オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版)   作:ぐにょり

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幕間
74 将来の夢、悪夢ではなく


余暇だ。

しかも一年近い余暇と言っていい。

無論、受験などあるのでおおっぴらに遊び呆けるという訳にはいかないが……。

それでも大事件と言っていい大事件は起きないそれなりに平穏な時間だ。

 

不安要素としてはスマートブレインによる青薔薇配布だが、現時点において上の上の薄汚い……じゃない、劣等……もとい、進化し損ね……でもない、アギトの完全下位互換……うーん。

…………神からの依怙贔屓を一身に受けている人間種族がマラークを元にして作られた生物を摂取し続けた事で蓄積された呪いとも呼べる因子を発動させる事で変異したと思しきマラーク亜種ことオルフェノク。

この中でもバラに纏わる超能力や繁殖能力に特化した個体の周辺、及び、鏡面の存在する研究所や工場など、支配種族シフトシナリオに繋がりそうな場所には、ミラーワールド側に改めて生成したヘキサギアを配置している。

いざとなればヘキサギアを表の世界側に侵入させて毒ガスをばら撒いた上で爆破処理を行い、それでも生き残った関係者が居た場合はミラーワールドに引きずり込み無限援軍のヘキサギアで圧殺する系の妨害が可能な様にしているので、そうそう大事にはならない、筈だ。

 

そもそもの問題として、現状ではスマブレのオルフェノクや疑わしいラインの社員、外部協力者を一斉にミラーワールドに引きずり込み数の暴力と肉体の消滅で一気に殲滅するという選択が取れない。

オルフェノクの王の出現条件を満たす子供は去年一昨年の時点で多く居るが、知る限りで実際にオルフェノクの王を宿した子供は、現時点では両親ともに健在。

故に、暫くは監視を続けながら優先して消すべき個体の選別をしていくべきだろう。

 

また、優秀な特殊能力を持つ個体に関しては手足をもぐなどして捕縛して研究したい。

そういう点で言えば、流星塾の同窓会などは狙い目か。

アクセルベントや時間制御により高速戦闘には対応できているが、その上で時間制御によらない高速戦闘が可能な理屈を解明して再現できればより安全性は高まるだろう。

 

だろうが……。

まぁ、そういう殺伐とした方向にばかり思考を向け続けるのは健康に良くない。

 

ライダーバトルの間は中々ゆっくりと出来なかった花見などもしたいし、夏になれば海と言わずともプールにくらいは行きたい。

それに今年はこれといった大きな事件も無い筈なので、父さんもちょくちょく帰ってこられるかもしれない。

 

久しぶりに父と子の親子の会話、というのも発生するかもしれない。

そうすると、嬉しくはあるが、少しばかり困ったことになる。

進路相談だ。

 

無論、俺も来年に大学受験を控える身であるからして、志望大学は決まっている。

我が家は経済的に子供を大学にやる余裕も仕送りをする余裕も十分にあるし、なんなら俺も自腹で大学に通う程度の事は可能だ。

俺自身の頭脳は幾ら強化されたからといっても天才的な発想力を持つわけではなく既存のものを改造改良する程度の事しかできないが、それでもここまで来るのに手に入れた技術で特許を申請していないものは多くある。

なんとなれば、神崎士郎の頭脳から限界まで絞り出した知識、技術を全て世に出せば、生きていくだけ、最低限文化的生活を送るだけなら、全人類がそうあれる様に文明を進める事も不可能ではないかもしれない。

問題があるとすればその過程で、全ての技術が平等に広まるまでに技術を巡って幾度か人類同士の戦争が起きるだろうなという代物が多く含まれる事だろうか。

 

まぁ、そんなのはもしもの話だ。

特許申請をするつもりも今のところは無いし、それ以外の方法でも生きていくのは難しくない。

問題となるのは、衣食住に関わらない部分、どうやって生きるか。

端的に言って将来の夢というもの。

 

