オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版) 作:ぐにょり
ミラーワールドは現状、名前のとおりに表の世界の鏡写しの世界である。
見た目上は鏡に写った状態の世界であり、建築物、停めてある車、街路樹などなど、動物以外の一通りのものが左右反転した状態で存在する。
しかし、それは見た目上の話でしかない。
常のミラーワールドに訪れて、スーツの耐久時間が許す限り探索すれば、表の世界との大きな違いに気がつくだろう。
そこにミラーモンスターやライダーが居なければそれはより顕著になる。
静寂。
常のミラーワールドを支配するものが何かと言われれば、それはライダーでもミラーモンスターでもなく、静けさであるとすら言える。
風が吹けば木々の枝葉が擦れ合う音程度は聞こえるかもしれない。
だが、生き物の、動物のいない世界というのは、いっそ恐ろしいほどに静けさに満ちている。
更に言えば、ミラーワールドに存在する鏡写しの物体は、基本的に動いていない。
車は走ること無くその場に留まり、信号機すら明かりを灯さない。
夜間、街灯が灯っている時もあるが、これら稼働しているものとそれ以外の基準ははっきりとしていない。
ルールが一定でないという事は、それだけミラーワールドという世界が不安定で不完全であるということだ。
どこまで広がっているかもわからず、何時まで続くのかもわからない。
或いは、それは表の世界もそう変わらないことか。
ある日突然、突然変異的に進化した生き物が世界を終わらせる可能性を誰が否定できるだろうか。
未確認生命体の出現は人々の常識を大きく塗り替えた。
アギトとそれに纏わる天使や神の戦いに、世界の奥行きの広さを知った人間も多いのではないか。
人に限らず、自らを進化した生命と定義していた生き物も、その内の幾らかは考えを改めたか。
人を餌としか見なさない魔族ですら例外ではない。
だが。
誰も彼もが大きく変わった訳ではない。
或いは変化は限られた一部にしか訪れていないのかもしれない。
静かな、常の重苦しい雰囲気すら失せた寒々しい拘置所の中を、粗暴な足音も高らかに歩く紫の戦士も、変化の無い一人だ。
未確認の事を知らないか。
アギトに纏わる事件に関わっていないのか。
この世の裏に潜む恐ろしき常識外の存在を知らないのか。
或いは、全て知った上で、それでも変わること無く生きていけるだけの強度があるのか。
がん、という、あっけない音と共に、彼を閉じ込めていた牢獄の扉が蹴り壊され、拘置所の外への道を開く。
それを咎める者は誰もいない。
警備システムには通電すらされておらず、警報一つ鳴る事もない。
がらんどうの入れ物でしかなくなった建物の中に響く鉄格子の破壊音。
蹴り開けられ吹き飛ばされた鉄格子が地面を転がる音すら寒々しい。
ふん、と、鼻を鳴らす音が一つ。
紫の鎧を纏う戦士が鳴らしたその音は、喜びを示す様なものではない。
仮面の下に隠されたその表情に温度はない。
檻から逃げ出せた喜びも、逆に、あっけなく抜け出せてしまう様な場所に閉じ込められていたという苛立ちすら無い。
些細な事から人を殺し捕まっていた自分が、裁かれる事無く檻の外に抜け出せたという事実に対してすら、彼は感情を動かしていなかった。
道を歩いていたら小銭を拾った、程度の幸運としか思っていない節すらある。
それも仕方のない事だろう。
今、とある男からこの鎧姿に変わるための機械を渡され戦う事を提案されたが、その男から聞き出せた話は面白いものではなかった。
好きに暴れられる殺し合い、と聞けば、面白そうとも思う。
だが、既にその相手は一人減り二人減りと繰り返し残るは三人。
うち一人が積極的に他の競争相手を殺して回っているから、現時点で更に減っているかもしれない。
それでも、面白くもない囚われの身から抜け出せて、思い切り暴力を振るえる場を与えられたというのは悪い話ではない。
しかし、人間は強い感情を常に燃やし続ける事ができるようには出来ていない。
