IS〜蒼き鬼神ケンプファー〜   作:種電

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新しくリメイク版用のを作成しました。
次回からはそちらのみを更新しますので、ご了承を。


リメイク第七話

ーIS博覧会開催二日前 ドイツー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーー護衛でありますか?」

 

「あぁ、そうだ」

 

ドイツのとある軍事基地の将官の部屋に、まだ成人ではない佐官と成人の尉官の立っている二人の女性と椅子に座っている将官の一人の男性がいた。

将官の男は鋭い目つきに銀色の髪を持ち、眉がないがその堂々たる態度はかなり様になっている。この女尊男卑の世の中など関係ないと言わんばかりの感じがこの男にはあった。

もちろんであるが、この男がこの部屋の持ち主であり、この基地の最高責任者でもあった。

 

「ギレン閣下、何故急に護衛任務を?」

 

「不服かね、ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐?」

 

ギレン・ザビ大将の熊も殺すと言われている鋭い眼光がラウラ少佐を睨みつける。

 

「い、いえ、滅相も!」

 

ラウラ少佐とその部下のクラリッサ・ハルフォーフ大尉の二人はその鋭い眼光に竦みあがり、背筋を伸ばし敬礼をする。

二人は……否、この基地にいる者全てに言えることだが、誰もギレン・ザビ大将に逆らえない。もちろん、階級的な意味があるが何よりもあの鋭い眼光に誰もが恐怖する。また、ギレン閣下はかなり頭のキレる方で隠し事や何かを模索していると簡単に暴露てしまう。

 

ーーーギレン・ザビ大将。

今から数年前のある事件で大手柄を上げ、それからメキメキと頭角を現し、ここ数年で大佐から大将へと女尊男卑の世に異例の大出世を成し遂げた天才である。

そして、今はこの基地の最高責任者であり、ドイツのIS部隊【シュヴァルツ・ハーゼ】の司令官でもある。

ラウラ少佐とクラリッサ大尉はその部隊の隊長と副隊長であり、ギレンは直属の上司に当たる。

 

「さて、今回君達はIS博覧会に行くな」

 

「はっ‼」

 

「護衛対象はそのIS博覧会に関係のある人物だ」

 

IS博覧会に関係のある人物。

そう言われると自分の国も含め様々な国の大臣などの政治家が思い当たるが、今回彼らにはアメリカのIS部隊と日本のIS部隊が護衛につく予定なので、政治家ではないはずである。

 

「我々ドイツとイギリスに技術提供をしている会社【ジオニック社】の最高責任者……所謂、社長とその付き人の護衛だ」

 

「ジオニック社の社長……」

 

ジオニック社、ドイツやイギリス、フランスなどのEUに勢力を伸ばしつつある。会社が立ち上がって、まだ十年もみたない企業で他の会社から言わせれば、成り上がりの新参者である。

だが、その技術と社長の敏腕などにより、十年も満たずにドイツでは最も巨大な企業になり、その勢力をイギリスを始め、EUに伸ばし、昔からあった企業を次々に飲み込むか潰しまわっている巨大な企業である。

最近の噂ではフランスの【デュノア社】の目に見える衰退振りはジオニック社が一枚噛んでいるという噂や中国に技術提供をするなどがもっぱらの噂である。

 

「ジオニック社の社長とその付き人は二日目から来る予定だったらしいが気が変わり、お前達と同じ日に行くことになった」

 

「それで我々が」

 

「そうだ、売れる恩は売らんとな」

 

「我々だけで、よろしいのですか?」

 

「それは大丈夫だろう、ドイツの代表に来年の代表候補のお前達とイギリス、中国からも来年の代表候補が護衛につく」

 

「⁉……それは凄いですね」

 

それを聞いて驚く二人、当たり前である。いくら技術提供をしている企業の社長とはいえ、その護衛は些か過剰である。

 

「何処も考えることは同じ……ということだ」

 

ギレン閣下はニヤリと笑い、椅子から立ち上がり、ラウラ少佐の頭を軽く撫でる。

 

「ラウラ、ちょうどいい。イギリスと中国の代表候補と仲良くなったら、どうだ?