以前、俺は何になりたかったのだろうか。

意気揚々と脳開発をしていた時期には科学者にでもなってやろうかと思っていた気もするし、父さんに憧れて警察官を目指していたような気もする。

だが、今はそのどちらの未来もピンとこない。

ジル、難波さん、葦原さんはともかくとして、既に俺はレントゲン含む諸々の身体検査で引っかかる事はない。

神通力で体内の様子を人と同じ様にごまかす事は難しくないし、なんとなれば、この身体も厳密に言えば以前のものとは異なる。

故に、定期検診の存在する公的機関に所属する事も可能と言えば可能だ。

 

……が、組織に縛られてしまえば、動きにくくなるというのも確かな話だ。

時間的に余裕のある、というか、ある程度時間を自由に使える職業でなければ不測の事態に対応する事はできないだろう。

 

実際問題、自由に時間を取ろうと思えば研究職やら公務員は全くの論外と言っていい。

父さん、ここ二年程の間、殆ど家に帰れていないし、G1ユニットの唯一の装着者として活躍している一条さんなど言わずもがなだろう。

科学者にしても、今あらためて考えてみれば何を研究するのかという話だ。

ぶっちゃけ研究するまでもなく高性能の義手義足義眼程度なら直ぐに設計図と手術の手順を纏めたレポートを提出できる。

監視として手塚に送りつけたアーキテクトもその技術の応用だ。

人間に近い機械の肉体を日常的に動かし続けるテスト機としての側面も持っている為、脳みそ以外駄目になってしまった人の為の全身義体を作れる様になるのもそう遠い未来ではない。

……というか、そういう方面の技術を開発しようと思ったなら、今の人目を盗んでこっそり開発を進める形式の方が倫理観などの面で面倒が少なくて良い。

なんなら研究のための資金資材は自力でどうにかできるし。

 

なんならもう、会社でも起こしてそういう既に完成した技術や商品を売り出してしまった方が早いまである。

が、実際今作れるものと言ったら義体を除けば大体が武器の類いだ。

日本でそういう商売ができるか、と言われると、難しい気もする。

そういう仕事をするなら海外に行くのが良いのだろうけれども、今の所、海外で暮らす踏ん切りは付いていない。

まだ日本国内の方が何が起こるかある程度わかっている分、対処もしやすい。

実は日本国内に情報が来ないだけで、アメリカに行ったら巨大なAのロゴが入った高層建築が立てられて、赤金のパワードスーツが空を飛んでいたり、赤い全身タイツマンがクモ糸を飛ばしながらスウィングしていたり、なんて事もありえるかもしれない。

……流石に無いか。

無いと思いたい。

だがある可能性もあるので、海外に本格的に出向くならもっと力を付けてからだ。

 

話を戻して。

……地味に良さそうだと思うのは猛士だろう。

名前の頭文字縛りもこっそりクリアーしているし、鬼になれなくても開発系に携わる事も不可能ではないと思う。

普段は魔化魍への対処がメインの仕事だが、去年に起きた二度の東京襲撃では普通にグロンギやマラークと戦っている姿が確認されているし、何事か起きた時、戦闘職である鬼にはそれなりの自由裁量があると考えても良い。

鬼の弟子にも年齢に幅があり、なんなら大学を出てからでも間に合う可能性はありそうに見える。

給料の安い高いに関してはぶっちゃけそれほど問題にはならない。

金が欲しければ少しだけ先を見てお馬さんにお金を持ってきてもらうなり自転車乗りにお金を持ってきて貰うなり船乗りにお金を持ってきてもらうなりサッカー選手にお金を持ってきてもらうなり株を転がしたり土地建物を転がしたりすれば良い。

 

そして、地味に最近適職なのではと思わないでも無くなってきたのは探偵職だ。

無論、現実の探偵はフィクションの名探偵の如く殺人現場で現場を荒らしながら証拠を漁って被害者遺族や関係者の前で大げさな身振りと共にさあこれから推理ショーをお見せしましょう、みたいな事をのたまい出す悪趣味極まりない人格破綻者ではない。

