の補助のお陰だろう。

放っておけば、それこそ魂も無く、完全に頭脳と魔石の補助だけで動く無魂人間が完成するのだろうが……。

 

死体が瞬間的に灰になる。

ここがループの中でなければ、これらの半死体からも魔石を回収するのだが。

できないのであれば、残しておいても実験の証拠になるだけ。

プラズマ化というのはあくまでもダグバのお遊び。

やろうと思えばこのように過程を省いてしまえる。

 

「ありがとう。大切に使わせてもらう」

 

五十あまりの水子の魂。

小川恵里の魂の不足分の補填に使うにしてもあまりに多い。

が、そもそもの話、魂を抜き出す実験はしていても、欠損した魂を他所から持ってきた魂で修復する実験なぞ思いついたことすら無い。

修復を成功させるまでの試行錯誤を考えれば、これで足りるかどうか……。

 

―――――――――――――――――――

 

小川恵里が目を覚ました。

昏睡の理由も不明、目覚めるかも不明で、しかし、このままでは目覚める事も無いだろうと言われていた患者の目覚めに担当医は首を傾げたが、幾ら調べても原因は不明。

そしてその知らせはやはり、恋人である秋山蓮の元へ素早く届けられた。

バイクを飛ばし、受付での手続きすらもどかしいとばかりに恵里の入院する病室に駆け込む蓮。

 

「あ……蓮」

 

慌ただしく病室に乗り込んできた蓮に、恵里が窓の外を向いていた顔を向け、ふわり、と、微笑んだ。

次いで、口を開き、閉じる。

 

「恵里……!」

 

蓮は衝動的にその体を抱きしめる。

本来であれば、秋山蓮という男はここまで直情的に、情熱的に恋人を抱きしめる様な男ではない。

まして意識が戻った原因も不明となれば、ライダーバトルで優勝して完全に回復させるまでは会わない……つもりで、最終的に耐えきれずに裸足のまま海に連れ出してしまう、そんな程度には不器用な男だ。

 

だが、ここに至るまでの秋山蓮の道のりというものは穏やかなものではない。

恋人を目覚めさせるためにライダーになったにも関わらず、戦闘直後、変身解除直後の隙を襲われての気絶、デッキの紛失。

ライダーを倒し……殺して勝ち残る筈が、次々とあっけなく殺されていくライダー達。

多くのライダーが殺されたという神崎士郎からの情報に、悍ましさを感じてしまったのが致命的だった。

ライダー同士が躊躇なく殺し合いを行い、実際にあっけないくらいに死んでいくという現実。

焦り、恐怖、そのどちらでもない、殺人への忌避。

願いを叶えるための戦いに必須と言える殺人を許容したつもりで、しかし、心の底ではどうしても受け入れられない自分への失望。

 

その矢先だ。

小川恵里が目覚めた。

自分が勝ち残り、願いを叶えるまでもなく。

 

秋山蓮の心は、ここに至り、グズグズになるほどに混迷を極めていた。

 

―――――――――――――――――――

 

病院の中庭で、恵里と蓮がベンチに座って談笑している。

少し前までの秋山蓮を知る者ならば自分の目を疑う光景だろう。

いや、ライダーバトルが始まる前、小川恵里とそれなりに平穏に過ごしていた時期の彼を知る人物だとしても、その大半は目を疑うか。

秋山蓮は恋人の為に殺し合いに挑む事が出来るほどに情は厚いが、それ以前に荒っぽい人間でもある。

子供時代、青春時代と荒れた人生を送ってきた蓮にとって、彼の事を知る人間とは彼と何らかの形で衝突した人間でしか無かった。

 

だが、今では例外が少なからず存在する。

恋人と戯れる二人を遠くから見つめる二人の男女と、今は別行動を取っている一人だ。

 

「良かったなぁ、蓮のやつ」

 

ウンウンと訳知り顔で嬉しそうに頷くのは伸ばしっぱなしの茶髪の男、OREジャーナルの見習い記者にして仮面ライダー龍騎のデッキを持つ城戸真司。

真司と蓮の付き合いは未だ半年程度でしかないが、不器用かつ天然かつ単細胞かつ直情的で気になったものには首をつっこんで行かなければ気がすまない性格だからこそ、秋山蓮とそれなりに友好的にやれている。