通りがかりの人間をふとイライラしたから殺してみせたこの男ですら、この歳になるまで表向きはそこまで派手に問題を起こしていた訳ではない。
感情には波があり、そしてその波は環境によって容易に変化してしまう。
寒々しい無人の拘置所の通路。
外までの距離が無限に続くかという程に感じたそこを、自らの足音しか聞こえない、立ち止まれば自分の呼吸どころか心臓の音すら聞こえそうな静けさの中で歩いていれば、自然と彼の感情は静まっていく。
或いはそれは一時の幻の様な、野生の獣よりも粗暴な男の心の凪。
強化服により超人と化した身体能力を備え、鏡の世界を闊歩するに至る超常の力を行使し、しかし、怒りを向ける先の存在しない世界において、紫の鎧の戦士、脱獄犯、浅倉威は空腹を満たしてしまった肉食獣の如く静かに、ただ、歩く。
かつ、かつ、かつ、と、足音を響かせ、時折、ただ腕力のままにするだけで開く扉を蹴破り。
表に立つ。
ひゅる、と、風が吹く。
動物の出す、機械の出す音の無い、いっそ耳の痛くなる様な世界に、一瞬だけ目眩を覚え──
「やぁ」
耳に届く、良く通る声に、視線を動かす。
視線の先にあるのは、自らの装いに似た、黒い鎧。
久しぶりに再会した友人に挨拶するように、頭上に軽く片手を上げた不審人物。
上げられていない片手には、剣。
「よお」
返す男の声も、地の底から響くような迫力こそあれ、陽気なものだ。
感情で言えば、喜び、愉しみを含む嬉しげな声。
じゃき、と、手に下げていた杖を掲げる。
『ソードベント』
虚空から飛び出す、捻じくれた蛇の尾を連想させる黄金のサーベルが、男の手に。
舗装された地面を、歩く。
互いに互いを見つめながら、歩速は徐々に早く。
旧友との再会を喜び合う様に小走りに近づき。
「しゃぁっ!」
手に下げられていたサーベルを振り上げる。
がぎん、と、金属同士が激しく噛み合う音。
逆袈裟気味に振り上げられた紫の戦士のサーベルは、同じく振り上げられた黒の戦士の剣とかち合い弾かれた。
紫の戦士と同じく、黒の戦士の膂力もまた常人を遥かに超える。
そして、互いの不意の斬撃は相手を真っ向から叩き切らんとするものであり、それがぶつかり合う衝撃は、互いの重量が強化服と装甲の分重くなっている事を鑑みても、互いを数メートル吹き飛ばすには十分すぎる。
しかし、紫の戦士はそのまま踏みとどまり、一歩前に。
振り上げられたサーベルもそのままに、もう片方の手に下げていた杖を大上段に振り上げ、叩きつける。
牙召杖ベノバイザー。
コブラの形を模したそれは、カードを読み取るためだけのものではない。
コブラの頭を模した部分に牙が備わり、その牙は当たりどころによってはライダーのグランメイルを突き破る程に固く鋭い。
そして、当然の如くその牙は毒を流し込む機能を備えている。
それを紫の戦士が知っているという訳ではない。
ただ、殴りつける為の棒として振っているだけだろう。
硬い棒で思い切り殴りつければ生き物は死ぬ。
それを知識としてではなく実体験でわかっているからこその動きだ。
がつ、と、鈍い音。
杖で頭部を殴りつけた音ではない。
牙がグランメイルに突き刺さる音でもない。
振り下ろされたベノバイザー、そのコブラの頭にあたる部分の口内。
黒の戦士の振り上げた剣先によって抑えられている。
カードを装填する機構を内蔵する部位でありながら貫かれていないのは重要な装置であるが故に元から頑強に設計されているのか契約したモンスターの強さ故か。
振り下ろされた杖頭と剣先は拮抗する事無く、振り下ろされた、或いは受け止められた衝撃のまま跳ね返るように離れる。
傍目には杖を振り下ろした紫の戦士が、それを迎え撃った黒の戦士の剣先に打ち上げられた様に見えただろう。
杖による打撃へのカウンターとしての、杖を貫通するような軌道での刺突。
無論黒の戦士もそれを狙っていたが、それよりも紫の戦士の動きが僅かに早い。
考えての動きか、本能的なものか、紫の戦士は杖が受け止められた瞬間、拮抗する武器と武器を起点に、あえて更に杖を振り下ろす事で背後に飛んでみせたのだ。
或いはそのまま腕力で無理矢理に杖を叩きつけるつもりだったのか?
