宝石の国 Jewel the Land   作:naogran

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真っ黒な空間。桜の花びらが舞い散り、月人達が謎の儀式を行っていた。月人達は正座して頭を深く下げた。月人達の前に居たのは、宝石達の先生である金剛先生だった。金剛先生が両手で合唱すると、中から光が現れ、月人達を一気に消滅させた。それと同時に海が出現した。




金剛先生「っ!」

目を開けると、学校の本堂に居た。どうやら夢を見ていたらしい。

金剛先生「夢か・・・危ない。」


第4章「魂・肉・骨」

目を覚ました金剛先生は外の景色を見ていた。

 

金剛先生「寝過ぎた。」

 

ジェード「先生!お目覚めですか?」

 

そこにジェードが駆け寄って来た。

 

金剛先生「ジェード。どのくらい寝・・・瞑想していた?」

 

ジェード「丸1日程です。」

 

金剛先生「そうか。長くなってしまった。」

 

ジェードの頭を優しく撫でる。

 

金剛先生「何時もすまない。報告を頼む。」

 

ジェード「はい!まず月人ですが。昨日の正午頃、切の出現と学校真上に同時に2器・・・」

 

金剛先生「何故起こさない!」

 

ジェード「いえ、起こす間も無く、両方共すぐ・・・」

 

???「僕が。」

 

ジェード・金剛先生「!?」

 

聞き覚えのある声の方を向いた。そこに立っていたのはボルツだった。

 

金剛先生「流石ボルツだな。だがこんな密な事は滅多に無い。もう無理はするな。」

 

ボルツ「無理などした事はありません。」

 

そう言いながら密かに微笑んだ。

 

金剛先生「皆、無事だな。」

 

ジェード「はい。」

 

金剛先生「なら良い。他には?」

 

ジェード「実はフォスが・・・」

 

 

 

 

 

 

一方フォスはと言うと、1階に居た。死んだ魚の目で池を眺めている。

 

???「我こそは、全アドミラビリス族を束ねる王、ウェントリコススである。」

 

ナメクジが自ら名前を名乗った。フォスはまだ死んだ魚の目をしてる。そして。

 

ウェントリコスス「控えおろー!」

 

カゴに入ってるウェントリコススを池に放り投げた。

 

ウェントリコスス「あーーー!下賤のクラゲめ!!止めろーーー!!わしに触れるなエッチ!!」

 

池に生息するクラゲに引き摺られた。数秒後、何とか脱出して陸に上がった。

 

ウェントリコスス「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

フォス「くそ、もう縮まないのか。」

 

ウェントリコスス「ふっふ〜。わしは元々この近海に棲んでおったんじゃ。この愛らしいサイズが本来なのだ。」

 

 

 

引き上げた巨大な殻を見て、ユークレースとルチルが悩んでいた。

 

ユークレース「これどうしようね?」

 

ルチル「邪魔ですね。」

 

 

 

ウェントリコスス「美しい殻を持つ我一族は、根刮ぎ月人に連れ去られ、月の甘い水と砂で肥大化し、変われる内に思考を奪われた。仲間は今尚、月で養殖されておる。悲しい話じゃろ・・・?」

 

フォス「まぁ、それが本当なら同情してやらない事もないが・・・それよりか何で僕だけ・・・」

 

イエローダイヤモンド「具合はどうだ?」

 

ジルコン「無理はいけませんよ。」

 

ネプチュナイト「ノイローゼの対処は早めが良い。」

 

ベニトアイト「夜皆でトランプしよ。」

 

声がフォスにしか聞こえない為、周りから気い遣われてる。イエローダイヤモンドとジルコンとネプチュナイトとベニトアイトが子供をあやしてるみたいにそう心配してる。

 

ウェントリコスス「ひゅー!ひゅーひゅー!」

 

フォス「僕だけお前の言葉が分かるようになったせいで、1人で喋ってるって病気扱いされてんだ!どうしてくれんだよ!」

 

ウェントリコスス「いやぁ〜、びっくり?そんな事ってあるんだね。」

 

???「全く厄介な奴と出会したもんだな。」

 

そこにツルギが歩み寄って来た。

 

フォス「ツルギ・・・」

 

ウェントリコスス「お!君が噂の人間かぁ。君の実力は素晴らしかったよ。」

 

ツルギ「それはどうも。けどナメクジのお前に言われても嬉しくねえけどな。」

 

フォス「え?」

 

ウェントリコスス「何じゃお前?わしの言葉が分かるのか?」

 

