前話が上手くできなかったので、今度の話ではリアルな乙女ゲーマー的な話にしようと意識したせいで遅れたんですけど……あんまり今回も、そんな感じにできなかったのが悔い…。
原作の話内容と相性悪いってのもあるんでしょうけど、未熟さを痛感中。ネタが合う場面をもっと増やさねばと決意中。
この緩い乙女ゲー世界に生まれ変わってから十数年、モブキャラとして入学したゲームの舞台であるお見合い学え――もとい、魔法学校も一学期が終わろうとしていた。
クラス内からも徐々に結婚相手が決まった同級生たちが現れだし、優良物件は次々と奪われ、まだめぼしい相手を確保できてない者達は残った余り者の中から少しでもイイ条件の相手を見つけ出そうと躍起になり始める。・・・・・・そんな時期。
今日は、そんな【友情END】で学園卒業したくないと焦りを濃くした生徒たちが、今学期最後の望みを託したパーティー会場へと集まってきていた。
『このパーティーで、恋人を見つけた辺境貴族もいるらしい・・・チャンスだぞッ!!』
『『応ッッ!!』』
兄君くんたちも奇声――もとい、気勢を上げて今期最後の婚活へと果敢に挑んでいく予定のようだった。
その姿に妹である私は共感を感じさせられ、やはり兄君くんと自分がこの世界では血の繋がった兄妹なのだな・・・と改めて実感することとなる。
――ある意味で、乙女ゲーにおける真のBADは【友情END】だからな・・・。
本来のBADは意外に面白いの多いし、本性剥き出しにして輝きを増す攻略対象とかたまにいるけど、友情ENDはほんとうに何もなく無難に終わりを迎えて、他の女と結ばれてたりする時たまにあるし・・・・・・あのときの闇落ちしかけた自分のダークサイドを私は生涯忘れることはないだろう・・・。
まぁ中には、スゴク冒険者らしいBADを迎える乙女ゲームなんてのもある訳だが。
兄君くんたちが選択肢選び間違えて、そんなルートに入らないことを妹として素直に祈っている兄想いで出来た妹の私は今日もこうして面白イベントが置きそうな場所を見物しに、もとい遊びに来ているのであった。
婚活にも男にも用はないが、面白イベントとか三角関係でどろぐちゃイベントとか、R指定が入りそうなマニアック性癖イベントとかのフラグかもんかもん。
「わ、私みたいな平民の娘が本当にこんなパーティーにまで参加させていただいてよろしかったんでしょうか・・・? なんだか皆さん、今日はいつもより怖い気がするんですが・・・」
「それはまぁ、『辺境貴族でも恋人を見つけたことがある』と噂されているパーティーだからな。
学校で相手が見繕えなかった者達から、『溢れ者でも女が見つけられる場所に来てる女』という扱いを受ける訳だから、そりゃ怖いオーラの一つや二つぐらい発したりするのではないかな? しかも実際に男欲しいから来てる訳だし」
「そ、そういう受け取られ方をしている人は、その・・・あんまりいないんじゃないかと思いますけど・・・・・・アハハハハ・・・」
そう言って誤魔化し笑いを浮かべながら話と視線を逸らしてくる、他人とぶつからないよう気を使って八方美人タイプな気弱原作主人公のオリヴィア女史。
正直、主人公としてプレイする時には優柔不断っぷりが苛立つだけのタイプな少女だったのだが、現在ではギャルゲーの攻略ヒロインみたいな立場にジョブチェンジしかけてる状態にあるからな。
乙女ゲー主人公として自分がプレイする分には無しな相手だが、ギャルゲーの攻略されるヒロインの一人としてモブの友人になる分には有りだ。OKだ。面白い。
「マリエ、ドレスはどうした?」
「え、えっと・・・・・・用意できなくて・・・。うちは実家があまり、裕福じゃないですから、その・・・」
「――そうか。だが、豪華なドレスよりも、その方がいっそ清々しく感じるな。ドレスは今度、仕立てに行こう。俺と一緒に」