それは武器を振るう紫の戦士の頭の中にすら答えのない問いだろう。
宙返り気味に背後に跳ぶ紫の戦士。
僅かに離れた杖の頭、コブラの頭部を模した部分から毒液が飛び出す。
戦士達の装甲どころか鎧下に過ぎない部分すら溶かす事のできない、対生物にしか有効性の無い毒液。
嫌がらせの様に黒の戦士の仮面を濡らす。
液体をかけられた程度で機能不全を起こすような機構ではなく、慣れた人間であればカメラのレンズに水滴が付いた程度のものだろう。
しかし、それでも一瞬だけ顔にかかる何かに意識が向く。
使う本人ですら知らない、杖から毒を出せるという機能。
当然相手も知ることはない。
空中で天地逆さに、身体を捻りながら片手のサーベルを振るう。
宙返りから身体を回す様に繰り出される横薙ぎの一撃。
杖と剣の激突から瞬き程の間もない追撃。
逆さの世界で紫の戦士の目に映るのは、刀身の崩れた剣を手首のスナップだけで振るい、もう片方の手を鳥の嘴の様な形に窄めた黒の戦士の姿。
手首の動きに合わせ、刀身の崩れた──分裂した蛇腹剣が獲物に飛び掛かる蛇の様に紫の戦士の足へ飛び、もう片方の窄めた手がサーベルを迎え撃つ。
足に絡みつきあわよくばそのまま捻じり切り落とさんとする蛇腹の刃を蹴り飛ばし、躊躇うこと無くサーベルを振り抜く。
きゅぼ、と、プールの栓を抜く様な音。
着地。
接敵時より僅かに離れた位置に降り立った紫の戦士。
サーベルを素手で迎え撃った黒の戦士の姿には傷一つ見えない。
対し、素手に対して振り抜かれた筈のサーベルは、剣先十数センチを消失している。
黒の戦士の足元に転がっている捻れた金属片が消失した剣先だろうか。
工作機械で切り落とした様な、いや、ドリルで柔らかい金属に穴を開けたようなと言うべきか。
大きな金属片の周りにはやや大きめの削りカスの様な金属の破片が落ちていた。
現状、紫の戦士は有効打を放てていない。
サーベルによる斬り上げ、杖による強襲、毒液、意表をついた捻りを加えた宙返りからの一撃すら直撃していない。
更に言えば唯一と言っていいまともな武器であるベノサーベルすら破損してしまっている。
ベノサーベルは紫の戦士、王蛇の契約モンスターである巨大なコブラ型モンスターの尾部先端を模した形状をしており、基本的には刃を持たない湾曲した円錐状の武器だ。
鈍器としても十分な性能を備えているが、最大威力の攻撃を加えようとしたなら、鋭く尖った先端を突き刺す形になるだろう。
それだけに、サーベル先端部を失ったのは大きな損失の筈だが……。
「やるねぇ」
声には明らかに、先までの王蛇の声には無い熱が浮かんでいた。
露骨なまでの喜色。
無論、強い相手と戦える、という戦士故の興奮、などという清廉なものではない。
似てはいるが、違う。
思い切り力を振るい。
相手もそれに応える。
死に近付いているが故に生の実感を得ている。
そして、なにより。
「お前も楽しめよ」
見られている。
王蛇の感覚としてはそれだ。
攻撃に対して反撃はある。
だが、決定的に殺しには来ていない。
まともな反撃は先の蛇腹剣によるものだけ。
それにしても足などという消極的な部位でなく、首を狙うことも出来た。
少なくとも王蛇が同じ武器を持っていたなら、もっと当てやすい胴体でも狙ったか、憎たらしい顔面を狙うかしただろう。
「お前が、少しだけ知っている奴とダブった」
「ふぅん?」
極めて珍しい事に、王蛇は──浅倉は半ばから断たれたサーベルを手に、先のセリフを促す様に相槌を打った。
黒の戦士──陽炎の声は抑揚のない平坦なものだが、戦いをやめようという気配は無い。
当然、王蛇とて話の先を促すだけではない。
