試作品集   作:ひきがやもとまち

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少し前に完成してたけど、原作ムードと合ってない恋愛方面に向き過ぎかな?と出すの迷ってたのを試しに出してみた次第。

【ぼっち・ざ・ろっく!】×【あっちこっち】の2話目です。

他の提案していただいたアイデア原作のも書き進めてますが、原作確認に時間かかってるの多いので、そこはご勘弁を。
他の連載作もようやく書ける時間取れたので大急ぎで執筆中デッス。

――尚、今作に関して原作ファンの方はごめんなさい…(謝罪)


ぼっちこっち 2話

 

 家族以外ではほぼ初めてもらってしまったLINEに浮かれて、飛んで火に入りたがる虫ケラのような存在として、オシャレタウン下北沢にあるオサレなライブハイスへとやってきてしまった身の程知らずな自分自身。

 その結果として当然の報いに待ち受けられ、醜態を晒してしまって暗闇の底へと暗転してしまった存在、それが私。後藤ひとり、高校一年生。友達は、いない・・・。

 

 あぁー・・・暗闇は落ち着く・・・気が休まる・・・。もうこのまま目覚めることなく永遠に暗い暗い場所で、一人きりで、誰にも恥ずかしい無様な姿を見られる可能性なく生きていきたい・・・本気でそう思う。・・・けどダメだろうなぁ~・・・。倒れちゃったもんなぁ、私・・・。

 

 起きなきゃいけないことは分かってる・・・。お店の前で倒れたから、虹香ちゃんたちにも心配かけちゃってるだろうし、早く起きなきゃいけないことぐらい分かってはいる。

 

 ・・・けど起きたくない・・・恥ずかしい姿さらした直後で超気まずい・・・気まずすぎる・・・・・・。

 起きるのは仕方ない・・・けど、あと少しだけ待ってから・・・あとちょっとだけ暗闇の底の安息空間で回復し終わってから・・・・・・諦められて帰られてしまって、誰もいなくなった後の状態になってから目覚めるぐらいの時間が経ってから・・・・・・。

 

 せめて、あと5分・・・いや、10分ぐらいなら・・・・・・いやいや、念のため余裕をもって15分くらい経ってから万全な状態に回復した後の方が、みんなに気を遣わせなくてすむから、みんなの為にもその方が・・・・・・っ。

 

 

「・・・・・・・・・・・・チラリ」

 

 

「あ、目が覚めた? 後藤さん。顔色が悪そうだったけど大丈夫だった?」

 

 

 

 そして目覚めたとき。

 爽やか眼鏡のイケメン顔が、心配そうに見下ろしてくれている光景として、目覚めた私の目の前にありました。

 

 

「ブッ! はぁぁぁぁぁぁぁッッ!?」

「ボッチちゃんが鼻血吹いたぁぁぁぁっ!? そして吹っ飛んだーッ!? 鼻血吹き出しながら宙を舞って吹っ飛んでく謎現象が、お姉ちゃんの店の店内で起きたーっ!?」

「・・・・・・おお。まるで格ゲーの敗北シーンのように見事な負けっぷり・・・ボッチ、ぱーふぇくとで敗北」

「リョウはそういうのいいから!? 早く治療! あと音無君はボッチちゃんが少し距離おいて遠ざかってて! ボッチちゃんが目覚めて回復してから一定時間経って動けるようになるまで待機! 話が進まないからね!?」

「あぁ・・・・・・寝起きに伊御のドアップは強力だからなぁ・・・・・・成仏してくれ、後藤」

「榊くんはボッチちゃんを殺さない! まだ死んでない! 起きろボッチちゃ~ん! 死ぬのは早い! まだ死ぬのは早いからね本当にーッ!?」

 

 

 ・・・・・・あぁぁ・・・誰かの名を叫んでる声が遠くから聞こえてくる気がする・・・・・・自分の名前を人から大声で呼んでもらえていいなぁ・・・きっとリア充な方の誰かの名前なんだろうなぁ・・・そんな人のお邪魔にならないよう、私は暗い暗い地の底にある王国で、一人寂しく穏やかに静かに余生を送るため、お母さんお父さん娘は幸せに旅立つのを祝福してくれると嬉しいです――――

 

 

 

 

「――はい! ということで色々ありましたが、第一回『結束バンド』メンバーミーティングを開催しま~す! 盛大に拍手ッ! パチパチパチパチパチ~♪」

「・・・虹香、さすがにその誤魔化しで流そうとするのは逆に不自然だと思う」

「ゴォッホン!!」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・(ズ~~~ン・・・)」

 

