IS〜蒼き鬼神ケンプファー〜   作:種電

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バトオペで新しく量産型ガンキャノン3とプロガンが開発可能になりました……お前ら、じゃないよ!欲しい機体!


第五話 鬼神再臨

「ーーー」

 

ライトの光の中、佇んでいたのは紛れもなく、共にいくつもの死線をくぐり抜け、いくつもの敵を屠り、そして、最後を共にしたMS、ケンプファー(相棒)だった。

 

「第三世代強襲型ISケンプファー、装甲を極力減らし、高速移動により、敵基地や敵部隊に強襲をかけ、持ち得る全火力を敵に叩き込み、離脱する……所謂、一撃離脱を目的に作られたISだ」

 

「武器は?」

 

懐かしき愛機はあの世界とまったく変わらない姿だった。サイズがかなり小さくなっているが。

 

「兵装は頭部にバルカン砲、腰に新型のレーザーサーベルを装備。フランスのデュノア社との技術交換、共同開発により、従来のISを遥かに上回る拡張領域のおかげで大量の武装を搭載できる。

また、一度に最大で8つまで武装を展開できる。」

 

「いいね」

 

昔、連邦の基地を襲撃した時の装備が、MMP-80×2、ZUX-197、ジャイアントバズⅡ×2、シュツルムファスト×2、チェーンマインという重装備で無茶苦茶に暴れたことをコウは思い出し、その後、ロンメルにバレて、物凄く怒られたことも思い出した。

ケンプファーを見ると、何もかもが懐かしかった。頭のブレードアンテナが、左肩のスパイクが、肩や脚についているスラスターが懐かしく、愛おしく思えた。

 

「いい機体だな」

 

「あぁ……だが、な」

 

「ん?」

 

「飛べないんだ、いや、跳べはするんだ」

 

コウはラウラが何が言いたいのかがよくわからなかったが、どう考えてもろくなことではないように思えた。

 

「このIS、飛行能力がないんだ」

 

「……あっ、そう」

 

「つまらん、反応だな」

 

「いや、だって、ねぇ」

 

前世でケンプファーに乗っていたコウにとって、ケンプファーに飛行能力がないのは当たり前だったので、そこまで驚く必要がまったくなかった。

だが、普通に考えてみれば、飛行能力がないISはおかしいんじゃないか?と頭を悩ませるコウであった。

 

「おや、ラウラくん、おきゃく……さ…ん」

 

「こんちには、神楽坂技術顧問、彼は私の友人です」

 

神楽坂という名と聞いたことのある声が聞こえたので、コウが振りかえると、父親である神楽坂巽がいた。

 

「……久しぶり、父さん」

 

「ーーーコウ」

 

巽はコウを見て、驚きの表情をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか、コウと神楽坂技術顧問が親子だったとは」

 

「ははは、世の中、狭いモノだね」

 

「で、アレは父さんが作ったのか?」

 

コウは佇むケンプファーを指差すと、巽は小さく頷き、話した。

 

「あぁ、そうだ、地上用としてね」

 

「地上用?」

 

「宇宙用にヅダを作ったから、地上用にケンプファーを作ったんだ」

 

何で、その二機をチョイスしたんだよ。

二機とも、紙装甲に高機動タイプのMSじゃねぇか。何で、我が父は紙装甲MSを選んだよ、ザメルとかドムと選べよ、乗ったことないけど。

 

 

 

しばらく、久しぶりに父の巽とラウラを交えて、談笑をしているとコウは誰かが来る気配を感じ、振り向くとうさ耳にバニーガール姿に眼帯と”ラウラ隊長、マジ天使!”と描かれたタスキをつけた頭が残念そうな見知らぬ女性とその残念そうな女性に拘束されているシャルロットが歩いてきた。

 

「隊長、不審者を捕まえました」

 

「ご苦労」

 

「えーと、うさ耳の方が不審者か?あとラウラ、捕まってる奴は俺の友人だ」

 

「失礼な!」

 

失礼ではない、当たり前の反応だ。

 

「うさ耳にバニーガール姿で眼帯、さらに変なタスキをつけた女が不審者以外に何見える⁉」

 

「バニーガールだ‼」

 

「てめぇ、全世界のバニーガールに謝れや!」

 

お前みたいなバニーガールなんて、見たくないわ!