フォス「ツルギ・・・言葉分かるの?」

 

ツルギ「あの時、お前の声が微かに聞こえたからな。それがどんどんお前の言葉が分かるようになっちまってな。」

 

ウェントリコスス「ほほ〜う。お前は面白い人間じゃのう。」

 

ツルギ「それより、何故俺じゃなくフォスを飲み込んだんだ?」

 

ウェントリコスス「色が美味しそうだったもんで。」

 

ツルギ「それだけかよ。やっぱり薄荷色は月人に人気あるのか。」

 

ダイヤモンド「フォス大丈夫?」

 

フォス「ダメ・・・」

 

ダイヤモンドが心配してる。

 

ツルギ「ありがとなダイヤモンド。フォスは元気だから心配するな。」

 

ダイヤモンド「良かった。じゃあね。」

 

そのまま走り去った。

 

ウェントリコスス「ヘイ!マイダイヤモンド!」

 

ツルギ「お前ダイヤモンドに恋してるのか?」

 

ウェントリコスス「いやぁ〜、素晴らしい国だな〜。可愛い子ちゃんしか居らんではないか。お主も素晴らしい国に居て良かったのう。」

 

ツルギ「俺はここで月人達と戦ってんだ。彼奴らを倒さない限り素晴らしいと言えるか。」

 

ウェントリコスス「謙虚じゃの〜。わし、ちょっとツーンとした子がタイプ。」

 

ツルギ「例えば?」

 

ウェントリコスス「あの黒い髪の長〜い子とか〜。」

 

ツルギ「ボルツか。」

 

ウェントリコスス「夜の赤い子とか〜好み〜。」

 

ツルギ「シンシャか。」

 

フォス「っ!シンシャに会ったのか!?」

 

ツルギ「ああ。ダイヤモンドも会ってる。」

 

ウェントリコスス「あの子は賢いの〜。わしの習性からお前が殻になってるとすぐ見抜いた。元の姿に戻れたのはあの子のお陰だな。」

 

フォス「・・・・・・」

 

ツルギ「フォス、どうした?」

 

フォス「また助けられたんだ・・・それはダメだ・・・それはまずい・・・」

 

ウェントリコスス「ふっふ、あの子に格好悪い所を見せたくないんだな?」

 

フォス「あ?何それ・・・シンシャは多分、僕とツルギに秘密を教えてくれたんだ・・・」

 

 

 

シンシャ『俺はここで、攫われるのを待ってる。』

 

 

 

フォス「何でかは分からないけど、誰でも良かったとかは思いたくないんだ・・・僕さ・・・誰かに頼られたのは初めてなんだ。だから、次は絶対僕が助けてあげなくちゃ。よし!いよいよ本気出す!」

 

ツルギ「フォス。」

 

ウェントリコスス「わしもわしも!」

 

フォス「お前はツルギと観光でもしてろ!」

 

ツルギ「俺に頼るな。」

 

ルチル「もう1度、あなたをバラして組み直します。」

 

後ろからルチルがフォスの腕を掴んだ。

 

ツルギ「ルチル何時の間に。」

 

フォス「ただのノイローゼだから!ストレスストレス!」

 

ルチル「私の腕が疑われるでしょ!」

 

フォス「喰らえ!!」

 

ウェントリコススをルチルに投げた。

 

ルチル「逃がしません!」

 

しかしウェントリコススがルチルの足にしがみ付いてた。

 

ルチル「医師の指示に従いなさい!!」

 

大きく足を高く上げて、ウェントリコススを上に飛ばした。

 

ツルギ「飛んだな。・・・なっ!まずい!」

 

何かに気付いたツルギが走り出した。

 

 

 

 

 

 

走り出した先には、金剛先生とジェードとダイヤモンドとボルツが居た。金剛先生がダイヤモンドを撫でてる。

 

金剛先生「石を食べるカタツムリか。」

 

ジェード「はい。それで・・・」

 

ツルギ「おい!」

 

そこにツルギが到着した。

 

金剛先生「ツルギ、どうかしたのか?」

 

ツルギ「金剛さん!上!」

 

ウェントリコスス「うわああああああ!!!」

 

金剛先生の頭にウェントリコススが乗っかった。

 

ツルギ「・・・・・」

 

フォス(僕のせいになるな・・・ごめんシンシャ・・・終わった・・・)

 

心の中でもう終わったと悟った。ルチルはすぐにこの場から去った。

 

ウェントリコスス「あらやだ良い男!ん〜・・・あら、削れないわ。」

 