今は別行動を取っている仲間の一人である占い師の男から以前より秋山蓮の願いを教えられており、蓮にライダーバトルを止めるように言いつつも、では蓮の恋人はどうなるのかと頭を悩ませる優しい青年でもあった。

 

だからこそ、蓮の恋人がこうして目覚めた事に素直に喜んでいるのだ。

これで蓮は無理にライダーバトルを続けて願いを叶える必要も無い。

人殺しをする必要もなくなり、あとは恋人と幸せに暮らすだけ。

そして残りのライダーも僅かとなれば、話し合いで解決する目も出てくる。

真司自身は戦いを止めること、ライダーの命を失わせないというのが願いだが、これはライダーバトルが平穏に終わるなり中止になるなりすれば叶う。

別行動中の仲間、占い師の手塚海之もまた、友人が死ぬきっかけになったライダーバトルを止めたいという願いを抱いている。

なんとなれば、知らぬ間に戦いを繰り広げた他のライダーたちの生き残りが害のない願いを抱いていれば、そいつに勝ちを譲っても良いだろうとも思う。

そうすれば、戦いも終わる。

神崎が何を目的としてライダーバトルなんてことをやらせているかは知らないけれど、そういう形でライダーバトルが終われば文句は無いはずだ。

 

「そうね、リハビリとかは大変かもだけど」

 

少し心配そうに頷く優衣。

そう、小川恵里は原因不明の昏睡状態から目を覚ましたが、それは彼女が完全に回復したという訳ではない。

長らく昏睡状態であった後遺症か、目覚めた小川恵里は断片的な記憶喪失に陥っていたのである。

自分のことがわからない、という訳ではない。

自分が小川恵里であるということは覚えている。

しかし。

日常会話に使われる単語が。

世間一般で常識とされている幾つもの知識が。

自分の人生の一部分が。

或いは出来て当たり前の身体の動作まで。

どれもこれも、脈絡なく、まるでパズルのピースをランダムに引き抜いた様に、知識や記憶に無数の歯抜けが見られていたのである。

 

誰かと過ごした記憶すら虫食いの様に穴だらけであり、日常生活を送る上で必要な知識も、どこが抜けているかわからない程度には欠けている。

一見して、あるいは多少会話をしてみればまるで以前のように生活できるように見えても、何時どこで思い出せない記憶が出てくるか。

だが、逆に言えば異常はそれだけだ。

忘れた記憶も、思い出すことこそ出来ていないが、新たに覚える事はできる。

少なくとも日常生活を送るのに不可欠な動作や常識などを覚え直せば、直ぐにでも退院もできるだろう。

 

彼女自身に身寄りこそ無いが、彼女には傍らで支えてくれる恋人が居る。

欠けた記憶の中で、恋人である秋山蓮との関係性を比較的多く覚えていたのは奇跡と言っていいだろう。

二人の大事な記憶が欠けてしまっていたとしても、二人が揃っているのであれば、これからまた幸せな記憶を重ねていけるのだ。

 

「あとはライダーバトルを無事に切り抜けるだけですね」

 

「そうそ……うわぁっ!」

 

ごく自然に会話に混ざった聞き覚えの無い声に勢いのまま頷いた真司がふと振り返ると、優衣の背後に見知らぬライダーが季節外れのコートに身を包み、目深に被った帽子で顔を隠して並んでいる。

大きめのコートでざっくりと全身を隠しているとはいえ、狼の意匠を施された装甲を身に纏うその姿は真司にとって馴染みが無い。

いや、そもそもの話として、真司は蓮と手塚以外のライダーを殆ど知らない。

神崎士郎から、自分たち以外のライダーは順当に戦いを繰り広げて数を減らし続けていると聞いてはいたが……。

 

「どうも、はじめまして」

 

帽子を脱ぎ、胸元に当てて軽く会釈をする謎のライダー。

 

「は、はじめまして……じゃなくて、何のようだよ!」

 

「勿論、ライダーがライダーに会いに来たのですから、ライダーバトルに決まっていますでしょう?」

 

「……俺は、やらないぞ」

 

「ご自由に。でも、あの方は?」

 

