他作品で使ってる作者のオリキャラも幾つか流用してますが意味はありません。ネタです。
今後はオリジナルも書けるなら書いてみたいものですが…。
時は現代日本、令和××年。世はまさに乱世である。
高まる下克上の機運―――平凡な少年や落ちこぼれの学生が、並み居る天才たちを圧倒して天下を奪い合う物語に人々は熱狂し、正義のヒーローに選ばれ力を得た弱者によって開かれた戦端は忽ち全国を席巻して勢力図を塗り替えていく。
人々もまた、復讐の虚しさを語り、主君の仇討ち物語を非難しながら、弱者を虐げる強者への仕返しを肯定し、周囲に合わせぬ者を吊し上げる脅迫には自業自得と賛意を表す。
神も仏もなく、正義や信仰も否定され、ただ己の力のみを絶対と信ずる弱肉強食の理のみが現実論として尊ばれる。――そんな時代。
片田舎の町の片隅でも、誰からも見向きもされない路地裏で、また1人。
「・・・だ、大丈夫だった・・・? もう危機は去ったから・・・ね・・・」
「あ・・・あの・・・っ、どうして私なんかのために・・・っ!? こんな事して、自分が死んじゃったら意味ないじゃないですか!? そんなのって・・・ッ」
「フフフ・・・そう、だね・・・。でも今回は確かに、あなたの言う通りだった・・・かも・・・もう私には、みんなを守ることが出来そうに・・・ない・・・・・・」
「そんな!? そんなの、私・・・どうしたら!?」
「おね・・・がい・・・。あなたには才能が、ある・・・。私の力を受け継いで・・・みんなを守っ、て・・・・・・私の代わり・・・に・・・・・・おね・・・が・・・・・・」
「ジャスティルン!? ねぇ目を開けてお願いだから! ジャスティルン! ジャスティルーンッ!!!」
役目を果たし、光となって消えていく少女の力と遺志を受け継いだ少女が、新たな魔法少女として世界に誕生し―――己の尊ぶ平和思想によって統一された世界を手にせんと欲し、戦国乱世の現代日本に野心と理想の旗を掲げて名乗りを上げる。
時代は現代日本、令和××年。
『己の求める平和』こそが『真の平和』であると信ずる強者たちが、互いの信念と平和を理由にぶつかり合う時代。世は戦国乱世である。
・・・・・・その場所は、日本の某県某市の地下に造られた、薄暗さと闇に包まれた、不必要に広い空間でした。
「この世界は―――腐っているッ!!」
バサァァ!!と、悪の総帥らしい冷酷そうな美形の青年が、ゴテゴテした装飾過剰で復古主義的な服を着た姿で玉座っぽい椅子に座りながら、悪の総帥っぽいセリフを叫んでいます。
「だが今の世において、悪などどこにでも無数に存在しているもの。
悪の汚職官僚、悪のイジメ自殺追い詰め学生、悪のイジメを無かった事にする保身学園。
この国は既に悪で満ちているのだよ。わざわざ我らが征服するまでもなく、ね・・・・・・フハハハッ」
「・・・・・・まぁ、仰る通りかもしれませんが・・・」
なんとなく正しいこと言ってるような気もすれば、悪の判定範囲が狭いような気もしなくはない、自分の主張が正しくなる部分だけ語って範囲外は度外視する、要するに悪役らしいセリフを演説してくれた上司に対して―――幹部の一人である私は意見具申を申し上げます。
「で―――結局のところ、具体的に何やればいいんです? 私たちの今回の任務って・・・」
そう、それこそが問題となる部分でした。って言うより、それ以外の部分はどーでもいい部分でした。
悪の幹部程度の身分では、組織の理念とか総帥の世界観とか大して重要でないヤツも結構多く、報酬目当てやら戦えれば何でもいい奴やらが結構いる一般的な悪の結社がウチなもんですから。
「ふむ、まだ前振りの途中だったが・・・・・・せっかちだな。田中くんは」
「仕事中ですので。――あと、悪にスカウトした後の姿で本名呼ぶの辞めてください。
身バレしたせいで、プライベートの人間モード時に《SADDO》からヘッドショット狙撃されて、テロ被害者ってことで処理されたら嫌です」
「フフフ・・・最近では日本の警察も凶暴だからね。良かろう、今回の任務を発表する。
―――それはッ!!」
「ひ、ひひぐぅっ!?」
