やはり俺たちの防衛生活はどこかおかしい。   作:ハタナシノオグナ

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お久し振りでございます。
今度ばかりは本当に失踪するかと思いました。
それでもこんなに短いです。
リアルが充実というよりは逼迫さえしておりましてそろそろ拡張しないとやってられません。
明日も更新しますのでどうぞよろしく

【追記】令和元年7月16日
誤字を発見しましたため訂正いたします。
それとこれは全くの余談ですが、今見れば小っ恥ずかしい後書きも、
当時を回想するとただの黒歴史と一笑に付してしまうこともできませんでした。
人生積み重ねの上にあるものだなぁと痛感しています。


(7)流れゆく日々

 

◆◆ ◇◆◆ ◇◇◇ ◆◆◇

 

 

「こんにちは、雪乃さん」

 

そう言う彼女、杜琴時の表情は獰猛な笑みで埋め尽くされていた。

夕陽に照らされた血色のいい肌や燦然と輝く瞳は、驚愕から表情を失くした雪ノ下の頬の蒼白さとは対照的で、ふたりの全く違う魅力をそれぞれが引き出している。

つまり、八幡の肩身は狭くなる一方であった。

 

「……アナタ達、あまり似ていないのね。気付かなかったわ」

 

「ええ、それはもう。私達は結婚できる義兄妹ですから」

 

喜色満面に笑みを浮かべて答える琴時の思考回路は、雪ノ下には理解し難いものだったらしい。『何を言ってるかわからない』とでも言いたげな表情で琴時を一瞥すると、くるりと八幡の方へ向き直った。

 

「それで、洗いざらい話す気はあるのかしら」

 

「出生から何から全部喋れってか?」

 

どこまでもひねくれ者のスタンスを貫く八幡に対する彼女の苛立ちは正当なものだろう。

肩を怒らせる彼女から並ならぬ殺意を感じ取ったのか、彼はふいと目を逸らしてしまった。

 

「じょ、冗談だす」

 

どうやら彼の名前はひねくれチキンが適切のようで。

 

「じょww 冗談DA☆SUwwww あっははははは!!」

 

「……ふざける相手は選ぶ事ね」

 

ここでもふたりの反応は真逆を往くもので、片や大笑いしているかと思えば、もう片方は憮然たる面持ちで八幡を睨み付けている。雪ノ下に至ってはからかわれたと思っているようだった。

 

「あっっ……つった! 腹筋つった! 今凄いねじれの位置にある!」

 

ひいひいと腹をよじらせて悶え伏している琴時へと向けて、たっぷりと怨情(誤字にあらず)に浸した八幡の声がかけられた。

 

「そのままくたばってしまえ」

 

「ちょ、酷っ! もう少しこう、心配とか心遣いとかさ?」

 

「喧しいわ。出番は終わりだ。アンコールはねぇからさっさと帰れ」

 

怠そうに追い払おうとする八幡を見て琴時はひとつ大袈裟な溜息をしてみせると、背筋を伸ばして『優等生』になった。

 

「それじゃあ雪ノ下さん、比企谷くん。またね」

 

しれっと言ってあっさり去っていった琴時を見送って、雪ノ下は更に目を丸くしていた。驚愕から口に出していることも理解出来ていないのか、ボソリボソリと彼女を評す言葉が口から溢れていた。

 

「その言葉、あの兄には聞かれるなよ。あれはステージIVのシスコンだ」

 

「えっ……? ええ、そうね……」

 

はっと我に帰った面持ちの雪ノ下は、しかしまたすぐに心を抜かれたように琴時の去っていった方向を凝視していた。

先に折れる事にした八幡は、重苦しい荷を降ろすように深く息を吐く。

先程の雪ノ下の言葉は否応なく、確かに彼の耳にも届けられた。

 

曰く、『バケモノ』。

 

久し振りに聴いたその呼び方は、自身がそう指された訳でもないというのにチクリと胸を刺した。本質的に同じ穴のムジナであると理解しているからこそ、雪ノ下の言葉はカンに触る。

 

ああ、そうだ。そんなのが集まったからこその比企谷隊ってワケだ。

 

口には出さずに自棄っぽく考えて、もういいかと開き直った。

そして先程の逃亡ついでに買ってきたマッ缶を一気に呷ると、彼は眠たげにこう言った。

 

「勝手に喋る。勝手に聞け」

 