 ・・・・・・そして気がついて目を覚まし、現世へと帰ってきたら闇に落ちる前よりいづらい立場になってしまってた現実が待ってました・・・私、後藤ひとり。女子高生・・・友達はボッチ。

 そして今はアウェーです・・・超アウェー・・・。

 

 昨日出会ってライブに誘ってくれた女の子に呼ばれてやってきた店の前で気を失って、店内に担ぎ込まれて介抱されて、回復したと思ったらまた気を失った女の子とか・・・・・・死にたい。あのまま目覚めないままの方が遙かに救いだったほど・・・・・・恥ずか死にたくて仕方がない・・・・・・。

 

 しかも・・・店内には他に――

 

「あ~・・・えっと、ゴホンゴホン。考えてみたら全然仲良くないっていうか、ボッチちゃんとは昨日会ったばっかりだしで何話せばいいのか分かんなかったので、考えた末にリョウ。どうぞ~」

「・・・ん。そんな時のために持ってきた、さっきボッチが寝てる間に用意し直しておいた物があるから大丈夫。

 こんなものを持参してきた。『グラサン用トークサイコロ』~」

「おおっ! それはお昼1時頃に数十年間振られ続けてきたという伝説のサイコロっ! ――さすがは山田、恐ろしく用意のいいヤツだぜ・・・」

「・・・ふっふっふ。榊君も分かっているようだね、主も悪よのう。クックック」

「はにゃ~。榊さんアレ好きだもんにゃー。何が出るかな♪ 何が出るのかにゃ~♪」

 

 ・・・・・・なんか全然バンドと関係ない同級生たちらしき人の姿が多数混ざっちゃってる状態で、バンドの第一回ミーティングが開催されてるみたいです・・・。

 『結束バンド』なのに、結束カンケーなくなってるんじゃないかな・・・? 第一回目から最初っから・・・。

 

 っていうか、そのサイコロの目に書かれてる話題の中にヤバそうなタイトルのがあるような気が・・・・・・まぁネタなんだろうから別に流していっか―――いや、ひょっとしてツッコミ待ちという可能性も・・・!? どうしよう! もしそうだった場合は私はなな、なんと言ってツッコめば・・・・・・!? な、ななななんででですやねねねンンンンぅぅぅぅ!!!とか!?

 

「さ~て、では丁度いいから一番手はニギヤカシ担当ってことで榊君から! 部外者だけどド~ゾ~♪ 決してボッチちゃんの気をそらしたい訳じゃないからダイジョーブ!」

「応っ! まかせとけ! 賑やか担当と言ったら俺! と言うわけで、オウリャー!」

「おお、無駄に無意味な勢いありすぎな投げ方! さすがは榊君、なにっが出るかなッ♪ なにっが出~るかな~♪」

「・・・デデンデン、デデデンデン」

「え? ふぇっ? え、え~とぉ、ぱ、パフッ♪パフッ♪ で合ってるんでしょうか・・・?」

 

 私が迷いの海に一人迷い込んでる間にサイコロは投げられ、コロコロと転がってった先で止まった目に書かれていた、今の私たちが出会ったばかりで交わされるらしい話題のテーマ――それは

 

 

 

『バンジージャンプ』

 

 

 

「ずおりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」

 

 本当に飛んだー!? ヤバそうな目が混じってたの出たら本気で飛んでっちゃう人いたー!?

 

「榊君が目に書かれてたとおりにバンジージャンプしたー!? どっかから飛び降りるとこから大ジャンプしにいったー!?

 って言うかリョウ! なんであんなの入れたの!? 明らかにヤバそうなネタを何故入れた!?」

「・・・いや、本当にやるとは思っていなかった。反省はしている。面白かったと」

「それ反省なの!? なんで入れたままにしてたのよ!? 分かるじゃん!

 音無君たちも一緒に来ちゃってると、出たときは本当にやっちゃうってアンタ知っててやったんでしょうがー!?」

「俺も入ってるのか・・・・・・」

 

 盛大に脱線しまくっちゃってる! コミュ障で陰キャの私でさえ分かるほど、これはリア充会話じゃない! お昼のサングラスがやってる人の話題をリアルでやっちゃう人たちの状態!

 テレビで見てたときはリア充っぽくて眩しかったけど、実際に目の前でいたら驚きと混乱しかなかった!

