試作品集   作:ひきがやもとまち

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女主人公版のモブセカ二次更新です。アイデアだけは前からあったんですけど、形にするのに時間かかってるのが最近多くなってる作者です。


この乙女ゲー世界は、女子でも引きます 14章

 

 前回までの、あらすじ。

 なんか色々と混沌としまくって混乱の坩堝と化したっぽい我らが喫茶店に王妃様まで来て余計にカオスってしまって今に至っている。

 

 ・・・・・・では流石に、なんの説明にもなっていないので多少は補足事項を付け足しておくとして、だ。

 

 まず、10代半ばの子持ちながら子供より若く見える美ママ(お約束だ)の王妃様が新キャラとして登場し。

 更にアンジェリカ女史と因縁あるらしき、10代女子なのに30代子持ちキャラより老けて見える、オバサン風味な伯爵令嬢も初登場しかけたが、なぜか現れたモンスターの襲撃でドクターストップして退場した。不思議だ、オカルトとしか言いようがない。

 

 その後、見た目オバサン伯爵令嬢がいなくなった喫茶店内で、身体は美少女で中身は30代女子の王妃様から説教モドキをされた兄君くんから、

 

「好きです。息子さんの同級生と不倫しましょう」

 

 と告白&プロポーズをして、不倫相手(候補)の息子でホストの王子に殴られ怒られた末に――――今に至っている。という感じの現状だった。

 

 

 

 

「あ~・・・やっぱダメだったかぁ・・・・・・メッチャ好みだったのに・・・」

「まだ言っているのか、このアホウが・・・。どこの国に自国の王妃を口説く騎士がいる・・・」

 

 奥さんとの不倫が、相手の息子にバレて引き裂かれてしまった関係に傷心している兄君くんを冷たい視線と瞳で見下ろしながら、アンジェリカ女史が冷めた評価と言うべきなのか、不倫未遂の方は流してあげる寛容な判決と言うべきなのか、判然としづらい評価を口にしながらティーセットを客席へと運んでいく。

 

 いやまぁ、結構色々な国でイロイロな王宮で割とよくある騎士たちの問題行動になってる行為なのが、家臣の騎士が王妃様を口説き落として結婚ENDというものではあるのだが(R指定の18禁キャッスルが多いが)

 とはいえ、それはそれ。

 確かにアンジェリカ女史の言い分には一理あり、社会的な倫理観としても相手方の息子さんであるユリウスが、母親と知らない男と父が仕事でいないときに家の中でエクスカリバーしてる光景を目にしてトラウマになった末にダメ大人に成長し、『幼き頃の歪んだ記憶が悲劇を生む~王子ユリウス伝説殺人事件』とかの展開だったらイヤなのも事実。

 

 だからこそ、吾輩は失恋した直後で心に痛みを抱えている兄君くんの気持ちを慮る心優しい妹でありつつも、言わざるをえないことは言わなければならないのだ・・・・・・それは――

 

 

「兄君くんっ、3番テーブルに《やはり公爵令嬢ならアッサムよねティー》を、お菓子と一緒に3セット。大至急だ!」

「り、リオンさん! 2番テーブルのお客様にも《午後の公爵令嬢ティーとケーキセット》も4つお願いします!」

「――チィッ! せっかく人が失恋の痛みに耐えてるって言うのに、傷心してる余裕すら与えられねぇのかよ!

 ほら、《やはり公爵令嬢ならアッサムティー》と《午後の公爵令嬢ティーとケーキセット》! 次の注文は!?」

 

 

 という、引きも切らせず舞い込み続けてくる客からのオーダーを滞らせないため忙しいのである!

 我らが《公爵令嬢がメイドする仮面喫茶マスカーレション》は満員御礼の真っ最中だった故、師匠先生からお茶の淹れ方と菓子の作り方などを教えれて、高い練度で再現できるようになった一人だけのシェフ役である兄君くんには、失恋の傷心などという些事でサボらせてる余裕は全くなかったのでね!!

 

 折しも、原因不明で正体不明のモンスター学園内襲撃の余波を受けて、隣の部室で営んでた王子くんたちの喫茶店にも被害があったらしく、壊れた内装を直すまでの間は開店休業中ということになったそうで、現在のところ我らが喫茶店のあるエリアには女子生徒の姿は誰もいない。

 

 ここぞとばかりに、鬼の居ぬ間の隙を突いて、リスク少なく公爵令嬢にご奉仕してもらいたい男子生徒たちが予想以上に押し寄せてきてしまって、接客が大変なのである!

 いや本当に! 冗談でも伊達でもなく、謀略の結果でもない予想外な大盛況でパンク寸前で―――だからこそ兄君くん早く!

 この店は、兄君くんの復活を心待ちにしているのだから!

 

 

「お待たせいたしました、お客様。こちらがご注文の《やはり公爵令嬢ならアッサムティー》と《午後の公爵令嬢ティーとケーキセット》でございます。

 他にご注文がありました時は、なんなりと」

 

 

 

『で、でしたらその・・・・・・レッドクレイヴ公爵家令嬢に対して恐縮ではあるのですが・・・・・・踏んでください!

