オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版)   作:ぐにょり

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6 超常、よりにもよって

未確認生命体、第二十二号。

外見的特徴は二号及び四号(同一個体である事が確認されている為以下四号と称す)に極めて酷似しており、先日まで同個体の別形態と思われていたが、四号と同時に目撃され、更に四号本人からの証言により、正式に別個体として認定された。

 

出没を確認できた回数は僅か三回。

内七号は民間からの証言と提供された写真のみ。

十三号B及び二十一号との交戦は駆けつけた警察官により正式に確認。

四号と同じく、人間を対象とした殺人を行わず、同種であると思われる他の未確認生命体を標的として活動していると予測される。

槍、剣などで常に武装し、殺害した未確認の遺体を破壊し、体内より何かを回収する習性が確認されている。

 

四号によって殺害された他の未確認とは異なり、二十二号により殺害された未確認の遺体は二十二号の手によって破壊された部位を除き、爆発する事無く残されている。

執拗さすら感じさせる殺害した未確認の遺体に対する破壊行為はこの現象が原因と見られる。

また、二十二号が残す未確認の遺体はその破損状況とは関係なく、一定の割合でその肉体を通常の人間のそれと似た組成へと変化させている。

この現象が二十二号の特殊な習性と何らかの関わりがあるかは、現在調査中。

 

また、二十一号との交戦後に駆けつけた所轄の三廻巡査により銃撃を受けるも、同巡査に対する攻撃的な行動は起こさず、体色を青く変えた後にその場から離脱。

人間を殺人対象としていないのか、あるいは未確認を殺人対象としているだけなのかは不明。

四号の前例を元に接触を測る、捕獲する、などの案が一部より提案されたが、他の未確認生命体との交戦時に見られる残忍な振る舞いによるものからか、その意見は保留。

 

なお、二十二号が初めて目撃された際に交戦した七号に関してはそれ以降の目撃証言も見られず、同個体が起こした大量殺人と類似する事件はこれ以降発見されていない。

二十二号との交戦により身体に幾らかの損傷はあると思われるが、未確認生命体全てに共通すると見られる再生能力を考えれば、その後に死亡している確率は極めて低いと推測される為、今後も調査は継続とする。

 

―――――――――――――――――――

 

他の未確認とは異なる特殊な個体。

四号程に人類側として扱われず、即射殺という程でもない。

偏に四号からの証言を確認したとある刑事からの進言があればこそ。

仮に四号が協力的である、という事実が受け入れられていなければ、こうはならなかっただろう。

或いは、これからの行動如何によっては四号と同じ扱いもあり得るかもしれない。

勿論、そうなる可能性は極めて低いが。

 

二十二号の背景を僅かなりとも推測できる四号……五代雄介。

又聞きの情報ながら二十二号が民間人……しかも未成年である可能性を示され頭を痛める一条。

二十二号が次に現れた場合の対処を、目撃証言などから思案する対策本部。

 

そんな彼等の頭痛を他所に、二十二号が再び姿を現したのは、奇しくも前回とほぼ同じ、約一ヶ月の間を置いての事だった。

 

―――――――――――――――――――

 

一月は平和という幻想と共に行ってしまい。

二月は未確認との戦いを恐れて逃げていき。

三月は五代さんの悲しそうな表情を見て無言で去っていった。

 

どんな形であろうと時は経つし、訪れる未来は待ってはくれない。

満を持してやってきた四月は俺にとってそれほど悪くないと思える季節であった。

春の穏やかな日差しはそれだけで心と身体を癒やしてくれる。

春眠暁を覚えず。

朝の目覚めと共にカーテンから透けて照らしてくる日差しですら心地よい。

 

抜け出すのに気合の必要なお布団。

瞼を開けると、薄明かりに照らされて透ける様な白い毛……そして白い寝顔。

すぅすぅと穏やかな甘い香りの寝息を立てる元狩猟民族(狩猟対象は人間)の少女、ジルの美しい(かんばせ)に、良い意味でも悪い意味でも心臓がリアルに止まりそうになる。

来客用から専用の高級羽毛布団(分厚いマットレス付き)に寝床を変えたジルが眠るのを確認してから眠った筈なのだが、どうやら夜中に一度目を覚ましたらしい。

 

