臆病な兄と奇天烈集団 作:椿姫
そして次回の伏線だと思ってみてもらえれば幸いです。
ではどうぞ〜
学校に行くと朝から緊急の全校集会が行われた。いったい朝からなんなんだと思いながらも校長が話をする。
『えー、最近我が校の女子生徒を狙って変態が出没しています。皆さんくれぐれもひとりで帰ったりなどは控えて仲のいいフレンズと帰るようにしてくださいね?』
取り敢えず夜中にここらで変態とか変質者とかがいるから気ぃつけろってこったな?俺は、もしこころや美咲に何かあったら全力でそいつに対抗するぜ?拳で。
その後は校長の離婚話というクソどうでもいい話を聞かされた。うぇっへへへぇって泣きながら喋ってたしもう見るにも聞くのも耐えれねぇよ。
「あなだがだにはわが(ry」
あまりにも話が長かったので割愛させてもらう。え?なんでかって?だってよ、どこぞの号泣会見みたいになったんだぜ?
そんな訳で午前の授業が終わって今日も俺は購買まで走る(吐かない程度に)。イベリコ豚カツサンドパンは今日はないが、メロンパンが数量限定なんだよ!これは買うしかねぇ!
「お、いらっしゃい廻寧くん!」
「メロンパンまだあるっすか?」
購買の人にそう言うとまだあるとの事。軽くガッツポーズをして俺はメロンパン4個と諸々を買って屋上に行った。
「あ、お兄ちゃん。どうだった?パンは買えたの?」
「バッチリ買えたぜ?ほら」
美咲とこころが俺の方を見てくる。俺は袋に入ったメロンパンを見せた後、開けて一口頬張る。サクサクの生地とメロンのほんのりとした香りが口いっぱいに広がる。めっちゃ美味ぇ…。
「購買のパン食べてるお兄ちゃん、なんか幸せそうだよね…」
「リンネーがそんなふうになるとあたしも食べたいわ!ねぇ、リンネー!」
二つ目のメロンパンに手を伸ばそうとするとこころにつつかれる。振り向くとこころが口を開けている。
「どうしたこころ?歯にほうれん草でも挟まったか?」
「ちがうわよ!あたしもメロンパン食べたいの!」
珍しいこころのツッコミはさておき俺はメロンパンをこころの口に入れる。
「美味いか?」
そう聞くとこころは笑顔で「美味しいわ」と言って頷く。
「お兄ちゃんもこころも甘いムード醸し出してないで早く食べたら?」
「み、美咲!そんなムードになってないわよ!何を言ってるのかしら!?」
「ん?俺はただ食わせただけだろ?もしかして美咲も食いたかったか?」
「いやいやあたしは弁当あるから……」
そんなことを話しながら食べようとすると、
「…リンネイさん」
誰かが声を掛けてきた。見てみるとそこにはぜぇぜぇと息を切らしてるイヴがいた。
「若宮さん?どしたの?」
「イヴ?どうしたんだ?」
「ち、ちょっとお話したくて…」
「話?取り敢えず座れや」
そう言うとイヴはその場にぺたりと座り込む。
「それで?話ってなんなんだ?」
「………です」
「ん?なんだって?」
「実はワタシ…最近誰かにつけ回されてるんです」
そう話すイヴの目は虚ろになっていた。どうやらホントみたいだ。そこに昼を食べ終えた美咲とこころもやってくる。
「あの〜、若宮さん?もう少しわかりやすく言ってもらえたりできる?」
「……はい」
それから俺と美咲とこころはイヴから話を聞いた。話によると学校終わりとパスパレのレッスン終了してから家に帰るまでで後ろから誰かにつけられているとのこと。しかも自宅には「いつも君を見ているファンです」といった手紙まで届くという有様だ。俺はよく自分宛に不幸の手紙が来たりしたけどそれ以上だな…。
「こりゃまた随分と悪質なストーカーだな。誰かにつけられるようなことはしてないだろ?ましてや心当たりはあるか?」
「い、いえ…それは無いです」
「そうか…じゃあ暫くは俺らと帰った方がいいんじゃねぇか?」
俺の提案した言葉にイヴは反応を見せた。
「いいんですか!?もしそれでリンネイさんまで巻き込まれたりしたら…」
「巻き込まれたりしたらそのストーカーぶっ倒して警察にでもつき出せばいいだろ?」
「あ、ありがとうございます!」
