IS〜蒼き鬼神ケンプファー〜   作:種電

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第四話 復活の鬼神

「いたぞ、神楽坂だ!」「今日という今日こそは殺してやる!」「よくも、我らの天使と!」「キルミーユーキルミーユー!」「てめえなんか怖くねぇ!やろう、ぶっころしてやる!」「しねぇよやぁぁぁぁぁ‼」

 

「くっ、数が多い⁉」

 

現在、神楽坂 幸は……

 

「ひゃひゃひゃ、今日が貴様の命日だ!」「ひゃっはー、首をねじ切って、オモチャにしてやるぜぇ‼」「SMT.SMT」「貴様を殺す!」

 

大量の男子生徒に追いかけれていた。

 

「不幸だぁぁぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー遡ること、数十分前。

 

ー通学路ー

 

コウとシャルロットはいつもの通学路を歩いていた。

その通学路には、コウやシャルロット以外の学生やサラリーマン、おばさんなどが歩いており、利用者が多い道だった。

 

「じゃ、じゃあ、次の日曜日に……ね?」

 

「了承って、何で日曜日?」

 

「土曜は用事があるんだ」

 

よっしゃと小さくガッツポーズをするシャルロットと後ろから誰かが走ってくる気配を感じたコウが振り向くと、コウ達に手を振って、走ってくる健一がいた。

コウは朝から元気だなと思いながら、手を振りかえした。

 

「チィーっす、二人ともおはようさん」

 

「おはよう、健一」

 

「鈴木くん、おはよう」

 

「ん、まだ苗字呼びなのね」

 

自分だけ、苗字呼びのことに肩を落とす健一。若干のコミュ症だったシャルロットにしてみれば、人の名前を慌てず舌を噛まないで、言えてるのは大きな進歩であった。

だが、今だに神楽坂家の人間以外には苗字呼びしか、できてない現状がある。

 

「ごめんね、慣れなくて……」

 

「いやいや、気にしないで」

 

「そうだ、気にするな、シャルロット」

 

「……」

 

コウがシャルロットの名前を呼んだときにシャルロットの顔が怪訝な顔になった。

 

「シャル」

 

「?」

 

「シャルがいい」

 

「え、だって、シャルロットの方が……」

 

面倒事が起きなくていいと言おうとしたとき、シャルロットが涙目になりながら、コウの制服の裾を掴む。

 

「シャルがいい」

 

「……」

 

「シャルが、いい」

 

「シャル……」

 

「ーーー!」

 

ぱぁぁと効果音がつきそうなぐらいに嬉しそうな顔をするシャルロットとあー、面倒事が起きそうだなーと黄昏るコウとリア充爆発しろ、リア充爆発しろと呪詛のように呟く健一……遠くから見れば、変な光景だった。

 

 

 

 

 

ー満足中学校ー

 

「おはよー」

 

「おはッス」

 

「チィーっす、WAWAWA」

 

「おはようございます」

 

三人はいつも通りの時間に学校につき、クラスメイトなどに軽く挨拶を交わしながら、靴箱まで向かう。

三人が靴を取り出そうとした瞬間。

 

「おっはよー、シャルシャル!」

 

「ひぃやぁ⁉」

 

誰かが勢い良くシャルロットに抱き着き、中学生とは思えない豊満な胸を揉む。

 

「おはよう、葉隠」

 

「おーはーよー、旦那様」

 

「死ね」

 

シャルロットの胸を揉んでいるのは、葉隠千智。

コウの友人であり、レズビアンであり、自称コウの嫁であり、養子に出されたが、健一の双子の妹である。おっぱい大好き。

 

「ひゃ、やめ、あぅ」

 

「げへへへ、ええ乳しとるのー」

 

「あん、や、やめ」

 

繰り出されるユリユリしい空間に、コウ以外の男子生徒は前屈みになる。

コウはため息をつきながら、ガッシリと千智の顔を掴む。その瞬間、千智は暴れ出す。

 

「ちょ、ちょ、やめてやめて、旦那様、ダーリン⁉」

 

「誰が旦那様だ、ダーリンだ、ボケ」

 

「あ、アイアンクローだけは、アイアンク」

 

千智が言い終わる前にギリギリと掴んだ手の握力を増し、片手で千智を持ち上げる。

 

「痛い、気持ちいい、痛い、気持ちいい痛気持ちいい⁉」

 

