臆病な兄と奇天烈集団   作:椿姫

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物凄くスランプ気味です…更に夏バテもどきなのか食欲があまりないです。皆さんも夏バテには気をつけましょうね。そんなわけで2ヶ月ぶりの最新話です。




第32話 釣られ連れられ、こころ行くままに

〜廻寧side〜

 

 

「リンネー!次はあっちの屋台に行くわよー!」

「お、おい…ちょっと待ってくれ…」

「リンネイさん!こっちの模擬店には美味しそうなものが沢山ありますよ!」

「なぁ、俺の声はお前らに届いてんのか?…ぜぇぜぇ…聞こえてるのかすら疑うぜおい」

 

こころとイヴに連れ回され何分、いや何時間経ったのか分からない。そうなるくらいにまで疲れた俺は息を切らしながら何とか追いつく。あの二人の有り余るスタミナを少しでいいから分けて欲しいくらいだぜ……。もし天井に手を掲げて「オラに元気をわけてくれぇ!」ってやったら少しは分けてもらえんのか?いやいやドラ〇ンボールじゃあるまいし…元気玉完成してもそれはそれで笑えねぇな。

 

「ったく…おまえr…んぐっ!?」

 

突然、俺の口の中に何やら熱いものが入れられた。俺ははふはふしながら入れられた物が何か確認する。

 

「あっつ!?あちっ、あちっ…なんだよ、たこ焼きじゃねぇか」

「リンネー、美味しいかしら?」

「それ以前にいきなり熱いたこ焼きを口に突っ込むなや…まぁ美味いけどよ」

「ふふ、じゃあ次はあたしに食べさせて欲しいわ!リンネー、あーん」

 

そう言うとこころは口を開ける。特に断る理由も無いから俺は爪楊枝でたこ焼きを1つ刺し、少し息を吹きかけある程度冷ます。それからたこ焼きをこころの口の中に入れる。

 

「んん〜っ!すっごく美味しいわ!」

「あ、ココロさんずるいです!リンネイさん!是非私にもお願いします!」

 

イヴは何をずるいと思ったのか自分にも食べさせて欲しいと懇願してきた。まぁ…こころ同様断る理由は1つも無いわけで。俺はたこ焼きをイヴの口の中に入れる。

 

「ほら、これでどうだ?」

「あひゅっ…んふふ、おいひいれふ♪」

「はふはふさせながらだと何言ってるかわかんねーぞ?もうちっと冷ました方がよかったかもな」

 

次はどこに行くことやら、そう考えてると俺の視界に絶対に入ってならぬ物が映った。

 

「はーい。2年A組のお化け屋敷はこちらですよ〜…ってあれ?廻寧くん?」

 

そこに居たのは魔女の衣装に扮した松原がお化け屋敷へ他の生徒や客やらを勧誘していた。こころとイヴは松原を見掛けると目を光らせ、一目散に松原へ駆け寄って行く。

 

「あわわ!?こころちゃん?それにイヴちゃんもどうしたの?」

「花音、あなたのその衣装すごく似合ってるわ!」

「え?あ、ありがとう…?」

「カノンさんのクラスはお化け屋敷をやっているのですね!行きたいです!」

「いいわねイヴ!じゃあ次はお化け屋敷へ行くわよ!」

 

このままいけば俺までお化け屋敷へ逝く事が確定してしまう。高校生にもなってお化け屋敷が怖いのがバレる…それだけは何としても避けなければいけない。イヴとこころには悪いがここは撤収せねば…足音立てないようにそーっとそーっと…

 

「あら?奥沢くん、こころちゃんとイヴちゃんを置いてどこに行こうとしてるのか、し、ら?」

 

後ろから声をかけられ振り向くとそこには黒い布を羽織り、石仮面のような物を手に持っている白鷺がいた。白鷺は笑っているが謎の威圧感があり、俺は思わずたじろぐ。

 

「し、白鷺…いや、俺は別に…」

「ふぅ〜ん?まさかお化け屋敷に女の子だけで行かせるなんて事、しないわよね?勿論行くでしょ?」

「ゑ?それは、その…」

「リンネー!!はやくはやくぅ〜!お化け屋敷に行くわよ!」

「リンネイさーん!行きますよー!」

 

あ、これ確定演出だ逃げれねぇ。こころとイヴは俺の腕を掴み、勢いよく階段を上がって2年生の俺らの教室もとい、お化け屋敷の前まで来た。いや、来てしまった。

 