これなら、まだ同期会でバニーガール姿にされたシャアの方がまだマシだ、あれはサンドバッグにできるかな。

 

「黙れ!さっさと、隊長を襲え!」

 

「おい、ラウラ!こいつ、頭おかしいぞ!」

 

「ん?クラリッサ、まだいたのか?」

 

「酷い⁉」

 

クラリッサと呼ばれた残念女は、ラウラからの扱いが相当答えたのか、その場に座り込み、シクシクと泣き始めた。そのさいに、拘束されていたシャルは解放され、俺の方に歩いてきた。

 

「……シャル、大丈夫か?」

 

「う、うん」

 

「む、コウ、知り合いか?」

 

「あぁ、そうだな」

 

いい機会だから、二人にもシャルのことを教え、シャルにも二人のことを教えよう。

俺は簡潔に紹介をした。

 

 

 

 

 

 

「そうか、親父が言っていた娘は君か……」

 

「ジジィから聞いてたの?」

 

「あぁ、ただのボケかと無視したけど」

 

「あっははは……」

 

相変わらず思うが、我が家でのジジィのカーストが最低位置なんだが……。

 

〜簡単にわかる神楽坂家のカースト〜

1、絹世

2、シャル

3、コウ

4、巽

5、豪

-以下カウント外

6、叔父

7、叔母

 

〜ジジィより下がいるって?カウント外だから、セーフ〜

 

「むー、話がわからんぞ、コウ」

 

「のわ、後ろから抱きつくな、ラウラ⁉」

 

自分だけ、蚊帳の外が気に入らないラウラはコウの背中に抱き着き、自分の存在感をアピールする。

それを見て、むーと頬を膨らますシャルロットはコウに抱きつこうか抱きつかまいか?と悩んでいた。父、巽はそれを見て、昔のコウの母に好意を抱いていた友人達を思い出していた、クラリッサは未だに泣き、床にのの字を書いていた。

 

 

 

 

 

ーーーそんな時である。

 

「ーーー敵!」

 

「「え?」」

 

コウと戯れていた二人は突然のコウの発言とコウの気配が変わったのに、一瞬驚いた。だが、その驚きは次の驚きによって、かき消える。

 

ーーー爆音。

 

その爆音を聞いた瞬間、ラウラとクラリッサは構えた。

次に構えたのは、シャルロットと巽だった、コウは誰よりも先に構えていた。

 

「た、大変です⁉」

 

「どうした、マイ中尉!」

 

「そ、外で人型ドローンが暴れてます!」

 

「「「何⁉」」」

 

人型ドローン。

ISの開発に伴い、無人の飛行型ドローンの重要性が軽視された。それを受け、ドイツのジオニック社とアメリカのアナハイム社が個々に無人の人型ドローンを開発。

そろぞれの機体を大量に開発、生産され、それが後にニ社のIS開発に大きく貢献することになった。

 

「機種は⁉」

 

「アナハイムのジム、ジムキャノン、量産型ガンタンクです!」

 

アナハイムのジムとは、アナハイム社が最初に開発した量産型の無人ドローンで、ジムキャノンはその派生機、量産型ガンタンクは試作機として、開発されたガンタンクの量産型タイプである。

 

「クラリッサ!」

 

ラウラはその報告を受け、素早くISを展開する。どうやら、私服の下にISスーツを着込んでいたようだ。

 

「はい、マイ中尉は神楽坂親子と……」

 

「僕も行きます」

 

クラリッサがマイ中尉に神楽坂親子とシャルロットの避難させるように命令しようとした瞬間、シャルロットもISを展開する。

 

「本気か?」

 

「僕もISのパイロットだから」

 

ラウラはシャルロットからの返事を聞き、フッと笑う。

 

「落ちるなよ、シャルロット!」

 

「君もね、ラウラ!」

 

「ちょ、待って、二人とも待って⁉」

 

