IS〜蒼き鬼神ケンプファー〜   作:種電

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第零話

ある荒野で、二機のMS(モビルスーツ)が睨み合っていた。その二機は互いに距離を取り、得物であるビームサーベルとビームダガーを構えている、その二機を見つめるかのように、荒野に沈みゆく太陽が紅く光り、その光の中から二機が見える。

 

赤に統一された連邦の悪魔ガンダム……ガンダム・ピクシー。

 

深い青、ブラックブルーと白のラインの二色に赤いモノアイを持つMS……ケンプファー。

 

その二機が互いに構えていた。

 

 

 

 

その二機の内、ケンプファーの方に味方から連絡が入る。

ケンプファーのパイロットは、微かに笑い、その連絡に応える。すると、すぐ様に上司からの怒声が聞こえた。

 

『カグラザカ、撤退しろ!』

 

ケンプファーのパイロット、カグラザカの上司であるロンメル大佐の怒声がコクピットに響く。

カグラザカは笑いながら、応える。

 

「冗談は祥子ちゃんだぜ、ロンメルのおっさん」

 

『カグラザカ中佐、撤退を!』

 

「ガトーショコラちゃん、冗談は祥子ちゃんだぜ?」

 

『中佐!』

 

宇宙から降りてきた後輩のガトー少佐の心配する声が届く。いつもの冷静でイケメンなガトーは、そこにおらず、一人の上司を心配する部下としていた。

そのことが、何処かおかしく感じたカグラザカは、クスッと笑う。

 

(まさか、俺がガトー少佐より上の階級になるとは……)

 

自分の“二度目“の人生は、中々スリリングだったなと思い返す。

まさか、シスコンロリコンとイケメンリア充と同期となり、一度ロリコンとガンダムと対峙し、イケメンの死に際に立ち会うとは夢にも思わず、さらに眉なし総帥の親衛隊に抜擢されるとは、まったく思わなかった。

まぁ、その親衛隊も宇宙を追い出され、地上を這いずり周り、現在絶対絶命のワゴンセールみたいな状態とは笑えないなと思いつつ、笑う。

 

(シャア、ガルマ、お前達との約束……)

 

ある日、二人と約束した。

 

シャアとの約束は、シャアの夢の達成を見届けるという約束。

 

ガルマとの約束は、結婚して幸せになるという約束。

 

(ごめんな)

 

カグラザカが黄昏ていると、ピクシーの増援、ジム六機が現れ、カグラザカのケンプファーにビームガンを向ける。

カグラザカは、オワタと呟く。

 

「ガトー、ロンメルのおっさん……生き残れよ」

 

『中佐⁉』

 

『カグラザカ⁉』

 

ロンメルとガトーはカグラザカの決意に感づき、声を荒げる。

だが、カグラザカの決意は揺るがない、故にカグラザカは叫ぶ。

 

「ジーク・ジオン、ジーク・ジオン、ジーク・ジオン!」

 

『『……ジーク・ジオン!ジーク・ジオン!』』

 

ロンメルとガトーは涙声になりながら、ジーク・ジオンと叫ぶ、叫び続ける。

 

ーーージーク・ジオン!ジーク・ジオン!ジーク・ジオン!

 

そして、二人の涙声の叫びと一緒に通信機の近くにいた同志達が泣きながら、叫ぶ。

 

ジーク・ジオン!ジーク・ジオン!

 

と叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー俺はビームサーベル片手に敵に突っ込む。

 

『各機、撃て』

 

『『了解』』

 

ーーーそれに合わせ、ピクシーもジム達も応戦を開始する。

しかも、オープンチャンネルだ。

 

ーーービームガンの雨が、ケンプファーを襲う。紙装甲のケンプファーだと一発でも食らったら、アウト……まぁ、相手のピクシーちゃんにも言えたことだ。

 

ーーーピクシーちゃんがビームダガーを振るうが、俺はそれを跳躍でよけ、ピクシーちゃんを踏み台にする……ケンプファーがガンダムを踏み台にとか……ドムでやりたかったな。

あ、転倒したぞ、あのピクシーちゃん。

 