慇懃な態度の新たなライダーに真司が憮然とした態度で答えると、謎のライダーの視線はちら、と、蓮と小川恵里に向けられる。

変身済みのライダーが居るにも関わらず蓮が何の反応も示せないのは、ライダーがミラーワールドではなく現実側に居る為か、それともミラーワールドの側にモンスターが居ない為か。

 

「戦うわけ無いだろ! あいつの願いは、もう叶ってるんだ」

 

「ふうん……。まぁ、それでしたら良いのですが」

 

「無理矢理に襲ったりはするなよ」

 

「しませんよ、そんなこと。でも……他のライダーの方はどうでしょうか」

 

「どういうことだよ」

 

謎のライダーの意味深な発言に、真司が問い返す。

謎のライダーは、胸元に当てていた帽子に指を引っ掛けくるくると回しながら答える。

 

「願いが叶ったからライダーバトルはしません。……そう言って、他のライダーが潰し合うのを待って、最後の最後でだまし討ちなり何なりで生き残りを殺してしまえば、願いは叶いますよね?」

 

「蓮はそんなこと!」

 

「しない理由があるとでも? ……恋人さん、中々に難しい状態のようだ。時間が解決してくれる問題でもありますが……。願いが叶う、恋人さんの記憶が完全に戻る、となれば、戦う理由としては十分かと」

 

「……人を殺してまで、そんなことをする奴じゃない」

 

「それを生き残りのライダーさん全員が納得してくれるとでも? それはそれは」

 

声を抑えるように、小さく肩を震わせて笑う。

 

「それで? 生き残りのライダーの方全員が? 入院中の大事な恋人が記憶喪失な自称バトルリタイアライダーを見逃すと? ──丁度いい人質まで居るのに?」

 

「貴方ね!」

 

堪らず優衣が声を荒げると、謎のライダーはおうっ! と態とらしく驚いた素振りで帽子を放り投げ、まぁまぁと言いながら両手を前に向ける。

 

「私がするとは言いませんよ。……でも、参加権を持ったまま、『私はリタイアしたから放っておいてください』なんて、誰も信じちゃあくれません、って話、ね?」

 

「そりゃ、そうだろうけど……」

 

「だから、ね?」

 

ぽす、と、謎のライダーの頭に、放り投げた帽子が落ちてくる。

それを目深に被り直しながら、

 

「話し合いで解決しましょ?」

 

半笑いの声で、戯けるように告げた。

 

―――――――――――――――――――

 

魂の移植実験は上手いこと成功したものだと思う。

魂という素材には肉の器と異なり拒絶反応というものがないのか、それとも無垢も無垢な産まれてすらいない魂を使ったからか、あるいは無数の無垢の魂を混ぜたものを千切って貼り付けたからなのか。

記憶の欠落は、その記憶に相当する部分が襲ったミラモン側に保管されているから仕方がない。

だが、永続的にこれらの記憶が抜け落ちたままかと言うとそうでもないと俺は予想している。

 

この世界の生き物に魂と呼ばれるエネルギー体がセットで付属しているのは間違いないが、人類の科学が部分的に解き明かしている脳の機能もまた間違いではない。

生きていく上で得た記憶は海馬なりなんなりに記憶されているし、運動系に関する記録も小脳なりに保存されている、ハズだ。

ならば、魂の欠損で一時的に記憶が飛んでいたとして、いずれは脳に蓄積された情報から記憶が復元する可能性も無いではないだろう。

無論、これは実験すらしていないので、そういう可能性もあるのではないか、という推測に過ぎないのだが。

 

こうなると経過も観察してみたいと思うのが人情だろう。

これでもし記憶が復元されるというのであれば、脳と魂の相互バックアップという安全装置が生き物には備わっているという事になるし。

なんとなれば、魂と肉体、特に脳との関係を解明する事ができたなら、いずれ何らかの役に立つ時も来るかもしれない。

 

今後ともループの続く限り、これらも観察対象として扱うべきだろう。

新しい視点を得られるかもしれない。

知識は力だ。

知識は財産だ。

これらが生存と繁栄、幸福へと繋がる事もあるだろう。

俺は貴重な資源を得たわけだ。

 

「それで、デッキを渡せ、か」

 

「ええ、それが最も穏便な退場の仕方かと」

 