 

 

 

 

「え~~・・・・・・ゴホンゴホンゴホン!! 運任せランダムでやってたら永遠に止まっちゃいそうなメンツだったので、今回は私の一存で話題を限定させてもらいましたっ。

 はい、それがコレ! 『学校の話』、略して『ガコ話』~♪ まずはボッチちゃんからどーぞ!」

「え!? え!? わ、私っ!? 私、は・・・」

「言っとくけど拒否権はなし! 他の人当てるとフリダシに戻りそーな気がするから! スッゴくするから!!」

 

 すごい気迫で言い切られた・・・逆らえません。

 あと私も正直言って、そう思います・・・。言わないし言えないけど・・・陰キャだから・・・。

 

「え、え~と・・・あ、そうだ。虹香ちゃんと山田さんの制服・・・・・・二人とも、同じ学校・・・?」

「そ、下校。志望理由も同じ~」

「・・・2人とも、家が近いから選んだ」

「あ、あー・・・・・・下北沢にお住まいで・・・セレブだったので・・・」

 

 相手の住所を聞いた瞬間に、互いの間で越えられない壁の高さを感じさせられ、思わず敬意と恐縮と、ちょっとだけ黒い気持ちなんかが混ざり合った感想を、反射的に答えてしまってた私。

 やっぱりオシャレで友達多そうな人たちは、生まれそのものが違うんだなーって実感させられ、生まれた土地までもがオシャレな場所の、スーパーオシャレ戦士な美少女高校生になれる人たちと私程度では、やはりいるべき場所に差というものが・・・・・・早く私にふさわしい地の底へ帰らないと、暗くて落ち着く一人だけの地下帝国に・・・・・・。

 

「え? あれ? ボッチちゃんの制服って秀華校でしょ? 家ここら辺じゃないの?」

「いや、あの・・・・・・県外で、片道2時間です・・・」

「2時間!? なんで!?」

「・・・・・・・・・高校は、誰も自分の過去を知らないところに行きたくて・・・・・・」

「ハイ! 終了! その話題終了ー! 無かったことにしたい過去は地下深く埋めて忘れ去って終了!

 もういいから! それ以上は思い出さなくていいから、それ以上落ち込まないで本当に!?」

 

 ・・・そして地下世界にも、私にとって穏やかに過ごせる一人だけの帝国なんて無いんだってことを思い知らされて地上へと帰還・・・。

 人と過ごした過去のイロイロやアレコレが眠ってる場所でしたもんね、地下の歴史埋まってる空間って・・・・・・私一人だけがいていい場所じゃなかったから、地下からも追放されて私は地下でも地上でも一人ぼっち・・・・・・。

 

「す、すいません、高校でも基本1人なもので、その・・・・・・楽しい浮かれた話題ひとつ提供で、できなくて・・・・・・」

「大丈夫大丈夫! りょ、リョウもね、そんな友達いないし! それに、ほら!」

 そーいえば音無君たちも、ボッチちゃんと同じ制服だよね!? お互い知ってるみたいだし、知り合い同士だったりしたの?」

「ん? ああ、ちょっとね。廊下でなんか荷物もとうとして重そうだったから手伝ってあげたんだ。それ以来、たまに話を聞いてもらったりするようになったんだ。な? 榊」

「おう! ついでに言うと、俺と伊御と後藤は、同じクラスでもあるぜ。あと真宵と姫も同じクラスだし、ついでに深山と崎守と西原も同じだな」

「・・・・・・結構多くない? ボッチの知り合いオールスターズ」

「・・・だね。リョウなんか、私ぐらいしか友達いないのにね・・・一人好きだから別にいいんだろうけど」

 

 リョウさんがなんか恐れ多いことを仰ってる幻聴が聞こえた気がしましたが・・・・・・ありえませんよね。

 私なんかがお、おお音無君たちキラキラ仲良し人気者グループとしし、知り合いだなんて・・・・・・そそそ、そんなそんな恐れ多い関係になるなんて、考えただけで私、私、ワタシはわわわわわ・・・・・・ッッ!?!?

 

「・・・そーいえば虹香自身は、どうなの?」

「ん? なにが?」

 

「・・・同級生の男の子が絡んだ話題で、なんか話したことあったっけ?」

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

 

「――えいっ。次はノルマの話~」

「・・・堂々と流された。所詮は暗いライブハウスで放課後に女同士だけで過ごす青春」

「うるさいわい! 私はホラ――今は音楽活動が恋人なの!」

 

 その一瞬。一瞬だけだけど・・・・・・虹香ちゃんと私は強い絆で結ばれ合ったシンパシーを感じた瞬間だった。・・・一瞬だけしか感じられない錯覚でしかないんだろうけど・・・。

 とりあえず、今はそれより・・・・・・

 

「あ、あの~・・・その、ノルマと言うのは・・・?」

「昨日ボッチちゃんにも出てもらったライブは、『ブッキングライブ』って言うんだけど、バンド側にはライブハウス側から集客を保証するためのチケットノルマが課せられていてね。

 ノルマ分が集客できない場合、その分は自腹で払わなきゃいけないんだぁ」

「・・・つまり、売れるまでメチャクチャお金いる」

 

 がっつり纏めちゃった一言評価!

