ーーー篠ノ之箒、先程から剣道はいかに素晴らしいかを熱弁しているが、興味がないので右から左へと聞き流している。
篠ノ之、あの篠ノ之束と同じ苗字で最初は関係者か?と思ったが、箒本人曰く、家族でも姉でも姉妹でもないとのこと。
が、その言い方は遠回しに私と篠ノ之束は姉妹で篠ノ之束は姉ですと公言したと代わりないが、相手は頭がお花畑の平和ボケした中学生。まったく、誰も気付かなかった……いや、何人かは気付いたかもしれない、それで入学当初に彼女を敬遠する人間と近付く人間に別れたのが説明つく。
まぁ、彼女があの天才の妹とかそんなこと、正直どうでもいい。昔、シャアが仮面を外し、ドヤ顔で「実は自分はジオン・ズム・ダイクンの息子のキャスバル・レム・ダイクンだ」と言われたことがある。
そんなこと、最初から知っているし、その時も正直どうでもいいよかったので、「で?」と答えたときのシャアの間抜け顔は傑作だった。だから、彼女が天才の妹だろうがどうでもいい、興味がない。
「聞いているのか、コウ⁉」
「聞いてない」
「何故だ⁉」
「興味がない」
興味がないものは興味がない。
剣道にもISも興味がない、だいたい、自分がやっているのは剣道ではなく、抜刀術。
むーと唸っている箒には悪いが剣道なんて、微塵も興味がない。
幸は興味がないものに対してはかなり冷たい。元々面倒が嫌いなこともあり、興味がないものには極力関わらないようにしている。
幸にとって、剣道はどうでもいい存在であった。
幸が学んでいるのは抜刀術であり、基本的に二撃目がなく、一撃必殺が基本である、特に幸の抜刀術【木村抜刀術】は一撃必殺が要であり、二撃目はなく、もし一撃目を外したのなら、死を覚悟せよが教えである。故に三本勝負などがある剣道には幸の抜刀術は不向きため、興味がないのだ。
「なら、何故昨年は大会に出場した!」
「いや、あれは只村が怪我をしたから……」
だが、しかし、幸はその抜刀術で昨年の大会に出場、全国までいき、優勝したのだ。
何故、出場したのかというと友人で剣道部所属の只村が怪我を負った。そのせいで男子剣道部は人数不足で出られないことになるはずだったが、件の只村が幸の抜刀術を以前から知り、何度も剣道部に勧誘していた。それを以前から知っていた剣道部員と剣道部顧問、怪我を負った只村は幸に土下座をしてまで、怪我を負った只村の代わりに大会に出場してくれと頼んだ。
さすがに土下座までされると嫌だとは言い切れなかった幸は渋々剣道部へ一時的に入部、夏の大会だけというの約束させ、地区大会、県大会、全国大会に出場、見事優勝を果たしたのだ。
ちなみに、その時女子剣道部の方は箒が優勝しており、今年の全国大会も優勝をしている。
その後は、剣道部が必死に幸のスカウトに励んだが幸は興味がないの一言で、バッサリ断れた。
だが、箒はそんなこと知らぬと言い張り、毎日のように幸に対して、対戦を挑んでいる。
現在の成績は150戦中93勝で幸がリードしている。
「うむ……なら、明後日ならどうだ?」
「受験生は勉強しろ」
幸達は今年で中学三年生、受験生である。
幸は地元の高校か、それとも他の地方の名門高校かで悩んでいた。
普通の思考なら名門高校を選ぶだろうが、幸にとって何処であろうが別に興味はない、合格できる高校で一番将来役にたちそうな高校を選ぶだけだからだ。
箒はあのISのパイロットを育成するエリート学園、IS学園を受験するらしい。それなら、対戦ばかりではなく、普通に勉強して欲しいのが幸の意見だ。
「勉強か……やらないとダメか?」
「当たり前だ、お前理数系は全然ダメじゃないか」
「ふっ、理数系など……できん」
「自慢すんな、馬鹿」
「いた⁉」
できないことを無駄にデカい胸を強調しながら、ドヤ顔をする箒の頭を丸めたノートで軽く叩く幸であった。
そんな、いつものやりとりをしていると予鈴が鳴る。
幸は箒に席に戻るように言い、幸のすぐ隣の席に座る。幸のすぐ隣の席は箒である。
しばらくして、今年でめでたくアラサーの仲間入りを果たした担任の足柄京子先生が入ってくる。
「おはようー」
「おはようございまーすー」
他の先生や生徒の間では昔存在した艦艇【足柄】の異名【飢えた狼】に因み、【熟れた狼】と畏怖されている未婚者である。
そう言われるぐらいに結婚や交際に飢えているアラサー未婚者である。
「神楽坂君、後で一緒に保健室に行きましょうか?」
「警察呼ぶぞ」
「あはははー……ちっ」
足柄先生は幸のことを大層気に入っており、何かとあることに迫ってくるアラサー未婚者教師に危機感を覚えている。というより、危機感を抱かない方がおかしい。
これが今の神楽坂 幸の変わりない日常であり、現実である。
「あ、そうそう、明日の授業は全部中止でIS博覧会に皆で行きますね」
「「「え?」」」
ーーーある場所のある廃棄工場。
寂れ、誰も寄り付かなくなった廃棄された工場で、白いスーツを着た眼鏡をかけた女性が嬉しそうにスキップしながら、工場の中を歩き回る。
その後ろを黒いスーツを着た眼鏡をかけた男性が女性を見て、仕方ないなという表情で見ていた。
「くーろさーきーくーん」
「何でしょうか、課長?」
「あれ、できたんだっけぇ?」
女性は余程嬉しいのか、クルクルと回る。
男性はクスクスと笑いながら、ポケットからリモコンを取り出し、ボタンを押す。すると、重たい音をあげながら、工場の壁の一つが上がる。
そして、壁の中から三体の機械……ロボットが女性と男性に歩み寄る。
「我が社の最新機」
「素晴らしい、素晴らしいよ、黒崎くん!」
蒼い三機のロボットの右肩には【BD】、左肩には【01】と書かれていた。
「
「あはは、明日が楽しみ!」
三機の蒼い運命が紅い眼を光れせ、女性はそれがとても愉快そうにただだた笑う。