バサァッ!と再びマントを翻しながらも、一度は冷静に声量落としてから大声で叫び直す、演出感タップリの命令出し方を見せつけられ。
ソレ見た瞬間に、私の隣で「ビクゥッ!」と怯えたみたいに身体を震わせ、涙を溜めた瞳で自分たち全ての総帥を見上げている同僚に、チラリと目を向けてから私も向き直り。
「今回の作戦では―――久しぶりに現れた、新たな魔法少女の戦力分析をおこなうものとする。
前回の作戦によって、長年の宿敵としてブラックリスト上位にあり続けてきた正義ヒーローを抹殺することに成功した我らだが、その際に派遣していた討伐隊は相打ちにより全滅。死体の確認までは出来ていなかった訳だが・・・・・・案の定、ヤツは死ぬ間際に自らの力を他者へと託し、自らの死後も戦いを継続させたようだ。
レーダーに、奴と同じの魔力波動が感知された。つくづく往生際の悪い・・・・・・正義の魔法少女の亡霊がッ!!」
「ひ、ひぐう、う・・・っ!?」
ダンッ!!と拳を玉座の肘掛けに叩きつけ、大きな音を響かせながら――またビクッと怯える同僚幹部の女の人。
「ふぅ・・・まぁいい。此処で言っても詮無きことだからな。その為の今回の作戦用に用意してもらった改造モンスターでもある。
科学局総監ドクター・ドロップ博士。例のモノは完成しているのだね?」
「ひ、ぅっ!? は、はい、ぃ・・・・・・ちゃんと出来てる、と思いま・・・す・・・・・・(ビクビク、びっくんびっくん、ガクガク・・・)」
・・・・・・もはや悪の幹部って言うより、悪に怯える無力な一般市民の方が向いてるとしか思えんレベルの臆病っぷり・・・。
一応は悪の女科学者幹部らしい服装として、レオタードとか背中開いてるとか、色々と悪女らしそうな要素を加えたデザインの姿形はしているのですが・・・・・・しているのですけれども。
そういう見た目がどーこー以前に、性格面で適正なさ過ぎませんか? この少女MAD悪幹部さんって・・・・・・同じ地位身分の同僚として悪く言いたくはないんですけど、ホントに大丈夫なの? この人が作った怪人使って本当に?
「あの~・・・つかぬ事を伺いますけど、何故こんな人を四天王の幹部で、開発関係の総括に・・・・・・データ見る限りでは、理数系の成績的がいい方の人ではなかったように思えるのですが・・・」
「理屈は分からなくとも、何故だか怪人を作り出せてしまう、未知の科学力を持っている希少な娘さんだからね。
悪の結社は、怪人の開発技術を確立したいわけではなく、作戦時に必要な能力を持った怪人が使えるなら手段は何でもいいのだよ。違うかね?」
「まぁ、その通りではあるんでスけどねぇー」
相手の正論すぎる正論には納得するしか他に手はなく―――そういうレベルの相手か否か?については、成果がズバ抜けてるためプラスマイナス計算で多分あり判定になるんだろうなと心の中で割り切って、受け入れることにしておく私。
実際問題、能力的には何の問題もなく、現代科学では造りようがないはずの人工生命体を簡単に、怯えながら造り出せてしまえる驚異の天才科学少女なのが彼女。
敵に回せば恐ろしく、味方にすれば有効ではある反面―――どう見ても悪っぽさが0以下な所だけは大問題な人ですからなぁ・・・。
悪の怪人に襲われる側なら似合いそうなんだけど、人格と才能は必ずしも一致しないって言う、よい例証ですな。
「・・・ふむ。スペックを見る限りでは問題ないようだね。では、コレを君の指揮に委ねる。任務遂行のため存分に働かせてきてくれたまえ」
「は~い・・・。色々言ってる身ですので、口で言った分ぐらいは見合う仕事してきたいと思っておりま~す・・・」
「うむ、相変わらず表面的な礼儀だけ適当に守る、生意気なダウナー系が素敵だね。期待しているよ、戦術軍師殿」
「へ~い」
総帥直々に命令された以上は、幹部ごときに良いも悪しきもなく、ただ受諾と実行だけが以後の仕事。やるべき事やるだけの気楽な身分って所ですかね、失敗さえしなければの話じゃありますが。
「よろしい。では―――ここに秘密結社《ディスポリス》、作戦番号2119の始動を宣言する!