 僕をブッて! そして踏んでください! その足で・・・♪』

 

『貴様! 公爵令嬢に対してなんと無礼な!

 そこは紳士として、「罵倒して罵って頂ければ光栄です!」と願い出るのが筋であろう!?』

 

『お前こそ何を言っている! 公爵令嬢の美しい御御足もお声も、我らごとき下級貴族には分不相応な贅沢というもの・・・・・・! 我らが望めるのはただ一つ!

 冷たい瞳で、ただ見下し、人以下の家畜のように思っている目で見て頂ければ、これ以上の幸福は他にな―――』

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・寄るな。汚らわしい汚物共、気色が悪い・・・」

 

 

 

『『『ハフゥ~~~~~・・・・・・ッッ♡♡♡♡』』』

 

 

 

 

 ・・・・・・もっとも、店内に死屍累々と横たわる数が増えていっている戦死者たちの群れには、とくに復活いらないかもしれなかったのだが・・・・・・一応は客だしな。

 金づるは大事にせざるを得ないのが客商売の辛いところと割り切って頂こう、お互いに。

 

 そんな中、また新たな客が来られたのか「ガチャッ」と音がして扉が開き、

 

「あのー、まだやってますか?」

「はいっ、いらっしゃいま――あ、えっと、カーラさん!?」

「あ、いたいたオリヴィアさん。忙しそうなところに悪いんだけど前に頼んだ件、お願いして大丈夫かしら?」

「は、はい。それは大丈夫なんですけど――あっ!? ま、待って下さいカーラさん! そこはダメです! 今は入ってこないで下さい! 後でちゃんとお取り次ぎしますから待って!?」

「・・・・・・?? えっと、なんだかよく分からないんだけど、バルトフェルド男爵はあちらの方なのでしょう?

 でしたら男爵、カーラ・フォンウェインで―――ん? なんか踏んだような気が」

 

 

 

『『『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』』』

 

 

 ↑死屍累々して邪魔だったから入り口付近まで運んで寝かせていた屍共(注:♂)

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 ↑リオンの前に膝を折って跪くポーズをとったばかりの女子生徒(注:ミニスカート)

 

 

 

『『『・・・・・・』』』

「・・・・・・・・・」

 

『『『・・・・・・・・・』』』

「・・・・・・・・・・・・」

 

『『『・・・・・・・・・・・・』』』

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 数瞬の沈黙の後には―――考えるまでもなく、言う必要もない展開が続く訳だが。

 平凡であっても見たがる者はいるからこそ、お約束とは生まれるものなので敢えて言おう。端折らず語ろう。

 

 

「・・・・・・き、キイィィヤァァァァァァァァァァァァッッ!!!!???

 バカ! アホ! スケベッ! 変態ッ! エロッ! 痴漢ッ!!

 死ね死ね死ね死ね死ねこの無礼者男共―――――ッ!!!!

 見たもの全部忘れて死に絶えろォォォォッ!!!!」

 

 

 ゲシゲシゲシゲシッッ!!!!

 

 

『『『ブッホォォォォォォォォォッ!!??

   痛い!? 痛い!? 体も心も死ぬほど痛いィィィッ!?!?

   痛いのに向こう側に白く輝く穢れなき理想郷が目の前にブッホォォォッ☆☆☆』』』

 

 

 

 ―――なんと言うべきなのか、なんと評したら我らが喫茶店の名誉だけは守ることだけはできそうなのか・・・・・・。

 何はともあれ、まぁ・・・・・・文化祭一日目はこうして終わりを告げた(時に逃げるが勝ち)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅー、ようやっと休憩時間かよ・・・・・・レインの奴が妙な提案しちまったせいで店が忙しくなって仕方がないぜ。

 リヴィアとアンジェの2人も、なんか気まずそうな雰囲気になっちまってたみたいだしなー。・・・・・・気持ちは分からなくはないんだが・・・・・・」

 

 昼休憩の合間を縫って、一時的に店を抜け出すことに成功した俺は、一時の安らぎと安楽な休憩場所を求めて学園中央の広場へとやってくると、大きく伸びをして働きすぎた身体をほぐしていた。

 営業開始の初日あたりから、妙な雰囲気になったまま気まずい雰囲気に包まれていて、どっかギコチナイ付き合い方になってる原作主人公と悪役令嬢の二人組。

 

 

 まぁ・・・・・・ペット志願の男子共が群れを成して、女王様の前でブタみたいに鳴いてる光景を見せつけられたら、普通の女の子は引くわな常識的に考えて・・・。

 

 

 あんなもん見せつけられた相手と、普通に今まで通り過ごせなくなって気まずくなってたとしても、それは彼女たちが原因じゃないし悪くもない。

 強いて悪いヤツをあげるとすれば、あんな地獄絵図を生み出す原因創った妹と、ブタ男子どもの趣味が悪趣味すぎただけで。

 

 