 リョウさん、もう少しオブラートに! 私のハートの耐久力的にはちょっと――

 

「ダイジョーブ! いざという時は私に任せたまへ~ッ。ニジっちたちのために専用のオリジナルライブハウスを用意してあげるニャン♪」

「いや、気持ちは嬉しいんだけど、そこまではしなくていいからね?

 私もよく分かんないんだけど、ライブできる場所ってだけで営業許可とるのって難しいらしくて、お姉ちゃんもドリンク提供して飲食店ってことでお店やってるらしいし、私たち学生だと流石にちょっと―――」

 

「大丈夫! 屋台とセットで制作するし、限られた予算と簡単設計で造れるものを既に想定済みじゃヨン♪

 オール電化が可能で、電子制御システムを組み込めて、USBとWi-Fiにも対応可能な、地球に優しいライブハウスを提供するにゃン☆」

 

「どんなライブハウス!? 明らかに学生が造れるレベルを超えすぎてると思うんだけど! あとライブするのに入らない機能が多すぎるような気がしたんだけど!?」

「店名は、『機動ライブハウスZスターリーMkⅡ』」でいいかにゃ?」

「だから要らないって!? ライブハウスに二足歩行する機能も最新の科学装備もつけなくていいの!

 あとリョウは変なライバル心燃やして対抗しようとすな! このバ金持ちお嬢様!!」

 

 パコーン!と、虹香ちゃんが真面目な顔して携帯でどっかにメールしようとしてたリョウさんの後頭部をはたいて、この話題も終了。

 ひょっとしてリョウさん、しっかりしてそーに見えて、お金使い荒い人だったりするのかな?

 なんか浮世離れしてるとことか、良いとこのお嬢様っぽい感じにも見えなくはないし・・・・・・。

 

 それにしても進まないなぁ・・・ミーティング。結束バンドなのに結束ないせいで・・・

 

「はぁ・・・、はぁ・・・。・・・なんかドッと疲れたし、今日はもういいや・・・・・・とりあえず次のライブ費用を稼ぐためにも、このライブハウスでバイトしてもらおうと思ってるから、そういうことで大丈夫だよね? ボッチちゃん」

「はい―――・・・・・・って、バイトぉぉぉッ!?」

 

 さり気なく聞き流して頷いちゃってたら、さり気なく恐るべき単語が気づかない内に混じっっちゃってた!?

 え?え? もしかして私、引っかかっちゃった? トラップに引っかかっちゃいましたか私!

 

 イヤだイヤだ! バイトだけは絶対にイヤだッ! 働くの怖い! 社会が怖い! バイト怖い!! 

 私みたいなコミュ障のボッチが接客業のバイトなんかしたら売り上げガタ落ちして! 責任押しつけられて! かばってくれる人は誰もいなくて! 

 そして裁判! 吊し上げ! 見せしめ! 社会のために一部のガン細胞を摘出する必要性で、私は社会に殺される第一歩を踏み出す羽目に~~~~!? 

 

 だからイヤだ! バイトはイヤだ! 皆に合わせられない社会不適合者として社会に抹殺される対象に認定される危険な役割だけは、何があっても絶対にヤ―――

 

「あー、そう言えば音無君たちにもヘルプに入ってもらうってことになってたんだっけ? お姉ちゃんから今朝聞いたばかりなんだけど。

「おう。なんか、この前ヘルプで手伝ったときの手際が買われたとかで、しばらく臨時のバイトで俺と伊御も入らせてもらうことになったからよろしくな」

「店長には、みーこさんからも宜しくって頼まれてるしね。素人だから大して役立たないかもしれないけど、宜しく。伊地知さん、山田さん。それに、後藤さんも」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バイト、来週からね~。学校終わったら、うちに直行ってことで♪」

「・・・ボッチ、ばいばい」

 

「あ―――はい・・・・・・お疲れ様でした・・・」

 

 そして、ニンジンという美味しい餌に釣られてしまった愚かな火の虫な私がここにいるわけで・・・・・・。

 ――憎いっ! 分かりやすすぎる餌に釣られて飛びついちゃった分かりやすすぎる自分が憎い! 憎すぎる!

 私なんかが無理だと分かっていながら、それでも肉体が命じる本能的な欲求に逆らい切れない愚かなる自分の肉体が、私は憎くて仕方ない~~~!!!