正義の味方と称する独裁者どもを虐殺し、一匹残らず殺し尽くすことこそ我らが使命ッ!!
悪は我らにあり!! くたばれ正義ッ!!! ジーク・ハイルッ!!」
『『『了解ッ! 正義のクソッタレに死を!! ジーク・マインヒューラー!!!』』』
こうして、お決まりの儀式を終えた、私率いる派遣部隊は基地を出撃。
報告のあった、某県某市のゲーセン近くにある路地裏へと、次元トンネルを使って物理距離無視して短時間で移動していくのでありましたとさ。
・・・ああ、自己紹介が遅れましたねゴメンナサイ。
私の名は、正義ヒーロー抹殺を掲げる秘密結社《ディスポリス》の幹部にして、四天王の一人って事にもなっている《悪のバウンティーハンター軍師ウルフドック》
正義の味方に倒され続けた、悪役たちの怨念が実体を得た総帥にとって結成され、途上国の独裁的支配者とか欲望丸出し政治家なんかに力を与え、結託して汚職や密輸を手伝ったりして分け前もらって活動資金に充ててる、時代劇の越後屋と悪代官みたいな組織体系もってる悪の組織の大幹部ッス。
ちなみに、正体は『田中潤子14歳』
悪役好きで正義のヒーロー嫌いな中学生2年生! 潜在的に魔力高かったらしいのと、生まれつき悪との相性よかったらしいのが理由でスカウトされた、闇バイトで悪事働く女子中学生でッス★
よ~し、今日も元気に悪っぽく悪やるぞ~。仕事のときぐらいは元気出して声出して、精一杯努力して正義の味方をブッ殺せるよう全力を尽くしましょう、えいえいオ~♪♪
そして、悪の秘密基地から発信した部隊が向かっている目的地では、一人の少女が多勢に無勢の不利な戦況の中、たった一人で背後に守る民間人を傷つけさせないため必死に戦っている姿がありました。
「くっ・・・! 倒しても倒してもキリがないっ。このままじゃ、後ろのみんなが・・・!」
赤を基調とした、ゆったりしたデザインの服を着て、グローブを填めた手に短杖を握って孤軍奮闘している、茶色の髪にピンク色のシャギーが入った、少し変わった格好の女の子。
今時珍しいカボチャパンツに下半身を包み込み、見る人によってはオムツを穿いてるように見られてしまう危険を持った、時代がかった格好と武器で襲い来る敵の黒尽くめの人たちを倒し続けていた彼女でしたが・・・・・・流石にそろそろ限界なようです。
『だから言ったじゃないか! 《フェザー》、君の力は素手で戦うタイプには向いていないんだ! ジャスティルンと君は違う! 早く魔法を使って倒さないと後ろの人たちが!』
「・・・! 分かってる! 分かってる・・・からっ」
肩に乗っていた小動物――彼女を庇い、力を託して死んでいった先代の魔法少女と契約を交わした異世界からの来訪者、《天獣フェスタ》からも警告された新たな魔法少女は、悔しそうに唇を噛みしめて己の不甲斐なさと罪悪感とで胸が痛む。
二代目となって何回目かの戦闘をこなしてきたけど・・・・・・その度に自分の実力と経験の不足を思い知らされ、先代との差に絶望と焦りを強くしていくのを実感させられる。
彼女と手分かってはいる。いきなり彼女と同じにはなれない。その程度のことは弁えれる年齢が中学2年生というものだけど・・・・・・それだけで感情まで納得できるという訳でもない。
どーしても『自分が死なせてしまった彼女の代理』を自分にやらせたがる心理から脱しきれずに藻掻き続けてしまっている。
(私なんかがジャスティルンと同じにできるなんて思うのは、思い上がりだって事ぐらい分かってる・・・・・・けど、彼女は私なんかを守るために死んでしまった! なら私にはもう、彼女に一日でも早く近づいて、同じ事ができるようになるしか、もう―――っ)
『フェザー! 危ない! 横から敵がっ』
「――えっ?」
時間稼ぎのように、倒した数だけ復活してくる敵との戦闘が長続きしたことで、集中力が途切れがちになっていたらしい。
余計な思考に意識を裂きすぎてしまったことで、正面だけじゃなく横合いからの攻撃に気づくのが遅れてしまった。
横をすり抜けて背後の民間人に襲いかかろうとした敵の動きを、囮だと察することができなかったことで、急に方向転換して自分に向かい武器を構えてくる敵の一般兵らしき存在に魔法少女の顔が引きつり真っ青になる。
(しまった・・・!)