『無防備な寝姿を晒して……クックック! 今の貴様の生殺与奪権は私が握っている(オルフェノクに変身して武器生成して刃をひたひたと俺の顔に当てる)』

『だが、私のゲゲルを止めて命まで奪った相手、ただでは殺さん』

『極上の恐怖を与えてやる……!(変身を解除して布団に潜り込む)』

『目が覚めた時、お前は自分を殺せるかもしれない相手が寝床に潜り込んでいたという異常事態に恐怖する事にな( ˘ω˘)スヤァ』

 

みたいな出来事が夜中にあったのか。

それとも単純に寝ぼけて布団に潜り込んできたのか。

アギト特有の怪人が活動を開始するとなんとなくわかる直感に一縷ののぞみを賭けて同じ部屋での監視を行っているが、それがオルフェノクに通用する可能性は低いのかもしれない。

そうでない場合、普通のアルビノ虚弱記憶喪失失声症美少女が布団に潜り込んでくるというのも、道徳的にあまり良くない。

流石に寝ずの番をする訳にはいかないが、監視カメラの一つも部屋の中に付けておくべきだろうか。

癖のある白髪を少し撫で付けると、擽ったそうに身を捩る。

これで、なんの不安要素も無いただの少女であったならな。

そんな益体もない事を考えた。

 

と、そんなハプニングがあったりする、絶妙に心が安らぎ切れない家での出来事はともかく、新しい学校生活もそれなりに充実している。

中学時代と異なり、ジルの監視もあるために部活動を入る事も助っ人に行く事も出来ないが、クラスメイトの中にもそれなりに友達ができた。

中学から同じクラスに居た友人も居るには居るが、それ以外でもスムーズに友好的関係を結べたのは僥倖だと思う。

 

放課後の時間は殆ど自由にならないので帰り道に一緒に遊んだりはできないが、学校で気兼ねなく無駄話ができる相手というのは貴重だ。

ただ、ちょっとした問題がある。

 

「じゃーなセバス、気いつけて急いで慌てずに帰れよ」

 

「セバス君、また明日。ジルちゃんによろしくね」

 

「ん、また明日ね。あとせめて名字で呼んで」

 

あだ名、ニックネームである。

俺は両親ともに日本人であり、三世紀を生きたキリスト教の聖人でもないし、F1ドライバーでも音楽の父でもなければラリードライバーでもなければ十七世紀のエクソシストでも妖艶なイケメン執事でもなんでもない。

勿論名前がセバスチャンなんて事もそれに似た音の響きという訳でもない。

入学前、ジルのリハビリの為に連れ歩いている時の様子がそれなりの範囲で見られていたらしく、それが原因であるらしい。

その時のジルに対する甲斐甲斐しい世話焼きがまるで執事のようであり、執事と言えばセバスチャンであるという安直な理由から付けられてしまったようだ。

 

甲斐甲斐しく世話を焼いた、というのは語弊がある。

あいつが不発弾である可能性を考慮すれば、俺は常に爆発の危険性を減らすために慎重に取り扱っているだけだし、実は爆発の危険性など欠片もないただの要介護美少女であるとすれば、必要な手伝いをしていただけではないか。

ちょっと情操教育も兼ねて映画を見に行く為、バスに乗る時に手を貸したり、降りる時も手を引きながらコケた時に受け止められる位置で先導するのは当然必要な事だ。

帰りに喫茶店でちょっとしたデザートを食べる際に、パンケーキを切り分けてやったのだって手が上手く動かないのを考慮すればある程度は仕方がないし、口元のクリームをナプキンで拭いてやるのもTPOを考えれば不自然ではない。

遠出ではしゃいで疲れて眠ってしまったのを背負って帰るのだって、連れ帰る以外の選択肢が無いなら当然のものだ。

時折慈しむような顔で背に追う少女の顔を見ていた、なんてのは、見ている側に何らかのバイアスが掛かっていたに過ぎないと主張させてもらいたい。

 