ナイトのデッキを手に、それを見下ろす秋山蓮と話す。

病院から離れた場所、花鶏でもない、本当にただ人気が少ないだけの公園。

病院に変身状態で紛れ込んだ時と同じく、周囲の通行人は俺の姿に驚く事も無い。

元の俺の知覚能力に、ミラーワールドのライダーに搭載されたセンサーを使えば周囲の人間がどのタイミングでこちらに視線を向けるかなど簡単に把握できる。

そうすれば、軽い念動力で、身体の動きを不自然でない程度に誘導し、眼球の向き、焦点をずらしてやれば、誰も俺をはっきりと視界に収めることは難しい。

 

「……本当に、恵里は狙われないんだな?」

 

「勿論」

 

きぃん、きぃん、と、デッキを持つものの耳にのみ共鳴音が響く。

見えるものが見れば気付くだろう。

周囲の鏡になりえるもの全てに、びっしりと無数の機械の獣が写り込んで、鏡面を塗りつぶしている。

この周辺のミラーワールドに、ロードインパルスの子機を適当に集めて見せているのだ。

まっとうに戦いを行うならこれほど密集させる意味は無いが……デモンストレーションとしてはわかりやすいだろう。

 

「ライダーバトルが終われば、ミラーモンスターが人を襲う事もなくなる。それまで、貴方方二人の身の安全は俺が保証します」

 

「わからんな。これだけの事ができるなら、単純に俺を倒してしまえばそれでいいだろう」

 

「別に、好き好んで人殺しがしたい訳ではないですからね」

 

「嘘をつけ」

 

「嘘ではないですよ。殺すのが好きなら、こうして話をするまでもない」

 

戦闘経験は多いほうがいいので次周からは普通に戦うけども。

今回は魂移植実験から得られた知見の代金ということで見逃す。

身近に記憶を想起させる親しい人が居る場合居ない場合の記憶の戻り方の違いとかも見たいし。

 

「ふんっ……」

 

ぶん、と、荒っぽくデッキを投げ渡される。

当然目の前で人間の腕力で投げられた程度なので余裕でキャッチ。

小さく舌打ちをした秋山さんは、不機嫌そうにその場を立ち去ろうと歩き出し、ふと立ち止まった。

 

「あのバカは手強いぞ。何時までもスカした態度で居たら、足元を掬われるかもな」

 

それだけを告げ、バイクに跨り走り去る秋山さん。

遠くに消えていくエンジン音を聞きながらひらひらと見送るように手を振る。

 

「そんな事」

 

勿論、知っている。

契約したモンスターの強さだけではない。

ループによる記憶の蓄積か?

あるいは単純に戦いの才能があったのか?

理由は明確にされていないけれども。

兎にも角にも、城戸真司の戦闘センスはずば抜けている。

だが。

 

いや。

戦う前にあれこれと言うのは違うか。

いざ戦ってみて、結果が出てから言わせてもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 





違うんです
別に原作で割と善玉気味でダブル主人公の一人だったから日和ったとかではなくてですね
単純に、今月半ばに引いた風邪が未だに喉に残り続けてて戦闘シーン書けるテンションではないというか
こう……戦闘シーンって書くのに集中力とひらめきと勢いと体力とカロリーが必要になったりするじゃないですか
だからこうなった感じの話です
決してポケモン最新作のキャンプで癒やされすぎて殺伐戦闘シーンが書けなくなった訳ではないと思いたい
みんな
スイッチで描写される最新のポケモンのプリケツはいいぞ!
おすすめはデンチュラとバチュルとゲンガー
スイッチと一緒にシノビリフレを買ったのにそっちまだ開封してないレベルでポケモンが可愛い……

Gジェネ買ったらそっちであげゃとか使ってサツバツポイント貯まるからそれまでお待ちを
でも今回AGEやXが追加DLだけだから可愛そうな女の子を凶悪な兵器に乗せるプレイが捗らないのがなぁ……
声なしテキストだけで良いからMS載せても喋らないキャラが居る仕様はどうにかしてほしい
リリーナ様やティファをデストロイとかに乗せる楽しみが今のGジェネには無いのだ
声なしキャラのときだけ吹き出し出るとかやらんかな
あとOOから874ちゃんが参戦するから中断凍結した過去作を思いノスタルジックポイントも溜まってしまう……