罠に気づかず、敵の策に乗せられてしまった以上、もはや手の内を隠しておける余裕はない。
周囲の建物にも被害が出てしまう恐れがあったが・・・・・・それでも《魔力放出》で周囲にバリアーを展開して、攻撃を防ぐしか手はないだろう。
「くぅ・・・! こんのぉぉぉ―――――ッ!!!」
『ra!? Vugyaaaaaaaッッ!!!!』
バチバチバチィィィィィ!!!
電撃が周囲に発散され、魔力と魔力がぶつかり合う共食い現象が生じて、魔法少女の周囲に赤い光の壁に包まれる。
大量生産された黒尽くめの兵隊たちは、耐えきれずに悲鳴を上げながら次々と倒れ伏していき、やがて場に立っているのはスパークの発生源である魔法少女自身と異世界からきた人語をあやつる獣、そして背後に守る普通の人たちだけとなった戦場で、敵の動きが止まったのを確認してようやく一息つく。
「はぁ・・・、はぁ・・・、なんとか終わったみたい・・・」
『そうみたいだな。なかなかナイスファイトだったぜ、フェザー。流石にジャスティルンが力を託す奴に選んだだけのことはある』
「うん・・・・・・」
褒められて頷きはしたものの、どうにも釈然としない表情の二代目魔法少女《レッド・フェザー》
倒れて動かなくなった悪の兵士たちを見つめ直し、同じ姿のものばかりで、“怪人が一人もいない”という結末に激しい違和感と不安を感じさせられて、我慢できない気持ちに苛まれる。
「・・・でも、今回の敵はスゴく手強かった。今までと同じ敵の一般兵たちばかりに見えたのに、こんなに消耗させられるなんて・・・・・・いったい、秘密結社《ディスポリス》はなんのつもりで――」
「いえいえ、それ程でも。お褒めいただいて恐縮です、正義の味方の二代目魔法少女さん♪」
「ッ!! そこにいるのは誰!?」
急に声をかけられたことで、慌てて振り向きながら杖を構えるフェザー!
その敵は別に隠れてはいなかったし、敵意を示すような行動も武器も見せつけようとはしなかった。
ただ、髑髏のマークがついた黒い軍帽のような帽子をかぶった顔で「ニコリ」と微笑み、
「初めまして、私は《ディスポリス》四天王の一人、ウルフドック。
軍師の地位を与えてもらっておりまっす。今回の作戦も私が立てましたんで、以後よろしく~」
小柄な体格には大きすぎる黒色のコートを羽織った体を折り曲げながら、右手をお腹の前で曲げて丁寧に一礼してくるだけ。ただ挨拶と自己紹介だけ。それ以外は何もしてこようとしない。
「あ、あなたが・・・敵? しかも幹部って・・・あなた普通の人間なんじゃ・・・」
「どもども。いや~、最初は私も驚いたんですけどね? 才能と能力さえあれば歳は問わないってボスが言うもんですから。どうです? あなたも一緒にリクルートしてみません? 仕事は結構キツいですけど、そのぶん給料とか待遇いいんでお勧めですよ~?」
「・・・っ! 誰が、あなたたちみたいな悪の結社なんかに!!」
和やかな表面的な態度に絆されかかった心を、危ういところで引き戻すため強い声と言葉で切って捨てるレッド・フェザー。
――だが、戸惑う心はそれだけで抑えきれるものではなかったようだ。