しいて言えば人様のプライバシーを覗き見して人様にお伝えする悪趣味な仕事というのが俺の正直な探偵への印象なのだが。

今、戦いと武器開発以外で俺に何ができるかと言えばまさにそれだ。

この地上において、今、俺ほど人のプライバシーや秘密を好き勝手覗き見できる人間は存在しないと断言できる。

無論、常に周囲のプライバシーを侵害している訳ではなく、調べようと思えば調べられるという話でしかないのだが。

あと、職業を尋ねられた時、探偵です、って答えるの、やっぱかっこいいなって……。

推理を披露した後の去り際に、お名前を、って言われたら、名前を言って、取るに足らん男です、って答えたりするのも良いよねって……。

いや無論、父さん母さんから生まれてしっかりとした環境で育てられた俺は取るに足る男であるべきなんだけど、憧れる受け答えと実情は全くの別物なのだ。

 

が……、しかし、だ。

身近な危機への対処にばかり気が行って、どうにもどの将来設計にも現実感が沸かない。

いや、そもそも、だ。

あと七年……八年?

世界が破壊されてしまったなら、それら全てはおじゃんになる。

或いは今の設定を引き継いだまま再編される可能性もあるが、どうなることか……。

世界の破壊者を先んじて殺してしまう、というのも考えたが、それで世界の破壊やら再構築がなくなるかは別問題だ。

何しろ原因がはっきりと明示されていない以上、あの年の関係者を皆殺しにしてしまってもまったく無意味かもしれないのだ。

まったく。

ディケイドに物語はありませんなどと、よく言ったものである。

 

―――――――――――――――――――

 

デッキを一つ作ってみた。

自分用を作ってからはオリジナルデッキの解析と自分用の改良ばかりをしていたので、改めて最新版を一から作った場合にどれくらいの時間が必要になるか、というのを確かめておきたかったのだ。

 

結論から言って、そう時間のかかる仕事ではない。

まぁ、モーフィングパワーも無くアギトの超越肉体と超越感覚、超越精神の組み合わせによる超精密作業が出来なければ話は変わってくるが。

一般的なPCくらいの値段で売っても採算は取れるし、これならデッキ職人の朝は早いみたいな事にはならないと思われる。

ミラーワールドへの行き来……というか、ミラーワールドへの耐性その他過剰な部分を削れば更に安価にできるだろう。

元々、ミラーワールドのライダーの防御性能はデッキ部分を除けば過剰な程なのだ。

表の世界でオルフェノクやファンガイア、魔化魍を相手に自衛する程度ならば不要な機能は多く存在する。

 

そして、これを世間に広く流布すれば、オルフェノクと人類の能力差くらいは埋まる筈だ。

広めるのであればどうするか。

ステルスマーケティングで、今海外で大流行の新スポーツ(大嘘)としてライダーバトルを流行らせるというのはどうだろうか。

分解して解析されれば違法コピーされる危険性はあるが、重要部分はブラックボックスにしてしまう事も可能だし、それこそ契約のカードの製造方法がわからなければ作られるのはブランクデッキのみ。

大量生産は手動では難しいが、これはミラーワールド側に普通に自動化した工場を設けてしまえば良い。

ミラーワールドへの出入りは今となっては俺、そして新造したデッキ持ち、アーキテクト、そして恐らくは手塚くらいのもの。

秘密は守られるだろう。

 

オルタナティブや俺の初期疑似デッキのように洗脳装置を力ある存在にぶっ刺して力を借りるという手法をどうにかすれば、正しく市場を独占できる。

これを犯罪に使う者も現れるだろうが、それこそこちらの思うつぼ。

銃と同じで、犯罪者がこれを用いて犯罪を犯すというのであれば、一般人もこれを以て対抗するしかない。

これにて極めてスムーズにデッキを広める事が可能になる。

材質をオリジナルよりも壊れやすくしてしまえば、再購入の需要が増えるな。

壊れた時用に複数所持というのは普通にありえる話だ。

武器を搭載せず変身のみのデッキにしたとしても、変身後の性能は契約先のモンスターの強さで変えられるし外見の好みなどで色々差別化はできるだろう。

廉価な金蟹型と大衆機の騎士型、玄人好みのサイ型に、高級な赤龍型とか紫蛇型とか。

夢が広がる話だ。

で、武器の使用に関してはテニスラケットの如くある程度の規定を作って自作を推奨してもいいし、威力を抑えたハリボテの様なものを出しても良い。

基本的なところは公式で揃えた上で、ある程度は購入した側での創意工夫が可能な方が燃えるものだ。

 