サーベルを投げ捨て、デッキからカードを引き抜く。
現状、ベノスネーカーとしか契約していない王蛇の手札は少ない。
追加で契約モンスターを増やせる契約のカード二枚はこの場では使えない。
有効な手札は二枚。
「だから」
引き抜く。
僅かに歪んだベノバイザーへと装填。
『ファイナルベント』
『ファイナルベント』
電子音は同時。
陽炎のデッキから独りでに飛び出したカードがリーダーに装填。
「殺して死ぬか試す」
ぎらり、と、バイザー越しに陽炎の目が冷たく輝く。
へっ、と、漏れた笑いは王蛇のものか。
王蛇の背後に契約モンスターのベノスネーカーが。
陽炎の背後に契約モンスターのロードインパルスが。
互いの契約モンスターが、互いを威嚇するように咆哮。
王蛇は、不利か有利か、という見極めが出来ない男ではない。
死に急いでいる訳ではなく、むしろ生への渇望は強い方だ。
だが、だからこそこの場ではこの札を切るしか無い。
逃げを打つには近すぎる。
盾となるものもない。
もう一枚のカード、アドベントでモンスターを呼び出し盾にするという選択も浮かぶが、呼び出したモンスターが死んだ時が最後だという計算もできる。
一か八か。
打ち合いを制するか、激突のどさくさで姿を晦ますか。
或いは──
走り出す王蛇。
陽炎へ向かって……ではなく、ベノスネーカーを伴いながら明後日の方角へ。
背を向けての転身、いや、向かうのは今さっきまで自らが囚われていた留置所の建物へ向けて。
ちらと陽炎へ向ける視線は撤退の隙を探してのものか。
それもある。
同時に、それは照準でもある。
自らの契約モンスターに追い立てられるようにして走る王蛇の速度が上がっていく。
相対する陽炎もまたロードインパルスの背に立ち乗りし、明後日の方角へと駆ける。
拘置所の敷地を走り加速する王蛇と対象的に、拘置所の外へと向けて。
無数の建物を足場に跳ねるように、ブースターを吹かしながら加速。
連続で鐘を鳴らすような音と共にロードインパルスの内部で無数のアドベントカードが連続使用され、周囲には無数の機械獣が溢れていく。
機械獣達の備える砲から絶え間なく放たれる拘束用の弾頭を王蛇とベノスネーカーが高速で蛇行しながら回避し、拘置所の壁を駆け上がる。
同じく、周囲のビルを駆け上がっていたロードインパルスの上、陽炎と目が合う。
どちらの駆け上がる建物も高層建築とは言い難い。
加速を付ける限界点。
王蛇が跳ぶ。
僅かに尾部の先を拘置所の屋上に付けたベノスネーカーがその背に向けて大量の毒液を放ち。
陽炎が跳ぶ。
跳躍に合わせるようにロードインパルスが全身の撥条を使いトリックブレードの先から主を投擲。
標的を噛み殺す蛇の如き王蛇の蹴り足と。
高速回転により霞んだ円盤にしか見えない陽炎が激突し──
―――――――――――――――――――
着地。
周辺を確認。
……あった。
ひしゃげた紫の鎧。
間を置かず、頭部らしき部分に残っていた蛇のレリーフが消滅し、紫の色素が抜けていく。
そういえば着地点で王蛇以外の何かを踏んだ感触があったか。
デッキからカードを引き抜く。
『シュートベント』
大きめのハンドガンを呼び出し、撃つ。
撃つ。
撃つ。
何度か撃つと、ギリギリで原型を留めていた鎧の手足が取れる。
よし。
デッキからカードを引き抜く。
『ソードベント』
二股に別れた刃を持つ槍。
手元の装飾に偽装したスイッチを押す。
刃と刃の隙間から光が漏れ、硬質化し新たな刃を成す。
リーチよし、威力よし。
近付いて。
逆手に構えて。
少し距離を取って、突き刺す。
突き刺す。
突き刺す。
手応えなし。
反応なし。
率直に言って空の強化服を貫く感触しか無い。
……死んだか?