今までの戦闘員たちと違って、悪の組織に入ったとはいえ普通の人間に・・・それも自分と同じ土司ぐらいの女の子を倒すことに抵抗を感じずにいられるほど、彼女は場数を踏んでいなければ覚悟を決めることも出来てはいない。
そんな心理を見透かしているのか、ウルフドックと名乗った少女はニコニコ笑顔を浮かべたまま、予定通りと言った表情でセリフをなぞるように声を発する。
「うふふ~♪ そうですよね~、いきなりだと殺しづらいですよね~☆
本来だったら、今のうちに犠牲覚悟で数押ししてでも致命狙うのが定石ではあるんですが~。
なにしろ私ぃ~、闇バイト幹部だし~。命令こなして給料もらいたいだけの立場だし~。
うちの組織の目的って、そーいうのも含まれてるっぽいんで、今回は私と戦う必要性なーいよーっと」
「・・・え? そ、それは一体どういう意味――」
「はいはーい、戦闘中によそ見厳禁。落下物注意一秒、ケガ一生。ご利用ご計画は計画的に~」
「―――!!! 危ないフェスタ! 逃げてッ!!」
『え――っ!?』
突如として感じさせられた、強烈なプレッシャー。
相手の少女が、スタッカート付きの喋り方で語ってくる内容に危機感と不安を煽られながらも、索敵魔法に引っかかるものがなにもなくて警戒して良いのか悪いのか分からなくなってた瞬間。
フェザーは答えを得て、相棒の名を呼んで、危機を告げる。
自分たち魔法少女は、彼ら天獣と契約して魔法の力を得る。だからこそ彼らは自分たちにとっての相棒たり得る。
それは敵から見れば、『どっちも同じ敵』でしかない存在でもあると言うこと――!!
「キシャaaaaaaaッッ!!!!」
『う、うわぁぁぁぁぁっ!?』
「フェスタ! 《フェザー・ファイヤー》!!!」
反射的に片手を前に出して手の平から火球を発射させ、上空から相方を狙って奇襲してきた敵の攻撃を阻止せんとするフェザー!
敵にとって、その奇襲は『食らわされるため』『反射的に撃たせるため』の呼び水でしかなかったものとは気づくことが出来ぬまま、今の自分にできる最大限の力を放ってみせた魔法少女の仲間を守る一撃を、
「ふ~ん? 威力だけならDランク相当で、瞬間的な対応速度はCの中ランクぐらい・・・か。しょうじきスッゲー評価しづらい半端な数字キタこれねコレって・・・。
普通に考えたら弱すぎるんだけど、あの状況から反射的にだし、基準がなぁ~。う~ん、迷うわぁ~、半端だわ~、スッゲー中途半端な強くもなければ弱すぎるってほどでもないかもしれない半端さだわ~」
冷静に客観視点で他人事のように観察しながら、機械を使って計測までしているウルフドックが、人の神経を逆撫でするような評価を口にしてフェザーの眉を激しく角度をつり上げさせる。
人を見下したような傲慢な態度と言い回し。今までの悪たちと同じ部分は彼女の中にも確かにある・・・・・・だが強い! 今まで相手にしてきた誰よりも、この怪人は桁違いに強すぎていた!
その怪人を指揮する幹部として現れた彼女も、侮れる相手では決してない。どんなに悔しくても今の自分では彼女たちに勝つことは出来ないだろう・・・・・・
(どうすればいいの・・・ジャスティルン! 私はまだ、死ぬわけにはいかない――あなたが与えてくれた力を、あなただったら守れたはずの人たちを守ることに使うために!)
「私は・・・・・・私は! まだ!!