『成る程。それが引け目となったことが、オリヴィアから仲介された“あの女”の頼みを引き受けた理由という事ですか? マスター』

「まっ、それもあるけどな。この祭りが終わった後は長期休暇になるんだし、丁度いい時期だったって事情もあるんだよ。

 ―――個人的に欲しいアイテムが絡んだイベントでもあることだし」

 

 

 ステルスモードで語りかけてきたルクシオンからの確認に返事をしながら、周囲の目にも一応は気にする俺としては念のため話題を変えて誤魔化す必要もあったので、適当に周りを見回して視線を向けてみる。

 

 どうやら気付いた奴は誰もいないみたいで、制服姿の生徒たちが営業してる屋台が噴水をグルリと囲むように立ち並んでる光景が広がり、如何にも『学園祭~』って感じの雰囲気だけが伝わってくる。

 

 ――もっとも、所詮そこは頭の緩い乙女ゲー世界での学園祭。

 

 

 

『ハァ? こんなので金取るの? タダにしなさいよ~』

『こ、困ります・・・その、規則ですし、お代は払っていただかないと・・・』

 

『アンタ、私たちに気に入られてるとでも思って調子に乗ってんじゃない?』

『楯突くのはやめた方がいいわよ~? この子、伯爵令嬢のお気に入りなのよ? 伯爵家を怒らせると、アンタみたいな下級貴族の実家なんて危ないどころじゃないって』

 

『う、うぅぅ・・・・・・わ、分かり・・・ました・・・・・・』

 

 

『『『ふんッ! それでいいのよ。

   思い上がって勘違いしないでよね、男爵以下の騎士家風情がッ!!!』』』

 

 

 

 ・・・・・・すぐ近くの屋台でフツーに展開されてるのが、コレだからなぁー・・・。

 コイツラ学祭に、何しに来てるんだ一体・・・?

 

 やってる行動的には、ヤクザとか地上げ屋って感じなんだけど、やってる対象が学園祭で屋台やってる学生相手って考えると途端にショボく見えてしまう気がしてくるのは、俺も妹の影響を少なからず受けちまってるせいなのかもしれなかった。

 

 挙げ句、たかが学生がやってる屋台の代金さえ踏み倒そうとする、誇りある名家貴族の家柄って・・・・・・偉そうに言ってるけど本当は貧乏貴族が多いんじゃねぇのか? この学校に通ってる貴族連中って・・・。

 

 

「まっ、それならそれで使いようがあるからいいけどな。

 レインのせいで予定外に儲かっちまったが、俺にとっての本命は明日からなんだし、今日のところまでは大人しく喫茶店のパティシエ兼ギャルソンを真面目にこなしてチップもらうのに励むとしますかね」

 

 そう毒突いてから立ち上がり、俺は仲間たちと一緒に出店してる喫茶店営業へと戻っていく。

 学園祭最終日に行われる一大イベント。

 全学年参加が可能で、総合優勝にはかなりの賞金が出ることになってるレースショー。

 

 それに参加するための練習と調整で、王子たちのBAR喫茶にジルクだけいなかった、アイツが超得意という設定になってる、この国だと大人気の妙にSF入ってる部分。

 

 それが――――

 

 

 

 

 

 

【6番、1位! 7番、2位ッ!!

 ここで4番が追いついてきた~~~ッ!!】

 

 

『いいぞー! 抜けーッ! 抜けェェェーッ!!』

『頼む! 勝ってくれ4番ッ! 俺はお前の1位に今月の小遣い全部賭けたんだ・・・ッ』

『うぉぉぉッ! そこだ!行け! このレースこそ絶対勝つぜ、ケンタウルスライダー号ッ!!』

 

 

 ヒュン!ヒュン!ヒュンッ!!

 ズビュ―――ッン!!!

 

 

 

 エアバイクを使ったレース―――の順位当て賭けギャンブルが、最初から俺の本命だったんでねぇ~~~ッ♪♪♪ 

 貴族サマ相手だから、賭け金も配当もガッポガッポで規制なしでウッハウハだぜェー!

 おまけにルクシオンの分析予測で負ける心配0以下だし~~~♡♡ も最高! サイッコウだぜヒャッホゥー☆☆

 

【どうやら数名が、特定の選手を勝たせるように動くよう、最初から密約が交わされているようです。所詮は新人類のやることですから、予想通り6と4で問題はありません】

「はーっはっは! いっや~、ルクシオン様々だね~♪ まさに倍々ゲーム☆ ぐふ♡

 ぐふ、グフフフフ~~~♡♡♡」

 

 しかも参加する奴らは奴ら自身の方でも自主的に、裏取引だか協定だかを結び合った状態で試合に臨んで出来レースしてくれてるみたいで、コンピューター計測で結果予測するルクシオンにとっては結果が読みやすい状況にっていう至れり尽くせりな好待遇ぶり♪ いや~、貢いでもらっちゃってゴメンねゴメンね~? ヒャッハッハ☆

 

 まっ、そいつらの気持ちも分かるっちゃ分かるんだけどねぇー。

 下手に1位を奪い合って潰し合ったせいで、他の三下に横から割り込まれて一銭も入らないより、仲間と分配してでも確実な実入りがあった方がいいって発想は俺も共感できない訳じゃないし~。