まぁ、ホビー扱いで売るのは流石に無理がある。

自衛に使わせる事を考えれば馬力を減らす事はできず、馬力があればそのへんのバットを持っただけでも十分な危険性があるだろう。

秘密裏に販売して蔓延させるという手もあるが……。

それだと俺の表向きの職業としてデッキ職人が使えなくなる。

金に困って売る訳ではなく、両親や友人、世間様に公表して恥ずかしくなく不審でない社会的立場としての職業が欲しいのだから、メモリブローカーの様な薄汚い売人と同等であるならやる意味がない。

 

変身のみ可能なデッキを売り出し、諸々のカードに関しては中身を伏せたパッケージで五枚セットくらいのブースターパックにして売り出したりもしたかった。

だが日本の武器やそれに応用可能な危険物へのアレルギーは他国に類を見ない程のもの。

カードを増産して、まるで紙幣を印刷しているようだ、と高笑いをして父さん母さんに楽をさせて上げたりは難しいらしい。

まぁこんなものを一般に広く普及させたら楽をさせるどころか父さんは過労死してしまうかもしれないので、諦めるしかない。

 

俺のなりたいもの。

将来の夢。

比較的安全なデッキと多少安全なライダーバトルの普及で世界の長者番付に載る、というのは、親孝行として悪くないとは思うが。

変に焦らず、まだ考え中、くらいの話で良いだろう。

 

「そういうわけでこれはお前にやろう」

 

『おういうあえ?』

 

「お前もグジルも変身体が二十二号の関係者として顔が知れている。まぁ……変装の様なものだ」

 

散歩から帰ってきたジルに完成した構築済みデッキを渡す。

付属の説明書に目を通すジル。

最近、ジルも一人で外出をする事が増えた。

ベルトの補助のおかげで人並みには動けるし、仮に視界の外からオルフェノクによる不意打ちを受けても半実体化したグジルが個別に視界を持っている為、そうそう危険は無い。

母さんに頼まれて買い物に行く日もある程だ。

なんならグジルが普通に実体化して付いていけば輸送量も二倍、負担は半分となる。

わしが育てた。

一人ではまともに出歩けない程に身体が動かなかった頃を思い出せば感慨深いものだ。

 

「わたしには?」

 

「ほれ」

 

にゅにゅにゅ、と、説明書を読むジルの影から生えてきたグジルにもう一つのデッキを渡す。

同じ肉体に同居している関係上、実際はジルがデッキを二組持つ事になる……と思っていたのだが。

最近は小物であればグジルが持ったままで引っ込む事も可能になったらしい。

しかもできるようになったのはつい最近のこと。

グジルはしきりに首を傾げていたが、ジルはこの変化を、

 

『いあんうんお、えいおう』

 

と答えた。

時間分の成長。

グジルの意識はジルの中のアギトの力と同化しつつある、との事だが、それはグジルがアギトという訳でなく、あくまでもアギトの力の主はジルであるという事なのだろう。

なるほど、火のエルから直渡しされた津上翔一とは異なるものの、こいつも曲がりなりにもアギト。

先のテオス戦ではかなりの無茶をしたようだし、その上でタイムベントでおおよそ合計で一年程の繰り返された時間を合わせれば、何かしらの進化はするのかもしれない。

 

「いいなー、これ、たぶん新しいゲゲルとかで使ってたやつだろ?」

 