「は、はは…終わりだ。もうダメだ…おしまいだぁ…」

「リンネー、お化け屋敷はまだ始まってないわよ?」

「そーいう事じゃねぇよ…」

「大丈夫ですリンネイさん!私がブシドーで這い寄る悪霊を倒します!」

「倒していいけど倒しちゃだめだろぉ…」

 

ははは…もうこうなったらヤケだ。やってやろーじゃねーかこの野郎。諦めがついたのか覚悟ができたのか知らんが俺はイヴとこころと一緒にお化け屋敷へと足を踏み入れた。

 

 

〜お化け屋敷内部〜

 

 

「凄いわ!お化けさん達張り切ってるわ!」

「オチムシャはどこですか…?是非この目で見てみたいです!」

「ウンバボー!」

「ひぎゃああああああああああああああああ!?怖い怖い怖い怖いってぇぇ!!」

「ボンバへー!バブルスバブルス!!」

「うおわああああっ!?来んな来んなぁ!?俺のそばに近寄るなぁぁ!?」

 

こころとイヴはお化け屋敷を楽しむ中、俺は当然のように悲鳴をあげまくる。

 

「ぐおーー!」

「まじでダメだから!?マジでやばいって!死ぬンゴ!死ぬンゴぉぉぉ!!こころイヴ助けてぇ〜っ!?ひいぃぃ!!」

 

 

こころside

 

 

「きゃっ!?」

 

先頭を歩いてると後ろからリンネーがあたしに抱きつく。突然の事で頭がぐるぐるしちゃうし顔を赤くしながらだけどリンネーに話し掛ける。

 

「ど、どうしたのリンネー?」

「怖いんだよぉ…助けてぇ…」

 

そう言いながらリンネーはあたしを抱きしめる力をきゅっと強めた。リンネーとこんなにも肌が触れてると心臓がドクドクって高鳴ってるのが分かる。

 

「だ、だだ、大丈夫よ!お化けさんはみーんな怖くないわ!」

「無理だってば…ううっ…」

 

あたしの知ってるリンネーがこんなにお化け屋敷怖いだなんて思わなかったわ。なんか、いい意味で意外ね。でもそれよりも問題があるのは…

 

「行かないでよぉ…」

「んっ…リンネー、強くしすぎよ?あたしは逃げないからっ、大丈夫よ」

 

リンネーの抱きしめてる腕があたしの胸に当たってるのよね。リンネー自身全く気づいてないかもだけどさっき抱きついてきた時からずっと胸が当たってて…本来だったら離すように言うけどリンネーに抱きつかれるのが嬉しかったのかお化け屋敷の効果なのか離れてなんて、大好きなリンネーに対して言えないわ。

 

(ん…変な声出ちゃいそうだけど…大丈夫。美咲も言ってたわ。いつものあたしでいれば大丈夫だからって)

 

声を我慢しながら奥に進むと出口っぽい扉が見えてきた。それを見るとリンネーは腕を離して一目散に駆け抜けていく。あたしとイヴはリンネーを追いかけてお化け屋敷を出た。

 

「よっしゃぁ出口じゃぁああぁぁ!」

 

リンネーはさっきまでと違い物凄く生き生きしてた。

 

 

〜廻寧side〜

 

 

「ぃよーっし!二度とお化け屋敷なんか行かねーぞゴラァ!!覚えてろよ美鶴ゴラァ!!」

 

お化け屋敷を出ると同時に俺は渾身のガッツポーズをする。

 

「リンネイさんがお化け屋敷苦手だったのってなんか意外です。そういうのは得意なのかなと私は思ってました」

「あのなぁ…入る前から嫌がってたんだから普通は気づくだろ?なんでお前らは揃いも揃って平気なんだかなぁ…不思議にしか思わんぞ?」

「私はテレビとかのロケで遊園地とかそういう所に何回も行ったりしてるので慣れてますよ!えっへん!」

 

イヴはドヤ顔で腰に手を付き胸を張った。ほんと耐性あるやつがすごいと思うぞおい…こころもこころでめっちゃくちゃ楽しんでたし。こいつらに怖いものなんて無いんじゃないかと思ってしまう。

 

「なぁ、こころとイヴは苦手なもんないのか?」

「あたし?あたしは苦手だーって思うものは無いわよ!」

「私はぬか漬けが苦手ですかね…」

「ぬか漬け?…そんなに苦手になるような食い物なのか?結構美味いのに」

「あれだけはどうも好きにはなれないんです…」

「ふーん」

 