 

 負けるリスク冒して一人勝ち狙うよりも、最初から勝ちを譲って確実に小金を狙うっていう子悪党なやり方と生き方は俺的には決して嫌いな訳じゃあない。

 まして、この世界にある学校は、貴族なんかが通ってる階級制ある国の学校。

 

 ユリウスは「学校に身分もちこむな~」とか言ってたけど、逆に言えば「学校を出た後は知らん」ってことでもある訳だし。

 卒業後の進路とか仕官先とか、後々のこと考えたら格上の上級貴族の息子に今の内からレースで勝っとくとかバカか?ってレベルの愚行なのは分かり切ってるわけだし、早い内から個人的な家臣として役立っといた方が就職に有利だって計算はスッゲー理解できる部分でもある。

 

 ――まっ、でも勝負は勝負なわけだし~♪ 今の俺にはルクシオンいるんだし~♪

 なら、やるでしょ? やらせるでしょ? そして勝って一人で大儲けの道選ぶのは、貴族でも平民でも男爵でも変わらない全人類共通の常識ってことで☆

 

 いや~、悪いねぇーみんな。

 俺、いかさまギャンブルに強くってさぁ~~~♪ アッヒャッヒャッヒャーッ!!!

 

 

【き、決まった-! ゴール! 今ゴールですッ!!

 順位は、6番1着ッ。4番2着という結果になりましたッ!!】

 

 

「はーっはっはっはっは!! 笑いが止まらないねぇ~~~☆☆☆

 ヘッヘッッヘ♪ えーっへっっへ♪ ぐへ☆ グヘ☆ フヒョ~~ホホホォォォッ♪♪♪」

 

「随分と入れ込んでいるようだが・・・・・・せめて人間の顔を保った方がいいと思うぞ。もはや人の発する笑い声とは思えん・・・」

「いつか痛い目に遭っても知りませんよ? 賭け事はいけないと思います。メッです」

 

 

 もっとも、背後から近づいてきたアンジェとリヴィアからも、そんなこと言われちまったモブキャラでしかない俺的には思うところがない訳ではないんだが・・・・・・それでも辞められない止められないのがギャンブルってもんだから仕方ないよね! ヒャーッハッハッハ~♪♪

 

 

「フフ、ああいう兄君くんも格好いいと思わないかね?

 なんと言うかこう・・・ちゃんと接すれば味があるというかクセがあるというか、後ろから背中にドロップキックをかましたくなる素敵紳士のような魅力があると言うべきなのか・・・・・・。

 とにかく、そういった部分に魅力を感じる一部の人たちから粘着質に愛されそうな男を感じさせてくれる・・・・・・それこそ我が兄君くんの魅力だと吾輩は信じているのだよ・・・」

 

 

「レイン・・・またお前がそうやって兄を甘やかすから―――あと、その評価は本当に褒め言葉なのか? なにか今すごくリオンを可哀想だと感じさせられた気が一瞬したのだが・・・」

「な、なんでしょう・・・・・・何だか私も今、背中にゾクッて戦慄が走ったような、殴りつけられたときに甘さを感じちゃったみたいな感じが・・・・・・うぅぅ・・・」

 

 

 そして二人の背後から続いて現れてくる我が愚昧からの一言によって、いつも通りオチが付く俺たち4人の日常バカ話。

 ・・・そしてオリヴィアさん・・・その評価はたぶん正しいから、早く俺の妹を主人公の聖女パワーで浄化してやってほしい。

 ヤンデレ男子好きなヤンデレ女なんて特大の地雷妹なんて、腐ってるより危険でアンデッド除霊したくて仕方がない。それが記憶戻ってから今日までバルトファルサイトの一般的評価。

 

「まっ、それはそれとして店の方にはあまり顔を出さなかっただけあって、なかなか活躍してはいるようだな。兄君くんと私の儲けに、ロン毛が役立ってるようで何よりだ」

 

 そういって視線をガラス窓の向こうに広がるレース場を見下ろしながら、無表情も無感動な口調も変えることなく、言い回しだけがハッキリと悪意がこもった評価を口にしてみせる妹が見つめる先にいる相手―――

 

 

【さぁ、今回のレースも佳境に入ってきました!

 現在トップは、ジルク選手! 速い速い、さすが優勝候補の一人です!

 この速さ、他の同学年選手たちの3倍のスピードとでも言うのでしょうかーッ!?】

 

 

 攻略対象の一人で、『エアバイク操縦は天才的』というキャラ設定になってもいたジルク・フィア・マーモリアだ。

 正直ゲームのときには難易度高すぎたし、他の奴らが下手すぎるってだけの印象あった奴ではあるけど、学生同士のレースで賭けの対象としてだけなら悪いヤツじゃあない。

 せいぜい俺を儲けさせてくれればいいのさ。俺にとってはねぇ~。

 

 もっとも、レインにとってはゲーム時代の記憶が元で、かなり悪感情もってる攻略対象だったみたいだけれども。

 この前の試合のときも、ジルクに対してだけ他よりキツかった奴だったけど・・・・・・どうやら、そのアンチ感情は愚昧だけ限定のもんじゃなかったらしい。

 

 

【ここで、おぉ~っと!? 優勝候補のジルク選手、どうやら標的にされていますッ!