説明書を流し読みし、デッキをしげしげと眺め回すグジルにうなずく。

 

「それを使うゲゲルは他の奴主催で、俺はあくまで参加者側だったからな、人数制限もあったし」

 

「で、これは参加賞的な」

 

「そうだな、参加すれば全員もらえたゾ」

 

公式への返却も許されないけども。

 

「それはコピーだから付いてないけど、公式のデッキはセットでフルカウル型の大型バイクまで付いて、参加料はなんと無料」

 

車検通るかはわからんけども。

 

「はえー、太っ腹なやつがいたもんだなぁ」

 

『ういういお、おえう!』

 

「ぷにぷにのおデブどころかむしろ病的に痩せこけてガリッガリだったけど、あれは幸福の王子的な痩せ方だったか、たぶん」

 

凄い技術はいっぱいくれるし、主催者側の参加者は頑張れば勝てるレベルにしておいてくれるし、身を削って妹を助けようとするし、もしや神崎士郎はかなり良いやつだったのかもしれない。

そんな良いやつの願いを叶えた上で、表の世界で生きていくのは難しいだろうからと、生きていくだけならそう難しくない合わせ鏡の世界に連れて行ってあげた俺……。

いや、消えてしまった時間ではあるのだが、今年だけでとても密度の濃い善行を積んでしまったのではないだろうか。

彼の自己犠牲を無駄にしない為にも、世と俺の生活を荒らす生き物は徹底的に絶滅させていかなければ。

 

―――――――――――――――――――

 

そういえば、

 

「何買ってきたんだ?」

 

散歩から帰ってきたジルは、普段から持ち歩いているトートバックをかなり大きく膨らませている。

普段なら買い物をするにしても、ここまで大量に買い込む場合はグジルを出して半分持たせたりするものなのだが。

 

「節分の準備だよ節分の準備、もうそろそろだろ?」

 

そう告げるグジルの横で、ジルがバックから一つ一つ荷物を取り出して行く。

 

『おあえ、おあえ、おあえ、おあえ、おいえおあえに、おあええお?』

 

「多いな豆……」

 

「わたしのぶんだってさ……」

 

封印されてた年数も含めるのか……。

と、いっそ業務用の乾燥大豆をキロ単位で通販で買ったほうが良いのではという数の豆を取り出した後、ごとりと異質な重い音が響いた。

石膏の塊だ。

 

『おいお、おえん! お、おお』

 

嬉しそうな笑顔で石膏の塊を掲げるジル。

熱か、分子操作で固めたのか、元は片面を柔らかくしておいたのだろう。

石膏の塊の片側には、この近辺を担当する、すごく鍛えて変身するタイプの鬼の人の顔の形に凹んでいた。

このまま適当な素材を溶かして内側に塗るだけでも結構精密なお面が出来上がりそうだ。

鬼の、おめん、の、元。

ジルは楽しげにニコニコと笑っている。

グジルを見る。

グジルは少しだけ眼をそむけた。

 

「グジル」

 

「正当な報酬だから……聞けば納得、は、できるか知らんけど」

 

「聞こう」

 

グジル曰く。

豆は買えたが良い鬼のお面が無いので別のスーパーに向かう最中、山から大きな音がしたため向かった所、巨大な猿の様な怪物、魔化魍と、偶に戦っているところを見かける鬼の人を発見した。

この区域には彼しか(彼女かもしれないが)居ないのか、応援も無く一人で戦っている様子で、巨大さのわりに猿に似た小器用さを持つ魔化魍を相手に苦戦中。

そこで、ジルがすっと物陰に隠れて変身し参戦。

慌ててグジルも実体化して変身、鬼の人と力を合わせて魔化魍を退治。

で、鬼の人が何かお礼を、と言ってきた為、グジルがジルに『何かしてほしい事あるか?』と、尋ねようとした。

で、グジルがジルの方を確認の為に振り向いた時には、溶けかけの石膏の塊を片手で振り上げたジルが、まだ変身を解いていなかった鬼の人の顔面目掛けて思い切り叩きつけたのだという。

 

「耳にあたる部分がどこかわかんなかったけど、たぶん聞こえてるものとして、鬼のお面作るから型取りさせて、って伝えて」

 

『おいあえあえうお、おあうああ』

 

「粘着弾で足止めして催涙煙幕を撒いて逃げてきた、と」

 

こくん、と頷く一人と半分。

うーむ、馬鹿かな?