「~~っ、は、はいッ♪」
「・・・・・・・・・」
そして、コチラはコチラで分かりやすい悪役令嬢に嫉妬されている、婚約者の王子様と仲がいい気弱そうな貧乏貴族令嬢キャラの組み合わせが同じ会場内で1セットに。
モブ女子の一人でしかない吾輩などは眼中にないのか、背景の一部として近くで見物してても特に何の問題もなかったが・・・・・・コッチはコッチで王道展開で結構なことではある。
フィクションの定番で考えるなら、柱の陰からソッと二人を見つめて、悔しそうに小さく唸っているアンジェリカ女史こそが恋のお邪魔虫確定なところだが、この緩い乙女ゲー世界では緩さに相応しく王子くんの方にも問題ありすぎてるので微妙なところだ。
――親の決めた関係とは言え、婚約者がいる身で公式のパーティー会場にきて婚約者ほったらかしのまま、学園内で見繕った下級貴族の娘を分かりやすく贔屓するとか、フライデーされたい願望あるとしか思えん問題行動しまくりだからなぁ・・・。
この世界にいるかは知らんが、パパラッチに狙われまくったりとか怖くないのだろうか?
ゴシップ好きの奥様方の話題を賑わす性的スキャンダルを乱発して、最終的には一国の王子が愛人との関係で思い悩んだ挙げ句―――そんな結果に至らないことを素直に祈る。
巻き込まれたくないし、面倒くさいし。
「では、行こうかマリエ。今日のパーティーでは、俺と過ごしてくれる約束だったからな?」
「は、はい殿下! 私なんかでよろしければ、ご一緒させていただきますっ☆」
「~~~ッ!! 殿下っ! その破廉恥な娘について、少しお耳に入れたいことが!」
・・・・・・と思っていたのだが、何やらオモシロもとい、見応えのあるイベントが始まりそうな流れになってきたので、やっぱりリバースして元の位置に戻り、近くから見物させてもらう道を選ぶことにさせて頂く。何事も臨機応変なのは重要だ。
「え?え? あ、あの方は、アンジェリカさん!? レインさん! こ、これは一体どうなって・・・っ」
「吾輩にも分からん。事情がよく飲み込めないが・・・・・・ただ兄君くんの力が必要になるかも知れないから呼んできてもらえるだろうか?
なぜ兄君くんが必要になるのか、その力とは何なのかは分からないのだが・・・・・・だが今この場を解決するためには兄君くんの力が絶対に必要だ! 君なら分かるだろう? オリヴィア女史!!」
「は、はい! そうですよね、リオンさんは凄いですものね! リオンさんなら絶対なんとかしてくれます! 私、リオンさんを探してきますっ!」
「ああ、任せた。我輩は兄君くんが来たときに報告するため、一部始終の状況を事細かにチェックしておこう。頼んだぞ? 大至急で急いでな?」
「はいっ! リオンさーん! 大変! 大変ですーっ!!」
タッタッタ!と兄君くんを呼びに行くため駆け去って行くオリヴィア女史。
本来の主人公にパシリを任せてしまって申し訳なく思う気持ちもないことはない程度にはあるのだが、今は吾輩の純粋なる好奇心の方が優っている状況だったので致し方ない。
後日に高級ケーキでも奢って誤魔化させてもらうとしよう。それでチャラだ。
しかしまぁ、こればかりは何と言うべきなのか――
「またか、アンジェリカ・・・・・・。もうお前の話は聞きたくないと言ったはずだが・・・」
「いいえ! お聞きください! 殿下は、その女の本性を知らないのです! その女が殿下の見ていないところで何をやっているのかお聞きになれば、目をお覚ましになることでしょう・・・っ!」
こうして言い合っているアンジェリカくんとユリウス王子の婚約者コンビと、嘘か誠か気弱アピール演技なのか間に立って狼狽えているマリエくんという三角関係を見ていると、つくづく思わざるを得ないものである。