☆ポストとかコインロッカーとか漁らずにちゃんと病院の医療廃棄物の類から回収した素材のお陰でようやっと他ライダーとの話し合いに成功する平和主義マン
人類愛パンチ(威力不明)とか戦争撲滅キック(計測不能)とかで平和を体現したりもできる
ワイルドエリア(病院)で回収した所有者の居ないフリーエネルギーを回収して利用しているので実質ポケモントレーナー
所有ポケモンがことごとくコトブキヤ製なのは何故なのか
実質鋼統一パなので炎に弱いかもしれない
こいつ自身は炎に巻かれても焼け死なないし酸素も自給自足できるので窒息もしない
メイン戦法はポケモンに抑えさせてこいつが攻撃
モーフィングパワーで治療もできるからうっかりオーバーキルしてもギリギリ瀕死でない状態に戻せるぞ!
珍しく話し合いで解決した

☆小川恵里不完全体
データ欠損を無理矢理ごまかして再起動した
ホントはワールドエンブリオのロストリバウンドみたいな感じにしたかった
でもこの人もこの人で描写が少ない人なのであんまり全面に出したくないのでまぁまぁ生きていける形に
描写に困るから今後の出番は当然無い

☆色々と問題はあるけど恋人が昏睡状態から目覚めてライダーバトルから離れる事になったれんちょん
苦悩の末デッキを手放す
というか時期的な問題で真司君ともそれほど仲が深まってないので自分と恋人の身の安全を優先した
とほほ、もうライダーバトルはこりごりなのん(自作アイリスアウト)

☆真司くん
速攻でその他ライダーが駆除されまくっている為にれんちょんとの信頼を深めるイベントがあんまり踏めなかった
けど占い師経由でれんちょんの願いは知っていたのでなんやかや喜んでくれるいいヤツ
デッキと中身のスペシャルなカード目当てにこういういい人が命を狙われるのがライダーバトルなんですよ

☆隠しロードインパルス君
公園のシーンで露骨に鏡面に写っているのはロードインパルス君に見えても全てロードインパルスの同型子機
実は話し合いのシーンで良く見ると帽子の下に半分隠れた主人公のスーツの目の部分にずっと写っていた
ので、れんちょんがデッキ譲渡を断った瞬間にゅるっと飛び出して襲いかかったりする危険もあった
特に待てもしてないからね、仕方ないね
やったら、めっ、てされて少し落ち込む姿が見れたかもしれない

☆影も形もないヒロインちゃん
避妊はちゃんとしないとなぁ、という呟きを耳にする
でも今の避妊方法だと交路くんが望んだ瞬間に妊娠しちゃうんだなぁ
みたいなことを想像してしまうのだ
避妊する前提だけど行為中に孕めオラァ的な事を言って貰うようにしたらすごく興奮しそうだけど自分から提案するのは恥ずかしいのでジルちゃん経由でお願いしてもらうのはどうかなと当のジル本人に相談する
思春期と書いて発情期と読む
でもあなた受験生ですよね?

☆出番はあとがきだけのジルとグジル
元肉塊の灰を集めて炭素の塊にして交路と一緒に名無しの位牌を作ってみた
見様見真似だし何の仏様かは知らないけどこういう供養の作法が有ることは知ってるので祈る心は本物
孕めオラァ的なプレイは割と盛り上がりが半端なくなるから連休の時に頼むと良いZO!
というアドバイスはメールにて密やかに行われているのだ
双方共にピアノも嗜むがまだ服は着ている
脱ぐにしてもブラは付けたほうがいいのか悩みの中にある




歳食うと風邪も変に長引く
老化からか、風邪ひいてても仕事しないといかんからか
どっちもだなって思うけど
休んでる時も横になりつつポケモンしたりしてるのも原因なのではないかなとも思う
これに今度はGジェネが加わります
でもこっちはPS4で予約したからなぁ
スイッチは携帯機として使うと気軽に動かせるのが強いと思う
まぁ楽しいゲームがあっても無くても次回をどうするか思いつかない事にはどうにもじわは書けないので
仕方ない仕方ない
プラモのランナー立てておけるやつも買ったけどこれも更新速度とは関係ない
どうあれ次回は風邪が完治してからかなぁ……
それでもよろしければ、次回も気長にお待ち下さい
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