試作品集   作:ひきがやもとまち

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特に意味はないんですけど、次話を書いてみました。
他の作品で次の話を読んでみたいのが有った場合は教えてもらえると有難いです。
できれば連載作以外で。自覚ある分だけ、心が痛い……


乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった・・・・・・の世界に転生させられてしまった 第2章

 

 皆さん、初めまして♡ 独善臭い神様によって『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった・・・』の主人公に転生してしまった元現代日本の女子高生カタリナ・クラエスでっす♪

 今さっき原点設定だと私が生まれ変わった悪役令嬢カタリナが破滅する切っ掛けになる、ジオルド王子との婚約に気づかない間に合意させられちゃってました♡ 笑顔が素敵なお子様王子にはめられちゃった結果です♪ テヘペロ~☆

 

 ―――って。

 

「・・・・・・ヤバい。物すっごくヤバい・・・・・・このままだと原作ストーリー通りに破滅する可能性が! 大賢者! 原作内での原作ゲームのカタリナ・クラエスの説明を!!」

《解。ただ、私は別に大賢者という名前ではなく―――》

「んなことどうでもいいから説明!説明を!早ようプリーズ! ハリーハリーハリ~~ッ!! 私の命がかかってんだからね! それと比べれば名前の違いなんて些事よ!ゴミよ!取るに足らない小さな犠牲の問題なのよ~~~~!!!」

《・・・・・・わかりました。では『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった・・・』のカタリナ・クラエスと、原作乙女ゲーム『FORTUNE LOVER』におけるカタリナ・クラエスの設定を説明します》 

 

 

 ~~『FORTUNE LOVER』~~

 とある国の魔法学園を舞台に、キャラクターと恋を育む乙女ゲーム。

 主人公のマリアは、光の魔力を持つ平民の少女。15歳になって魔法学園に入学したマリアは、5人の攻略対象と出会う。

 

 1人目は、第三王子の『ジオルド・スティアート』 

 ・・・・・・他、4人。

 

 そしてジオルドの婚約者である『カタリナ・クラエス』

 子供の頃についた額の傷を王子のせいにして束縛し続けてきた。

 嫉妬から主人公マリアに犯罪まがいの嫌がらせを続ける悪役令嬢。

 

 もし主人公マリアが、ジオルドとのハッピーENDを迎えた場合には『追放処分END』

 バッドENDを迎えた場合には、主人公を殺そうとして王子に斬られる『返り討ちEND』

 

 ハッピーで国外追放、バッドで死亡という、悪役令嬢と言うより悪役そのものな扱いを受けている、女の嫉妬は怖いというのは主人公視点でも変わらないことを示す歪みの象徴。 

 

 一方で、『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった・・・』でのカタリナ・クラエスに転生した女子高生は、持ち前の明るさと優しさで攻略対象たち全てを原作主人公からNTRるのに成功し。

 他のライバルキャラである悪役令嬢たちからも好意を寄せられ、本来の主人公マリアからも怨まれることなく大事に思われるハーレム&逆ハーレム同時ENDルートを驀進。

 その行いは他の王族からも『聖女様のようだ』と称えられる完全勝ち組令嬢の道を歩んでいくことになる―――。

 

 

「いや無理でしょ!? 絶対に無理でしょ不可能でしょ!? なにその不可能を可能にして新世界の神になるレベルの完璧超人令嬢は!?

 そんなもん私みたいな、美声でもなければ美形でもない凡人女子高生が同じことやろうとしたら、人生終わるだけでしょうが!!

 って言うか大賢者! アンタ情報盛ってないでしょうね!? 改竄してないでしょうね!? どう考えても悪役令嬢って単語からは想像できないチート主人公に転生して無双してる系の主人公としか思えないんだけどォーッ!?」

《解。そんなことはあり得ません。私は原作の情報のみを伝えるために用意されたナビシステム的存在。嘘の情報をあなたに与えることはシステム的に不可能です》

「く・・・・・・っ、たしかに・・・・・・説得力がある説明な気がするわね・・・」

 

 冷静かつ冷淡な声での大賢者(仮)からの解説を聞かされて、ぐぬぬと呻き声を上げることしか出来なくなる私、カタリナ・クラス8歳。

 いまいち信用しきれないような気もする大賢者(仮)からの話を聞かされたことで、より窮地に陥っている状況を思い知らされた私には、他人には見えない声だけの存在を見上げて天井めがけて怒鳴り続けている余裕はなくなってしまっていた。

 

 どうしよう・・・・・・このままでは破滅は避けようがない。

 原作主人公のカタリナは、そんな完璧超人だったからこそ切り抜けれる選択肢も選ぶことが出来たんだろうけど・・・・・・私に出来ることで回避手段は到底思いつけそうにない・・・いいえ! そう決めつけるのは、まだ早いわ!!

