試作品集   作:ひきがやもとまち

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以前にもあった『1シーンだけを抽出して書いた話』を会話だけで作ってみました。ガンダムSEEDです。

内容は・・・サブタイトル通りです。それ以外に言いようがねぇ。いや本当にね?
会話だけのため順番とかは特に決めてませんので少し読み難いかもしれませんが、単独で完結している短編連鎖みたいなものですのでお気になさらずにどうぞ。


戦記好きがキラ・ヤマトに憑依転生した場合のお話

VSバルトフェルド

 

「バルトフェルドさん!」

「まだだぞ!少年!」

「もう止めてください! 勝負はつきました! 降伏を!」

「言ったはずだぞ! 戦争には明確な終わりのルールなど無いと!」

 

「戦うしかなかろう・・・互いに敵である限り、どちらかが滅びるまでなぁっ!!」

 

 

『甘えるな! これは子供のやる戦争ゲームじゃない! 現実の人が死ぬ戦争なんだぞ!』

 

 

「!?」

「あなたは一兵士じゃない! 指揮官だ! 敵軍に敗れたときには敗軍の将として果たすべき義務と責任があるはずです! 敵手との名誉をかけた一騎打ちで戦死するような贅沢は許されない!」

「・・・・・・」

「戦争に負けても生きている部下がいる限り、指揮官としての責任は終わらない。自分に付きしたがってきた部下たちの命に対して払うべき責任から逃れることは決して出来ません。

 なのにあなたは、自分一人のちっぽけな自己満足のために義務も責任も、まだ生きている部下たちさえ放置して自分だけ格好良く散りたい気持ちを戦争の理屈で正当化する気なんですか!?

 答えてください! アンドリュー・バルトフェルドォォォォォっ!!!!!!」

 

 

「・・・アンディ・・・」

「・・・・・・敗けだよアイシャ。僕の完敗だ。これ以上やっても見苦しさしか残せはしないだろうからね。

 そんな自分のこだわりに反する死に方をするぐらいだったら、それこそ『死んだ方がマシ』って奴だよ」

 

 

 

 

ラクス人質交渉で、アスランとキラの会話シーン

 

『ザフト軍に告ぐ! こちらは地球連合軍所属艦アークエンジェル! 当艦は現在、プラント最高評議会議長シーゲル・クラインの令嬢、ラクス・クラインを保護している! 偶発的に救命ボートを発見し、人道的立場から保護したものであるが、以降、当艦へ攻撃が加えられた場合、それは貴艦のラクス・クライン嬢に対する責任放棄と判断し、当艦は自由意志でこの件を処理するつもりであることをお伝えする!』

 

「卑怯なっ・・・・・・! 救助した民間人を人質に取る! そんな卑怯者とともに戦うのが、おまえの正義か!?キラ!」

 

「・・・そうだよアスラン! これが、こんな非人道的で腐ったやり方を一時凌ぎのための策として、現場の一少尉如きが独断でおこない実行してしまう・・・これが地球連合軍という腐りきった組織の掲げる正義なんだ!

 『今を生き延びなければ明日がない。撃たなければ撃たれるから』と、いま直面している危機だけに意識を集中し、乗り越えられた後のことは考えようともしていない! 未来を思い煩う苦労をしないから核だって簡単に撃ててしまう!

 そんな奴らの船に僕の友達は乗っているんだ! それが僕が卑怯者たちとともに戦っている理由の全てだ!

 身の危険が迫ったら平然と民間人を人質に取る、そんな連中に生殺与奪件を握られている友達を心配して慰留するのが、そんなに悪いと言う気なのかアスラン!」

「・・・っ! ーーだが、それなら尚のこと俺と一緒にガモフへ来るべきだ! もちろん、友達を一緒に連れてくるぐらいなら構わない! 民間人の数名程度なら俺が父上に頼んでどうとでも・・・」

 

 

 

『中立国のコロニーを宣戦布告もなしに襲撃して崩壊させた無法者集団に属している君が、今更なにを言っているんだ!

