臆病な兄と奇天烈集団   作:椿姫

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次回への伏線&こころ回。
ここから物語は大きく(?)動き出します…ゴゴゴゴ



第15話 恋する乙女と動き出す者

 

廻寧side

 

 

冬休みも明けて今日は初日の学校。美咲に起こされなければきっと俺は爆睡していたことだろう。眠たい目を必死に擦り睡魔に抗いながら校長の長話を聞く。うぇ、ちょー眠ぃ……

 

「……というわけなので皆さん、新学期を迎えたからといって油断しないようにしてくださいね」

 

……んぁ?やっと終わったか校長の話。俺がそう思ってると束の間、声を荒らげだした。

 

「それはそうと!私こと校長はなんと!冬期休暇中に、再婚を果たしました!!相手はなんと」

 

……長いクソ話だったので再び割愛させてもらう。与太話が終わり教室に戻ってからは授業を普通に受けて昼飯の時間になった。購買まで行こうとすると美咲が「今日はちょっとあたしもこころも用あって…ごめんね」との事だ。まぁ美咲もこころも他の奴らと食う日あってもいいだろうと思いながらパンを買って教室に戻ると美鶴が話しかけてきた。

 

「あら廻ちゃん?今日はこっちで食べるのかしら?」

「まぁな、美咲達が『今日はちょっと』ってな」

「へぇ〜……そう言えば弦巻ちゃんとも一緒だったのよね?」

 

俺が軽く「んだ」って言うと何か分かったのか美鶴はニヤニヤしだし更には別のヤツが話に入ってくる。

 

「なに面白そうな話してんだよ!俺も混ぜろ混ぜろ!」

「あらクーちゃん」

「く、クーちゃん?」

「ん?あ、そうか!お前には俺の事ちゃんと話してなかったな。俺、虹村 孔雀(にじむら くじゃく)よろ〜」

「クーちゃんは見た目こんなだけどアタシらバスケ部の中ではかなり強いのよ!」

「『こんな』はねぇっしょ鶴姉ぇ!?」

「…地毛ピンクなあんたが言っても説得力ゼロよ?だからいつも整容点検で紗夜ちゃんにグチグチ言われるのよ?」

「おい、俺の話はどうした」

『あ…』

 

お前ら声揃えて言うんじゃねぇよ…すっかり忘れてたみたいな感じになってんじゃねぇか。

 

「じゃあ話戻すわね……廻ちゃん、これはアタシの予測だけど多分弦巻ちゃんは恋してるのよ」

「は?故意?」

「そっちじゃないわ、恋よ」

「はぁ……そんであいつは一体誰に恋してんだよ?」

 

俺がそう言うと美鶴は目を丸くして俺を見る。

 

「どうした?俺なんか変な事言ったか?」

「え?……身に覚えないの廻ちゃん?」

「あぁ、全くもって心当たりねぇよ」

 

 

美鶴side

 

(困ったわね…アタシは遠回しに弦巻ちゃんが廻ちゃんのこと好きだって言ったけど逆効果だったかしら?いやそれ以前に廻ちゃん!アンタ鈍感すぎるわよっ!?)

 

唸ってると廻ちゃんが首を捻る。

 

「……良くわかんねぇけどとりあえずこころが好きになったやつって変わったヤツなんだなってことだろ?」

 

(だからその変わったヤツはアンタだって言ってるじゃないっ!?ここまで来たらなんて言ったらいいかわかんないわよ!!)

 

結局アタシはどう伝えたらいいか考えていたせいで午後の授業が頭に入らなかったのは言うまでもないわね……頭痛くなってきたわ。

 

 

美咲side

 

 

学校が終わってからはあたしとこころはカフェに行っている。なぜかと言うと朝からこころが溜息ばっかり付いてたから。それ見たクラスメイトは何事かって目で見てたし市ヶ谷さんも、

 

「あの弦巻こころがおとなしい……あいつに何かあったのか?」

 

と、目を疑っていたし…まぁ1日中溜息つきっぱなしだったりテンション高くなかったらそりゃあそういう反応は無理もないしね…花音さんとはぐみも何かあったのかなって言ってたし…

 

「……はぁ」

 

注文した飲み物を一口飲んでこころはうなだれてる。あたしはそんなこころに話を切り出す。

 