 追い越しを狙う選手達にケツから突き上げられるような猛追撃を受けている! ケツだけに!!】

 

「な、なにっ!?」

 

 

 賭け金が掛かってるから、俺も思わず声を出してしまったが、ジルクには明らかに意図的な嫌がらせ攻撃を受けていた。

 周囲を囲むように飛翔してる選手達のマークがキツく、事故に見せかけた体当たりを背後や側背から何度も食らわされてバランスを崩しそうになりながらも、なんとか体制を維持してレースを継続しているようだったが・・・・・・正直キツい状況だ。

 

 ――あと、ついでにアナウンスの追撃な。

 明らかにコイツも、一部で噂になってる『ジルク○モ説』知ってる口だろ絶対に。

 我が愚昧による、決闘場でのYouTube音声配信による影響が、いまだに生徒たちに広く蔓延ってる状況に情報社会の歪みを見せられた気がして、ちょっと怖い。

 

「マークがきついな・・・あの邪魔をしている奴ら、クラリスの取り巻きか」

「ヒドい・・・っ、どうしてあんな事を・・・!」

 

 そしてリヴィアとアンジェの方でも、俺と同じ光景を見て俺とは違う感想を抱かされたみたようでもあった。

 アンジェから呟かれた固有名詞というか『キャラ名』に、聞き覚えがある俺とかレインにとっては目の前の状況が起きてる理由と背景について、ある程度は推測できる情報でもあったわけだけど―――リヴィアの方はそうはいかないからな。

 

 ただ純粋に、周囲から体当たりによる集中攻撃を受けているジルクを心配した表情で声を上げている彼女の言葉には、基本的にジルクも他の王子共も大嫌いな俺でさえ「ま、心配するのは当然か」と、すんなり受け入れられることが出来ちまえるほど・・・・・・あまりに自然な反応なように俺には思うことしか出来ない。

 

 何しろ彼女は、ゲーム通りに物語が進むことさえ出来ていたら、王子たちの誰かと結ばれてハッピーENDを迎えられてたはずの主人公。

 俺にとっては、優しそうに見えて実は一番過激な攻略対象のイヤな奴でしかないジルクでさえ、王子たちの一員としてリヴィアと恋人になる可能性をもっている相手。

 

 あるいは、マリエさえ邪魔立てしていなければ、今からでも彼女は『アチラ側』に戻れるかも知れない――いや、戻さなくちゃいけない女の子なんだから。

 そんなリヴィアが、今でも『向こう側』に戻れさえすれば結ばれる可能性を持ってる存在の一人であるジルクの身を案じるのはフツーで当然。・・・・・・なんとなく自然と、そう考えてしまう俺が心の中には確かにある。

 

 

 ―――が、そーいうもんは見るヤツによって見え方が多少は変化してくる部分もあるようなのも現実らしい。

 

 

「そりゃまぁ、あれぐらい仕方がないのでは? 

 なにしろ、“自分たちが取り合って親衛隊になってるお嬢様の婚約者”が、“ポッと出の合法ロリ令嬢の逆ハーレムの一員”になってる姿を見せつけられても、身分の差的な理由でガードされて自主的に手を出すのは非合法扱いになる立場なわけだし。

 イラつくしムカつく糞野郎めモゲろ死ねぐらい思うのが普通だろう?

 一般的な十代男子の感想として、恋人いる場合でさえ常識的に考えて普通に」

「お前・・・自分と同じクラスの男子と常識ってもんを、いったい何だと・・・・・・」

 

「むしろ糞ムカついてるであろう、“結婚する前の婚約段階だから浮気じゃないぜ!合法で文化で同意の上なら無問題☆”のナルシーロン毛だけにレース妨害の攻撃限定するとか、礼儀正しすぎる素敵紳士だとか思わないかね?

 王子たちの時には、試合で負けそうになったら爆弾まで仕掛けた奴だったぞ。あの全身タイツ姿が一人だけ妙にエロいロン毛王族関係者」

「・・・お前は・・・自分が好きだったとか言ってた攻略キャラもなんだと・・・・・・って言うか改めて考えたら、つくづくゲスい奴だったんだなアイツって」

 

 

 相変わらずな妹からの相変わらずすぎる内容の感想に、兄としても男としても何と言うべきなのか、言わずに放っておいて問題起こして巻き込まれるリスクは何十%ぐらいなのか、やっぱ妹はダメすぎるのが事実なのだと言うべきだったのか。それは分からない。

 

 分からないが――ただまぁ、眼下で繰り広げられてるレース場内でのジルクに対する妨害行為への怒りとか不満とかが大幅に目減りしたのだけは確かだったよな。普通に考えて常識的な対応として普通に。

 

