臆病な兄と奇天烈集団   作:椿姫

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一応分岐ルートのイヴ編も書きたいと思ってます。(気力とかがあれば…その他諸々)
もしやるってなればこころ編が終わってからですかね?余裕があれば書きますがもし僕のハザードトリガーがヤベーイ!みたいになったら多分最終話のみが分岐になるかもです。その辺については今後投稿して行きながら決めようかなって思います。

それと、今回は短めになります。



第33話 こころの想い

美咲side

 

 

「あ、花音さん。こころからLIN〇来ました」

「え?こころちゃんから?」

 

花音さんと文化祭を回っていたあたしはスマホを取り出す。送り主はこころで『これからリンネーに言うわ!』との一言だった。それを花音さんにも見せる。

 

「このとおり、こころがやっとお兄ちゃんに想いを伝えまーす」

「美咲ちゃん…なんかすっごい疲れた顔してない?」

「そりゃ疲れますよ…こういう類いに超鈍感のお兄ちゃんだったり一途なこころだったり…あーもう、考えたらまた頭痛くなってきた」

 

窶れるまでとはいかないと思うけど疲労困憊だよあたしは…

 

「あはは…おつかれ美咲ちゃん。こころちゃんの言葉が廻寧くんに届くといいね…」

「だといいですけど」

 

こころ、あとはあんた次第だよ…頑張りな。

 

 

廻寧side

 

 

〜花咲川学園 屋上〜

 

 

話があると言われこころに手を引かれ、連れてこられたのは学校の屋上だった。屋上はさっきまでイベントをしてたとは思えないほど人がいない。いや、正確には俺とこころだけだ。

 

「んんーっ!晴れてるから空気がとっても美味しいわねリンネー!」

 

当の本人は外の空気を吸っている。清々しいほど眩しい笑顔で。取り敢えず本題に切り出さないとな、呼ばれた理由がわかんねぇ。

 

「それはそうだが…俺に話ってなんだよ。はぐらかさねぇで教えてくれ」

 

俺がそう言うとこころは後ろで手を組み、俺の方を向いた。俺を見て何故か頬を赤らめてにこにこしている。

 

「あたしね…リンネーとまた会えてよかったって思ってるの!」

「は?なんだよ急に」

 

そのままこころは饒舌に語り始める。

 

「覚えてる?あたしとリンネーが初めて会った時のこと」

「ん?あぁ、中学の時屋上で話したのが初めてだったよな」

「弦巻家の娘だチクリ魔だって言われてて…全然学校に居場所もなくて先生達も味方してくれなくて…何もかもがつまらなかったわ。けどあの時…リンネーと会って考え方も周りを見るあたしの目も変わったの!!」

 

自分自身が変わる指針を与えた、って訳では無いが確かにあの日からのこころは変わった。何か言われても全然気にすることは無いし、笑うようになった。

 

「途中であんな事もあったけどな…」

 

あんな事とは、俺が女性恐怖症と女性不信になった例の事件。俺がこころに怪我させた、傷つけたと言う嘘偽り話が学校中に広まりいじめを受けるようになった俺が我慢の限界を迎え躍起になりクラス内の大半を病院送りにした。

 

「あれがお母さんが過保護だったのもあるけど…あたしがもっと意見してれば…」

「今更んな事言っても解決したんだからいーだろ。別に俺はそこまで気にしてねーしこころの親にもあれだけ言っておけばもう金で買収するなんて考え方もやめる…はず」

「もう!そこは自信もって欲しいわ!」

 

こころが少しばかり頬を膨らませるが、すぐに戻す。

 

「でも確かに…色んなことあったよな」

 

女性恐怖症&女性不信だった俺が花咲川学園に編入してまた学校に通うようになった。正直学校に通うのは死ぬほど不安すぎて吐きそうだった。

 

疎遠になっていたこころと再開した時は一悶着したし、イヴのストーカー撃退&その例にってハグまでされたな…白鷺の臨時マネージャーもやらされたしこころと出かけに行ったら観覧車の中でこころに抱きつかれたしこころが太一達に家乗っ取られて俺1人で助けに行った美咲達が来たなぁ。あの時の美咲の言葉は今でも覚えている。

 

『いつもいつも1人で全部抱え込もうとするの!?悩んだり困ってるならもっとあたしや若宮さん達を頼ってよ!!1人で勝手に突っ走らないでよ!!』

 