――他人同士のケンカだからこそ、見ていて面白いものだなと♪
我が事だったら全く笑えんだろうが、他人事の間は人間にとって、種族的な愉しみとして他人のケンカは見物してて面白いもの☆
だからこそ、ギャルゲーでも乙女ゲーでも攻略対象や主人公を取り合うキャラたち同士のもめ事は絶えず、乙女ゲーの悪役令嬢だったら破滅した後に悲惨な末路を辿らされるENDがなんか人気が出やすいものなのだ。
他人同士の痴情のもつれで流血沙汰で決着して、敗者の屍の上に幸福な結婚生活を築く、昼ドラ並みに女の欲望ドロドロ丸出し展開が私は好きだ。
悪趣味と言われるだろうが、女だから女の欲望丸出しなのは仕方がない。女には女の性と欲望がある。そういう風に男も女もできているのだよ、腐腐腐腐腐・・・・・・。
「地方の男爵家? お呼びじゃない」
「鏡見て出直してきなさいよ、図々しいわ」
「最低でも子爵家狙いなの。もっとマシな男に生まれ変わって出直してくるのね」
『『『へぶ~~~っし!?』』』
勇気を出して挑んでいった、会場内でもそれなり以上に見た目は可愛い女子たちにアタックしていったところ、敢えなく玉砕してボロ雑巾のように捨てられて見下される俺たちモブ男子生徒たち三人組・・・・・・。
「あっはっは! ダッサ。イモ男子たちにはお似合いの姿だわ」
「イヤよねぇ~、底が浅いのよ底が。王子たちとは大違いね」
『『『オ~~ッホッホッホッホ♪♪♪』』』
・・・そして勝利の高笑いと共に去って行く相手と、虫ケラのように放置されて置いていかれちまう羽目に・・・く、くそぉ・・・。
俺たちは・・・踏み台・・・か・・・・・・。
「な・・・なんか、もうイヤだ・・・」
「女子が・・・気持ち悪く感じる・・・」
一緒にボディガードの男に(イケメン)張り手くらって倒されちまってたレイモンドとダニエルの呻き声が上から聞こえる。
かわいそうに・・・緩い乙女ゲー無理やりコンプさせられたせいで耐性ついてる俺と違って、トラウマにならなきゃいいんだが・・・・・・あと重いから邪魔だどけ。積み重ねられたモブザコの一番下はけっこう重量キツイんだよ。
―――とか思っていたところ。
「あ、いました! リオンさん! 大変ですリオンさ~んッ!!」
「・・・ん? オリヴィアさんか・・・?」
なぜか慌てた様子で俺の名を呼びながら走ってくる原作主人公の姿に訝しみつつ、俺はそれほど大事とは考えていなかった。
なにしろ今はまだゲームが始まってから一学期めが終わろうとしている直前の時期だ。大したイベントを起こせるほど、ステータスも上げれるほどゲームスタート時から時間経ってる頃合いじゃない。
・・・・・・もっとも、この緩い乙女ゲーム世界には緩さに相応しいイベントとして、エアバイクだの空飛ぶ戦艦だの戦争だの、挙げ句の果てにはパワードスーツ使った決闘をRPG方式でやんなきゃいけない展開だのも存在している訳じゃあるんだが・・・・・・そういうのは話進んでから起きるイベントだしな。
しかも決闘に至っては、悪役令嬢のアンジェリカさんからオリヴィアさんに挑まれて、その時点で一番好感度高いキャラが代わりに受けるって流れになってたのがイベントの内容だ。
どー考えたってゲーム開始から2、3ヶ月ちょっとで起きれる展開じゃない。だから大丈夫ダイジョーブ。
まだ、モブの生活揺るがすような大したイベントは起きるかもとか、慌てるような時間じゃない―――
「大変ですリオンさん! 大変なんです!!
アンジェリカさんがマリエさんの事で、なにか殿下に伝えたいことがあるらしくって・・・・・・スゴい勢いで、決闘を挑んでもおかしくないくらい剣幕なんです!!」
「――って、はぁッ!?」
そう思って高をくくってた時期が俺にもありました。・・・だが今はもう関係ねぇ!