「ブレイク」

 

「にゃん⁉」

 

そして、トドメに一気に握力を増し、千智の意識を刈り取った。

意識を失った千智は生ぬるい汚れた床に落とされた……その顔は嬉しそうだった。

 

「大丈夫か、シャル?」

 

「「「シャル?」」」

 

「う、うん、大丈夫」

 

「保健室行くか、シャル?」

 

「「「……」」」

 

その時、ふとコウは視線を感じ、その方に顔を向けると……

 

「「「……」」」

 

男子生徒達が睨んでいた。

一歩、コウが下がると男子生徒達は一歩進んだ。コウが一歩進むと男子生徒達も一歩進んだ。

 

「健一、頼んだ!」

 

コウが走り出すと、男子生徒達が呪詛の言葉を叫びながら、コウを追いかけ出した。

そう、彼らはSMT団、シャルロットマジ天使団、シャルロットのことが好きな変人共の馬鹿集団である。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーそして、冒頭に戻る。

 

「くっ、こうなれば……」

 

コウは逃げきれないと思い、構えた。

 

「死なばもろとも!」

 

「「「くたばれー!」」」

 

男子生徒達が一斉に襲いかかった……だが!

 

「こらぁ、貴様らぁ、なにやっとんのやぁ‼」

 

「げぇ」「生活」「指導の」

「「「立松だぁぁ‼」」」

 

生活指導の立松。

満足中学校の体育教師、肉体言語をモットーにしている暑苦しい男。

 

「はぁ……助かった」

 

「待てや〜!」

 

「「「ひぃぃぃぃ」」」

 

立松とSMT団は一限目の終わりまで、楽しく鬼ごっこをしていました。

 

 

 

 

 

 

 

ー神楽坂家 コウ自室ー

 

「って、酷い目にあった」

 

あの後、立松に軽く怒られたが特に何もなく一日が終わり、俺は日課のネトゲをしながら、ネトゲ友達の“黒兎“と音声チャットをしていた。

 

『ふむ、では、私はそいつらを爆殺すればいいんだな?』

 

「何でだよ」

 

『む、違うのか?』

 

「ちげぇよ」

 

『ハッ、撲殺か⁉』

 

「ちげぇよ、馬鹿!」

 

むーと唸る黒兎に飽きれながら、パソコンの近くに置いてある自作のチョコサンデーを食べる。

ふむ、甘みが強いな……。

 

『む、そうだ、結局どうだ?』

 

「あ?」

 

『会えるのか?会えないのか?』

 

「何時だよ?」

 

『今週の土曜だ』

 

土曜か……何にも用事はなかったな。

 

「わかった、土曜だな」

 

『待ち合わせ場所はIS博覧会だ』

 

「は?」

 

『ではな』

 

「お、おいまて⁉……って、回線切ってるし」

 

……ま、いっか。

どうにかなる、どうにかなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー土曜日 IS博覧会in福岡ー

 

IS博覧会が行われているのは、新しい作られた新福岡ドーム、以前からあるドームの約五倍以上の敷地面識を誇るドームである。

そこで、IS博覧会が行われることになっており、黒兎が指定した待ち合わせ場所でもある。

俺は約束した時間よりも早く来て、一応黒兎を探す。確か、目印として

 

『当日、私は黒いうさ耳をつけているぞ、あと眼帯もだ』

 

「んー、了承」

 

と言っていたな。と思い出しながら、探すと黒いうさ耳をつけ、眼帯をつけた銀髪の少女がIS博覧会の周りに出されている出店の一つの店前で、何やら真剣に悩んでいた。

まさかと思い、声をかける。

 

「あー、そのー、黒兎か?」

 

「そうだが、誰だ?」

 

黒兎らしき人物はこちらを見ようともせずに食い入るように出店を見る。

チラリと出店の看板を見ると“水没王子の水没饅頭“と書かれていた。何だよ、水没饅頭って……。

 

「蒼鬼だけど、待ち合わせの」

 

蒼鬼とは俺のネトゲ時のキャラネームである。もちろん、相手の黒兎もそうだ。

 

「ふむ、で、その蒼鬼が何ようだ?」

 

「いや、だから、今日待ち合わせしていたろ?」

 

少女はしばらく考え込み、おーおーと言い、こちらを見る。すると、少女の耳がピコピコと動く。

 

「お前が蒼鬼か⁉」

 

