臆病な兄と奇天烈集団   作:椿姫

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こころルート(本編)を完結させてからイヴルートを書く結論に至りました。と、言うわけでまずはこころルートになります、どうぞ。
※まだ本編は続きます、今回で最終回ではないです


第34話 涙して伝えた、2人の想い

 

「リンネー…あたしは、リンネーの事が大好きです♪」

 

こころは精一杯の笑顔で俺に言った。こころのことだからなんの冗談かと思ったが、頬を赤らめ、紅潮もしているのでこころの言葉が本当だと分かる。バツ告だのドッキリだとかそういう類は純粋なこころがやるはず無い。無いのだけれど、頭の中では状況の整理が間に合ってない。それもそのはず、何せ生まれて初めて異性からの告白をされたのだから。

 

「こころ…お前」

 

俺はこころの事を見ようとするが、こころは俺と目が合うと目を逸らして恥ずかしそうに顔を両手で押さえる。

 

「は、恥ずかしいわ…今は、リンネーのことが見れないの…」

「お、おい…そんな風にされると告られた俺はどうすりゃいいんだよ…」

 

頬をぽりぽりと掻きながら思わず俺もこころから目を逸らしてしまう。

 

「はぅぅ………」

「ん…」

 

しばらくだんまりが続いてしまう。こころの俺に対する想いは分かったとして、俺は…なんて返答すればいいのかが分からない。

 

俺はこころに対して何か特別な感情を抱いたことは正直に言うと無い。中学の時にたまたま知り合ってたまたま花咲川で再開した、って言うくらいにしか考えてないからだ。遊びに行く先でこころが大胆な事をして思わず心臓がドキドキすることもあった。ハロハピのライブを観にいったり、こころの家で世紀末な雪合戦したり体育祭でおぶったり、太一との一件で人質にされた時は命懸けで助けに行った。だけど俺には分からない。何故こころは俺に対して好意を持ち、告白ということに至ったのか。こんな俺をどうして好きになったのかを。

 

「な、なぁ…こころ」

「何かしらリンネー?」

 

俺は、ふと思った疑問をこころに投げかけた。

 

「どうして俺なんだ…?」

「……え」

「いや、その…正直な話俺みたいにマイナス思考なやつなんかよりも他に良い奴なんか山ほどいるだろ?しかも女性恐怖症と女性不信になった俺だぜ?」

 

こころは黙って俺の話を聞いている。

 

「こころは明るくて天真爛漫でいつも誰かの輪の中にいる。その明るさと突発性ある行動と言葉は美咲や他の奴らを引っ張っていけるんだ。美鶴とか孔雀とか…なんなら他の男の方が絶対お前に似合ってるって。俺がこころの横にいると迷惑かかるからよ。俺に対して好意を持ってくれたのは有難いが…」

「─────っ!!」

 

セリフの途中でこころは俺の言葉を遮るかのように勢いよく抱きついた。突拍子のないこころの行動に俺は困惑する。

 

「ちょ、一体何を…」

「あたしは…リンネーと一緒にいてリンネーの事を迷惑だなんて1度も思ったことないわよ!!」

「!?こころ…お前」

 

いつも天真爛漫で笑顔のこころの涙腺には涙がたまっていた。こころは俺にひっついたまま、ぼすぼすと俺の制服のシャツを握りこぶしで叩く。

 

「あたしはリンネーがリンネーだから好きになったのよ!誰でもいいなんて思うわけないじゃない!他の人がいいだなんて絶対に思わない!!リンネーじゃなきゃダメなのよ!あたしはリンネーのことがもっともっと知りたいの!リンネーの笑顔を1番の特等席で見たいのよ!」

 

こころが声を荒げて誰かに自分の考えを話すなんて事は滅多にないだろう。俺はこころの考えを黙って聞く。

 

「リンネーが女の子に対して人一倍怖い思いをしてるのは分かってるの!寧ろそれはあたしのせいだって思ってるくらいよ!」

「そ、それはこころに関係ないだろ。そもそもお前のせいでもないだろうに…あの時は俺だけが悪い思いしただけなんだから俺だけが…」

「リンネーは1人で全部抱え込んじゃダメなの!あたしだけじゃない!美咲も花音もはぐみも薫も!イヴだってもうこれ以上リンネーが1人で傷ついて欲しくないって思ってるわ!!」