金剛先生「これか。」

 

ジェードとダイヤモンドとボルツが笑い堪えている。ツルギは呆れながら頭を掻く。

 

ツルギ「はぁ・・・おい、金剛さんから離れろ。」

 

ウェントリコスス「あう!」

 

右手でウェントリコススを払い除けた。

 

ウェントリコスス「何をする!」

 

怒ってツルギに飛び付いたが、右手で受け止められた。

 

ツルギ「くっ付くなナメクジ野郎。」

 

金剛先生「ツルギ、これが。」

 

ツルギ「ああ。さっきあんたが言ってたカタツムリの正体だ。」

 

 

 

 

 

 

その後ウェントリコススとの対話を試みる。

 

金剛先生「貝の王よ。私達と有り様は異なれど、貝殻も宝石の1つ。歓迎します。これから、どうなさるおつもりか?」

 

ウェントリコスス「付き合って下さい!」

 

ツルギ(恋に落ちたか。)

 

フォス「下僕になりたい!っだそうです。」

 

金剛先生「そう言う訳には・・・平等且つ有効的な関係を築くべきだろう。」

 

暴れ回るウェントリコススと喧嘩してるフォス。

 

ツルギ「おいフォス止めろ。」

 

ウェントリコススは金剛先生にキスしようとしてる。

 

金剛先生「好意的なのは私にも何となく分かるが、王の言葉を理解出来るのはお前だけだ。博物誌の一環として行動を共にしなさい。」

 

フォス「はぁ・・・」

 

金剛先生「ツルギ、引き続きフォスフォフィライトの事を頼むぞ。」

 

ツルギ「分かってる。」

 

その場を去ろうとする金剛先生に、フォスがある質問をする。

 

 

 

 

フォス「先生、シンシャの事ですが・・・」

 

 

 

 

金剛先生「ん?」

 

フォス「彼はどうしてもあの虚しい仕事でなくてはいけませんか?有害かもしれませんが、とっても優秀です。無能な僕を2度も助けてくれました・・・何か、他にはありま・・・」

 

金剛先生「許せ。」

 

フォス「っ?」

 

ツルギ「え?」

 

金剛先生「私は未だに解決を持っていない。」

 

フォス「・・・」

 

金剛先生「それに、夜の見回りはあの子が自分で考えたものだ。」

 

ツルギ「シンシャ自ら夜の見回りを?」

 

金剛先生「ああ。」

 

昔シンシャは、金剛先生から励まされていた。

 

金剛先生「生きているだけで良いと何度も諭したが、だだ息をしてやり過ごすには、あの子は優しく聡明過ぎる。あの子がやっと考えた夜の見回りと言う仕事を、取り上げるのは偲びない。だが、結果として夜に閉じ込めてしまった。私の迷いと不明が招いた事だ。」

 

ツルギ「彼奴にそんな過去が・・・」

 

金剛先生「結論はもう少し待ってくれ。ただ生きるには、私達はあまりに複雑だが、幸い有り余る長寿である。忍耐や遠回りは歯痒く感じるかもしれないが、機が熟した時、彼の力になるようお前はお前の責務を果たしなさい。」

 

 

 

 

 

 

その後フォスは外の草原で横になっている。ツルギは夕焼けを眺めている。ウェントリコススは草を食べてる。

 

ツルギ「一番辛いのはシンシャだったんだな・・・切ねえな・・・」

 

フォス「僕が・・・僕がシンシャに見付けてあげられる物なんて無いのかもしれない・・・」

 

ウェントリコスス「この国にはな。」

 

フォス「ん?」

 

ウェントリコスス「海行こうぜ!」

 

フォス「オーライ、オーライ、オーライ。」

 

カゴを持ってウェントリコススを乗せたと同時に大きく揺らした。

 

ウェントリコスス「あああ!!待った待った!!」

 

ツルギ「何やってんだよ。」

 

フォス「遊んで忘れろアホってか?」

 

ウェントリコスス「そんな事言っとらんじゃないの。スリムになって思考もスッキリ。思い出したんじゃい。」

 

フォス「何を。」

 

ツルギ「思い出した?」

 

ウェントリコスス「わしの庭である海には、お主らに良く似た姿形の者が居る。」

 

フォス「え?」

 

ツルギ「俺達に似た者?」

 

ウェントリコスス「ま、何か知らぬヒントになるじゃろ?博物誌と気分転換を兼ねたお得なご提案じゃい。今なら愛くるしいガイド付き!」

 

フォス「やだ〜このカタツムリ〜気い遣ってる〜。」

 