クソッ! 何でなんだ!? もの凄く展開早ぇじゃねぇか!
誰だよ!? こんな時期に大きなイベントなんか起きるはずないなんて言って油断してたバカ野郎は!!
「分かった、すぐ行く! 案内してくれオリヴィアさん!」
「は、はい! こっちですリオンさん!!」
予想を裏切る展開に、慌てて現場へと到着した俺たちは、予想通りと言えば予想通りだった、見覚えのある意外な展開が繰り広げられている真っ最中でのことだった。
「どうして解って頂けないのですか!? 私は殿下のために申し上げているのです!!」
「お前の話は聞くに堪えない。それだけのことだ・・・」
周囲を取り巻きや野次馬の男子女子たちに囲まれている輪の中で、アンジェリカさんが激し勢いでユリウスに向かって何かを主張していて、ユリウスは他の攻略対象たちと一緒にマリエの前で一列に並んだまま、片手をあげて恋人っぽくマリエのことを守っている。・・・ようにも見える姿勢で、なんか悪役っぽいセリフを吐いている。
なんかセリフ聞いてるだけだと、ユリウスの方が『悪のライバル王子』っぽく見えるシチュエーションなんだけど・・・・・・原作だとこんな感じだったっけ? 微妙に配役違うような気が・・・。
「ああ、来たようだね兄君くん。見るがいい、アレが世に言う『修羅場』というヤツだ。
――見ていると、心穏やかになる光景だろう・・・?
無関係な他人同士のいがみ合いを、ただ見ているだけの観客ポジションで見物できるほど楽しい気持ちになれることは多くない・・・・・・出来れば、このままリアルキャットファイトとかやってくれないものだろうか?
愛する男を、拳と拳で自分だけのモノにする美少女って良いと思うのだ」
「レイン、お前の歪んだ趣味趣向とか性癖とかは、この際どーでもいいから状況を説明しろ。・・・・・・何があった?」
そして先に到着していた妹と合流。
俺と同じ原作知識持ち転生者で、条件同じはずなのに見ているだけで何かする気0%以下としか思えない相手の反応には目もくれずに無視して説明だけ要求して流すことにしておいた。
こいつ昔っから、ドロドロぐちゃぐちゃの愛憎劇とか好きすぎるヤツだったからなぁ・・・・・・。結果次第では、俺たち兄妹も巻き込まれるかも知れないってのに・・・まったく。
まぁ俺も、自分と関係のない他人事だったなら話は分からなくもないっつーか、賛成できる部分が9割ぐらいある良い趣味だと思わなくもないんだが――今はそうじゃないかも知れないからな!
巻き込まれないようするため、詳しく状況を把握することが絶対的に必要だ! それぐらいの分別はつけれるようになって欲しいものだと兄として思う。
「ふむ。兄君くんたちが思ったより早く到着したので、まだそれほど話が進んでいないのだがね・・・・・・今までの話だけを要約すると、マリエ君がユリウス殿下以外の取り巻きメンバーたちの誰かと“手を繋いでいる所を見た”という事だった。
そして、それを以て“殿下以外の男と浮気だ”――と騒ぎ出したというのが経緯だよ」
「はぁ? ただ“手を繋いだだけ”でか?」
「全くだな。悪役令嬢のくせに、初心で時代錯誤なツンデレヒロインみたいな展開だろう?」
そう言って肩をすくめて、人様のことを勝手にラブコメキャラに置き換えて解釈しちまうゲーム脳な妹。
いやまぁ、解るけどな。たしかにツンデレ女騎士とか武士娘とかのキャラで見かけやすい展開だと俺も聞いた直後に思っちまったけれども。