 

「大賢者!! カタリナが原作でジオルド王子との婚約が決まったときに何をやったか、理由を含めて教えてちょうだい! 動機も含めてできるだけ詳しくね!!」

 

 たとえ相手が天才だからこそ出来たことだろうと、凡人でも参考に出来る部分がなにか――1つか1ミリぐらいか1ミクロンぐらいは存在していてもおかしくなくは無い程度にはあるかもしれないはず!! 私は攻略ぼ――もとい、大賢者インターネットから得た最新の攻略情報を信じた上での危機回避を諦めていない現代日本人の精神を持つ女の子!!

 

《解。では原作におけるカタリナ・クラエスがジオルド・スティアートとの婚約直後にとっていた行動を開示します》

 

 

 ――記憶を取り戻したカタリナ・クラエスは、混乱から冷めない中でジオルドとの婚約を了承してしまい、危機を乗り越えるため破滅END回避の作戦会議を開催する。

 その中で、破滅ENDは回避不可能となった際には抗戦もやむ無しとして、剣術を磨き魔力を高める総力戦の準備を進めると同時に、最後まで平和的手段による破滅回避の道を諦めることなく模索し続け、前世知識までもを活用。

 

 農家をやっていた母方の祖母の話を思い出した彼女は、屋敷の一角を借りて畑を耕し、土の魔力を高めるために土との対話するのだと説明し―――

 

 

「それよ! それだわっ! その戦法こそ破滅フラグ回避のため最善の策に違いない!!」

 

 私は断言しながら立ち上がり、ベッドの上に仁王立ちに成りながらも成功確実としか思いようのない見事なまでに完璧な策を聞いて絶賛以外の言葉は思いつかないほどだった!

 

 流石ねカタリナ・クラエス・・・さすがに主人公よ。見事すぎる策に私は戦慄するしかないほどに! 天才的としか呼びようのない見事すぎる奇策!!

 カタリナ・クラエスに転生した現代女子高生・・・彼女こそ、まさにチンキュウ!

 天才軍師チンキュウの生まれ変わりに違いない!! 三国志の軍師だって聞いたことある人が彼女の前世だったのよ!

 三国志あんまり知らないけど、なんかスゴく強い武将の軍師だった人らしいから、チンキュウさんも超強い軍師だったに違いない!!

 

 私はカタリナ・チンキュウの策によって、破滅フラグを必ず乗り切ってみせ―――ッる!!!

 

 

 

 

 

「えっほ、えっほ、えっほ、っと。・・・・・・ふぅ、いい汗かいたわぁ~」

 

 キラキラと輝く水をまいた、屋敷の一角に新設した野菜畑に背を向けて、私は片手で額を拭って泥臭い汗を撒き散らしながら一息吐く。

 今の私がいる場所は、今生のお父様から貸してもらった屋敷の一角に作った畑の前。そこで私は鍬を振りかぶって土を耕し、泥にまみれながらも一生懸命肉体労働に従事している真っ最中だったの。

 

「・・・お嬢様。一体何をされているのですか・・・?」

「なにって、見れば分かるでしょう? アン。私は土の魔力持ちだから畑を作っているのよッ!」

「申し訳ございませんが、お嬢様。まったく言っておられる意味が分かりませんし、根本的に意味不明かと思われます」

 

 背後から、美人だけど無表情なメイドで私が目覚めたときから世話してくれてる『アン』が、少しだけ引いてるみたいな表情を浮かべてジト汗流しながら言ってくる言葉と視線が、地味に痛い。そして辛い・・・・・・辛いんだけど・・・・・・でも我慢よ! コレはやる必要がある愚行なんだから!!

 この際、口実としての理由はテキトーでいいかと思ってたら冷静にツッコまれちゃって痛い子になっちゃうリスクは想定内よ! そうに決まってる! だから私の心は痛くない!たぶん!!

