臆病な兄と奇天烈集団 作:椿姫
さらに言えば七夕香澄、今イベの美咲、コミックイベのモカもゲットしました。
有咲side
「なぁ、滝河」
「ん、どうしたの市ヶ谷さん?」
「お前って北沢さんと知り合いだったんだな。というかいつ知り合ったんだ?」
北沢さんを見送った私は疑問に思ったことを滝河に話していた。
「いつから知り合ったって言っても商店街の顔馴染みってだけだからね。よくはぐみちゃんの家に食材買いにいってたし?」
「へぇ…お前って人脈?結構広いよな…」
『それでは第2競技を開始いたしまーす!ふわキャラのみんなー!準備ステンバーイ!!』
「おうわっ!?びっくりした…」
唐突のアナウンスの声にビビりながらも、私らは北沢さんの応援に戻った。
廻寧side
「…………」
「廻寧くん?どうしたのプログラムをじっと見てるけど…」
松原に話し掛けられ慌てながらも返答する。
「んおっ?あぁいや、競技種目を見てたんだよ。風船配りとかは分かるけど…なんでマラソンとかダンスとかあるんだ?スポーツ大会とかじゃねぇんだぞ?ましてやアスリートを選別する訳でもないんだし…」
「あはは…」
俺の返答に松原は苦笑いする。まぁ苦笑いするしかないよな…だいぶカオスになりそうなのは想像出来ちまったし。
『それでは第2競技を開始いたしまーす!ふわキャラのみんなー!準備ステンバーイ!!』
プログラムを確認すると次はダンス競技だった。ルールとしては、ふわキャラが一緒に踊るメンバーを1人指定してその人と踊るとの事。まぁこれに関しては心配ないな。何せ今美咲と踊ってるのは…
「さぁミッシェル、私に合わせて。1、2、3…」
「こ、こうですか?」
「そうそう、じゃあ次のステップは…」
瀬田が美咲に合わせて軽やかなステップとリードを取るから美咲も慌てること無くついていけている。
「瀬田ってダンスとか得意だったんだな」
「そうよ!薫は演劇をしているから得意なのよ!」
何故か隣で美咲と瀬田のダンスを見ていたこころが得意げになっている。
「なんでお前がドヤ顔してんだよ」
「だって薫だもの!!ん〜!!薫とミッシェルを見てたらなんだかあたしも踊りたくなってきたわ!!」
無邪気なこころは、いきなり俺と松原の腕を掴みはじめた。
「えっ?」
「こ、こころちゃん?」
「リンネーも花音も!一緒に踊るわよっ!!」
俺も松原も訳が分からなかった。なんで一緒に踊ることになるんだ?考えてる内にこころが美咲と瀬田の近くで腕を掴んだまま踊り始めた。
「ちょ、おいっ!そんなに引っ張るなって!?」
「ふえぇん…こころちゃ〜ん!」
「ほらほら!リンネーも花音もステップ踏みましょうっ♪」
因みにこのあと、ダンスミュージックが鳴り終わるまで俺と松原はひたすらこころに振り回され、目が渦を巻くほど踊らされた。
「うぅぅ…こころ、おまえぇ…」
「り、廻寧くん…視界がぐるぐるしてるよぉ〜おっと……とぉっ!?」
「おわっ!?松原危っ!?」
よろけた松原が俺を巻き込んで倒れ込む。
「リンネー!花音!大丈夫!?」
「痛つ…俺は大丈夫だぞ。松原、大丈夫か?」
「ふ、ふえぇ…」
松原を心配して顔を覗き込むと俺以上にぐるぐるしていた。
「ありゃりゃ…相当やっちゃったみたいだな…しゃーねぇ」
俺は松原をおぶって木陰の方に行き、そこで休ませることにした。
「こんな暑っついとこでやったらまぁ、こうなるわな。ほれ、飲めるか?」
「あ、ありがと廻寧くん…」
手渡した飲料を松原はぐびぐびと飲んで行く。
「取り敢えず良くなるまでここで座ってろ。こころとか美咲達には俺から伝えとく」
「ご、ごめんね…」
「別に気にしてねーから。お前はさっさと休んでろ」