死んだな?
起き上がってオルフェノクになってたりしないな?
…………。
殺したら死んだな。
よしよし。
これで、王蛇が殺せばちゃんと死ぬ事が確認できた。
―――――――――――――――――――
無論、バトルマニアというか、戦うの大好き系の連中の背後に誰かがダブって見えて念入りに殺しておこう、という考えが浮かんだのは否定しないが。
そもそもの問題として王蛇というライダーには奇妙な点が多く見られる。
狭い拘置所の中から外に出るまでの間に、王蛇は明らかにブランク体でない、契約後の姿でミラーワールドの所内を闊歩している姿が確認できる。
無論、停滞したライダーバトルへのテコ入れ要員というのもあるのだろうが、王蛇の優遇というか、特別扱いは不思議なほどだ。
そもそも蛇というのが怪しい。
龍の対比としての蛇、というのは勿論あるのかもしれない。
融合後の姿が西洋のドラゴンになるというギミックありきで蛇というのはあまり関係ないのかもしれない。
だが、蛇単体で見ればこれほど神崎士郎の目的に関わりがありそうなモチーフもそう無い。
蛇は成長と共に脱皮を繰り返す姿から生まれ変わりの象徴として扱われることもあり、また、世の東西、古今を問わず、他の動物と合成される場面が多い。
王蛇になる前のブランクのデッキの時点で存在するユナイトベントも怪しい。
俺はてっきり、王蛇のデッキは神崎優衣の延命におけるサブプランを担っているデータ取り用の特殊なものなのではないか、という推測を立てていたりもしたのだ。
ここまでの周回でも、恐らく神崎優衣に手に入れた優勝者の魂を拒絶させられたこともあるだろう。
そういった失敗を繰り返す中で、本人の意思とは無関係に生命エネルギーを融合させて延命させるという発想が出てきても何も可笑しくはない。
むしろそうするのが自然なのではないだろうか。
王蛇のデッキやベノスネーカーに何らかの生命エネルギーに関するギミックが存在して、だからこそ能動的に生体実験をするにあたって無意識に罪悪感が少なくなるように凶悪犯の浅倉を選別したとか。
どちらかが瀕死になった時点で自動でユナイトベントが発動してライダーとモンスターが融合した異形の怪物に成り果てるとか。
いっそ周囲のミラーモンスターを巻き込んで融合し巨大化するとか。
そういう、秘められた機能があるのではないかと疑っていたのだ。
無論、以前に契約モンスターはともかくとして、神崎士郎から同じデッキは貰っているし、そちらは解析済みなのだが……。
万が一、ということもある。
何しろ相手は天才だ。
俺では解析しきれない隠しギミックを仕込んでいてもなんら可笑しくはない筈だ。
まぁ、そんなギミックはなかったのだが。
ぺっ! 甘ちゃんが!