「あのさぁこころ…朝からそんなんだけどさ、何かあったの?」

「朝からっていうか最近ちょっと考え事があるのよ…」

 

こころが考え事……ホント珍しいこともあるんだなぁ…

 

「あたしで良かったら聞くけど…」

 

そう言うとこころは目を光らせる。

 

「ホント!?だったら聞いて!」

「聞くからそんな大きな声出さないで……他のお客さんに迷惑でしょうが…まったく」

「お、お客様、どうかなされましたか?ご注文はうさぎですか?」

「大丈夫ですしうさぎはいいです、何でもないですから」

 

あたしがそう言い店員が戻って行くのを見送り話を戻す。

 

「じゃ、改めて聞くとしますか…」

「えぇ…美咲、あのね…あたし…」

 

こころは頬を赤らめながらあたしの事をみる。あたしが不思議そうに思っていると口を開く。

 

「す、好きなの………」

「………は?」

 

常に突拍子の発言や発想を持っているこころ。けどその予想だにしなかった言葉にあたしは思わず顔を赤くして立ち上がる。

 

「は、はあぁぁっ!?ちょ、あんた何言ってるの/////自分で何言ってるか分かってるのっ!?その、す、好きって……」

「ちょ、美咲落ち着いて!?まだ全部言ってないわよ!?」

「お客様どうされました!?やっぱりうさぎは必要ですか!?」

『●ィッピーは大丈夫です!(大丈夫よ!)』

 

声を揃えて言うと店員はすぐに戻った。

 

「はぁ…で、こころは誰を好きなったの?」

 

あたしは本題に戻ってこころに問いかける。こころは再び頬を赤く染める。……こんなになるなんてよっぽどすごい人を好きになったんだなぁと思う。ぶっちゃけあたしはクラスの人に恋愛相談とかよくされるけどあたし自体恋愛には疎いしそれ以前にそういう経験したことないからあんまり上手くは言えないよ……まぁ聞くって言ったからには聞かないとね。

 

「………ね…よ」

「え?なんて言ったの?もう1回言って?」

 

あたしはもう1度聞き直すとごにょごにょしながら今日一番顔を赤くした。そして好きになった人の名前を口にする。

 

「………リンネー」

「…は?」

「だからっ、そのっ、あたしはり………リンネーのことが好きなの/////」

 

こころがたまにお兄ちゃんのことで度々顔を赤くしているのはあたしも花音さんも知っているけど本当にお兄ちゃんが好きだったとは……ま、あたしは薄々気付いていたけどさ……

 

「あんたさ…」

「美咲?」

「あんだけ一緒にいて紅潮してたり戸惑ってたらあたしでも分かるよ…こころがお兄ちゃんのこと好きだって」

 

そう言うとこころは驚いていた。…いやいや、だからなんで気づいてないって思ったのかなぁ…

 

「な、なんで分かったの!?美咲、あなたもしかしてエスパーなのっ!?」

 

あたしは溜息をつく。

 

「長い事一緒にいるから考えてる事がなんとなくだけど分かっちゃうよ…なんか前にもこんなこと言った気がする。……で、お兄ちゃんにいつ告白するとかは決めちゃってたりするの?」

 

『告白』、その単語を聞くとこころは恥ずかしさのあまりテーブルに頭ぶつけて痛そうにした…。

 

「ホントに大丈夫?」

「だ、大丈夫よ美咲……こ、告白とかは、決めてないわ…まだそれを言うタイミングじゃないわ。もう少し距離を縮めてから……っては思うわ」

 

ふーん、こころなりに考えてたんだ。

 

「距離を縮めたい、か……」

「な、何かいい方法はないかしら美咲?あたし…こんな気持ち初めてなの…」

「だったらさ…今度の休みの日にお兄ちゃん誘ってどっか遊びにでも行ってみれば?お兄ちゃんバイトとかはしてないから土日は基本的に暇だよ?」

「そ、そんないきなり……は、恥ずかしいわ/////」

 

恥ずかしがっているこころに軽くチョップをする。

 

「あんたねぇ…それくらいで恥ずかしがってると無理だと思うよ?」

「だってぇ………」

 

そんな風に目を潤ませてこっちを見ても駄目だから………

 