 おのれ私の心なき肉体めー!! ヒドい目に遭って傷つく心があるのは私なのに~~~!!

 

 

「・・・はぁ~・・・お、終わった・・・。なんか一日だけで1000歩ぐらい歩いたみたいに、スッゴく疲れた気がする・・・・・・。

 で、でも何か色々あった一日目も乗り切ったんだし、バイトの方も意外となんとかなったりとか―――」

「ボッチちゃん?」

「っては、ハィィッ!?」

「またね」

「あ、は、ハイ・・・・・・また明日・・・」

 

「じゃあ俺たちも帰るか、榊」

「そうだな。それじゃあ伊御の方は、後藤の帰り満ちエスコート頼むぜ。俺は伊地知たちの方を担当するから」

「わかった」

 

「って、ぶッフゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!?」

 

 終わったと思った瞬間に今日一番デカい衝撃がキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!?

 な、ななななんで!? どうして!?

 なぜに何故わたしなんかのイモ娘のために音無くんが如きイケメンの爽やか眼鏡の尊きお方が、暗い夜道をご一緒して家まで来るとか展開にあうあうあう~~~~!?

 

「あれ? 音無くん、ボッチちゃんと一緒に帰るの? 家大分遠いし方向真逆すぎない?」

「うん。そうだけど、最近なにかと物騒だからね。女の子一人を夜道で帰らせるのは心配だし」

「・・・なるほど。さすがは音無くん、相変わらず無自覚に女心を鷲掴む容赦なさ。この天然ギャルゲー主人公めが、もげればよい」

「いや、無表情にそんなこと言われてもな・・・。

 それに後藤さん、家まで片道で2時間って言ってたしね。放っておける距離じゃないから送っていった方が俺も安心できると思っただけだから気にしなくて良いさ」

 

 私の発言が原因でこうなっていたー!?

 何であのとき全てを正直に個人情報バラしまくっちゃってたかな情弱な私~ッ!?

 

「それじゃ、行こうか? もちろん後藤さんが、男と二人で帰宅するとかイヤだった場合は辞めておくけど・・・」

「あ、い、いえ・・・大丈夫、です・・・と思い、ます・・・・・・から、大丈夫、かと・・・・・・」

「そっか。良かった」

「は、はい・・・・・・・・・そう、です・・・・・・ね・・・・・・(ソワソワ・・・)」

 

 月の光に照らされる下で、たまたま声をかけてもらって知り合った結束バンドの虹香ちゃんたちと、ライブハウスの人たちとの出会い。

 その縁によってと言うか結果論と言うべきなのか、片道2時間近い実家までの帰り道を、高校で出会って気になりだしたクラスの格好いい男子生徒に送ってもらえるという、陰キャには分不相応すぎる一生分の幸運を使い果たしたんじゃないかってぐらいの、少女漫画の主人公みたいな展開をたどることになってしまった私、後藤ひとり。高校一年生、友達はいない。

 

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・(カチ、コチ・・・)」

 

 そんな幸運を得られたからこそ、私は思っていた。心の中で決意していたのだ。

 

 家に帰ったら絶対に――――水風呂に入ろうと。

 三十分ぐらい浸かりまくって、絶対に風邪を引こうと。

 風邪を引いてバイトを休んでも仕方ないと言ってもらおうと。

 

 

「――明日からのバイトとライブ活動」

「は、はいッ!? なんで、せぅ・・・?」

 

 ――無理だよッ!? こんな少女漫画の主人公みたいな役割とポジションは私には無理! 死ぬ! 死む! 死んでしまう!!

 幸運すぎると幸運に慣れてないボッチは幸運中毒で死ぬ!

 運が良すぎると後から絶対ゆさぶり返しが来て、得られた幸運が強ければ強いほど悲惨な目に遭う未来が予測できちゃうから死ぬーッ!? 

 幸運怖い!? リア充展開怖い!? 陰キャに陽キャと同じ幸運を喜べるハイスペック器量を求めるの辞めてー!?

 私のMPはもう0だよ! マイナス振り切ってるの気づいて音無しく~~~~っん!?!?

 

 

「気持ちよくできると良いね」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「は、はい・・・・・・そうだといいと、思い・・・ます・・・・・・」

「・・・・・・ん」

「・・・・・・・・・・・・ッ(////)」

 

 

 ・・・・・・た、ただまぁ・・・・・・今日は一日で1000歩ぐらい前進したレベルの成長するほど苦労と努力したんだし・・・・・・。

 

 た、たまにはこーいう幸運を味わえるのも悪くない、・・・・・・よね?(デヘれっ♡)

 

 

つづく

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