……まぁ、思春期特有の何か騒げるネタがあったら騒ぎたい、みたいなノリから生まれた与太話に過ぎないので、それほど気にはしてない。

人の噂も七十五日、梅雨に入る頃にはこんなしょうもない話も忘れられ、恥ずかしいあだ名も廃れている事だろう。

そして、そんなちょっとした羞恥プレイ染みた話を抜きにすれば、今の所二度目の高校生活は順調に進んでいる。

終わればダッシュで家に帰らなければならないのは変わらないが、それでも学校生活が俺の中で癒やしになっているのは間違いない。

 

俺が正式に二十二号……四号とは別の個体であると発表されてから、恐ろしい勢いでマスコミから謎の残虐怪人として扱われたりした事もあったけれど、それもいい加減薄れてきている。

一月も間を置けば、続報がなければ、世間というのはあっという間に冷めていくもの。

世間の見解も遠からず、なんか四号と比べてヤバイやつだけど、未確認同士で殺し合ってくれるだけなら別にいいかなー、くらいで収まってくれるだろう。

まさに順風満帆、桜もきれいで風暖かく、四月はやはり生き物に優しい季節だなと再確認できる。

 

そんな四月も終盤に差し掛かった今日この頃。

学校をぶっちして東京に向かわなければならない日がやってきたのであった。

メ・ガドラ・ダ。

警官隊と交戦し、それなりの被害を与える、強敵だ。

待ちに待った……訳ではないが、この日を想定して諸々の戦闘行動を取ってきたのだから、どうしようもない話ではあるのだけれど。

死ぬかもしれない戦いをしに行くため、楽しい学校生活を一日捨てなければならない。

これを、俺はまだ悲しいと思えてしまうのだ。

 

―――――――――――――――――――

 

四月十九日、午後三時七分、豊島区内、池袋。

スナック「樹」、トガシ、など、未だ電気を通されていない古めかしい電飾看板のある路地裏に、一人の女と、虎に似た姿の怪人が居た。

 

「ギブグジバンゼ、バギングギギドビ、ボゾグ」

 

虎の姿の怪人は自らの顎を撫で付けながら、目の前の女、黒いドレスに身を包み、額にバラのタトゥーを刻んだ女に宣言する。

バラのタトゥーの女は冷淡な、品定めをするような視線を向けた後、数珠状の装飾品──ゲゲルの標的をカウントする為の装具、グゼパを手渡す。

 

「六時間で、七十二人だな」

 

確認するように告げ、女は爪のような装飾のついた腕輪、ゲゲルリングを怪人……グロンギの戦士、メ・ガドラ・ダのベルト、ゲドルードに突き立てた。

注入されるのは時限式の封印エネルギー。

これが注入されたが最後、時間内に宣言した通りのゲゲルを完遂しなければ、このエネルギーが起動し、プレイヤーは爆発して死亡する。

ガドラは腕にグゼパを装着し、返事を返すことすらせず振り返り歩き出す。

 

六時間で七十二人。

彼にとってみれば容易いと言っても問題ない程度の制限ではあるが、ゲリザギバスゲゲルでもない通常のゲゲルであれば妥当な数字だ。

だが、この時代のリントは自分たちには遠く及ばないながらも、戦う力と意思を備えているらしい。

ゲゲルを進める中で、リントの戦士は当然集まってくる。

彼等を狩れば、いや、彼等と戦えば、自分はもっと強くなるだろう。

そして、この時代のクウガもまた、彼にとってはゲゲルの標的の一人であり、自らを高めることのできる相手だった。

 

負ける事は考えない。

グロンギであれば当然の思考であり、そう考えても不遜でない程にガドラは優れた戦士でもあった。

ルールの複雑なゲリザギバスゲゲルに備える為だけでなく、戦士として強さを鍛えるためにあえてグロンギ特有の再生能力を封印し、戦いで負った傷を残している。

それは言ってみれば彼なりの信仰の形でもあった。

傷は戦いの証、戦いを乗り越えた証、自らを傷付ける事ができる程の戦士を殺し乗り越えた証。

この時代で、今度こそゲゲルを完遂させゴに、そしてゲリザギバスゲゲルを乗り越え、必ずンへと至る。

 