 

こころは涙を流しながら俺に訴えかける。

 

「あたしは…これからも大好きなリンネーと一緒にいたい…楽しい事も、不思議な事も、リンネーが背負ってる辛い事も全部全部ぜーんぶ受け止めて…心からあなたが素敵な笑顔で過ごしていけるように支えたいの…この気持ちはウソでもなんでないわ、あたしがリンネーに思っていた本当に本当の想いよ♪」

「…………」

 

涙を拭いたこころは眩しい笑顔で俺に微笑む。

 

「……あら?リンネーも泣いてるの?」

「……は?」

 

俺はこころに言われて気が付いたのか目を擦る。すると、指に涙を流した痕が残っていた。

 

「おかしいな…なんでまた…俺、泣いてるんだ…?」

 

何度も擦ったり堪えたりすればするほど溢れて止まらない。ボロボロと涙が零れ落ちると同時に俺も崩れ落ちた。

 

「な、なんでだよ…なんで涙どまらねぇんだよぉ…どまれよぉ…」

「ねぇ、リンネー」

「なんだよ…ごごろ…」

 

こころは泣き崩れた俺を抱きしめた。柔らかな感触と柑橘系の香り、太陽光の暖かさが俺を包み込む。

 

「お、おい。なにするんだよ…離せよ…」

「泣いてもいいのよ」

「…は?」

「男の子が泣いちゃダメだなんてそんなルールは無いわ。泣きたい時は好きなだけ泣いていいのよ♪我慢しなくていいの…大丈夫よ、あたしがいるわ」

 

そう言いながらこころは俺の頭を撫でる。

 

「お、おぃ…そんな風にされたら…ま、まじで泣いちまうから…や、やめ…」

「よしよし、今までリンネーは頑張ってきたわ。でも頑張りすぎたから少しだけお休みしましょ…ね?」

「……うぅっ…」

 

こころのその言葉で俺は堪えきれずにこころの胸で泣いてしまう。

 

「ひっぐ…ぐずっ…俺なんがでも…誰がを好ぎになっでいいのが…?頼っだり…楽じんだりずるのが許ざれでるのが…?」

「いいに決まってるじゃない。あたしが保証するわ♪それと『俺なんか』なんて言うのは禁止、リンネーはリンネーよ。自分に自信を持つ勇気がないなら勇気はあたしが上げるわ!」

 

ほんっと俺はバカだなぁ…カッコ悪すぎだろ。でも、なんかこれで本当に俺の心の中の鍵が外れたかもしれない、そんな実感が湧いた。

 

相変わらず女子に対して臆病で怖がっている面はあるけど、そんな俺をこころは受け止めてくれていた。いや、最初からこころは俺に対してそうしてくれていたのに俺が勝手にがっちり鍵かけて閉じ籠って…はは、もうどうでもいいか。

 

「……ありがどぅ、こころ」

「リンネー、今あたしにありがとうって言ったわ!!」

「う、うるぜぇ…言っでねぇよ…」

「ふふ、そういうことにしてあげるわ♪」

 

俺はそのまま数十分、こころの胸で泣き続けた。どれだけ泣いたか知らないが、涙が乾ききった頃には互いにした事が恥ずかしくなっていたのか屋上のベンチに座って項垂れていた。

 

「うおおぉ…めっっちゃ恥ずいわこんなん…/////」

「あんな恥ずかしことリンネーに言ってたのねあたし…はうぅ/////」

 

俺は悶え苦しむが何とかベンチから立って背伸びする。

 

「んんん…ふぅ。おいこころ、さっき俺が泣いたのは美咲に誰にも言うなよ?」

 

俺がそう言うと、こころは背伸びをして俺の方を見る。

 

「大丈夫♪あたしは誰にも言わないわよ♪それよりも…あたしはリンネーの答えが聞きたいわ」

「答え?何のだ?」

 

こころは頬をぷくっと膨らませる。

 

「むーっ!あたしはリンネーに大好きだって言って色々告発したじゃないっ!リンネーはあたしの事をどう思ってるかまだ聞いてないわよ?」

「俺は…その…」

「んー?小さな声じゃ分からないわ、ハッキリと

 

言いなさいリンネー♪」

「…正直な話、まだ分からないんだ。こころが俺の事好きなのもどう思っていたのかも全部聞いた。だけどまだ…まだ、俺の考えは纏まらないんだ。だから…こころ」

 