そう言ってカゴを被せてウェントリコススを閉じ込めた。

 

フォス「サンキューう◯こ王〜!」

 

ウェントリコスス「ウェントリコスス王よ!」

 

ツルギ「フォス・・・」

 

フォス「海は禁止されてるけど、まっどうせ役立たずだし・・・賭けても良いか。」

 

 

 

 

 

 

明朝、ツルギが庭でジュエルブレードを振り回して剣術をしている。

 

ユークレース「ツルギ。」

 

ツルギ「ん?ユークレースか。」

 

ジュエルブレードをジュエルリングに収納する。

 

ユークレース「朝早く剣術?」

 

ツルギ「ああ、何時でも月人と戦う為に鍛えてるんだ。ユークレースも早起きか?」

 

ユークレース「うん。池に入っちゃった書類を取りに行きたいから。」

 

ツルギ「大変だな。ん?」

 

学校の方を見ると、フォスが走ってるのが見えた。

 

ツルギ(彼奴何やってんだ?それに何か持ってる。)

 

ユークレース「どうかしたの?」

 

ツルギ「いや、何でもない。そうだ、今度模擬戦とかやりたいけど。」

 

ユークレース「模擬戦?」

 

ツルギ「月人襲来の為に戦略とか磨こうと思ってな。良かったら皆に言っておいてくれ。」

 

ユークレース「そうね。そう言っておくわ。」

 

ツルギ「ありがとうユークレース。そうだ、邪魔な殻はどうしてる?」

 

ユークレース「まだ置いたままよ。」

 

ツルギ「分かった。俺が片付けておく。」

 

ユークレース「え?大丈夫なの?」

 

ツルギ「心配無い。このジュエルブレード、巨岩を斬る程の威力がある。あの殻も一撃で斬れるかも知れない。」

 

ユークレース「そう。わざわざありがとね。」

 

ツルギ「気にするなよ。」

 

 

 

 

 

 

殻がある場所に到着した。

 

ツルギ「さて、片付けるか。」

 

ジュエルブレードを握って殻を斬る。殻が両断された。

 

ツルギ「いけるな。」

 

 

 

 

 

 

その一方、ルチルが薬品を整理していると。

 

ユークレース「おはよう。」

 

ルチル「おや、本当にお早いですね。」

 

ユークレース「忙しい所ごめん。池に入りたいんだけど・・・良い?」

 

ルチル「ああ、白粉が落ちないよう耐塩樹脂を塗りましょう。昨年は夏が暑過ぎて、白粉花の実が少ないんです。でも冬が寒かったようで、樹脂はたっぷり採れたんですよ。」

 

ユークレース「へぇ〜。」

 

ルチル「カタツムリ騒動で池に落ちた書類、まだ探してるんですか?」

 

ユークレース「もうクラゲに食べられちゃったと思うけど、一応ね。紙勿体無いし。」

 

ルチル「真面目ですね。」

 

ユークレース「そうかしら?」

 

服を脱いだ。

 

ユークレース「昨日今日は平和だね。光も美味しい。」

 

ルチル「ここん所忙しなかったですものね。日に2度も月人が来るなんて。」

 

ユークレース「僕の知る2173年の間では、晴れの日の3日の1度は平均値だよ?何か変わったのかな?僕ら存外鈍いからな〜。ツルギと違って夏が暑いとか、冬が寒いとか、植物程敏感ではないし、危険に対しても虫のようになれない。やっぱり不死のせいかしら?」

 

ルチル「お陰で相手がちょっとやそっと変わっても怖くないですね。」

 

ユークレース「僕は皆より割れ易いから、ちょっと怖いよ・・・所で、まだ?」

 

ルチル「ああ、それがですね・・・見付からないんですよ。昨日までここにあったのに・・・」

 

耐塩樹脂が何処にも無かった。

 

ユークレース「え?」

 

???「ユークー!」

 

そこに聞き覚えのある声が聞こえた。

 

ユークレース「レッドベリル!?」

 

レッドベリル「僕の新作知らない?早起きして仕上げようと思ったら無いの!先生に締め切り1日伸ばしてもらってるのに・・・ヤバイよー!」

 

ユークレース「新作って、丈夫に作った制服の事?」

 

レッドベリル「そう!肩口を従来の1/100詰めてより美しいフォルムにしてみました!」

 

ユークレース「一目で分かるかな・・・?」

 

レッドベリル「あ!それとね・・・タグが違うよ?」

 