遥か高みを目指し、戦いを積み上げる。

積んだ死体の数が、刻まれた傷の数が、彼を強くする。

 

そんな彼だからこそ、その攻撃を察知する事ができたのか。

何の予兆も気配も無く、しかし、ガドラは咄嗟にその場から飛び退いた。

炸裂音。

一瞬前までガドラが居た場所に、封印エネルギーの矢が突き刺さり、アスファルトの地面を砕いて消える。

 

ガドラが矢の跳んできた方角、上を確認する。

雑居ビルの間の狭い空を背景に眼前に迫る金の刃。

身を反らし、しかし僅かにその刃は胸元を切り裂いた。

金の刃の正体は青い柄を持つ鉾槍。

獲物が鉾槍である事を確認しきるよりも早く、音もなく着地した襲撃者は返す刃で斬りかかる。

 

背後には壁、隙間は通れる程狭くなく、右にはバラのタトゥーの女が下に居る階段。

トッ、と、軽さすら感じる音だけを残し、ガドラは迷わず上へ飛んだ。

虎のそれに似た能力を備えるガドラに、ビルを一息に飛び越える程の力は無い。

だが、ビルの窓や配管などを足場に駆け上がる事は容易い。

両脇のビルの壁と壁を交互に蹴り、屋上へと駆け上がる。

 

逃げではない。

リーチのある鉾槍を持った襲撃者を相手に、狭い路地裏で戦うのは不利に過ぎる。

戦い、殺し、乗り越えるという事は、何も正面から殺す事ばかりが重要なのではない。

乗り越えるために、自分に有利な状況を作り出すのもまた知恵という強さなのだ。

 

そんな言い訳を考える事すらせず、襲撃者の姿を確認する。

金の二本角、巨大なクリスタル状の複眼、黒い肌に青い装甲。

 

「クウガァッ!」

 

怒り?

いや、それは歓喜の声。

乗り越えるべき敵が強大であればあるほど、ガドラは強くなる事ができる。

常のゲゲルであれば望むべくもない強大な障害であるクウガは、ガドラにとって歓迎すべき敵、いや、対戦相手であった。

自分はリントを狩る、そして、クウガはリントを多く殺されるよりも先に自分を狩る。

互いに勝利条件が決まっている、一種の試合のようなもの。

それが命を賭けているものであったとして、いや、命を賭けているからこそ成り立つ好敵手の様な存在。

喜ばないはずがない。

 

「チッ」

 

舌打ち。

ビルの上に降り立ったガドラに向けられたのは、苛立ちの込められたそれであった。

 

「だから畜生は嫌いなんだ。当たるだろ、さっきのは」

 

苛立たしげに、ベルトの右側面を叩く青い戦士。

空気に溶けるように左肩の金と青の装甲が消え、鉾槍が消える。

代わりにとでも言う様に、右肩に先よりも大きな金と赤の装甲が展開され、右腕が僅かに肥大化すると共に赤い装甲に包まれた。

青の装甲に身を包んだ軽装の戦士。

唯一赤い装甲を纏った右腕は、戦士の感情をフィードバックする様に高熱を帯び、陽炎を揺らめかせている。

アークルの中央、モーフィングクリスタルから熱気を帯びたオーラが吹き上がり、それに青の戦士が右手を向け──ガドラが懐に飛び込んだ。

 

その動きは彼の知るクウガのそれとは異なるものではあったが、彼の直感はそれが戦士が武器を取る為の動作である事を告げていた。

当然、素直に武器を取らせる理由はない。

武器を構えるその瞬間、起こりの動作の瞬間こそが攻め時である。

 

瞬間。

ガドラの体は炎に包まれた。

 

武器を取る為の動きではあった。

だが、それが真では無かった。

戦士の右腕前腕、金の装甲、フレイムアームズ。

ベルトに向けられていた手は、いや、ガドラが飛び込んだ懐の前に構えられたその装甲は、一瞬にして摂氏七千度の熱量を発生させる。

戦士はただ、飛び込んできたガドラに向けて発生させた七千度の熱を叩き込んだに過ぎない。

 