お陰で巨大戦に備えて遠くに控えさせていた大きめに作ったオール・イン・ジ・アースも無駄になってしまった。
三十分前(2002年現在)の世界の戦士たちの敵の巨大化後と同サイズであると想定して連携が取れる様に複数体製造したお陰でミラーワールドの景観が一時的にとてもかっこよくなってしまった。
ちらりと振り返る。
強化された視覚に、東京の街を我が物顔で闊歩する機械の恐竜の姿が映る。
数体のジ・アースが口元に備わったチェーンソーで仲良くビルを切り倒しているのがわかるだろうか。
なんとも味わい深い光景ではないか。
これがこの国が誇る侘び寂びである。
ミラーワールド内部においても京都の五重塔に身体を擦り付けて身体に付いたゴミを掃除するデモリッション・ブルートなどが見られるのは周知の事実である(予定)。
俺にあの巨大ロボ達をどうしろと言うのだろうか。
ベノスネーカーと浅倉の融合体の戦闘力はかなり高めに想定していた為、全機壊される覚悟で製造したのだ。
故にあの高層ビルを楽しそうに切り倒してその残骸を用いて巣の様なものを作り始めているオール・イン・ジ・アース達を連れ帰る先が無い。
もう赤心寺地下に限らず八甲田山の地下そのものを改造して格納庫にするしか無いのだろうか。
……ミラーワールド側に置きっぱなしでいいか、流石に。
でかいだけで他のヘキサギアと同じだしな。
なんならミラーワールドの青森に引っ張ってそのまま巡回場所指定で県外に出ないようにしておけば、最悪ミラーワールド側の青森が一足先に惑星Ziになるだけで済む。
ばらばらの強化服の残骸からひび割れたデッキを引き抜き、カードを確認。
王蛇との契約は切れているが、元々のデッキの内容が良い。
振り向き、ファイナルベント後、着地した状態でへっへっへっへとクーリングの為の排気を繰り返し、トリックブレードへの負荷を確認する為に尾部をブンブンと振り回しているロードインパルスにデッキを放る。
その場から跳ぶ事もなく、伏せた状態から身体を起こし、ばくん、と、口腔にあたるハウンドバイトで壊れかけのデッキをキャッチ。
その他同型のヘキサギアであれば大型ブレードなどをマウントする程度の機能しか無い筈のそこから硬いものを噛み砕く咀嚼音にも似た音が響き、再び伏せる。
ミラーモンスターを取り込む時とは勝手が違う為か、現時点ではこうして解析にリソースを回すように身体の動きを止めなければならないのが難点か。
近付き、取り込んだデッキの解析を行うロードインパルスの頭部に手を当ててゴミを払ってやると、手の触れた部分から、るる、と、小さく唸るような音が伝わる。
邪魔をしてはいけないか。
さて。
これで残るライダーは、俺を含めて3人。
後回しにしてきた元祖イレギュラー、何をどうしてもライダーバトルに参加して進行を邪魔する方。
そして、もう一人のイレギュラー。
どうしたものか。
万が一負けたとしても殺される危険が少ないのは悪いことではないと思うのだが……。
何はともあれ、オーディンと、神崎士郎との対面が最優先。
龍騎から奪えるものも、ライアから奪えるものも些細なもの。
片付け方には拘らずに行こう。
いつもより短い!
気がする
花もないんだよ
最悪ヒロインが出なくても血の花なり火の花なり咲けばそれでいいんだけど
ミラーワールドの死体が消えるルールはズルい
短い上に描写も色気が無く寒々しい気がする
短い上に冷たいとか
割るのに失敗したダブルソーダかよ
二年以上前に販売終了してるんだよ……
作中ではまだ販売終了までに時間があるので
合間の日常でヒロインの誰かとはんぶんこするシーンとか入れたい
パピコでいいじゃないかって?