俺は意を決してこころの前に立つ。

 

「俺のこの気持ちが纏まったその時…改めて俺からこころに告白してもいいか?あまり時間は待たせない事は保証する」

 

真剣に考えてることが伝わったのか、こころは笑顔で答える。

 

「リンネー…ふふ、良いわよ♪いい返事を期待してるわ♪」

「変にプレッシャーかけるなよ…ったく」

 

緊張がほぐれたその時、校内放送が流れる。

 

『花咲川学園の生徒の皆様〜!!まもなく体育館にてPastel*Paletteのライブが始まりま〜す!全校生徒集まれ〜!!』

 

「おうわっ!!びっくりした…」

「あら、そろそろイヴ達がライブをするのね!!リンネー、早く行きましょ!!」

「急かさんでも行くってーの…」

 

こころが屋上の扉を開けようとした時、何かを思い出したのか俺に振り向く。

 

「どうしたこころ?」

「ちょっと…忘れ物したわ♪」

 

そう言うとこころは俺の頬に唇を重ねた。何があったか分からず俺の思考回路が再び止まる。

 

「……は?」

「これでOKね♪」

 

そう言ってこころは階段を駆け下りていく。

 

「ちょ、おい!?こころ!?」

 

俺は数秒そこで立ち止まったままだったが直ぐに階段を駆け下りて体育館に向かって走っていった。体育館に着くと生徒やら客やらがゴタゴタしていてどこに誰がいるのかさっぱり分からない。

 

「どこにいるんだよこころ…」

「こころがどうかしたのお兄ちゃん?」

 

後ろを振り向くと美咲と松原がいた。

 

「あぁ、いや…なんでもないんだけどちょっとな…」

「もしかしてこころと何かあったりしたのかな〜?」

 

美咲に指摘されて俺はさっきのこころとの一件を思い出す。思い出したらなんかめっちゃ恥ずかしくなる。慌てて目を逸らすが美咲にはバレていた。

 

「やっぱりこころと何かあったんでしょ?まぁ言わなくてもあたしと花音さんは知ってるんだけどね…」

「えへへ…ごめんね廻寧くん」

「は?それどういうこった?」

「実は…」

 

話を聞くと俺は美咲からこころが俺に告白をするという事を聞いていたらしい。なんだそりゃと落胆していると、美咲がどうだったのかと聞いてくる。

 

「いや、それは…その…」

「リンネー見っけ♪」

「へ?どぅおあ!?」

 

その時、こころが後ろから俺に抱きついてきた。美咲と松原はこころの行動にびっくりしながら俺とこころを見る。

 

「おま…俺より先に屋上から居なくなったはずなのにどこ行ってたんだよ!?」

「ひーみーつ♪」

「うわぁ…大胆だねこころ…」

「美咲ちゃん、も、もしかしてこころちゃんと廻寧くんって…」

「おい待て松原!これには日本海溝より深いワケが…」

 

『ではでは皆さん長らくお待たせしました!!本日限りのスペシャルイベント!!Pastel*Palettesのライブが始まりまあぁぁぁっす!!盛り上がっていこうぜえぇぇぇ!!』

 

弁解を遮るかのように司会をしてる生徒の声が体育館中に響き渡った。それに合わせて他の生徒も待ってましたと言わんばりに狂喜乱舞の如く声を上げる。

 

「ま、まぁ後で言い分は聞くとするよ…」

「ふえぇ…声おっきいよぉ」

 

美咲と松原は耳を塞ぎながらステージの方を向く。俺とこころもステージに視線を向けるとイヴ達がステージ上に上がって来た。5人が軽く自己紹介を終えるとパスパレのライブが始まった。

 

「リンネー」

「どうしたこころ?」

「リンネーが答えを出すまで…あたしずーっと待つわ♪」

「待たせないって言ったろうが」

 

俺はこころに一言そう言うと、どこか嬉しそうな表情をしていた。





なるべく期間をあけないように努力はしてますが大変です。そして最近は夏の暑さもすっかり無くなって秋になってる感がたっぷりですね。

読書の秋、食欲の秋、スポーツの秋、勉強の秋…様々な秋がありますが皆さん自分にぴったりな秋が見つかるといいですね。
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