実際問題、付き合ってる相手以外の男子とも手を繋ぐぐらいだったらおかしくないっつーか、ゲーム中は本命以外の攻略対象とも定期的にデートはしとかないと嫉妬イベント起きて本命からも嫌われちまうのが恋愛ゲームだしな。
その中の1シーンを見られたぐらいだったら、この乙女ゲーに限らず恋愛ゲーム全体でも多分問題ない程度の話なんだろうきっと。
「で? それに対する王子たちの反応は・・・?」
「ああ、それは――」
「フッ・・・なにを今さら。それくらいのことは皆すでに知っている」
レインが俺からの気になっている質問に対して答えるより先に、攻略対象たち自身の一人が正解を教えてくれたのだった。
こういう所だけは、ご都合主義で楽にできている緩い乙女ゲー世界なのが、この世界の法則なんだよな昔っから・・・。
「なっ!? し、知っているって・・・・・・その女が、お前たち全員にしていることを・・・?」
「それがどうした? 私は彼女に悩みを聞いてもらって救われた。だから彼女を守りたいと思った。それだけだ。男として一体なんの矛盾があるだろう?」
若き剣豪で伯爵家の跡取り息子でもあるメガネ男子『クリス・フィア・アークライト』が、片手でメガネを「くいっ」と持ち上げながら理屈っぽくアンジェリカさんに言いきった。
見た目だけなら、まぁ格好いいと俺も思わなくはなくはないんだが・・・・・・
「ふむ・・・“それぐらい知っている”・・・か。どこまで知った上で言っていると思う? 兄君くん。
中身チキンな紫髪ナルシーと、図書室で密かに舌と舌で繋がり合う関係だということまで知った上で言っているという意味なのかな?」
「・・・・・・なんでお前が、それ知ってるかは今は置いとくとして・・・・・・まぁ多分、知ってるんじゃないか?
アンジェリカさんが古風なだけで、今時キスぐらいはしてるヤツ多そうだし、クラスメイトにも婚約し合った女子がいる世界なんだし・・・」
「なるほど・・・・・・だとすると、自分たちは相手の女が別の男とベロチューし合ってても気にせず付き合い続ける、ただれた関係だと言いたいという事なのかな?」
「いや、流石にそこまでは・・・・・・って言うか、もう少し表現に配慮しろや女子高生」
「べ、べろチュって・・・!? は、破廉恥です! 破廉恥すぎますよレインさん! エッチなのはいけないと思います!!」
そして、ここにもいた古風な女子のオリヴィアさん。
そんな感じにピュアで古風な『不純異性交遊』とか言い出しそうな男女の恋愛観持ってる原作主人公ちゃんに対して、本来は彼女に攻略されて『決闘イベント』での代理人役を果たしてくれるはずの攻略対象たちの方はと言うと――。
「ハッ! 屁理屈が多いんだよ、お前は。素直に『好き』と言えばいいだろうが。
俺なら言うぜ? “マリエのことが好きだから守る、それだけだ”ってな」
「ふふ、マリエは素敵な女性だからな。好きになるのは当然だ。無論、この僕もね」
「そうですね。けれど、彼女を一番愛しているのは私だと思いますよ? フフッ」
とか爽やかな口調で口々に『自分の愛』について偉そうに語ってくる始末。 かー!
うるせぇうるせぇッ! キザで嫌味で偉そうなイケメン連中マジうぜぇ! 超ウゼェ! 相手が王子で俺が下級貴族じゃなかったらマジで喧嘩一択だったなコイツらはさぁ!!
こいうのが女子共は好きとか全く理解できなかったが、今ならレインが『キャラとしては好きだが現実にいたら通報かフルボッコ』とか言ってた気持ちが半分ぐらいは理解できるぜ! させられてるぜっ!!
しかも!!