いつの間にか、仲良くなった二人が仲良く発進する。クラリッサは慌てて、その二人を追うためにバニーガール姿のまま、ISを展開し、二人の後を追った。

飛び行く2人の背中を見ながら、コウは思う。

 

「マイくん、ケンプファーを移動させるぞ!」

 

「は、はい⁉」

 

ーーーあぁ、無力だ。

 

「コウ、先に逃げなさい!」

 

ーーーまだ、こんなに無力がこたえるなんて……。

 

「コウ!」

 

コウは無力を感じたのは、初めてではなかった。

 

ーーー中佐。

 

 

 

 

 

 

ー地球衛星軌道付近 ジオン残党降下艦隊ー

 

『敵襲ー!敵襲ー!』

 

『何処からだ⁉』

 

『十一時……ルナツーからだ!』

 

『くそ、気づきやがった‼』

 

『降下を開始しろ!』

 

慌ただしく、通信が行き交う中、コウは発進準備を始めていた。だが、それを整備兵達が必死に止めていた。

 

「待って下さい、中佐!」

 

「中佐のケンプファーは万全ではありません!」

 

「だから、どうした!」

 

「中佐!」

 

そう、コウのケンプファーは万全ではなかった。地球衛星軌道まで来るまでに、連邦軍と幾度も交戦しながら、バレないようにここまで来た。その交戦全てにコウとケンプファーは出撃していた、最早整備なしではマトモに稼動しなかった。

 

「なら、予備の機体を貸せ、俺が!」

 

「ダメです、中佐!貴方が居なければ、星の屑も水天の涙作戦も成功率が落ちます!」

 

「だが、このままだと……」

 

「ですから」

 

先程まで、整備していた兵士が出撃準備をしていた兵士達が、コウの前に集まる。

 

「私達が時間を稼ぎます」

 

「お前ら……」

 

「ですから、中佐は地球に……そして、ジオン再興を!」

 

「中佐、お願いします!」「中佐!」「中佐、カグラザカ中佐!」「中佐!」「隊長!」

 

集まってくる兵士達を見て、コウは自分が言っていることがいかに我儘なのかを理解した。

彼らは自分に期待を夢を希望を託してくれているのだ。上司として、隊長として、エースとして、何よりコウ・カグラザカ中佐として、やるべきことをやらなければいけない。

 

「……任せたぞ、お前達!」

 

「「「「はっ!」」」」

 

コウが敬礼をするとコウの眼前にいる兵士達は皆敬礼をし、コウが見えなくなるまで敬礼をしていた。

 

 

 

 

コウは降下ポットに乗り、時がくるのをひたすら待った。その最中、味方の回線がポット内に響く。

 

『降下開始まで、後五分!』

 

『敵、来るぞ!』

 

『絶対突破させるな!』

 

『弾幕をはれ!』

 

『くそ、やられた……こうなれば、敵艦に突っ込め!』

 

『ジーク・ジオン!』

 

『……あれはガンダムだ!ガンダムが⁉』

 

『タチバナさん!』

 

『来やがったな、悪魔め!』

 

『噂に聞いていた奴と色が違うぞ!』

 

『だから、どうした!中佐が乗ってるポットに近づけるな!』

 

『ぎゃぁぁぁぁ』

 

『うわぁぁぁ』

 

コウは回線から聞こえる部下の断末魔に耳を防ぎたくなるが、そういうわけにはいかない。彼らの死を見届けることが出来ないのなら、せめて、彼らの最後を聞かなければならない。

 

『中佐!中佐ぁ!』

 

『ジーク・ジオン!ジーク・ジオン!』

 

『中佐、必ずジオン再興を!』

 

『来やがれ、この黒いガンダム!』

 

『全機でかかれ、羽交い締めにしろ!』

 

『羽交い締めにして、一緒に地球にダイブだ!』

 

『中佐!

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー今までありがとうございました!』

 

それが出撃した部下達の最後の言葉だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーあれから、コウはジオン再興のために戦い、散り、今はなんだ?

今の自分はなんだ?

平和というぬるま湯に浸かっている自分はなんだ?

部下が死してなお、自分に希望を未来を託してくれたのに……自分は何故?