松原にそう一言だけ言って俺はその場をあとにする。こころの方に戻ると瀬田と美咲がダンスを終えていた頃だった。
「もうダンス終わったんだな」
「リンネー、花音は大丈夫なの?」
「ん?あぁ、今はあっちの木陰の方で休んでる。にしても…」
俺はダンスの順位を見てみる。そこにはダントツトップで美咲が1位になって2位はマリー・アンドロメダこと北沢だった。
「すげえな瀬田、お前ダンス出来たんだな」
「ふふ、これでも演劇部だからね。そうだ、今度廻寧も一緒にどうだい?」
「慎んで遠慮させてもらう」
「つれないね…」
「別にいいだろうが。次は何の競技なんだ?」
「次は…」
このあと行われた風船配りでも美咲ことミッシェルは大人気だった。始まりと同時にちびっ子がこれでもかというほど押し寄せて風船を根こそぎかっぱらっていく。流石に慣れていると豪語していた美咲も慌てるほどに。一方のマリーの方はと言うと…
「マリーが風船あげるよ〜!みんなおいでおいでー!」
「うわーん!このうさぎさんツギハギだらけで怖いよ〜!?」
「いやあああ!!」
「ウル〇ススの方がまだいいよぉぉ!!」
「あ、意外とイイかも」
等と賛否両論だった。一瞬だけ北沢のメンタルを心配したがあいつの事だから気にしないで風船配り終えるだろうと思った。けど結局配り終えたのは1番最後、因みに美咲は余裕で配り終えてトップ通過だった。人気ってこともあるけど何故かこころや松原達が演奏を始めたりもしてたな…
この後にもパフォーマンスタイムやらなんやかんやあったが美咲も北沢も接戦を繰り広げる。そして遂に残すは最後の競技となった。
『最後のふわキャラ一斉マラソンは20分後になりますのでインターバルなり何なり各自準備の方をお願いしまーす☆』
おいおいマラソンまであるのか?マジでこれ選手権じゃなくてアスリート選抜試験の間違いなんじゃねぇの?邪にそんな事を思ってると美咲が話しかけてくる。
「お、お兄ちゃん…」
「ん、どした?」
「喉乾いたから…飲み物が…」
そう言って美咲はミッシェルに入ったまま俺に渡してくる。多分疲れてるから開けてくれってことなんだろうと察した俺はペットボトルのキャップを開けてそれを美咲に手渡すと被り物を外して客やこころたちの視界に映らない場所に行った。まぁ正体バレたりしたら色々ややこしくなりそうだしそうなるよな。
「んっん…ぷは…生き返るぅ…」
「随分汗かいてるな…」
「まぁね、今は夏場ってのもあるし。ってか夏はあたしにとってヤバいんだよお兄ちゃん…」
「…着ぐるみだから蒸れるのか?」
「冬場はめっちゃいいんだけどね…」
着ぐるみの頭だけとった美咲は顔だけでもめちゃくちゃ汗をかいていた。
「もう一本飲み物買ってくるか?」
「大丈夫。 そろそろ時間だと思うし…」
そう言って美咲はミッシェルの頭を被る。
「じゃあ行ってくるね」
「ここまでやったんだから勝てよ、美咲」
「あはは…お兄ちゃんに言われちゃあ頑張らないとね…」
美咲は他のふわキャラが集まっているスタート地点に向かって行く。それを見ていたのかこころ達が俺の方に来た。
「リンネー!ミッシェルと何を話していたの?」
「内緒話かい?連れないねぇ…」
「内緒話とかそんなんじゃねぇよ。頑張るって言ってただけだ。ほらさっさと美s…ミッシェルの応援に行くぞー?」
はぐみside
「ふへ〜…次で最後かぁ…」
「はぐならぜーったい優勝できるよっ!!ね、有咲?」
「私に振るな香澄!!まぁ、北沢さん…その…頑張れよ?」
「あーちゃん…うんっ!はぐみ、精一杯頑張る!!」
かーくんとあーちゃんが応援してくれる…ってあれ?