こんなところで殺されるわけにはいかないだぁぁぁぁぁっ!!!」
想いを込めて、全身全霊の魔力を昇華させ、魔法少女として一つの段階を突破することに成功したフェザーの姿は、炎に包まれたように形を変えていく。
やがて現れた新たなフェザー・・・・・・そう! それこそが本来の彼女が持つ輝きと魔力を完全な形で発揮できるようになった、《真のレッド・フェザー》!! その名は―――
「へぇ? 今までは何らかの理由で本来の力が発揮できなかったタイプの正義ヒーローだったんだ。じゃあ、ここからが本番ってことで。
私の方でも悪役っぽく、やぁ~っておしまい! 怪人ファ―――って、あれ?」
PiPiPiPiPi、PiPiPiPiPi・・・・・・どこからともなく電子音の呼び出しらしき音が響いてくる。
「えっと、私か。ハイハイ、こちら最前線のウルフドック、オーバ~? 本部本部、緊急連絡を受信しましたー。
ただ今戦ってる最中ですので、ご用件とご命令変更がある場合には、ピーッと言う発信音の後でテキトーに残しといてくださ――――わーったわーった、聞きますよ。聞けばいいんでしょう? 私が悪うございましたので、そう怒んないでくださいよ総帥ヒューラーの旦那~」
そして胸ポケットから取り出した携帯電話らしきものを耳に当て、内容が本当のことを言っているなら敵組織の総帥からの連絡が届けられ、しかも急な指示でもあるらしい。
正義の味方として、重視せずにはいられない条件ばかりだったことから、自然と前のめりになって少しでも情報を聞き出すため全力で耳を傾けていたところ―――驚くべき単語を口にする相手を見ることになる。
「・・・・・・は? え・・・? “ターゲットを間違えていた”・・・・・・?」
―――――はい? と、第二形態に変身して本来の力出せるようになったレッド・フェザーは、心の中でそう呟く。
「え~と・・・・・・つまりレーダーに映ってたのは俯瞰視点で見たロングサイズの光景で、ズームしてったら別の光点が近くにあったのが分かったと。
ソッチの光がデカすぎて、コッチは小さすぎたから見分けつかんかったからゴメンって訳ですね。分かりました。後で科学総監に、ケツ丸出しで待ってろって言っといてください。
あのバカ泣くまでぶっ叩く。泣いてもブッ叩く。他の奴がやった後だろうけどブッ叩く」
微妙に悪らしいと言えば悪らしい、失態やらかした同僚への粛正のセリフを、でも言ってる内容的には尻叩きっぽいガキみたいなお仕置きで終わらす前提のアホな会話を終了し。
携帯の電源も切って、「フゥ~・・・」と一息ついた後。
「―――と、ゆーわけで勘違いだったそうだから、バイバ~イ♪ 縁があって強くなったら倒してあげるから、せいぜい頑張って生き続けて強くなってね☆
弱すぎる正義ヒーローは私たちアウト・オブ眼中らしいんで、ランクに合った悪の組織に襲われて戦ってくだ~さい。それじゃまっ、バイ・バイっと★」
「・・・・・・え?」
言うだけ言って、良い顔で笑って、シュイン―――と消えてなくなる、悪の女幹部ウルフドック。
見ると怪人の方も、いつの間にか姿が消えていて、量産型の兵士たちが倒れてるだけの路地裏に――――魔法少女が一匹と民間人が数人だけ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
訳が分からず、分からないまま放置されて置いてかれた魔法少女レッド・フェザーに声をかけてくる者は誰もおらず。
ただ、「ヒュ~~~」という風が通り過ぎる音だけが、彼女の周囲を流れていくだけであった・・・・・・。
今の時代は、現代日本。令和××年。戦国乱世のまっただ中。
己が天下を望む強者たちが雌雄を決する大乱の時代。
強い者は強い者を敵として見なしやすく、楽に勝てそうなザコは眼中にない。井の中の蛙なザコ魔法少女は、井の中の蛙な悪の組織とだけ戦っているだけでいい。
それが魔法少女と悪の幹部という、単体で大部隊に匹敵する力を持った者たち同士が凌ぎを削る戦国乱世の勢力争い。
ザコに出る幕なく、正義も悪もそれは変わらず、一般兵に名前はあっても結局は無視されて、《正義の一般兵その1》程度の扱いで終わってしまう宿命にある。
これは――――そんな正義ヒーローたちと悪の結社たちが天下を奪い合って戦い合う、巨大な戦乱の時代にあった、とある小さな町の路地裏で起きていた、名もなき《正義の一般魔法少女A》の物語である。