 

「あぁ」

 

自分は何をしている?

 

「無力だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『当たり前だ、バーカ!』

 

「⁉」

 

突如、天井から何かが現れ、コウの眼前に落ちてきた。油断していたコウは眼前に落ちてきた何かからの突然の攻撃に対処できずに吹き飛ばされ、佇んでいたケンプファーに激突する。

 

「コウ!」

 

「技術顧問、逃げてください!」

 

『おっと、逃がさないぜ?』

 

突然現れた何かはクモに大量についている腕らしきモノを使い、巽とマイを掴み上げる。

コウはわかった、落ちてきたのはクモのようなISでそれが強奪されたモノだと、いつもの勘で、なぜか、わかった。

 

『お前らに用があんだよ』

 

「ぐっ、き、君達は何だ⁉」

 

『俺達か?俺達は……そうだな、亡き者会社集団か?』

 

亡き者会社集団と聞いて、ハッとする巽は言った。

 

「貴様らはぼう」

 

『おっと、待った』

 

「ぐっ!」

 

クモのようなISは巽を壁に叩きつけ、無理矢理黙らせ、ゆっくりとコウとケンプファーに近付く。

コウはケンプファーを見た。

そこにはコウにぶつかり、倒れたケンプファーの情けない姿があった。

 

『さて、後は目の前の餓鬼とISを破壊して、終りだ』

 

「やめろ!」

 

『黙れ』

 

クモのようなISが何をする気なのか、察したマイは辞めるように言うがクモのようなISは聞く耳など持たず、マイを壁に叩きつけ、黙らせる。

コウは痛む身体を引き摺りながら、倒れたケンプファーに近付く。クモのようなISはそれを舌なめずりをしながら、ゆっくりとゆっくりとワザと歩幅を緩めながら、コウとケンプファーに近づいてくる。

 

「何でだよ」

 

ーーー何で?

 

「何でだよ」

 

ーーー何で、女性にしか

 

「何でだよ」

 

ーーー何で、女性にしか、扱えない?

 

「何でだよ」

 

ーーーそれでは守れない。

 

「くそが」

 

ーーーそれではまた失うだけ。

 

「くそが、くそが」

 

ケンプファーにコウは後少しというとこまで迫っていた。同時にクモのようなISもコウの後ろに迫ってきた。

 

「何でだよ、くそ……何で、女だけ」

 

ーーーまた守れない。

 

「ふざけんな」

 

コウは立ち上がり、ケンプファーに触れる。そのすぐ後ろにクモのようなISが立っており、ゆっくりとクモのように八本ある腕の一つを振り上げる。

 

「ふざけんな、このくそ機体」

 

クモのようなISはニヤリと笑い、腕を振り下ろそうとする。

 

「動け、動けよ、このポンコツ!」

 

『ポンコツはテメェだ』

 

ISは振り下ろした……その刹那、ケンプファーが眩い光を放った。

 

「ーーー」

 

『な、なんだ⁉』

 

突然の光に驚き、クモのようなISは振り下ろそうとした腕を止め、立ち止まる。

 

 

 

 

ーーー全システム良好。

ーーーエネルギー確認。

ーーー武装の確認。

ーーーシステムを書き換え中。

ーーーシステム再確認。

 

 

 

 

ーーー第三世代IS ケンプファー 起動します。

 

 

 

『な、何が?』

 

クモのようなISが突然光出したケンプファーに驚き、周りを警戒していると何かがクモのようなIS目掛けて、体当たりを行っていた。突然、体当たりされたクモのようなISは巽とマイを離してしまい、二人は自由の身になり、慌てて物影に隠れ、突然現れたケンプファーを見た。クモのようなISは突然現れ、自分に体当たりをしてきたケンプファーを見ながら、叫んだ。

 

『て、テメェは何もんだ?』

 

 

 

 

 

 

「ただの男子学生さ」




次回予告

手にいれたのは、力。

手にいれたのは、憎しみ。

手にしたのは、悪意だった。

彼は彼らは何を信じているのか?

次回
IS〜蒼き鬼神ケンプファー〜
第五話 選択なしの選択
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