「あーちゃん?そう言えばたっくんがいないよ?どこにいったのか知らない?」
「滝河の事か?あいつさっきバイト先から連絡来て行っちまったぞ?インフルで来れなくなったやつの代わりに呼ばれて行った」
「そ、そうなんだ…」
「あ、でも。滝河から北沢さんに伝えといてって…『最後まで見れなくてごめんね…でも、頑張ってねはぐみちゃん』だってよ」
「たっくん…」
「なんで有咲が伝言貰ってるのー!?私何も聞いてなーいっ!」
「お前じゃ不安だったんだろ?伝えること忘れそうだしな」
「うぅ…」
「ま、とにかくだ!北沢さん、後はやりきるだけだろ?頑張ってこいって。選手権が終わってからでも滝河に結果報告すりゃあいいし?」
「そっか…うん!はぐみ、ぜーったい優勝してやるぞ〜!」
はぐみは意気揚々に最後の種目に向けて準備を始める。それと同時にミッシェルへの伝言を思い出す。
『それでねっ!ミッシェルに伝言があるんだけど…みーくん、伝えてもらってもいい?』
『へ?あ、うん…別にいいけど』
『『お互い…正々堂々しょうぶしようねっ!』って伝えて欲しいんだ!』
(ミッシェル……お互い正々堂々だよっ!!)
美咲side
あたしは今、スタート位置で開始を待っている。あたしの他にもふわキャラが沢山いて今か今かと開始を待っていると、隣にマリー・アンドロメダことはぐみがやってきた。
(あ、はぐみだ…)
「…………」
ずっとこっちみてる…何か言いたいことあるのかな?
『それでは時間になりましたっ!!最後の競技説明をはじめまーす!!マラソンとなっている訳ですがただ商店街の周りに作られたコースを走るわけではァございませぬ!!走りながらアピールしたりすることでポイントも加算されます!!モチのロンで行先にはトラップなんかもありますので頑張ってちょー☆さぁふわキャラのみんな…ゴールまで止まるんじゃねぇぞ..!!』
説明が終わると同時にピストルの開始音が鳴り、一斉にふわキャラたちが一斉に走り出す。
「おっとっと…危ない危ない。転ぶところだったよ」
「ミッシェルー!頑張れ〜!」
いつの間にかキャラの走るレーンの外にはお兄ちゃんとこころ達が応援に駆けつけていた。それを見たあたしはなんとか先頭に出ようと足を動かす。因みに今あたしは大体中間より上らへんのグループにいる。
(ふぅ…みんな体力多いなぁ、付いてくのがやっとだよ。しかし…はぐみ早いなぁ…)
はぐみは先頭を走ってる。やっぱり運動神経いいし体力あるからなぁ。ライブの時もいきなり楽器置いて走ってバク転とかしたり走り回るくらいだからなぁ…
(でも…あたしだって運動できないってわけじゃないからね?)
あたしははぐみに追いつけるように走る速度をあげる。
(ぃよし…このままのペースならはぐみに追いつく…)
あたしは躓いて転んでしまう。どんどん追い越されていきはぐみとの差が広がっていく。
「し、しまった…このままだと…痛っ!?」
起き上がろうとすると左足に鋭い痛みが走る。
(しまった…足挫いちゃったよ….)
廻寧side
「リンネー、ミッシェルの様子が変よ?」
「多分…足挫いたんだろうな…」
「そんなぁ!これじゃあマリーに勝てないわ!!」
「ミッシェル…私が代わりに走りたい…」
「瀬田、流石にそれはゆるくもふわっともしてないからな?それ以前に人がレースへの参加はダメだぞ?」
指摘しながらも美咲のことを心配かける。順位の方はだいぶ下層まで落ちていき正直逆転が難しいかもしれない。そういった状況だ。
(美咲…)
今の俺達は美咲が無事にゴールできるかを応援する、見守る。それしか出来ない。
「……って、なんだありゃ?」
「どうしたのリンネー?」
「いやほら、アレ…」
「え?」
美咲side
(……これじゃあ勝てないかもな…)
足をくじきながらもなんとか起きあがる。だいぶ距離も離れちゃったし逆転は無理かな…
「諦めちゃダメだよっ!!」
諦めかけていたその時、聞き覚えのある声がした。見てみると目の前には、先頭にいたはずのはぐみがいた。
「ええっ!?何してんの!?さっきまで先頭にいたのになんで戻ってくるのさ!?」
「しんけんしょーぶ!」
「…へ?」