 こんなこと、旧世紀に地球で行われていた戦争でだって許されない蛮行なんだぞ!』

 

 

 

「!? ・・・し、しかしあれはオーブが中立の立場にありながら・・・」

「中立国の立場を利用して連合の秘匿兵器を極秘建造していたのは、オーブ側の明確な条約違反だった! 非難されて当然の違法行為だったし、甘んじて報いを受けるべき蛮行だった。

 なのになぜ君たちは正当な手続きの元、オーブを非難しようとしなかったんだ!? それさえ省略しなければプラント理事国は全面的にプラントの支持を表明できたし、正義は一方的にプラント側だけにあったはずなのに!」

「・・・・・・」

「君たちも奴らと同類だ! 自分たちが中立国を攻撃したことで発生した難民たちを満載している戦艦を、『敵国の開発した新型戦艦だから』と諸共に沈めて証拠隠滅を謀ろうとしている! 手段を選ばない戦争犯罪者たちが乗る船ならどちらも大した差があるわけないだろう!?」

 

 

 

 

 

アルテミスの傘で補給を受けにいく途中、キラとムゥとの会話シーン。

 

 

「ーーあの! この船はどこへ向かっているんですか!?」

「ユーラシアの軍事要塞だ。ま、すんなり入れればいいがな」

 

 

「・・・むしろ入れてもらった後の方が危なくないですか? それ・・・」

 

 

「あん? 坊主、そりゃいったい、どういう意味なんだ?」

「ユーラシア連邦と大西洋連邦とが結んでいるのは同盟関係じゃなくて、軍事同盟でしかないと言う意味です。

 自分たちだけの独力では勝てない相手と戦う際に、『敵は同じだから』という利己心から互いに互いを敵にぶつけ合って消耗させ、あわよくば共倒れを理想型として期待するのが同盟ではない、軍事同盟というものなんでしょう?

 『敵の敵は味方』とは言いますけど、それはあくまで敵に単独で勝つ力を持たないからこそ言える言葉です。この船とストライクを見た彼らが変心しないという保証は誰にも出来ません。

 なにより優れた力という物は持ってる人より見ているだけの人たちの方がより強く、都合のいい道具に見えてるように感じますからね・・・・・・」

 

 

 

 

 

オーブ攻防戦前、キラとアスハとの会話シーン

 

「・・・ウズミ様は、どう思ってらっしゃるんですか?」

「ただ剣を飾っておける状況ではなくなった。・・・と、思っておる」

 

 

「失礼ですが、ウズミ様。僕が聞きたかったのはそう言う哲学の話じゃなくて、現実的にオーブが取るべき道、選ぶべき道、平和理念を守るための戦いで歩むことを想定している具体的な道筋についてです。

 たとえば、連合と戦えばいいのか、ザフトと戦えばいいのか。戦う目的としてオーブ一国を守り切れさえすればそれでいいのか、他の国々が支援をしてくれるまで持ちこたえた方がいいのか、最期の一人が死に絶えるまでオーブの掲げる平和理念のために戦い続けるべきなのか。

 そもそも根本的な話として、長期戦を想定しているのか短期決戦を強いるつもりなのか。そこらへんを明確にしておかなければいけないのが一国を預かる者としての責務なんじゃないですか?

 剣を抜いて使うにしても、切っ先を向ける先どころか使い方さえ判然としないままでは僕たちも道を選びようがありません。選べと言うのなら、せめて如何なる道が存在していて選べるのかどうかだけでも教えてもらいたかったんですけども・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・(冷や汗)」




*今更ですけど、オーブってどこがどう中立だったんですかね? 遅まきながら謎に思って悩んでます。

中立国の守るべき大原則
その1:交戦国による中立領域の利用防止
その2:交戦国に対する兵力、兵器、公債等の供給禁止。
その3:交戦国との交通通商は自由だが、戦時禁制品については交戦国は海上で捕獲することが出来る等。

・・・フィクションのロボット戦記モノに現実持ち込み過ぎるのは良くないのですが、さすがに「戦争だから」で許される範囲を超え過ぎてませんかねぇ・・・種は。

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