「そーだよ、俺が蒼鬼こと神楽坂 幸だ、コウでいい」

 

「うむ、私は黒兎ことラウラ・ボーデヴィッヒだ、私もラウラで構わん」

 

何とか、合流出来たなと安心した。

 

 

 

 

 

「で、何してるんだ、ラウラ?」

 

「うむ、水没饅頭とやらを食べたいと思ったが……」

 

ラウラは少しバツの悪そうに頭を掻きながら言う。

 

「お金を間違ってな……財布に入ってるのが円ではなく、ドルなのだ」

 

「……は?」

 

「しかも、財布と思っていたのが小物入れだったのだ……」

 

あははーと恥ずかしそうに笑うラウラと垂れるうさ耳を見ながら、コウは思った……あぁ、この子、馬鹿なんだなと小物入れという名のリュックサックを背負ったラウラを見ながら、コウは思った。

 

「取り敢えず、水没饅頭奢ってやるよ」

 

「いいのか⁉」

 

「食べたいんだろ?」

 

「うむ!」

 

ラウラが付けているうさ耳がピコピコと激しく動く。

コウは水没饅頭という聞いたことのない食べ物と先程からラウラの感情に合わせ、動くうさ耳が気になっていた。

そして、いかにも水没しそうな店主から水没饅頭を買い、お互いで違う味を食べることにした。

 

「また、くるがいい」

 

コウが餡子味で、ラウラが黒蜜味だ。

ラウラがタッパーを開く、そこには水没饅頭という名の通り、饅頭が黒蜜に水没していた。お〜と感動するラウラと嬉しそうに動くうさ耳を見ながら、コウは自分のタッパーを開く……そこには

 

「はい?」

 

餡子があった。いや、餡子味なら、餡子があって当然だが、そこには餡子しかなかった、饅頭が見当たらなかった。コウはもしやと餡子を除けると、底に饅頭が埋まっていた。

 

「水没じゃねぇよ!埋めてるじゃねぇか⁉」

 

「お〜、埋まってるな」

 

「くっ、だが、味は……くそ、うまい」

 

無駄に美味かった。

 

 

 

その後もラウラが興味を示した店を見回り、時折食べながら、二人は歩いた。

ラウラはよほど出店が珍しいのか、幼い子供のようにはしゃぎ感動していた。コウはそんなラウラを見て、少し幸せな気持ちになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うむ、美味かった!」

 

「満足していただき、光栄だ」

 

「む、しかし、奢ってもらっていてばかりでは悪いな」

 

「気にすんなよ」

 

財布の中身はピンチだが、気にするなとコウは呟くが、ラウラは聞こえておらず、むーと悩んでいた。そんな悩むラウラを見ながら、コウは適当な場所に座る。

 

しばらくして、ラウラが何か閃いたようで、コウの腕を取り、走り出した。

 

「な、なんだよ、ラウラ⁉」

 

「いいから、来い!」

 

「はぁ⁉」

 

コウは見た目に似合わず力があるラウラに引っ張られながら、新福岡ドームに向かった。

 

「コウ?」

 

そんな二人を見た人がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ラウラに連れられ、ドーム内に入るとそこは関係者以外立ち入り禁止の場所だった。一瞬、コウは慌ててたが、警備員とすれ違う時にラウラが何かを見せると、警備員は静かに一礼をした。

 

「ラウラ、お前は何者だ?」

 

「そういう、コウこそ、何者だ?その気配は只者ではない……まるで、歴戦の軍人だ」

 

「……」

 

「ま、そんなことはいい。私はラウラ・ボーデヴィッヒ少佐、ドイツ軍の軍人であり」

 

ラウラは一つの扉を開く。

 

「ISのパイロットで、ドイツの代表候補だ」

 

眩い光がコウの視界を奪う。そして、光に慣れたコウの眼前には懐かしいものがあった。

 

「ーーー」

 

「紹介しよう、我がドイツ軍の新型IS」

 

そこにいたのは、何度も死線を共に最後も共にした。

 

「強襲型IS、ケンプファーだ」

 

ケンプファーが佇んでいた。

 




次回予告

力が人を変える。

力が人に勇気を与える。

力が人に生きる意味を与える。

力が奪う。

力が襲う。

その時、男は何を思うのか?

次回 IS〜蒼き鬼神ケンプファー〜
第五話
鬼神再臨

君は鬼を見る。
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