 

 ・・・・・・そう。何故ならコレこそが私が実行したジオルド王子との婚約解消のための作戦。そして原作でカタリナ・クラエスが取っていたという破滅フラグ回避のための名作戦を再現したものでもある。

 

 なにしろ今の私は、農業をするため庭師のオジサンたちに借りた作業着とほっかむり被って、野暮ったい如何にもすぎる田舎者少女そのものな農民ファッション服姿!!

 この姿を見せつけられて、「土の魔力を高めるために畑を耕してます」とかいうアホな理屈を大真面目に言ってこられたら、どんな男だって婚約解消したくなること間違いなし!!

 

 どこの世界に、ほっかむり被ってエッホエッホと畑を耕してる公爵令嬢との婚約を破棄したがらない王子様なんて珍妙な生き物が存在すると言うのだろう!? 否! 断じて否! 実在している訳がない!!

 

 王子様からの婚約を、公爵令嬢から断ったら角が立つし、嫌われるのも不味い。

 だけど相手の方から「思ってたのと違ったからイヤだ」って成った場合には、自分から婚約を言い出してる手前、穏便にことが済んで誰の迷惑にもなることはない!!

 

 カタリナはそこまで計算して、わざとこんな事をやっていたに違いないわ! それ以外に考えられない! だってそれ以外にあり得ないもの! 絶対に不可能よ!

 あんな理屈を本気で実行する人間なんて、たとえサルから進化したばかりだって絶対にありえない!!

 

 さぁ、いつでもお邪魔しにいらっしゃい! 破滅フラグを持ってくるジオルド王子様!

 この私の、華麗にして無様なる農民貴族令嬢ファッションを見せつけて、一瞬にして幻滅されてやるわ!!

 女として情けないなぁーもうコウチンクショウ!!

 

「――あっ! それより一大事なのを忘れてましたお嬢様っ。ジオルド様がお見えになられたのです!」

「ああそう。―――って、ええぇぇぇッ!? ちょ、そんないきなり!? なんで!?」

「なんでってお嬢様がお話を受けられたときに、改めて婚約の挨拶にこられると言っておられたじゃないですか!」

「そ、そういえばそんなこと言ってたような・・・・・・で、でもまだ心の準備が・・・・・・って言うか、なんでそれを最初に言わなかったのよアン!?」

「いえまぁ・・・・・・お嬢様のお姿を見せつけられて思わず思考と心が止まってしまって・・・申し訳ありませんでした」

 

 くぅっ!? こ、こんな副次的な効果がこの服にあったなんて・・・ヨソウガイだわ!!

 と、とにかく計画そのものは問題なく矛盾もきたさず順調に進んでいるのだから慌てることはないわ。まだジオルド王子も私が来るのを待ってくれてるみたいだし、まだ慌てるような時間じゃない。大丈夫、ダイジョーブ、まだ間に合―――

 

 

「カタリナ・・・様?」

 

 

 ――まだ間に合ってなかった~~~っ!?

 既に現地にまで足をお運びで到着していらっしゃる!!

 

「OH・・・・・・(ガクリ)」 

『お、奥様ッ!?』

 

 そして一緒に来てたお母様にも巻き込まれダメージが! これで今晩のお説教は確定ね!

 記憶戻ってから数日だけでキツいこと増えるようになってきてたのに! 想像するだけで私も今から気絶したい!!

 

「えっと――こんにちは、カタリナ様。お庭で魔力磨きの訓練をされているとお聞きして、拝見させて頂こうと思ったのですが、何をされているのですか?」

 

 そして目の前で婚約者の公爵令嬢が、貴族としては恥態を晒し、背後では公爵夫人が娘の醜態で気絶したのに見向きもせぬまま、爽やかに邪気のない愛くるしい笑顔を浮かべて、恥ずかしい格好をしている理由を聞いてくる攻略対象の王子様・・・・・・。

 

 腹黒ドSからの恥辱プレイを、年下少年から強要されちゃう自業自得な年上のはずな私。

 優しげな笑顔ではあるけれど・・・・・・悪魔の微笑みとしか今の私には思えない・・・・・・。

 

 

《告。攻略対象のジオルド・スティアートの設定を提示します。

 【性格:腹黒】

 【得意技:作り笑顔・威嚇】

 【特技:天才肌なので何でもこなす】

 という笑顔で意地悪をいうのが得意なタイプと見て良いでしょう》

 

 

 いや、言えよ!? そういうことは早く言いなさいよ!? 大事な情報を土壇場になるまで伝えないナビシステムなんていらないんだけどぉ!?