 考えてみればアイツらって、自分らの恋路に周囲の連中巻き込みすぎだろ。

 恨む相手だけに正々堂々とかの騎士道精神とかって奴はコイツラにはねぇのか、乙女ゲーの攻略対象のクセして本当に。

 

 俺なんか試合の代役立候補しただけで部屋壊されたし、負けそうになったら爆弾だし、ロボだしロボ戦だし。・・・・・・どんだけなんだ本当に・・・。

 純愛だかなんだか知らんが、マリエとの関係のため他人の俺にアレだけの事やってまで貫いた恋路の前科ある奴なんだし、今回も勝手に自己責任でやってくださいって感じで。

 好きにしてくれて構わないし、『クラリス』の取り巻き男共から好きにされても俺が関知するような要素はどこにもないし~。

 

 ―――ただし、このレースを勝って終わった後から前提での話なのは当然のことな訳だけども。

 マリエとの浮気問題で婚約者の『クラリス』と揉めたのが原因で、レースを妨害されて負けたとかの場合には、ジルクがマリエと恋愛するため「他人の俺が」結果的に迷惑をかけられたとも言える事になるんだから、他人を巻き込まずに自分たちだけの問題で解決してもらうためにも勝つんだジルク。

 

 勝った後には、お前らの問題として俺はなにも関わらずにモブキャラとして野次馬に徹してやるから・・・・・・そのためにも今のレースには勝つんだ。

 お前とマリエの愛を貫くために・・・!(グッ!)

 

 

 

【おおっとジルク選手! 見事なターンで相手選手たちを抜いてトップに躍り出ました!

 速い速い速いッ!  なんと素晴らしいレース!!

 そして――ゴォォォォォッル!!! ジルク選手1位――ッ!!】

 

 

 

「よっし。まぁ、“流石”と言ったところかな」

 

 レース結果に俺は納得して頷いて、賭けの勝利と倍加した資産の重みと一緒に、この件から自分と相手たちとの関係性が完全に切れたことを同時に実感させられることになる。

 よくやってくれたぞジルク・・・これでお前と俺の賭け金で結ばれていた繋がりは無くなってくれた。これからお前たちは自由だ。

 どこにでも行って好きにマリエとイチャついて、他の攻略対象共と血みどろの愛憎模様でもサスペンスでもやってくれて構わない。そうする権利が、お前等には・・・・・・あるのだから。

 

「尤もな意見だな兄君くん。この勝利で吾輩も、貸した金の徴収ができそうで満足しているよ。

 いや、わざわざ私に借りた金で負けた者達から、貸した金を返すための大博打で勝たせてあげれるようルクシオンくんに頼んで情報提供してもらった甲斐があったというもの。

 私は不渡りを出さずに済み、借りた側も損したわけではなくギャンブルを楽しむこともできた、誰もが幸せになって不幸になったものは誰もいない。理想的で後腐れのない簡潔の仕方であったと断言できるだろう」

 

 

 ・・・・・・そして今生での妹が、賭けを使って別の商売で儲けるためルクシオンを利用してた事情を、今になって結果が出てから始めて知らされることになったらしい兄の俺。

 おのれレインめ・・・神聖な賭け事を、そんな阿漕な商売に利用するとは・・・! いつか痛い目に遭っても、兄としては知らぬ存ぜぬで通すからな!? 俺と家族たちを巻き込むなよ!? 法的には母親のゾラなら別に巻き込んでいいけれども!

 

 

 

 ―――俺的には正直、その程度に思っていた。

 この時点で今回の件で、モブでしかない俺との繋がりは切れたのだ、と。そう思っていたのだが・・・・・・どうやら、そう判断するのはまだ早過ぎたらしい。

 

 

 

 

 

 

「ジルクーっ! しっかりしてジルク~~ッ!! うわぁぁぁ~~ッン!!!」

「大丈夫ですよ、マリエさん。骨折しただけですから」

「でも! でもぉぉ~~ッ!! このままだと欠場して私の賞金がァァァ~~~ッ!!!」

 

 

『でも、あのお怪我で次の試合はムリよね・・・』

『けれどジルク様が出られないとなると、もう一年生の選手が誰も・・・・・・』

 

『今年の文化祭実行委員はアンジェリカ様なのに、代役も用意できないとなったら・・・』

『公爵令嬢の手腕が疑われるわね・・・』

 

 

 というトントン拍子な状況へと盛大に巻き込まれる流れを形作ってきやがる周囲の女子連中たち・・・・・・。

 なにか? コイツラは俺に個人的恨みでもあって、遺産狙いの結婚歴多過ぎババァとの見合いか戦場行きか好きなの選べとか言ってきたゾラの又従兄弟かなんかなの?