全身を焼く炎の熱量は、ガドラがこれまでの人生でその身に感じたどんな熱よりも激しく身を焦がす。

未知のダメージに怯み、その突撃の勢いが殺され、次の瞬間にはガドラの視界は空を、背は激しい衝撃を得ていた。

戦士は突撃の速度が弱まったガドラの腕を赤い装甲で包まれた右腕で掴み、勢いを利用して投げ飛ばしたのだ。

 

「おっと、取れちゃった」

 

戦士は、右の手の中に黒い塊を握っていた。

それは炭化したガドラの手首から先。

見せつけるようにしてそれを握り潰しながら、左手がアークルから吹き出す炎のオーラを引き抜く。

引き抜かれ、実体を得た赤金の柄を持つ剣を両手で構え直し、正眼に構え、誘うように、その剣先を揺らす。

熱気を帯びた刃を向けられ、全身を黒く焦がし右手を無くしたガドラが距離を取る。

 

「来ないのか?」

 

挑発。

それに対しガドラは一瞬で……背後に飛んだ。

全力の跳躍。

ビルからビルへ、とはいかずとも、ガドラは背の低い雑居ビルの屋上から大通りへと舞い降りた。

突然空から降ってきた怪人に、恐怖よりもまず驚きに身を固めた周囲の人間に、残っていた片腕を無造作に振るう。

軌道上にあった一人の首が飛び、その先に居た哀れな被害者の頭を掴み、

 

「いやぁぁぁぁ!!!」

 

投げつける。

恐るべき膂力によって投げつけられた先には、剣を振り下ろしながら跳んできた赤い腕の戦士。

戦士がそのまま剣を下ろせば、投げつけられた被害者共々ガドラは真っ二つに切り裂かれて終わる。

だが、そうはならない。

 

「っ! クッソァァッ!」

 

戦士の手の中の剣が実体を失い、投げつけられた被害者を受け止め、そのまま着地。

眼の前に迫る圧を感じ、受け止めた被害者を横に放り投げ捨てた瞬間。

 

「ご」

 

頭部に衝撃。

無防備にガドラの前に着地した戦士は、避けることも防ぐ事も出来ずにその頭部に全力で振り抜かれた蹴りを受け入れ吹き飛ぶ。

振り抜いたままの姿勢で、ガドラの口元がにやりと釣り上がる。

 

「ゴバゲギザ」

 

まるで虎、獣の如き力を振るうとはいえ、ガドラはグロンギだ。

突撃するだけが脳ではなく、まして、ガドラは狩りよりも戦いを重視する。

人間をただ標的としてでなく、敵としてカウントする事ができるからこそ取れる戦術はある。

相手が逃げ惑うだけの動く的でなく考える敵対者だからこそ。

大概のリントは、敵でない同族を殺す事に躊躇いを覚える。

リントにとって、リントは生きた壁、生きた盾となる。

勿論、ガドラはそのどちらをも普段は使わないが、必要であり、なおかつ手元にそれがあるのであれば、使わない理由はない。

卑怯と呼ばれる筋合いは無い。

生き残る、戦い抜く、勝ち残る為には、周りにあるものを、幾らでも利用して、勝利を掴む。

それこそが、戦う事、乗り越えるという事なのだ。

 

ゆっくりと、余裕の足取りでガドラが倒れた戦士に歩み寄る。

渾身の一撃だった。

しばしまともに動く事はできまい。

あとはトドメをさしてしまえば、残りの時間で悠々とゲゲルを完遂できる。

右手を失ってしまったのは痛いが、それでもなお、この強敵を乗り越える事ができた。

得た傷も、そして力も大きい。

高揚感すらあった。

 

そして、再び立ち上がらんとする戦士を見た瞬間、それは限界を越えた。

まだ、まだ自分と戦うつもりなのか。

なんという事か、この獲物は、この戦士は、どれだけ自分を高めてくれるつもりなのか。

喜びの余りついに絶頂にすら到達しようとしていたガドラ。

だが、それは自らの首と、そして、心臓を掴まれる感触によって中断された。

 

「────」

 