『なに、私を踏み台にした⁉』

 

『ひ、ひぃ⁉』

 

『た、隊長⁉』

 

ーーーまさか、ピクシーを突破されるとは思わなかったジム達は慌てて、ビームガンを撃つのをやめる……ド素人が。

ここは戦場だ、悪く思うなよ。

 

俺は、着地し、一番近いジムの腕を切り上げる、するとビームガンを持った腕は空中に飛ぶ。そして、そのまま一回転し、ビームサーベルでジムの胴体を切り裂き、落ちてきたジムの腕をキャッチし、ビームサーベルを持ってない左手でビームガンを回収する。

え、使えないだろうって?

ジオン舐めんな、数発程度なら撃てるように改良したわ……あ、五発しか、撃てねぇわ。

 

『い、一番機がやら』

 

「はい、乱射乱射」

 

無茶苦茶にブレるサイトを覗きながら、ビームガンを乱射する。

五発の内、三発だけがあたり、そのうち一発だけがジムのコクピットに直撃し、爆発する。残りの二発は一機のジムの頭部と左足脚部を破壊した。

 

『ぎゃぁぁぁぁ⁉』

 

『前が前がみえ、ひぃぃぃぃ!』

 

頭部と脚部を破壊されたバランスを崩し、地面に倒れる……止めを刺すか。

 

『させるかぁぁぁぁ!』

 

倒れたジムに止めを刺そうとしたとき、一機のジムがビームサーベル片手に突っ込んできた……馬鹿が。

 

カグラザカは突っ込んでくるジムに向き合い、ケンプファーの頭部につけられているバルカン砲を発砲する。突っ込んできたジムは、ケンプファーの頭部バルカン砲に驚いて、動きを止めた……それがいけなかった。

 

カグラザカはジムが動きを止めたことを確認し、一気にジムの接近し、コクピットにビームサーベルを突き刺す。すぐ様にジムを蹴り飛ばし、カグラザカはついでに腰につけられていたグレネードを奪い、たまたま後ろにいたジムに当たり、二機仲良く転倒した。

カグラザカはそこに先程うばったグレネードを見詰めた。

 

「やべ、俺連邦のグレネードの使い方しらねぇんだ」

 

『おい、おい、のいてくれよ⁉』

 

「ま、いっか」

 

蹴飛ばされたジムの下敷きになったジムのパイロットは必死になって、自分を下敷きにしているジムから出ようとするが、恐怖とパニックでうまく操縦できなかった。

当たり前だ、一瞬にして、同僚が四機も落とされ、頼みの綱の隊長は踏み台にされた際に転倒している。

 

カグラザカはそんなパイロットなど気にせずに仲良く転倒した二機のジムにグレネードを投げ、下敷きにしているジムに当たる寸前でバルカン砲をグレネードに撃ち込み、無理矢理起爆させる。

 

『いやだ、いやだ、死にたくない、死にたくない、死に……おかあ』

 

下敷きになったパイロットが最後に見たのは、人生の走馬灯と優しい母の顔と目の前で爆発する味方とその爆風だった。

 

「……」

 

『ひぃぃぃ、ば、化け物め⁉』

 

いとも簡単に戦友を殺され、残った最後のジムはビームガンを乱射するが、震える手ではまともに当てることなどできるはずがなく、ビームガンのビームは見当違いの所に当たる。

そして、ビームガンのエネルギーが切れると狂ったように泣きながら、ジムの頭部バルカン砲を乱射するが、やはり当たらない。

……カグラザカはゆっくりとジムに近づく。

 

『あ、あ、あぁぁぁぁぁぁぁ‼』

 

だが、彼はそれに気づかない。

半狂乱になりながら、バルカン砲のトリガーを引き続ける。彼の脳裏には懐かしい故郷、厳しくも優しい父と母と可愛い妹達。

 

『来るな、来るな、来るなぁー‼』

 

そして、愛しい許嫁。

 

『エミリアー‼』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それが彼の最後の断末魔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『化け物め』

 