そんな話をしながら校舎内を歩いていくと体育館の方からなにか聞こえてきた。

 

『さぁさぁ皆様!ゲーム部主催ゲーム大会の始まりでやんす!主催と進行は部長こと僕、蛇宮が行いますでやんす!豪華な商品もあるでやんすよー!』

 

ゲーム部主催のゲーム大会……だと…?豪華賞品…やばい、めっちゃやりたい。

 

「こころ、イヴ。今から体育館行くけど…」

「いきます!」

「あたしも行くわ!」

「よし、じゃあ行くか」

 

俺達は体育館に行き、ゲーム部の大会を見てみることにした。文化祭のしおりを見てみるとゲーム大会の他にも行事やらイベントが盛り沢山で、最後の方にはパスパレのライブが書かれていた。

 

2日目にはこころ達ハロハピもライブするとの事らしく、今日の締めにイヴ達はデビュー曲含むカバー曲メドレーをするらしい。その中で俺は気になった事をイヴに聞いてみる。

 

「イヴ、パスパレのライブがあるって書いてあるけど事務所がOK出したのか?よくOKでたな?」

「はい、今回は特別にマネージャーさんが許可を出してくれたんです!本当は文化祭ライブをやらない予定だったんですがアヤさんが一押ししたら今回は特別、との事でして…私達もライブをやりたかったってのもありますしアヤさんにはすごく感謝してるんです!」

「へぇ…丸山がね。お、そろそろ始まりそうだな」

 

『さぁ第1回戦はス〇ラトゥーンから参りましょう!我らゲーム部の精鋭と戦いたい人達!出てこいや!』

 

司会の言葉により、挑戦したいヤツらが次々とエントリーシートに名前を記入する。俺も席をたちこころとイヴに身体をむけた。

 

「よし、行ってくるか。こころ、イヴ、俺ちょっと挑戦してくらぁ」

「リンネイさん!頑張ってくださーい!」

「いけいけーリンネー!」

 

俺はゲーム部の死会をやってる蛇宮からエントリーシートをもらい署名する。そして壇上を上がり特設ステージに座ると向かいにはゲーム部が座っていた。

 

「あ、お前は確かあの時燐子さんの勧誘邪魔したやつ!」

「それを言うならお前らは俺の帰りを邪魔したろーが」

「うぐ…それを言われると返す言葉がない」

「ゲームする前から勝負あったな?」

「なんだと!?」

 

言い合いになりそうになったがゲームに集中する為、俺は神経を研ぎ澄ます。まぁそんな事しなくても結果は俺が勝ったわけで…シャド〇バースだったりポケモ〇とかチェス、将棋、ポーカー、ブラックジャック、ヌメロンetc……まぁ沢山やって全戦全勝したんだがまさか「これ以上は勘弁してくださいすみませんでした」って言われて土下座されるとは誰が予想したか。

 

ちっとやりすぎた感はあるがまぁいいや。それよりも問題は他の参加したヤツらは俺をすげー目で見てたな…変に思われても仕方ねえけど。

 

「凄かったですよリンネイさん!」

「リンネー!」

 

壇上から景品を抱えながら戻るとこころとイヴが目を光らせ、はち切れんばかりにしっぽを振る犬のように俺に近づく。

 

「おわっとと…危ねぇよお前ら。景品が落ちるぞ…ったく」

「リンネーはゲームがとっても好きなのね!」

「好きってわけじゃねーよ、趣味なだけだ」

「だってリンネー、ゲームしてる時すっごく笑顔だったわよ!」

「はっ!?」

 

俺は腕で顔を隠すように覆う。まじか?俺そんなに笑ってたのかよ…うわ、めっちゃ恥ずぃ…。そんなことを思ってるとこころは俺の腕を避けて顔をじーっと見る。

 

「な、なんだよ?」

「照れてるリンネーも素敵よ♪ね、イヴ?」

「はい!それに…ちょっとカワイイです♪」

「うっせー!可愛いだのなんだの言うんじゃねぇ!」

 

柄にも無く、いつもと違う声を上げてしまい俺はさらに恥ずかしくなった。ゲーム部のイベントが終わってからも体育館での催しは続く。カラオケ大会や漫才、花咲川美男美女コンテストだの肉体言語研究会だったりと沢山だった。途中、イヴが

 

『ライブの準備の為、一時離脱します!リンネイさんココロさん、パスパレのライブぜひ来てくださいね!』

 