 俺って今、現在進行形でレッドグレイブ公爵家にデッカイ借りを作っちゃったばっかの立場なんだけども。

 貴族位失って放逐されてた場合には関係薄かったけど、出世する後押ししてもらったばっかで娘見捨てた場合に、俺と俺の家族はどういう評価で確定しちゃう立場にあるか分かっててやってんの? 無自覚に追い詰めてる人たちなの? どっち? どっちもクソなのは変わりない連中確定なんだけれども。

 

 しかも、

 

 

「あぁ~ら、ずいぶんと見窄らしくなったわね、ジルク」

「クラリス・・・やはり妨害行為は、あなた方の仕業でしたか・・・」

「ええ、そうよ。私を捨てたアンタには、もっとヒドい目に遭ってもらうわ。これからずっと仕返しをしてあげる。泣いて許しを請うのね」

「・・・それで貴女の気持ちが収まるなら喜んで。ただし、マリエさんに何かするなら許しません」

「!! 知った風な口をきくんじゃないわよ! ジルクっ、私はアンタを絶対に許さないから――ッ」

 

 

 という原作乙女ゲー内でのジルク攻略ルートでの『悪役令嬢クラリス先輩』が乱入してくるイベントが発生して――もっとも原作で見たときと違って少しヤサグレタ感じで、でもまぁそれはそれで似合ってもいる美人は何やっても美人ってのを実感させてくれる相手との初対面を終えて去って行き。

 

 残された俺たちと、文化祭実行委員という責任ある立場になっちまってるアンジェリカさんとかが残されちまった負傷したジルクの病室の中。

 

「・・・・・・で、どうする気だ? 次のレースでは代役を立てるしかないと思うのだが・・・」

「いえ、私が出ます。それが一番冴えたやり方ですから。そうしなければ彼女の側も納得しないでしょう」

 

 という会話内容が、アンジェリカさんとジルクとの間で交わされる流れになっていく訳なのだが・・・・・・冴えたやり方なのか? それって・・・余計こんがらがる未来しか予想できる理由ないと思うんだが。

 正直、一番冴えたやり方は『婚約破棄しないこと』だとは思うんだが・・・・・・普通に考えて今更なのも分かるしかない状況でもあるのが現在の状況でもあるんだよな。

 

 だってもう『婚約破棄した後』になっちまってるし。

 いま問題になってるのは、怪我したジルクの代役でレース出場する奴いないとアンジェリカさんの面目潰れて、俺たちもピンチってだけが問題になってる部分だし。

 

 もうとっくに巻き込まれちまった後になってるんだよな、現在の時点で俺たちとジルクの一件との関係性って・・・・・・面倒なことこの上ないし、できれば今以上に攻略対象たちと深く関わり合いになるのは避けたくて仕方がないんだが、今回ばかりは他に手段も道もない。

 

 スゴク嫌だけど、やるしかないんだろうなぁー・・・・・・やれやれだぜ、まったく・・・。

 しっかし、それにしても―――

 

 

「しかし一体、彼女はなにをされて、あそこまで怒っていたのかね?

 正直、失恋が元で性格が変わった系の話は定番ではあるものの、婚約破棄されて元の優等生からヤサグレモードに変わって、世をひねたヤンキーキャラへと設定変更になる貴族令嬢というのも珍しいように感じさせられたのだが」

「キャ・・・? や・んき・・・? 地方の方言か何かなのですか・・・?

 ――まぁ、言葉の意味はよく分かりませんが、彼女には私を怒るだけの権利と資格をもっている女性なんですよ・・・・・・」

「と言うと?」

「そうですね・・・どこからお話ししましょうか。

 あれはそう、私とマリエさんが出会う前、まだクラリスと私が婚約者として互いに思い合うことが出来ていた頃の話でした―――」

 

 

 そう告げてから始まる、ジルクによる元婚約者とのキラキラ思い出モノローグ。

 言い方変えたら、『昔の女とデキてた頃のイチャラブ話』な訳なのだが・・・・・・なんか聞いてる途中でブン殴ってやりたくなってきたから殴ったらダメなんだろうか? このクズ男。

 

 

 ・・・なんでもクラリス先輩は、実家の屋敷にレース場があるいいとこの家のお嬢様なのだとか。

 その場所をエアバイクが特技のジルクや、他の取り巻きの男子生徒たちなんかに練習場所として提供してくれて、他にも色々と面倒を見てもらったりもしてくれてたらしい。

 その頃の二人は本当に仲がいい、絵に描いたような恋人同士であり、将来が約束された婚約者カップルでもあったそうである。

 

 だが、マリエが現れてジルクと出会ったことで全てが変わった。

 ジルクは一方的に婚約破棄を決めて通達すると、そのことを手紙一通だけ送ってからは一度も直接会おうとせず、謝罪も説明もろくに伝えようとしないまま放置プレイ状態を続けてきちまって今日まで来てたらしい。

 

 あくまで俺主観で聞かされた話を要約すると、こんな感じになるってだけで、露悪的な表現や解釈になっちまってるところも少なからずあるんだろうが、それでも俺にはジルクの語る話に白けこそすれ共感できる部分はなんもなかったのが事実じゃある。

 

 美形が語る話だったから、なんとなく綺麗なエピソードみたいに聞こえる気もしなくはなかったけど、会うと面倒くさい自体になりそうだから会うの避けてた浮気男の言い訳としか俺には正直思えなかったんだが・・・・・・それでも聞く者によって、色々な解釈ってのは成り立つもんでもあるみたいらしいようで。

 

 

「彼女には、悪いことをしたと心から思っているのです・・・・・・。

 ですが、彼女の前でウソを吐くのが嫌でした。

 今の私は、他の女性を愛してしまいましたから・・・・・・」

 

 

「嫌なら、ウソを吐かずに言えばいいのでは?