ツルギ「ユークレース、殻片付けておいだぞ。」

 

殻を片付けに行ったツルギが戻って来た。

 

ユークレース「ありがとうツルギ。助かるわ。」

 

レッドベリル「ツルギ!丁度良かった!」

 

ツルギ「どうしたレッドベリル?何かあったのか?」

 

レッドベリル「僕の制服知らない?」

 

ツルギ「制服?今作ってる新作の奴か?」

 

レッドベリル「そうなの!」

 

ルチル「ツルギ、耐塩樹脂を探しているんですが知りませんか?」

 

ツルギ「耐塩樹脂?水に入っても白粉が落ちない樹脂か?」

 

ルチル「はい。」

 

ツルギ「新作の制服と耐塩樹脂・・・あ、もしかしたら。」

 

 

 

 

 

 

別の場所では、レッドベリルが探してる制作中の制服を着て、ルチルが探してる耐塩樹脂を塗ってるフォスが居た。

 

ウェントリコスス「何回塗ってんのー。さっさとおし。」

 

フォス「待て待て。このまま行ったら粉が落ちて目も当てられない姿になるの。塩水に浸かるのもあんま良くないし。長く海に潜るには入念な準備が必要・・・」

 

後ろからツルギが来た。

 

ツルギ「おいフォス。」

 

フォス「何ツルギ?」

 

ツルギ「お前を探してる奴らを連れて来た。」

 

フォス「探してる?誰が?」

 

すると誰かがフォスの頭を掴んだ。ルチルだ。

 

ルチル「先生の許可は?」

 

フォス「えへへ・・・」

 

ツルギ「全くお前は勝手に何やってんだよ。(あの時走ってた理由はこれだったんだな。)」

 

レッドベリル「やっぱここの膨らみもう少し抑えた方が・・・」

 

ルチル「後になさい!このファッションバカ!」

 

ツルギ「フォス、やるんだったら金剛さんに許可貰ってからにしろ。ほら行くぞ。」

 

 

 

 

 

 

許可をもらいに向かった。しかし。

 

金剛先生「許可しない。」

 

ツルギ「だろうな。」

 

フォス「博物誌の一環として・・・」

 

金剛先生「他の事が全て終わったなら兎も角、まだ1度も報告を受けてない。目の前の出来る事から始めなさい。」

 

フォス「はは〜。」

 

 

 

 

 

 

結局許可は得られなかった。

 

フォス「他の事を調べ終わるなんて何年掛かると思ってんだよ・・・この僕だぞ!その間にシンシャが居なくなっちゃったら・・・」

 

ツルギ「最初から博物誌の編纂を集中してやれば良かったのによ。お前は色々中途半端過ぎるんだよ。だから周りから信頼されてねえんだよお前は。」

 

フォス「む〜・・・そんな言い方無いでしょ・・・」

 

ツルギ「本当の事を言ってるんだ。仕方無えだろ。」

 

するとウェントリコススが変な音を出した。

 

フォス「どした?変な音出して。」

 

ツルギ「具合悪いのか?」

 

ウェントリコスス「ああ、いや・・・この丘の物はあんま栄養無いようじゃのう・・・体力が落ちたわい・・・」

 

フォス「そっか。動物は光だけじゃダメなんだ。」

 

ツルギ「まあ、この国には食料とか無いしな。」

 

フォス「ツルギも光だけじゃダメなの?」

 

ツルギ「ああ。けど俺を助けてくれた恩人から空腹にならない呪いを掛けてもらってるから心配無い。」

 

フォス「へぇ〜。食べる物いるんだっけ?」

 

ウェントリコスス「うん・・・それぞれに・・・あった・・・」

 

力尽きて死んでしまった。

 

フォス「王・・・?」

 

 

 

 

 

ウェントリコスス「おっと寝落ちた〜!やっぱ体力無いな〜。」

 

フォス「紛らわしいな!死ぬって奴かと思った!」

 

ツルギ「此奴何かうざいな・・・」

 

フォス「とは言ったものの、実は死ぬってピンと来てないんだ。死ってどう言うもの?」

 

ツルギ「そうか。宝石達は死と言う言葉の概念が無いんだったな。」

 

フォス「凄く眠いとか動けないとかに近い?」

 

ウェントリコスス「そうよな・・・居なくなるって事かのう・・・」

 

ツルギ「・・・・・・」

 

フォス「見えないけど、何処かに居るんでしょ?」

 

ウェントリコスス「何処にも居ないし、絶対に見付からない。」

 

フォス「呼んでも聞こえないの?」

 