イヴはようやく笑顔になった。まずはこれで下校はいいとしてだ…後は、
「こころ、ちょっと頼みたいことがあるんだけどいいか?」
俺はこころに耳打ちする。
「それだったらお安い御用よ!あたしに任せて!」
「よし任せた。それと、イヴとこころは連絡が取れるように…ほれ」
俺はLIN●のQRコードを見せる。
「なんかあったときにでも俺に連絡出来るようにしといた方がいいだろ?」
「あ、ありがとリンネー!」
「リンネイさん、いいんですか?」
聞いてくるふたりの顔が僅かに赤くなっていたが俺はそれに気づくことは無かった。
授業が終わり放課後になってイヴと俺、美咲は同じ帰路を歩いていた。イヴによると今日はレッスンも剣道部の練習もないからオフとの事だ。
「リンネイさんもミサキさんもありがとうございます」
「いやいや、若宮さんがストーカー被害にあってるのを放って置けないし」
美咲とイヴは話をしながら歩いている隣で俺はこころにLIN●をとばす。
廻寧『頼んどいたアレは出来たか?』
こころ『おっけーよ!リンネー』
どうやらアレの準備は出来たみたいだ。そろそろイヴの家に着く頃だな。俺はあたりを確認する。やはり今は夕暮れとかだからストーカーとかは流石にいない。寧ろいたら目立つレベルだからな。
「ここがワタシの家です。今日はワタシの依頼を聞いてくれてありがとうございます」
「別にどうってこともねーよ、また何かあったら俺でも美咲にでも言ってくれればいいし」
「あたしも協力するから、さ」
イヴはそれを聞いて安心したのか笑顔で家に入っていった。見送って俺と美咲は家に向かう。
「そう言えばお兄ちゃん、昼休みこころに何を頼んでたの?」
「ん?あぁ実はな…」
美咲に説明すると美咲は目を丸くしていた。
「え?お兄ちゃんそれ大丈夫なの?」
「その事なら心配ねーよ。イヴにも許可はもらっているからな、ストーカーを捕まえる為って事で合意してくれたしな」
「それなら良いんだけど…」
「これでうまくストーカーが罠にかかればいいんだけどな…それはそうと美咲」
「どうしたの?」
「学校でさ…パスパレのファンクラブみたいなやつはあるのか?」
「あるけどそれがどうかしたの?」
「マジでか……だったらストーカーの正体が分かるかもな」
「え?それって…」
説明してるうちに家に着いた。あー腹減った。今日の飯は何だろなぁっと……
イヴside
〜22時00分 イヴの部屋〜
リンネイさんには感謝しないとですね。お陰で何とかなりそうです。あれ?携帯が鳴ってますね…誰からでしょう?
「もしもし…」
『ハァハァ…い、イヴちゃあぁん』
「ひぃっ!?」
電話に出たのは知らない男の人の声でした。ワタシは思わず携帯をベッドに投げてしまう。
『ねぇ………今日一緒にいたあのおとこは誰なのぉぉぉ?ねぇ教えてよォイヴちゃあぁん!あいつは誰なんだよぉぉぉ!』
ワタシは恐る恐る電話に出る。勿論カーテンや窓はキッチリ閉めてるのでストーカーが来ることは無いです。
「あなたは誰なんですか!!何でワタシにこんなことをするんですか!?もうやめて下さい!」
『そんなこと言わないでよォ…今日もイヴちゃんの家に手紙を届けてあげるからさぁ…ちゃんと読んでくれてるんだよね?僕とイヴちゃんとの愛の日々を綴ったあの手紙をっほっほっほっおぉぉ』
「いやあああああああああああああああぁぁぁ!!」
ワタシは怖くなって電話を切って布団にくるまる。脚も腕もガクガク震えてしまう。涙が頬を伝っていく。
(た、助けて……助けてください…リンネイ…さん)
その夜は恐怖に怯えるしかなかった。
〜翌日〜
鏡を見るとそこにいたワタシは全く別人の様だった。髪はボサボサになってしまい目の下には濃い隈が見えていた。
「うぅっ…リン、ネイさん、ミサキさ…ん、だ、誰か……
た、助けて…」
もう時期テスト期間な為投稿が遅れることになります。期間が過ぎてからは何とか投稿ペースを上げれるように精進したいと思ってます。
今回も観ていただきありがとうございます!