鬼の面くらいなら俺が迫真の造形のものを作るが。

手助けしたという事実があるにせよ、面の型取りに関しては敵対してると取られる危険がありそうだし。

でも……、

 

『えううん! あえあい! いんあ、いっお!』

 

楽しげに石膏と豆の袋を振り回すジルの姿は見ていてこっちまで嬉しくなってくる。

去年の今頃となると、だいぶ絆されていたとはいえ、ジルが完全に安全かわからなかったし、グジルに至っては実体化すらしていなかった。

グジルに対して姉妹や親やもうひとりのBOKUの様な親しみを感じているジルからしてみれば、全員揃ってのこういう楽しげな行事というのは憧れの内の一つなのだろう。

 

「今度魔化魍が出た時にでも、一緒に謝りに行けばいいか」

 

無論、デッキでの変身でなく、素の変身でだ。

デッキでの変身は小春交路の変身体というていで行くつもりだしな。

 

「なんか甘くね?」

 

「いいんだよ。甘くできるのは余裕がある証拠だ」

 

力の余裕と時間の余裕があるのならば、偶にはこういう対応をしても問題は無いだろう。

誠実に接していれば、正体を明かさなくても協力したりはできる事は、警察の皆さんで証明済みなのだ。

だから、いまのところは、問題なし、という事で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





息抜き回その一
ほんとはジル&グジルの平凡な一日回とかやろうと思ったけど、書きやすい主人公のモノローグから入ったらこうなってしまった
幕間の間にジルかグジルの日常回、難波さんの日常回、ガールズトーク、お姉さんへの進路相談、お母さんとの親子の会話、渋谷隕石、お姉さん助ける回、お姉さんにマジチンを振るう回、模擬戦、くらいはやりたい
日付イベントとか季節イベントとかもこれらに絡めて消化したい
普段驚異に対抗していると日付イベントどころの話じゃないしね……
あと早めに驚異を取り除いていく関係上、メインストーリーがクリスマスとかにまで届かない時が多くなっちゃうし