 えぇーいクソぅ!! こうなるとは思っていなかったけど、こうなってしまった以上は仕方がない。

 私は全てを開き直って、正直に全ての行動目的と理由を説明することを決意した。

 

 破滅フラグ回避という大きな目的を成し遂げるためには、小さな犠牲はつきものなのよ! 人は何かを失うことなく何も得ることは出来ないの! あるいは、誰かを傷つけるかしないと無理! 私はその真理をエルリック兄弟から学んだ! 自分が殺さないだけで結局は敵が死ぬ!! それが真理の扉なりッ! 

 

「ごきげんよう、ジオルド様。わざわざ、こんな所まで足を運んで頂き申し訳ありません。これは魔力を磨くために、私の魔力の源である土と対話する私が考案した修行法なのです」

「・・・・・・えーと・・・・・・土と対話する修行なのですか? 農作業で・・・?」

「はい、土と対話するためには畑作りが一番かと思いまして。それでまずは形から入ろうと、このような格好をして畑を耕しておりました。どうでしょうジオルド様、似合いますでしょうか? ファサ~」

 

 髪をかき上げながら、なんかお嬢様っぽく見えるような気がしなくもない仕草で、【私キレーよアピール】してみる私。

 どう考えたって、この格好で綺麗に見てくれる男の子はいないだろうけれども。でもいいの、コレは婚約解消を引き出すための策なの、道化なの。

 

 私は目的のために生きるために――恥よりも生を選ぶ女なのよッ!!

 

「・・・・・・土と対話・・・・・・畑作り、で土と対話して・・・・・・わたし綺麗・・・・・・」

 

 と、一生分の恥を晒す覚悟をして出し切っていた私の眼前で、ジオルドはしばらくの間うつむきながら譫言のように何事かを呟き続けていて、何言ってるのか分からなくて近づいて聞き取ろうとした瞬間。

 

「そうでしたか☆ 斬新な修行法ですね、さすがはカタリナ様です♪」

 

 と、いきなり顔を上げて「ニコッ♪」と邪気が全くない笑顔を浮かべながら言い切られてしまって、逆に私の方が後ずさり。

 うう・・・これほど邪気のない爽やか笑顔を見せつけられると、私からは何も言えないわ・・・・・・「さすがカタリナ様」の部分が褒めてるのか嫌味だったのかなんて、今さら聞けないこの状況! ああ、気になる~~!?

 

 屈辱と恥辱と不完全燃焼でモンモンとした気持ちを抱えながら、年下の子供に弄ばれて言い負かされた気がして気になる、小物臭いプライドとの間で激しく葛藤する私!!

 

 

 ―――そんな状態になってたからなんだろう。

 また私は、同じ過ちを犯してしまった原因は、きっとそれだったのだと後になれば理解できる・・・。

 

 

「カタリナ様、本日は正式なご挨拶に参りました。このような場所で不躾に申し訳ありませんが、前回お話しさせてもらった私との婚約、お受けして頂け“ますよね”?」

「ふぇっ!? え、あ、はいッ!!」

 

 なんか今、脅迫されたみたいな語尾が!? 最初のあたりは良く聞こえない声で言われちゃってたから分かんなかったけど、最後の部分だけが! 語尾が! 文末の部分が!!

 醜態晒したばっかりで見逃してもらった直後の女の子にとって、致命的すぎる脅迫の文言が入っていたような無かったような~~~ッ!?

 

「よかった。それでは今日より婚約者として、よろしくお願いいたしますカタリナ様」

 

 そう言って跪いて私の手を取って唇を近づけて、まるで映画の1シーンみたいに「チュッ」と軽くバードキス。

 

 

 

 

 ・・・・・・またしても、やってしまった私―――――ッ!!!???

 

 

 周囲からは「おめでとうございます」「おめでとうございます」と使用人たちが万歳三唱ムードに包まれる中、ジオルド王子は爽やかに腹黒く笑って去って行って、私一人だけが絶望のあまり畑の中で恥態を晒しながら呆然と立ち尽くす羽目になる・・・・・・

 

 おめでたくないわよ! 全くおめでたくないわよ! って言うか、さっきまでの光景見てて何でおめでたく思えるのよ!?

 

 ほっかむり被った農民服の貴族令嬢と、将来有望そうな王子様の正式婚約に少しは疑問持つヤツ出てきなさいよ――っ!!

 サブキャラでいいから言う人出てきてください!! お願いしまっす!!!(血涙)

 

 

 

つづく

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