ウェントリコスス「呼ばれてもな・・・もう自分が誰かも分からなくなってるんじゃ。ただ、死は何もかも台無しにする代わりに、生を価値あるものにする。そう悪い物でもない。そうじゃろツルギ?」

 

ツルギ「ああ。俺達人間も動物と同じ死んだら居なくなる。けど此奴の言う通り、死んでも生まれ変わる事もある。」

 

フォス「・・・でも、ちょっと寂しいね・・・」

 

ツルギ「ああ。」

 

ウェントリコスス「だが避けられん。海にお前さん達に似た者が居ると言うのは嘘ではないが、本当はな、ちょっと故郷の様子が見たかったんじゃ。2度と戻らない覚悟はしたが、近付くとその事ばかり考えてしまう。どれだけ奪われ、荒れ果て、誰も居なくても、こんなにも気になるなんてな・・・」

 

 

 

 

 

 

フォスとツルギとウェントリコススは海へ向かった。

 

ツルギ「おいフォス、良いのか?海に入ったらお前融けるぞ?」

 

フォス「仕方無いだろ?目の前の事から始めろって先生言ったし。」

 

ツルギ「確かに金剛さんはそう言ってたけど・・・ってか無断で海に潜って大丈夫か?周りから怒られても俺知らねえぞ?」

 

フォス「シンシャも大事だけど・・・」

 

海に潜った。

 

フォス「王も大事だよ。弱ってて1人じゃ無理だろ?」

 

ウェントリコスス「うん。」

 

ツルギ「所で、お前の故郷まで距離は?」

 

ウェントリコスス「すぐ着く。それよりお前さん、格別脆いんじゃろ?波に砕けたら、帰って来れぬかもしれんぞ?それにお前さん、海の中でも息が続かんじゃろ?」

 

ツルギ「俺は大丈夫。恩人から呼吸出来る呪いを受けてる。」

 

フォス「おおおっと!うわああああ!!」

 

下に滑り落ちてしまった。ツルギも滑って来た。

 

ツルギ「大丈夫かフォス?ってか本当に融けても知らねえぞ?」

 

フォス「うん、まあ良いよ。」

 

ツルギ・ウェントリコスス「良いんかい。」

 

フォス「シンシャは確かに秘密を教えてくれたけど、約束は僕が一方的に決めたんだ。勝手にお守りにしてバカだった。でももう後には引けないし、忘れる事も消える事も僕は出来ないから、行くしかないよ。」

 

ツルギ「フォス・・・え?」

 

フォス「ねぇ、僕らと似た生物には死があるの・・・?」

 

 

 

 

しかしそこに居たのは、女の姿をしたウェントリコススだった。

 

 

 

 

ツルギ「お前は・・・?」

 

フォス「王?」

 

ウェントリコスス「うん。美しい殻はただの衣。わしらには肉しか無い。よって、腐って亡くなるのじゃ。跡形も無く。」

 

唖然としたツルギとフォス。フォスは持ってるカゴを落とした。

 

ウェントリコスス「ああ懐かしい!近いのう。この香りだけは月人と来る前と変わらない。・・・どうした早よせい。日が暮れると動けなくなるんじゃろ?」

 

フォス「王?」

 

ウェントリコスス「王。」

 

ツルギ「ウェントリコスス?」

 

ウェントリコスス「そうじゃ。」

 

フォス「何それ!?」

 

ウェントリコスス「何ってわしじゃよ。」

 

ツルギ「本当にウェントリコススなのか!?」

 

ウェントリコスス「当然じゃ。」

 

フォス「だって、あの・・・自分では愛くるしいとか言ってたけど、全然気持ち悪いのが本当の姿だって言ってたじゃん!」

 

ウェントリコスス「これが真の本当の姿じゃい。故郷に近付くとなれるのだ。主らと良く似とるじゃろ?」

 

ツルギ「まあ、確かに俺達と似てる。」

 

フォス「ん〜・・・うん、そうね。でも・・・ボヨンボヨンしてて・・・足が多くて・・・飾りが多くて・・・僕達より何かこう・・・下品?」

 

ウェントリコスス「五月蝿いわ。」

 

フォス「特にその水袋怖いわね〜。どうなってんの?」

 

ウェントリコスス「これは特にありがたい貴重な部位じゃ。ツルギには分かるじゃろ?」

 

ツルギ「まあ、分からなくもないな。」

 

ウェントリコスス「讃えよ。」

 

フォス「クラゲと仲間?」

 