と言って白鷺や丸山達と一緒に準備に行ったから実質俺は今こころと2人で文化祭を回る事にした。とは言ってもあらかた見て回ったからふらふらーっと歩いてるだけだが。

 

「っかしイヴ達のライブが始まるまで暇だなーな、こころ?」

「………」

「?おい、こころ。話聞いてたか?」

「え?な、何かしらリンネー?」

「お前なぁ…イヴ達のライブまで何するかって聞いてたのにまさか全シカトか?さ、流石にちょっと傷つくぞ」

 

俺の様子にこころは慌てながら取り繕う。

 

「ごめんなさい、シカトしてたわけじゃないの!ちょっと考え事してたのよ」

「ふーん…考え事ねぇ…」

 

 

こころside

 

 

(ううう〜っ!リンネーといるとドキドキしちゃう/////何を話していいか分からないわ。これが美咲が言ってた…恋、なのよね?)

 

改めて思うと更に心臓がドキドキしてくるわ。で、でもでも!あたしは決めたのよ!リンネーに自分の想いを…好きだって伝えるって…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

〜文化祭前日 ファミレスにて〜

 

 

『それでこころ?話ってなに?まぁあんたの事だからだいたい予想は出来るけどさ…』

 

そう言いながら美咲はストローでジュースをすする。

 

『えっとね…美咲、明日は文化祭よね?』

『そうだよー』

『そ、それでね…あたし、リンネーに好きだって告白しようと思うのよ』

『ぶふぶぉっ!?ごほっごほ…』

 

美咲はあたしの言葉にビックリしたのか飲んでいたジュースを吹き出しそうになっていた。

 

『美咲大丈夫?』

『これが大丈夫に見えるなら眼科をオススメするよって冗談はさて置いて…お兄ちゃんに告白?やっとその気になったんだね…ふぅ』

 

美咲の溜め息の意味が分からなかったあたしは美咲に問いかける。

 

『へ?やっとその気にってどういうこと?』

『あのねぇ…こっちはあんたとお兄ちゃんのイチャイチャをどれだけ見せられてると思ってんのさ…あんなにしてたら花音さんも薄々気付いてるよ?まぁ…薫さんとはぐみは分かりきってないみたいだけどね』

『っ!?//////////』

 

あたしは思わず顔が赤くなって立ち上がりそうになったけど何とかこらえて、ぷくーっと頬を膨らませる。

 

『むううう〜っ!』

『そんな可愛い顔してもホントのことなんだから仕方ないでしょ?こころ、告白はいいとしても問題はもう1つあるよ?』

『?』

『お兄ちゃんって恋愛とかそういう類に関してはおっっそろしい程無関心だし鈍感のレベル超えてるんだよ?』

『大丈夫よ美咲!あたしはリンネーに対して思ってることや感じた事ぜーんぶ伝えるわ!』

 

そういうだろうなって思ったのか美咲は少しほくそえむ。

 

『はは…あんたはホントにポジティブなこと…いいよ。こころがやりたいようにやってみな?』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

美咲!あたし…やってみせるわ!

 

「ね、ねぇリンネー…」

「んあ?どうしたこころ?」

「えっとね…」

 

あたしはドキドキしながらもそれを口にする。

 

「2人きりで話したいことがあるんだけど…い、いいかしら?」

 

 

美咲side

 

 

「花音さん達のお化け屋敷凄かったですね…これはお兄ちゃんド肝抜かしたでしょ…」

「あはは…廻寧くんが今まで出したことない声を出してて私はちょっとびっくりしたよ…?」

「お兄ちゃんって普段はあまり声を出したりしないしやる気は出す時出すってスタンスだけどお化け屋敷は相当なトラウマで…そのせいで怖い話とかも無理なんですよ…」

「り、廻寧くんに悪いことしちゃったかな…?」

 

模擬店で買った焼きそばとかたこ焼きを食べながら花音さんと話をする。

 

「それで花音さん、こころとお兄ちゃんどうなると思います?」

「うーん…私はなんとも言えないなぁ。とりあえず見守るしかない…かな?」

「ですよね」

 

さーてと…お兄ちゃんはこころの気持ちに気付くのかな?それとも若宮さんと付き合うのかな?あたしは焼きそばを食べながらそんなことを考えていた。




最後まで読んでもらいありがとうございます。
実家の畑で取れたズッキーニがとてつもなく大きくなってびっくりしました。美味しかったです()

次回もこころ回をおこなって、その後にイヴ編に取り組みたいなーって考えてます。
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