 “他の女に惚れたから別れる”とウソ偽りなく正直に」

 

 

「う゛ぐっ!?」

 

 

 そんな理由による背馳の結果、正しすぎて男にとっては全く優しくない正論過ぎる正論を、我が愚かなる愚妹から指摘されて呻くジルク。

 うん、まぁそうなんだけどね。その通りなんだけどね。

 それが一番正しくて冴えたやり方なんだろうなーってのは、大抵のヤツらが大体分かってることだと思ってもいるにはいるんだけれども、それでも。

 

 ・・・・・・やっぱり避けて誤魔化して、無難に関係終われる道を模索したいっていうジルクの気持ちには、同じ男として賛成しちまいたくなる気持ちが俺の中にも無くはない・・・・・・言わないけどね? 口に出して言う気は全くないけど、気持ちだけは分からなくはない男としての男の感情。

 

 

「い、いえその・・・そういうのはちょっと、えっと・・・・・・か、彼女が悪くてこうなっている訳ではないのですし、それに彼女が傷つくという可能性も・・・・・・」

 

 

「甘えるな愚か者ォォッ!!!」

 

 

『『ひぐッ!?』』

 

 

「そういう時には、BAD覚悟でフッた相手にボコられまくってフルボッコにされボロ雑巾のようになって捨てられた相手を、そして踏む!

 そこまでやって後腐れなくスッキリしてからクズ男を捨てて次の恋に生きれるよう、女のための踏み台になってやるのが男の甲斐性というものではないかね!?

 お前の恋愛事情なんかどうだっていいよ! 自分との以外と別の女とのフラグなんか有ったら全部潰したい欲求に駆られるのが乙女心というものなのだよ乙女的に考えて常識として!!

 決して多数派の乙女たちの全意見ではないのだが! 乙女たち全員が同じ考えとは全く思っている訳でもないのだが!!

 しかし!! 吾輩は全面的に同意見ではある!!!」

 

 

「い、いやあの・・・・・・そういう一部の女性たちだけがもつ、偏った趣味趣向を強く主張されるのは社会的にもどーなのではと・・・・・・あと、怖いです。怖い。

 ちょっと、顔近づけないでくださいませんか? 言ってることと顔が怖――」

 

 

「失礼なっ。あくまで理想はそうと言っているだけの話であって、性別が逆立場で考えてみるといい。

 続編で、わけわかんない新キャラの彼女出てきてて、くっついてる設定だったら嫌だろう? 普通に。

 まぁ、例外事項の男子キャラというのも偶にはいるかもしれんが――虎のアナ的に。アナ的な原因による趣味趣向が理由になって」

 

 

「いやあの、言ってる言葉の意味そのものがちょっと―――って、貴女やっぱり私のこと、そーいう目で見てたんですか!? 見てたんですね!?

 私は女性であるマリエさんが好きだと何度も言ってるじゃないですか!! 貴女のせいで私がどれだけ苦労してるか分かってないのですか!?

 周囲の女性たちから、何かこう・・・・・・粘ついたようなベトつくような、ですが見下してるわけでもない、優しく見守るような視線を四六時中向けられ続けている気がなんとなくする男の気持ちが貴女には分からないんですか~~~~ッ!?」

 

 

「仕方がない! 私は女だから、女に女の欲望があるのは仕方がないのだッ! 諦めよ!!」 

 

 

 

 そして男の気持ち的な男の感情とは全く別方向の、女の気持ち優先で女の感情というか欲望とか願望を恥ずかしげもなく堂々と語るレインの言葉に、男たち(俺とジルク)はドン引きし、アンジェとかリヴィアの女子生徒たちも「う、うわぁ・・・」って顔しながら一歩退く。

 

 ・・・・・・ただ何人かの女生徒たちだけは、したり顔して「うんうん」とか頷きながら「グッ」と拳握ってる光景が見えちまった俺的には、もっと退かされることになる・・・・・・。

 

 なんというかこう・・・・・・なんと言ったら社会的に問題ない論評扱いしてもらえる言い方になるのか・・・・・・とにかく。

 

 

 やっぱり、この乙女ゲー世界がモブ“男達”には厳しい世界だってことを、改めて俺は学ぶことになる。

 

 あと、レインが言ってた、おっそろしいタラレバ話はなかった方向でお願いしたい。おっとろしいだけだから。

 

 それから、ジルクのホモ疑惑ザマァ~☆

 

 よくやったぞレイン。お前はやっぱり兄思いの出来た妹だ~~♪♪

 

 

 

 

*改めて新人類の男女間における諍い事は、同レベル同士でしか起きないことを確認しました。

                                 byルクシオン

 

 

 

つづく

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