ウェントリコスス「バカ言え。わしらの方がセクシーじゃい。」

 

フォス「あっそ、分かんねえ・・・」

 

ツルギ(宝石達は人間と同じ思考を持ってないのは当たり前か。)

 

フォス「ま、自分で泳いでくれるなら良いけど。」

 

落としたカゴを持つ。

 

ウェントリコスス「それもう捨てて良いぞ。邪魔じゃろ?」

 

フォス「ん?ダメダメ!物は大事にしろって言われてる。ただでさえ黙って出て来たし、持って帰らないと凄え怒られちゃうよ・・・」

 

ツルギ「だが、人間の俺とフォス達宝石とお前は何故こうも似てるんだ?」

 

ウェントリコスス「わしもはっきりした事は知らん。お前はどう思う?」

 

ツルギ「俺もはっきりしねえな。フォスは?」

 

フォス「そうね・・・僕らの美しさに驚いたクラゲが、ああなりたいと必死に願って!」

 

ウェントリコスス「クラゲ説は捨てよ。」

 

フォス「分かった!僕らの可愛さに嫉妬したナメクジが!」

 

ウェントリコスス「さてはお前伸び伸び育ったな?」

 

フォス「王ははっきりしない所なら知ってるでしょ!?教えてよ。」

 

ウェントリコスス「お前、妙に鋭い所あるよな。あのイケメンの苦労が伺えるわい。」

 

ツルギ「金剛さんの事か?」

 

ウェントリコスス「うむ。まあ良かろう。わしらの伝説では、この星には嘗て、ツルギと同じ人間と言う動物が居たと言う。」

 

フォス「人間・・・」

 

ウェントリコスス「この星が5度欠けた時までは、しぶとく陸に生き残ったが、6度目には遂に海に入り、魂と肉と骨、この3つに分かれたと言う。」

 

ツルギ「魂と肉と骨が3つに?」

 

フォス「魂?肉?骨?3つに割れたのに生きてんの?人間動物の癖にやるな。ツルギもそうだったの?」

 

ツルギ「バカ言え。俺がそんな事したら俺は存在しねえよ。」

 

ウェントリコスス「ああ、違う違う。格好良い言い方をしただけだ。実際は徐々に変化し、3種に分かれて生き残ったと言う事で頼む。我が種族アドミラビリスはその内の肉だと伝えられてる。生殖と死を細やかに繰り返しながら、血を重ね紡ぐ特性を受け継いだとされる。一方骨は、他の生物と契約し、長い時を渡る術を身に付け、陸に戻った。」

 

フォス「それって・・・」

 

ウェントリコスス「わしらに伝わってる朧げな由来じゃ。そこまでは分からん。」

 

フォス「でも、僕達の成り立ちに凄く似てるんだけど・・・」

 

ウェントリコスス「そう。予感がある。何故なら、魂は遂に清らかな新天地を得て、再考の為、肉と骨を取り戻すべく彷徨っていると言われてる。奴らにそっくりだ。」

 

ツルギ「・・・」

 

フォス「魂は・・・月人は・・・人間に戻りたくてあんな事をしてるって言うの?」

 

ウェントリコスス「分からぬ。だが我らには、我らの心がある。今更道を引き返すような事が出来るとも到底思えぬ。奴らが何を考えているのか、不気味で不可解だ。だが、お前の言う通り進むしかない。自分と仲間の為に戦わなければならない。」

 

フォス「どうして?どうしてそんな事になっちゃう訳!?」

 

ツルギ「そうだ!お前の言う通り、魂は昔は仲間で1つだったんじゃねえのか?」

 

ウェントリコスス「さあな。だが月人は、天敵が居る訳でもないのに争いを好み、決して満足する事がない。あの理由無き焦りようは、人間がそう言う生き物だったのかもしれない。」

 

フォス「なら、僕らは随分良い風に変わったんだ。僕らだけでも上手くやって行こうよ。」

 

ウェントリコスス「ああ、そうだな。」

 

 

 

 

 

 

一方その頃フォスの部屋では。

 

ダイヤモンド「フォス?皆に怒られたんだって?」

 

フォスの様子を見に来たダイヤモンドが部屋に入った。ベッドの布団が膨れてる。

 

ダイヤモンド「拗ねるなんてフォスらしくないよ。僕からも先生に頼んでみるから、元気出して?ね。」

 

布団に手を置いた。しかし反応は無かった。

 

ダイヤモンド「ん?・・・えい!」

 

布団を捲ると、縛られた布団と2つのカゴがあった。

 