「とにかく、誘ってみないことにはどうもなんないよ?」

「わ、分かったわ…」

 

 

こころside

 

 

美咲に相談して貰って誘うか誘わないか迷っている内に夜になってしまった。あたしは自分の部屋で枕を抱き抱えながらベッドでごろごろしてる。

 

「ん〜ん〜」

 

起き上がって美咲に言われたことを思い出す。

 

『今度の休みの日にお兄ちゃん誘ってどっか遊びにでも行ってみれば?』

『あんたねぇ…それくらいで恥ずかしがってると無理だと思うよ?』

 

あの後も色々とリンネーの事について話を聞かせてもらったわ。

 

『いきなりは無理だって思ってるなら少しずつでいいから距離を縮めていけたらいいんじゃない…?あたしはこれ以上は言わないよ、あとはあんたが決めること』

 

美咲、ありがと。あたし……やってみるわね!やらないで後悔するよりまずはやって後悔した方が人は得出来るもの!!

 

あたしはリンネーに電話をかける。

 

『もしもし、どしたこころ?』

「あっ!り、リンネー!今時間空いてるかしら?」

『んあ?まぁ空いてるぞ…何だ?大事な話とかでもあるのか?』

「え、えぇっ!あのね…」

 

リンネーと電話越しで話すだけでこんなにもドキドキしちゃう…

 

「こ、今度の土曜日なんだけど……リンネー、時間あいてるかしらっ!?」

『?お、おう…時間は空いてるぞ?それがどうかしたのか?』

「あ、あのっ、ね!その日に…で、出掛けに行かない!?」

 

い、言っちゃった…は、は、恥ずかしいぃ…リンネーなんて言うのかなぁ…

 

『出掛けるのは構わないぞ?』

「ほ、ホントにっ!?」

『あぁ、美咲とか松原にも声を掛けー』

「待って!!」

 

あたしは思わず声を上げちゃう。

 

『ど、どうした?』

「あ、あのね…ふ、2人で出掛けたいの…だ、ダメかしら?」

「………よく分からんがまぁ、こころがそう言うならそれでもいいけど…?」

 

リンネーの返答にあたしは思わず声が裏返って返事をしてしまう。

 

「あ!ありがとっ!!」

『じゃあどうする?集合場所だのはこころに任せ…ふあぁ、ね、眠ぃ…』

「わ、分かったわ!じゃあおやすみリンネー♪」

 

あたしはそう言って電話を切った。そしてものの数秒で勢いよく布団にダイブする。

 

「あああっ!言っちゃった言っちゃった!!んもうっ!どうしたらいいのぉ〜っ!?」

 

あたしはドキドキと興奮を抑えることが出来なかった。こ、今度の土曜日にリンネーとふ、2人で……

 

「〜〜〜〜っ/////////」

 

楽しみすぎて待ち遠しいわ!早く土曜日にならないかしら……

 

 

美咲side

 

 

ん?こころからメールだ。

 

「何だろ……『やったわ!今度の土曜日リンネーと2人で出掛けることになったわ!ありがと美咲!』………全く、あんたは本当にすごいよ」

 

そう言いながらお兄ちゃんとこころが2人で出掛けている所を想像する。そして枕をぎゅっと抱きしめる。

 

「…いいなぁ…」

 

あたしはあまりお兄ちゃんと出掛けたことがなかったからなのか他の誰かがお兄ちゃんと一緒にいるとやっぱりちょっと嫉妬してしまう。

 

「あたしだって……お兄ちゃんと出掛けたいよ…今度誘ってみよっかな?」

 

 

半田side

 

 

「……お前ら、バッチリ取れたか?」

「た、太一さん!大丈夫ですよ!ちゃんと音源取れてます」

 

僕はそう言われてスマホの動画を見る。

 

「OK。これはパソコンに移しといて」

「了解です……いよいよですね例の計画」

「あぁ……もうすぐだよ廻寧、キミを"悪魔"から解放してあげるよ。他の奴らにも伝えろ、

 

 

 

 

 

"弦巻家・抹消計画"をこれより開始すると」




伏線を貼るという事で短かったかも知れませんが読んでいただいてありがとうございます。

半田太一の言った「計画」とは?"悪魔"とはどういう事なのか?

※奥沢廻寧のイメージイラストを14話の前書きに追加しました。
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