不思議集団   作:藍澤 碧

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1.生えてくるアイルー!?

ずぼっ!!

 

地面から生えるように現れたアイルーの手が、水色に近い青い小鳥のマークがついた木の看板のようなモノを見せてくれる。

 

 

『明日、都合が良かったら、狩りに一緒に行ってくれないかな?』

 

「あら・・・。えーと・・・。『OK!どこの集会所で、何を狩るの?』と。お願いねー!」

看板のようなものにナイフで文字を刻んで書き足す。

「ニャ!!」

 

ザカザカザカ、すぽん。

 

 

 

ベルナ村の雑貨屋さんで買い物をした帰りに、家の前の道に“ついったーアイルー”が現れた。

からすさんからの狩りへの同行依頼の連絡だった。

 

ずぼっ!!

 

「おっ!早!」

 

『大老殿に、よろしく

ティガレックスだよ』

 

「うにゅ。じゃ、『今から向かいまーす!』よろしくね!」

「ニャ!!」

 

ザカザカザカ・・・、すぽん。

 

 

「ただいま~」

 

私は買ったものを家の中で片付けながら、オトモのムァに声をかける。

 

「からすさんと、狩りに行くよー!ムァ」

「了解ニャ!」

 

青い桐花を着こみ、雷属性ライゼクスの双剣を背負う。

ムァも

「からすさんとは、久しぶりだニャ?」

と言いながら、獰バサル一式とギルドXネコカリバーを用意している。

どちらも見た目のかわいさ(肉球がデザインされている)と実用性の高さを備えている、素敵なオトモ武具なのである。

 

「そうねぇー」

そんな、他愛もない話をしながら、一通り準備が整うと家を出る。

 

村の端、龍歴院への道の手前にある飛行船窓口で、受付アイルーに頼んでハンター特権である定期便ではない少し速い飛行船に乗せてもらう。

 

 

 

 

 

からすさんとは、“ついったーアイルー”という、不思議集団がやってくれているサービスで知り合った。

スズナやマコノフさん、シュナさんたち、酒場の仲間に出会う前、まだハンターになって日も浅く狩り仲間に困っていた頃、ユクモ村に帰っていた時に村付きのハンターに教えてもらった。

「今、流行中のサービスで、色々な人と知り合えるよ」

と。

 

ついったーアイルーに頼んで、色々と呟いていると、呟きやプロフィールから、好みの合う人や話の合いそうな人の呟きを見せに来てくれるようになる。

そこで、気になる人にはメッセージを呟いて届けてもらい、繋がることができる。

ついったーアイルーに繋いでもらうと、その相手の呟きを毎回、突然、地面から生えるように現れては、木の看板のようなものに書かれたそれを見せてくれるのだ。

ネコ好きで繋がったついったー友達もいる。

 

からすさんとは、何で繋げてくれたのか、よくわからなかったけれど、ついったーで連絡を取ったり呟きを見ている内に仲良くなった。

そして、お互いにハンターだと知って、一緒に狩りに行くようになったのだった。

 

 

 

 

 

ドンドルマに着くと、また足元についったーアイルーが現れた。

「あら。ネコ嬢のカティの呟きね」

『今日は孤島に、オトモアイルーをスカウトに来ています。

野生のムーファがたくさん!! すてき~♪』

「うふふ。ありがとう!」

 

ザカザカザカ・・・、すぽん。

 

ずぼっ!!

「!!」

『大臣奴・・・。寝ぼけたるぞや。

いさひかりしてくれぬば、我いとこうず』

「大長老・・・」

 

いつの時代の言葉よ?

みんな解るのかしら?

 

 

ふと、周りを見ると、人の前で地中に埋まって空色のリボンの付いた腕だけを出して、看板を掲げているアイルーがそこかしこに居る。

「大長老、大人気ね」

繋がっていなくても、気に入った人をついったーアイルーに伝えると、毎回見せに来てくれる。

大長老のようにたくさんの人に知られている人は、呟きを見たい人も多いようで、辺りがついったーアイルーだらけになることもしばしばあることになってきている。

流行のお蔭で、木の看板に書くのに、文字を刻みやすい様に工夫されたペンのようなナイフまである。

勿論、私も愛用しているのだけれど。

 

最近は、流行し過ぎて、ついったーアイルーが足りないらしい。

ウチの控えのオトモアイルーたちも、毎日のように頼まれて、アルバイトに行っている。

交代で呼ばれると、ニャッフルがぼやいていた。

そういえばスズナのところの、ヒジキ,セッタ,スズリ,コマ(他にも恐ろしいほど大勢いる)たちも、みんなアルバイトに行っているって言っていたなぁ。

ツミレは、ガーグァ荷車の御者のボランティアに忙しいみたいだし・・・。

ウチも、私のネコ好きが高じてオトモアイルーの数は大概だけれど、スズナのオトモアイルーの数は、ウチの比じゃないのよね。

 

 

ずぼっ!!・・・・・・ザカザカザカ・・・、すぽん。

そんな音ばかりが聞こえる。

 

 

 

 

 

これで、“らいんアイルー”まで流行っちゃったら、どうなっちゃうんだろう・・・?

 

実は、ついったーアイルーの他に、“らいんアイルー”という不思議集団もいる。

まだ一部の人にしか知られていないが、こちらもいずれ流行してしまうかもしれない。

ついったーアイルーは呟きをあちこちに伝えてくれるが、らいんアイルーは個人的に連絡ができる。

ちょっと秘密めいた通信手段のようなもので、結構早い。

陸地にいなければ、アイルーたちも来られないので、伝書鳥ほどではないけれど。

 

ついったーアイルーたちは、手首に空色のリボンを飾って、それと判るようにしている。

他にもたくさんのアイルーが、あらゆる所で仕事をしてくれているので、区別がつくようにしているのかな?

制服のようなものなのかしら?

らいんアイルーはというと、手首に黄緑色のリボンをつけていた。

 

 

 

大老殿の前の大階段に辿り着くまでに、何匹のついったーアイルーに行く手を阻まれただろうか・・・。

人の多い通りでは、人とついったーアイルーだらけで、歩くのに難儀な状態になってしまっていた。

 

 

 

大階段の上り口で、守護兵さんに大老殿に入る資格のあるハンターのメダルを見せて、挨拶する。

 

大階段を上っていると、ムァが言いにくそうに何か言いかけた。

「ご主人・・・」

「ん?なぁに?」

「・・・実は、その・・・。何でもないニャ・・・」

私は、ムァに向き直る。

「なぁに?言ってよぉ。気になるじゃない」

ニコリと笑って、促す。

「あの、その・・・」

「うん」

長い大階段をゆっくりと上りながら、優しく頷く。

「その・・・。実は、ネコノフとオモチに、ボクもついったーアイルーのアルバイトに誘われてるんだニャ・・・」

「あら・・・」

本当にアイルーが足りないのね・・・。

流行りっぷりに、若干呆れる。

「それで、その・・・」

「うん。行っていいよ?」

「!!ほんとニャ!?」

「うん。オトモしてもらう依頼のない日なら」

「やった~!ありがとうニャ!!」

「いぃえー。がんばってね。結構大変そうだから」

「任せてニャ!」

「うふふ。まぁ、まず明日の狩り、よろしくね!」

嬉しそうにはしゃいでいたムァが、ハッとしたように、

「ニャ! それこそ、お任せなんだニャ!!」

と、慌てて応える。

本当に楽しみなのね、ふふ。

 

 

 

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