 

 

 

 

 

一方その頃ツルギとフォスとウェントリコススは。

 

ウェントリコスス「着いたぞ。」

 

フォス「疲れた・・・何がすぐだよ夕方じゃんか・・・」

 

ツルギ「結構歩いたぞ。」

 

フォス「にしても王の故郷、何も無いね。」

 

故郷に着いたが、何も無かった。

 

ツルギ「お前ここに棲んでるのか?魚すら居ねえぞ。」

 

フォス「あ、もうダメ・・・動けない・・・ちょっと横になるわ・・・」

 

その場で寝転んだ。

 

ツルギ「おい寝てる場合か。」

 

フォス「用事済んだら言ってね・・・」

 

ツルギ「お前な・・・」

 

ウェントリコスス「お前はシンシャを大事に思うように、私にも大事な物がある。」

 

ツルギ「どう言う意味だ?」

 

ウェントリコスス「許せ。」

 

フォス「え?」

 

 

 

 

 

 

すると月人達の矢と槍が降って来た。

 

 

 

 

 

 

フォス「あっ!!」

 

ツルギ「何!?」

 

槍はフォスの足を砕いた。

 

フォス「あっ・・・」

 

月人の襲撃を受けたフォスは言葉を失った。

 

ツルギ「おい!何の真似だ!?」

 

海上には月人達が居た。

 

ウェントリコスス「我が同胞にして我が弟、アクレアツスと引き換えなのだ。」

 

ツルギ「くっ!」

 

ジュエルブレードを握って構える。すると矢が再び放たれた。

 

ツルギ「はっ!!」

 

回転斬りで矢を全部斬り裂いた。

 

ツルギ「お前・・・月人の仲間か!」

 

ウェントリコスス「我らに歯向かう気か?裏切り者め。」

 

ツルギ「裏切り者?おい、俺が裏切り者ってどう言う意味だ?」

 

ウェントリコスス「教えてやろう。今から500年前、月から舞い降りた無数の光がこの国から遥か遠い国に落ちた。その光の中から現れたのは、月人だった。」

 

ツルギ「月人・・・?」

 

ウェントリコスス「その月人達は、反旗を翻して地上に逃げたと言う。そして、逃げた月人達の前に現れたのは、戦いと知恵を司る女神だった。」

 

ツルギ「それって・・・アテナの事か?」

 

ウェントリコスス「そう。アテナは他の女神達と共に、自らの力で生成した宝石を使って、地球に逃げた月人達を今のお前の人間の姿に変え、平和に暮らしていた。そして5年前、月人によって地上に逃げた月人達を襲撃した。裏切り者達を消す為に。」

 

ツルギ「それって・・・じゃあ俺はまさか・・・」

 

ウェントリコスス「そう。お前は月から逃げ延びた・・・」

 

 

 

 

 

 

「反月人だ。」

 

 

 

 

 

 

ツルギ「反月人・・・・・・?」

 

衝撃の真実が明かされた。ツルギは月から逃げ延びた反月人の1人であった。

 

ウェントリコスス「アテナがお前を助けた理由は、月人達に対抗する希望として助けたのだ。」

 

ツルギ「・・・・・・・・・・」

 

ウェントリコスス「あの時お前を先に殺しておけば良かった。ツルギ、今からでも我らの元に戻って来い。そうすれば命は助けてやろう。」

 

ツルギ「・・・いや!俺は約束したんだ!家族や仲間や故郷の仇を取る為、宝石達を守る為、お前達を全て倒すと約束したんだ!俺は今の人間として生き続ける!俺がお前達月人の裏切り者であっても、こんな真似をし続けるお前達を、俺は絶対に許さない!」

 

「END」




         キャスト

       ツルギ:岸洋祐

フォスフォフィライト:黒沢ともよ

      シンシャ:小松未可子

    ダイヤモンド:茅野愛衣
       ボルツ:佐倉綾音
       ルチル:内山夕実
      ジェード:高垣彩陽
    レッドベリル:内田真礼
    ベニトアイト:小澤亜李
      ジルコン:茜屋日海夏
イエローダイヤモンド:皆川純子
    ユークレース:能登麻美子
   ネプチュナイト:種崎敦美

      金剛先生:中田譲治

  ウェントリコスス:斎藤千和



ツルギ「ウェントリコススから俺の正体が明かされた。俺は月人の裏切り者の反月人だった。だが俺は人間として生きて行く事を誓った。そして、絶対にフォスと共に帰る・・・」

次回「帰還」
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