幽鬼の如く、ゆらりと立ち上がる戦士。

その様相は、先までのそれとは一変している。

青い装甲に包まれた体は金と黒の装甲に包まれ、胸の中央には縦長のクリスタルがはめ込まれている。

僅かに細長くなった頭部は、鍬形虫のそれというよりも、もっと他の……。

 

「ガッ……」

 

首の締め付けが一段と強くなり、逃れる為に動かした足が空を掻く。

見えない手によって、宙吊りにされている。

眼の前の金黒の戦士の、変形した二本角が、がしゃりと、重い金属音と共に展開し、六本に。

逃れようと必死で藻掻くガドラの眼の前で、戦士の足元に巨大な輝く紋章が浮かび上がる。

それはリント文字における戦士クウガのそれに似て、しかし、確実に異なる神秘の、神威の紋章。

少なくとも、彼の知識の中に同じ文様は存在しない。

だが、

 

「ッ、ダ……」

 

収束し、戦士の体に飲み込まれていく紋章は、彼に一つの存在を想起させた。

 

「ダ……グ、バ」

 

紋章を吸い込んだ戦士が、開いた両手をゆらりとガドラに向け、握りしめる。

彼の体の中で、何か致命的な物が弾け飛び、ガドラの意識は永遠に途切れる。

ぐしゃ、と、音を立てて、ガドラの生首が地面に落ちた。

 

しん、と、静まり返る。

短時間の交戦ではあったが、現在は未確認への警戒を強めている警察が、民間人の避難を済ませ、続々と包囲を始めていた。

だが、包囲した警察ですら、呆然と眺めているしかない。

 

異様。

 

二十を超える数の未確認生命体を相手にしてきた警察ですら、いや、そんな警察だからこそ、その、戦いと呼べるかすら怪しい、処刑とすら呼べるそのガドラの最後に息を呑んだ。

今までの未確認生命体の殺しとは、何もかもが違う。

異常な生命体である未確認生命体とは異なる異常、異端。

超常の力により作られた死体も、その力を振るったと思わしき二十二号らしき怪人も、脳の許容範囲を越えた存在に見えた。

 

「アギトだよ馬鹿野郎」

 

聞こえるかどうか。

誰に言うでもない独り言の様に、掠れた声で吐き捨てられたその言葉に、耳の良い幾人かの警官達がビクリと身を竦める。

無意識の内にその場の警官隊が銃口を向ける中、青い戦士はガドラの首から下の死体に歩み寄り、そのベルトを無造作に毟り取り、片足を掴み持ち上げ──

悠々とその場から跳び去り、逃走した。

 

 

 

 

 




☆普段は甲斐甲斐しい世話焼きお義兄ちゃんだけど戦闘ともなれば正直引くタイプの戦士だけど今回はちょっと一線超えちゃった誤認ダグバ思わず自己紹介アギトマン
勿論ンでもダグバでもゼバでもないので安心してほしい、ゼットンは私が倒しておいた
嘘ではない、嘘ではない(山吹色のお菓子ススーッ)
と、嘘をつかない善良なファイヤーヘッド氏も言っている今作主人公
日常生活でリア充してる風でもストレス溜まってるんじゃいかってのは戦闘書いててちょっと思う、書いてると勝手に残虐ファイトを始めてる困ったちゃんでもある
でもこいつ一応この十年を駆け抜けるからそれまで死ぬこと無いから安心やで工藤
なんやて服部!
じゃあこのなんやて言ってるのは誰なんや工藤!
パン屋か工藤!
パン屋ならええわ、ほなな!
目覚めかけた本能が目覚めきれてないので進化が行き詰まってたが、メ集団きっての武闘派に脳味噌クリティカルストライク食らって配線繋がった勢いで妄想心音した
アギトに目覚めたら超能力って大抵消えるんじゃないの、みたいな意見はあるだろうけど、作中で登場したアギトの数が少ないのでそこらは個人差がある扱いになった
いざという時は主人公には予知で株取引とか投資とかしながら自由時間の多い仕事をしてもらう為である
アギトへの風評被害が恐らくこの一年で凄い勢いで積み重なるけど来年のアギト組は頑張ってね!
残虐ファイトしないでいればあのアギトとは違うタイプなのか……?みたいに信用を積み重ねたりできるかもよ!
あしはらさんはがんばってね……
このSSは平成仮面ライダー一期をオリ主と共に振り返る事を目的として書かれているが、基本思いつきを書きなぐるだけの超即興SSなので後先の事は考えてはいけない
来年の事を話すと響鬼さんとかが笑うぞ!
そしてこいつの戦闘映像を見ると五代さんは曇る
民間人を思わず守っちゃうとこからなんか善良さを多めに見積もっちゃうからな!
別に守るつもりが無くても、罪もない一般人は法令的に斬っちゃいかんし悪評立つから切れないってのはあると思う
戦闘映像があるかって話は、クウガ時空の新聞に載ってるクウガとグロンギどものすげぇベストショットの数々を見る限り、遠目で映像取ってるやつくらいは居ると思う
だってグロンギがいい感じにポーズ取ってる写真とかあるんだぜあの世界の新聞
警察ともども練度高すぎじゃないすかね