お前は交流の幅が狭すぎる」

 

「……ご命令とあれば」

 

まったく……とため息を吐きながら、ギレンは先程より少し強めにラウラの頭をクシャクシャと撫でる。ラウラはこそばゆいのか、軽く目を閉じているが、それをまったく嫌だとは感じなかった。

ギレンはラウラのことを実の娘のように可愛がっている。

 

ギレンには妻がいるが子に恵まれず、また妻は女尊男卑の世にいる典型的な女性主義の女性で、自分が一番偉いと思い、毎日のように浮気を繰り返している。

ギレンはそんな尻軽女にはとうの昔から愛想が尽き、毎月適当な額を渡し、勝手にさせていた。

元々結婚などしたくなかったギレンだったが、かつての上司の進めにより、嫌々ながら結婚をした。それは相手も同じようで結婚をして、一ヶ月もしないうちに浮気を始めるほどであった。だが、離婚しないのは女にとっては、ギレンの給料が良く、また階級もかなり高い、故に手放すのは惜しかった。

ギレンは最早眼中に無く、居ようが居まいがどうでもいいのだ。

 

そんな家庭崩壊をした家庭という仮定に居心地がいいはずも無く、ギレンは滅多に家に帰ることが無く、基地に篭り、同じように基地に篭るラウラと接する機会が必然のように増え、今ではギレンにとってはラウラは手間のかかる娘のような存在だった。

そんな風に接してくれるラウラも少しずつであるが、ギレンのことを実の父親のように慕うようにはなった……あの鋭い眼光は別だが。

 

だから、自分と基地の人間、部隊の人間とたまにくる訪問販売の業者やジオニック社の社員以外に交流がまったくないラウラをギレンはとても心配していた。

元々、今回の護衛任務もドイツの代表であるクラリッサ大尉だけで充分だったが、イギリスと中国が来年の代表候補二人を護衛につけると知ったギレンは、これを期にラウラの友好の幅が広がるように今回わざわざラウラも護衛につけたのだ。

 

「命令ではないぞ、ラウラ」

 

「……善処します」

 

少しふて腐れるように頬を膨らませるラウラに苦笑しながら、ギレンは撫でるのをやめ、自分のディスクにあった資料をラウラに渡す。

 

「とりあえず、それに目をとうせ」

 

「はっ」

 

「あと、クラリッサ大尉は残れ、話がある」

 

「はっ、隊長」

 

「あぁ、では失礼します」

 

ラウラは敬礼をし、ギレンの部屋を後にした。

ギレンとクラリッサはラウラが去ったことを確認し、二人で苦笑した。

 

「まったく、世話の焼ける娘だな」

 

「はい、世話の焼ける妹です」

 

ふふふと笑い合う二人は本当に手間のかかる娘又は妹を見るような父親と姉のようだった。

しばらくの間、二人はソファーに座り、最近のラウラの様子の話をした。醤油とソースを間違えて使った、アイスを買って冷蔵庫に入れずに放置し溶けたアイスを見て泣いていた、ホラー映画を見たあと一人でトイレにいけない、朝礼で噛んだなどなどと本人が聞けば、赤面ものの話ばかりを二人は楽しそうに話す。

 

そして、尽きぬ話題を終わらせ、ギレンは真剣な顔になり、一枚の書類をクラリッサの前に出した。

 

「閣下、これは?」

 

「予告状だ」

 

「予告状?」

 

クラリッサは出された書類に目を通す。そこには色々と書かれていたが、略せば「IS博覧会にて、テロを行う」という単純な物だった。

クラリッサは何度か書類を見直し、他にないかと探したがそれ以上はわからなかった。

 

「これは……テロの予告状ですか?」

 

「あぁ、そうだ、今日の朝に私の部屋の机に入っていたよ」

 

「監視カメラには?」

 

「映っていたら、見せる」

 

そういう言い方をするということは監視カメラには何も映っていなかったのだろう。

クラリッサはもう一度書類を見るが何もわからない、そんな時視界隅にあったライターが目に止まり、何と無く書類が燃えないようにライターで書類を炙った。

 

「……何をやっている」

 

「炙り出しを」

 

「そんな原子的な」

 

「あ、出てきた」

 

「え、マジ」

 

まさか出るとは微塵も思っていなかったギレンの口調が崩れるがお互いに気にせず、炙り出しで出てきた文字を見る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには【ぼーこくきぎょう参上】と日本語で書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーIS博覧会開催一日前 ドイツ 空港ー

 

ドイツの空港にキャスターを気怠そうに引き摺りながら歩くツインテールの少女がいた。少女の顔立ちは西洋ではなく、東洋方面の顔立ちであり、それで美少女であった。

胸は平たいが。

 

