家に帰ると、ムァがまだ帰っていなかった。
こういうそわそわと落ち着かない時には、ムァをモフりたいのにー。
夕方になってやっと帰って来たムァは、あからさまにマタタビ臭をさせて、盛大に酔っ払ってふにゃふにゃになっていた。
「どうしたの!?」
「えへへー。今までのアルバイトのご褒美で貯めていたマタタビぜーんぶで、盛大にマタタビパーティーしてきたニャ―」
ふにゃふにゃの割にはしっかりした答えが返ってきた。
「あらまぁ・・・」
「ふニャーん・・・」
「その割には、そんなに楽しそうじゃないわね?」
その瞬間、堰を切ったように泣き出した。
「うニャ――――――ん!!」
大泣きである。
ぐしゃぐしゃの顔で抱きついてきた。
「うニャ―――ん!!クビになったのニャ~~~~~~!」
「えぇ!?何で!?どうしたの!?」
「藍メソも悪いのニャ―――!」
「えぇ――!?ごめん!!何かしちゃった!?」
「うニャ―――ん!」
あ!
「もしかして、オモチとネコノフに気付いちゃったから?」
「そうニャ―――!それで、ボクたち3匹ともパニックになって・・・。うぐっ・・・えぐっ」
私はマタタビ臭いのも忘れて、ムァを抱きしめて、必死に撫でる。
背中を丁寧に撫で続けるうちに、少し落ち着いたのか、続きを話し始めた。
「ぐす。えぐ。それで・・・。特定の人にしか見せていない人の呟きを、しかも宛先まで間違えて、見せちゃったのニャ・・・」
「ええ!? 3人とも・・・?」
「うニャ―――ん。そうニャー。ニャぜか同じ人の呟きを、それぞれ別の人宛に届けたのだけど、全員違う人に見せちゃったのニャ・・・」
「えぇ~~~~~~!!それ、完全に私の所為じゃないの―――」
「うニャ―――ん! えぐっ!間違えたのはボクたちが悪いニャ。だから、仕方ないニャー」
「ごめん!!!ごめんね~~~!!」
ムァを抱き締め謝りながら、必死に撫で続けた。
「オモチとネコノフが来たら、2人にも謝らなきゃ。本当にごめんね」
「うぐ。ぐす。・・・オモチとネコノフ・・・ぐす。来るニャ?」
「うん。オモチとネコノフは知ってるけど、ちょっと事件があってね・・・」
びっくりしたのか、ムァががばっと体を起こして、こちらを見る。
「ニャ!!ぐす・・・、じ、事件ニャ!?」
「うん」
ムァを撫で続けながら、答える。
「ニャに!?何でオモチとネコノフは知ってるニャ!?藍メソのオトモはムァなのに~~~!!!」
そう言いながら、ボロボロと泣き出した。
「あぁ!ムァ、ごめん!違うの。2人は偶然知っちゃったのよ」
「ニャぁ―――ん!どういうことニャ―――?」
「ごめん!落ち着いて!ほら、さっき、オモチとネコノフに気付いちゃった話あったでしょう?」
「ふニャ・・・」
「あの時に、2人がそれぞれ持ってきてくれた呟きが、からすさんからだったのよぅ」
「ニャニャ!!」
「そう。だから、何となく知らなくもないという程度なんだけど、事件の一部は2人とも知っちゃったのよ」
そこで、昼間、自分がやらかしたドジと事の流れを説明した。
「ニャ!そんニャ!藍メソこそ大変ニャ!」
「ははは・・・。まあね・・・」
自嘲気味に笑うしかない。
「ニャニャニャ」
ところが、まだ涙目のままのムァが、ニヤニヤし始めた。
「これで、ミツもからすさんも、報われるかもしれニャいニャ・・・」
「!??・・・ムァ!?」
口に出したつもりがなかったのか、聞こえないと思っていたのか、ムァは驚いて口を押さえる。
「ニャんでもニャいニャ・・・」
動揺のあまり、“ニャ”率がアップしている。
「何よぅ?何を隠してるの?」
首を振って必死に否定する。
「ニャにも隠してニャいニャ」
ふぅ。
「まぁ、そのうち解るんでしょうから、いいわ・・・」
追及をされなくなって安心したのか、腕の中に滑り込んできた。
そのムァを抱き上げてベッドに座る。
抱きしめたムァをモフモフしながら、私は言った。
「あーもう。からすさんが来ちゃうのも滅茶苦茶恥ずかしいし、どうしたらいいか分からないけど、みんなが来るのも恥ずかしいよぉう・・・」
「ニャ?まだ、覚悟が決まってないニャ?」
トロンとし始めたムァが聞き返す。
「そんなもん、ないよー。だいたい、どんな覚悟よ?」
「ニャー。・・・・・・受け入れる・・・覚悟・・・ニャ・・・」
半分、夢の中のムァが、途切れ途切れに答えるけれど、何を言っているのか、しかも、肝心な所が聞き取れない。
「も――。何を受け入れろっていうのよ~?」
とはいえ、私の所為でついったーアイルーのアルバイトをクビにされてしまって、酔っ払って帰って来たムァに申し訳なくて、それ以上問い詰めたりなんてできなかった。
腕の中で丸くなって、すーすーと寝息を立てるムァを起こさないようにしながら、一緒にベッドに転がる。
「ふぁ。 あー。お魚料理三昧も、おしまいかぁ~」
残念だなぁ、それは。
楽しそうだったからかわいそうだけれど・・・。
にしても、覚悟って何のことなんだろう?
と、それをぐるぐると考えていたはずなのに、ムァを抱いたまま、私も眠りに落ちていったのだった・・・。
不思議集団についてはここで終りますが、お話は続きます。
注:恋愛モードに入ります!
モンハン世界に恋愛話が入り込んでもいいと思う方のみ、ぜひご覧ください!!