うん……まぁ……そうね……
でも思い出の味なので
イルカ先生……
イルカ先生は関係ないんですけど
☆実は粗暴なだけでなく知恵も回るタイプだけど何故か今回撤退とかせずいきなりファイナルベントった紫の鯖の人
ぶっちゃけ戦況を変化させるだけの要因が無い脱獄直後が一番殺しやすいのだ
乱戦のどさくさとかだと逃げられる可能性があるので完全決着を望むなら乱入者を防いだ上でサシでやろう
唯一の獲物は素手で壊されるし
アドベントでベノスネーカー呼んでそっちを先に殺されるか
ファイナルベントにワンチャン賭けるしかなかった
実際逃げてたら主人公は背後から辺り一帯を吹き飛ばす勢いで飛び道具をばら撒いていたのでファイナルベントは正規の方法では最適解でもあった
神奈川の高校を中退した後に中古車販売店に就職したという経歴があるらしいんですが面接の担当をされた方はどういった基準でこいつを雇おうとしたのだろうか
やっぱり過去改変で悪党ぶりを増強させられていたのでは……?
★登場してないけど最近新SPIRITSを集め始めたので登場してない人物紹介その一
本郷猛/仮面ライダー一号
このSSには登場していないんだけど、映像として見るなら演者さんは登場済みという実にややこしい人
頼れる人を作れ、という辺り、一般に出回っている映像や振る舞いから察したのかどこからか主人公の正体バレ情報を得ているのかわからない謎の人
IQ600というどういうテストで測定できるかわからない超頭脳を持ち、更に彼を上回る科学力を持つ知り合いが悪の組織ではない在野に存在するという、やっぱり人類は放っておいても進化したんではないかという象徴の様な人
その知性から考えて周囲の人間なんて大多数がお猿さんにしか見えないんじゃないかと思うんだけど、それでも人類の自由の為に戦い続けるのは偉いし凄いけどちょっと理解し難い気もする
このSSにおいては海外にはそれぞれのライダーが立ち向かわなければならない強大な悪の組織が存在して居るために未確認の連続儀式殺人が行われ始めても日本に戻れずにいる
……という設定なのだけど、よくよく考えたら悪の組織の他に海外のファンガイアとかオルフェノクとか海外産魔化魍とかも相手にしないといけないのは結構大変というか里帰りもほんとにできなさそうで可愛そうかなぁ
ゴーストと映画でコラボした時の強化状態での語りはあれ本郷猛じゃなくて本郷猛の中の人の意見だと思うので、海外で五代さんと出会ったら優しくしてくれそう
ゴーストと一緒に謎の零細企業ノバショッカーと立ち向かう時に久しぶりに本人役で出演したが、全身改造されてるのに老けてたりするけど顔周りは生なのか、再改造で老けてるように見せてるのか……
SPIRITSを見る限りでは十年くらいでは外見上の変化は無いようだが……?