少女は先程から何度も老人の団体に頭を撫でられたり、迷子センターに連れて行こうとされたり、怪しい人にお菓子あげるよと言われたり、散々だった。

 

「くそ、人が小さいからって小学生扱いしやがって……あたしは中学生だっつーの」

 

少女の身長は小さく中学生というより小学生、何よりも胸が全くないのも間違われる原因の一つだろう。

少女は意気消沈しながらも、手に持った一枚のメモ用紙を見る。

 

「イギリスの金髪縦ロールのセシリア・オルコット、ドイツの銀髪ストレートのラウラ・ボーデヴィッヒに変態ロリコンのクラリッサ・ハルフォーフ……最後の悪意の塊は何よ」

 

このメモ用紙は少女が住んでいる国、中国からドイツに行くときに教官から渡されたメモ用紙だった。今回課さられた任務内容と同行する人間などが書かれている。

先程の三人は今回の任務を共に行動する仲間のことが書かれている。

 

「つか、何で全部メモ用紙」

 

実は少女の教官が昨夜誤って、正式な書類を全て嘔吐物の海に沈めてしまったからだ。

教官は昨夜飲みに飲んだのが原因だ、教官は上司に散々怒られ、泣きながら、必死に嘔吐物の海に沈んだ書類と睨み合いながら、書類の全てをメモ用紙に手書きで写したのだ……そのせいか、字がきたない。

 

「まぁ、探すか」

 

少女は来ているはずのイギリスの縦ロールとドイツの眼帯と変態を探すべく、周りを見渡す。

今回、この空港で合流する予定だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ドイツの空港に金髪に縦ロールの髪型をした、いかにも貴族で気が強そうでチョロそうな美少女が降り立った。

周りからは好機の目で見られている。彼女は美少女だけではなく、年齢に合わないぐらいに発達した胸や尻を持っている。ほとんどの男性や女性はそんな彼女に釘付けであった。

……だが、そんな美少女はあることに必死だった。

 

「ふっ、道に迷いましたの」

 

彼女ーーーセシリア・オルコットは超がつくらいの方向音痴である。いつもなら、付き人や周りの人間の支援により、迷わずに目的地に行けるが今回は初の一人旅、周りの人間達はとても心配していた。

そんな彼女がどうしようか?と頭を悩ましていると怒声に近い声が空港内に響いた。

 

「だから、違うって言ってるでしょ‼」

 

「迷子は皆そう言うんだよ?」

 

「迷子じゃないわよ、人を探してるだけ?」

 

「お母さんやお父さんをだろ?

やっぱり、迷子じゃないか」

 

「がぁー、ちがーう!」

 

「じゃあ、お姉ちゃん?お兄ちゃん?」

 

「ちぃがぁーうぅ‼」

 

空港のスタッフとツインテールの少女が言い合いをしていた。

スタッフが言うには少女は迷子らしいが少女は違うと主張をしている……だが、どう見ても少女が迷子に見えた。

セシリアは少女とスタッフを気にしないようにし、昨日渡された資料に目を通す。今回、セシリアはイギリス政府からの正式な任務、護衛任務を受け、わざわざドイツまで来たのだ。その資料には護衛対象とその護衛対象を共に護るチームメンバーのことも書かれていた。

 

【中国貧乳の凰鈴音、ドイツ微乳のラウラ・ボーデヴィッヒとおまけの変態】

 

 

 

ーーー捨てよう。

 

 

 

 

セシリアは最初にこの資料を見て思い感じたことだった。

だが、資料をよく見ると何枚かの写真が挟まっていた。その写真を見ると二人の少女と一人の成人女性の三人映っている。

その一枚の写真を見ると先程から空港スタッフと口論している少女と写真に映っている少女が一致した。

 

今だに空港スタッフと口論している少女ーーー凰鈴音に話しかけるのを決めたセシリアだった。

 




好きなロボットアニメベスト3
一位 機動警察パトレイバー
二位 ダイガード
三位 マジェプリ
四位 フルメタルパニック
五位 グレンラガン
六位 ガンダムシリーズ




ちなみに嫌いなロボットアニメはエヴァ。
以前、スパロボに出てくるからエヴァはロボットじゃね?と言ったら、エヴァオタのクラスメイトに罵倒の嵐を貰ったから。

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