☆将来の進路を今できる事から想定した結果、一番社会的に成功できそうなルートがホビー漫画の悪い会社の社長的な立ち位置である事に気がついてしまうせめてアイアンリーガーの悪の親玉くらいの位置に収まりたいモラトリアム満喫マン
悩む分にはどれだけ悩んでも良いのが学生時代の良いところ
社会に出ると悩むのもままならなかったりするからね……
社会に出た後にこいつが進む道に迷わなかったとしたら?
全国のホビー店に大量のカードデッキとブースターパックが立ち並び、ライダーデュエル用の専用ブースとかが店の屋上なり駐車場に設置される未来が訪れたりするかもしれない
全国リーグとかの会場はどっかのドームとか借りてやると派手でいいよね……くらいの妄想までは行ってる
手塚の予知した未来の中ではかなり穏当な方の未来
この未来だとジルとグジルが双子系のイメージガールとして働いて、難波さんが社長秘書、イクサのお姉さんは全国強豪チームの素晴らしき青空の会のコーチで、高級なデッキを扱うエリートデュエリストと化した753をビシビシ指導していたりする
のかもしれない
主人公はなんか普段は偉そうな椅子に座って足元に寝そべるロードインパルスをなでてるけど、全国大会優勝者が挑戦権を得ることができる最強のデュエリスト
占い師さんは過去に主人公と渡り合って実質勝った事があるらしい無冠の帝王
そこに現れるもやし
「ここが仮面ライダーデュエルミラーモンスターズの世界か……」
優良デッキを使うけどプレイングが悪くカードの引きに運命力の無いユウスケも居るぞ!
決勝で戦うけどここでタイムジャッカーが何故か割り込み
ででー(説教用BGM)
なお、タイムジャッカー登場と共に会場の参加者とデッキを持った観客全員が変身し、一斉にタイムジャッカーを殺しに掛かる
一般販売されたデッキは契約モンスターの他に主人公とリンクが貼られている為、タイムジャッカーの時間停止に対して耐性を持つ、みたいな
最後はタイムジャッカーの存在する次元に乗り込んで俺たちの戦いはこれからだ!
ってなる
ならない、そんな世界には……書ききれない……
執筆速度を十倍にできたら書きたいけどもそれは夢や
ライダーバトルの存在を知って帰国してきた昭和のライダー達が至るところで繰り広げられるライダーバトルを見て思う存分困惑する姿は見たいけど、俺の昭和ライダーのソースって殆どSPIRITSだからなぁ……
ライダーバトルの秘密を探るために製造工場らしき場所(偽装)に乗り込んだライダー達に降り注ぐスポットライト、周囲暗転
そして現れる主人公社長
暗転が晴れると周囲がスタジアムになってて無数の観客
「今日はスペシャルゲスト! 全てのライダーの起源である十人ライダーの皆様にお越しいただきました、盛大な拍手を!」
って支配者のポーズしながら嬉しそうに宣言する主人公と熱狂する観客
あー!
俺にそういうのを書ける妄想力と構成力があれば!
ここまで書きたいシーン書いといて別にこのホビー世界線の落ちとか一切思いつかないし!
多分浅倉とかは主人公の会社の公式プロライダーとかやって人生充実してる
蟹の人もクソデッキ使いの強豪として有名だけど大会で賞金貰ってたのがバレて始末書とか書かされてる
細々とした妄想なら楽しいんだけどなぁ
ホビーものだから成り上がり系の主人公が欲しいけど、宝生永夢ゥはまだ若すぎるからなぁ、どうするべか

☆ホビー世界線が無くても人生を結構エンジョイしてるしみんないっしょでみんな良いジルと元グロンギでありながらもそんなジルに結構振り回されてるグジル
ジルは現状マスコット型可愛い枠を想定してるけど、実はグジル側には真っ当なヒロイン力をもたせているので幕間中にそれを表現したい
ジルはやって良いことと悪いことの狭間を見極めるために色々してる最中
むちゃくちゃする時もあるがグジルと主人公がフォローをしてくれるだろうという想定も含めての行動なのだ
人を巻き込んで手伝わせるというムーブを主人公がジルから学ぶとバッドエンドポイントが少し下がってグッドエンドポイントが少し上がって混沌系ポイントが割りと上がる

☆顔面にパイの如く石膏を押し付けられた一般善良な鬼の人
顔の変身解かずにいて良かったー
警察との接触があったって話来てからうかつに変身解かない様にて伝達来て無ければ酷いことになってたなぁ
くらいの呑気さ
まぁ変身能力とか持ってるからには色々あるんだろうし、魔化魍退治を手伝ってくれたから悪いやつじゃないでしょ!
おおらかな人
でも多分弟子とかにはそれなりにビシビシ行く
ヒロインはこれ以上増やすと収集つかなくなるので野郎でヤローさんみたいな人じゃないかなって
たぶん響鬼さんとは半分くらい波長が合う
鬼を目指すという生き方に関しては微妙にスタンスが違うのかもしれない
苛烈な人は響鬼本編でケツ鬼とか朱鬼とか居るしね
師匠としても交渉相手としても朱鬼さんが便利過ぎるのがいけない



ジルとグジルを二人と換算しても実質登場人物四人しか居ねえ!
まぁ元から戦闘メイン回だと主人公と敵の二人くらいしか居ない、みたいなSSだからむしろ登場人物は多い方
しかし場所的には家の中だけで完結しているしまるで移動していないので話としては実にミニマム
幕間はそういう話が多くなると思います
それでもよければ次回も気長にお待ち下さい

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