あれがあってからなのか、誰かを頼ることが悪いことじゃないのを改めて確認出来た。それからもふわキャラ選手権だかなんだかわからん物に巻き込まれたり部活見て回ったり体育祭でこころおぶったり…はは、色々ありすぎてもうわけわかんねぇや。

 

「いーっぱい楽しいことがあったわよね!!」

「そうだな。もしかして話したいことってこの事だったのか?だったら…」

 

俺はこころに背を向けてその場を後にしようとする。が、こころは俺の制服の袖をぎゅっと掴む。

 

「こ、こころ…?」

「まだ行っちゃだめ…だめなの。大事な事、まだ言ってないの…」

 

こころは目を潤ませ頬を僅かにだが赤らめていた。不覚にも俺はドキッとしてしまう。更にこころはそのまま俺の腕に抱き着いた。意外とある柔らかな物がむにゅっと制服越しにでも伝わってくる。

 

「お、おいっ!そんなに引っ付かなくても行かねぇからっ!?」

「…ほんとに行かないわよね?」

 

こころは不安そうに俺の顔を見る。

 

「行かねぇ!!約束すっから!」

「ふふ、だったら離しても大丈夫ね!」

 

こころは一瞬で上機嫌になり、腕の拘束を解いた。一体なんだんだよ今日のこころは…いつもと何かが違うようなそうでも無いような、そんな気がする。

 

「じゃあ改めて…あたしの話したいことを話させてもらうわねっ!」

 

若干悩む俺を背にしてこころは、空を仰ぎながら語り出した。

 

 

こころside

 

 

あたしはあたしが思ってる事、話したいことをリンネーに全部話す。

 

「リンネーと会ってから…あたしの毎日には驚きと楽しみ、色んな事がいーっぱい増えたわ!どんな事も前向きに考えて笑顔で過ごすのがすっっごく楽しいの!」

 

高校生になって楽しいことを探していたら、花音、薫、はぐみ、美咲、ミッシェルとハロハピを結成してライブをやったわ。初めて演奏したその日の事は今でも頭の中に残ってる。

 

「ハロハピの皆と過ごすのはもちろん楽しいわ!けど、リンネー…あたし、リンネーとまたいるようになってからちょっと変なの」

 

あたしは胸のドキドキが高鳴り、止まらなくなっている。いざ言うってなるとこんなにも緊張しちゃうのね…思わず押さえちゃうかも。

 

「こ、こころ?胸押えてるけどほんとに大丈夫か?」

「だ、大丈夫よっ!」

 

あたしは何とか持ち堪えた。ここで思いをぼっかーん!ってさせるわけには行かないの。全部言いたいこと言ってから!美咲と約束したもの!ちゃんと全部言ってから自分の想いをリンネーに伝えるって!

 

「リンネーといるとね、すっごいドキドキするの…あたしと2人で観覧車乗ったことあるでしょ?あの時も高鳴ってたの。リンネーに触れてる時の

の優しい匂いと温もり…もう全部が感じたことないドキドキだったのよ!」

 

思わずいつもよりも大きい声になっちゃう。何とか落ち着かないと…ふぅ、ふぅ。

 

「あたしはこのドキドキがなんだか分からかったわ。だから美咲に相談したの。そしたらね、それは『恋』だって言われたわ」

「こころ…」

 

今リンネーが背を向けたあたしの事を真剣にみてるのが分かる。あたしの胸の鼓動はさらに早くなっていく。ドクンドクンって鳴ってたけど今はバクバクって鳴っている。

 

「…恋だって言われてからは見方も考えも180度変わったの。リンネーがかっこよすぎるし…なんにも予定ないのに会いたくて触れたくて…名前を呼んで欲しかったの。2人でまた出かけたいしギューッてしたくなったこともあるわ。こんなにもリンネーを想って過ごしてるうちに確信したのよ…あたし、リンネーのことが『好きなんだって』」

「……こ、こころ、それって…」

 

戸惑うリンネーの方を振り向いて、あたしは最高の笑顔でもう一度言う。あたしリンネーへの想いをいっぱいのせて……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リンネー…あたしは、リンネーの事が大好きです♪」

 

 

 

 

 

 




短めにした理由としては次回への伏線のような感じですね。駄文ながらも頑張っていきます。

恋する乙女って書くのが難しいなと今日改めて感じました。
9月6日のバンドリの映画…公開も迫ってきてますね、すごく楽しみです。

ハロハピ小説も次回で34話、完結まではまだですが頑張ります。

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