バダンシンドロームにかからない、脳味噌以外生身は殆ど残って無さそうな改造ぶりなのでアギト化はしないしオルフェノク化もしないと思われる
★そこでSPIRITSの話
ライダー自体にそんなに興味無くても村枝先生の描く女の子は可愛いなぁ!ってだけでも読む価値があると思うんですよ、真面目に
電子書籍系のアプリとかで偶に新旧シリーズの最初の三巻くらいが無料で手に入る
そして恐らく実家に戻って置いてある荷物を紐解けばある筈なのについつい続きが気になって買っちゃう
読んでて思うのは、完成度の高い作品ってオリ主をねじ込むのが難しいよねって話……
BADAN以外の敵が昔の組織だから大体因縁の対決ばっかで水を差す雰囲気じゃないっていうか
でも設定上スーパー1と同等な上に5ハンドまで再現できているらしいロボットスーパー1が出没するのでもう最初から青森常駐でいいんじゃないかな
なんかスーパー1周りのエピソード、赤心少林拳あたりの話する為に敵幹部も大体が雑に始末されてるし
何らかのアクシデントで元の世界からSPIRITS世界に飛ばされた主人公が元の世界に戻るまでを描く、みたいな話にしておけばSPIRITSの最終回を待たなくても途中退場でSPIRITS編完!ってできるし
本筋の間に挟むか完全な外伝にするかが問題
だってSPIRITS世界での経験持ち込めるなら絶対特訓よりもロボットスーパー1部隊作る方に行きますよ今の主人公なら
最悪、変身は隠して超能力とモーフィングパワーだけで私超能力者なんです!で押し通す可能性もある
そして結城丈二に出会うなり握手を求めて
『先生の論文読みました!』
『ユートピア理論、素晴らしいと思います!』
とか目ぇキッラキラさせて迫って曇らす
曇るかな……
なんかユートピア理論自体は諦めて無さそうですよね結城丈二
デストロンに栄光あれとかするし……
もし外伝書くなら無自覚全方位曇らせ煽りマシーンになりそう
問題があるとすれば、現状転移で移動時間を無視できてモーフィングパワーで戦力も武器も物資も増やし放題である為、SPIRITS本編の緊迫感というか追い詰められている感が無くなってしまうのがなぁ……
正体隠さないルートだと気軽に改造人間作って敵対する可能性もある
隠したまま気軽に改造人間作って敵対する可能性もあるが
★久米田先生のかくしごと
連載の方読んだ時は、シモネタ減って親子ネタ入るとかおとなになったなぁとか思ってたんですよ
単行本読んだらもうね……
うまい!うまい!うまい!うまい!
ってなる
そうそう、こういうのでいいんだよこういうので
長期の連載の最後の方でしか味わえなかった部分が単行本発売のたびに味わえるしなんなら本編でも度々味わえるとか最高かよ
久米田先生の美味しいとこと新しいとこが全部詰まってる
ていうか単行本にこれまでの久米田先生が詰まっててこれ実は遺言系か死亡フラグ系の漫画なのではと思ってしまう
最終回書き終わった瞬間に何事かおきたりしないか心配になる
助けてライダー!
正直、浄化されてた頃に描かれていた太陽の戦士ポカポカとか割と本気で好きでした
作品名エゴサをしていたら
最近主人公の気持ち悪い内面を書き連ねるだけのSSになってる
と言われてたので内面の出ない戦闘シーンを長めに書いてリハビリ
まぁ言うてクウガ編程の切羽詰まりようも無いので限界はある
あと主人公の内面書き連ねるのはクウガ編の頃からずっとやってるんですよねこれが
むしろ半分くらいは内心で文字数が埋まっていた気がする
そして歴史改変対策が終わると更に余裕が出る
そうするとどうなる?
え、どうなるの?
しらない!
衝撃の次回の展開に一番期待しているのは読者じゃなくて作者だってそれ一番言われてるので
しかし初期の雰囲気がだんだん壊れていって読者が離れていくのはよくある話
前のもそうだった
目で見てない制限と文字で見えてる表現が実際書くとなるとドチャクソ面倒だったという理由もある
逆にそういう意味では処女作は色々徹底していたような気もする
ただ、ぶっちゃけた話安心して幸せな生活を送りたいという初志は貫いているのでぶれているかっていうとそうでもない
歴史改変対策、最低限は龍騎編でできるけど、決定的な対策をしようと思ったら一期どころか二期も振り返っていかないと本格的にはできないので……
でも作中に登場するキャラだって成長もすれば変化もするので雰囲気が変わるのは仕方がないのではって思う時は良くある
書けるようにしか書けないって何回書いたかわかんない
わかんないのだ
でもどさくさに紛れて年齢制限にならない範囲でスケベな話は書きたいのだ
義理の妹とのスケベも
同級生とのスケベも
年上お姉さんとの禁断スケベも
書くのだ
書くのだ
書くのだ
(ここ鉄の意志と鋼の強さ)
決意も新たにしたところで、次回も気長にお待ち下さい