「・・・熱烈な愛の言葉の数々だったが・・・・・・これだけ言ってくるイケメンたちに囲まれたままということは、誰一人選んでもらえず、平等な扱いで距離置かれていると言うことなのか・・・・・・。
互いの愛情に差がありすぎるというか、好感度が一方通行過ぎている関係っぽさが半端ないな・・・」
妹の解説によって、俺が思ってた以上にヒドい奴らだった設定に変わっていく攻略対象王子たち。
何だよ、それ・・・もの凄い『尽くし過ぎる系のクズ』っぽいじゃねぇか。
誰だよ、こんな片思いの残念イケメン共を、キザで嫌味でイケメンなんて思ってたバカ野郎は。どう見たって貢がされまくった後に捨てられる都合の良い男でしかありえねーじゃん。
しかも、挙げ句の果てに。
「いや。マリエを一番愛しているのは――この俺だっ!!」
キャ~~~~~~~~~ッッ♡♡♡♡
と、この国の王子さまであるユリウスがとりを飾って、広間の中央で愛を叫んで女子たちから黄色い悲鳴を上げられまくる、金持ち息子のイケメンだからこそ許される展開になる始末。
バカか、コイツは? あんな女のドコが良いと思ってんだよ。
婚約者ほったらかしで、別の女とイチャついてるから今みたいな騒ぎが起きてるとか考えない訳? 実はロリコンなんじゃねぇの? この王子の好みって。マリエの見た目的に、それぐらいしか惚れる理由思いつかねぇ。
「つまり、自分が一番愛しているのに、他の男たちと扱いが同じなわけか。
ぶっちゃけ彼が一番、愛が報われていないのではないかね?
これ系の告白セリフはゲームで見る分には絵面的に良いのだが、現実で言われるの聞かされると、愛が重すぎる男にしか見えんかったし・・・」
そして再び妹からの、夢がなければ愛もないユリウス感想。
・・・ゲームやってる時には、言われる側を操作してたから気付かなかったけど・・・・・・改めて言われて考えたら、重いな。今のユリウスの台詞って・・・。
公衆の面前で、他のクラスメイトとかも見ている前で愛の告白を大声でって・・・・・・俺だったら罰ゲームとしか思えんレベルだったわ・・・。ユリウスからマリエへの愛が一番重い。マジ重い。
「・・・殿下。そのお言葉は、その女との関係を在学中の遊びで終わらせる気はないと言うことですか・・・? 本気でその女と卒業後も一緒に居続けるつもりでおられると・・・」
「ああ、そうだ。俺にとって掛け替えのない女性はマリエだけだ。――お前ではない」
「――くゥ・・・ッ!!」
そして、悔しそうに歯噛みしながら、ユリウスからの一方的な拒絶の言葉を聞かされるアンジェリカさん。
屈辱によるものか嫉妬によるものなのかは分からないが、アンジェリカさんの身体がプルプルと小刻みに震えている。怒りを抑えきれなくなっているのが見ているだけの俺でさえ分かるほどに。
更に彼女の怒りを加速させるように、周囲から無責任な野次馬たちからのヒソヒソ話が、あからさまに本人にも聞こえるような声量だけしか抑えないで、悪意も露わに拡散し始めて彼女を追い込みだす。
『きゃー☆ これって婚約破棄じゃない?』
『王子様から見放されたんじゃ、侯爵令嬢様も終わりねぇ~』
『クスクス♪ 惨めすぎるわァ~。もっと無様を晒せば良いのに♡』
「~~~~~ッっ!!!」
周囲からの悪意に晒されて、アンジェリカさんの身体の震えが大きくなる。
そんな中、俺の見ている前でアンジェリカさんの右手がゆっくりと『自分の手袋』へと伸ばされていく。
俺の隣でレインが肩をすくめて他の女子たちとは違う話題を、小声で口にするのが耳に入った。
「・・・やられたな。既成事実化されてしまったようだ。
互いの親同士である国王と公爵との間で決まっていた婚約者の許嫁を、王子とは言え七光りでしかない息子程度の権力で破棄できるはずもないと高をくくって見物していたが・・・これだけ多くのVIPたちの前で宣言されたのでは無視するのは難しい。
これでは侯爵令嬢の自滅がなくても、婚約破棄が可能になるかもしれないな。
お坊ちゃまに見えて意外と王子様も、政治工作ができるタイプだったようだ・・・・・・さて、どうしたものか――」
つづく