オーバーヒート気味の雪ノ下を前に、ざっくばらんな説明が始まる。

 

 

◆◆ ◇◆◆ ◇◇◇ ◆◆◇

 

 

場面は変わり、比企谷家のリビングにて。

 

「————と、いうことで処すべき」

 

八幡の冒頭陳述はそんな物騒な言葉で締めくくられる。

終始恐縮したような姿勢で先程までの顚末を聴く琴時に向けて、ひとつの鋭い視線が向けられていた。今回の判事役、比企谷小町調査役(共生法6条2項)のものである。

今、比企谷家自宅リビングでは司法委員会が開かれていた。

実態が裁判とはいえ、共生法における規定がない以上は裁きようもないのだが、まあそれはともかく。

喧喧囂囂、侃侃諤諤と主張を戦わせる八幡と暁法の奥から唸るような声が漏れ、その場にいた3名全員の注意が小町へと向かう。

 

「…………バ……」

 

「「「……バ?」」」

 

「ばぁっっかも〜〜〜〜ん!!!!」

 

取り囲み、覗き込むようにしていた暁法達へと勢いよく繰り出された『お叱りの言葉』は、その場を超法規的お説教へと切り換えた。高校生3名は問答無用で居住まいをただし、斯くして中学生による高校生への小言の時間が幕を開ける。

 

「ルールを真っ先に守るべき我々が! ナニユエ特権で遊んどりますかぁ!!?」

 

「あっ、あのっ! 小町ちゃん!? イタイイタイクルシイですぅぅぅ!」

 

小町はどこで習ったのか、琴時の腕を絡めとるようにして腕ひしぎ十字固めを決めていた。正座をさせたのは身長差をなくすためだったらしい。その甲斐あって技は完璧に決まった筈なのだが、何故か途中から涙を浮かべ、自らその縛を解いた。

 

「うえぇぇぇぇぇんお兄ちゃぁん!! 胸がぁ! おっぱいがぁ! イジメるぅ!」

 

ああ無情……胸囲の格差社会……。

 

「よしよし……まぁその、なんだっグヘッ!?」

 

きっと、ああ言って八幡に駆け寄ったのは罠だったのだろう。紳士たる暁法や、淑女たる琴時は、決して彼女がガチ泣きしていたことなんて知らないのだから。

とにかく、八幡が突如奇声をあげたのは小町による奇襲が直接の原因だ。

かかったなアホが!! そんな叫びが聴こえそうなほどに計算づくの動きだった。

 

「流水無拍子(擬)!!」

 

それはひょっとして落涙&突拍子の間違いではなかろうか。少なくとも膝蹴りではなかったと思うのだが。

 

敢えて声にはされなかったツッコミはさておいて、懐かしのサ〇デー作品の必殺技を騙り、兄を踏み台に拳を掲げた小町は、余韻もそこそこにぬらりと振り返った。今のところ、唯一制裁を免れている暁法をしっかりと捉えて。

逃れ得ぬことを悟った彼は言う。

 

「えっと……ヤサシクシテネ?」

 

「うん! 絶ッ対ヤダ♡」

 

それはそれは天真爛漫な破顔だったという。

 

悶虐陣破壊地獄(偽)。

 

 

◆◆ ◇◆◆ ◇◇◇ ◆◆◇

 

 

この度の高校生組の行動が余程お気に召さなかったのか、死屍累々となったリビングで、小町はひとり気炎を吐いていた。

 

「信義誠実に反した者に対する罰則を共議会で定めましょー!!」

 

鶴の一声ならぬ、小町の一声。

手続きに多少の瑕疵を垣間見せながら、斯くして共生法は補完への一歩を踏み出した。

 

 

共生法改正案『信義誠実に対する罪』

共同生活者が一般に契約を定め、その約定の本旨及び当然に認められるべき付属的義務に対し悪意をもってこれを犯した時には、その個別的事案における重要性等について厳格な審査をした後相応の罰を課すことが出来る。

 




これにて『由比ヶ浜編』は御終いです。
ここまでやってきて最後これかよってのは歯軋りするしかないのですが、改定は今度の機会ということにして次へ行きます。

次回からは『あの事件』編となります。
それではまた明日。
















書けない書けない書けない書けない書けない書けない書けない書けない書けない書けない書けない!!!!!!!ああ欲求不満!!!!!
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