ガンダム・ピクシーのパイロット“リーネ・シュトルム“少佐は味方部隊の残骸の中心に佇むケンプファーを睨みつける。

自分が体制を立て直したときには、既に増援の味方部隊は全滅、それ以前に自分と共に来た味方部隊の大半は目の前にいる悪魔……鬼神によって、ただの残骸(死体)に変えられた。

 

『……部下の仇を取らせてもらう』

 

リーネは構えた。

 

 

 

 

 

 

「はぁ……ここまでか」

 

カグラザカは目の前にいる悪魔を見て、自分の機体の状況をチラリと見る……エネルギーもバルカン砲の残弾もほとんどない。

バルカン砲なんて、意味がないだろうし、ビームサーベルも一振りが限界だ。とてもではないが、目の前にいるピクシーを一撃で仕留めるはずがない……それほど、強敵なのだ。

 

なら、せめて、名乗るか?

 

「俺はジオン軍ギレン・ザビ親衛隊二番隊隊長、コウ・カグラザカ中佐だ」

 

『私は地球連邦軍ジオン残党軍討伐師団所属特務機甲隊隊長、リーネ・シュトルム少佐だ』

 

二機はゆっくりと近づき、お互いあと数十mというところで止まった。

 

「いい女みたいだな

 

『……貴様もいい男みたいだな』

 

「ありがとよ」

 

そして、二機は駆ける。

ーーー相手を殺すため。

ーーー自分が生き残るため。

ーーー勝者になるために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『勝負は私の勝ちだ、鬼神……だが、試合は貴様の勝ちだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには片腕を斬り落とされたピクシーとコクピットにビームダガーを突き刺され、地に倒れているケンプファーがいた。

ピクシーのパイロットは、コクピットから出て、ケンプファーを見降ろし、周りを見渡す。そして、溜息混じりに呟く。

 

「負けた……」

 




小ネタ紹介

ロンメルのおっさん
・ガンダムZZの登場人物。
本名デザート・ロンメル。通称砂漠のロンメル。
旧ジオン残党軍のエースパイロット、階級は大佐。
ガンダムZZで、主人公達を苦しめるが、最終的には敗北し、特攻をしかけるが、ビームサーベルに切り裂かれ、死亡。
八年間、ジオン再興のために戦ってきた男。

ガトーショコラ
・ガンダム0083スターダストメモリーの登場人物。
本名アナベル・ガトー、階級は少佐。通称ソロモンの悪夢。
ガンダムスターダストメモリーの主人公コウ・ウラキのライバルであり、ヒロイン(爆笑)の元カレでもある。ジオン再興のために奮闘するも、最後はサラミスに自爆特攻をしかけ、死亡する。

冗談は祥子ちゃんだぜ
・死語。

シスコンロリコン
・シャア・アズナブルのこと。
ネタでよく、シスコンやロリコンと言われるが、作品を見たら納得する。

リア充イケメン
・ガルマ・ザビのこと。
ガンダムシリーズ死亡フラグの第一人者。
最初から恋人または家族などがいるキャラは死ぬ、作品によっては女性というだけで既に死亡フラグであったりする。
あとはイケメンではないイケメンキャラ、カッコいいおっさんキャラなど。

眉なし総帥
・ギレン・ザビのこと。
何故か、眉なしである。でも、カッコいい。
あと三十代。
ちなみに、弟のドズルはあれでも28歳、キシリアは24歳、ガルマは20。
声優の銀河万丈さんの生演説は鳥肌物。

ジーク・ジオン
ジーク・ジオン!ジーク・ジオン!ジーク・ジオン!

ビームガン
・本来ならジム・コマンドの武器。
ビームスプレーだと威力不足なので、代わりに。
そこ、ジム・コマンドは産廃とか言うな。

なに、私を踏み台にした⁉
・元ネタは初代ガンダムの黒い三連星のリーダーのガイアがガンダムに踏み台にされたさいに言った台詞。

ビーム兵器を使うケンプファー
・ケンプファーのバリエーションでf型というビーム兵器を使う機体がいるらしい。

エミリアー‼
・アメリア〜!
ガンダムZの登場人物ハg……カクリコンの断末魔。

赤い妖精と青い鬼神
・わかる人にはわかるネタ。
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