「みーくんから聞いてると思うけど…はぐみはね!ミッシェルとは真剣勝負で戦いたいんだ!!」
着ぐるみ越しでもはぐみが真剣勝負をしたがってるのが伝わってきた。ってよりも…
「"はぐみ"って…もう自分から正体行っちゃってんじゃん…ははは」
あたしが言ってからはぐみは「あっ!」と気づく。なんかはぐみらしいな…
「そっか…よし!」
ここまで言われて頑張らないで終わるなんて嫌だな。あたしは立ち上がってはぐみと向き合う。
「負けないよ?」
「うん!はぐ…マリーも負けないよっ!」
あたしとはぐみは再び足を踏み出しゴールに向けて走り出した。
廻寧side
北沢が美咲に、何を話していたのかは知らないがそれから2人はぐんぐんとペースをあげてあっという間に先頭集団に追い付いた。途中から体調が良くなった松原も合流して一緒に応援するのはいいんだ。問題は他の奴ら走るのはえーから、お…追いつくのに時間掛かったぞ…
「うぇ…走りすぎた…」
「リンネー!!早く早くー!!」
「ったく……わーってるか、ら…」
俺がこころ達に追いつく頃にはとっくに美咲や北沢含めた他のふわキャラ達も完走していた。
「はぁはぁ….おめーら…は、はえーよ」
「り、廻寧くん…大丈夫?」
「さ、さんきゅぅ…」
松原が手渡してくれた飲み物を貰って休憩する。
「後は結果発表だけよ!!楽しみだわー!!」
「さぁ、ミッシェル達を見守ろうじゃないか」
「……なんであの二人はあんなに元気なんだか」
目を光らせているこころと瀬田を見ながら松原に問いかける。
「すごいよね…でもそういう所がこころちゃんと薫さんのいいところだなって私は思うよ」
「元気すぎると思うけどな」
「あはは…」
『ぅおまたせいたしましたぁ!!ふわキャラ選手権の全ての競技が終わりましとぅぁぁぁ!!これより結果発表にはいりまぁぁっす!!』
お、やっと終わりか…随分とあっという間だったな…
『ほいやっさ!結果がでむぁしたぁぁ!!結果はぁぁぁぁ……』
〜後日 弦巻邸〜
「ん〜っ!すごく楽しかったわね!ふわキャラ選手権!!ねぇ、香澄!薫!」
「あぁ、まだあの時の興奮が冷めないよ」
「うん!そうだねこころん!!」
「凄かったよね…まさかミッシェルとマリーが同率優勝しちゃうなんてね?」
「あはは…」
こころの家に集まってみんなが選手権のことについて喋っていた。ってかなんで戸山達がいるんだよ…俺あいつ苦手なんだけど…。
「それにも驚いたけどマリーの正体がはぐみだったことにあたしはびっくりだわ!!」
こころが椅子から立ち上がる。選手権が終わって帰ろうってなった時にマリーこと北沢が俺らの前に来て着ぐるみの頭外して見せたらそりゃあ驚くわな…
「ってありゃ?北沢はどこいったんだ?」
「お兄ちゃん、はぐみなら誰かに電話しに行ったよ」
はぐみside
「たっくん!はぐみね!ミッシェルといっしょに優勝したよー!」
『ホントに!?すごいじゃんはぐみちゃん!!おめでとう!!』
「えっへへ〜ありがとーたっくん!!でねでね!今日こころんの家で優勝パーティーするんだ!かーくんとあーちゃんも来るんだけどたっくんも来る!?」
『…行きたいのは山々なんだけど…ごめんねはぐみちゃん。今ひまりと浴衣見に来ててさ』
『ゆうまー!!ねぇねぇこれすごく可愛くない!?』
そう言うたっくんの後にひーちゃんの声が聞こえてくる。
「そっか…無理に誘っちゃってごめんね?」
『誘ってくれたのは嬉しいけどね…僕こそごめん。はぐみちゃんはパーティー楽しんできてね?じゃあn』
『あーっ!!ゆうまぁ!!これゆうまに似合いそうだよー!?』
『ちょ、引っ張らないでってば!?じ、じゃあねはぐみちゃんっ!』
たっくんはそう言って電話を切る。はぐみはたっくんと電話を終わらせてこころん達のところに戻る。
「はぐみー!さぁ、パーティーを始めるわよ!!みんな、グラスを持ってー!!」
こころんの掛け声と同時にみんながいっせいにグラスを持つ。
「ふわキャラ選手権お疲れ様ー!かんぱーい!!」
『乾杯!!』
久しぶりの投稿になります。忘れられてないかが心配です。
新連載も抱えたりしてるので同時進行で他の小説も頑張って更新したいです
次回第27話 新緑と黒耀のラルゴ