そんな平和な日々の中で、事は起きた。
何気ない日常から、自分のルーツを知ることとなったのである。
ユクモ出身の私のルーツは、どうやら、そのユクモに流れ着いてユクモを築いたご先祖さまの、更にご先祖さまらしい。
その人も、藍瑪蔬(あいめそ)という名で、鈴菜(すずな),誠之輔(まこのふ),朱納(しゅな)という仲間がいて、瀕死のところを黒鷹(からす)という殿方に助けられていたというのだ。
しかも、明らかに黒鷹さんは藍瑪蔬さんに好意を寄せていたと判った。
それを、一緒に調べてくれていた皆と、書物で知ってしまったため、
「からすって誰!?知り合いに居るの!?」
となってしまい、シュナさんはじめ、皆に押しかけられて、何とも恥ずかしいお茶会が開かれたのだった。
その結果、からすさんにも好意を寄せられているのでは!?という話でその日は盛り上がり、照れくさいのを通り越して、本当に恥ずかしい1日となったのである。
こんなんじゃ、次にからすさんと狩りに行く時、一体どんな顔して会えばいいのよ・・・?
ついったーアイルーを、スズナもマコノフさんもシュナさんも使っていないのをいい事に、みんなが帰った翌日。
オトモ広場に向かう道すがらついったーアイルーに、
『めちゃくちゃ恥ずかしい事件発生・・・。私が穴に入りたい・・・』
と呟いてしまった。
どこかに吐き出さずには、耐えられない位に照れくさくて仕方なかったのだ。
ずぼっ!!
「!!!」
『大丈夫か!!?何があった!?力になるよ』
ぎゃ―――!!!
からすさんから、ついったーアイルーが来てしまったぁ~~~~~~!!
動揺のあまり、肝心要のからすさん本人がついったーアイルーを利用していたことを、す―――っかり忘れていたぁ――――――!!
いやっ!これはお返事できないよ・・・。
アイルーの腕と看板の前で、またしても恥ずかしさのあまり、うずくまる私。
「・・・・・・・・・」
地面の下のアイルーは珍しく押し黙ったまま、一向に動かない。
かなりの時間が経ってから、少し鼻にかかったような声が地面の中からした。
「お返事書かないのニャ?」
こういう対応をしてくれるアイルーには、ポイントをつけてあげられて、それをたくさん集めたコは何か栄誉が与えられるんだったな・・・。
「ん。ありがと。でも、ムリ・・・。書けない・・・」
「・・・・・・ニャ・・・。か、書いた方がいいと思うニャ」
アイルーが食い下がってくれてしまう。
親切なのだけれど、ちょっと、今は・・・。
そう思いながら、その手を眺めていると、どうも見覚えのある色柄のような気がしてくる。
んん!?
この手首の辺りまで黒で、手先の方が白いのは・・・?
それにさっきの声・・・。
鼻声っぽかったから、ハッキリとは判らなかったけれど・・・。
むぅ・・・。
「やっぱり、書いた方がいいと思う?」
「ボクはそう思うニャ」
鼻にかかってはいるけれど、やっぱり!!
「これ、秘密にしておいてよ―――!オモチー!」
「!!!ひっ秘密にするニャ!」
明らかに、腕がビクッとした。
「お、お返事書かニャいなら、失礼するニャ!!!」
ザカザカザカ・・・、すぽん。
「本当に内緒だよ―――!!」
ずぼっ!!
「!!」
また来た!なになに?
『本当に大丈夫かい!?返事をくれないか?』
からすさ―――ん。だからムリだってば―――!
ご心配はとってもありがたいのだけれどぉ―――。
んんっ!?
この手・・・・・・。
黄色い腕に肉球模様、手先が黄色っぽい茶色・・・。
「マコノフさんに言わないでよね、マスター・ネコノフ」
「言わない・・・!ニャ・・・!ニャんの事ニャ!?」
「お返事は書けないよー。ネコノフ―――」
「な、なら、失礼するニャ!」
ザカザカザカ・・・、すぽん。
あ――あぁ。もう!何なのよぉ―――。
2人続けて、友人だなんて・・・。
ずぼっ!!
わっ!
ん?黄緑のリボン!
らいんアイルーか・・・。
スズナとからす・・・あ!
『藍メソ!どうしたんだ!?返事をくれよ』
からすさ―――ん。
あぁあぁ・・・。
スズナとからすさんしか使っていない直接連絡できる、らいんアイルーが、とうとう来てしまった。
からすさんがしびれを切らしたらしい。
あ・・・。呼び捨てにされている・・・。
そんなに動揺しないでよぉ・・・。
ますます恥ずかしいじゃないの・・・。
「らいんアイルー、ちょっと待ってね」
「ニャ!」
うーん。どうしよう・・・。えーと・・・。
「えーと。『大丈夫!心配してくれてありがとう。たいしたことじゃないのよ』って、たいしたことだけど・・・」
こうとでも書くしかないでしょ・・・。
「うん。これでいいわ。お願いね」
「ニャ!」
ザカザカザカ・・・、すぽん。
・・・さて、オトモ広場に行こう・・・。
と、立ち上がって数歩も歩かないうちに・・・。
ずぼっ!!
「!!!」
『本当かい!?心配だよ・・・』
らいんアイルーだった。
いつになく立て続けに、しかも若干執拗に心配してくれている。
「うーん・・・。こまったなぁ。『本当に大丈夫!ちょっと照れくさい事があっただけだから。今度会った時にでも話すよ』って、話すの―――!?いや、えっと・・・」
ザカザカザカ・・・。
「あ!待って!!」
すぽん。
「あぁあぁ~~~!!どうしよう・・・・・・」
思わずその場にへたり込む・・・。
「あれ?メソさん、大丈夫かい?」
村人が通りかかって、声を掛けてくれた。
「あ!うん!大丈夫!!」
慌てて立ち上がり、オトモ広場に向かった。
オトモ広場の帰り。
ずぼっ!!
『心配だから、今から会いに行くよ』
うわ!!ぎゃ―――!!
「大変!!『いやいやいや!!大丈夫!!今度の狩りの時で大丈夫だから!!』急いでお願い!!」
「ニャ!!」
ザカザカザカ・・・、すぽん。
これはマズイ・・・。
スズナ!スズナ!!
らいんアイルーで、即、スズナに連絡を取った。
「えっと、『どうしよう!?からすさんが来ちゃう!!止めたけど間に合わないかもしれない!!』と・・・。これも急ぎでお願い!」
「ニャ!!」
ザカザカザカ・・・、すぽん。
ふぅ・・・。
ずぼっ!!
「!!!」
『今、シナト村だから、シナトマトをお土産に持って行くよ』
・・・・・・。
「いや、だからぁ―――・・・・・・。もー!『大丈夫だって言ってるのに―――。気をつけてね』飛行船に乗っちゃう前に!!お願い!!」
ザカザカザカ・・・、すぽん。
無理だー。来ちゃう~。
シナト村からだと、一旦ドンドルマかな?
ん?ポッケ村かなぁ?
とにかく・・・。
ずぼっ!!
「!!」
『それは・・・。うーん。取り敢えず、対策会議でもする?みんなも呼んで、あたしも向かうよ』
スズナ!グッドタイミング!!
「よし!『シナト村から来るそうだから、先に来られると思うけれど、早く来て~~~!!!』よろしくね!」
「ニャ!」