☆超能力開発キック!
あだ名はメ・ガドラ・ダ
なんか卑の意思を持つ孤高の戦士みたいな感じに
フィジカルモンスターで二時間半ほどぶっ通しでマイティフォームと戦ったりできたけど相手も卑劣なのでそこらは生かされなかった
全体的にこんがり焼かれた上に首ぶち心臓妄想心音された挙げ句ベルトちぎられた挙げ句持ち帰られた今週の被害者A
ゲゲルスタート時を出待ちされ襲撃を受け、最終スコア1となった彼の最後は、腹部を裂かれて中身を引きずり出された死体を高所から最寄りの交番の前に叩き落とされるという悲惨なもの

☆薔薇のタトゥーの女
「なんやあのクウガ……クウガ? クウガ……?」
もしかしたらリントはとっくにグロンギと等しくなっているかもしれないという可能性を垣間見せられた女
小説版で再登場するというネタバレをしてやろう
実はTV版では殺しそこねてるんやで
でも小説版で明らかに老化の徴候が見られないんだよね
だいじょぶ? 主人公ちゃんと寿命で死ねる?
全ては謎なのだ
この話原作では黒いドレスに赤いもふもふを首に巻いてるけど名前調べるのが面倒くさいので各自首に赤いでっかい毛虫みたいのだるっと下げてるのをイメージしといてほしい

☆今回寝姿のみ
なんや人型の白猫かなんかか
こんな可愛い白猫属性虚弱ヒロインと添い寝してえけどな俺もなー
話の前面出なけりゃ厄ネタ持ちヒロインもこんなもん
というかグロンギと戦ってるだけでも厄いのに並行してこいつが厄イベント発生させても作者は処理できんのでこうなる
後に専用イベント発動するといいなって思ってるからそこまでは普通の不発弾ちゃん
主人公のイメージ映像は後の平成シリーズのギャグパート的なものなのかもしれないけど主人公は本気で驚異に思ってる
因みに儚い死に際とか敵対してからの救いのない死に際を予想されがちながら特に死に際の構想はない
絶対物語的には途中で死んで主人公の心に傷跡とか残すほうが美味しいんだろうけど、実はうっかり思いついた延命ギミックがばりばり働いてるので、よっぽど美味しい死亡タイミングが無い限り高確率で生き残って正ヒロインになると思う
長く書いてると愛着湧いちゃって殺しにくくなるだろうし、そういう意味ではヒロイン化せずに死んでたほうが美味しかったまであるレベル
勿論後の話の予定もなにもないので生きるも死ぬも話の流れ次第なのだ


梅雨(四月半ば)
梅雨って何時だよ四月じゃねーよばーか!
でも超能力育成キックのゲゲルで結構警官隊に被害でるんやもん……
あと資料集読んでると結構グロンギって種族被りが居るってわかってちょっと面白い
やっぱ血縁とかだと似た怪人になるんかねこれ
次のお話は、たぶん唯一のゲゲル成功者か振り向くなの人
ガドラだけ倒してメは終了、次からゴな!
ってのは間違いなく不安に襲われるだろうからね
出席日数は想定より犠牲にならなさそう、よかったね
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